早期発見 胃がんと大腸がん

沼津市立病院 市民公開講座
早期発見 胃がん・大腸がん
‐検診から早期発見 低侵襲治療へ‐
佐塚 哲太郎
沼津市立病院 外科
胃癌・大腸癌の早期発見:
早く見つかれば・・・
治る
ll
再発率を限りなく小さくできる
大腸
大腸癌 その1
大腸癌 その2
‐肝転移、肺転移‐
転移
癌細胞が、癌が発生した場所(原発巣)から、それ以外の場所に“飛び火”して
大きくなることを転移といいます。
大腸癌 その3
大腸癌 その4
胃
胃癌 その1
-いわゆる“スキルス癌”-
スキルス(scirrhus)とは悪性腫瘍にみられる間質が多い癌の一種で、瀰漫(びまん)性に浸
潤していくものを指す。硬癌(こうがん)ともいう。語源はギリシャ語のskirrhos(硬い腫瘍)。
胃癌 その2 ‐肝転移など‐
胃癌 その3
胃癌 その4
胃癌 その5
早く見つかれば・・・
治る
ll
再発率を限りなく小さくできる
どの段階で見つかるか
病期・ステージ(進行度)
⇓
病期が早い方が「治る」確率が高い
ll
再発率が低い
深達度
深達度とは「癌が大腸の壁にどこまで入り込んでいるか」を分類したものです。
M癌、SM癌を「早期癌」、固有筋層以上(以深)に浸潤している癌を
「進行癌」と呼びます。
リンパ節転移
癌が大腸の壁の中にあるリンパ管から、リンパの流れにのってリンパ節に
転移することをリンパ節転移といいます。
粘膜下層以上(以深)に浸潤した癌(SM癌より深い癌)では、
リンパ節転移を起こす可能性があります。
ステージ(進行度)
ステージは、①深達度、②リンパ節転移、③遠隔転移と腹膜転移の状況に基づき、
分類されます。
どの段階で見つかるか
病期・ステージ(進行度)
⇓
病期が早い方が「治る」確率が高い
ll
再発率が低い
大腸癌の5年生存率
大腸癌の5年生存率
胃癌の5年生存率
病期・ステージが
早い方が「治る」確率が高い
ll
再発率が低い
だから・・・
病期・ステージが
早い方が「治る」確率が高い
ll
「治療後の」再発率が低い
治療には・・・
大きく分けて3つの治療法
① 内視鏡治療=癌を薄く剥ぎ取る
② 手術=癌のある部分を切除する。
③ 化学療法=抗癌剤で癌の進行を抑える。
その他、放射線療法、焼灼、無治療、など
胃癌 その5
大腸癌 その4
治療には・・・
大きく分けて3つの治療法
①内視鏡治療=癌を薄く剥ぎ取る
② 手術=癌のある部分を切除する。
③ 化学療法=抗癌剤で癌の進行を抑える。
その他、放射線療法、焼灼、無治療、など
内視鏡治療
代表的な方法に、ポリペクトミーとEMRがあり、癌の形に応じて使い分けます。
内視鏡治療
内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術
(Endoscopic submucosal dissection: ESD)
ESD手順 早期胃癌
通常観察
色素散布
マーキング
局注 + 全周切開
粘膜下層剥離
止血確認
摘出検体の断端を確認。
治療には・・・
大きく分けて3つの治療法
① 内視鏡治療=癌を薄く剥ぎ取る
② 手術=癌のある部分を切除する。
③ 化学療法=抗癌剤で癌の進行を抑える。
その他、放射線療法、焼灼、無治療、など
胃癌 その3
大腸癌 その1
治療には・・・
大きく分けて3つの治療法
① 内視鏡治療=癌を薄く剥ぎ取る
②手術=癌のある部分を切除する。
③ 化学療法=抗癌剤で癌の進行を抑える。
その他、放射線療法、焼灼、無治療、など
手術‐開腹手術
お腹を20-30㎝縦に切開し、直視下に癌のある部分の腸管とリンパ節を切除(リンパ管
郭清)します。
手術‐腹腔鏡手術
炭酸ガスで腹部をふくらませて、内視鏡(腹腔鏡)でお腹の中を観察しながら、
数箇所の小さな創(ポート)から器具(鉗子)を入れて手術を行います。
治療には・・・
大きく分けて3つの治療法
① 内視鏡治療=癌を薄く剥ぎ取る
② 手術=癌のある部分を切除する。
③ 化学療法=抗癌剤で癌の進行を抑える。
その他、放射線療法、焼灼、無治療、など
大腸癌 その2
治療には・・・
大きく分けて3つの治療法
① 内視鏡治療=癌を薄く剥ぎ取る
② 手術=癌のある部分を切除する。
③ 化学療法=抗癌剤で癌の進行を抑える。
その他、放射線療法、焼灼、無治療、など
化学療法-抗癌剤、分子標的薬など-
化学療法-抗癌剤、分子標的薬など-
進行・再発大腸癌に対する抗癌剤治療
化学療法-抗癌剤、分子標的薬など-
進行・再発大腸癌に対する抗癌剤+分子標的薬治療
化学療法-抗癌剤、分子標的薬など-
再発胃癌に対する抗がん剤治療
化学療法-抗癌剤、分子標的薬など-
胃癌に対する補助化学療法‐再発率を下げる目的‐
大きく分けて3つの治療法
1.早い段階で癌を見つける方法とは?
2.癌にならない方法とは?
1.早い段階で癌を見つける方法とは?
2.癌にならない方法とは?
検診を受けましょう
大腸癌検診と言えば・・・
便潜血検査ですね。
検査の感度/特異度=67%/91.4%
(癌,ポリープ)
検診を受けた人は,受けなかった人に比べ
毎年検診・・・33%の死亡率低下
隔年検診・・・15~21%の死亡率低下
と報告されています。
(米国 Minnesota研究,英国 Nottingham研究)
大腸癌検診と言えば・・・
便潜血検査ですね。
また検診によって,浸潤癌が減るという報告もさ
れています。
毎年検診・・・20%低下
隔年検診・・・17%低下
検診によって要精査となった場合,粘膜癌(早期
の癌)または腺腫(癌になることがある)を拾い
上げ,内視鏡切除によって進行癌になるのを防ぎ,
死亡率を減らしていると考えられています。
大腸癌の発見動機
便潜血検査の果たす役割は大きい
早期癌,進行癌の発見動機
特に早期癌において便潜血検査の果たす役割は大きい
検診を受けましょう
大腸癌検診の問題点
受診者
要精検者
癌 9721人
(0.16%)
605万人
43.2万人(7.1%)
癌疑い 2220人
(0.04%)
癌以外
31.7%
異常なし
23.3%
未把握/未受診
41.7%
要精検(精密検査)となったにもかかわらず,
精検を行わなかった群は,受けた群に比べ,
大腸癌死亡のリスクが4-5倍高い事が示唆されている。
検診を受けましょう
↓
もし要精密検査になったら,
必ず受診しましょう。
私見ですが・・・
心配な方(かつ,時間のある方)は,
内視鏡検査(大腸カメラ)を受ける事をお勧めします。
米国インディアナ州20施設2193人の大腸癌の相対感度を算出
内視鏡:95%
注腸検査(バリウム検査):83%
注腸検査による大腸癌の見逃しは内視鏡の3.93倍
10㎜以上のポリープについて
内視鏡:91.4%
注腸検査:21.7%
大腸癌検診と言えば・・・
便潜血検査ですね。
検査の感度/特異度=67%/91.4%
(癌,ポリープ)
検診を受けた人は,受けなかった人に比べ
毎年検診・・・33%の死亡率低下
隔年検診・・・15~21%の死亡率低下
と報告されています。
(米国 Minnesota研究,英国 Nottingham研究)