1月22 日作成

アメリカ新素描
独自の視点で、現在のアメリカ経済を解説!
滝澤 伯文(Osafumi Takizawa)
1 月 29 日作成
<共和党の予備選の行方は>
サウスキャロライナ州の共和党予備選で、ギングリッチがロムニーに勝ちました。こ
の結果、これまで余裕だったロムニー陣営にも、やや警戒感が漂っています。
これで 31 日のフロリダの予備選が面白くなりました。ここでロムニーが勝ち再び軌
道を戻せるか。或いはギングリッチが勝って勢いを増すか。注目しましょう。
ここで共和党の予備選のルールを簡単に紹介します。まずルールといっても大統領
を決める本戦の様なルールはありません。ただ代議員を取り合うのは同じです。一方あ
くまでも内輪で代表を決める過程ですから、途中でルールが変わる事があります。
例えばフロリダの予備選は元々2 月に予定されていました。ところが、フロリダの共
和党が勝手にスケジュールを変えてしまったのです。その結果他の州の共和党がクレー
ムをつけて、全米共和党組織はフロリダの投票権を半分にしてしまいました。
またフロリダは勝者総取り方式を採用しました。これは勝利者がフロリダの代議員
(50 議席)を総取りするという方式です。(アイオア ニューハンプシャー サウス
キャロライナは、比例配分方式を採用)。
通常は 3 月のスーパーチューズデイまでは比例配分、4 月以降のテキサスやカリフォ
ルニアなどの大票田の予備選では総取り方式が採用されてきました。今回はその方式を
途中で変える州が出てきそうです。
このレポートは、アナリストの分析に基づく執筆者の作成日における見解で、海外デリバティブ取引の売買や特定の投資戦略への参加の勧誘を意図したものではありま
せん。当社が信頼できると判断した公開の情報源から得た情報に基づいて作成されていますが、必ずしも当社の意見を反映したものではなく、その正確性や完全性を保
証するものではありません、事前事後の通告なしに変更される場合があります。この資料にある海外デリバティブ取引の商品価格や商品価値は変動する可能性があり、
そのリスクや、外貨建ての商品は、為替相場の変動リスクをお客様が負うこととなります。さらに、過去の実績は、必ずしも将来の成果を保証するものではありません。資
料の内容がすべてのお客様に適合的であるとは限りませんし、お客様は、ご自身の状況や投資目的に鑑み、ご自身で投資に関する決定をしていただく必要があります。
また、売買取引に際しては、海外デリバティブ取引の場合、最大で 9.45 ドル(税込)もしくは最低 1.05 ドル(税込)の手数料が必要となります。なお、この資料の全部、一部
又は、目的や方法を問わず、無断での複製、転載、転送などを行わないようにお願いします。
アメリカ新素描~独自の視点で、現在のアメリカ経済を解説!~
滝澤 伯文(Osafumi Takizawa)
<ロックフェラーが負けた 68 年の共和党予備選>
ところで、先週は 92 年の大統領選の話をしました。実は今回の共和党の予備選は、
64 年に似ているところがあります。そこで少しその話をします。この時は、共和党の
リベラル層を代表してネルソンロックフェラーが立候補しました。
彼は、90 歳超えて今も陰謀説によく名が取りざたされるデービッドロックフェラー
(5 男)の兄さんです。初代のロックフェラーの孫。初代に一番近い気質の人だと言わ
れ、当時ニューヨーク州の知事として実績も資金力も十分でした。
ところが、予備選が始まると、ロックフェラーのリベラルな言動に反発が出て、保守
派の支持はアリゾナの有力議員ゴールドウォーター氏に流れました。そして大方の予想
を裏切り、予備選は大票田のカリフォルニアまでもつれ込み、そこで勝利したゴールド
ウォーターが党大会で指名を確保する超激戦になりました。
<共和党の大統領は西から>
さて、この様な共和党の予備選ですが、1928 年のフーバー以来、実は東海岸地区か
ら共和党の大統領は出ていません。アイゼンハワー ニクソン フォード レーガン
ブッシュ親子は、全員が保守本流の中西部から西を地盤にしていました。(ジョージ
HW ブッシュはマサチューセッツ生まれだが、政治家としてはテキサス出身、またフォ
ードはネブラスカ生まれミシガン育ち)。
それだけリベラルな候補が共和党の指名選挙を勝つのは難しく、また勝っても本戦で
同じくリベラルな民主党候補に勝つのは難しいのです。このジンクスからも、ロムニー
がフロリダを落とすと、共和党の予備選は全く分からなくなります。
このレポートは、アナリストの分析に基づく執筆者の作成日における見解で、海外デリバティブ取引の売買や特定の投資戦略への参加の勧誘を意図したものではありま
せん。当社が信頼できると判断した公開の情報源から得た情報に基づいて作成されていますが、必ずしも当社の意見を反映したものではなく、その正確性や完全性を保
証するものではありません、事前事後の通告なしに変更される場合があります。この資料にある海外デリバティブ取引の商品価格や商品価値は変動する可能性があり、
そのリスクや、外貨建ての商品は、為替相場の変動リスクをお客様が負うこととなります。さらに、過去の実績は、必ずしも将来の成果を保証するものではありません。資
料の内容がすべてのお客様に適合的であるとは限りませんし、お客様は、ご自身の状況や投資目的に鑑み、ご自身で投資に関する決定をしていただく必要があります。
また、売買取引に際しては、海外デリバティブ取引の場合、最大で 9.45 ドル(税込)もしくは最低 1.05 ドル(税込)の手数料が必要となります。なお、この資料の全部、一部
又は、目的や方法を問わず、無断での複製、転載、転送などを行わないようにお願いします。
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滝澤 伯文(Osafumi Takizawa)
<住宅市場が底打ちすれば、FED は QE3 をしない?>
さてここから相場の話をします。保守派のギングリッチやロンポールは、FRB に対し
て強硬な態度をとっています。なぜなら彼らは今の FED のドル安政策(ドルをプリント
する刺激策)が大嫌いなのです。
ロンポールは FED の廃止ずっと訴えていますが、ギングリッチもバーナンキ議長の再
任には否定的です。つまり、予備選で共和党の保守派の勢いが増すと、今の株式市場に
はマイナスという事です。
一方、選挙戦とは別に、今言われ始めたのが、米国の住宅市場が底打ちしたのではな
いかという観測です。
これまで筆者は住宅市場に悲観的でした。なぜなら、自分の家の周りをみても、強制
競売にかけられた家は全く減る気配がないからです。
ただ全米ではかすかに変化が見えます。まず一番落ち込みが激しかったネバタ州など
で競売物件に新手の参加者が入り始めました。
これまでプライベートエクイティと呼ばれた投資家達は、主に M&A に注力してきまし
た。しかし、この市場が回復しない中、手持ち資金の運用手段として、住宅市場に目を
つけ始めました。
リーマンショック後、米国では住宅の購買意欲が低下し、一方で賃貸に人気が出てい
ます。そんな中、彼らは競売物件を購入し、物件を賃貸にして裁定をかけようとしてい
るようです。
この様に、住宅市場では在庫が減ってきました。もし住宅市場が底打ちすれば、実体
経済にお金が回り始めます。米国の住宅市場の規模は株式市場の4倍です。この効果は
絶大です。
逆に、本当に住宅が回復に向かうなら、FED の救済にはブレーキがかかる可能性があ
ります。その場合、株はどうなるでしょうか。
筆者は今の米国の株式は、「不景気の株高」に、FED が市場原理を超えて自分で株を
買い支える異常事態とみています。
このレポートは、アナリストの分析に基づく執筆者の作成日における見解で、海外デリバティブ取引の売買や特定の投資戦略への参加の勧誘を意図したものではありま
せん。当社が信頼できると判断した公開の情報源から得た情報に基づいて作成されていますが、必ずしも当社の意見を反映したものではなく、その正確性や完全性を保
証するものではありません、事前事後の通告なしに変更される場合があります。この資料にある海外デリバティブ取引の商品価格や商品価値は変動する可能性があり、
そのリスクや、外貨建ての商品は、為替相場の変動リスクをお客様が負うこととなります。さらに、過去の実績は、必ずしも将来の成果を保証するものではありません。資
料の内容がすべてのお客様に適合的であるとは限りませんし、お客様は、ご自身の状況や投資目的に鑑み、ご自身で投資に関する決定をしていただく必要があります。
また、売買取引に際しては、海外デリバティブ取引の場合、最大で 9.45 ドル(税込)もしくは最低 1.05 ドル(税込)の手数料が必要となります。なお、この資料の全部、一部
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滝澤 伯文(Osafumi Takizawa)
同じような事はデフレの入り口で日本が始めました。それが恒常化するにつれ、日本
は逆にデフレから抜け出せなくなりました。
では米国もこの異常事態を恒常化させてしまうのでしょうか。或いは一旦元の姿に戻
そうとする力が働くのでしょうか。これが、今年の米国のテーマにもつながってくるで
しょう。
経済状態に関係なく、強引に原理原則に戻そうとする力が働くとすれば、それは説明
してきた、選挙を通して共和党の保守派によるものになるはずです。
そうではなく、自然に戻る気運が生まれるなら条件は住宅市場の底打ちです。どちら
の場合も、資金が一旦株から実体経済に流れる瞬間(期待)があるでしょう。その予兆
が出た時は、ここで触れたいと思います。
金融
ストラテジスト
滝澤
伯文
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