うつ病・不安障害の アセスメントと心理教育

うつ病・不安障害の
アセスメントと心理教育
千葉大学医学研究院
子どものこころの発達研究センター
浅野 憲一
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今日のアジェンダ
• アセスメントの基本的な考え方
5分
• うつ病・不安障害であるかを確かめる
(医学的診断の確認)
10分
• 認知行動療法に基づいてアセスメントする
15分
• アセスメントから心理教育へ
10分
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2
アセスメントの基本的な考え方
• 歯医者でレントゲンを撮られたことはあり
ますか?
なんのために
撮っているのでしょうか?
個人的な趣味ではなく,
歯の状態を知り,
治療するためです。
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アセスメントの基本的な考え方
• アセスメント≠検査をすること
• アセスメント=最善のサービスへの見通し
• アセスメントができる≠検査ができる
• アセスメントができる
=最善のサービスへの見通しが立てられる
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アセスメントの基本的な考え方
情報の収集
クライエント本人 家族など
仮説形成
診断 治療
仮説の検証
仮説の確認/新たな仮説形成
仮説は
何度でも
形成・検証
される
アセスメントの基本的な考え方
• 堀越(2011)による精神療法の基礎スキルを改変
色々な介入技法
(精神分析,来談者中心療法,認知行動療法など)
ア
セ
ス
メ
ン
ト
コ
ミ
ュ
スニ
キケ
ルー
シ
ョ
ン
関
係ラ
ポ
づー
く
りト
アセスメントは介入を行うために
必要不可欠な要素である
アセスメントの基本的な考え方
• アセスメントは2段階で考えてみると分かり
やすい
精神医学的アセスメント
(診断基準,症候学)
認知行動療法に基づくアセスメント
(ケースフォーミュレーション,見立て)
今日のアジェンダ
• アセスメントの基本的な考え方
• うつ病・不安障害であるかを確かめる
(医学的診断の確認)
• 認知行動療法に基づいてアセスメントする
• アセスメントから心理教育へ
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うつ病・不安障害であるかを確かめる
(精神医学的評価;MINIを使って)
• Seehan DV, Lecrubier Yにより作成された精神
疾患を診断するための簡易構造化面接法
• 短時間(15分程度)で施行可能。
• トレーニングの必要がほとんどない。
• 英語・日本語ともに因子分析が行われ、信頼性・
妥当性の検証が行われている。
• M.I.N.I.―精神疾患簡易構造化面接法
(星和書店)
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うつ病・不安障害であるかを確かめる
(精神医学的評価;質問紙を使って)
• PHQ-9(こころとからだの質問票)
http://cocoro-h.jp/depression/checksheet/file/checksheet.pdf#search='PHQ9'
• GAD-7日本語版
DSMの診断基準に準じた質問紙
http://cocoro-h.jp/depression/checksheet/file/checksheet.pdf#search='PHQ9'
• K6(うつと不安)
簡便であり,精度も高い
http://mental.m.utokyo.ac.jp/h14tokubetsu/%E5%88%86%E6%8B%85%E7%A0%94%E7%A9
%B6%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B822.pdf#search='K6 %E3%81%86%E3%81%A4'
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今日のアジェンダ
• アセスメントの基本的な考え方
• うつ病・不安障害であるかを確かめる
(医学的診断の確認)
• 認知行動療法に基づいてアセスメントする
• アセスメントから心理教育へ
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認知行動療法に基づいてアセスメントする
CBTの特徴として,それぞれの疾患に
対応したモデルが用意されている。
それらを参考にして,Cl.にマッチしたモデルを探る
モデルはあくまでもモデル!
Cl.の困り事とモデルをうまく融合すること。
モデルを使うのであって,
モデルに使われないようにする!
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幼少期の体験
うつの臨床心理学的評価
(うつのCBTの場合)
中核信念
条件的信念
ベースは基本モデ
ル(認知,行動,感
情,身体)だが,上
の4つもセッション
が進むにつれ埋ま
るようにする
代償行動
状況
認知
感情
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行動
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ネグレクト
うつの臨床心理学的評価
(うつのCBTの場合)
自分は価値がない
価値があるためには有能
でなければならない
有能に見えるよう努力
それぞれについて
共同で当てはめ,
話し合っていく
上司に注意される
どうして自分はこんなこ
ともできないのか?
落ち込み
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何もしなくなる
うつのCBTの参考資料
• 認知療法実践ガイド基礎から応用まで―ジュディス・ベックの認知療
法テキスト ジュディス・S. ベック (著), Judith S. Beck (原著), 伊
藤 絵美 (翻訳), 神村 栄一 (翻訳), 藤沢 大介 (翻訳) 星和書店
• うつを克服するための行動活性化練習帳 ―認知行動療法の新しい技法
マイケル・E・アディス (著), クリストファー・R・マーテル (著), 大野
裕 (監訳), 岡本 泰昌 (監訳), うつの行動活性化療法研究会 (翻訳) 創
元社
• うつと不安の認知療法練習帳
デニス グリーンバーガー (著), クリスティーン・A. パデスキー (著),
Dennis Greenberger (原著), Christine A. Padesky (原著), 大野 裕
(翻訳), 岩坂 彰 (翻訳) 創元社
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不安の臨床心理学的評価
(強迫性障害のCBTの場合)
先行刺激
強迫観念
不安や不快感
の上昇
もし
強迫行為を
しないと
強迫行為
不安や不快感
の減少
しかし
一時的
2012/11/14
少し不安になるたびに,強迫行為をしないと気がすまなくなる
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不安の臨床心理学的評価
(強迫性障害のCBTの場合)
手すりを触る
黴菌が広がってしまう
不安や不快感
の上昇
もし
強迫行為を
しないと
手洗い
不安や不快感
の減少
しかし
一時的
2012/11/14
少し不安になるたびに,強迫行為をしないと気がすまなくなる
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不安の臨床心理学的評価
(社交不安障害のCBTの場合)
社会的状況
思い込みの活性化
察知された社会的危機
自己を社会的対象
として知覚する
安全行動
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身体的症状
不安の臨床心理学的評価
(社交不安障害のCBTの場合)
人前でスピーチ
自分は人から敬遠される
うまく話せていない
赤面が気になる
うつむいて話す
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顔が赤くなる
不安の臨床心理学的評価
(社交不安障害のCBTの場合)
引き金
また発作か!?
そうに違いない!
(軽いドキドキ,息苦しさ,
体の違和感)
不安感UP
悪循環
体が覚醒
(動悸,呼吸困難)
このまま倒れて
死んでしまうかも
不安障害のCBTの参考資料
• 対人恐怖とPTSDへの認知行動療法―ワークショップで身につける治
療技法 デイビッド・M. クラーク (著), アンケ エーラーズ (著),
David M. Clark (原著), Anke Ehlers (原著), 丹野 義彦 (翻訳) 星
和書店
• 強迫性障害の治療ガイド 飯倉 康郎 (二瓶社)
• パニック障害ハンドブック―治療ガイドラインと診療の実際 熊野 宏
昭 (編集), 久保木 富房 (編集) (医学書院)
ケースフォーミュレーションの参考資料
• 認知行動療法における事例定式化と治療デザインの作成―問題解決ア
プローチ アーサー・M. ネズ (著), エリザベス・R. ロンバルド (著),
クリスティン・M. ネズ (著), Arthur M. Nezu (原著), Elizabeth R.
Lombardo (原著), Christine Maguth Nezu (原著), 伊藤 絵美 (翻訳)
(星和書店)
• 認知行動療法ケースフォーミュレーション入門 (臨床心理学レク
チャー) マイケル ブルック (著), フランク・W. ボンド (著), Michael
Bruch (原著), Frank W. Bond (原著), 下山 晴彦 (翻訳) 金剛出版
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今日のアジェンダ
• アセスメントの基本的な考え方
• うつ病・不安障害であるかを確かめる
(医学的診断の確認)
• 認知行動療法に基づいてアセスメントする
• アセスメントから心理教育へ
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アセスメントから心理教育へ
• 心理教育も2段階で行う
うつには休養が必要
薬物療法が有効
その他の基礎知識
疾患についての心理教育
認知行動療法でどのように
治療していこうというのか,
方針を伝えて同意を得る
認知行動療法についての心理教育
アセスメントから心理教育へ
• 心理教育は単に知識を伝えるだけでなく,情報を
受け取ったCl.がどんな感想,疑問を持ったかを大
切にする。
• モデルも心理教育も,「知識からCl.を見る」ので
はなく,「Cl.を見て情報を選ぶ」こと。
• ひとつひとつを丁寧に伝え,治療に対するCl.の同
意を得るとともに,動機づけを高めていく。
• 口頭で伝えるだけでなく,資料を準備したり,書
籍も活用すること。
まとめ
• 最善の治療を行うためには,的確なアセスメント
が不可欠
• アセスメントは,医学的なアセスメントと認知行
動療法に基づくアセスメントの両面から行う。
• 医学的なアセスメントでは,構造化面接や質問紙
を補助として使うことができる。
• 認知行動療法に基づくアセスメントは,疾患ごと
にモデルが作られている。
• モデルに使われないこと!
• 心理教育はCl.の感想や疑問を大事にしながら,丁
寧に行う。