ÖHLINS TWIN 1976-2014 オーリンズの歴史は、ツインショック進化の履歴。 ファーストオーリンズと、現在のツインショックラインナップには、 36年の歳月が流れています。 私たちがオーリンズを創業した頃、モトクロス界にモノサスが台頭 しはじめました。モノサスと言っても、そのショックユニットはツイ ンショックと変わりなく、まだシングルショックという概念はありま せんでした。ショックアブソーバーと言えば、黙っていてもツインシ ョックを指していました。 当時、盛んに行われていたモトクロス競技に、オーリンズのボスも のめり込んでいました。もちろん最初はライダーとしてですが。ア マチュアライダーたちは、試合ごとにエンジンパワーを上げてくる 工場レーサーたちに、パワーで立ち向かうことはできません。そこ で考えた対抗策がサスペンションのストロークアップです。 「ギャップをものともせず、ワイドオープンで飛び込めたら、非力 なエンジンパワーでも勝算はある」。もともと手先の器用さと、父 親の経営する工場の工作機械を使って、ショックアブソーバーのモ ディファイに取りかかりました。事は目論み通りに進み、評判はあ っという間にライダー仲間に広まり、注文が次々と舞い込んでき て、いつのまにかそちらが本業になりました。 らしたファーストオーリンズ。ボディに塗られた赤褐色はスウェーデンでよく見る伝統的な 1978年、ロシア人ライダー“Gennady 壁色 (Falu Rödfärg) で、 この時はまだスウェーデンナショナルフラッグカラーは採用され が、オーリンズ初となる世界選手権タイトルを獲得して以来、今日 ていません。ガス封入式のシングルチューブ形式で、内部構造は基本的に現在のツインシ まで優に200を超えるメジャータイトルがオーリンズにもたらさ Moiseev”の駆るKTM SmartTwin SaintTwin CredTwin ョックと変わらず、減衰調整は円板シムを入れ替えることで行っていました。当時から、世界 れました。初めてのタイトルはツインショックで得ましたが、まもな Type S36DR1L Type S36P Type S36E 最高と評されるスウェーデン鋼を使ったスプリングは、異例に伸ばされたストロークに対処 く時代はリンク式モノサスに変わり、ツインショックがトップカテ するため、低バネレートのヘルパースプリングをあてがっています。 ゴリーで、メジャータイトルを取ることはなくなりました。しかし、 このボディカラーのままピギーバックスタイルに変えて市販したのが第一世代ツインショ モーターサイクルを愛する人がいる限り、ツインショックが消える ック。初代フルアジャスタブルが第2世代。以下グランドツイン、 レジェンドと現在まで連綿 ことはありません。 と続くオーリンズ・ツインショック栄光の系譜。 オーリンズもツインショックの更なる進化に向け、開発の手を緩め オーリンズにとってツインショックの歴史は、私たちの歩んできた道そのものです。 ることはありません。 コンベンショナルなデザインですが、ガスとオイ ルを分離するためのフリーピストンをシリンダー 内に収めたツインショック。エンドアイ上部に伸び 側減衰調整ダイヤル、車高調整機構を搭載。スプ リングプリロード調整はネジ式を採用するなど、押 さえどころに抜かりはありません。 12 この写真は、1976年創業のオーリンズ社に、1978年初めてのワールドタイトルをもた セントツインは、別体式リザーバータンクを備えた 36mm径ピストン内蔵ツインショック。オーリンズ伝統 のピギーバックスタイルです。ガスとオイルを隔離す るフリーピストンをリザーバータンクに内蔵。性能が不 安定になるキャビテーション、 エアレーションを防止す ると共に、高い熱放散性を誇ります。3段階カム式もし くはネジ式スプリングプリロード調整機構搭載。 クレドとは、信頼を意味する、オーリンズの中で最もコンベ ンショナルなツインショックです。オーリンズに共通する減 衰発生機構は、最もポテンシャルの高い多段積層円板バル ブ方式で、低速域から高速域まで正確で安定した減衰力を 発揮します。3段階カム式もしくは、ネジ式スプリングプリ ロード調整を搭載しています。車種によりイエロー、 ブラッ ク、クロームの3色のスプリングカラーからお選びいただ けます。また一部の車種にはショートストロークタイプもラ インナップ。 13
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