発語困難を生じた22歳の鎌状赤血球症の男性(※PDF)

症例 1
0 鎌状赤血球症、頭痛、発語困難を伴う 22歳男性
症例提示
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dM.Herrin併o
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(
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)
22歳の右利きの男性が当院に入院したのは急性発症の頭痛と発語困難を生じたためです。
この患者は入院する日の正午頃までは元気でした。それから鈍く広範囲の頭痛が始まりま
0のスケールで表した時に 1
0の痛みにまで
した。痛みは徐々に強くなり、痛みを 0から 1
なりました。これは最も強し、痛みであることを示しています。彼はイププロフェンを使用し
ましたが、頭痛は強くなり改善しませんでした。午後 6時から 7時の聞に彼はマリファナ
を吸いました。午後 7時ころ、患者は突然身を乗り出し、頭を抱えたと友人の一人が証言し
ました。彼は立ち上がり、肩で息をして、理解不能なことを喋りました。彼は会話ができな
いことにいらつき出しました。彼の友人たちは彼を当院の救急部へ連れてきました。彼が到
着したのは午後 7時 43分でした。
到着したとき、患者は場所や日付を答えられませんでした。彼は混乱し、言葉を思い出し
たり│縫ったりするのが難しくなっていたと(のちに)答えました。頭痛の強さは 10のうち
3でした。彼は最近の怪我や首の痛み、発熱、悪寒、胸痛、上気道や胃腸の症状はありませ
んでした。彼は鎌状赤血球症であり、別の病院でフォローされていました。稀な発作と関連
して、発作が一番最近起きたのは少なくとも 1年以上前でした(?)。彼の直近の輸血は今
回の評価の 22か月前でした。彼は過去に疹痛発作で入院したことがあり、 6年以上前に一
5か月の聞に起こして
度急性胸部疲候群 *1で入院しています。彼は繰り返す頭痛を過去 1
]
I
Jの病院の検査で多発する脳動脈癌が明らかになっています。動脈溜は安定している
おり、 )
と連続する画像診断で報告されています。彼は 1
2歳の時に胆嚢摘出術を受けている。彼は
頭痛に必要なイブプロフェンと、葉酸を内服していました。彼には既知のアレルギーはあり
ません。彼は学生で友人 1人と暮らしています。後は日常的にマリファナを吸っており、飲
酒は稀で、たばこは吸わず、ほかの違法な薬物は使っていませんでした。彼の両親はアフリ
カ系アメリカ人の家系です。彼の生物学的な父親の病歴は不明です。彼の母と、彼の 3人の
腹違いの兄弟のうち 2人は鎌状赤血球形成傾向がありました。彼の母と彼女の腹違いの兄
弟は心筋梗塞を起こし、その兄弟は発作を繰り返しました。母方の祖母は高血圧と糖尿病が
あり、母方の大叔父は動脈痛を指摘されています。脳梗塞や脳腫療の家族歴は知られていま
せん。
検査の結果、患者は危険であり協同的でした。体温は 3
6
.
9
'1:、血圧は 108/51mmHg
、
HR90bpm、RR1
6図
、 Sp0298%(rooma
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)でした。結膜と舌下には黄症が見られました。
神経学的な検査では、会話の流暢さは正常で、時折多相性の誤りや経度の失語、回りくどさ
がありました。言語の理解力や復唱はほとんど正常でしたが、深刻な失説症と失書症があり
ました。彼は簡単な命令には従いましたが、左右に関して混乱していました。彼は個々の指
の名前を認識しましたが、以前には簡単だった単純な算数が出来ませんでした。交互に幾何
学的な図形を模写するときに反復症が出現しました。物体を思い出す検査では、 1分後に 3
つの物体のうち 1つも思い出せませんでした。言葉の意味の流暢さの試験では、 1分間で動
物の名前を 4つあげました。音の流暢さの試験では、 Fから始まる文字を 1分で 1つもあ
げられませんでした。そして、この試験で HR145の頻脈が引き起こされました。彼には軽
度の構成失行がありましたが、行動はその他の点では完全でした。共調運動や歩行、脳神経、
運動、感覚神経の機能は正常で、深部臆反射は右の足底反射が消失し、左が屈曲しました。
NIHSSスコア(脳卒中評価スケール)では 4
2点中 3点でした。これは高得点ほど深刻な
欠損を示しています。その他の身体所見は正常でした。
血中の電解質や糖、カルシウム、総タンパク、アルブミン、グロプリン、 ALP、ALTは
正常でした。その他の結果はTa
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e1に示しています。心電図では虚血性の変化と前壁の J
.
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nを除いては洞調律でした。尿検査では溶血を示しており、 0から 2個の赤
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dに認め、ムチンを
血球、 3 から 5個の白血球、わずかな細菌と上皮細胞を H
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偽l
dに認めました。尿中の毒素の検査ではカンナピノイド(大麻類)が検出されまし
た。血液型は O型
、 Rh+で不規則抗体は陰性でした。細胞外液が静脈投与され、酸素が経
L投与されました。
鼻カニューラで毎分 2
加えて、診断のための検査が行われ、マネージメントの決定がなされました。
*1 急性胸部症候鮮は鎌状赤血球息者の一番の死亡原因であり、少なくとも一つの区域に
無気肺ではないコンソリデーションがみられる急性の胸部症状を主体とした疾患。症状は
発熱、頻呼吸、胸痛、呼吸困難など。原因としては肺炎や全身性感染症、脂肪塞栓、HbSを
含んだ赤血球による直接的な肺塞栓などが関与すると考えられている。
鑑別疾患
脳の障害の局在
Dr.JeremyD.schmahmann
討議の参加者全員がこの症例の診断に気づいています。この青年が病院に来たとき、彼は
歩き、体を動かし、感じ、見ることができました。彼の神経学的な異常は行動の兆候によっ
て明らかになりました。それらの異常行動を引き起こしうる脳の部位を知ることは、脳の障
害が起きている可能性が高い部位を特定することの助けとなります。
この息者は読み書きが出来ませんでした。(すなわち彼は失語症と失説症を発症していま
した。)これらの障害はウェルニッケ失語の患者において起こります。しかしながら、彼の
理解力と復唱の能力は比較的正常に保たれており、これらの特徴は完全なウェルニッケ失
語とは矛盾します。これらの所見は、次のことを示唆しています。左大脳半球後方の左上方
!
頭葉の外面の包旋の総称の後方の側面を栄養する部分に障害があるということで
の大脳侃J
す。(この部位の障害はウェルニッケ失語を引き起こします。)
患者はは簡単な計算が出来ず、右と友を区別できませんでした。従って彼には失書症と左
右の方向感覚の消失、失算症があります。これらの 3つはゲルストマン症候群の 4徴のう
ちの 3つです。 4つ目は指定した指や他の体の部位を指し示すことができないというもので
す。これらの障害はゲルストマン症候群が、言語の優位半球の角田(頭頂楽の後方にある)
で生じることと関係があります。言語の優位半球は通常左です。
この患者の、文章を繰り返す(復唱する)能力と、自発的な会話の能力は比較的良好でし
た。これらの所見は、前頭前野の皮質が保たれていることを示唆します。しかしながら、彼
には失名詞症、錯語症があり言語の流暢性のテストでも深刻な障害が認められました。これ
らの所見は左前頭前野の皮質の障害を反映するものです。彼は固執性もまた起こしていま
した。これは前頭前野の皮質、あるいは皮質下の構造との接続の広範な障害と関連していま
"から始まる単語を何個答えられるかみたいなやつ)のテスト
す。音楽流暢性(l分間で“ S
で彼の脈拍が 70bpmから 145bpmに上昇したことは注目すべきことです。交感神経反射
(自律神経現象)は島皮質と関連します。これらは通常は(常に、ではありませんが)右の
大脳半球にあります。
最初の診断のための検査は頭部の画像検査でした。
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rM.Ro
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頭部 CTでは造影検査を除いて行い、左の中大脳動脈に沿って、線状の高吸収域を左のシ
ルピウス裂(外側溝)に認めました。この徴候は、中大脳動脈が詰まっている所見として知
られていて、普通は早期の梗塞で発見され、急性の血栓症かゆっくりとした血流を反映しま
F
i
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.
l
A
)CT血管造影では、左の中大脳動脈の
す。急性の梗塞の証拠はありませんでした。 (
F
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.
l
B
) 造影 CT (
F
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.
l
C
) の後に行われた首の CT血管造影で
閉塞が認められました。 (
は、左内頚動脈の陰影欠損があり、これは閉塞を表しています。(左内)頚動脈は の所見
があり、これは通常急性の血管閉塞で見られます。血管壁から内腔がはがれているとき、こ
の閉塞の原因として最も可能性が高いのは解離です。画像診断では脳底動脈に裂状の動脈
F
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g
.
I
D
)
癌が多発しているのも観察されました。 (
頭部 MRIでは早期の梗塞が多発していました。便塞は左の放射冠と前頭楽にあり前頭楽
F
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)
は主に左の中から後部の島皮質と左の角田の下方の白質を含んでいます。 (
血 a
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*
2では、中大脳動脈の過程におけるひどい巣症
F
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.
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F
)
状がおそらく小さい血栓の存在を表しているということを明らかにしました。 (
まとめると、この若い患者は左内頚動脈の急速な閉塞を起こし、動脈解離によって中大脳
動脈領域に急性の梗塞が引き起こされました。加えて、脳底動脈婚の多発が指摘されました。
動脈解離による頚動脈の隣塞の存在は、流れとは関係のない動脈痛と同様に、脈管障害の存
在を示唆しています。頭重量内の塞桧の多発がないことは、鎌状赤血球が梗塞を引き起こした
可能性を引き下げています。
*2 SWIは血管内血液の酸素飽和度の変化あるいは出血・鉄沈着を鋭敏にとらえられる方
法
F
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l 画像検査
体軸断面の頭部 CTは造影なしに得られている。 (
P
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A
)左シルピウス裂の吸収の広がり
の焦点領域を示している。(矢印)これは左中大脳動脈における新鮮な血栓を示している可
能性が高い。体軸断面の CT血管造影 (
P
a
n
e
l
B
) では左中大脳動脈の血管が遮断されてい
る。(矢印)首の CT血管造影 (
P
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l
C
)では左内頚動脈 (
L
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C
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)に f
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が見られており、これは急性の解離を表している可能性が高い。同じ画像診断 (
P
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lD
)
では脳底動脈 (
B
A
) に袋状の動脈痛が多発している。 MRI拡散強調画像では左の島皮質と
側頭葉に急性の梗塞を認めた。グラジェントエコー MRI (
P
a
n
e
lF
) では血栓の領域に
b
l
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m
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gがみられる。
Dr.Schmahmann:頭部の画像によると神経試験の精神状態の部分の結果は左角田(失書、
左右失認、失算の原因)、上側頭回(聴覚の言語理解)の後面の部分に分かれた左後側頭部
の下(失読の原因)、島皮質(自律神経障害)を予言した。保続と言語流暢障害は島や最外
包(島皮質の下にあり前頭前皮質と側頭葉を結ぶ)の併発を反映する。これらの併発は連
絡切断症候群を示している。
若年者の急性卒中の原因と管理
D
r
.FerdinandoS
.Buonanno:鎌状赤血球症の既往があるとの 22歳の男性は入院の日まで
比較的健康だった。全頭亜鋼の頭痛は最近になって急速に発達した。夕暮れ時に彼はマリ
ファナを吸い、その後まもなく頭を抱えて表現できないほどの痛みに襲われた。左中大脳
動脈を巻き込んだ脳卒中の疑いと素早く評価され、最初のうちは 40分以内に病院に運ばれ
ると恩われたが、その日の問漸潜と漸減を繰り返しより一層質問を明らかにした。
鎌状赤血球症と多発性の頭蓋内動脈療があり、最近マリファナを吸った急性卒中の息者の
治療の選択は何か?我々はまず出血を除外しなければならない。(この症例の場合神経画像
処理を意味する。)そして t
.
P
A療法や抗凝固療法、輸血など追加する治療を考慮する。そ
の次に追加する検査は病態生理をより明確にするかもしれない。
若年者の卒中の鑑別疾態は広範囲にわたるが、脳組織の障害 (MELASなど)、頭頭部の脈
管構造の障害(全身性炎症性疾息)、心臓疾患、血液凝固障害などにより分類される。若年
者の卒中でもっ止も頻度の高い原因は心臓塞栓、大動脈解隊、偏頭痛、様々なタイプのア
ンギオパチー、経口避妊薬や抗リン脂質抗体存在に関連した凝固障害を含むその他の原因
がある。
頭痛と卒中
頭痛は一般に様身なタイプの卒中に随伴する。定義上偏頭痛に関連する卒中であり 6080%のクモ膜下出血あるいは頭蓋内出血、特に小脳や薬性のものに起こる。このような状
態の患者の頭痛は、本症例の患者と異なり突然起こり急速な経過をたどる傾向がある。
頭痛は 17-34%の虚血性の卒中に随伴する。これらの症例で痛みは片側のみである傾向が
あり、またE
匝吐は伴わない。頭痛は後循環の卒中の患者に多くみられ、ラクナや皮質下の
卒中ではまれである。内頚動脈の解離を起こした患者では痛みは通常片側であるが、その
他の部分(頭部、顔面、頚部)にも影響を及ぼす。焦点の症状が発達する前の頭痛の存在
は静脈洞の血栓、中枢神経系の初期の血管炎、血管狭窄の C
a
l
l
F
l
e
m
i
n
g症候群を反映する
可能性がある。後に述べた二つの状態はもしかすると高血圧や合法・非合法の交感神経を
刺激する薬物の使用と関連があるかもしれない。この患者は血圧は正常であった。患者は
エクササイズやノ〈スケットボールを定期的に楽しんでいるが、頭部の外傷は報告されてい
ない。
大麻の使用と卒中
大麻の使用は脳の血管収縮の症例でしばしば考慮されるが、病原性の機序は不明である。
大麻の使用とこの患者の卒中には関連があるのだろうか?文献では、 5
9症例の大麻に関す
:1)、通常薬物を吸って
る卒中の報告がある。それらは男性に起こる傾向があり(男女比 5
いる最中または吸引後 3
0分以内に起とり、またほとんどいつも虚血性であった。 (
1症例だ
け出血性の卒中の報告があった。)大麻と動脈解離の関連を報告したレポートはなく、幾人
かの著者は脈管障害で明らかになる他の疾患が大麻を使用する人の再発する卒中の原因と
なるということを提案した。大麻の使用は一酸化炭素へそグロビンの濃度を上昇させ、酸
素運搬能を低下させる。そして、これが鎌状赤血球症を悪化させる。
鎌状赤血球症と急性卒中
この患者は鎌状赤血球症であった。これは世界の黒人人口の 0
.
3から 7.3%の人に現れ、ア
メリカ合衆国のおおよそ 0.2%の黒人に認められる。およそ 17%の患者に脳血管の疲状が
あらわれ、それらのうち 75%の息者は脳梗塞、 20%の患者は脳出血またはクモ膜下出血、
そして数%の態者は脳静脈洞の血栓がある。この症例で最初の血液検査の評価は溶血性貧
Ht22.3%、Hb8
.
3
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/
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l (ほとんどすべて非抱合型)、 LDH59IU
Il)があることを明らか
血 (
にした。
鎌状赤血球は様々な型を取るが、一般的には痛く、しばしばその他の急性疾患を思い起こ
させる。鎌状赤血球症の患者は中枢神経系が卒中やてんかん発作、昏睡をおこさせる。
鎌状赤血球症の患者の関で、脳梗塞は発作の回数が多く、発作の瞬間に起こる傾向がある。
また、梗塞は心拡大や全身性の感染症の患者に起こる傾向がある。この患者には軽度の勝
脱炎があった。
凝固・線溶系の異常は鎌状赤血球症の患者で認められる。多くの研究が血管内の凝固が鎌
状赤血球症の患者で梗寒を起こすことを示している。血管内凝固の機序としては、内在性
のt-P
Aの不完全な放出とプラスミノゲンアクチベータインヒビターの上昇があり、どちら
も発作の基盤となり線溶促進系と抗線溶系の不均衡の様々な循療活動因子のマ}カー(プ
v
n
ロトロンピン複合体、プロテイン S、プロテイン C、凝固因子 E、V、 、Xの減少、凝固
因
子
V
I
I
lCの増加)を変化させる。
これらの凝固異常は鎌状赤血球症の患者は抗血栓療法のレジメンで治療されるべきであり、
また急性の血栓痕時には血栓溶解療法の考慮される可能性があることを提案する。現行の
ガイドラインはこの問題に対しては不透明である。鎌状赤血球症の患者で、無作為化せず
急性虚血性梗塞の治療を管理した試験で、一致した意見は水和と血策交換を行う治療法が
提案された。
凝固障害に付け加えて、鎌状赤血球症の患者の血管障害は全ての脈管に影響を及ぼす。本
症例は頭蓋外と頭蓋内の脈管障害があった。最も一般的には末梢の頭蓋内内頚動脈系に影
響を与えもやもやパターンを導く(微小側副血行路に図まれた血管閉塞の存在があり、こ
れらは出血や動脈痛をなす傾向がある)。頭釜外の頚動脈系も同様に影響を受ける。脈管障
害は頚動脈の閉塞、解離、頭蓋内の動脈痛を導き、そのすべてが本患者では認められた。
鎌状赤血球症の息者の卒中は患者の年齢によって出血または虚血のどちらも起こしうる。
0歳までで第二峰は 25歳以上である。
虚血性の卒中は二峰性の分布をしており、第一峰は 1
0代 -30代にピークをもち、もやもやパターンの発達と動脈癒からの出血
出血栓の卒中は 2
の可能性に帰する傾向がある。この説明は鎌状赤血球症における血小板の抗凝集、抗凝固、
血栓溶解の治療管理に関係している。
童話動脈癌
患者には多発脳動脈癌があった。鎌状赤血球症の患者における脳動脈癌の症例報告は多数
あり、その中には多発脳動脈癒(平均およそ 3個)や微小脳動脈癌 (
3・7mm) が特に通常
発生しにくい位置に発生した場合に後頭葉の血流に影響を与えるといった報告も含まれて
いる。鎌状赤血球症の患者では、先天性脳動脈癌の患者に比ベて動脈痛からの出血をきた
すのが早いとされている。さらに、動脈癌出血のリスクは先天性脳動脈癌と結合組織病や
高血圧、腎臓病のような疾患による脳動脈癌では変わらないといわれている。患者の脳動
脈癒は鎌状赤血球症に起因する可能性が高いが、動脈痛出血にはいまだ至っていない。
血栓溶解療法
脳梗塞に対する t
-PA静注療法は長期の生命予後を改善させるというデータが示されている
が、鎌状赤血球症のある患者についてのデータは存在しない。現在のガイドラインでは
t-PA使用についての要件 (NIHSSscore>4 か つ 発 症 3時間以内)を満たす場合には鎌状
-PA投与を推奨している。脳動脈癌のある患者に対して
赤血球症患者の脳卒中に対する t
t-PAを使用することには懸念が残るが、孤発例においては安全であることが経験的に証明
c
o
r
eが 3で発症から 3時間以上経過しているため t-PA使用
されている。本患者は NIHSSS
要件を満たさない。続いての診断経過は、血算のデータと血液塗抹標本の作製である。
D
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o、S.Buonanno、J
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yD.Schmahmannの診断
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ω Art
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b
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s
m
) による左中大脳動脈領域における
動脈原性脳塞栓症 (
多発梗塞は左内頚動脈の閉塞をもたらした。閉塞は鎌状赤血球症による動脈疾患に関連し
erstmann症候群(失書、失算、手指失認、左右失認
ており、結果として失読症、不全型 G
を 4主徴とする神経疾患。有意半球の頭頂葉9)障害によるものとされる。)、心臓の自律
神経障害(失語の診察時の頻脈を指している?)につながった。多発脳動脈癌も鎌状赤血
球症の動脈疾患と関連がある。
病理学的所見と治療
D
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.
R
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tS
.
M
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r:末梢血塗抹標本では多数の鎌状赤血球を認めた (
F
i
g
.
2
) 。現在わか
っている身体所見及び画像所見と合わせて、鎌状赤血球クリーゼと診断した。
鎌状赤血球症患者の脳卒中に対する交換輸血
輸血部門は本患者に対する赤血球交換療法を提案した。虚血性脳卒中を発症した鎌状赤血
球症患者に対する交換輸血の目的は、貧血を是正し、脳血流を改善させることで虚血によ
る脳障害を軽減することにある。輸血の方法としては一般的な輸血ードナーの血液から採取
した赤血球を輸血する方法と、交換輸血ー血球分離装置を使用して患者の赤血球を除去しド
ナーの赤血球を輸血する方法がある。どちらの方法でも貧血の是正は可能であるが、交換
輸血では鎌状赤血球の除去という利点があり、そのため血液の粘調度が減少して静脈閉塞
を最小限に抑えることができる。しかしながら、静脈閉塞は鎌状赤血球症患者の急性脳梗
塞の発症には直接的には関与していない。加えて、交換輸血には良好な静脈血流が必要で
ある。末梢の静脈に血球分離用の太い針(通常 1
7ゲージ)を留置できるような若年者や成
人であれば交換輸血は順調に進行する。血球輸血用の Jレートとしては 2
1ゲージのルートが
必要である。一方で末梢静脈が細い患者では中心静脈カテーテルの留置が必要となり、そ
のため治療の開始は遅くなってしまう。
長期の輸血療法が初固または 2回目の虚血性脳卒中を予防することについては明らかな
エピデンスが存在している。本患者においては鉄過剰があるため、交換輸血が推奨される。
しかしながら、鎌状赤血球症に伴う急性脳梗塞の患者に対する交換輸血についての後方視
的研究は 2題しかない。単独の施設での研究では、鎌状赤血球症に伴う脳卒中をきたした
小児に対し発症 48時間以内に輸血を行った群と輸血を行わなかった患者も含めた患者全体
2
.
5
%
)
の群を回復率において比較した場合にほとんど有意差が見られなかった (57%:6
とされている。後ろ向きコホート研究では交換輸血を受けた鎌状赤血球症の小児では脳卒
中のリスクが減少したとされている。しかし研究の遡及的な性質と卒中後の輸血の方法が
区別されていない事が原因でこの結論は疑わしいものとなっている。結局のところ、成人
への翰血療法についてはこれらの小児の文献から推察するほかない。そのため小児に比べ
成人では輸血療法が開始されることが少ない。数々の警告にもかかわらず、交換輸血は専
門家の意見に基づいて推奨されるべき治療法となっており、そのため我々は本患者には交
換輸血が適切であると考えた。
患者は良好な静脈ルートがあったため、交換輸血を行うべく ABO血液型、問1血液型と
K
e
l
l血液型が適合し、鎌状赤血球症の遺伝形質がない赤血球を確保した。鎌状赤血球の遺
伝的形質がある赤血球は機能的には問題ないが、輸血後のHbSの解析を複雑化してしまう
ため除外した。表現型の一致は鎌状赤血球症の患者における重大な合併症である赤血球の
4時間以内の溶血)とその後の遅発性溶血性輸血副
表面抗原に対する免疫応答 (AHTR:2
4時間以降、通常 5
7日後の溶血)の両方を減少させる。白血球除去処理
作用 (DHTR:2
された血液製剤の輸血は、特に好中球抗原に免疫が発現している患者において非溶血性副
作用 (FNHTR:激しい疹痛など鎌状赤血球症に類似した症状をきたす)の頻度を減少さ
未満
せる。急性脳卒中の患者に対する交換輸血療法における治療目標は通常 HbS分画 30%
t
a
b
l
e2
) 、治療に伴
かつ Ht30%以上である。本患者においてこの治療目標は達成され (
う合併症は見られなかった。
Dr.Buonannno:鎌状赤血球症が基礎疾患にあり脳卒中を起こした患者では、 50%の確
率で脳卒中を再発し、そのほとんどが初回発症から 3年以内であることを覚えておくのが
重要である。予防的輸血療法は再発防止のために推奨されている。ヒドロキシ尿素の投与
は胎児ヘモグロピンの増加目的で行われ、輸血不応例にのみ施行しでもよいとされている。
多発脳動脈癒に対する治療
本患者に対して遺伝学的な評価を行い、鎌状赤血球症のほかに多発脳動脈癒をきたす遺
伝的素因を持たないことが明らかになった。
D
r
.
A
n
g
e
l
aE
.L
in (遺伝学) :多発脳動脈癒をきたす遺伝的素因としては常染色体優性多発
嚢胞腎、線維筋性異形成、大動脈狭窄症、 O
s
l
e
r
Weber-Rendu病や、弾力線維性仮性黄色
h
l
a
s
D
a
n
l
o
s症候群 (
I
V
裂)、 Marfan症候群を含む結合組織疾患などが挙げられる。
腫
、 E
L
o
e
y
s
D
i
e
t
z症候群や ACTAl変異を伴う解離性大動脈痛、 Marfan症候群のような大動
脈病変を伴う家族性結合組織疾患では脳血管障害を伴うことはまれである。患者の脳動脈
以外の動脈系は正常であった。心電図及び腹部エコーの結果、遺伝疾患に特徴的な大動脈
弓のねじれや狭窄、または腎動脈癒は見られなかった。 E
h
l
a
s
-D
a
n
l
o
s症候群が動脈癌に関
連があるか否かは不明だが、頚動脈の解離の可能性があるため COL3Alの遺伝子変異を調
べ、陰性であった。
Dr.Buonannno:脳動脈療は伝統的に関頭による治療が行われてきた。経カテーテル的コ
イル塞栓術は鎌状赤血球症の患者でラプチャーがない脳動脈癒にのみ行っている。いつコ
イル塞栓術を行うべきかという明確なエピデンスは存在しない。また、いつコイル塞栓術
を行うかについて明確なガイドラインは存在していない。鎌状赤血球症関連脳動脈癒はし
ばしば多発し、 5mm以上に増大した場合ラプチャーしやすい。そのため MRAによる定期
的な診察を続け、動脈癌が 5mmに達するまで待機してからコイル塞栓術を行うのが適切で
あると判断された。
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n:低分子量へパリンによる抗凝固療法が開始され、入院 5日目の退院日に
はワーファリンに変更された。退院時には患者は 1分以内に動物の名前を 7個言うことが
でき、 Fで始まる単語を一つ言えるようになっていた。左右失認や失算については改善が
見られなかったが、書字能力については幾分。の改善が見られた。言語聴覚士 (5LP:日本
では 5T) の診察を受け、退院後も定期的なフォローアップが推奨された。その後彼はポス
トンにある前医で治療を継続することとなった。
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.5chmahmann:本患者にとって唯一の永続的な神経所見であるために、神経診察に
おいて高次脳機能障害を発見しておくのは非常に重要だった。彼の機能的予後については
高次認知機能の回復に依存するものと考えられる。
最終診断
左中大脳動脈領域における動脈原性脳塞栓症による多発脳梗塞と、その結果引き起こさ
れた左内頚動脈閉塞;梗塞は鎌状赤血球動脈症と関連があり、それによって失読、不全型
Gerstmann症候群、心臓の自律神経障害が起こったと考えられる。
鎌状赤血球症に伴う多発脳動脈癌。
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