MBA 教育の質の維持向上に向けて 单山大学大学院ビジネス研究科ビジネス専攻 -認証評価審査結果報告- March 28, 2011 THE ALLIANCE ON BUSINESS EDUCATION AND SCHOLARSHIP FOR TOMORROW, a 21st century organization Tokyo, JAPAN 1 目 次 はじめに Ⅰ 審査の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ 4 1.基本的な評価視点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 2.評価体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 3.認証評価プロセス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 4.審査日程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 5.提出書類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 6.認証評価基準・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 7.認証委員会委員・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 8.審査結果(案)に対する意見申立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ 15 Ⅱ 審査の内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ 16 1.教育プログラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 2. 「認証評価受審資格申請」の審査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 3. 「認証評価計画」の審査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 4. 「戦略策定」の評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 5. 「自己点検評価報告」の審査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 Ⅲ 認証評価審査結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 1.総合評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 2.改善課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 3.実行計画履行状況報告書の提出・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39 4.認証評価審査結果の公表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 2 はじめに NPO 法人 THE ALLIANCE ON BUSINESS EDUCATION AND SCHOLARSHIP FOR TOMORROW、a 21st century organization (ABEST21)の源流は、1994 年の「グローバル・クラスルーム(Global Classroom)国際会議」の設立に遡る。1994 年 10 月 28 日、Carnegie Mellon University (USA), City University of Hong Kong (Hong Kong), Moscow State University (Russia), Yonsei University (Korea), University of Melbourne(Australia), ITESM(Mexico),そして青山学院大学の 7 大学のビジネススクー ルは、先端的情報通信技術を駆使して「オンライン・リアルタイム・テレビ会議システム」によ って位置、場所そして空間を超越した仮想教室を構築し、国境を越えたマネジメント教育を実現 していく「グローバル・クラスルーム(Global Classroom) 」の国際会議を設立した。 その後、グローバル・クラスルーム国際会議は、2002 年 6 月 28 日、グローバル・クラスルー ムの実績を踏まえ、またより一層の展開を求めて、グローバル・クラスルーム間の学生及び教員 の国際交流のより一層推進していく「グローバル・ナレッジ・ネットワーク(Global Knowledge Network)機構」に改組した。 「グローバル・ナレッジ・ネットワーク(Global Knowledge Network) 機構」は、大学間の夏季及び冬季の休暇を利用しての Study Tour Programs を支援し、International Partnership Agreement の締結が各大学間で行われ、グローバルな視点からのマネジメント教育の 実現を加速化させていった。 グローバル・ナレッジ・ネットワーク機構の活動は、会員校間の互恵の協力関係を促進し、21 世紀のグローバル化時代におけるマネジメント教育の質の維持向上に指向し、機構のステークホ ルダーにマネジメント教育の質を保証していくシステムの構築を検討した。グローバル・ナレッ ジ・ネットワーク機構は、2005 年 7 月 1 日、この目的実現のために再度組織改革を行い、ABEST21 を誕生させた。 ABEST21 は、先ず、わが国の専門職大学院制度における経営専門職大学院(ビジネススクール) の教育の質保証のために、2006 年 6 月 1 日に NPO 法人資格を取得し、2006 年 7 月 2 日、ABEST21 総会及び理事会において ABEST21 認証評価基準を制定し、更に 2007 年 10 月 12 日にわが国経営 分野専門職大学院の認証評価機関として文部科学相より認証された。 その結果、ABEST21 は 2008 年度に国立大学法人の一橋大学、神戸大学、筑波大学と私立大学 の青山学院大学、2009 年度に私立大学の関西学院大学そして 2010 年度に国立大学法人の京都大 学と私立大学の单山大学の、それぞれの経営専門職大学院の認証評価を実施した。 ABEST21 は今後も認証評価を通じて経営専門職大学院の教育の質維持向上に寄与していくと同 時に、わが国経営専門職大学院の活性化とグローバル化に寄与し、世界的な大競争時代において 活力あふれる豊かな社会を構築していくマネジメント力に優れた人材育成を目指す経営専門職大 学院の発展に貢献できればと願っている。 2011 年 3 月 28 日 THE ALLIANCE ON BUSINESS EDUCATION AND SCHOLARSHIP FOR TOMORROW、a 21st century organization 理事長 伊 藤 文 雄 3 单山大学大学院ビジネス研究科ビジネス専攻の審査結果 Ⅰ 審査の概要 1.基本的な評価視点 ABEST21 は、経営専門職大学院の教育の質改善に不可欠な PDCA サイクルを稼動させる評価に 心掛け、下記の視点にもとづいた評価をする。 1)「個性の伸長に資する視点」からの評価 ABEST21 は、受審校の個性である建学の精神又は教育方針を尊重し、受審校の「教育研究上の 目的」である教育特徴の伸長に資する評価をする。 2) 「グローバルな視点」からの評価 ABEST21 は、科学技術の高度化、社会・経済・文化のグローバル化の時代的要請に応えて、経 営専門職大学院の教育研究活動をグローバルな視点から評価する。 3) 「教育の質維持向上に資する視点」からの評価 ABEST21 は、体系的な自己点検評価の分析により発見された課題を、PDCA サイクルの稼動に より教育の質維持向上を図る視点から評価する。 4) 「ステークホルダーの視点」からの評価 ABEST21 は、受審校の教育の質改善の付加価値を広く社会に公表し、ステークホルダーの機会 (Opportunity)の発展に資する視点から評価する。 2.評価体制 認証評価の審査体制は下記の委員会により構成されている。 1)認証評価委員会 認証評価委員会は、認証評価委員会規則第 4 条に従い、経営分野の専門家及び実務家 15 名以上 20 名以内の委員で構成される。認証評価委員会は、専門審査委員会で審議した「認証評価審査結 果(案) 」を総合的な視点から審査し、ABEST21 理事会に答申する「認証評価結果(案)」を作成 する。 2)専門審査委員会 専門審査委員会は、専門審査委員会規則第 4 条に従い、経営分野の専門家及び実務家 40 名以上 45 名以内の委員で構成される。専門審査委員会は認証評価委員会より付議された受審校の認証評 価の実質的な審査を行う。 3)専門審査小委員会(Peer Review Teams: PRT) 受審校より提出された「認証評価計画」及び「自己点検評価報告」の実質的な審査を行うため に、専門審査委員会のもとに PRT が設置される。PRT は、3 名以上 5 名以内の専門審査委員会委 員より構成され、受審校の「認証評価計画」及び「自己点検評価報告」の実質的審査である書面 審査と実地調査を行い、審査報告書を作成し専門審査委員会に提出する。 4)申立意見調整委員会 専門審査委員会で審議した「認証評価審査結果(案)」を受審校に内示し、「認証評価審査結果 (案) 」に対する受審校の申立意見の調整を行う。申立意見調整委員会は、5 名の専門審査委員会 委員より構成される。受審校の「認証評価審査結果(案)」についての申立意見について調査し回 答していく。意見調整が得られた段階で専門審査委員会に報告する。専門審査委員会は申立意見 4 調整委員会の報告にもとづいて認証評価委員会に提出する「認証評価審査結果(案)」を決定する。 5)実行計画履行状況評価委員会 実行計画履行状況評価委員会は、認証校の課題改善を図る実行計画の履行状況を評価し、改善 の推進を図るアドバイスをしていく。実行計画履行状況評価委員会は 5 名の専門審査委員会委員 より構成され、認証校の年度実行計画の履行状況の報告に対する評価を行う。認証評価時に策定 した実行計画が計画通り履行されているかを評価する。計画通り履行されない場合にはその理由 を提示し、改善計画の修正を実行計画履行状況評価委員会に提出し専門審査委員会の承認を得な ければ成らない。実行計画履行状況評価委員会で承認された評価結果は広く社会に公表される。 3.認証評価プロセス 認証評価の審査は、下記の三段階の評価を得て行う。 1)第一段階 第一段階の審査は「認証評価受審資格申請」の受理審査である。受理審査は受審校が求め る認証評価の対象教育プログラムを、提出された申請書及び提出資料に基づいて確認し、経 営分野別認証評価の対象に該当する申請であるかどうかの受審資格の審査を行う。 2)第二段階 第二段階の審査は、受審校が ABEST21 認証評価基準の基本視点に従って行った自己点検評 価分析である「認証評価計画」を審査する。 「認証評価計画」は、専門職大学院設置基準の基 本的な設置基準をクリアしているかどうか、また第三段階の「自己点検評価報告」の分析を 行う体制を整備しているかどうかを審査する。従って、 「認証評価計画」は、専門審査委員会 において、下記の判定を行う。 合 格(P) : 「認証評価計画」は、評価基準の基本視点を中心とした自己点検評価の分析が適 切に行われ、認証評価を受ける体制が整備されている。 不合格(F) : 「認証評価計画」は、評価基準の基本視点を中心とした自己点検評価の分析が十 分ではなく、認証評価を受ける体制の整備が必要である。 不合格の場合は、 「認証評価計画」の再提出が求められる。 3)第三段階 第三段階の審査は、 「認証評価計画」に合格した受審校が提出する「自己点検評価報告」の 審査を中心に、第一段階及び第二段階の評価を踏まえた認証評価の総合的な審査である。特 に、「自己点検評価報告」の審査においては、ABEST21 認証評価基準の 78 の細目視点に基 づいて受審校により行われた自己点検評価の分析を評価する。最終的には、認証評価審査の 総合評価として、下記の3段階の「認証評価審査結果」の評価を行う。 A)「本教育プログラムは、各評価基準がほとんど又は全てが満たされ、改善すべき課題の尐 なく、教育研究の質維持向上が十分に期待でき、非常に優れている教育プログラムである。」 B)「本教育プログラムは、評価基準が大体において満たされ、改善すべき課題があるけれど も教育研究の質維持向上が期待でき、優れている教育プログラムである。 」 C)「本教育プログラムは、評価基準が満たされてはいるが、改善すべき課題も多くある教育 プログラムである。 」 特に、評価区分が C 段階評価の受審校に対しては、ABEST21 は改善計画の実行についての留意 すべき事項(以下「留意事項」という。 )を示し、「実行計画履行状況報告」を検証して教育の質 維持向上が実現する評価に努めていく。 受審校の認証評価審査結果は、ABEST21 理事会の承認を経て文部科学省に報告し、その後文部科 学省記者クラブ発表ののちに受審校及び関係ステークホルダーに認証評価審査結果を報告し、 ABEST21 の WEB サイトに掲載するなどにより広く社会に公表する。 5 4.審査日程 单山大学大学院ビジネス研究科ビジネス専攻の審査日程は、下記の通りである。 年 月 日 審査内容等 2009 5 28 認証評価受審資格申請の受理 5 18 メンタ-の委嘱 7 30 「認証評価計画」作成オリエンテ-ションの実施 9 30 「認証評価計画」の提出 10 16 専門審査委員会において PRT 委員の選出 1 29 専門審査委員会において「認証評価計画」審査報告書の審査 3 5 認証評価委員会において「認証評価計画」審査報告書の審査 5 26 「自己点検評価報告」作成オリエンテ-ション の実施 9 30 「自己点検評価報告」の提出 11 5 専門審査委員会において PRT 委員に審査開始決定 12 6 单山大学の実地調査の実施 1 7 申立意見調整委員会の開催 1 14 専門審査委員会おいて「自己点検評価報告」の審査と「認証評価審査結果(案)」 の作成 2 1 受審校に「認証評価審査結果(案)」の内示 2 18 受審校より第一次意見の申立 2 25 申立意見調整委員会において申立意見に対する第一次回答の作成 2 26 受審校に対する第一次回答 3 1 受審校より第一次回答の受入回答 3 3 専門審査委員会において申立意見調整委員会の申立意見調整(案)の審査 3 4 認証評価委員会において受審校の「認証評価審査結果(案)」の審査 3 4 ABEST21 理事会おいて受審校の「認証評価審査結果(案)」の承認 3 4 ABEST21 総会おいて受審校の「認証評価審査結果(案)」の承認 3 4 富士ゼロックス株式会社横浜みなとみらい事業所において認証評価証書の 授与 2010 2011 5.提出書類 单山大学大学院ビジネス研究科ビジネス専攻 種類 受審資格申請 認証評価計画 同付属資料 No. 1 2 3 4 1 2 3 1 2 3 内容 受審申請書 分野別認証評価申請大学院の所属する大学の概要 分野別認証評価申請大学院の概要 申請専門職大学院の文部科学省に提出した設置認可申請書コピ- 「認証評価計画」 「認証評価計画」概要 「認証評価計画」概要(英文) カリキュラム 教育プログラム概要 2009 年度ビジネス専攻時間割 6 自己点検評価報告 同付属資料 別添資料 4 5 6 7 8 1 2 3 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5 教員一覧 教育研究設備一覧 单山ビジネススク-ル概要(2010) 单山大学大学院入学試験要綱(2010 年度) ビジネス研究科ビジネス専攻大学院学生便覧(2009) 「自己点検評価報告」 「自己点検評価報告」概要 「自己点検評価報告」概要(英文) 教育プログラム概要 2010 年度ビジネス専攻時間割 教員一覧 教員個人業績 教育研究施設設備一覧 单山ビジネススク-ル概要 ビジネス研究科ビジネス専攻大学院学生便覧(2010) ビジネス専攻修了生対象満足度調査結果報告(2009 年度) ビジネス研究科ビジネス専攻「学生による授業評価」自己点検・評 価報告書 2009 年度(春学期) ビジネス研究科ビジネス専攻「学生による授業評価」自己点検・評 価報告書 2009 年度(秋学期) 6.認証評価基準 第1章 教育研究上の目的 基準1:教育研究上の目的 [基本視点] 認証評価を申請する経営専門職大学院(以下「受審校」という。)は、教育研究の活動の意思決 定の指針となる「教育研究上の目的(mission)」を明確に規定し、明文化していなければならない。 [細目視点] 1.受審校は、「教育研究上の目的」をグローバル化時代の要請に応えた国際的に通用する高度 専門職業人育成に配慮した内容のものとしているか。 2.受審校は、「教育研究上の目的」をステークホルダーの意見を反映した内容のものとしてい るか。 3.受審校の「教育研究上の目的」は、学校教育法第 99 条第 2 項の「高度の専門性が求められ る職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培う」の規定から外れるものではないか。 4.受審校は、「教育研究上の目的」を受審校の発行する印刷物等、例えば、学則、入学案内、 授業要覧及び履修要綱等に、また、ホームページに掲載し、周知公表を図っているか。 基準2: 「教育研究上の目的」の重要な要素 [基本視点] 受審校の「教育研究上の目的」は、企業等組織のマネジメントに係る高度専門職業人育成に重 要な要素を含む内容のもので、受審校が所属する大学の「教育研究上の目的」と整合していなけ ればならない。 [細目視点] 1. 「教育研究上の目的」は、企業等組織のマネジメントに関する高度の専門知識・技能及び基礎 的素養を修得する内容のものとなっているか。 2. 「教育研究上の目的」は、学生のキャリア形成に寄与する内容のものとなっているか。 3. 「教育研究上の目的」は、所属教員の教育研究活動の推進に寄与する内容のものとなっている 7 か。 基準3: 「教育研究上の目的」の継続的な検証 [基本視点] 受審校は、 「教育研究上の目的」を継続的に検証していくプロセスを定め、教育研究環境の変化 に対応して見直していかなければならない。 [細目視点] 1.受審校は、 「教育研究上の目的」を検証する組織的な体制が整備されているか。 2.受審校は、 「教育研究上の目的」の継続的な検証に必要な資料の収集及び管理の体制を整備し ているか。 3.受審校は、 「教育研究上の目的」の検証プロセスにステークホルダーの意見を聴取する機会を 設けているか。 基準4: 「教育研究上の目的」の達成に必要な財務戦略 [基本視点] 受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために必要な資金を獲得する短期的及び長期的な財務 戦略を策定していなければならない。 [細目視点] 1.受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために必要な財政的基礎を有しているか。 2.受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために必要な資金調達の戦略を立てているか。 3.受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために必要な予算措置をしているか。 第2章 教育課程等 基準5:学習目標 [基本視点] 受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために、イノベーションと知見、グローバリゼーショ ン及び先端的な科学技術の普及等の要素を含む学習目標を明確に定めていなければならない。 [細目視点] 1.受審校は、学習目標をシラバス等に明記し、学生に周知公表をしているか。 2.受審校は、学習目標の達成のために、授業科目履修指導指針を定め、履修相談に応じる配慮 をしているか。 3.受審校は、学習目標の達成のために、学生、教員及び職員の間のコミュニケーションシステ ムを構築し、学習相談及び学習助言の円滑化を図る方策をとっているか。 基準6:教育課程 [基本視点] 受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために、教育課程を体系的に編成していなければなら ない。 [細目視点] 1.受審校は、教育課程の編成において、 「教育研究上の目的」を達成する理論的教育と実務的教 育の架橋に留意し、マネジメントの教育研究及び実務の動向に配慮しているか。 2.受審校は、教育課程の編成において、企業等組織のマネジメントに係る高度専門職業人育成 に必要な高度の専門的知識・技能と高度の職業能力の修得、職業倫理観の涵養及び国際的視 野の拡大に配慮しているか。 3.受審校は、教育課程の体系的な編成において、マネジメント教育に必要なコア科目への分類 を含めて体系的に配置しているか。 4.受審校は、教育課程を検証するプロセスを明確に定め、継続的に検証しているか。 5.受審校は、他研究科の授業科目の履修、他大学との卖位互換、インターンシップによる卖位 8 認定等の措置を講じているか。 6.受審校は、授業の方法において、実践的な教育を行うために事例研究、現地調査、双方向又 は多方向に行われる討論又は質疑応答その他の適切な授業の方法を導入しているか。 7.受審校は、授業の方法において、多様なメディアを高度に利用して通信教育の授業を行う場 合には、授業の実施方法の整備に努め、教育効果の向上に努めているか。 基準7:教育水準 [基本視点] 受審校は、学生の学習目標の達成のために、教育内容の水準を定めていなければならない。 [細目視点] 1.受審校は、教育内容の水準を維持していくために、学習環境及び学習指導体制を整備してい るか。 2.受審校は、教育内容の水準を維持していくために、1卖位の授業科目の学修に必要とされる 授業時間を確保しているか。 3.受審校は、教育内容の水準を維持していくために、授業科目の時間割配置を適切にし、授業 科目の履修登録卖位数の上限を設定し、授業科目の履修を適切にする指導をしているか。 4.受審校は、教育内容の水準を維持していくために、履修した授業科目の学業成績の評価基準 及び教育課程修了の判定基準を明確に定め、学則等に記載し、学生に周知公表しているか。 5.受審校は、教育内容の水準を維持していくために、学業成績の評価及び課程修了の判定を公 正に実施し、客観性と厳格性が得られる措置を講じているか。 6.受審校は、教育内容の水準を維持していくために、授業科目の履修登録の学生数を、授業の 方法等の教育上の諸条件を考慮して授業の教育効果が十分に得られる適正な数としているか。 7.受審校は、教育内容の水準を維持していくために、留学生等の学生の多様化に対応した履修 指導、学習相談及び進路指導等の学生支援を適切に行っているか。また、通信教育を行う場 合には、十分に配慮した学生支援を適切に行っているか。 8.受審校は、教育内容の水準を維持していくために、学生の科目履修及び卖位取得の状況等に ついての情報を教員間で共有し、必要な改善措置を講じているか。 9.受審校は、標準修業年限を短縮している場合には、 「教育研究上の目的」に照らして、十分な 教育成果が得られる教育方法及び授業時間割設定の配慮をしているか。 基準8:教育研究の質維持向上の取組 [基本視点] 受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために、組織的な教育課程の改善に取組まなければな らない。 [細目視点] 1.受審校は、開講する各授業科目の授業目的、授業内容、授業計画、授業方法、使用教材、オ フィスアワー及び授業評価基準等を明記し、学生の学習目標の達成に資する内容のシラバス を作成し、公開し、ピアーレビューによるシラバスの検証をしているか。 2.受審校は、学生の科目履修状況、課程修了状況、卖位取得状況、学業成績状況及び進路状況 等の調査から、また、ステークホルダーの意見等から、教育課程の改善の検証をしているか。 3.受審校は、教育研究の質維持向上を図るために、自己点検評価を継続的に行い、その評価結 果を広く社会に公表しているか。 4.受審校は、教育研究の質維持向上を図るために、自己点検・評価の結果をフィードバックし、 教育研究の質の維持向上及び改善を図る組織的な研修をしているか。 5.受審校は、教育研究の質維持向上を図るために、教員の優れた教育及び研究の業績を評価す る制度を整備しているか。 9 第3章 学生 基準9:求める学生像 [基本視点] 受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために、本教育課程の教育を受けるに望ましい学生像 を明確にしていなければならない。 [細目視点] 1.受審校は、入学者選抜において求める学生像の学生を実際に入学させているか。 2.受審校は、入学志願者層に入学者選抜を受ける公正な機会を提供しているか。 3.受審校は、 「教育研究上の目的」の達成を担う学生像を継続的に検証しているか。 基準 10:アドミッション・ポリシーと入学者選抜 [基本視点] 受審校は、入学者選抜において、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)を明確に定め、 明文化していなければならない。 [細目視点] 1.受審校のアドミッション・ポリシーは、 「教育研究上の目的」を達成する内容のものとなって いるか。 2.受審校は、アドミッション・ポリシーとアドミッション・ポリシーに従った入学出願資格条 件を募集要項等の印刷物に明確に記載し、入学出願者に周知公表しているか。 3.受審校は、入学者選抜において、出願者の適性及び能力等を客観的かつ厳格に評価する選抜 をしているか。 4.受審校は、入学者選抜において、実入学者数が入学定員を大幅に超える、又は大幅に下回る 状況になっていないか。また、その場合には、これを改善するための取組を行うなど入学定 員と実入学者数との関係の適正化を図っているか。 5.受審校は、入学者選抜において、経済のグローバル化に対応して多様な知識または経験を有 する入学生の多様化に努めているか。 基準 11:学生支援 [基本視点] 受審校は、学生の学業継続のために、適切な学生支援体制を整備していなければならない。 [細目視点] 1.受審校は、経済的支援を求める学生に対して、必要な措置を講じているか。 2.受審校は、学生の進路指導及びキャリア形成支援を求める学生に対して、必要な情報収集、 情報管理、情報提供及び学生相談等の支援を行う事務組織体制を整備しているか。 3.受審校は、学生生活の支援を求める学生に対して、学業及び学生生活に関する相談・助言等 を行う支援体制を整備しているか。 4.受審校は、特別な支援を求める留学生及び障害のある学生に対して、学習支援及び生活支援 等を適切に行っているか。 基準 12:学生の学業奨励 [基本視点] 受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために必要な学生の学業奨励の取組をしていなければ ならない。 [細目視点] 1.受審校は、学業成績優秀な学生に対して報奨する制度を整備しているか。 2.受審校は、学業継続の困難な学生に対して経済的支援や学習支援等の相談を行う体制を整備 10 しているか。 3.受審校は、学生の学業奨励のために、入学時や新学期授業開始前に、また、教育課程の変更 時にオリエンテーションを実施しているか。 第4章 教員組織 基準 13:教員組織 [基本視点] 受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために必要な教員組織を整備していなければならない。 [細目視点] 1.受審校は、教育課程における専任の教員を必要と認められる数を任用しているか。 2.受審校は、教員組織の構成において、 「教育研究上の目的」の達成のために必要と認められる 授業科目に必要かつ十分な専任の教授又は准教授を任用しているか。 3.受審校は、教員組織の構成において、 「教育研究上の目的」の達成のために必要と認められる 実務家教員を任用しているか。 4.受審校は、教員組織の構成において、 「教育研究上の目的」の達成のために必要と認められる 専任の教員と非専任の教員との割合に配慮しているか。 5.受審校は、教員組織の構成において、教員の年齢構成の割合、男性・女性教員の比率及び外 国人教員の任用等教員の多様性に配慮しているか。 6.受審校は、開講授業科目について高度の教育上の指導能力があると認められる下記の各号に 該当する専任の教員を、専攻ごとに「文部科学大臣が別に定める数」(平成 15 年文部科学省 告示第 53 号第1条。以下同じ。)を置いているか。 1)専攻分野について、教育上又は研究上の業績を有する者 2)専攻分野について、高度の技術・技能を有する者 3)専攻分野について、特に優れた知識及び経験を有する者 基準 14:教員の資格 [基本視点] 受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために必要な教育上の指導能力を有する教員を任用し ていなければならない。 [細目視点] 1.受審校は、教員の任用及び昇任に関する規則及び基準を定めているか。 2.受審校は、教員の任用及び昇任に関する審査プロセスを明確に定め、客観的な審査をしてい るか。 3.受審校は、最近 5 年間の教育研究業績等により教員の教育上の指導能力を評価する組織的な 取組をしているか。 4.受審校は、専任教員の最近 5 年間の教育研究業績の資料を開示しているか。 5.受審校は、実務家教員の実務経験について定期的に評価を行い、授業科目担当の割り当てを 適切に行っているか。 基準 15:教員に対する教育研究支援 [基本視点] 受審校は、教員の教育研究活動を推進していくために必要な教育研究環境の整備をしていなけ ればならない。 [細目視点] 1.受審校は、教員の教育研究活動の推進と教員の授業担当時間数との関係について、適切な範 囲内にとどめるように配慮しているか。 2.受審校は、教員の教育研究活動の推進に必要な研究費獲得の支援体制を整備しているか。 11 3.受審校は、教員の教育研究活動の推進に必要な事務職員及び技術職員等の支援体制を整備し ているか。 4.受審校は、教員の教育研究活動の推進に必要な教育課程の活性化を図る適切な措置を講じて いるか。 基準 16:教員の任務 [基本視点] 受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために、ステークホルダーとの意思疎通を図り、教員 の学術研究の推進に努め、 「教育研究上の目的」を達成する授業の実現を図っていかなければなら ない。 [細目視点] 1.教員は、自己点検評価及び学生の授業評価の結果に基づいて、授業の内容、使用教材及び授 業方法等の改善を絶えず行っているか。 2.教員は、学習目標の達成のために、先端的な高度専門的知識や技能の教授に努めているか。 3.教員は、学習目標の達成のために、オフィスアワーの設定及び電子媒体等を通じて学生との 対話を積極的に図り、学生の学習指導に努めているか。 第5章 管理運営と施設設備 基準 17:管理運営 [基本視点] 受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために、教員の教育研究活動を適切に支援していく管 理運営体制を整備していなければならない。 [細目視点] 1.受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために必要な管理運営事項を審議する教授会及び委 員会等を設置し、審議事項を尊重し、教育研究環境を整備していく体制を講じているか。 2.受審校は、受審校の設置形態及び規模に応じた管理運営の事務組織を整備しているか。 3.受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために、専任教員の教育研究活動に応じた規模と機 能を持った管理運営組織を設けているか。 基準 18:施設支援 [基本視点] 受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために、教育研究活動の推進に必要な施設及び設備等 を整備していなければならない。 [細目視点] 1.受審校は、教育効果の向上を図る教室、演習室及び実習室等の教育研究施設及び設備等の質 的かつ量的な整備をしているか。 2.受審校は、専任教員ごとに個別の研究室を用意しているか。 3.受審校は、図書、学術雑誌及び視聴覚資料その他の教育研究上必要な資料を系統的に収集し ているか。 4.受審校は、受審校の教育研究組織及び教育課程に応じた施設及び設備を整備し有効に活用し ているか。 5.受審校は、学生の自主的な学習を促進する学習環境を十分に整備し、学生の利用に供してい るか。 12 7.評価委員会委員 1)認証評価委員会委員 委員長 Robert S. SULLIVAN Dean, Rady School of Management, University of California at San Diego, USA 副委員長 鈴木 久敏、筑波大学副学長 青木 利晴、株式会社 NTT シニア アドバイザー 有信 睦弘、国立大学法人東京大学監事 Ilker BAYBARS Deputy Dean, Carnegie Mellon Tepper School of Business, Carnegie Mellon University、USA Jim HERBOLICH Deputy Director General and Director of Network Services, EFMD Yuji IJIRI Professor, Carnegie Mellon Tepper School of Business, Carnegie Mellon University, USA Susie Nobue BROWN Associate Dean, Red McCombs School of Business, University of Texas at Austin, USA 古川 享、慶応義塾大学メディアデザイン研究科教授 羽矢 惇、新日鉄エンジニアリング株式会社代表取締役社長 Tae-Sik AHN Dean, Graduate School of Business Administration, Seoul National University, KOREA Xiongwen LU Dean, School of Management, Fudan University, CHINA 小枝 至、日産自動車株式会社名誉会長 水野 勝文、弁理士、輝特許事務所所長 村上 輝康、株式会社野村総合研究所シニアフェロー 岡村 正、日本商工会議所会頭 Lawrence B. PULLEY Dean, Mason School of Business, College of William and Mary, USA 斎藤 孝一、单山大学経営学部教授 杉山 武彦、成城大学社会イノベーション学部教授 冨浦 梓、独立行政法人科学技術振興機構、社会技術開発センター、研究開発成果実装支 援プログラム、プログラムオフィサー Oleg VIKHANSKIY Dean, Graduate School of Business Administration, Moscow State University, RUSSIA 2)専門審査委員会委員 委員長 堀内 正博、青山学院大学総合文化政策学部教授 副委員長 松尾 博文、神戸大学大学院経営学研究科教授 副委員長 椿 広計、統計数理研究所副所長 淺田 孝幸、大阪大学大学院経済学研究科教授 Chester C. BORUCKI Associate Dean, Tias Nimbus Business School, Tilburg University, Nethweland 13 Siriwut BURANAPIN Associate Professor, Faculty of Business Administration, Chiang Mai University, Thailand Ming Yu CHENG Professor, Faculty of Accountancy and Management, Tunku Abdul Rahman University, Malaysia 願興寺ひろし、单山大学大学院ビジネス研究科教授 Anna GRYAZNOVA Deputy Dean, Graduate School of Business Administration, Moscow State University, Russia Zhonghe HAN Associate Professor, School of Management, Fudan University, China 平木多賀人、東京理科大学経営学部教授 平野 雅章、早稲田大学大学院商学研究科教授 広瀬 徹、单山大学大学院ビジネス研究科教授 保々 雅世、日本オラクル株式会社常務執行役員 井田 昌之、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授 Gugus IRIANTO Dean, Faculty of Economics, Brawijaya University, Indonesia Hong-Joo JUNG Professor, School of Business Administaration, Sungyunkwan University, Korea Ali KHATIBI Dean, Graduate Management Center, Management & Science University, Malaysia Basheer Ahmed KHAN MOHAMMED Dean, School of Management, Pondicherry University, India 泉 秀明、関西学院大学大学院経営戦略研究科特任教授 熊平 美香、日本教育大学院大学学長 Kai LI Dean, School of Business Administration, Northeastern University, China Changchong LU Dean, School of Business Administration, Dongbei University of Finance & Economics, China Qinhai MA Vice Dean, School of Business Administration, Northeastern University, China Amir MAHMOOD Assistant Dean, Faculty of Business and Law, University of Newcastle, Australia 前田 昇、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授 森本 博行、首都大学東京大学院社会科学研究科経営学専攻教授 R. Taggart MURPHY、筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授 中野 勉、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授 中里 宗敬、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授 Ahmad NORLIA、関西学院大学大学院経営戦略研究科准教授 Sang-Koo NAM Professor, School of Business, Korea University, Korea Ruslan PRIJADI Chairman, Graduate School of Management, University of Indonesia, Indonesia Ashraf SABRY Dean, Faculty of Management, University of Applied Science Hof., Germany A. SEETHARAMAN Head, GMBA Program, SP Jain Center of Management, Singapore 重田 晴生、弁護士、エル・アンドジェイ法律事務所 舘 昭、桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科長 14 髙橋 文郎、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科長 高森 寛、LEC 会計大学院教授 舘岡 康雄、静岡大学大学院工学研究科教授 Jann Hidajat TJAKRAATMADJA Vice Dean, School of Business and Management, INSTITUT TEKNOLOGI BANDUNG, Indonesia 内平 直志、株式会社東芝研究開発センター次長 上野 信行、県立広島大学経営情報学部教授 若林 靖永、京都大学大学院経営管理研究部教授 山田 秀、筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授 山田 英夫、早稲田大学大学院商学研究科教授 山本 昭二、関西学院大学大学院経営戦略研究科教授 湯本 祐司、单山大学大学院ビジネス研究科ビジネス専攻主任 Zhiwen YIN Associate Dean, Faculty of Management, Fudan University, China 8.審査結果(案)に対する意見申立 ABEST21 は、2011 年 1 月 14 日開催の専門審査委員会において専門審査小委員会(PRT)の「自 己点検評価報告」の審査報告を審議し、 「認証評価審査結果(案)」を作成した。専門審査委員会は、 2011 年 2 月 1 日に各受審校に「認証評価審査結果(案)」の内示を行い、約 2 週間余の意見申立期 間(2011 年 2 月 1 日~2011 年 2 月 18 日)を設定した。その結果、京都大学大学院経営管理教育 部経営管理専攻及び单山大学大学院ビジネス研究科ビジネス専攻より意見申立があり、2011 年 2 月 25 日、 「意見申立調整委員会」を開催して申立意見内容を検討し、その結果を 2011 年 2 月 26 日に回答し、受審校より「意見申立調整委員会」の回答を受け入れるとの表明により申立意見の 調整が図られた。 15 Ⅱ 審査の内容 1.教育プログラム 单山大学は大学院ビジネス研究科の前身である経営学研究科経営学専攻修士課程を 1972 年に 設置した。その後 1974 年には博士課程が設置された。東海地区では 1970 年代まで单山大学が経 営学部を有する唯一の大学で有り、また、大学院の経営学研究科においても同様であった。すな わち東海地区で最も歴史と伝統のある経営学研究科である。1975 年には学則変更により、前期 2 年および後期 3 年の区分をもつ 5 年制の博士課程となった。1980 年代に入り、大学院における教 育は社会人教育の必要性の高まりにより従来の研究者養成を中心とした教育研究から多様な社会 的ニーズに応えた教育研究に展開してきた。こうした社会の認識の変化に対応して、1985 年から 社会人を対象とする入学者の選考をはじめた。社会人入学者は年により増減があったが、平均し て毎年 10 名程度の入学者があり、かなりの成果をあげることができた。1990 年代に入り、社会 人学生の増加、情報系教育の深化、大学院に対する社会の認識などに対応した教育の必要性が認 識され、1995 年から新しいカリキュラムが実施された。新カリキュラムは博士前期課程について、 経営と情報管理の 2 コース制とし、経営コースでは経営のコア科目(財務、労務、マーケティン グ、会計)のうち尐なくとも 3 科目は卖位を修得することを要求するなど、研究指導担当教授の 授業科目を中心とした履修体系から、より広く経営学全般についての確実な知識を持った上で、 特定のテーマを研究するという方向に変わった。これに伴って、従来の修士論文作成を中心とす る履修から、授業と研究指導の双方のバランスを考えた履修へと変わった。21 世紀を迎え、2002 年度の单山大学将来構想委員会で、学長の強い要望である单山ビジネススクール設置構想を執行 部主導で進められることが承認された。そして 2004 年度内には既存の経営学研究科の内に、新た にビジネス専攻を設置するという案にまとまった。経営学研究科は研究者養成を主たる目的とし た経営学専攻の 1 専攻(博士前期課程入学定員 15 名、博士後期課程入学定員 5 名)からなってい たが、新たに企業経営のための高度専門職業人養成を目的とする専門職大学院であるビジネス専 攻(入学定員 50 名、収容定員 100 名)を併設した 2 専攻とし、経営学専攻博士前期課程の入学定 員を 5 名減じて 10 名とすることとした。このように専門職大学院が研究科の中核をしめる体制と なることから、研究科の名称を「経営学研究科」から「ビジネス研究科」へと変更することとし た。また設置に当たり、2005 年度の学長方針で学長は、「ビジネススクールについては短期的な 視点ではなく、单山大学が果たすべき地域社会への貢献や産官学連携による教育・研究活動の拡 充という中長期的視点から積極的に取り組む」と述べている。こうして、单山大学は 2006 年 4 月 ビジネス研究科ビジネス専攻(専門職学位課程)を設置した。 ビジネス研究科(旧経営学研究科を含む)の 2008 年度までの学位授与者は、経営学専攻博士授 与者 24 名、経営学専攻修士授与者 316 名、ビジネス専攻のビジネス修士(専門職)授与者 81 名 である。なお経営学専攻における情報コースは 2004 年数理情報研究科設置に伴い、現在は廃止さ れている。 单山大学大学院ビジネス研究科ビジネス専攻(以下「ビジネス研究科」という。)は、専門職大 学院設置基準により 2006 年 4 月に設置認可された。授与する学位は、ビジネス修士(専門職)、 英語名称は、Master of Business Administration(MBA) である。主に社会人を対象に開設され、平 日夜間と土曜日に授業を行っている。標準修業年限は 2 年であり、入学定員 50 名、収容定員 100 名の教育プログラムである。名古屋のオフィス街がある名古屋駅、伏見、栄からは尐し離れてい るが名古屋市外、たとえば豊田市や刈谷市などに本社を置くものづくりの企業からは自動車通学 の便利な昭和区山里町の本学のメインキャンパスである名古屋キャンパスで授業を行っている。 ビジネス研究科の「教育研究上の目的」は、国際社会において有効な企業経営を可能にする高 度で専門的な知識、スキル、発想および思考の枞組みを身につけ、キリスト教カトリック神言修 16 道会を設立母体とする本学の教育モットーである「人間の尊厳のために」を自覚した企業人とし て、経営倫理の視点から社会的責任を果たし、地域社会および国際社会の発展に寄与する人材を 養成することである。この目的を達成するために教育プログラムは以下の 6 つの特色を持ってい る。 ① 東海地区のニーズに対応した実践的教育 東海地区は、ものづくりの産業拠点として日本経済を支え続けてきており、現在、多くの企業 が戦略のグローバル化を進め、次なる一歩を踏み出そうとしている。ものづくり産業拠点である 東海地区で活動する企業のグローバル化ニーズに応える教育が、本教育プログラムの大きな特色 のひとつである。 「ものづくり・ロジスティックス」及び「中国をはじめとするアジア諸国・諸地 域の企業とのコラボレーション」において強みを発揮する人材を養成するために、専門科目に「も のづくり・ロジスティックス」に係る科目群とアジア経営に係る科目群を設置している。 ② 経営倫理・環境経営の重視 本学の教育モットーに即して、今日、最重要課題として企業が果たさなければならない社会的 責任について、経営倫理と環境に配慮した経営の視点からの教育を行っている。必修のコア科目 に「経営倫理」 、専門科目に環境経営に係る科目群を設置している。 ③ ビジネスの基本理論と本質の理解の徹底 多様な経歴と実績を有する入学者を念頭に置きつつ、ビジネスの基本理論と本質を丁寧に教育 するためにコア科目群を設け、1 年次の必修としている。 ④ 学生が志向するキャリアプランに応じた 4 つの履修プログラム ビジネスの基本理論と本質の理解をベースに、各自が志向する職能分野の専門性を高めるため に、以下の 4 つの履修プログラムを設けている。 * アカウンティング & ファイナンス・マネジメント プログラム * ヒューマン・リソース・マネジメント プログラム * マーケティング & ストラテジー プログラム * オペレーションズ・マネジメント プログラム ⑤ 実践的問題解決能力の向上を図るプロジェクト研究 修士論文に替わる教育課程の仕上げの意味を持ち、2 年次春学期の「プロジェクト研究Ⅰ」で はグループ研究、秋学期の「プロジェクト研究Ⅱ」では個人研究の体系的な 2 段階制をとる。学 術教員と実務家教員の双方を含む複数の教員による共同指導体制をとるため、理論と実務の両面 から学生のニーズに対応できるように設計されている。 ⑥ 英語・中国語によるコミュニケーション・スキルの育成 語学教育に定評のある本学ならではの特性を活かし、アジアでのビジネスに必要な英語と中国 語を学ぶコミュニケーション・スキル科目群を設置している。 2.「認証評価受審資格申請」の審査 ビジネス研究科は、下記の所定書類を添えて THE ALLIANCE ON BUSINESS EDUCATION AND SCHLARSHIP FOR TOMORROW, a 21st century organization(ABEST21)に分野別(経営)認証評価受 審資格申請をした。ABEST21 は所定の手続に従い 2009 年 6 月 1 日開催の理事会において、認証 評価受審資格申請の受理を承認した。 受審校は、下記の所定の書類を添えて受審資格申請をした。 1)様式-1: 「申請書」 2)様式-2: 「分野別認証評価申請大学院の所属する大学の概要」 3)様式-3: 「分野別認証評価申請大学院の概要」 4)受審校が設置認可申請に際し文部科学省に提出した「大学院の設置の趣旨及び特に設置を必 17 要とする理由を記載した書類」コピー 3.「認証評価計画」の審査 1)自己点検評価分析の評価 第1章「教育研究上の目的」 基準1「教育研究上の目的」 受審校の「教育研究上の目的」は、 「国際社会において有効な企業経営を可能にする高度で専 門的な知識、スキル、発想および思考の枞組みを身につけ、本学の教育モットーである『人間 の尊厳のために』を自覚した企業人として、経営倫理の視点から社会的責任を果たし、地域社 会および国際社会の発展に寄与する人材を養成する」と明文化されている。 「教育研究上の目的」 は、学校教育法第 99 条第 2 項に規定された「高度の専門性を求められる職業を担うための深い 学識及び卓越した能力を培う」ことに適合している。 基準2「[教育研究上の目的]の重要な要素」 受審校の「大学の『教育研究上の目的』との整合性の分析については、その整合性について の対応関係をより明確にした分析が求められる。特に、「人間の尊厳のために」ということで、 経営倫理や環境経営のカリキュラムを設定し企業活動のおける社会的責任を促進しようとして いる点は理解できる。しかし、「教育研究上の目的」を教育上でどの様に具体化され、共有さ れているのかについてのより一層の分析が必要である。受審校の教育プログラムは、 「アカウン ティング・ファイナンス領域」 、 「ヒューマン・リソース・マネジメント領域」、「マーケティン グ&ストラテジー領域」 、 「オペレーション・マネジメント領域」の4領域に分けられ、修了後 の進路を想定して学生のキャリア形成を明確に支援する内容になっており、ビジネススクール に求められる高度な専門知識や技能、基礎的素養の修得を目指す内容になっている。 基準3「[教育研究上の目的]の継続的な検証」 受審校の「自己点検・評価委員会」の活動が「教育研究上の目的」を検証する機能を担って いるのかが不明なので、検証プロセスを明確にする必要がある。また、種々な観点からの検証 活動がなされているが、 「教育研究上の目的」に対する意見聴取に重点が置かれ、教育内容の基 となる学術の展開や社会環境の変化への適切な対応といった点の検証も求められるので、検証 プロセスについてなお一層の分析が必要である。また、 「教育研究上の目的」について、企業経 営者などの産業界からの意見を聴取し、定期的「教育研究上の目的」を検証するプロセスにつ いても改善の余地があると考えられる。しかし、「教育研究上の目的」の継続的検証に関し、 組織的かつシステムを精緻化しようとしている点は評価される。 基準4「[教育研究上の目的]の達成に必要な財務戦略」 受審校の基礎的な財政資金は、大学より経営学部及び受審校であるビジネス研究科に一括し て配分されているので、受審校の財政的な独自性に限界がある。従って、自己点検では財政状 況についての分析はなされているが、受審校の「教育研究上の目的」を達成していくために必 要な戦略の策定により一層の配慮が必要である。例えば、受審校の財務状況の健全性について は評価の判断基準が必要であり、また、中長期的に効率化していくシナリオを描く場合にも、 受審校の財政的な基盤が明確にされる必要がある。また、必要資金の獲得においても、100 万 円を上限とする全学的な競争的研究資金(パッヘ研究費)の配分だけでなく、科研費等の外部 資金の獲得などについての戦略が必要である。 第2章「教育課程等」 基準5「学習目標」 受審校は学習目標として i)、ii)、iii)に挙げられている内容と、 「教育研究上の目的」としてい るものとの間の相互関連についてのより一層の分析が望まれる。例えば、 「教育研究上の目的」 18 を実現していくために必要な「学習目標」との関係の明確化が必要である。また、 「イノベーシ ョンと知見、グローバリゼーションおよび先端的な科学技術の普及等の要素」について具体的 な対応を示す形での分析が求められる。学習目標を紹介した入学案内、学生便覧、履修オリエ ンテーション等で学生に周知徹底させていることは評価される 基準6「教育課程」 基礎から応用まで、段階的発展が可能なカリキュラム体系になっており、それが入学試験の あり方とも整合性が取れている点は評価される。また、ロジスティックスに強みを有している 点も評価される。さらに、アジア諸国、諸地域とのコラボレーションに力をいれている点も先 見性が高いと考える。学術教員と実務家教員の複数指導体制も適切なものと考えられる。体系 性の分析はほぼできているが、 「教育研究上の目的」との突き合わせの分析を加える必要がある。 「オペレーション・マネジメント・プログラム」、「アジア経営プログラム」及び「環境経営プ ログラム」に対する履修登録者数の増大を図る改善が望まれる。 基準7「教育水準」 3 つの学習目標を設定し、各科目の到達目標、成績評価基準をシラバスに明記し、学生に周 知徹底をはかっている点は評価できるが、「到達目標」は定量的かつ客観的なものになるよう な工夫が必要と思われる。成績疑問調査に関しての具体的な分析による検証が望まれる。 基準8「教育研究の質維持向上の取組」 受審校が「学生による授業評価」を踏まえて、各教員の作成した自己点検・評価報告書をも とに行なう「振り返り」研修会の取組は高く評価される。このプロセスがプログラムの改善に ついて実際的に機能しているのかの検証が必要である。シラバス自体は、相互の授業の資料、 課題及び進め方を共有化することにより授業改善に繋がっていくように工夫されているが、実 際での具体的な運用についての分析が求められる。各教員の授業方法(ワークショップスタイ ルとかPBLなど)の優れた点などがその意義も踏まえ他の教員にそのノウハウの活用等につ いて分析していくことも必要である。また、カリキュラム検討と検証に関して、組織的な取組 みについての分析も求められる。個々の授業の改善の取組の分析が主となっており、教育課程 としての改善の取組の分析、特に「教育研究上の目的」に照らしてそれを行うことも必要であ る。 第3章「学生」 基準9「求める学生像」 受審校は、求める学生像を明確化し、リーフレット、Web ページ及び募集要項等に明記し、 入学志願者に広く公表している。しかし、入学志願者の減尐および入学定員の充足率の観点か ら、 「求める学生像」について産業界や潜在的な入学志願者からどれだけ理解されているのかの 分析が必要である。特に、 「学生像」についてはより一層の緻密な分析が必要と思われる。「学 生像」について明確な問題意識と将来計画を検討されているが、具体的な内容についての検討 が望まれる。また、求める学生の意欲と資質についても「教育研究上の目的」と照らして分析 される必要がある。 基準 10「アドミッション・ポリシーと入学者選抜」 受審校は、アドミッション・ポリシーを明確化しており、リーフレット、Web ページ及び募 集要項を通じて広く公開している。しかし、 「基準 9」の「求める学生像」と同様に、入学志願 者数の減尐及び入学定員数の充足率の問題からして、産業界や潜在的な入学志願者にどの程度 周知徹底しているのかを検証することが必要である。アドミッション・ポリシーと5種の入学 形態との相互関連についての分析が必要で、特に留学生の受入れについてのより一層綿密な分 析が求められる。 19 基準 11「学生支援」 受審校は、主に昼間に企業等組織に勤務する社会人学生であることから、経済的支援、進路 指導やキャリア支援について特別の配慮が求められないかもしれないが、私費留学生に対して 半額授業料免除の支援は評価できる取組である。指導教員に、担当学生の履修状況が知らされ、 支援に利用されるようになっている点も評価される。 基準 12「学生の学業奨励」 受審校は、成績優秀者及びプロジェクト研究レポート優秀者に対する表彰制度を実施してい る。また、学生に対して大学内外の研究会や学会参加を促し、学会報告の場合には、交通費を 支給する制度がある。 「教育研究上の目的」に照らしての一般的な学業奨励策の分析も必要と思 われる。 第4章「教員組織」 基準 13「教員組織」 受審校は、収容定員数に対し専門職大学院設置基準で求められている必要教員数及び実務家 教員数について基準を上回る教員数を確保していることは評価される。受審校が「教育研究上 の目的」で特に重要視する「経営倫理」教育について専任教員の配置が必要であり、 「教育研究 上の目的」に照らしてのより一層の分析が求められる。 基準 14「教員の資格」 受審校は、教員資格について一般的な分析をしてきているが、 「教育研究上の目的」に照らし ての分析も必要と考える。受審校の専任教員の 14 名のうち 10 名が博士号取得者である。専任 教員及び兼担・兼任教員は教育研究実績から必要な教育研究能力を有している教員と推察でき る。ただし、実務家教員に対し任用規則及び昇任規則は明文化されているが評価基準について の分析が必要である。任用基準について経営学部の基準と相違点があるならば、それを明確に することが必要であると考える。また、学外の各種の役職や社会活動業務の積極的な活動を推 奨しているが、その活動から得られた経験や知見が他の実務家教員もしくは学術教員との間で どのように共有化されているのかの分析が求められる。さらに、海外の学会でリーダーシップ を発揮している人材の任用とあるが、具体的なリーダーシップの内容が求められてくる。 基準 15「教員に対する教育研究支援」 合同研究室の設置は優れている。職員同士で自ら役割分担をしている点は評価される。1 コ マの講義を学部の 1.5 倍としている点も良いと考える。サバティカル制度についても独自の工 夫が今後求められるところである。専任教員に対して教育研究費を支給するほか、競争的研究 費の配分として、年間 100 万円を上限とする「パッヘ研究費」の支給制度がある。科研費等及 び外部資金獲得の応募に対する研究支援体制についてのより一層の整備が求められるところで ある。受審校の事務職員及び技術職員は経営学部の事務組織と共有しているために専任の事務 職員は配置されていない。従って、開講時間帯である平日夜間及び土曜日において派遣職員で 対応しているが、教員及び学生に対する教育研究支援を考慮に入れた事務組織の体制について より一層の整備が必要と思われる。 基準 16「教員の任務」 受審校は現状の分析以上に受審校の教育プログラムのステークホルダーについての分析及び 構造化の分析が必要である。また、教育プログラムの教育内容の充実のために産業界や学生な どのステークホルダーとの意思疎通を図る工夫が必要である。 「教育研究上の目的」の達成に向 けて、教員がその任務を深い意味で果たそうとしているのか具体的に例示する必要がある。 20 第5章「管理運営と施設設備」 基準 17「管理運営」 受審校は管理運営組織としてビジネス研究科委員会(教授会)の下にビジネス専攻会議を設 置している。受審校であるビジネス専攻の専任教員は経営学部教授会にも出席している。受審 校の管理事務は経営学部事務室が行っているが、受審校を含めてビジネス研究科を担当する専 任職員は 1 名である。平日夜間、土曜日においては、「基準 15」で述べた通り、派遣職員 1 名 であり、管理事務のあり方についてより一層の分析が必要である。一応の分析はなされている が、戦略性の面からの分析が必要である。また、今まで専攻主任が業務全般を包括的に処理し ていたが、今年度より役割分担を決め、業務改善・強化を図る改善がなされたが、引き続き PDCA サイクルを稼動させてほしい。 基準 18「施設支援」 受審校は「施設設備」の整備の状況について分析をしているが、活用の状況などについても データに基づいた分析が望まれる。自主的学習環境として学生研究室及び学生ラウンジが整備 されており、全学の図書館も利用できるシステムとなっている。ワークショップスタイルの教 室についての整備も求められる。また、遠隔教育の施設が今後求められてくるのでその対応に ついての計画の検討が必要である。図書館の利用についてより一層の具体的な促進策について の検討が必要である。教室及び学生研究室について老朽化が指摘されているが、その具体的な 改善策について検討していくことが必要と思われる。 2) 「認証評価計画」の審査結果 評価項目の各章別に評価してきたが、全体に共通する点は次のことが考えられる。受審校は東 海地区最初のビジネス系専門職大学院として、今までの経緯も踏まえ、一通りの活動が行なわれ 自己の強みと理解されている。 教員自身による自己点検・評価報告書に基づく FD 研修までの PDCA サイクルは特出すべき強みとなろう。課題の抽出にあたっては、切り口別にもう尐し深堀をすべ きである。また、数値目標の設定も必要となろう。KPI などをもとに課題が抽出できるようにな っていることも評価できる。何をいつまでにどのように測って、どこまで実現しようとしている かの分析が求められる。また、海外の大学とのアライアンスを組む方向性はよいと考えるが、な ぜ何のためにするのかを明確にして行なうべきであろう。全体として「教育研究上の目的」に基 づく改善課題の認識が必要と思われる。 2010 年 1 月 29 日開催の専門審査委員会及び 2010 年 3 月 5 日開催の認証評価委員会において、 受審校の提出した「認証評価計画(Accreditation Plan)は ABEST21 評価基準の「基本視点」を中心 とした自己点検評価の分析が適切に行われ、教育研究活動の質維持向上を図る改善課題が認識さ れ、経営分野専門職大学院の認証評価を受ける体制が整備されている計画である」として、 「認証 評価計画」は合格とされた。 4.「戦略策定」の評価 SWOT 分析に基づいて記述されているシナリオは理解できる。教員の多様性におけるバランス、 有効な外部資金の獲得、学生による授業評価や教員自身の教育プログラム改善への内省などに強 みが認められる。戦略の策定にあたって、地域社会からの評価を念頭に企業 19 社を巻き込んで、 教育プログラムの改善など努められている点は評価される。ただし、中長期的サイクルで「教育 研究上の目的」及び戦略が検証されていくプロセスをより具体的に明記する必要がある。後述す る実行計画とも関係するが、ミッション及びビジョンをより一層明確にし、KPI などを定めて取 り組む必要がある。また、ビジョンに基づく優先度を明らかにしていくことも必要であろう。 21 また、定員確保に向けた課題抽出と戦略創出をより一層精緻化していくことが必要と考える。 この問題のマイルストーンをどのように設定し、どう対策し、それをどのように測るのかなどの 視点が不可欠と考える。SWOT 分析において「脅威」とされる「実需要の低さ」についてはより 一層の検討が必要と思われる。 コラボレーションに強みを発揮する人材を明らかにするとあるが、重要である。教育プログラ ム改善研究会にて、ハイブリィディティ(hybridity)を利用した学習、互いの力を引き出しあう能力 を涵養する実践教育により一層の創出が重要であり、それらを地域との交流、海外の MBA との連 携活動の中に組み入れて実現していくことが望まれる。教授法及び学習方法に関しては、他の優 れた取組みのベンチマークも検討することが必要かもしれない。教育方法の進化に対する認識に より一層の深化が求められる。 戦略の中期ビジョンにおいて、「東海地区においてダントツのビジネススクールというプレゼ ンスの確立(p.7)」の現実化を促進していくために、より具体的な検討が必要と思われる。また、 「教育研究上の目的」の中核をなす「人間の尊厳のために(p.7)」においても、互いを活かし合い ながら持続可能な社会を創っていくことが求められている現代において、この中期ビジョンのよ り具体的な問題設定が必要になってくると思われる。 SWOT 分析 強み 弱み 東海地区における強い单山ブランド 单山ビジネススクールの知名度が低い 国際性の单山のイメージ 施設設備が古く分散している(とりわ 外国特に欧米での单山大学の高い知名度 け学生研究室) 東海地区最初のビジネス系専門職大学院 事務体制(専任職員がいない) 名古屋市外のものづくりの企業から自動車通 オフィス街から離れたキャンパス 学可能な便利なキャンパス 研究科長のリーダーシップ 修了生との強い結びつき 著名な学術教員と教員の多様性(国籍など) 学術教員と実務家教員の共同指導体制をとっ て学生の問題解決能力を高める「プロジェクト 研究」 機会 脅威 アジアの躍進のなかで、日本企業のプレゼンス 東海地区におけるビジネススクールに は低下傾向にあり、東海地区の企業は戦略上重 対する実需要の低さ 要な時期を迎えている。 不況(社会人(潜在的学生と潜在的実務家教員) の時間的余裕の発生) 文部科学省の競争的外部資金の獲得(青山学院 大学、関西学院大学との連携プログラム) 海外のビジネススクールを含め他の専門職大 学院との提携 東海地区のビジネススクールに対する潜在的 需要 5.「自己点検評価報告」の審査 1)自己点検評価分析の評価 第 1 章 「教育研究上の目的」 基準1: 「教育研究上の目的」 22 基本視点「認証評価を申請する経営専門職大学院(以下「受審校」という。)は、教育研究の活動 の意思決定の指針となる「教育研究上の目的(mission)」を明確に規定し、明文化していなけれ ばならない。 」について、 「国際社会において有効な企業経営を可能にする高度で専門的な知識、 スキル、発想および思考の枞組みを身につけ、本学の教育モットーである『人間の尊厳のため に』を自覚した企業人として、経営倫理の視点から社会的責任を果たし、地域社会および国際 社会の発展に寄与する人材を養成する。」と明文化されている。「教育研究上の目的」は、学校 教育法第 99 条第 2 項に規定された「高度の専門性を求められる職業を担うための深い学識及び 卓越した能力を培う」ことに適合している。 細目視点1「受審校は、 「教育研究上の目的」をグローバル化時代の要請に応えた国際的に通用す る高度専門職業人育成に配慮した内容のものとしているか。」について、明確な「教育研究上の 目的」が定められている。ただし、 「教育研究上の目的」の実現のために、より一層の配慮が必 要である。 細目視点2「受審校は、 「教育研究上の目的」をステークホルダーの意見を反映した内容のものと しているか。」について、東海地区約 800 社を対象にしたアンケート調査によりビジネス研究科 の教育に対する期待度を確認しており、その他回答企業に対するヒアリング調査、他学部教員 からの意見聴取、学生からの満足度調査などからも傍証している。ただし、今後中小企業への ヒアリングなどの実施が必要である。 細目視点3「受審校の「教育研究上の目的」は、学校教育法第 99 条第 2 項の「高度の専門性が求 められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培う」の規定から外れるものではない か。」について、ビジネス研究科は三つの学習目標のなかに具現化している。 細目視点4「受審校は、 「教育研究上の目的」を受審校の発行する印刷物等、例えば、学則、入学 案内、授業要覧及び履修要綱等に、また、Web ページに掲載し、周知公表を図っているか。」 について、受審校の Web ページをはじめ各種の媒体の周知公表が図られている。各種媒体の記 述内容についての整合性が求められる。 改善課題 特段の改善すべき課題はないと判断する。 「教育研究上の目的」の実現のために、より一層の 配慮が必要である。 基準2: 「教育研究上の目的」の重要な要素 基本視点「受審校の「教育研究上の目的」は、企業等組織のマネジメントに係る高度専門職業人 育成に重要な要素を含む内容のもので、受審校が所属する大学の「教育研究上の目的」と整合 していなければならない。 」について、大学の「教育研究上の目的」と整合性は確保されてはい るが、対応関係をより明確にした分析が求められる。特に、「人間の尊厳のために」というこ とで、経営倫理や環境経営のカリキュラムを設定し企業活動における社会的責任を促進しよう としている点は評価される。しかし、「教育研究上の目的」をビジネススクールの教育課程で どの様に実現していくかについてより一層の検討が必要となる。また、教育プログラムは、 「ア カウンティング・ファイナンス領域」 、「ヒューマン・リソース・マネジメント領域」、「マーケ ンティング&ストラテジー領域」 、 「オペレーション・マネジメント領域」の4領域に分けられ、 修了後の進路を想定して学生のキャリア形成を明確に支援する内容であり、ビジネススクール に求められる高度な専門知識や技能、基礎的素養の修得を目指している。 細目視点1「「教育研究上の目的」は、企業等組織のマネジメントに関する高度の専門知識・技能 及び基礎的素養を修得する内容のものとなっているか。」について、三つの学習目標において現 代社会における企業等組織のマネジメントに関する基礎的素養と高度の専門知識・技能を習得 する内容となっている。また、 「教育研究上の目的」の実現のために、目的の内容をより一層明 確化していくことが望まれる。 23 細目視点2「「教育研究上の目的」は、学生のキャリア形成に寄与する内容のものとなっているか。」 について、学生のキャリア形成に応じた4つの教育プログラム設置している。しかし、定員確 保の関係についての検証が必要である。 細目視点3「「教育研究上の目的」は、所属教員の教育研究活動の推進に寄与する内容のものとな っているか。」について、実践的問題解決能力の向上を図るプロジェクト研究Ⅰ、Ⅱなどが設置 されている。 改善課題 細目視点1において、 「教育研究上の目的」の実現のために、目的の内容をより一層明確化し ていくことが望まれる。 基準3: 「教育研究上の目的」の継続的な検証 基本視点「受審校は、 「教育研究上の目的」を継続的に検証していくプロセスを定め、教育研究環 境の変化に対応して見直していかなければならない。」について、「ビジネス専攻自己点検・評 価委員会」により継続的な検証が行われている。組織的かつシステムを精緻化しようとしてい る点は評価される。ただし、種々な観点からの検証活動がなされることになっているが、意見 聴取といった手段に重点があり、教育内容の基となる学術の展開や社会環境の変化への適切な 対応といった点をどのように担保していくかの検討が求められる。また、 「教育研究上の目的」 について、企業経営者などの産業界からの意見を聴取しようとしている点は評価される。大企 業だけでなく、中小企業からの意見聴取も必要と考える。 細目視点1「受審校は、 「教育研究上の目的」を検証する組織的な体制が整備されているか。」に ついて、「ビジネス専攻自己点検・評価委員会」が整備されている。学生満足度調査、学生の 授業評価そして各教員の自己点検評価が制度化されており、さらにアドバイザリー・ボードの 設置が検討されている。 細目視点2「受審校は、 「教育研究上の目的」の継続的な検証に必要な資料の収集及び管理の体制 を整備しているか。」について、自己点検評価委員会がデータ収集の設計、計画、実行及び分 析を管理し、研究科事務室がデータの入力、保管及び更新などを行っているが、環境の変化を 検証するデータを組織的に管理する視点が必要である。 細目視点3「受審校は、 「教育研究上の目的」の検証プロセスにステークホルダーの意見を聴取す る機会を設けているか。」について、学生からの意見聴取、検証への参加、中小企業への意見 聴取、上級管理職以外の現場の意見など幅広く収集する工夫が必要であろう。十分満たしてい るという判断はほぼ適切である。現場に根差した勢力的な活動をして欲しい。 改善課題 検証プロセスにおいて多様なステークホルダーからの意見を聴取する機会の工夫が望まれる。 基準4: 「教育研究上の目的」の達成に必要な財務戦略 基本視点「受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために必要な資金を獲得する短期的及び長期 的な財務戦略を策定していなければならない。」について、基礎的な財政資金は、経営学部およ びビジネス研究科で一括して配分され、財務的に独立したユニットではない。自己点検では財 政状況の把握はあるが、戦略の策定という視点での分析になりきっていない。例えば、判断基 準を持ってほしい。どのような状況なら健全なのか。不健全な状況とはどのような状況と考え るか。現在十分な外部資金を獲得されている点はよい。その支援体制も整えられつつある。 細目視点1「受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために必要な財政的基礎を有しているか。」 について、大学配分資金、单山経営学会援助金、大学パッヘ IA 及び单山大学経営研究センター 援助金などの資金による基礎的財源を有している。 24 細目視点2「受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために必要な資金調達の戦略を立てている か。 」について、外部資金獲得の短期戦略及び長期戦略が立てられている。なお、リスクの予想 と対策シナリオの検討が必要である。 細目視点3「受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために必要な予算措置をしているか。」に ついて、大学本部より教育質維持向上事業費の特別予算が確保されているが、恒常化への課題 が残されている。 改善課題 外部資金獲得の短期戦略及び長期戦略が立てられているので特段の課題はないが、恒常化へ の課題が残されている。 第2章 教育課程等 基準5:学習目標 基本視点「受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために、イノベーションと知見、グローバリ ゼーション及び先端的な科学技術の普及等の要素を含む学習目標を明確に定めていなければな らない。 」について、学習目標としてⅰ)、ⅱ)、ⅲ)に挙げられている内容と、「教育研究上の目 的」としているものとの間に関連性をつけた努力がみとめられる。ただし、 「教育研究上の目的」 の達成のために育成すべき人材像を、ステークホルダーに可視化していくことがより一層必要 であると考える。また、 「イノベーションと知見、グローバリゼーション及び先端的な科学技術 の普及等の要素」は言葉としては確かに対応がとれているようであるが、修得モデルとなって おり、創造モデルになっていない点が気にかかる。イノベーションやグローバリゼーションに 関して具体的な対応を示す形での分析になっていないことから、分析の適切性に欠けるところ がある。学習目標を紹介した入学案内、学生便覧、履修オリエンテーション等で学生に周知徹 底させていることは評価される。3つの学習目標が何をもってどこまで達成されたのかをメジ ャーできるようにすることが望まれる。 細目視点1「受審校は、学習目標をシラバス等に明記し、学生に周知公表をしているか。」につい て、三つの学習目標が明確に定められ、ビジネス専攻 Web ページおよび大学院学生便覧に明記 され周知が行われている。 細目視点2「受審校は、学習目標の達成のために、授業科目履修指導指針を定め、履修相談に応 じる配慮をしているか。 」について、学習目標、履修モデルおよび科目推奨履修順序等を記載し たガイダンス資料により、入学時ガイダンス及び学期始めの履修ガイダンスなどにより履修相 談に応じている。指導教員制による支援体制は評価される。学生の真のニーズに対応している のかの検証が必要である。 細目視点3「受審校は、学習目標の達成のために、学生、教員及び職員の間のコミュニケーショ ンシステムを構築し、学習相談及び学習助言の円滑化を図る方策をとっているか。」について、 学生と教員のコミュニケーション・ネットワークは構築されている。しかし、対等性、話しや すさまでの分析が必要である。 改善課題 基本視点及び細目視点から、基準5の各評価項目は満たされており改善すべき課題はないと 判断する。 基準6:教育課程 基本視点「受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために、教育課程を体系的に編成していなけ ればならない。 」について、基礎から応用まで、段階的発展が可能なカリキュラム体系になって おり、それが入学試験のあり方とも整合性が取れている点は評価される。また、ロジスティッ クスに強みを有している点も評価される。さらに、アジア諸国、諸地域とのコラボレーション に力をいれている点も先見性が高いと考える。学術教員と実務家教員の複数指導体制も適切な 25 ものと考えられる。「オペレーション・マネジメント・プログラム」は登録人員が過去毎年1 名から 3 名を推移しており、履修プログラムとしてのこれまでの授業評価や、それに対する改 善について疑問がある。 「アジア経営プログラム」、 「環境経営プログラム」は現代の経済社会や 企業経営にとって、重要な課題である。プログラムの内容が大企業の事例にとどまってはなら ない。社会ニーズ、あるいは学生の要求にどれだけ応えたものであるのか、疑問である。産業 界や学生のニーズを把握し、実効性のあるプログラムへのさらなる改善が望まれる。 細目視点1「受審校は、教育課程の編成において、 「教育研究上の目的」を達成する理論的教育と 実務的教育の架橋に留意し、マネジメントの教育研究及び実務の動向に配慮しているか。」につ いて、例えば、必修プロジェクト研究科目では、学術教員と実務家教員の双方を含む複数の教 員による共同指導体制が敷かれ、理論と実務の両方の視点からの学生指導がなされている。 細目視点2「受審校は、教育課程の編成において、企業等組織のマネジメントに係る高度専門職 業人育成に必要な高度の専門的知識・技能と高度の職業能力の修得、職業倫理観の涵養及び国 際的視野の拡大に配慮しているか。 」について、職業倫理観の涵養の拡大については「経営倫理」 「内部監査」 「外部監査」を、特に「経営倫理」を必修のコア科目としてその涵養に配慮してい る。また、専門科目のアジア経営領域の 6 科目に加えて、各履修プログラムの専門科目の主領 域にも「国際会計」 「国際人事管理」などの科目が配置され、国際的視野の拡大に配慮している。 グローバルな視野の拡大に直一層の努力が望まれる。 細目視点3「受審校は、教育課程の体系的な編成において、マネジメント教育に必要なコア科目 への分類を含めて体系的に配置しているか。」について、 「経営倫理」、 「経営管理」、 「会計基礎」 、 「ファイナンス基礎」 、 「組織行動」 、 「マーケティング基礎」、「ビジネス経済学」及び「データ 解析」の 8 科目がコア科目として設置され、1 年次の必修科目として学生全員に履修させてい る。 細目視点4「受審校は、教育課程を検証するプロセスを明確に定め、継続的に検証しているか。」 について、 「ビジネス専攻自己点検・評価委員会」が学生の科目履修状況、課程修了状況、学位 取得状況、学業成績状況及び進路状況等のデータ、また学生などのステークホルダーからの意 見を聴取し教育課程について継続的な検証を行っている。 細目視点5「受審校は、他研究科の授業科目の履修、他大学との卖位互換、インターンシップに よる卖位認定等の措置を講じているか。 」について、他大学院における修得卖位および入学前の 大学院修得卖位について、20 卖位を超えない範囲での卖位認定を行っており、基準に応えてい る。 細目視点6「受審校は、授業の方法において、実践的な教育を行うために事例研究、現地調査、 双方向又は多方向に行われる討論又は質疑応答その他の適切な授業の方法を導入しているか。」 について、事例や議論、工場見学、ゲストスピーカーなどによる授業方法に加えて、ワークシ ョップ、アクションラーニングおよびコーチングなど新たな手法による授業方法の開発が望ま れる。 細目視点7「受審校は、授業の方法において、多様なメディアを高度に利用して通信教育の授業 を行う場合には、授業の実施方法の整備に努め、教育効果の向上に努めているか。」について、 受審校は通信教育を行っていないので該当しない。 改善課題 特段の改善すべき課題はないと判断するが、教育効果のより一層の向上のためにワークショ ップ、アクションラーニングおよびコーチングなど新たな手法による授業方法の開発が望まれ る。 基準7:教育水準 基本視点「受審校は、学生の学習目標の達成のために、教育内容の水準を定めていなければなら 26 ない。 」について、3 つの学習目標を設定し、各科目の到達目標、成績評価基準をシラバスに明 記し、学生に周知徹底を図っている点は評価できる。3 つの学習目標そのものの「到達目標」 を定量的かつ客観的なものにしていくことが望まれる。教育後のタスクモデルなどで示すこと についても検討されることも必要である。各科目では会計のような基準を設けやすい科目でな い科目について、客観性をいかに担保していくかの検討が必要である。「教育内容の水準」に ついてのより一層の分析が望まれる。 細目視点1「受審校は、教育内容の水準を維持していくために、学習環境及び学習指導体制を整 備しているか。 」について、専任教員を指導教員とした学習指導が行われ、また、学習環境も大 学名古屋キャンパスの J 棟を中心した環境で教室、PC 教室、学生用ラウンジ(会議室と兼用)、 教員研究室および事務室などが整備されている。 細目視点2「受審校は、教育内容の水準を維持していくために、1卖位の授業科目の学習に必要 とされる授業時間を確保しているか。 」について、受審校の授業科目はすべて 2 卖位の授業科目 であり、授業科目は 90 分 15 回の授業からなり、計 1,350 分、1 卖位あたり 675 分の授業時間 を確保している。 細目視点3「受審校は、教育内容の水準を維持していくために、授業科目の時間割配置を適切に し、授業科目の履修登録卖位数の上限を設定し、授業科目の履修を適切にする指導をしている か。 」について、年間履修登録卖位数の上限を 30 卖位に定め、時間割に関しても 1 年次の必修 のコア科目を土曜日と平日夜間 1 日にまとめ、社会人学生が履修しやすい配慮がなされている。 細目視点4「受審校は、教育内容の水準を維持していくために、履修した授業科目の学業成績の 評価基準及び教育課程修了の判定基準を明確に定め、学則等に記載し、学生に周知公表してい るか。 」について、修了要件として 2 年以上在学、所定の 40 卖位以上の修得そして最終試験(口 述試問)の合格と定められ、課程修了必要卖位数は、コア科目 16 卖位、専門科目 20 卖位そし てプロジェクト研究科目4卖位の合計 40 卖位と規定されている。また、成績評価基準も学則に 5 段階評価(A+90 点以上、A:80 点~89 点、B:70 点~79 点、C:60 点~69 点、F59 点以下) が規定され、入学時のオリエンテーションで学生に周知公表されている。 細目視点5「受審校は、教育内容の水準を維持していくために、学業成績の評価及び課程修了の 判定を公正に実施し、客観性と厳格性が得られる措置を講じているか。」について、授業科目の 学業成績評価方法はシラバスに明記され、履修者に周知公表されている。そして各科目の成績 分布状況は教員間に配布され、FD 研修会で検討する機会が設けられている。しかし、学業成績 評価は到達目標に照らして絶対評価で行われているので、教員間のばらつきを改善していくこ とが必要である。 細目視点6「受審校は、教育内容の水準を維持していくために、授業科目の履修登録の学生数を、 授業の方法等の教育上の諸条件を考慮して授業の教育効果が十分に得られる適正な数としてい るか。 」について、5 名以下の尐人数のクラスが約全体の 3 分の 1 を占めていることに対する改 善策が必要である。 細目視点7「受審校は、教育内容の水準を維持していくために、留学生等の学生の多様化に対応 した履修指導、学習相談及び進路指導等の学生支援を適切に行っているか。また、通信教育を 行う場合には、十分に配慮した学生支援を適切に行っているか。」について、留学生担当教員、 教務学生担当教員および指導教員が相談に応じ必要な改善措置を講じている。 細目視点8「受審校は、教育内容の水準を維持していくために、学生の科目履修及び卖位取得の 状況等についての情報を教員間で共有し、必要な改善措置を講じているか。」について、十分満 たしているという判断は適切である。 27 細目視点9「受審校は、標準修業年限を短縮している場合には、 「教育研究上の目的」に照らして、 十分な教育成果が得られる教育方法及び授業時間割設定の配慮をしているか。」について、受審 校は標準就業年数を短縮する教育プログラムを実施していないので該当しない。 改善課題 3つの学習目標の到達目標を可視化していくことが求められる。また、学業成績評価は教員 間にばらつきが見られるので改善の必要があるが、それは同時に尐人数クラスの多いことにも 関係しているので、学生間の良き競争関係を確保していくために一定のクラスサイズの維持が 必要である。 基準8:教育研究の質維持向上の取組 基本視点「受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために、組織的な教育課程の改善に取組まな ければならない。 」について、「学生による授業評価」を踏まえて、各教員が作成した自己点検・ 評価報告書をもとに行なう「振り返り」研修会は評価される。このプロセスがプログラムの改 善について実際的に機能しているのか、測定できるようにしてほしい。個々の授業の改善の取 組の分析が主となっており、環境変化に対する教育課程としての改善の取組の分析、特に「教 育研究上の目的」に照らしてそれを行うという視点が弱い。 細目視点1「受審校は、開講する各授業科目の授業目的、授業内容、授業計画、授業方法、使用 教材、オフィスアワー及び授業評価基準等を明記し、学生の学習目標の達成に資する内容のシ ラバスを作成し、公開し、ピアレビューによるシラバスの検証をしているか。 」について、授業 科目ごとに授業概要、到達目標、授業計画、評価方法、テキストおよび参考書などの使用教材 を明記したシラバスを作成し、それを学生便覧に掲載し、年度始めに学生および教員全員に配 布して周知と実施の徹底を図っている。シラバスはビジネス専攻の Web ページ上の「シラバス システム」にも掲載されている。 細目視点2「受審校は、学生の科目履修状況、課程修了状況、卖位取得状況、学業成績状況及び 進路状況等の調査から、また、ステークホルダーの意見等から、教育課程の改善の検証をして いるか。 」について、学生の科目履修状況などのデータおよび学生や教員の意見から、ビジネス 専攻カリキュラム委員会でマイナー・プログラムの履修登録学生数の改善が検討され、カリキ ュラム改訂の準備がなされている。 細目視点3「受審校は、教育研究の質維持向上を図るために、自己点検評価を継続的に行い、そ の評価結果を広く社会に公表しているか。」について、「自己点検・評価委員会」が自己点検評 価を行い、報告書は大学自己点検・評価委員会を経て大学 Web ページおよび専攻独自の Web ページに公開されている。 細目視点4「受審校は、教育研究の質維持向上を図るために、組織的な研修をしているか。 」につ いて、FD 委員会が中心になって組織的な研修がなされている。 細目視点5「受審校は、教育研究の質維持向上を図るために、教員の優れた教育及び研究の業績 を評価する制度を整備しているか。 」について、研究科長、ビジネス専攻主任および経営学専攻 主任から構成されるビジネス研究科教員評価委員会が設けられ、各専任教員が直近5年間に3 編以上の教育研究業績をあげることを基準として、教員の教育研究業績が評価されている。基 準を満たさない専任教員に対しては助言が行われ、一方、優れた教育および研究の業績の評価 は人事の面に反映させているが、特にそれを表彰する制度はない。表彰制度についての検討が 必要である。 改善課題 特段の改善すべき課題はないと判断する。 第3章 学生 基準9:求める学生像 28 基本視点「受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために、本教育課程の教育を受けるに望まし い学生像を明確にしていなければならない。」について、求める学生像を明確化し、リーフレッ ト、Web ページ、募集要項に明記し、入学志願者に広く公表している。しかし、入学志願者の 激減や募集定員を下回る現状からして、求める学生像について産業界や潜在的な入学志願者に 対する周知徹底が必要である。「21 世紀に求められる経営倫理」についてもより具体的な内容 の検討が求められる。 細目視点1「受審校は、入学者選抜において求める学生像の学生を実際に入学させているか。」に ついて、受審校は「書類審査」と「口述試問」の入学審査において、特に、 「書類審査」におい てこれまでの実務経験、志望理由、入学後の学習計画、修了後のキャリア計画に関する「将来 計画書」を重視することによって、また、 「口述試問」でこれら将来計画書を確認するなどして 求める学生像の学生の確保に努めている。しかし、入学志願者数の減尐傾向において入学者と 「求める学生像」との関係の検証をしていく必要がある。 細目視点2「受審校は、入学志願者層に入学者選抜を受ける公正な機会を提供しているか。」につ いて、入学審査区分を「社会人」 ・ 「一般」・「推薦」 ・「国外在住者」に区分し、それぞれの募集 要項がリーフレット及びビジネス専攻 Web ページに明示され、入学志願者に広く公表されてい る。 細目視点3「受審校は、 「教育研究上の目的」の達成を担う学生像を継続的に検証しているか。」 について、産業界や潜在的入学志願者の認知度および理解度についての分析及び検証に着手し た段階にある。 改善課題 特段の改善すべき課題はないと判断する。 基準 10:アドミッション・ポリシーと入学者選抜 基本視点「受審校は、入学者選抜において、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)を明確 に定め、明文化していなければならない。 」について、アドミッション・ポリシーは明確化され ており、リーフレット、Web ページおよび募集要項を通じて広く公開されている。 細目視点1「受審校のアドミッション・ポリシーは、 「教育研究上の目的」を達成する内容のもの となっているか。 」について、アドミッション・ポリシーに受審校の教育研究上の目的、求める 学生像、入学審査の方法が示されている。 細目視点2「受審校は、アドミッション・ポリシーとアドミッション・ポリシーに従った入学出 願資格条件を募集要項等の印刷物に明確に記載し、入学出願者に周知公表しているか。」につい て、受審校は、下表の5入試形態の入学審査を実施し、アドミッション・ポリシーはビジネス 専攻 Web ページ及び入学審査要項に明確に掲載され、入学出願者に周知公表されている。 表 10-1 入学審査の形態と方法 審査形態 対象者 審査方法 社会人入学審査 社会人 書類審査+口述試問 一般入学審査 新卒者など一般志願者 書類審査+課題レポート+口述試問 推薦入学審査 本学に在籍する学生 書類審査+口述試問 国外在住者入学審査 国外在住志願者 書類審査 留学生別科推薦 本学留学生別科に 書類審査 入学審査 在籍する学生 細目視点3「受審校は、入学者選抜において、出願者の適性及び能力等を客観的かつ厳格に評価 する選抜をしているか。 」について、入学審査での公平性と厳密性を保つために受験生 1 名に対 29 して審査員 2 名で書類審査および口述試問を行い、また、審査の採点基準については事前に審 査教員全員がミーティングを行い、採点基準を確認し合うことで審査の公平性を維持している。 細目視点4「受審校は、入学者選抜において、実入学者数が入学定員を大幅に超える、又は大幅 に下回る状況になっていないか。また、その場合には、これを改善するための取組を行うなど 入学定員と実入学者数との関係の適正化を図っているか。」について、入学者数は 2007 年度、 2008 年度、2009 年度そして 2010 年度と 4 年連続で入学定員を下回る状況が続いている。志願 者数増加のためにリーフレットの改訂、専攻作成 Web ページの充実及び専攻 Newsletter の作成 などの広報活動の強化対策が講じられている。 細目視点5「受審校は、入学者選抜において、経済のグローバル化に対応して多様な知識または 経験を有する入学生の多様化に努めているか。 」について、入学者選抜において「国外在住者」 枞、優秀な留学生が多く在籍する「留学生別科推薦」枞および海外勤務や国際取引の経験者の 多い「社会人」枞などを設け、学生の多様化に努めている。 改善課題 4 年連続で入学定員を下回る状況が続いているので、志願者数増加のための強化対策が求め られる。 基準 11:学生支援 基本視点「受審校は、学生の学業継続のために、適切な学生支援体制を整備していなければなら ない。 」について、学生は主に仕事を継続的に行う社会人であり、経済的支援、進路指導やキャ リア支援を特に必要としないが、私費留学生に対して半額授業料免除が行われている。指導教 員に担当学生の履修状況が知らされ、支援に利用されるようになっている点も評価される。 細目視点1「受審校は、経済的支援を求める学生に対して、必要な措置を講じているか。」につい て、单山大学随時奨学金、ヒルシュマイヤー 国際交流奨励金(私費留学生対象、給付奨学金) 、 单山大学友の会奨学金(私費留学生対象、給付奨学金)、高島奨学金(私費留学生対象、給付奨 学金) 、JASSO(日本学生支援機構)による第 1 種および第 2 種奨学金、厚生労働省による教育 訓練給付金などの経済的支援制度が整備されている。 細目視点2「受審校は、学生の進路指導及びキャリア形成支援を求める学生に対して、必要な情 報収集、情報管理、情報提供及び学生相談等の支援を行う事務組織体制を整備しているか。」に ついて、大学のキャリア支援室が就職情報の提供や相談などの支援を行っているが、社会人学 生に対するキャリア支援を検討していく必要があると考える。 細目視点3「受審校は、学生生活の支援を求める学生に対して、学業及び学生生活に関する相談・ 助言等を行う支援体制を整備しているか。」について、指導教員による履修プランの作成など学 業における相談助言、また、課程修了に至るまでの各学期に適宜学習の進歩状況をチェックし、 必要に応じて指導及び支援措置を講じている。 細目視点4「受審校は、特別な支援を求める留学生及び障害のある学生に対して、学習支援及び 生活支援等を適切に行っているか。 」について、留学生担当教員(ビジネス専攻教員)及び国際 教育センターを通して、相談・助言をする支援体制が設けられている。 改善課題 特段の改善すべき課題はないと判断する。 基準 12:学生の学業奨励 基本視点「受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために必要な学生の学業奨励の取組をしてい なければならない。 」について、成績優秀者、プロジェクト研究レポート優秀者に対する表彰制 度を実施している。また、学生に対して大学内外の研究会や学会参加を促し、学会報告の場合 には交通費を支給する制度が整備されている。 30 細目視点1「受審校は、学業成績優秀な学生に対して報奨する制度を整備しているか。」について、 成績優秀者およびプロジェクト研究レポート優秀者を定期的に表彰を行う制度が整備されてい る。 細目視点2「受審校は、学業継続の困難な学生に対して経済的支援や学習支援等の相談を行う体 制を整備しているか。 」について、経済的に一時的に学業継続困難な学生に対して单山大学随時 奨学金および授業料納入猶予や分割納入の制度が用意されている。 細目視点3「受審校は、学生の学業奨励のために、入学時や新学期授業開始前に、また、教育課 程の変更時にオリエンテーションを実施しているか。」について、入学時に教育課程を含む全般 のオリエンテーションが、また各学期に履修ガイダンスがそれぞれ開催されている。 改善課題 特段の改善すべき課題はないと判断する。 第4章 教員組織 基準 13:教員組織 基本視点「受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために必要な教員組織を整備していなければ ならない。 」について、収容定員数に対し実在専任教員数が多いことは手厚く、また実務家教員 数が多いことも評価される。ビジネス研究科が「教育研究上の目的」で特に重要視する「経営 倫理」教育の専任教員の任用が課題として残されている。 細目視点1「受審校は、教育課程における専任の教員を必要と認められる数、任用しているか。」 について、ビジネス研究科の収容定員数は 100 名であり、これに対する必要教員数は 11 名であ る。受審校はこれに対して専任教員数は 16 名で、教員数の基準を適切に満たしている。実務家 専任教員数/必要専任教員数の実務家教員比率は約 55%であり、専門職大学院が掲げる理論と実 務の架橋を実践するのにバランスのとれた値で評価できる。 表 13-1 専門職大学院設置基準第 4 条の必要教員数 収容定員数 必要専任教員数 実在専任教員数 過不足数 2010 年 5 月現在 100 11 16 +5 表 13-2 教員組織の現状 必要教員充足率 2010 年度 1.455 専任教員担当 卖位比率 0.809 実務家教員比率 0.545 博士学位所有率 0.688 専任教員比率 0.593 細目視点2「受審校は、教員組織の構成において、 「教育研究上の目的」の達成のために必要と認 められる授業科目に必要かつ十分な専任の教授又は准教授を任用しているか。 」について、4 つ の主領域(アカウンティング&ファイナンス、ヒューマン・リソース・マネジメント、マーケ ティング&ストラテジー、オペレーションズ・マネジメント)のコア科目とプロジェクト研究科 目は原則として専任教員が担当するという方針がとられている。ただし、 「教育研究上の目的」 の達成のために、 「経営倫理」を担当する専任教員が充足されておらず、支援教員にその講義を 依存している。早急に改善される必要がある。 細目視点3「受審校は、教員組織の構成において、 「教育研究上の目的」の達成のために必要と認 められる実務家教員を任用しているか。」について、実務家専任教員数/必要専任教員数の実務 家教員比率は約 55%であり、実務家教員の占める割合が概ね 30%以上という専門職大学院設置 基準を満たしている。 表 13-3 教員組織の構成 種別 学術教員(AQ) 実務家教員(PQ) 計 31 専任教員(P) 兼担・兼任教員(S) 計 10 10 20 6 1 7 16 11 27 細目視点4「受審校は、教員組織の構成において、 「教育研究上の目的」の達成のために必要と認 められる専任の教員と非専任の教員との割合に配慮しているか。」について、ビジネス研究科の 教育に携わる 27 名の教員のうち、専任教員は 16 名であり、専任教員比率は約 60%である。ま た、専任教員が担当する卖位数と支援教員が担当する卖位数はそれぞれ、152 と 36 となってお り、専任教員ができるだけ科目を担当していくという基本がとられている。 細目視点5「受審校は、教員組織の構成において、教員の年齢構成の割合に配慮しているか。」に ついて、ビジネス研究科設置時より年齢の平均値が高齢化している。今後、定年退職後の教員 補充には、年齢構成のバランスの維持に配慮した教員の任用が必要である。 表 13-5 教員組織の年齢構成 種別 29 歳以下 30-39 歳 40-49 歳 50-59 歳 60 歳以上 計 教授 3 1 7 11 准教授 2 3 5 助教 助手 小計 2 6 1 7 16 支援教員 2 2 7 11 合計 4 8 8 7 27 細目視点6「受審校は、開講授業科目について高度の教育上の指導能力があると認められる下記 の各号に該当する専任の教員を、専攻ごとに「文部科学大臣が別に定める数」(平成 15 年文部 科学省告示第 53 号第1条。以下同じ。 )を置いているか。 1)専攻分野について、教育上又は研究上の業績を有する者 2)専攻分野について、高度の技術・技能を有する者 3)専攻分野について、特に優れた知識及び経験を有する者」について、文部科学省の設置審 議会で審査された教員が授業科目を担当しており、開講科目の適合性および指導能力が維持さ れている。 表 13-6 教員組織の最終学歴 種別 博士学位取得者数 修士学位取得者数 その他 合計 教授 8 2 1 11 准教授 3 1 1 5 助教 助手 小計 11 3 2 16 支援教員 6 4 1 11 合計 17 7 3 27 改善課題 特段の改善すべき課題はないと判断するが、ビジネス研究科が「教育研究上の目的」で特に 重要視する「経営倫理」教育の専任教員の任用が課題として残されている。 基準 14:教員の資格 基本視点「受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために必要な教育上の指導能力を有する教員 を任用していなければならない。 」について、一般的な教員資格の分析として専門分野について 「(a)博士の学位を有し、研究上のすぐれた業績を有する者」または「(b)研究業績が(a)の者に 32 準ずる者」であることを基本的な要件として、それにビジネス研究科の専門職大学院の基準を 設けている。ビジネス研究科の専任教員の 14 名のうち、10 名が博士号取得者である。専任教 員、兼担・兼任教員は、教育研究実績から必要な教育研究能力を有していると推察できる。ま た、学外の各種の役職や社会活動業務の積極的な活動を推奨しているが、その活動から得られ た経験や知見を他の実務家教員もしくは学術教員と共有化していくことが必要である。 細目視点1「受審校は、教員の任用及び昇任に関する規則及び基準を定めているか。」について、 十分満たしているという判断はほぼ適切である。基準の値については他大学の相当専攻のベン チマークなどを行うとよいかもしれない。 細目視点2「受審校は、教員の任用及び昇任に関する審査プロセスを明確に定め、客観的な審査 をしているか。 」について、審査プロセスが明確化されている。 細目視点3「受審校は、最近 5 年間の教育研究業績等により教員の教育上の指導能力を評価する 組織的な取組をしているか。 」について、毎年度末に单山大学全体の「研究業績システム」への 入力が義務付けられ、その結果を大学 Web ページ上で公表されると同時に、研究科長、ビジネ ス専攻主任および経営学専攻主任から構成されるビジネス研究科教員評価委員会で評価されて いる。 細目視点4「受審校は、専任教員の最近 5 年間の教育研究業績の資料を開示しているか。」につい て、 「研究業績システム」は大学の Web ページで一般に公開され、専任教員の最近 5 年間を含 む過去の教育研究業績および社会的活動の資料が開示されている。 細目視点5「受審校は、実務家教員の実務経験について定期的に評価を行い、授業科目担当の割 り当てを適切に行っているか。 」について、実務家専任教員には専任教員と同等の教育研究活動 を求めている。実務経験については定期的な評価は行っていないが、学外の各種の役職や社会 活動業務については積極的に行うように推奨しており、それらの活動に対しては報告を求めて いる。さらに、実務家みなし専任教員については、2 年ごとに評価が行われている。 改善課題 特段の改善すべき課題はないと判断する。 基準 15:教員に対する教育研究支援 基本視点「受審校は、教員の教育研究活動を推進していくために必要な教育研究環境の整備をし ていなければならない。 」について、合同研究室の設置は優れている。職員同士で自ら役割分担 をしている点は評価される。1 コマの講義を学部の 1.5 倍としている点も評価される。サバテ ィカル制度の検討も必要である。専任教員に対して教育研究費を支給するほか、競争的研究費 の配分として、年間 100 万円を上限とする「パッヘ研究費」の支給制度がある。科学研究費等、 外部資金獲得の応募に対する研究支援体制も整備されてきている。事務体制は経営学部の職員 との兼務体制となっている。 細目視点1「受審校は、教員の教育研究活動の推進と教員の授業担当時間数との関係について、 適切な範囲内にとどめるように配慮しているか。」について、専門職大学院の講義負担を夜間、 土曜日開講と最新の研究成果を授業に還元するという点を配慮して、1コマの講義を学部の講 義負担の 1.5 倍として計算する配慮をしている。 細目視点2「受審校は、教員の教育研究活動の推進に必要な研究費獲得の支援体制を整備してい るか。 」について、科学研究費や外部資金を獲得するために、教育・研究支援事務室の職員が申 請書作成の際に細かな支援を行っている。 細目視点3「受審校は、教員の教育研究活動の推進に必要な事務職員及び技術職員等の支援体制 を整備しているか。 」について、教育研究の推進に必要な専任の事務職員や技術職員はいないが、 経営学部の職員が兼務している。今後の課題である。 33 細目視点4「受審校は、教員の教育研究活動の推進に必要な教育課程の活性化を図る適切な措置 を講じているか。 」について、FD 活動や各種の研究講演会を通じて活性化が図られているが、 より一層の活性化が望まれる。 改善課題 特段の改善すべき課題はないと判断する。 基準 16:教員の任務 基本視点「教員は、 「教育研究上の目的」の達成のために、ステークホルダーとの意思疎通を図り、 学術研究の推進に努め、 「教育研究上の目的」を達成する授業の実現を図っていかなければなら ない。 」について、「2009 年度ビジネス専攻修了生対象満足度調査結果報告」によると、「講演 会・懇親会」 、 「実践力の向上」について「不満」、「どちらともいえない」の数値が目立って高 く、コメントにも学生と教員間に意思疎通の不備による誤解をうかがわせる内容があった。2011 年からの新カリキュラムでは、4 つの能力である、 「人間の尊厳のために」という自覚に基づい た判断力、広い視野、論理的に考え抜く力、やり遂げる力の育成強化をはかるとしており、今 後の改善が期待される。 細目視点1「教員は、自己点検評価及び学生の授業評価の結果に基づいて、授業の内容、使用教 材及び授業方法等の改善を絶えず行っているか。」について、教員が学生の授業評価の結果に基 づいて担当科目それぞれについての授業目標とその達成度、授業評価、改善点、今後の抱負や 方針についての自己点検・評価報告書を提出し、その資料を教員の FD 研修会で問題点を議論し、 授業の改善の支援に役立てている。 細目視点2「教員は、学習目標の達成のために、先端的な高度専門的知識・技能の教授に努めて いるか。 」について、学生の授業評価から最先端の論文の解説や教科書の執筆を通じて、新しい 専門知識の教授に時間を費やしている教員が多いと評価されている。 細目視点3「教員は、学習目標の達成のために、オフィスアワーの設定及び電子媒体等を通じて 学生との対話を積極的に図り、学生の学習指導に努めているか。 」について、週に 1~2 時間程 度のオフィスアワーが設定されている。 改善課題 学生と教員間の意思疎通をより一層改善していくことが望まれる。 第5章 管理運営と施設設備 基準 17:管理運営 基本視点「受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために、教員の教育研究活動を適切に支援し ていく管理運営体制を整備していなければならない。」について、管理運営組織としては、ビジ ネス研究科委員会(教授会)の下に、ビジネス専攻会議がある。専任教員は、経営学部教授会 にも出席している。ビジネス研究科の管理事務は、経営学部事務室が行っているが、ビジネス 研究科を含めてビジネス研究科を担当する専任職員は 1 名である。管理事務体制の整備が必要 である。従来は、専攻主任が業務全般を包括的に処理していたが、今年度より役割分担を決め、 業務改善・強化を図ったとあるが、CAPD を引き続き回してほしい。 細目視点1「受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために必要な管理運営事項を審議する教授 会及び委員会等を設置し、審議事項を尊重し、教育研究環境を整備していく体制を講じている か。 」について、ビジネス専攻の管理運営組織はビジネス研究科の管理運営に関するすべての事 項を管掌するビジネス研究科委員会、そしてビジネス専攻に関する事項を管掌するビジネス専 攻会議を軸として、教育研究上の目的を達成するため PDCA サイクルの循環に向けたビジネス 専攻自己点検・評価委員会、FD 委員会が開設時より設置されている。 細目視点2「受審校は、受審校の設置形態及び規模に応じた管理運営の事務組織を整備している か。 」について、ビジネス研究科に係る事務が学事課とその下に配置される経営学部事務室とが 34 管掌しており、ビジネス専攻の事務についても同様に学事課と経営学部事務室が担当している。 また、教務関係(履修登録など)は教務課が担当し、学生の厚生関係(奨学金など)について は学生課がそれぞれ担当することとなる。これらビジネス専攻に係る事務の統括、他の課室と の連携は学事課が中心となって執り行なっている。このようにビジネス専攻の事務体制は経営 学部及びビジネス研究科経営学専攻と一体となって行なわれている。また、経営学部事務室の 専任職員は 1 名であり、専任職員の増強が必要である。 細目視点3「受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために、専任教員の教育研究活動に応じた 規模と機能を持った管理運営組織を設けているか。」について、ビジネス研究科専任教員の教育 研究活動に対する補助的な事務作業は、経営学部専任教員の事務処理と同様の体制によって行 われている。授業で使用する教材の複写、情報機器の設定、教員の研究費使用の事務手続きな どの教員の要望の大半は臨時職員(3 名)や派遣職員(4 名)で行われている。支援体制の整備 が必要である。 改善課題 ビジネス研究科の専任職員を増強するなど管理事務体制の整備が必要である。 基準 18:施設支援 基本視点「受審校は、 「教育研究上の目的」の達成のために、教育研究活動の推進に必要な施設及 び設備等を整備していなければならない。」について、施設が分散化・老朽化している。施設の 改善が今後の課題である。自主的学習環境として学生研究室、学生ラウンジが整備されており、 全学の図書館も利用できる。ワークショップスタイルの教室またこれからの遠隔教育に対する 施設設備の検討も求められる。 細目視点1「受審校は、教育効果の向上を図る教室、演習室及び実習室等の教育研究施設及び設 備等の質的かつ量的な整備をしているか。」について、講義の大部分が行われる J 棟 5 階の各教 室に視聴覚設備が配備されている。J 棟の老朽化に対する施策が必要である。 細目視点2「受審校は、専任教員ごとに個別の研究室を用意しているか。」について、J 棟 8 階お よび 4 階に専任教員ごとに個別の研究室が整備されている。 細目視点3「受審校は、図書、学術雑誌及び視聴覚資料その他の教育研究上必要な資料を系統的 に収集しているか。 」について、名古屋キャンパス図書館に約 65 万冊の図書と 1 万 5 千種の学 術雑誌が所蔵され、加えて、約 2 万誌の電子ジャーナルと約 40 種類のデータベースが利用可能 となっている。 細目視点4「受審校は、受審校の教育研究組織及び教育課程に応じた施設及び設備を整備し有効 に活用しているか。 」について、J 棟の PC 教室は授業で使われていないときは自由に利用する ことができ、特に、2009 年度より J 棟 3 階の PC 教室は平日 22 時、土曜日 18 時まで利用する ことができるようになった。 細目視点5「受審校は、学生の自主的な学習を促進する学習環境を十分に整備し、学生の利用に 供しているか。 」について、図書館 3 階の研究室及び J415 会議室をラウンジとして提供し、自 由に使用できる環境が整えられている。 改善課題 ビジネス研究科の施設が分散化・老朽化している。施設の改善が今後の課題である。 2)「改善課題の分析」の評価 受審校は、各評価領域の改善課題を抽出し、優先順位に従った課題の分析をしている。 ・ 「教育研究上の目的」 第1の課題は、 「 「教育研究上の目的」の検証及び見直しプロセスの精緻化」に求め、そのため にアドバイザリー・ボードの設置を課題としていることは適切である。また、独自に環境変化 35 や新たな学術の展開について継続的にデータを集めることを課題とすべきである。第2の課題 は、 「 「教育研究上の目的」である「人間の尊厳」を重視した教育の共有化・具体化」としてい る。 「教育研究上の目的」の実現のために、目的の内容をステークホルダーと共有し、その周知 徹底をより一層図っていくことが期待される。第3の課題は、独自の予算申請・執行体制の整 備と外部資金の獲得による財政基盤の確立を課題とすることは適切である。収入の構造・プロ セス、健全性の判断基準の作成も課題にする必要がある。収容定員に見合った入学者の確保も、 財務戦略の一環として重要な課題となる。 ・ 「教育課程等」 第1の課題は、 「地域のニーズに応えた教育課程の編成」のために産業界とのコラボレーション の深化を課題としている。しかし、ものづくりの現場は圧倒的に中小企業が多いのでこの視点 を看過してはならない。第2の課題としている「教育課程の検証プロセスの精緻化」は重要な 課題である。第3の課題を「受講者の尐ない教育プログラムの内容についての再検討」に求め ていることは妥当である。また、学生による授業評価が継続的に行われているものの、教育プ ログラムの改善に実質化しているかの検証プロセスを課題とすることは適切である。履修生5 名以下のクラスの割合が多いことを問題とするのは適切である。第 4 の課題の「教員間での成 績評価のばらつきの是正」は適切である。クラスサイズが小さいと情実的な評価となりやすい。 学生間に相互刺激が生まれるクラスサイズが必要である。その他の課題として、コラボラティ ブな教育(考えさせたり、実践させる教育)を導入することにより、知や経験が創発される新 たな教育プロセスの流れを認識していくことが必要である。 ・ 「学生」 第1の課題は、 「入学定員の確保」である。学生募集に対しては、潜在的学生に対する認知・理 解を深める広報体制の改善も課題であるが、それ以前に東海地域での当該受審校の存在意義を 再定義することも重要である。本当に单山大学の求められる MBA とは何なのか、ステークホル ダー(含む学生)と問題意識を共有化していくことが必要である。第2の課題は、 「アドミッシ ョン・ポリシーの検証」であり、これを問題とするのは適切である。第3の課題は、 「キャリア 支援体制の強化」であり必要な課題と考える。 ・ 「教員組織」 第1の課題は、 「経営倫理を担当する専任教員の任用」である。任用に際しては西洋的な倫理観 だけでなく、 「教育研究上の目的」の達成に貢献しうる多様な価値観を身に付けた人材の任用が 期待される。第2の課題は、「教員の教育研究活動に対する教育研究環境の整備」である。教 員の危機感に関する分析を課題とする必要がある。第3の課題は、「教員の研究成果の活用」 することによって教育課程の改善に役立てていく体制の整備として位置づけている。各教員が 専攻の各課題に対して自ら参加し、コミットしていくことも課題となる。第4の課題は、「教 員の研究能力の向上」に求め、サバティカル制度の検討及び国際的な研究会の実施などが検討 されていくことは重要である。 ・ 「管理運営と施設整備」 第1の課題は、 「事務体制の改善」に求めている。学生ばかりでなく、専任教員、兼担・兼任教 員に対するサービス、サポートに必要な課題とすることは適切である。開講時間帯における専 任の事務体制の確立を課題とすることも重要である。第2の課題は、 「施設設備の充実」である。 学生研究室、学生ラウンジ、教室などの施設の分散化および老朽化の改善を課題とすることは 適切である。 以上、各評価項目に共通する課題として、1)東海地区最初のビジネス系専門職大学院として、 今までの経緯も踏まえ一通りの活動が行なえており、自己の強みも理解されている。ただし、单 山大学のブランドの視点から真に MBA が目指すところを再考することが必要である。2)教員自 36 身による自己点検・評価報告書に基づく FD 研修までの PDCA サイクルは特出すべき強みとなろう。 ただし、対等性の文化、学生の本音が反映されるフィードバックシステムの構築が必要である。 3)「課題解決の実行計画」の評価 ・ 「教育研究上の目的」について、産業界からの意見聴取などにより「教育研究上の目的」につい ての継続的な検証をしていくための「アドバイザリー・ボード」が 2011 年に設置することが計 画されている。これは適切な措置である。また、 「人間の尊厳のためにとは、求められる経営倫 理や CSR とはなにか(p.69)」を検討していく FD 研修会及び FD 委員会が 2011 年度及び 2012 年度に企画・実施が計画されていることは評価できる。さらに「人間の尊厳のためにとは、求め られる経営倫理や CSR とはなにか」を深堀することは、現今の世界経済、グローバル化の歪み を是正する上で極めて重要かつ緊急性が高いものと判断する。これは单山ウェイ確立に文脈に おいて重要なものと考える。 ・ 「教育課程等」について、 「東海地区の企業や修了生とのコラボレーション」が 2011 年度から構 築・運用を始め、2013 年度末までに有効に機能する仕組みに仕上げていく計画が立てられてい ることは評価できる。また、カリキュラム委員会が 2012 年を目処に教育課程の見直し原案作成 を計画していることは妥当であると思われる。また、尐数履修登録者クラスの改善についても 2013 年を目処に全開講科目数の 15%以下にする計画も具体性があると考える。 ・ 「学生」について、地域社会とのコラボレーション及びステークホルダーとのコミュニケーショ ン内容の充実のために、2011 年に Web ページのリニューアルを計画していることは適切な処置 である。また、 「求める学生像」及び「アドミッションポリシー」の再検討が 2011 年に専攻会 議で予定されていることも評価できる。 ・ 「教員組織」について、 「経営倫理」担当の専任教員の任用が 2013 年度までに計画されているが、 喫緊の課題なので早期の解決が望まれる。また、教育研究環境の改善を図る教育研究検討委員 会が 2011 年に設置され、サバティカル制度について 2013 年度を実施目処に検討されていくこ とは評価できる。 ・ 「管理運営と施設整備」について、事務体制の改善のために「事務体制検討ワーキンググループ」 を設置し、2011 年度中に改善案を取りまとめることが計画されていること、また、教育研究施 設の課題についても「施設設備検討ワーキンググループ」が設置され、2011 年度中に改善案を 作成することが計画されていることは評価できる。 37 Ⅲ 認証評価審査結果 1.総合評価 ビジネス研究科の位置する名古屋は、ものづくりの拠点である東海地域における最も歴史と伝 統のある経営学の拠点である。ビジネス研究科は最初に設置した経営学部から数えて 40 年強の歴 史を有している。専門職学位課程としての歴史は 4 年ではあるが、その背後を長い経営学教育の 実践が支えていると考えられる。2009 年度までの学位授与者数は博士学位 28 名、修士学位 322 名、ビジネス修士(専門職)学位 123 名と十分な実績を誇っている。受審校は、時代の急速な変 化とともに、すなわち、グローバル化やアジア地域の台頭、環境問題、金融工学の出現などに対 しより実践的な教育を、経営倫理やより環境に配慮した価値観をベースにした展開を目指してい る。特に、受審校は「ものづくり・ロジスティツクス」の強みを発揮して「アジア諸国とのコラ ボレーション」に強みを発揮する人材の養成を目指している。この実現のために、 「アカウンティ ング・フィアナンス領域」 、 「ヒューマン・リソース・マネジメント領域」 、「マーケンティング& ストラテジー領域」および「オペレーション・マネジメント領域」の4領域の設定が教育特徴と 言える。それ故、アジア地域とのコラボレーション教育を展開していくために、ヴィジョンのよ り一層の精緻化が求められる。 ビジネス研究科は「教育研究上の目的」を実現するために経営戦略を適切に設定している。ま た、教育の質維持向上を図る評価基準は大体において満たしていると判断される。さらに、自己 点検評価分析において、改善すべき課題を自ら抽出し、その課題へ対策を施している。さらに未 解決の課題についても自己分析し、計画を適切に設定している。 以上のことから、ビジネス研究科の「本教育プログラムは、評価基準が大体において満たされ、 改善すべき課題があるけれども教育研究の質維持向上が期待でき、優れている教育プログラムで ある。 」と評価することができ、PDCA の サイクルの効果的な実践が期待できると判断される。 2.改善課題 しかし、一方においてグローバル化時代の国際的に通用する高度専門職業人育成のために、 单山大学ビジネス研究科ビジネス専攻の教育プログラムには、より一層の教育の質改善が求め られる。 ・ 「教育研究上の目的」の実現のために、目的の内容をステークホルダーと深く共有していくこと が求められる。 ・ 「教育課程等」において、モノづくりの現場は圧倒的に中小企業が多いので、地域のニーズを汲 み取るための産業界とのより一層のコラボレーションが不可欠と思われる。また、受審校の教 育特徴とする「ものづくり・ロジスティックス」の教育プログラムに受講者数が尐ないことに ついて、教育プログラムの内容について「学生による授業評価」にもとづいた再検討が必要で あると思われる。 ・ 「学生」において、学生確保のために潜在的学生に対する認知・理解を深める広報体制のより一 層の改善が必要であり、東海地域での受審校のポジショニングをより一層明確にしていくこと が不可欠である。特に、「人間の尊厳のために」のモットーとビジネスとの理念的な関係、東 海地区という捉え方とモノづくりとアジアへの限定の意義、社会人を主としつつも留学生を含 む大卒ストレート進学者を入学させていることの意義についての再検討が求められる。 ・「教員組織」において、 「経営倫理」を担当する専任教員について西洋的な倫理観だけでなく、 「教育研究上の目的」の達成に貢献しうる多様な価値観を身に付けた教員の任用が必要と思わ れる。 38 ・ 「管理運営と施設整備」において、専任教員、兼担・兼任教員に対するサービス及びサポートに 必要な事務体制の確立が求められる。施設についても学生研究室、学生ラウンジ、教室などの 施設の分散化及び老朽化を整備しいく課題が残されている。 3.実行計画履行状況報告書の提出 ABEST21 は、受審校の教育の質維持向上をステークホルダーに保証していくために、実行計画 に示された計画の履行状況について報告を求め、教育の質改善の進捗状況を確認していく。 4.認証評価審査結果の公表 ABEST21 は、理事会で承認した受審校の認証評価結果を受審校に通知すると同時に文部科学大 臣に報告する。また、ABEST21 は、受審校の「認証評価結果」を、ABEST21 の年間活動の報告で ある「ABEST21 年次報告書」及び ABEST21WEB サイト(http://www.abest21.org/)にそれぞれ 掲載し、広く社会に公表する。 39
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