エイブル賃貸市場観測調査(エイブル観測)のプレ調査結果 2011 年 12 月 20 日 株式会社エイブルリサーチ・インターナショナル 当社は賃貸経営を取り巻く市場環境について「エイブル賃貸市場観測調査(エイブル観測)」として定期的に 調査し、広く発信していく。今回、不動産仲介事業者の株式会社エイブルが主催した「エイブル賃貸経営フェア (於:横浜ワールドポーターズ 6 階イベントホール)」において、本調査に先立ち、「エイブル観測プレ調査」 を実施した。プレ調査の結果を以下のとおり報告する。 アンケート実施者 100 名 回答者 100 名 回収率 100% Ⅰ.賃貸物件所有者(オーナー)のプロフィール 回答者の住まいは、神奈川県 71%、東京都 19%、千葉県 4%、埼玉県 3%、その他 3%となっている。また、 全体のうち、横浜市 35%、川崎市 24%を占める。本調査の回答者は神奈川県を中心とする主に首都圏にお住 まいの賃貸物件所有者(オーナー)で構成されており、地域特性が見られることが想定される。 年代は、50 代 26%、60 代 34%、70 代 22%と、全体の 81%が 50~70 代で構成される。 1.家主業をはじめられたきっかけ 相続や税金対策など、所有している土地や きっかけ n=92 建物の有効活用や節税などの観点から、家主 転勤・転居 7% 業をはじめるケースが全体の 6 割近くを占め た。 相続 39% 投資 34% 一方、資産形成のための投資のひとつとし て、不動産投資をはじめるケースが全体の 1/3 を占めた。 その他の理由として、転勤により購入した 税金対策 20% 留守宅を賃貸する「リロケーション」に代表 される転勤・転居があげられた。 2.家主歴 最短 0 ヶ月 最長 59 年 平均 18.6 年 家主歴の最短は、物件を購入し、これから 募集を開始するオーナー。 平均して家主歴は 18.6 年にも及び、経験を 積まれたオーナーが多いことがわかる。 3.きっかけ×家主歴×平均年齢 きっかけ 家主歴 平均年齢 相続 18.0 年 62.0 歳 税金対策 23.7 年 63.2 歳 投資 18.5 年 61.7 歳 転勤・転居 10.6 年 53.2 歳 全体 18.6 年 61.3 歳 きっかけと家主歴、オーナーの平均年齢を 比較すると、転勤・転居をきっかけに家主業 をはじめたオーナーの家主歴・平均年齢が全 体平均と 8 年程度のひらきがあることがわか る。 ©ABLE Research International Ltd All rights reserved. Ⅱ.所有物件の状況 所有物件の所在地は、神奈川県 69%、東京都 15%、千葉県 8%、埼玉県 5%、その他 3%となった。これは、 回答者の住まいとほぼ同様の分布となったことから、多くのオーナーは自宅に近いエリアで賃貸経営をしてい ることが推察される。 所有規模は、平均 2.5 棟・17.8 戸となった。所有形態は個人所有が大半を占めており、管理形態も半数が自 主管理をしていることから、目の行き届くエリア・規模で賃貸経営を営んでいる実態が明らかになった。 1.所有物件数 1 棟あたりの平均戸数は、7.12 戸となった。 棟数 戸数 最多 10 棟 100 戸 所有物件数の分布を見ても、1 棟 42%、2 棟 最少 1棟 1戸 22%、3 棟 17%と、1~3 棟所有が全体の 平均 2.5 棟 17.8 戸 82%を占めた。 2.区分所有の状況 区分所有の状況は、半数近くが無回答であ 区分所有 った。無回答であった対象者の 1 棟あたりの 有り 17% 平均戸数が 7.7 戸であることから推察して、 多くは区分所有なしと想定される。区分所有 のない回答者にとって、区分所有かどうかは 無回答 44% 日頃あまり意識されていないようだ。 無し 39% 3.築年数 最も築年数が経っているもの 最長 43 年 平均 26.2 年 最も築年数が浅いもの 最短 1 ヶ月 平均 14.6 年 以下、複数回答可となっており、左グラフで全回答を 100 とする割合、右図でその解答数と重複を示した。 4.所有形態 所有形態 法人所有 13% その他 1% その他 1 個人 82 10 法人 4 個人所有 86% ©ABLE Research International Ltd All rights reserved. n=97 5.管理形態 管理形態 サブリース 3% サブリース 1 1 自主管理 48% 管理委託 49% 1 委託 39 16 自主 38 n=96 6.物件タイプ 物件タイプ その他 6% その他 6 単身者用 43% 2 単身 27 ファミリー用 51% 26 ファミリー 36 n=97 7.建物種別 建物種別 店舗・事務 所・倉庫等 4% 1 戸建 5 戸建・テラス ハウス 13% アパート 48% 店舗等 1 3 7 1 4 マンション 35% アパート 36 1 15 マンション 24 n=98 ©ABLE Research International Ltd All rights reserved. Ⅲ.賃貸経営の現状と見通し 賃貸経営の現状と見通しにつき、半年前との比較、半年後の見通しを指数により算定した。その結果、いず れの回答も厳しさを感じさせる結果となった。 半年前に比べた現在の状況は、「入居率」「利益」「賃料」「敷金・礼金」ともに低下。「物件の競合」が激化 するなか、物件の競争力を高めるために「リフォーム」「設備投資」を積極的に行ったようだ。3 月 11 日に発 生した東日本大震災の影響を受け、「防災への問題意識」も上昇した。 半年後の見通しについては、現在の傾向がより強くなるとの見通しが多かった。中でも、厳しい状況下での 賃貸経営を乗り切るための「リフォーム」「設備投資」そして「建替え」が一層増加する見通しとなった。 ①半年前に比べて、現在どうですか。 ②現在と比べて、半年後の見通しはどうですか。 1.良くなる 2.変わらない 3.悪くなる 1.良くなった 2.変わらない 3.悪くなった 1 入居率 11 11.3 47 39 -40.2 97 -28.9 1.増加した 2.変わらない 3.減少した 2 利益(税引き後) 3 賃料 7 7.4 36 52 -54.7 1 1.0 42 53 -55.2 95 -47.4 敷金・礼金 0 0.0 45 53 -54.1 96 -54.2 物件の競合 45 48.9 44 98 -54.1 7 退去時トラブル リフォーム頻度 (退去時の原状回復は除く) 13 13.7 73 3 -3.3 92 45.7 47 9 -9.5 95 4.2 リフォーム単価 26 27.7 65 3 -3.2 94 43.6 建替え頻度 7 12.1 48 3 -3.2 94 24.5 11 建替え単価 17 29.3 3 -5.2 設備投資 38 3 -5.2 1.強化した 2.問題なし 3.不十分なまま 39 45.9 41 58 6.9 防災への問題意識 49 53.3 43 58 24.1 5 -5.9 85 40.0 防犯への問題意識 44 47.3 49 0 0.0 92 53.3 金融機関貸出態度 4 4.8 62 0 0.0 17 -20.5 44 54 -54.5 99 -53.5 0.6 0 0.0 43 51 -54.3 94 -54.3 -0.2 52 57.8 34 90 53.3 7.7 94 16.0 11.7 92 48.9 5.3 93 33.3 8.9 62 19.4 12.5 63 28.6 4.4 82 56.1 16.1 92 60.9 7.6 92 57.6 10.3 83 -19.3 -3.6 4 -4.4 20 21.3 69 5 -5.3 47 51.1 43 2 -2.2 34 36.6 56 3 -3.2 16 25.8 42 4 -6.5 22 34.9 37 4 -6.3 1.強化する 2.問題なし 3.不十分なまま 50 61.0 28 4 -4.9 56 60.9 36 0 0.0 1.上昇する 2.変わらない 3.低下する 93 47.3 1.ゆるくなった 2.変わらない 3.厳しくなった 14 1 1.0 1.上昇する 2.変わらない 3.低下する 1.上昇した 2.変わらない 3.低下した 13 -3.2 1.上昇する 2.変わらない 3.低下する 1.上昇した 2.変わらない 3.低下した 12 95 -50.5 1.増加する 2.変わらない 3.減少する 1.上昇した 2.変わらない 3.低下した 10 55 -57.9 1.上昇する 2.変わらない 3.低下する 1.増加した 2.変わらない 3.減少した 9 33 1.増加する 2.変わらない 3.減少する 1.上昇した 2.変わらない 3.低下した 8 7 7.4 1.増加する 2.変わらない 3.減少する 1.増加した 2.変わらない 3.減少した 44 46.8 -10.1 1.激化する 2.変わらない 3.緩和する 1.増加した 2.変わらない 3.減少した 6 95 -38.9 1.上昇する 2.変わらない 3.低下する 1.激化した 2.変わらない 3.緩和した 5 44 -46.3 1.上昇する 2.変わらない 3.低下する 1.上昇した 2.変わらない 3.低下した 4 44 1.増加する 2.変わらない 3.減少する 1.上昇した 2.変わらない 3.低下した (共益費・管理費を含む) 7 7.4 53 57.6 39 0 0.0 1.ゆるくなる 2.変わらない 3.厳しくなる 83 -15.7 7 8.4 53 23 -27.7 【指数(DI)の算出方法】 上段:回答数 ①半年前に比べて、現在どうですか。 1.良くなった 2.変わらない 3.悪くなった 1 入居率 11 11.3 47 39 -40.2 (単位:pt) ②-① 下段:pt 97 -28.9 (良いとする回答)-(悪いとする回答) (良いとする回答)+(普通・変わらないとする回答)+(悪いとする回答) ×100 = DI(pt) ©ABLE Research International Ltd All rights reserved. 【グラフの見方】 (例)入居率 ①左棒グラフ 半年前と比べて、現在どうですか。 良くなった ②右棒グラフ 現在と比べて、半年後の見通しはどうですか。 良くなる 11.3 7.4 ③折れ線グラフ ①から②の半期推移 -40.2 -46.3 -28.9 -38.9 悪くなった 悪くなる 1 .入居率 良くなった 良くなる 1 1 .3 - 4 0 .2 3 .賃料 2 .利益( 税引き後) 増加した 増加する 7 .4 7 .4 1 .0 上昇する 1 .0 - 5 4 .7 - 5 7 .9 - 5 5 .2 - 5 4 .5 上昇した 7 .4 - 4 6 .3 - 2 8 .9 - 3 8 .9 悪くなった - 4 7 .4 悪くなる 減少した - 5 0 .5 減少する 5 .物件の競合 4 .敷金・ 礼金 - 5 3 .5 - 5 4 .2 低下した 低下する 6 .退去時トラ ブ ル 激化する 上昇した 上昇する 0 .0 0 .0 激化した 5 3 .3 4 5 .7 増加する 5 7 .8 - 5 4 .1 - 5 4 .3 4 8 .9 増加した 1 3 .7 - 5 4 .1 低下した - 5 4 .3 低下する 2 1 .3 1 6 .0 4 .2 - 3 .3 - 4 .4 緩和した 緩和する - 9 .5 - 5 .3 減少する 減少した ©ABLE Research International Ltd All rights reserved. 8 .リフ ォ ー ム 単価 7 .リフ ォ ー ム 頻度 9 .建替え頻度 増加する 増加した 4 8 .9 上昇する 4 3 .6 4 6 .8 5 1 .1 増加する 3 3 .3 上昇した 2 5 .8 2 4 .5 3 6 .6 増加した 1 9 .4 1 2 .1 2 7 .7 6 .9 - 3 .2 減少した - 2 .2 - 3 .2 減少する 低下した - 3 .2 低下する 1 1 .設備投資 1 0 .建替え 単価 - 5 .2 - 6 .5 減少した 減少する 1 2 .防災への問題意識 上昇する 強化する 上昇した 6 0 .9 5 6 .1 5 3 .3 強化した 上昇する 4 0 .0 上昇した 6 1 .0 2 8 .6 6 0 .9 5 3 .3 4 5 .9 2 4 .1 3 4 .9 2 9 .3 - 5 .2 低下した - 6 .3 低下する 1 3 .防犯への問題意識 - 5 .9 不十分なまま - 4 .9 0 .0 0 .0 不十分なまま 低下した 低下する 1 4 .金融機関貸出態度 ゆるくなる 上昇する ゆるくなった 5 7 .6 上昇した 4 .8 - 2 0 .5 4 7 .3 8 .4 - 2 7 .7 - 1 5 .7 5 7 .6 - 1 9 .3 厳しくなった 4 7 .3 厳しくなる 0 .0 0 .0 低下した 低下する ©ABLE Research International Ltd All rights reserved. Ⅳ.賃貸経営における悩みや問題点 賃貸経営における悩みや問題点については、自由記述のところ 17 件の意見が寄せられた。 全体の 1/3 が「空室」に関する悩みで、次いで「リフォーム・設備」、「家賃下落」となった。オーナーにと って、これら「賃貸経営の収益が圧迫される要因」は深刻な問題であることが明らかになった。 「入居者マナーの低下」や「入居者トラブル」も、退去者を生み、長期空室の引き金となる。このような状 況下では、募集や管理など、仲介・管理会社への希望や要望が伺えた。 1.賃貸経営における悩み 賃貸経営における悩み 空室の要因に「旧耐震の物件の入居者募集 に時間がかかった」という意見が見られた。 空室 リフォーム・設備 家賃下落 リフォーム・設備については、「現状の間 取りの見直し」や「時代に合った部屋作り」 という前向きな悩みがあげられた。 入居者マナー 入居者マナーやトラブルでは、世代や家族 トラブル 構成の違いによる意識のずれが要因になる 募集対応 管理会社対応 ようだ。「単身者とファミリー世帯間の音の トラブル」や「生活に対する考え方が変化」 という意見があげられた。 ©ABLE Research International Ltd All rights reserved. エイブル賃貸市場観測調査(エイブル観測)の概要 1.目的 本調査は、日本における居住用不動産賃貸市場の景況感(先行き)について明らかにすることにより、日本の 居住用不動産賃貸市場の予測可能性およびリスク管理に関する研究のための参考となる基礎資料の蓄積を図り、 日本における健全かつ合理的な居住用不動産賃貸市場の育成に寄与することを目的とする。 2.調査対象 賃貸不動産物件オーナー 3.調査時期 毎年 5 月、11 月に定期的に観測する 2011 年度はプレ調査として 11 月 26 日(土)に実施した 4.調査項目 「物件所有者プロフィール(属性)」「所有物件の状況」「賃貸経営の現状と見通し」等 5.調査方法 対面での調査票への記入によるアンケート調査 ・プレ調査 2011 年 11 月 26 日開催「エイブル賃貸経営フェア」(エイブル主催、於:横浜ワールドポーターズ 6 階イベン トホール)に来場された、賃貸物件所有者(オーナー)のうち、100 名を対象に実施した。 ・本調査(予定) 2012 年 5 月に予定。首都圏(1都3県)の賃貸物件所有者(オーナー)1000 名以上を対象に実施する。 6.調査機関 株式会社エイブルリサーチ・インターナショナル 千葉商科大学教授 吉田靖 7.協力 株式会社エイブル 【お問い合わせ】 株式会社エイブルリサーチ・インターナショナル TEL:03-5414-0636 FAX:03-5414-0602 ©ABLE Research International Ltd All rights reserved.
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