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事例発表「 TOTO (滋賀工場)のグリーン購入および廃棄物対策の取り組み 」
東陶機器㈱滋賀工場
総務グループリーダー
伊藤 健二 さん
本日はこのような場で報告の機会をいただき、皆様からのご批評により当社のレベルを知り
たいという思いもあり発表をさせていただきます。なお本日お話する内容は当社のホームペー
ジにほとんど公開されていますので、ご興味のある方はご覧いただければと思います。
(TOTOの環境関係ホームページは http://www.toto.co.jp/kankyo/intro.htm をご覧ください。
)
Ⅰ.当社の概要
創
立:
1917年(大正6年)
※今年で85周年を迎える
資本金:
356億円
従業員:
単独 9,000名,
連結17,500名
売上高:
単独 3,600億円,
連結
営業品目:
4,200億円
(昨年度実績)
衛生陶器(大便器、小便器など)
温水洗浄便器(ウォシュレットなど)
各種水洗金具、給湯器、システムキッチンなど
水周りを中心とした住宅設備機器の製造販売
代表的な
① 節水と掃除のし易さを狙った腰掛け便器 「ネオレスト」
環境商品
② 一晩で床がきれいに乾く「カラリ床」のシステムバスルーム 「フローピア」
③ 水の流れで発電した電気をコンデンサーに蓄え、吐水を ON/OFF する自動
水栓「アクアオート」
※グリーン購入法「特定調達品目」指定商品
上記の商品はいずれも今回の「環境ビジネスメッセ」で商品展示をしている。
Ⅱ.製品のライフサイクルについて
近年、お客様の満足を高め技術開発力で商品を差別化するといったこと以上に、環境に配慮
するということが経営にとって非常に重要な課題になってきている。具体的には商品の開発・
生産・流通・使用期間・廃棄といった製品のライフサイクル全般にわたって環境負荷を考慮す
ることが非常に重視されるようになっている。廃棄物はリサイクルすれば資源になるが、そう
でなければ環境汚染や処分場の逼迫といった問題を引き起こすことになる。
〔TOTO の取り組み内容〕
開発・設計段階
リデユ―ス・リユース・リサイクルの3R に配慮
環境に優しいエコ商品の開発
生産段階
グリーン購入・排出物の削減・製造過程での環境負荷の削減
流通・販売段階
省包装・省梱包・輸送の効率化
使用段階
省エネルギー・商品の長寿命化・節水設計
廃棄段階
リサイクルシステムの確立
Ⅲ.TOTO での環境への取り組みの経過
1991年以後、4次にわたり以下のような行動計画を立案し、推進している。
1993年「TOTO 地球環境方針」で環境理念と五つの行動指針を定める。
第1次行動計画(1991年〜)
◎社長を委員長とする「地球環境対策委員会」を発足させ「TOTO 地球環境方針」に対す
る中長期的計画の策定と遂行状況の確認を行う。委員会の下に六つの専門部会を設ける。
◎古紙の分別回収によるリサイクルの拡大・再生紙の利用促進・包装材料の減量化の推
進・発泡スチロールの代替品へ切り替え などの取り組みを始める。
第2次行動計画(1993年〜)
◎ISO14001認証取得の取り組みを開始
第3次行動計画(1998年〜)
◎ISO14001の認証取得を国内全工場とグループ会社20拠点すべてで完了。環境配
慮商品化率の拡大を目標とした活動を始める。
◎1998年に環境報告書を発行。1999年から環境会計を導入。
第4次行動計画(2001年〜)
◎環境配慮商品の開発を強化し、新商品の90%が環境配慮商品となった。
◎「2003年度までに国内全工場とグループ全社でゼロエミッション達成」を目標に
活動を開始。
(TOTO 本体の工場では既に全工場ゼロエミッションを達成済み)
◎グリーン購入の推進・使用済み製品の回収処理システムの検討を進める。
Ⅳ.グリーン購入(調達)への取り組み
「購買基本方針」と「購買部グリーン購入基準書」を当社の調達ホームページで公開している。
(TOTOの調達ホームページは http://www.toto-eps.gr.jp/をご覧ください。)
「購買基本方針」
◎相互信頼
◎公平公正
◎法及び機密保持の遵守
◎環境にやさしい調達
「環境にやさしい調達」の中で「TOTO はグリーン購入ネットワークに加盟し、率先し
て地球環境保全のためのグリーン購入を推進します。
」と明記をしている。
「購買部グリーン購入基準書」
1.取引先の評価・選定にあたっては3つの E(Excellent・Ecology・Eps)を備えてい
ることを条件としている。
(Eps とは TOTO のインターネット調達システムのことで、
これに加入していただくことにより購買を効率的に進めることを目的としている)
A,B,C の3段階のうち A ランクであることが選定基準となっており、具体的には
① ISO14001 を認証取得しているか、環境省の「環境活動評価プログラム」に参
加していること
② TOTO「E サプライヤー診断書」による評価が80点以上であること
が条件となっている。
2.購入品の評価・選定については、次のような購入基準を設定している。
(例)コピー用紙
古紙100%、白色度70%以下
トイレットペーパ
古紙100%
作業服・事務服
再生 PET 樹脂素材50%以上
コピー機・パソコン
国際エネルギースター計画基準に適合していること
原材料
使用禁止物質を含まず、廃棄時に有害物質の放出が
ないこと
〔文具・事務用品のグリーン購入の推進〕
購買の効率化を図るため、社内イントラネットを使っているが、要求部門は以下の条件を
満たしたグリーン購入基準品しか購入出来ない仕組みになっており、文具・事務用品に関
して当社のグリーン購入率は100%となっている。
① エコマーク・グリーンマークなどの環境ラベルを取得していること
②「GPN データーベース」の登録品であること
③ GPNの購入ガイドラインに適合していること
〔グリーン購入品目の展開予定〕
2001年度まで
文具・事務用品・事務機器・印刷物
2002年度上期まで
原材料・包装材料・安全衛生商品・合成樹脂 (以上は達成済)
2002年度下期以降
化学工業製品・燃料・道工具・生産設備・物流設備
Ⅴ.滋賀工場の廃棄物対策について
所 在 地:
滋賀県甲賀郡甲西町
操業開始:
1962年(昭和37年)
生産品目:
衛生陶器・人工大理石の浴槽
従 業 員:
380名(協力企業含め約800名)
敷地面積:
198,000㎡(甲子園球場の約 5 倍)
1.ゼロエミッションを目指し、1996年に工場長を委員長とする「廃棄物対策委員会」を
設置し、委員会の下に専門部会を設けて毎月、進捗状況の確認を行う。
2.廃棄物の置き場として「リサイクルステーション」(延べ床面積約70坪)を設置。内部
は19のセルに分割されており、廃棄物は43種類に分別して排出している。当初82%
であったリサイクル率を1996年には89%まで向上させた。
3.1997年度から98年度にかけて製品の製造過程で出てくる廃棄物のリサイクルに取り
組み、その結果として98年度末にはリサイクル率を97%まで持っていくことが出来た。
①人工大理石「ネオマーブライトバス」の場合は金型に樹脂を注入した後、バリ切り面取り
をする際に樹脂屑が発生するが、これをペレット状に細かく裁断することにより樹脂の再
利用を行っている。
②衛生陶器の成型工程で形を作った後の排水中の泥床や、製釉工程で発生する飛散した上薬
なども回収して再利用している。
③細かいところでは成型工程で品物の表面を濡れたスポンジでなぞって成型するが、そのス
ポンジについた泥も回収するということまで実施している。
4.97%のリサイクル率を100%にまで持っていくのは大変であったが、一般廃棄物の紙
クズ・不燃物・プラスチックなどコマゴマした物までリサイクルできる処理業者を開拓し
た結果、1999年12月には念願のゼロエミッションを達成することが出来た。また廃
棄物の総排出量についても1995年を100とした場合、2001年には34%にまで
減量する成果を上げている。
5.ゼロエミッションの基準としては埋め立て廃棄物をゼロにし、後はすべてリサイクルする
ということになっており、最低でもサーマルリサイクル(現状は1%)するということに
なっている。マテリアルリサイクルの部分で廃棄量の50%を占める泥しょう(プレス土)
は瓦の原料として利用されている。
6.今後の取り組みとしては
型生産システムの構築
リサイクル率100%の維持
総排出量の更なる低減
循環
を目標に進めていく方針である。
以上