不動産ウォッチ2012 Vol.3 有限会社アプレイザルカンサイ 不動産鑑定士 玉原栄治 不動産鑑定士 松葉貴信 Tel 06-6252-2271 URL:http://www.apkansai.com ※各メディアの(H24 年 6 月)情報から抜粋しております。 ① 不動産業の景気動向 2 か月連続の減 帝国データバンクの調査によると、不動産業の 5 月の景気動向指数(50 が判断の分かれ目)は 37.9 で前月比 0.3 ポイント減少した。2 か月連続ので悪化した。 現在の景況感について事業者からは、「賃貸の空室率が低下し、稼働率が向上している」という意見がある 一方、「地方都市では所得水準の低下や企業収益の低下によって購買意欲が低下し、流通も鈍化している」や 「入居率に変化はないが、賃料の下げ圧力が変わらない」といった声が聞かれている。 景気動向調査は、2 万 2955 社に対して実施。1 万 467 社(不動産業は 263 社)から回答を得た。 ② 住宅着工・年率換算 90.3 万戸に、4 カ月連続で前年比増 国土交通省の調査によると、5 月の新設住宅着工戸数は 6 万 9638 戸で前年を 9.3%上回った。これで 4 カ月 連続して前年を上回っており、季節要因を調整した年率換算値は 90 万 3000 戸。3 カ月ぶりに 90 万戸台を回復 した。同省では、「緩やかながらも持ち直し基調が見られる。ただ、雇用環境は非常に重要で、今後の動向を慎 重に見極める必要がある」と判断している。 ③ 消費税の負担軽減措置を要望!! (社)住宅生産団体連合会(住団連)は 5 月 31 日、2012 年度総会および理事会を開催した。 12 年度は、重点事項として、(1)経済活性化と住生活の向上に向けた、住宅税制・金融への取り組み、(2)環境 問題に対する取り組み、(3)安全・安心な住まいの確保への取り組み、(4)ストック型社会の実現に向けた、良質 な住宅ストックの循環活用促進などへの取り組みを挙げた。 同日会見した樋口武男会長は「多くの諸外国では、住宅に係る消費税について、政策的に軽減措置がとられ ている。長期にわたって使用する住宅に対して、消費税が一律に課税されるのは、いかがなものか」と述べ、負 担軽減として、消費税率 5%を超える部分の金額は、還付または給付を要望していくことを明らかにした。 また、「消費税 5%の引き上げの際は、住宅着工が駆け込み需要によって 10 万戸増加したが、その後、反動で 20 万戸減少し、雇用も 80 万人減ってしまった。住宅産業は裾野が広く、経済に与える影響は大きい。政府には、 社会保障と税制一体改革に加えて、経済対策をお願いしたい」と語り、経済の立て直しを図るためにも、内需の 柱である住宅に力を入れて、政策的配慮を陳情していく意向を明らかにした。 ④ 「行政事業レビュー」スタート、国交省の対象は「地価公示」など 内閣府行政刷新会議の方針に基づき、各府省が主体的に行う「行政事業レビュー・公開プロセス(以下、事業 レビュー)」が、6 月 7 日から始まった。 事業レビューは、各府省が外部の有識者を入れて公開の場で事業の検証を行うもの。対象となる事業の見直 しや改善方法などについて話し合う。この場で決定されたことに拘束力はないが、「国民の皆さんに見てもら い、議論していただくための場所づくり。オープンにしていることが重要」と行政刷新会議では話している。 今回の事業レビューの対象は、14 府省の約 90 事業。国土交通省では、「地価公示」「都市防災関連事業」「地 震津波観測」など 10 事業が議題に上っている。日程は 6 月 13 日と 15 日。場所は気象庁講堂。傍聴可能。 事業レビューは 2010 年から始まっているもので、毎年実施することが決まっている。行政刷新会議が主体と なって行う「事業仕分け」とは異なる。 ⑤ 津波法のオレンジ・レッドゾーン規制施行 重説事項など追加/国交省 既に一部が施行されている「津波防災地域づくりに関する法律」(津波法)に関し、未施行の部分が 6 月 13 日に施行となり、併せて整備法令も施行された。 この中で、宅建業法施行令が改正され、広告の開始時期、契約締結時期の制限及び重要事項説明に関し、 津波災害特別警戒区域(オレンジ・レッドゾーン)における土地利用規制が追加された。内容は、(1)津波災 害特別警戒区域における特定開発行為の制限、(2)(1)の許可事項の変更の許可、(3)同区域における特定建 築行為の制限、(4)(3)の許可事項の変更の許可。 津波が発生した場合に建築物が損壊・浸水し、住民等の生命・身体に著しい危害を生じるおそれがある 区域で、一定の開発行為、建築を制限すべき区域を都道府県知事が津波災害特別警戒区域として指定でき る。このうち、一定の病院・学校などについては、病室などの床の高さを基準水位以上と定めるのだが、 これがオレンジゾーン。住宅などについては、更に規制を強化することができ、これをレッドゾーンと呼 ぶ。 ⑥ 中古住宅市場が 16 兆円規模へ 中古住宅の流通額は 10 年度の 2 兆 3853 億円から 15 年度には 2 兆 7282 億円に増加するという予測結果 がまとまった。住宅・不動産市場研究会代表で明海大学名誉教授の伊豆宏氏が 6 月 4 日に発表した。流通 件数をベースに流通額の予測が行われたのは初めて。 地域別に見ると東京圏が最も多く、10 年度の 1 兆 2634 億円から 15 年度は 1 兆 4709 億円に増大する。 同様に近畿圏は 4980 億円から 5631 億円に、東海は 403 億円から 599 億円に増大する。 タイプ別ではマンションが同様に 1 兆 4479 億円から 1 兆 5611 億円に、 戸建てが 9374 億円から 1 兆 1671 億円に増大する。マンションの方が額は大きい。 これらは、不動産流通機構の成約件数ベースをもとにしているので、全数はカバーしていない。中古住 宅流通総数に補正すると、総額が 10 年度は 14 兆 9694 億円から 15 年度には 16 兆 9286 億円に達する。ち なみに、 これは同研究会が予測している 15 年度の住宅着工工事額とリフォーム工事額を合わせた 16 兆 6007 億円を上回る膨大な金額となる。 ⑦ 近畿圏マンション、契約率 3 ヵ月連続の 70%超え (株)不動産経済研究所は 18 日、5 月の近畿圏マンション市場動向を発表した。 同月の近畿圏マンション発売戸数は、 大型物件が市場を牽引したことにより 2,060 戸 (前年同月比 15.7% 増)と増加。月間契約率は 75.3%(同▲2.3 ポイント)で、3 ヵ月連続の 70%超えとなった。 1 戸当たり平均価格は 3,441 万円(同▲1.6%)と 2 ヵ月連続の下落。一方、1 平方メートル当たり単価 は 48 万 5,000 円(同 1.7%増)と 2 ヵ月ぶりの増加。販売在庫数は 2,744 戸で、前月末比で 66 戸の減少 であった。 即日完売物件は「ウェリス西宮北口高木レジデンス」 (兵庫県西宮市、29 戸、平均価格 4,955 万円、平 均 2.6 倍、最高 6 倍)など、5 物件 90 戸。 なお、6 月の発売戸数は 2,700 戸程度の見込み。 ⑧ 首都圏中古マンション価格、下落傾向続く (株)東京カンテイは 20 日、2012 年 5 月の三大都市圏・主要都市別の「中古マンション 70 平方メート ル価格月別推移」を発表した。同社データベースに登録された中古マンション(ファミリータイプ)の「売 り希望価格」を行政区単位に集計算出、70 平方メートル当たりに換算したもの。 首都圏の中古マンション価格は 2,880 万円(前月比▲0.4%)と、12 年に入って以降下落傾向が続いて いる。都県別では東京都が 3,699 万円(同▲0.3%)と 15 ヵ月連続の下落。また、埼玉県が 1,849 万円(同 0.2%増)と反転上昇したものの、神奈川県(2,465 万円、同▲0.7%)や千葉県(1,844 万円、同▲0.5%) が引き続き下落傾向となり、全般的なに弱含み基調が続いている。 近畿圏の中古マンション価格は 1,796 万円(同▲0.7%)と 3 ヵ月連続の下落となり、10 年 8 月以来維 持してきた 1,800 万円台を割り込む結果に。地域別では大阪府が 1,827 万円(同▲0.5%)と下落が継続。 一方、兵庫県は 1,819 万円(同▲1.0%)と反転下落し、連続上昇が 4 ヵ月でストップする結果となった。 中部圏は 1,497 万円(同▲0.9%) 、愛知県は 1,533 万円(同▲0.4%)だった。 ⑨ 湾岸エリアの下落が鮮明 利便性と賃料バランス重視 東京カンテイ(東京都品川区)がまとめた 3 大都市圏における 5 月の分譲マンション賃料(1 平方メートル 換算)によると、首都圏(2490 円、前月比 0.6%下落)では湾岸エリアの賃料水準の下落傾向がより鮮明にな っていることが分かった。 東京 23 区(3019 円、同 0.4%下落)のうち、都心 6 区は 3500 円強でほぼ下げ止まっているが、城東 7 区が 昨年発生した東日本大震災以降弱含みを続けている。特に、江東区と荒川区の下落基調が強い。 同様の傾向は神奈川県(2042 円、同 0.8%下落)内でも見られる。藤沢市は、2011 年 3 月時点で 2003 円だ った賃料が今月は 1798 円に低下。津波や液状化の発生を懸念して、湾岸エリアを避ける傾向とみてよさそ うだ。 ただし、こうした傾向は、同じく湾岸エリアを含む横浜市(2180 円、同 1.2%下落)などには当てはまらな い。同市は平均築年数がやや古くなったことで下げたが、実質的には横ばい基調。 『湾岸』という理由のみ で敬遠するわけではなく、あくまで利便性と賃料水準とのバランスを考慮したうえで立地を選んでいると みられる。 ⑩ 今後のマンション需要、大幅な減少はない (株)長谷工総合研究所は 20 日、首都圏・近畿圏における今後の住宅・マンションに対する潜在需要の 考え方について検討、その内容を発表した。2011 年 10 月に公表された「国勢調査」 (10 年実施)の確定値 や国立社会保障・人口問題研究所の推計値、持家率、住宅着工戸数、中古住宅の成約件数などをもとに検 証したもの。 住宅に対する潜在需要は長期的には人口・世帯の動向、特に世帯数の増減に左右されると指摘。家族類 型別に世帯数をみると、単独世帯が占める割合が首都圏では 25.4%(1980 年)から 37.2%(2010 年)へ、 近畿圏では 20.1%(同年)から 32.7%(同年)へと、それぞれ上昇。一方、ファミリー世帯は、首都圏で 45.2%(同)から 28.5%、近畿圏で 45.1%(同)から 29.2%(同)にまで低下している。もっとも世帯 数そのものの絶対数では大幅な減少はないとした。 また、両エリアとも若年層での持ち家率が低下。マンション価格の上昇などによる一次取得者向けのマ ンションの供給減少などが背景にあると分析した。 一方、05~10 年における首都圏と近畿圏の持ち家ストックの増加数に占めるマンションの割合を算出。 首都圏は 51.7%(00~05 年は 54.3%)、近畿圏は 49.2%(同 50.3%)と若干減少傾向にあるものの、50% 程度で推移。分譲戸建てや中古住宅については、増加傾向にあるものの、新規分譲マンションの減少分を 補うほどではないと分かった。 これらを踏まえ同社では、08 年以降のマンション供給の大幅減によって、マンションに対する需要不足 を懸念する声もあるが、新築マンションに対する潜在需要が大幅に減少する状況ではないと分析。魅力あ る大規模物件や一時取得者向け物件の供給増によって、潜在需要の顕著化ができると指摘した。 ⑪ 首都圏分譲マンション賃料、5 ヵ月連続の下落 (株)東京カンテイは 13 日、2012 年 5 月の三大都市圏(主要都市別)における分譲マンション賃料調 査を発表した。 同月の首都圏分譲マンションの平均賃料は、1 平方メートル当たり 2,490 円(前月比▲0.6%)で、5 ヵ 月連続の下落。都県別でも、東京都 2,915 円(同▲0.5%) 、神奈川県 2,042 円(同▲0.8%) 、埼玉県 1,601 円(同▲1.2%) 、千葉県 1,518 円(同▲0.3%)と 1 都 3 県全てで下落した。 都市圏別では、東京 23 区が 3,019 円(同▲0.4%) 。都心部では堅調に推移しているものの、城東エリア が弱含みとなったことで押し下げられた。横浜市は 2,180 円(同▲1.2%) 、千葉市は 1,485 円(同▲1.5%) と下落。横浜市は、平均築年数の進行によるもので、実質的には横ばい傾向。 近畿圏は 4 月に 1,715 円とやや戻していたが、今月は 1,709 円(同▲0.3%)と再び下落。中部圏は 1,486 円(同▲0.5%)で、4 ヵ月連続の下落となり、軟調傾向が目立っている。 ⑫ 1 棟マンションの表面利回り、今年最高に!! 不動産情報サイト「楽待」 (http://www.rakumachi.jp)を運営する(株)ファーストロジックは 15 日、 2012 年 5 月期の「投資用 市場動向データ」の調査結果を発表した。08 年 8 月 1 日~12 年 5 月 31 日の期 間に、同サイトに新規登録された物件を分析したもの。 投資用 1 棟マンションの表面利回りは 10.12%(前月比 0.43%アップ、前年同月比 0.66%アップ)と大 きく上昇し、 今年最高に。 1 棟アパートの表面利回りは 10.89% (前月比 0.04%アップ、 前年同月比▲0.04%) と微増となったが、前月比では 11 年 8 月より横ばい傾向が続いている。 投資用区分所有マンションは 11.01%(前月比▲0.30%、前年同月比 0.01%アップ)と前月比ではわず かながら下降している。 ⑬ 東京のオフィスビル空室率、新規供給の影響で上昇 三鬼商事(株)は 8 日、2012 年 5 月末時点のオフィスビル市況調査を発表した。 東京ビジネス地区(都心 5 区)の平均空室率は 9.40%(前月比 0.17 ポイント上昇) 。新規供給の影響で 空室面積は約 1 万 5,000 坪増加し、平均空室率は 2 ヵ月連続で上昇した。新築ビルの空室率は、大規模ビ ルを含む新築ビル 3 棟(延床面積合計:約 8 万 3,000 坪)が募集面積を残して竣工したため、39.16%(同 3.51 ポイント上昇) 。平均賃料(坪単価)は、新築が 2 万 2,804 円(同 305 円増) 、既存ビルが 1 万 6,575 円(同▲2 円)となった。 大阪ビジネス地区の平均空室率は 10.19%(同▲0.06 ポイント)と、横ばいで推移。新築ビルの空室率 は 65.13%(同変化なし)となった。既存ビルでは、中小規模の需要のほか売却や自社使用に伴う募集中 止などの動きが見られたため、10.03%(同▲0.06 ポイント)の低下にとどまった。平均賃料は新築が 1 万 7,166 円(同変化なし) 、既存ビルが 1 万 1,392 円(同▲20 円) 。 ⑭ 東京のオフィス空室率、連続下落も下落率は鈍化傾向 ジョーンズ ラング ラサール(株) (JLL)は 5 日、2012 年第 1 四半期「アジア・パシフィック地域不動 産レポート」を発表した。 同調査は、東京を中心とした不動産市場の需給、空室状況、賃料・価格動向を同社が独自に分析し、ま とめたもの。 当期の東京オフィス市場は、A グレードビルオフィスビルの坪当たりの平均月額賃料が 2 万 7,005 円(前 期比▲0.9%)と、16 四半期連続の下落となったが、4 四半期連続で下落率 1%を下回った。 空室率は 3.4%(前期比▲0.2 ポイント)とさらに改善し、2 四半期連続で需給の均衡を示すとされる 4 ~5%の水準を下回った。 当期の新規供給は 3 棟、貸床面積 12 万 1,000 平方メートルとなり、ストックは前期比で 2.8%増加。通 年の新規供給は 9 棟、貸床面積 36 万平方メートルが予定されており、ストックは前年比 8.4%増加する見 通しとなった。 同社では、12 年の新規供給の契約率が上昇していることや、割安な賃料相場の基での新築・ハイスペッ クのオフィスビルの需要は引き続き底堅く推移すると見込まれることから、需給バランスは比較的タイト に推移する、と分析している。 大阪のオフィス市場は A グレードオフィスビルの坪当たりの平均月額賃料が 1 万 880 円(前期比▲0.4%) となった。表面賃料は概ね横ばいで推移しているものの、実効賃料は依然フリーレントの増加傾向が続い ていることから引き続き緩やかに下落し、13 年の大量供給を控え賃貸市場がテナント優位にある状況を示 した。 空室率は 5.1%(前期比▲1.6 ポイント)とさらに改善した。 また、JREIT 市場については、当期での新規上場は見られず、同期末時点で時価総額 3 兆 6,000 億円(前 期末より 22.4 ポイント増) 、平均分配金利回りは 5.2%となった。 ⑮ 世界の商業用不動産投資、日本の物流に人気 ジョーンズラングラサールがまとめたレポートによると、2012 年第 1 四半期の世界の商業用不動産への 直接投資は、前年同期の 970 億ドルから 21%減の 770 億ドルに減少した。このうちクロスボーダー投資は 全取引高の 39%と 10 年第 3 四半期以来の低い水準となった。 同期のアジア・パシフィック地域への直接投資は 200 億ドルで、前期比、前年同期比 28%減と大きく減 少。日本へのクロスボーダー投資額は大規模なロジスティクス 2 案件の取引などがあり大幅に増加した。 また同地域からは 57 億ドルの資本が地域外に流出した一方、流入額は 4 億ドルにとどまった。アジアの年 金基金がアジア市場を離れて、世界的な分散投資を行っているのが要因。 同社によると、 「投資家は日本、オーストラリア、アジア・パシフィック全域のリテール、ロジスティク ス・セクターに注目している。過去 3 カ月に日本のロジスティクス不動産には 25 億ドルが投資されている」 としている。 ⑯ 物流施設の需給バランス、向こう 2 年は安定 (株)一五不動産情報サービスは 29 日、 「物流施設の賃貸マーケットに関する短期予測」 (2012 年版) の結果を発表した。調査対象は延床面積または敷地面積が 5,000 平方メートル以上の東京圏の賃貸物流施 設 184 棟。最新データである 12 年 4 月から起算して 2 年後の 14 年 4 月までの予測を行なったもの。空室 率の予測は、新規供給と新規需要をそれぞれ予測して分析。新規供給の予測は、開発予定の物流施設の床 面積を累計して算出している。他方、新規需要の予測はマーケットデータおよび経済指標を用いて新規需 要モデルを構築し、モデル式によって予測。また、賃料の予測は空室率と賃料の関連性を分析した上で、 空室率の予測結果から賃料の将来見通しへ導いた。 東京圏の需給バランスの予測結果は、12 年後半から 13 年前半まで概ね均衡と予測。13 年後半にはマル チテナント型物流施設の新規供給が相次ぐため、13 年 8~10 月の新規供給は 51.2 万平方メートルまで増 加し、需給バランスは緩和方向にシフトしていくとした。 空室率の予測では、13 年 7 月まで空室率は 2%台で推移するが、13 年 10 月には 4.2%まで上昇する見通 し。一方、テナントが利用中の面積を示す稼働面積(薄赤面)は堅調な推移で、12 年 4 月の 650.5 万平方 メートルから 14 年 4 月には 832.7 万平方メートルにまで拡大すると予測した。 賃料水準の予測は、12 年 4 月はの 3,920 円/坪のところ、13 年 4 月に 4,000 円/坪、14 年 4 月に 4,050 円/坪まで上昇する見通しとした。もっとも、2 年間の賃料上昇幅は 120 円/坪で、プラス 3.1%に留ま るとし、賃料水準の大幅な上昇は期待できず、上値の重い展開が続くと予想した。 ⑰ 大阪市西淀川区で大型マルチテナント型物流施設を竣工 プロロジスは 5 日、大型マルチテナント型物流施設「プロロジスパーク大阪 4」 (大阪市西淀川区)の竣 工式を執り行なった。 同施設は、大阪市中心部より約 8km、阪神高速 5 号湾岸線中島出入口から約 500m、同 3 号神戸線大和田 出入口より約 4km の地点に立地する地上 5 階建ての大型物流施設。大阪港、神戸港、関西国際空港や伊丹 空港からのアクセスが良好で、物流拠点として優れたエリアに位置する。敷地面積約 5 万 4,500 平方メー トル、延床面積約 12 万 7,200 平方メートル。 環境配慮型証明器具の採用や、雨水の再利用、敷地内の緑化などに取り組み、環境にやさしく省エネに 貢献する建物として CASBEE 大阪 A ランク認証を受けている。 なお、現時点で入居企業はソフトバンク・フレームワークス(株)が決定しているが、引き続き入居企 業を募集中。 ⑱ 三菱地所 中国・成都で大規模開発 分譲マンション 3400 戸 三菱地所は 6 月 12 日、中国四川省成都市で大規模住宅開発を行うと発表した。成都市の龍泉駅区の 7.5 ヘ クタールの敷地に総戸数約 3400 戸の分譲マンションを開発する。2012 年末に着工する予定。 中国で複数の住宅開発プロジェクトの実績を持つシンガポールの Surbana 社との共同事業となる。三菱地所 は、SPC を通じてエクイティ総額の 30%を出資する。 同社は中国で、2011 年 4 月に上海駐在員事務所を開設した。これまでにアウトレット事業(瀋陽)や住宅と商業 施設の複合開発(蘇州工業園区)、大規模住宅事業(上海市嘉定区)への参画を発表している。 以上
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