ガイダンス。

証券市場論
非常勤講師
福田
徹(公益財団法人
日本証券経済研究所)
○証券市場論とは
中央政府、地方自治体、法人企業等の資金不足の主体が証券を発行し、不特定多数の
多様な投資家(この中には、貯蓄超過の家計の他に、一時的な余裕資金を運用する中央
政府、地方自治体、法人企業が含まれる)がそれを購入することによって、資金が融通
され、経済成長が促進される。
近年、経済の中での証券市場の重要性は増大している。多様な証券が発行できるよう
になり、様々な資金調達、運用ニーズに対応できるようになったために、我々が証券と
向き合う機会も増えているのも確かだろう。
証券市場論は、このプロセスに関わる幅広い知識を得るための学問である。具体的に
は、発行される証券の種類及びそれらの性格、証券取引を担う証券市場、それらに関わ
るプレーヤーが対象となる。また、これら対象を十分に理解した上で、証券市場全体の
メカニズムを把握することもこの講義の目的である。
本講義では、発行市場、流通市場、証券会社等によって支えられる証券市場のメカニ
ズムに関する基本的な内容の把握を目標とする。さらには、それらで取引される株式、
債券に対する基礎的な知識を身につけることを全体の目的とする。
○証券市場論の効用
本講義では、証券に関する幅広い知識を取得することを主眼としている。従って、効
用は次の二点である。最初に挙げられるのは、実社会において役立つことである。日本
経済新聞の証券面をほぼ理解することが可能となり、証券会社、銀行に就職した際に必
ず必要となる二種証券外務員試験に合格するための基礎知識を習得することが挙げられ
る。また、自分自身の資産形成にも役立つと思われる。
二点目は、他の研究領域とのシナジー効果である。つまり、証券市場論を学ぶことで、
他の研究領域の理解が一層深まるようになる。証券市場論と関連する研究領域は幅広い。
資金運用に関するものである「投資理論」、企業の資金調達に関するものである「コーポ
レート・ファイナンス」、企業の財務情報に関わるものである「会計学」、証券規制に関
わるものである「会社法」、「金融商品取引法」などがある。証券市場論における知識を
取得することで、以上の研究領域の垣根が低くなるのである。
○スケジュール
1.ガイダンス。
2.証券および証券市場とはなにか。
3.実体経済における証券市場の役割。
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4.株式とはなにか。
5.株式の価格形成を考える。
6.株式の発行および流通市場について。
7.債券とはなにか。
8.債券の価格形成を考える。
9.債券の発行および流通市場について。
10.投資信託とはなにか。
11.派生証券とはなにか。
12.資産形成を行う上での考え方。
13.証券会社の機能。
14.監督機関および自主規制機関の役割。
15.まとめ。
16.定期試験。
○教科書
ホームページ上(http://torufukufc2.web.fc2.com/)に掲載する予定。
○成績評価の基準
学期末テスト(100 点)
レポート点(15 点、ただし学期末テストで合格点に達しない場合の救済点として利用)
発言点(5 点、ただし学期末テストで合格点に達しない場合の救済点として利用)
○参考書
証券市場全般に関する解説書
日本証券経済研究所『図説 日本の証券市場 2014 年版』、2014 年。
(http://www.jsri.or.jp/publish/market/market_25.html)
氏家純一編『日本の資本市場』東洋経済新報社、2002 年。
市場の取引メカニズムに関する解説書
ラリー・ハリス著、宇佐美洋監訳『市場と取引』(上)(下)東洋経済新報社、2006 年。
ジョン・マクミラン著 、瀧澤 弘和、木村 友二共訳『市場を創る』NTT 出版、2007 年
投資運用に関する解説書
日本証券業協会『はじめての!資産運用(第 3 版)』、2014 年。
(http://www.jsda.or.jp/manabu/publications/files/shisan2.pdf)
ツヴィ・ボディ、アレックス・ケイン、アラン・J・マーカス共著、堀内昭義訳『証券投
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資(上)』、『証券投資(下)』東洋経済新報社、2003 年。
ニーアル・ファーガソン著、仙名紀訳『マネーの進化史』早川書房、2009 年。
バートン・マルキール著、井出正介訳『ウォール街のランダム・ウォーカー(新版)』日
本経済新聞社、2004 年。
ビクター・ニーダフォッファ、ローレル・ケナー共著、柳沢逸司訳『実践的スペキュレ
ーション』現代書林、2004 年。
資金調達に関する解説書
ステファン・ロス、ランドルフ・ウエスターフィールド、ジェフリー・ジャフィー共著、
大野薫訳『コーポレートファイナンスの原理』金融財政事情研究会、2004 年。
証券市場を舞台とした小説
幸田真音著『日本国債』
(上)(下)
、講談社文庫、2003 年(初版は 2000 年)。
城山三郎著『乗取り』新潮文庫、1978 年。
清水一行著『小説
兜町(シマ)
』角川文庫、1983 年(初版は 1966 年)。
________『兜町物語』角川文庫、1991 年。
________『相場師』角川文庫、1986 年。
高杉 良著『小説 巨大(ガリバー)証券』講談社文庫、1991 年(初版は 1990 年)。
________『小説
新巨大証券』(上)(下)、講談社文庫、1997 年(初版は 1995 年)。
マイケル・ルイス著、東江 一紀訳『ライアーズ・ポーカー』パンローリング、2006 年
証券市場を舞台とした映画
J・C・チャンダー監督『マージン・コール』2011 年。
オリヴァー・ストーン監督『ウォール街』1987 年。
ジェームズ・ディアデン監督『マネートレーダー 銀行崩壊』1998 年。
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