〔景品類の提供の基準〕

〔景品類の提供の基準〕
提供者の主観的意図やその企画の名目を問わず、事業者が経済取引(銀行預金、賃貸、
交換等を含む)に伴う景品類、サービスの提供には、
「景品表示法」
「独禁法」などにより、
制限があります。事業者が営利を目的としない協同組合、学校法人、地方公共団体等が物
産展、バザー等の経済活動を行う場合は適用されますが、事業者が物品の供給を受ける場
合(中古車の買い取り等)は、適用されません。
商品、サービスの購入者または入店者(取引に付随)を対象とした懸賞による景品類の
提供は、個々の店舗が行う「一般懸賞」と商店街、同業組合などが時期を限って行う「共
同懸賞」に分かれます。
「総付け景品」は商品購入者または入店者の全員もしくは先着順に
景品類を提供するものです。取引を付随しない場合で、懸賞によるものは「オープン懸賞」
となります。
1、一般懸賞、共同懸賞、総付け景品の最高額
区
一
分
共
般
同
懸
懸
賞
取引価格
最高額
総額の最高限度
5000 円未満
取引価額の 20 倍
売上予定総額の2%
5000 円以上
10 万円
30 万円
賞
総 付 け 景 品
1000 円未満
200 円
1000 円以上
取引価額の 10 分の2
売上予定総額の3%
※ただし、医療用医薬品業、医療機器業、衛生検査所業は、医療機関等に対して景品類
の提供は禁止。出版物小売業は、総付け景品が 100 円または取引価額の7%のいずれか
高い額の範囲内。不動産業は、総付け景品が取引価額の 10%(上限は 100 万円)となっ
ています。
2、取引価額の算定
購入額が景品提供の算定の基準となりますが、総付け景品の場合、来店し商品を購入し
ない場合または購入額が 1000 円以下の場合は、1000 円が算定基準となります。一般懸
賞の場合は、来店し商品を購入しない場合または購入額が 100 円未満の場合は 100 円が
算定基準となります。また、商品を購入しない場合でも、その販売店の扱っている商品
が高額な場合、その店で扱っている商品の最低額が算定の基準となります。例えば住宅
の見学会等で景品を提供する場合は、その住宅の値段が算定基準となります。ただし自
動車販売店が自動車関連以外の商品(食料品、自転車など)を扱っている場合などは、
その商品の最低価格が算定基準となります。
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3、景品類の価額の算定
景品類と同じ物が市販されている場合はその価格となり、同じ物が市販されていない
場合は景品の提供者が入手した価格または類似品の価格を勘案し通常購入されるであろ
う価格となります。海外招待旅行も類似したツアーの価格が適用されます。また、1件
の取引において複数の企画がありそれぞれに当選する可能性があるときは、複数の最高
価格を合わせた価格が、景品の対象となります。なお、医薬品は薬事法により景品とし
て提供されることが禁止されています。
4、
「懸賞」とみなされるもの
抽選券、抽選機、あみだくじ、じゃんけんなどによる偶然性を利用するものと、勝者の
予想、クイズ、〇〇コンテストなどで優劣を競うものがあります。
5、景品規制の対象とならないもの
① 事業者が商品等の供給を受ける取引
② 原材料の取引
③ 取引の本来の内容をなすと認められるもの
④ セット販売のもの
例:雑誌の付録
例:ランチセット、パック旅行
⑤ オープン懸賞の当選者にたまたま事業者の商品購入者がいた場合
⑥ 商品購入者を紹介してくれた人への謝礼。ただし商品購入者にかぎる場合は除く。
⑦ 提供される者からみて対価を支払って取得すると考えにくいもの
例:表彰盾
⑧ 仕事の報酬などと認められる妥当な金品
⑨ 商品購入者に対する値引き
⑩ 商品のアフターサービスやメンテナンス
⑪ 商品の使用や役務に必要な物品やサービス
例:充電器、配送サービスなど
⑫ 見本その他宣伝用の物品またはサービス
⑬ 自店割引券その他割引を約する証票の配布
⑭ 開店披露、創業記念などの行事に際して提供する物品またはサービス
※ただし値引きに相当するものでも、「抽選の当選者」に限定したり、「プレゼント」など
と表記すれば、景品となり規制の対象となります。
「福袋」はそれ自体が商品とみなされ
て大丈夫ですが、懸賞景品そのものに対して対価を支払う場合は、刑法の「賭博及び富
くじ」に抵触する場合があるので注意が必要です。
6、共同懸賞
「共同懸賞」は、次の要件のいずれかに該当することが必要です。
① 一定の地域における小売業者などの相当多数が共同して行う場合
② 一定の商店街に属する小売業者、テナントなどの相当多数が共同して行う場合。ただ
し、中元、歳末などの時期において年 3 回を限度とし、かつ、年間通算して 70 日の
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期間内に行うもの。
③ 一定の地域において同業者の相当多数が共同して行う場合。ただし、同一メーカーの
販売店や○○販売グループなど系列が同じものや意図的に同業他社を除いたものが
行うものは一般懸賞となります。
7、オープン懸賞
商品購入や来店(取引付随)を条件としないで、郵便はがき(専用応募用紙のみは不可)
、
FAX,、電話、インターネットなどで応募すること、発表することが要件です。製造業者の
場合は系列店以外の店舗に専用応募用紙の設置も認められています。また購入する権利を
抽選により決めることもオープン懸賞と認められています。
最高額=制限なし
総額=制限なし
次のケースはオープン懸賞には該当しません。
① 商品などを購入することにより、経済上の利益の供給を受けることが可能または容易
になること。
② 自己と関連のある小売業者またはサービス業者の店舗への来店者のみに対し供給する
こと
③ 当選者発表を店舗内だけで行うこと
④ 応募者のほとんどを当選者とし、取りにこさせること
8、新聞のクーポン付き広告
クーポン券の部分を切り取って使用する、自己の供給する商品またはサービスの割引を
約する証票、見本等の無料提供を約する証票のことです。粗品、景品等との引き換え券は
新聞との取引付随となり新聞公正競争規約により禁止されています。
クーポン券の種類
① 割引券は割引額、割引率に制限はありませんが、100%割引はできません。
② 見本(等)請求券は、サンプルのほかサービスのお試し券、実売している商品の最小
単位のものも見本として表示すれば、引き換えできます。
③ 資料請求券は商品、サービスの説明資料であれば問題ありません。
④ 商品購入券は媒体の広告効果を調査するものであれば問題ありません。またセット販
売する場合は問題ありませんが、景品類を提供する表示はできません。
クーポン券の表示事項
広告主名、使用期限、サービス内容を表示してください。
注意事項
クーポン券はその利用者すべてに等しく提供されるものでなければなりません。従って
抽選による提供はできません。
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9、新聞の景品規制
① 新聞の一般懸賞、共同懸賞、総付け景品の最高額
区
分
一般懸賞
取引価額
最高額
総額の最高限度
5000 円未満
取引価額の 10 倍
売上予定総額の 0.7%
5000 円以上
5万円
共同懸賞
30 万円
総付け景品
取引価額の8%または6カ月
売上予定総額の3%
分の購読料の8%のいずれか
低い金額
② 共同懸賞
一定の地域内または商店街の共同懸賞に新聞社と新聞販売店が参加することは可能です。
地方の新聞販売店のみが共同懸賞を行う場合は、最高額は 15 万円で総額の限度は売上予定
総額の 1.5%という制限があります。ただし○○新聞系列の販売店がおこなうのは一般懸賞
となります。
③ 編集企画の場合
新聞社が、その新聞の編集に関連してアンケート、クイズなどの回答、将来の予想など
の募集を行い、その対象者を自己の発行する新聞購読者に限定しないで懸賞により景品類
を提供する場合、景品の最高額は3万円となります。
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