ガソリン価格は天井しらず!?これでいいの?

速 報
「ガソリン価格は天井しらず!?これでいいの?」
(社)札幌消費者協会 調査部
◆はじめに
原油価格の高騰は、先の見えないガソリン価格の値上がりに繋がり、いまや、深刻な社会問題として、市民生活に
大きな負担を強いている。私たちの日常生活が車社会の中で営まれている中で、このガソリン価格の高騰に対し、消
費者はどのように捉え、どのように対応しているのか、マイカー所有の方を対象にアンケート調査した。
◆調査概要
調査期間 平成 20 年 8 月 10 日から 9 月 10 日
調査対象 札幌市民および(社)札幌消費者協会価格調査モニター 計 325 人
調査方法 調査部員による聞き取り調査 価格調査モニターに対しては郵送による調査
・性別:男性が 140 人、女性が 185 人、
・年代:70 代 22 人、60 代 78 人 50 代 76 人、40 代 67 人、30 代 65 人、20 代 17 人
・職業:会社員 102 人、公務員 6 人、主婦 127 人、自営業 22 人、無職 34 人、学生 4 人
・車の使用目的は(主なもの2つ)買い物 225 人、レジャー135 人、通勤 96 人、家族の送迎 76 人である。
※参考 ガソリンの調査平均価格(調査部調べ、調査店舗数 フルサービス 43 店舗 セルフサービス 20 店舗)
フルサービス
セルフサービス
4月
5月
6月
7月
8月
9月
129.18 153.83 169.98 179.99 185.16 172.23
126.67 149.15 167.90 177.45 184.00 168.95
4 月期は暫定税率廃止のため、価格を下げています。
◆調査結果
問1 高騰する価格について、どのように考えますか。
(主なもの2つまで)
―「政府に価格抑制策や救済措置を是非やってほしい」が217人
ついで、「ガソリン税(暫定税率)を廃止してほしい」173 人、「代替燃料の実用化
を早急に進めてほしい」104 人、「元売や流通業界に価格の抑制のために経営努力
をしてほしい」35 人と続いた。
問2 ここ1ヶ月のガソリン代はいくらくらいですか
―「5,000 円以上~10,000 円未満」が37%(121 人)
「10,000 円以上~15,000 円未満」が 28%(92 人)、「5,000 円未満」が15%(48 人)
と続いた。「20,000 円以上」との回答は9%(28 人)あったが、うち、男性が 20 人で女
性はわずか 8 名であった。一方で「5,000 円未満」15%(48 人)のうち 36 人が女性で
あった。
月 の ガ ソリ ン代
11ヶヶ月のガソリン代
N=325
20 ,00 0円 以 上
1 5,0 00円 以 上
~ 20 ,00 0未 満
5,000 円未 満
9%
11%
10,000円 以 上
~ 1500 0円 未 満
15%
5 ,00 0円 以 上
~ 1 0,0 00円 未 満
28%
37%
N=325
車の利用法
0% 無回 答(1人)
車の利用法について
問3 ガソリンの給油法はどれですか
―「セルフサービスを利用」が全体の 40%(130 人)
女性の場合、「セルフサービスを利用」が 43%(80 人)で、男性 36%に比べ、高い割合を
示した。
問4 ガソリン価格の高騰により、車の利用法が変わりましたか(N=325)
―「変わった」が 64%(206 人)
特に女性の場合、67%が「変わった」と回答、男性では 58%であった。
変 わ らな い
36%
変 わ った
64%
問5 問4で変わったと回答した方にお聞きします。何がかわりましたか (主なもの2つまで)
(N=375)
―「近距離での利用を減らす」が 86 人(24%) 「遠出を減らす」が 83 人(22%)
次いで、「エコ運転を心がける」73人(19%)、「レジャーでの利用を減らす」65人(17%)、「公共の交通機関を利用」
54 人(14%)と続いた。男女別でみると、一番多い回答は女性で「近距離での利用を減らす」58 人だが、男性は「遠
出を減らす」が 35 人であった。
問6 問 4 で変わらないと回答した方にお聞きします。変わらない理由はなんですか(N=118)
―「他の交通手段がない」が 60 人(72%)
「健康上の理由から」7 人、「車が大好きである」7 人、「ガソリンの価格は気にならない」との回答も 8 人あった。
その他の意見として、普段から車の利用は最小限にとどめているので、変えようがないとの回答が複数あった。
(人)
70
60
50
40
30
20
10
0
N=301
60
45
37
33
29
28
18
14
14
13
10
11
0円
未
満
11
0円
台
12
0円
台
13
0円
台
14
0円
台
15
0円
台
16
0円
台
17
0円
台
18
0円
台
19
0円
台
20
0円
以
上
問7 ガソリン価格について、許容の限界価格は
いくらですか
―「150 円台」が 20%(60 人)で最多
ついで、「180 円台」が 37 人、「200 円以上」が
33 人、「130 円台」が 29 人と続いた。100 円未満
~150 円台をまとめると 60%(194 人)、160 円台
~200 以上は 40%(108 人)であった。
問8 ガソリン価格がさらに高騰したとき、どの
ように対応しますか
―「更に自衛策を講じながら使用する」が44%(142 人)
「当面車の使用をやめる」が16%(54人)あったが、一方で、「現在のところ考えていない」が20%(67人)あった。
「燃費のよい車に乗り替える」が8%(23 人)、「軽自動車に替える」は7%(20 人)で、「維持できないので手離す」は
わずか 3%(11 人)であった。その他の意見としてエコ運転を徹底するなどがあった。
問9 ガソリン価格の高騰についてのご意見 ―計 136 件の意見がありました
・マイカーばかりでなく漁業・農業・流通にも多大な影響がある。早急に政府としての対応を望む(他 25 件)
・暫定税率の見直しをし、国際的にも適正な価格を行ってほしい(他 12 件)
・投機によりガソリン価格が高騰することは納得できない。投機を規制してほしい。(他 12 件)
・エコを考えると車の利用を少なく、地球にやさしい(他)
◆まとめ
原油価格は天井知らずに高騰、アンケート調査を行った 8 月には調査部の調査平均価格は 180 円を超え、昭和 54 年
に調査開始して以来の高値を示した。この急激な高騰に対し、政府に対して価格抑制策や救済措置を求める声やガソ
リンの暫定税率の廃止を求める声が多く寄せられた。車の利用法を変えたという回答は64%にのぼり、近距離利用で
の自粛、レジャーへの利用を減らし、エコ運転を心掛けるなど、自ら自衛策を講じている消費者の姿が浮き彫りになった。
特に女性の場合、セルフサービスを利用し、1 ヶ月のガソリン代金を 1 万円以下に抑え、近距離での車の利用も自粛し、
生活を防衛している様子がうかがえた。
車の利用法を変えられない理由としては、他の交通機関がないが多数を占め、普段から車の利用は必要最小限にと
めているので、これ以上変えようがないという回答が多数であった。ガソリン価格の許容限界については、150 円台以下
との回答が 60%を占めたが、一方で、「180 円台」「200 円以上」との回答が少なくない。ガソリンがさらに高騰したときには、
更に自衛策を講じながら使用するとの回答が42%あり、「燃費のよい車に買い替える」8%、「車を手放す」はわずか 3%
で、“車は生活の一部としてなくてはならないもの”のようである。
投機マネーの規制や暫定税率の見直しなど政府に対する多くの要望と共に、環境に配慮し、車に頼りすぎた生活を
見直そうという意見など、130 余りの意見が寄せられた。このことは、「もう、黙っていられない」という消費者意識の表れ
ではないだろうか。世界情勢が厳しい中ではあるが、安定した価格につながる政策とともに、消費者としてエコ運転の徹
底や近距離での自粛などの車の利用法を一時的なことにせずに、環境に配慮し、持続可能な車の利用を呼びかけて
行きたい。