どのような彼女が望んでいます

洗足学園
中学校・高等学校
学園の仕事は
人生の設計能力を
身につけさせること。
洗足学園中学校・高等学校の建学の精神は「謙愛」
。
謙虚な慈愛の心という意味です。
世界はやさしさと高い能力をもったリーダーの出現を望んでいます。
前田隆芳校長は言います。
「生徒にふさわしいステージを見つけ、そこに導くのが私たちの使命です」―
説得力がある“ちょいウエ世代”の経験談やアドバイス
洗足学園の名物に『キャリアプログラム』という講演会がある。最初はいわゆる偉
い人にお話をしてもらっていた。しかし、生徒の目がどうも輝かない。そこで 20 代
後半からせいぜい 30 代前半くらいの若い人たちを呼んで、自由に話をしてもらった。
医者のタマゴ、キャリアアップのために転職を繰り返しているビジネスマン、なか
にはフリーターの人もいたそうだ。ちょっとだけ年上の彼らの話は、それだけでも説
得力がある。20 代の客室アテンダントは、フライト客との会話のために幅広い知識
を身につけようと読書に明け暮れている。彼女のアドバイスは、
「社会人になってちゃ
んと遊びたければ、中高時代にしっかり本を読みなさい」
リスクを承知で冒険的なプログラムを導入した前田校長、なかなかの戦略家でもあ
前田隆芳校長
るようだ。
DATA
1
洗足学園中学校・高等学校
沿 革
1924 年 前田若尾が学園の前身である平塚裁縫女学校を設立
1947 年 洗足学園女子中学校を設立
1948 年 洗足学園女子高等学校を設立
2002 年 学校の名称を現在の洗足学園高等学校・同中学校と改称
校 長 前田 隆芳
所 在 地 神奈川県川崎市高津区久本 2-3-1
TEL:044(856)2777 ㈹
http://www.senzoku-gakuen.ed.jp
交 通 JR 南武線「武蔵溝ノ口」駅または
東急田園都市線「溝の口」駅より徒歩 8 分
男だから女だから
ということではなく、
人としてどう生きていくか
という発想で
― 学園創設時代の考え方は、今の教育にどのよ
うに活かされているのでしょうか。
「教育目標は、『社会に有為な女性を育てる』
ルを教え込むだけではなく、生徒個々の人生設計
を一緒に行うような体制に、女子教育自体も変わ
らなければならないと思うのです」
― 洗足学園の生徒の資質も、年々上がっていま
すね。
「ええ、入学者の能力は、明らかに高まってい
ます。海外での活躍を目指す生徒、医療の分野で
です。その考え方は、男女共同参画時代の今こ
社会に貢献しようとする生徒、企業でマネージメ
そ生きてくるのではないでしょうか。ハーバー
ント職を目指す生徒など、高い目標や明確なビ
ド大学で女性の学長が誕生したり、欧米の先進
ジョンを持った生徒が増えています。その自己実
国で女性が大統領候補になったり、女性が活躍
現のためには学力の養成だけではなく、知性や品
できるステージは急速に広がっています。職業・
性、社会性、リーダーシップを備えた人格の形成
職種の制約も皆無になろうとしています。
が大切です。高い学力や学歴や資格をもっていて
総理府の統計によると、夫は仕事、妻は家庭と
いう旧来の男女関係を否定する人がすでに 50%
を超えています。もちろん良妻賢母もいいし、社
会に出て活躍するのもいい。ですから学力やスキ
も、それだけでは人はついてこないのです」
洗足学園が重視する
教育の中の4つの視点
― そのために、どのような教育をされているの
でしょう。
「洗足学園が重視するのは教育の中の『4つの
視点』です。その4つとは『学力』
『感性』
『コミュ
ニケート能力』
『広い視野』です。
学力には、
『根源的な学力の養成』と、
『合格力
入学したら全員が楽器を一つ修得する
の養成』の2つのテーマがあります。根源的な学
力とは、大学進学以降、研究や仕事の場で力を発
るために必要な人間的魅力とも言い換えることが
揮するための土台となる学力です。合格力とはも
できます。
ちろん受験学力のこと。このどちらが欠けても将
来の自己実現はむずかしくなります。
感性は多様な個性が共存する中、他者と協調し、
さらに自己の存在を輝かせ、本来の能力を発揮す
コミュニケート能力の一番手は「使える英語力」
の育成です。洗足学園では独自のコンセプトと方
法を確立しております。もちろんコミュニケート
能力は語学力だけではありません。ディベート力、
積極性、柔軟性などの訓練も行います。
広い視野は未来に生きる若者に欠かせぬもので
す。海外研修や留学、ミニ国連への参加、最先端
医療や技術の現場見学など、多様な啓発機会を設
け、世界や未来に向かって広い視野と高いビジョ
ンをもつためのプログラムを多く組んでいるのも
そのためです」
4段階で行われる
洗足学園の6年一貫教育
― 4期に分けて 6 年間の教育計画を立てている
と聞いたのですが。
「はい。中高の6年間は、能力の発展と同時に
人格を形成する6年間でもあるわけですから、生
徒たちの心や学力の発達に一番ふさわしい教育計
画を模索した結果、現在の4期生になりました。
勉強とクラブを両立させている生徒が多いのも特徴だ
第1期は中学1年の1年間で『基本的生活習慣
洗足学園中学校・高等学校
の確立』を目標にあげています。能動的な学習姿
たいのです。つまり自律。他律から自律に6年
勢への転換、クラブ活動との両立などで生活リズ
間でどう変えていくかが学園の仕事だと思って
ムを作りあげます。社会のルールやマナーを学び、
います。女性の活躍の場が大きく広がった現在、
体験学習などを通して他者との共存の意味を理解
女性の人生設計の機会は何度もきます。結婚し
させるのもこの時期です。
ても家庭に入るのか、社会に出るのか。子ども
第2期は中学2、3年の2年間です。
『自主的
が生まれても、産休制度がもっと充実すれば社
行動の確立』が目標で、主体的に判断し行動する
会にもっと貢献できます。次に子どもが手がか
力を養成します。この時期に政治や経済などに関
からなくなった時、再び人生設計を行うことに
心を持たせます。
なります。女子教育も、そういう 10 年 20 年
第3期は高校1、2年の2年間で、
『自律の実践』
先のことをシミュレーションしながら指導して
が目標です。社会の一員であることに目覚めさせ、
いかなければなりません。ですから大学進学に
自己の能力を自ら高め人格を磨いていく自律の実
とどまらない、生徒一人ひとりの可能性や教養
践のために、学内でもさまざまなリーダー的な役
を高め、人格を磨くために、私たちにもさらな
割を担わせます。日本社会から世界へと視野を広
る工夫と努力が必要なのです」
げるのもこの時期です。
第4期は高校3年の1年間で、
『進路対策』を
生徒と教師が一体となって行います」
生徒を他律から自律へ
それが学園の仕事
― 自律ということばが多く出てきますね。
「主体的に生きていくことのできる人間を育て
DATA
ネイティブの英語教師が多いのも学園の自慢
過去3年間の大学合格状況 =合格人数には既卒者含む=
2
国公立大学
早・慶・上・理・ICU
48
50
200
MARCH
173 174
43
40
30
150
24
126
104
100
150
139
100
70
20
50
10
0
08 年 合格者人数・医学部医学科
200
50
順天堂大
1
昭和大
1
北里大
2
杏林大
1
東邦大
2
東京女子医大
3
聖マリアンナ医大
2
川崎医科大学
06
07
08
0
06
07
08
0
06
07
08
計
1
13