3.ペイントの使い方とファイル操作 3-1 ペイントとは OS の下で動くソフトウェアを総称してアプリケーションソフト(応用ソフト)といいますが、 それぞれ特定の応用分野を持っているのが普通です。例えば、第2章で扱った、インターネットの ウェブページを閲覧するためのソフト Internet Explorer も、アプリケーションソフトの一つでし た。 エンドユーザとしては、OS の機能を使いこなしながら、用途によって様々なアプリケーション ソフトを駆使していくことが一つの目標になります。ですから、この情報処理演習シリーズでもし ばらくは OS といくつかの重要かつ汎用的なアプリケーションソフトの使い方を学んでいくことに なります。手始めとしてすでに上記のインターネット関連ソフトを使っていますが、次に、絵を描 くためのアプリケーションソフト「ペイント」の使い方を学びましょう。 ペイントは、OS が Windows ならば必ず無償で付属している「アクセサリ」と呼ばれるアプリケ ーションソフトの一つで、イラストを中心とした画像情報の作成に適しています。自前のウェブペ ージ作成などのおり、大変役立つ便利なソフトです。また、主としてマウス操作による作画が中心 となるため、絵筆さばきならぬマウスさばきの練習にも役立つものです。 デスクトップにアイコンが無いときにペイントを起動するには、 「スタートボタン」→「すべての プログラム」→「アクセサリ」→「ペイント」と順次マウスポインタを合わせていき、最後にクリ ックします。 図 3-1 ペイントの起動 44 ペイントのウィンドウも Internet Explorer とその構成は良く似ていますが、ツールボックスや メインメニューの内容はかなり異なっています。その目的とするところが異なるので当たり前です ね。まず、このウィンドウを説明しておきましょう。ペイントのウィンドウは以下の要素から構成 されています(図 3-2 参照) 。 図 3-2 ペイントウィンドウ 描画ボックス: 中央の白い部分で、図形を描くキャンバスのこと ツールボックス: 左上のアイコン群で、直線や円を描いたり、色を塗ったりする場合に選 ぶ道具群のこと 機能選択ボックス: ツールボックスのすぐ下にある枠のことで、ツールボックスから選択し たツールの詳細をさらに決めることができるものです カラーボックス: 左下の色のアイコン群で描画のときに使用する色を選択できます 色見本: カラーボックスの左端の枠で、選んだ色が示されます 次に、ツールボックスのアイコンの機能について調べてみましょう。マウスポインタを当ててみ ると表示されるように、以下のような機能をもつアイコンが2列に並んでいます。実際にマウスポ インタを当てて確認してください。 (左側) (右側) 自由選択ツール 箱型選択ツール 消しゴムツール 塗りつぶしツール 45 スポイトツール ズームツール 鉛筆ツール ブラシツール エアブラシツール テキストツール 直線ツール 曲線ツール 四角形ツール 多角形ツール 楕円ツール 角丸四角形ツール 3-2 図形描画の基本 図形を描く基本操作は ①ツールボックスのツールを選ぶ ②カラーボックスの色を選ぶ ③マウスのクリックとドラッグで描いたり、色を塗ったり、消したりする という順序になります。以下に基本的な描画操作例を示しておきます。 赤色の直線 ①ツールボックスの「直線ツール」を選ぶ ②カラーボックスの赤色をクリックする ③描画ボックス内で、マウスポインタを始点に置いてクリックし、そのまま終点までドラ ッグし離す 黄色の四角形 ①ツールボックスの「四角形ツール」を選ぶ ②カラーボックスの黄色をクリックする ③描画ボックス内で、マウスポインタを始点に置いてクリックし、そのまま右下の終点ま でドラッグし離す 四角形の中を青に塗りつぶす ①ツールボックスの「塗りつぶしツール」を選ぶ ②カラーボックスの青色をクリックする ③四角形の任意の一点をクリックする 46 消しゴムで消す ①ツールボックスの「消しゴムツール」を選ぶ ②機能選択ボックスから望むサイズをクリックする ③消去したい部分の始点にマウスポインタを置いてドラックする 3-3 図形描画操作 まず、下図を見て、図形の名前を確認しておいてください。 図 3-3 図形の名前 では、以下に様々な操作法を一覧にしておきます。描画ボックスで実際に実行して、自分で納得い くまで確認してください。 ①描画色の設定 ②背景色の設定 ③楕円の描き方 ④円の描き方 ⑤直線の描き方 ⑥縦方向、横方向等 カラーボックスの設定したい色をクリック。 カラーボックスの設定したい色を右クリック。 楕円ツールをクリック。楕円の左上から右下方向へドラッグ。 楕円の描き方で、ドラッグするとき Shift キーを押しながら行う。 直線ツールをクリック。直線の始点から終点へドラッグ。 直線の描き方で、ドラッグするとき Shift キーを押しながら行うと、縦方向、 47 横方向または斜め 45 度の直線が描かれる。 四角形ツールをクリック。長方形の左上から右下方向へドラッグ。 長方形の描き方で、ドラッグするとき Shift キーを押しながら行う。 多角形ツールをクリック。多角形の頂点でクリック、次の頂点までドラッグ、 頂点でクリック。これを繰り返し、最後の頂点でダブルクリック。 ⑩フリーハンドで 筆ツールをクリック。ドラッグするとマウスポインタの軌跡がそのまま描かれ の線の描き方 る。 ⑪曲線の描き方 曲線ツールをクリック。曲線の始点から終点に向かってドラッグし、さらに描 いた曲線上の任意の点をドラッグ。曲線はドラッグした方向に変形する。変形 はもう一度できるので、必要に応じて同じようにドラックする。一度の変形で すむ場合は、ダブルクリックして確定しておく。 ⑫色の塗り方 閉じた図形の中に色を塗る。塗りつぶしツールをクリックし、色を選択して、 閉じた図形の中の任意の点をクリックする。わずかでも隙間があると、色が図 形の外に漏れるので注意。 ⑬絵の消し方(a) 消しゴムツールをクリック。消したい部分をドラッグすれば、消しゴムの跡が 背景色になる。マウスの右ボタンを押しながらドラッグすると、消しゴムの跡 で描画色の部分だけが背景色になる。 ⑭絵の消し方(b) 箱型選択ツールをクリック。消したい部分をドラッグして囲み、点線の長方形 が描かれたら Delete キーを押す。点線で囲まれた長方形の内部が背景色にな る。 ⑮文字の書き方 テキストツールをクリック。文字表示位置でクリックし、文字を入力。文字は 描画色で記される。大きさは、後からでも調整できる。 ⑯絵の移動 箱型選択ツールをクリック。移動したい部分をドラッグして点線の長方形で囲 む。長方形の内部をドラッグ。 ⑰絵のコピー 箱型選択ツールをクリック。コピーしたい部分をドラッグして点線の長方形で 囲む。メインメニューから「編集」→「コピー」を選択し、次に、同じくメイ ンメニューから「編集」→「貼り付け」を選択。あるいは囲んだ内部で右クリ ックし、ショーカットメニューから「コピー」を選び、もう一度右クリックし て「貼り付け」を選んでもよい。絵のコピーが描画ボックスの左上に現れるの で、それを望む位置にドラッグ。 ⑱キャンバスのサ メインメニューから「変形」→「キャンバスの色とサイズ」を選択。キャンバ イズの変更 スの色とサイズダイアログボックスで「単位」の「センチ」をクリック。 「幅」 、 「高さ」に、キーボードから設定したい長さを cm 単位で入力。 「OK」をクリ ック。 ⑲絵の変形 キャンバスサイズの変更と同じように、メインメニューの「変形」から絵の回 転、伸縮と傾き、色の反転などもできる。 ⑳色の編集 メインメニューから「色」→「色の編集」を選択。色の編集ダイアログボック スで「色の作成」をクリックし、色スペクトルの中の望む色の場所をクリック して色を選んで、 「色の追加」と「OK」をクリック。カラーボックスの最後 に選択されていた色が、このようにして編集した色と入れ替わる。 の直線の描き方 ⑦長方形の描き方 ⑧正方形の描き方 ⑨多角形の描き方 なお、キャンバスをきれいにしたい場合は、メインメニューの「ファイル」→「新規作成」と選 んで、 「無題への変更を保存しますか」と聞いてきたら、 「いいえ」をクリックしてください。もち ろん、残しておきたい絵は保存しますが、それは以下で説明しますので、ここでは保存しません。 保存するような絵を書く場合は、キャンバスを小さくしておかないとその記憶容量が大変大きくな 48 り、記憶装置を圧迫しますので、注意してください。普通は、10cm×10cm ぐらいにしておきます。 十分練習したら、課題を行うことにしましょう。 [課題 2]携帯電話 (1) キャンバスの大きさを縦 10cm、横 9cm 程度に設定した後で、以下の携帯電話をなるべく正 確に再現するように描きましょう。 図 3-4 携帯電話の絵 (2) 次に、この絵を「携帯電話.bmp」というファイル名で、ファイルサーバ内にある自分の「マイ ド キュメント」フォルダに保存します。そのためには、メインメニューの「メニュー」→「名前を付け て保存」を選び、名前を付けて保存のダイアログボックスで、次のように指定します。 49 図 3-5 「名前を付けて保存」ダイアログボックス ①「保存先」が、自分の「マイ ドキュメント」かその中の「My Pictures」フォルダになっているか 確認します。なっていない場合は、左の「マイ ドキュメント」アイコンをクリックしましょう。 ②「ファイルの種類」が 24 ビットビットマップ(*.bmp)となっているかどうか確認します。な っていない場合は、 「ファイルの種類」の右端の矢印ボタンをクリックして、*.bmp を選び ます。 ③「ファイル名」に「携帯電話」と入力します。.bmp が後で自動的に追加されます。この*.bmp のようなピリオドに続く記号を一般に拡張子といい、どのアプリケーションソフトのファイ ル(つまりデータ形式)かを示すものです。 ④正しければ、 「保存」をクリックします。 ⑤保存してから訂正したいことが見つかった場合は、訂正してからメインメニューの「ファイ ル」→「上書き保存」を選んでください。こうすると、ファイル名は変わらず、中身だけが 入れ替わります。一度「ペイント」を閉じてしまった場合は、保存したフォルダを開いて、 ファイル「携帯電話.bmp」をダブルクリックするのが一番便利です。こうすると、ペイント ソフトと同時に携帯電話のファイルも開かれます。 (3) さらに、この絵を印刷します。まず、プリンタの電源を入れ、A4 用紙を用意しましょう。次に、 メインメニューの「ファイル」→「印刷プレビュー」と選んで、どのように印刷されるのか確 認して、OK ならば「印刷」をクリックします。後は自動的に印刷されます。 (4) 最後に、課題として印刷した携帯電話の絵を先生に提出します。そのために、絵の隅のほうに テキストツールを使って、学籍番号と名前を入れておいてください。 50 [課題 3]風景の中の携帯電話 課題 2 で作成した携帯電話の絵を出発点にして、道路や背景の景色などを追加し、1枚の「風景 の中の携帯電話」を作成します。そのためには ①ファイル「携帯電話.bmp」を開きます ②道路や背景の景色などを追加します ③次に保存しますが、決して「上書き保存」をしないように注意してください。 [課題 2]で行 ったように、もう一度「名前を付けて保存」とし、 「保存先」や「ファイルの種類」も同じよ うに選んで、ファイル名を「風景の中の携帯電話」とします。こうすると、ファイル「携帯 電話.bmp」はそのまま残り、新たにファイル「風景の中の携帯電話」が追加されることにな ります。 「上書き保存」と「名前を付けて保存」の区別は非常に重要です。ファイルの扱い方 については、来週系統的に詳しく扱うことにします。 ④最後に、やはり印刷して、課題として提出します。 51
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