独立系システム・インテグレーター TIS社のダイバーシティ

31
先端企業ケーススタディ○
独立系システム・インテグレーター
TIS社のダイバーシティ推進策
のにまみれているうちに、反対に
提案をいろいろするんですけれど
発想が小さくなったり、一方向に
も、その提案をする時間もちゃん
しかいかなくなったりします。自由
と事務局が提供したり、場所を提
な発想というのは、若ければ若い
供したりというフォローをします。
ほどできますし、新しいサービスを
半年に8 から10 チームぐらいが、 内容をもうちょっと人事的に制度と
つくることもできる。そこは若手の
自分たちの提案テーマを持ってき
して深めるようにして、半年くらい
競争の激しいシステム・インテグレーター業界で、ITホールディングスグループ
自由な発想に尽きると思うんです
て、役員向けにプレゼンテーショ
かけてやりました。
の TISは、約 40 年の歴史を持ち、グループで約 3000 億円の売上と約 2 万人の
くるみんマーク
よね。その刺激を会社全体が持
ンをするんです。
その後も、在宅勤務はどうある
社員を擁する。最近は取引先企業の海外進出に伴い、中国、アジア地域への
たないと、やはり画期的なビジネ
こういう活動を続けていく中の
べきかなど、いろいろな提 案を
事業展開も積極的。そのグループの中核企業 TIS 株式会社では、IT 企業なら
スの成功には導けないかなと。
一環で、2004 年にママさんたちが、 「TIS 子育てネット」の中でつくっ
ではの現場重視、自由闊達な企業風土が維持されて、10 年以上にわたり、女性
わが社では、
やっぱり力の源が現
ママさんたち同士でいろいろ情報
たのを、様々な制度にも盛り込み
活躍促進を始めとするダイバーシティ活動が積極的に進められている。具体的に
場にあるという認識が強いですね。 交換もしながら、TISの中の女性
ましたし、人 事では「TIS Gaia
は、子育て支援、在宅勤務、社内 SNS の推進などだが、戦後の右肩上がり発
例えば、私が課長とか部長を
の活躍を推進したいというので、出
PJ(女性活躍支援策)
」を立ち上
務めておりましたときでも、私の立
来上がったのが「TIS 子育てネッ
げ、いろいろな女性活躍のため
場を飛ばして、役員と私の部下が
ト」です。
「育児と仕事の両立をす
の対策を行いました。その結果と
ミーティングをしたり、指示をもらっ
るためには、やはり社内の制度の
して、厚労省の「くるみん」マーク
たりするんですよ。
「若い人の話
充実をしないと進みません。会社
を取得できました。取得した会社
のほうがわかりやすいから」
という
側のいろいろな制度とか、上司の
さんによっては、プライバシーマー
のがありますのでね。現場の一つ
人たちのいろいろな配慮とか、そ
クのように、名刺に刷り込んでお
ひとつの情報が、経営にとっては
ういうこともしてもらわないと、この
られるところもあるようです。
一番大事だという考え方は、歴
ままでは活躍の芽が阻害される。
代のどの社長にも感じますね。
私たちもネットワークをつくって頑
想に基づく人事制度の見直しなども含め、活性化、モチベーション向上のため
の施策を、同社執行役員企画本部副本部長の小野田祐子氏にうかがった。
(聞き手:浅川港=ヘイグループ・プリンシパル)
TIS株式会社
執行役員
自由なカルチャーが
企業としての力の源泉
̶̶ 独立色の強いシステム・イン
小野田 祐子
指示をして統制をとるというピラミッ
ド型の上意下達の組織ではなく、 人の英知とインテリジェンスと根気
上司は部下を納得させて自由自
強さで、いわゆる設計から、製造、
在に動かそうと思うと、理論武装
運用まですべてを回していきます。
張りますから」
ということを提案し
てきたんですね。
̶̶自由な雰囲気、若手がどんどん
もし、リーダーシップも持たないと、 そういう意味では、泥臭いところ
テグレーターとして、御社の人材観、 割と部下が言うことを聞いてくれな
人事や組織づくり、あるいは社風
ドウェアを調達してくれば、あとは
制度も大事だが、
運用はそれ以上に大事
発言できるカルチャーがあるんですね。
はとにもかくにも全部できるわけで、
いという文化かもしれません(笑)
。 だれに頼ることもなく、情報システ
例えば以前は、若手の社員た
̶̶ 国の次世代育成法の精神
̶̶「在宅勤務トライアル」とい
ちが経営にいろいろ提案をする
にも沿っているわけですね?
うこともおやりになっているようで
次世代育成法では、いろいろ
すが?
の特徴についてお聞かせください。 もともと右肩上がりの経済環境
ムの揺りかごから墓場まで一気通
「タスク活動」
ということをやってい
そうですね、設立当時からカル
のもと、いわゆる
“遠心力”
を持って
貫でできるTISのサービスメニュー
まして、それで、年に1、2 回募集
なことを事業主に義務づけていて、
そうですね、在宅勤務は割とい
チャーは自由奔放、闊達ということ
やってきたのですが、だんだん企業
の豊富さというのは、よその会社
をしていました。この活動の中で
こういった両立支援制度を整備し
ろいろな会社さんが刺激的なこと
でやってきたと思います。創業は
体として大きくなると、なかなか、そ
様に引けを取らないものがあるか
ていきましょうという具体的提案を
をされてはいますけれど、毎日家
大手の銀行の系列企業からの出
の遠心力だけではまとまらないことも
なというふうに思っています。
し、3年から5年ごとに繰
にいて、会社の指示をパソコンな
り返し計画、実行を求め
り電話なりでやりとりしながら働くと
ています。計画に対して
いうのは、これは当社の業務には
実行ができ、認定基準を
あまりマッチしないと考えています。
満たした企業には、
「くる
当社がやろうとしていたのは、現
銀行的な上意下達、年功序列と
つつあるのも事実です。大きな組
̶̶ グーグルなどもそうですが、
いうカルチャーは、昔からあまりあり
織をまとめるとき、マネジメントの強
自由な企業カルチャーというのは、
ません。設立当時から、男女均等
さであったり、ある程度の求心力
IT 企業にとっては非常に大事な
の人事制度を標榜して女性も男性
が要るかなという場面もあります。
のでしょうね。
それはありますよね。経験を積
運用してきました。上司・部下とい
閥もなく、男女同権で、自由なカ
んでいると、知見も高まり、判断
う縦の考え方というのも割と薄いか
ルチャーというのをなくしてはいけ
力もでき、マネジメントレベル、リー
もしれません。
「さんづけ」は昔か
ないとも思っています。
ダーシップ力が強まるところはある
らやっていました。よく
「さんづけ運
企業としての強みという意味で
のですが、経験を積んで、
「時間
というだ
動」
を各社さんやっていますけれど、 は、コンピュータの情報システムは、 がその人を押し上げる」
私たちには必要ありません。
もともと世の中にまったくない状態
けではないところが、この業界に
日本でよく見られる、上が下に
からつくっていくわけですから、ハー
はたくさんあります。いろいろなも
<2005 年度>
国の「次世代育成支援法」の流れに加え、社内提案制度で育児中
の女性社員からの提案もあり、人事部内に「次世代育成タスクフォー
ス」が発足、両立を支援する制度の見直しなどを実施。
<2007 年度>
女性社員の退職状況を分析したところ、女性は男性に比べ早く
退職し、その理由の 3 割が「結婚/出産」。
「TIS Gaia PJ(女性活躍支援策)」の立ち上げ
ガイア:ギリシャ神話に登場する大地の女神・母なる女神で、
「女性が職場
でも私生活でも実りが多くなりますように」
との思いを込めています。
PJの目的
も同じ処遇で、ずっとそれを実践、 でも、やはり我々としては、学
PJ発足の経緯
資を母体にスタートしていますが、 あり、それが現在では課題になり
[図1]女性活躍支援策
(TIS Gaia PJ)
・女性社員が TIS でいっそう能力を発揮し、長く働ける環境を
構築する。
・まずは「長く働ける」ための仕組み/風土づくりを行い、
女性固有の退職を減らす。
みんマーク」
というのが国
実的で地味な在宅勤務でして、1
のほうから認定されます。
週間のうちの1日から2日を在宅勤
図 1に経緯がありま
務に、それ以外は会社にちゃんと
すが、2005 年に、タス
来て、自宅で決められた必要なも
ク活動をやってきたマ
のをやりますと。だから、時間限定
マさんたち数名の所属
型の在宅勤務という感じです。
を、現場と人事部兼務
エンジニアは特に裁量労働に
ということで配属も変え
近い仕事の仕方をしますから、
「い
てチームをつくり、提案
ついつの納期までに、いついつの
31
先端企業ケーススタディ○
独立系システム・インテグレーター
TIS社のダイバーシティ推進策
のにまみれているうちに、反対に
提案をいろいろするんですけれど
発想が小さくなったり、一方向に
も、その提案をする時間もちゃん
しかいかなくなったりします。自由
と事務局が提供したり、場所を提
な発想というのは、若ければ若い
供したりというフォローをします。
ほどできますし、新しいサービスを
半年に8 から10 チームぐらいが、 内容をもうちょっと人事的に制度と
つくることもできる。そこは若手の
自分たちの提案テーマを持ってき
して深めるようにして、半年くらい
競争の激しいシステム・インテグレーター業界で、ITホールディングスグループ
自由な発想に尽きると思うんです
て、役員向けにプレゼンテーショ
かけてやりました。
の TISは、約 40 年の歴史を持ち、グループで約 3000 億円の売上と約 2 万人の
くるみんマーク
よね。その刺激を会社全体が持
ンをするんです。
その後も、在宅勤務はどうある
社員を擁する。最近は取引先企業の海外進出に伴い、中国、アジア地域への
たないと、やはり画期的なビジネ
こういう活動を続けていく中の
べきかなど、いろいろな提 案を
事業展開も積極的。そのグループの中核企業 TIS 株式会社では、IT 企業なら
スの成功には導けないかなと。
一環で、2004 年にママさんたちが、 「TIS 子育てネット」の中でつくっ
ではの現場重視、自由闊達な企業風土が維持されて、10 年以上にわたり、女性
わが社では、
やっぱり力の源が現
ママさんたち同士でいろいろ情報
たのを、様々な制度にも盛り込み
活躍促進を始めとするダイバーシティ活動が積極的に進められている。具体的に
場にあるという認識が強いですね。 交換もしながら、TISの中の女性
ましたし、人 事では「TIS Gaia
は、子育て支援、在宅勤務、社内 SNS の推進などだが、戦後の右肩上がり発
例えば、私が課長とか部長を
の活躍を推進したいというので、出
PJ(女性活躍支援策)
」を立ち上
務めておりましたときでも、私の立
来上がったのが「TIS 子育てネッ
げ、いろいろな女性活躍のため
場を飛ばして、役員と私の部下が
ト」です。
「育児と仕事の両立をす
の対策を行いました。その結果と
ミーティングをしたり、指示をもらっ
るためには、やはり社内の制度の
して、厚労省の「くるみん」マーク
たりするんですよ。
「若い人の話
充実をしないと進みません。会社
を取得できました。取得した会社
のほうがわかりやすいから」
という
側のいろいろな制度とか、上司の
さんによっては、プライバシーマー
のがありますのでね。現場の一つ
人たちのいろいろな配慮とか、そ
クのように、名刺に刷り込んでお
ひとつの情報が、経営にとっては
ういうこともしてもらわないと、この
られるところもあるようです。
一番大事だという考え方は、歴
ままでは活躍の芽が阻害される。
代のどの社長にも感じますね。
私たちもネットワークをつくって頑
想に基づく人事制度の見直しなども含め、活性化、モチベーション向上のため
の施策を、同社執行役員企画本部副本部長の小野田祐子氏にうかがった。
(聞き手:浅川港=ヘイグループ・プリンシパル)
TIS株式会社
執行役員
自由なカルチャーが
企業としての力の源泉
̶̶ 独立色の強いシステム・イン
小野田 祐子
指示をして統制をとるというピラミッ
ド型の上意下達の組織ではなく、 人の英知とインテリジェンスと根気
上司は部下を納得させて自由自
強さで、いわゆる設計から、製造、
在に動かそうと思うと、理論武装
運用まですべてを回していきます。
張りますから」
ということを提案し
てきたんですね。
̶̶自由な雰囲気、若手がどんどん
もし、リーダーシップも持たないと、 そういう意味では、泥臭いところ
テグレーターとして、御社の人材観、 割と部下が言うことを聞いてくれな
人事や組織づくり、あるいは社風
ドウェアを調達してくれば、あとは
制度も大事だが、
運用はそれ以上に大事
発言できるカルチャーがあるんですね。
はとにもかくにも全部できるわけで、
いという文化かもしれません(笑)
。 だれに頼ることもなく、情報システ
例えば以前は、若手の社員た
̶̶ 国の次世代育成法の精神
̶̶「在宅勤務トライアル」とい
ちが経営にいろいろ提案をする
にも沿っているわけですね?
うこともおやりになっているようで
次世代育成法では、いろいろ
すが?
の特徴についてお聞かせください。 もともと右肩上がりの経済環境
ムの揺りかごから墓場まで一気通
「タスク活動」
ということをやってい
そうですね、設立当時からカル
のもと、いわゆる
“遠心力”
を持って
貫でできるTISのサービスメニュー
まして、それで、年に1、2 回募集
なことを事業主に義務づけていて、
そうですね、在宅勤務は割とい
チャーは自由奔放、闊達ということ
やってきたのですが、だんだん企業
の豊富さというのは、よその会社
をしていました。この活動の中で
こういった両立支援制度を整備し
ろいろな会社さんが刺激的なこと
でやってきたと思います。創業は
体として大きくなると、なかなか、そ
様に引けを取らないものがあるか
ていきましょうという具体的提案を
をされてはいますけれど、毎日家
大手の銀行の系列企業からの出
の遠心力だけではまとまらないことも
なというふうに思っています。
し、3年から5年ごとに繰
にいて、会社の指示をパソコンな
り返し計画、実行を求め
り電話なりでやりとりしながら働くと
ています。計画に対して
いうのは、これは当社の業務には
実行ができ、認定基準を
あまりマッチしないと考えています。
満たした企業には、
「くる
当社がやろうとしていたのは、現
銀行的な上意下達、年功序列と
つつあるのも事実です。大きな組
̶̶ グーグルなどもそうですが、
いうカルチャーは、昔からあまりあり
織をまとめるとき、マネジメントの強
自由な企業カルチャーというのは、
ません。設立当時から、男女均等
さであったり、ある程度の求心力
IT 企業にとっては非常に大事な
の人事制度を標榜して女性も男性
が要るかなという場面もあります。
のでしょうね。
それはありますよね。経験を積
運用してきました。上司・部下とい
閥もなく、男女同権で、自由なカ
んでいると、知見も高まり、判断
う縦の考え方というのも割と薄いか
ルチャーというのをなくしてはいけ
力もでき、マネジメントレベル、リー
もしれません。
「さんづけ」は昔か
ないとも思っています。
ダーシップ力が強まるところはある
らやっていました。よく
「さんづけ運
企業としての強みという意味で
のですが、経験を積んで、
「時間
というだ
動」
を各社さんやっていますけれど、 は、コンピュータの情報システムは、 がその人を押し上げる」
私たちには必要ありません。
もともと世の中にまったくない状態
けではないところが、この業界に
日本でよく見られる、上が下に
からつくっていくわけですから、ハー
はたくさんあります。いろいろなも
<2005 年度>
国の「次世代育成支援法」の流れに加え、社内提案制度で育児中
の女性社員からの提案もあり、人事部内に「次世代育成タスクフォー
ス」が発足、両立を支援する制度の見直しなどを実施。
<2007 年度>
女性社員の退職状況を分析したところ、女性は男性に比べ早く
退職し、その理由の 3 割が「結婚/出産」。
「TIS Gaia PJ(女性活躍支援策)」の立ち上げ
ガイア:ギリシャ神話に登場する大地の女神・母なる女神で、
「女性が職場
でも私生活でも実りが多くなりますように」
との思いを込めています。
PJの目的
も同じ処遇で、ずっとそれを実践、 でも、やはり我々としては、学
PJ発足の経緯
資を母体にスタートしていますが、 あり、それが現在では課題になり
[図1]女性活躍支援策
(TIS Gaia PJ)
・女性社員が TIS でいっそう能力を発揮し、長く働ける環境を
構築する。
・まずは「長く働ける」ための仕組み/風土づくりを行い、
女性固有の退職を減らす。
みんマーク」
というのが国
実的で地味な在宅勤務でして、1
のほうから認定されます。
週間のうちの1日から2日を在宅勤
図 1に経緯がありま
務に、それ以外は会社にちゃんと
すが、2005 年に、タス
来て、自宅で決められた必要なも
ク活動をやってきたマ
のをやりますと。だから、時間限定
マさんたち数名の所属
型の在宅勤務という感じです。
を、現場と人事部兼務
エンジニアは特に裁量労働に
ということで配属も変え
近い仕事の仕方をしますから、
「い
てチームをつくり、提案
ついつの納期までに、いついつの
どれだけ実態がそうなるかという
ちが、経験のない女性たちをいろ
̶̶ 会社としては、そこに何ら
くりますから、そういう仕事をやっ
ところ、もっと率 直に言うと「運
いろ励ましたり、
「こういうの、ちゃ
かの支援をしているわけですか。
ていて、かつそれなりの仕事がで
用」が大事だと思うんです。
んと申請したら、こんなお金が出
会社としては、基本的に自営
きる人、能力も実績も、ある程度
私はこのTIS 子育てネットの活
るのよ、会社もそうだし、国の仕
でやってくださいと。ただ、例えば、
持っている人に限って、
「週に1日
動が継続されなければいけないと
組みもこうなのよ」などと教えたり、
人事が育児休業や女性活躍の
̶̶ ダイバーシティというと、女
響してくるはずなんですよね。
とか 2日、在宅勤務をやってみま
思っています。それはなぜかと言
そういうママさんたちであるがゆ
制度を変えたいなと思ったときは、
性の活躍以外にもいろいろある
だから、本当にダイバーシティを
すか?」
という感じですね。
いますと、このネットワークは会社を
えのネットワーク、同類の絆、人
ご意見番として、子育てネットに検
わけですが?
やるということは、徹底的に能力
超えてとても大事な存在を担って
脈のつくり方、人の広がり方、頼
討を投げたりするんですね。ニー
そうですね。ダイバーシティと
主義で、個々人の持っている性別
活動、経営状態、そのものに影
られるということの親近感、そうい
ズの塊でもありますから、たまに
いう言葉を広義にとらえるのなら
であるとか、国籍であるとか、肉
代前半の女性、まあ男性もそうで
うのが割と子育てネットの中には
は会社への要求も出ますよ。出
ば、男女の問題以外にも、高齢
体的ハンディキャップとか、そうい
た対応はされたんでしょうか?
すけれども、恋愛問題、結婚問題、
脈々とあって、そういうものは、も
ますけれど、今そんなに制度的に、
者の方々をどうしますかとか、障
うことは関係ないでしょうと。そこま
在宅勤務のインフラ環境は、も
今時は婚姻と出産が入れ子にな
う人間の本質としては大事なこと
ここが困っているということはな
害をお持ちの方々をどうしますか
で徹底的に能力主義を高めてい
ともとある社内のリソースを利用
ることもたくさんありますし、いろい
なんだろうなと思うんですよね。
いようで、制度よりは運用ですね。
とか、このグローバルの時代に、
かないと、企業体としては健全と
したもので、高いセキュリティレベ
ろな問題が起きますが、恋愛問題、
今一番困っているであろうと思
国籍の違う方をどういう形でお迎
はいえないんじゃないかなというの
ルの下、自宅から会社環境にア
結婚問題、出産問題で、自分の
̶̶ どのような方々が参加して
われるのは、短時間勤務になっ
えできますかというのがありますよ
が、そこにあるわけですよね。
クセスできます。制度のルールと
実の母に相談をしない。妊娠がわ
いるのですか?
たり、一度、育児で退いた人が
ね。その辺が広くとらえればダイ
しまして、突発的に行うのではな
かっても、母には相談しない、そう
社内で「TIS 子育てネットとい
再び戻ってきたときの評価の仕方、
バーシティだと思うんですね。
̶̶ 御社は、約 40 年の歴史を
くて、計画的に上司と、
「この日は
いうことって、
それほどレアじゃなく
うのがあります。そこではいろいろ
仕事のアサインメントをどうするか、
どれにしても、制度的にいろい
持ち、グループとして2 万人のス
この仕事を家でします」
というの
なっているみたいなんですね。
な情報交流をしたり、ランチョン
その辺の運用って割と難しい。そ
ろやれることは全部やろうとして、
タッフを抱える大手に成長されて
を事前に合意しましょうということ。
そのときに、子育てネットに入っ
ミーティングをしたり、みんなでい
れは現場のマネジャーと一緒に
制度づくりはしているんですけれ
いるわけですが、最近は海外に
ただ、開始と終了が見えないの
ている人が、
「あの人、何かこん
ろいろなことが聞けるネットワーク、
議論しなければいけないし、チー
ども、それをやっていくと一番根っ
も進出されていますね?
で、
「こんなタスクを予定して、こ
なことになっているみたいよ」
とい
掲示板をつくったり、いろいろなこ
ムの中の男性諸氏にも、ある意
この大きな岩は何かというと、やは
いまTISとしては、主に中国を
んな成果物ができました」
という、
うと子育てネットのママさんたちが
とをやっています」
というふうに紹
味、迷惑をかけることもあります
り、年功序列とか終身雇用と、そ
中心に拠点を持っておりまして、
予定と実績に関してきちんと見え
相談に乗るんですよ。
もしかしたら、
介をすると、老 若 男女からメン
ので、そこをどうやってチームビ
うではない若手の抜擢とか能力
天津と上海の方に子会社が何
る形で管理しましょうという、その
離れているからお母さんに相談し
バー登録がある。いまの子育て
ルドするか。そういうところの課題
主義、そういうものとの軋轢という
社かございます。北京の方は駐
仕組みを準備しました。
ないというのもあるかもしれないん
ネットの登録者は120人くらいで、
の方が、だんだんクローズアップ
一番大きな岩にぶつかりますね。
在事務所があります。ベトナムの
ただ、一つ言っておきたいのは、
ですけれど、それこそ遠くの肉親
男性が2割程度います
(図2参照)
。
されてきていると思いますね。
右肩上がりの年功序列、終身
方に駐在員の事務所を置いてい
よりも、やっぱり近くの子育てネット
その中には 実 際に、例えば、
「24 時間 365日システムを稼働
雇用云々みたいなのは、もう下火
ます。日本の企業さんが、製造
ちがそれなりに努力をしながら、
ママさんなんですよね。そういう
去年子どもが生まれたというお母
し続 けます」というサービスメ
にはなっていますけれど、やっぱり、
業を中心にこういった地域に進
会社も支援できる体制を整えて、
ふうに、経験を持っている彼女た
さんもいれば、55 歳の男性もいる
ニューの中で動いているプロジェ
まだまだビジネスを支えている人
出されるケースが増えています
わけです。若い独身男性もいます。
クトもありますから、いつ何時、シ
たちの3 分の1は、そういう層で、
ので、今後もこの傾向は続くので
主にママさんであったり、
「これか
ステムがおかしくなるかわからな
その人たちに早めに先々を考えて
はないかと思われます。
ら結婚して子どもが欲しい、会
いわけですよ。夕方 5 時ぐらいに、
もらい、本来のダイバーシティの意
主な施策 概
要
女性のキャリア
デザインセミナー
女性のキャリアデザインに必要な基本的な知識や考
え方について学ぶ。
「えるなび」
(よろず相談窓口)
女性に関するよろず相談窓口を設置し、担当窓口を
明確化する。
TIS 子育てネット
(社内コミュニティ)
④女性活躍の
風土醸成
はひいては、自分たちの企業体の
きているからなんです。例えば、20
②相談 で き る 仕
「えるさぽ」
組みの整 備
(ネットワークづくり) (社内メンター制度)
③子育て・両立
支援制度
とも考えなければいけない。それ
̶̶ 在宅勤務を支援するため
[図2]
女性活躍支援
(TIS Gaia PJ)
の主な施策
①キャリアデザ
イン支援
年功序列、終身雇用が
ダイバーシティの
ブレーキに
に、イントラネットをつくるといっ
「制度」
というよりは、ママさんた
カテゴリ 企業ですから、
日本の国全体のこ
納品物を」
ということで成果物をつ
制度のブラッシュアップ
@Home
(在宅勤務制度)
女性先駆者がメンターとなり、メンティの抱える問題
解決を支援する(1対1の支援)
。
キャリア
UP 対策
仕事と家事/育児の両立に関する情報提供・相談
ネットワーク
(有志社員によるボランティア運営)
。
育児をしながら働ける環境を整備。
勤務時間に制約がある場合でも、働きやすい勤務形
態を提供。事由は「妊娠/育児/介護」
。
両立支援
リーフレット配布
全社員に制度紹介のリーフレットを配布し、制度周
知を図る。
長時間労働削減活動
全社的に残業時間削減を実施し、生活と仕事を両
立しやすい環境を目指す。
社内報の活用など
生活と仕事の両立や女性の活躍への関心・理解を促す。
環境整備
社も続けたい」
と思っている女性
「さあ、帰ろうかな」
と準備してい
味合いで、いろいろな人のいろい
̶̶ そうなると、日本人以外の
たちであったり、その辺が中心な
ても、システムが一気にガッとお
ろな能力を駆使できるような経営
人材活用というダイバーシティ
んですけれども、男性の若い人も、
かしくなったときに、わかっている
にしていく必要がある。
も必要になってきますね。
「そうは言っても、僕も妻がいて
のは、ある意味、このママさんし
格好いいことを言っているわけ
そうですね、国籍や文化が違
育児もあって、これからはそうい
かいないということもあります。そ
ではなくて、業績のためにも手を
う人々とどう一緒に働いて成果を
うことも勉強しないと」
とか、
「チー
れはママさんができるところを
打たざるを得ない時期に入ってい
出していくかということが、
これか
ムの中、自分のプロジェクトの中
やって、できないところは、ほか
ます。一番わかりやすいのが男女
らの課題ですね。誰でもどうぞと
にも、そういう優秀な女性がたく
の人がどうやってフォローできる
の問題なので、女性の問題を取り
いうわけにはいきません。仕事の
さんいて、興味があります」
とか、
か、そういった体制を日ごろから
上げて、いろいろなことをするんで
ニーズに合った形で、能力とモチ
年配の方でも、
「僕もちょっと聞
つくっておかないといけない。や
すけれど、結局はいろいろな広い
ベーションの高い様々な人材に 、
いてみたい」
とか、そういう人た
はりプロジェクトそのものの問題
意味でのダイバーシティを考えざ
もっと活躍してもらえればと考え
ちが集まっているわけです。
が大きいと思いますね。
るを得ない。私たちは日本の国の
ています。
H
どれだけ実態がそうなるかという
ちが、経験のない女性たちをいろ
̶̶ 会社としては、そこに何ら
くりますから、そういう仕事をやっ
ところ、もっと率 直に言うと「運
いろ励ましたり、
「こういうの、ちゃ
かの支援をしているわけですか。
ていて、かつそれなりの仕事がで
用」が大事だと思うんです。
んと申請したら、こんなお金が出
会社としては、基本的に自営
きる人、能力も実績も、ある程度
私はこのTIS 子育てネットの活
るのよ、会社もそうだし、国の仕
でやってくださいと。ただ、例えば、
持っている人に限って、
「週に1日
動が継続されなければいけないと
組みもこうなのよ」などと教えたり、
人事が育児休業や女性活躍の
̶̶ ダイバーシティというと、女
響してくるはずなんですよね。
とか 2日、在宅勤務をやってみま
思っています。それはなぜかと言
そういうママさんたちであるがゆ
制度を変えたいなと思ったときは、
性の活躍以外にもいろいろある
だから、本当にダイバーシティを
すか?」
という感じですね。
いますと、このネットワークは会社を
えのネットワーク、同類の絆、人
ご意見番として、子育てネットに検
わけですが?
やるということは、徹底的に能力
超えてとても大事な存在を担って
脈のつくり方、人の広がり方、頼
討を投げたりするんですね。ニー
そうですね。ダイバーシティと
主義で、個々人の持っている性別
活動、経営状態、そのものに影
られるということの親近感、そうい
ズの塊でもありますから、たまに
いう言葉を広義にとらえるのなら
であるとか、国籍であるとか、肉
代前半の女性、まあ男性もそうで
うのが割と子育てネットの中には
は会社への要求も出ますよ。出
ば、男女の問題以外にも、高齢
体的ハンディキャップとか、そうい
た対応はされたんでしょうか?
すけれども、恋愛問題、結婚問題、
脈々とあって、そういうものは、も
ますけれど、今そんなに制度的に、
者の方々をどうしますかとか、障
うことは関係ないでしょうと。そこま
在宅勤務のインフラ環境は、も
今時は婚姻と出産が入れ子にな
う人間の本質としては大事なこと
ここが困っているということはな
害をお持ちの方々をどうしますか
で徹底的に能力主義を高めてい
ともとある社内のリソースを利用
ることもたくさんありますし、いろい
なんだろうなと思うんですよね。
いようで、制度よりは運用ですね。
とか、このグローバルの時代に、
かないと、企業体としては健全と
したもので、高いセキュリティレベ
ろな問題が起きますが、恋愛問題、
今一番困っているであろうと思
国籍の違う方をどういう形でお迎
はいえないんじゃないかなというの
ルの下、自宅から会社環境にア
結婚問題、出産問題で、自分の
̶̶ どのような方々が参加して
われるのは、短時間勤務になっ
えできますかというのがありますよ
が、そこにあるわけですよね。
クセスできます。制度のルールと
実の母に相談をしない。妊娠がわ
いるのですか?
たり、一度、育児で退いた人が
ね。その辺が広くとらえればダイ
しまして、突発的に行うのではな
かっても、母には相談しない、そう
社内で「TIS 子育てネットとい
再び戻ってきたときの評価の仕方、
バーシティだと思うんですね。
̶̶ 御社は、約 40 年の歴史を
くて、計画的に上司と、
「この日は
いうことって、
それほどレアじゃなく
うのがあります。そこではいろいろ
仕事のアサインメントをどうするか、
どれにしても、制度的にいろい
持ち、グループとして2 万人のス
この仕事を家でします」
というの
なっているみたいなんですね。
な情報交流をしたり、ランチョン
その辺の運用って割と難しい。そ
ろやれることは全部やろうとして、
タッフを抱える大手に成長されて
を事前に合意しましょうということ。
そのときに、子育てネットに入っ
ミーティングをしたり、みんなでい
れは現場のマネジャーと一緒に
制度づくりはしているんですけれ
いるわけですが、最近は海外に
ただ、開始と終了が見えないの
ている人が、
「あの人、何かこん
ろいろなことが聞けるネットワーク、
議論しなければいけないし、チー
ども、それをやっていくと一番根っ
も進出されていますね?
で、
「こんなタスクを予定して、こ
なことになっているみたいよ」
とい
掲示板をつくったり、いろいろなこ
ムの中の男性諸氏にも、ある意
この大きな岩は何かというと、やは
いまTISとしては、主に中国を
んな成果物ができました」
という、
うと子育てネットのママさんたちが
とをやっています」
というふうに紹
味、迷惑をかけることもあります
り、年功序列とか終身雇用と、そ
中心に拠点を持っておりまして、
予定と実績に関してきちんと見え
相談に乗るんですよ。
もしかしたら、
介をすると、老 若 男女からメン
ので、そこをどうやってチームビ
うではない若手の抜擢とか能力
天津と上海の方に子会社が何
る形で管理しましょうという、その
離れているからお母さんに相談し
バー登録がある。いまの子育て
ルドするか。そういうところの課題
主義、そういうものとの軋轢という
社かございます。北京の方は駐
仕組みを準備しました。
ないというのもあるかもしれないん
ネットの登録者は120人くらいで、
の方が、だんだんクローズアップ
一番大きな岩にぶつかりますね。
在事務所があります。ベトナムの
ただ、一つ言っておきたいのは、
ですけれど、それこそ遠くの肉親
男性が2割程度います
(図2参照)
。
されてきていると思いますね。
右肩上がりの年功序列、終身
方に駐在員の事務所を置いてい
よりも、やっぱり近くの子育てネット
その中には 実 際に、例えば、
「24 時間 365日システムを稼働
雇用云々みたいなのは、もう下火
ます。日本の企業さんが、製造
ちがそれなりに努力をしながら、
ママさんなんですよね。そういう
去年子どもが生まれたというお母
し続 けます」というサービスメ
にはなっていますけれど、やっぱり、
業を中心にこういった地域に進
会社も支援できる体制を整えて、
ふうに、経験を持っている彼女た
さんもいれば、55 歳の男性もいる
ニューの中で動いているプロジェ
まだまだビジネスを支えている人
出されるケースが増えています
わけです。若い独身男性もいます。
クトもありますから、いつ何時、シ
たちの3 分の1は、そういう層で、
ので、今後もこの傾向は続くので
主にママさんであったり、
「これか
ステムがおかしくなるかわからな
その人たちに早めに先々を考えて
はないかと思われます。
ら結婚して子どもが欲しい、会
いわけですよ。夕方 5 時ぐらいに、
もらい、本来のダイバーシティの意
主な施策 概
要
女性のキャリア
デザインセミナー
女性のキャリアデザインに必要な基本的な知識や考
え方について学ぶ。
「えるなび」
(よろず相談窓口)
女性に関するよろず相談窓口を設置し、担当窓口を
明確化する。
TIS 子育てネット
(社内コミュニティ)
④女性活躍の
風土醸成
はひいては、自分たちの企業体の
きているからなんです。例えば、20
②相談 で き る 仕
「えるさぽ」
組みの整 備
(ネットワークづくり) (社内メンター制度)
③子育て・両立
支援制度
とも考えなければいけない。それ
̶̶ 在宅勤務を支援するため
[図2]
女性活躍支援
(TIS Gaia PJ)
の主な施策
①キャリアデザ
イン支援
年功序列、終身雇用が
ダイバーシティの
ブレーキに
に、イントラネットをつくるといっ
「制度」
というよりは、ママさんた
カテゴリ 企業ですから、
日本の国全体のこ
納品物を」
ということで成果物をつ
制度のブラッシュアップ
@Home
(在宅勤務制度)
女性先駆者がメンターとなり、メンティの抱える問題
解決を支援する(1対1の支援)
。
キャリア
UP 対策
仕事と家事/育児の両立に関する情報提供・相談
ネットワーク
(有志社員によるボランティア運営)
。
育児をしながら働ける環境を整備。
勤務時間に制約がある場合でも、働きやすい勤務形
態を提供。事由は「妊娠/育児/介護」
。
両立支援
リーフレット配布
全社員に制度紹介のリーフレットを配布し、制度周
知を図る。
長時間労働削減活動
全社的に残業時間削減を実施し、生活と仕事を両
立しやすい環境を目指す。
社内報の活用など
生活と仕事の両立や女性の活躍への関心・理解を促す。
環境整備
社も続けたい」
と思っている女性
「さあ、帰ろうかな」
と準備してい
味合いで、いろいろな人のいろい
̶̶ そうなると、日本人以外の
たちであったり、その辺が中心な
ても、システムが一気にガッとお
ろな能力を駆使できるような経営
人材活用というダイバーシティ
んですけれども、男性の若い人も、
かしくなったときに、わかっている
にしていく必要がある。
も必要になってきますね。
「そうは言っても、僕も妻がいて
のは、ある意味、このママさんし
格好いいことを言っているわけ
そうですね、国籍や文化が違
育児もあって、これからはそうい
かいないということもあります。そ
ではなくて、業績のためにも手を
う人々とどう一緒に働いて成果を
うことも勉強しないと」
とか、
「チー
れはママさんができるところを
打たざるを得ない時期に入ってい
出していくかということが、
これか
ムの中、自分のプロジェクトの中
やって、できないところは、ほか
ます。一番わかりやすいのが男女
らの課題ですね。誰でもどうぞと
にも、そういう優秀な女性がたく
の人がどうやってフォローできる
の問題なので、女性の問題を取り
いうわけにはいきません。仕事の
さんいて、興味があります」
とか、
か、そういった体制を日ごろから
上げて、いろいろなことをするんで
ニーズに合った形で、能力とモチ
年配の方でも、
「僕もちょっと聞
つくっておかないといけない。や
すけれど、結局はいろいろな広い
ベーションの高い様々な人材に 、
いてみたい」
とか、そういう人た
はりプロジェクトそのものの問題
意味でのダイバーシティを考えざ
もっと活躍してもらえればと考え
ちが集まっているわけです。
が大きいと思いますね。
るを得ない。私たちは日本の国の
ています。
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