プロセス設計による小型風力発電コスト構造分析荒川 忠一

プロセス設計による
小型風力発電コスト構造分析
AGS年次報告会
2011.12.14
荒川忠一、井上智弘
世界の風力エネルギー設備容量
WWEA Annual Report より
ウィンド・パワーかみす
Semi-Offshore
・ 2010年に2MW機7台が運開
・ 津波に耐えた神栖洋上風力発電所
・ 民間のプロジェクトとして完成、拡大へ
・ 他の国プロの遅れ、早期実現が望まれる
Kamisu, Japan / 2MW x 7
ウィンド・パワーいばらき提供
世界の再生可能エネルギー
再生可能エネルギーのうち、50%以上が風力発電。途上国・新興国の導入も増えている。
再生可能エネルギー導入ポテンシャル
日本のREポテンシャルはあるが、導入におけるコストや社会受容などの問題がある
導入ポテン
シャル(GW)
風力
陸上
洋上
太陽光
住宅
非住宅系
耕作放棄地
中小水力
地熱
河川部が主
28
160
130
80
70
14
14
発電量参考 導入可能量 設備利用率
値 (TWh) (GW)
の目安
56
416
130
67
65
75
93
13-28
30-120
-130
24-46
43-58
2.7-7.4
1.5-4.6
23%
30%
12%
12%
12%
50~90%
75%
導入ポテンシャル参照:太陽光住宅以外(再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査)太陽光住宅(別途計算)
参考: 日本の電力設備 約200GW、電力需要 約860TWh
5
大型風力発電装置
廉価なコストで大規模に普及している。
ブレード
風車本体のコスト内訳
ブレード 30%
ナセル 20%
増速機 10%
発電機 15%
タワー 25%
ナセル
ロータヘッド
タワー
翼
発電機
増速機
外形図
画像:MHI 協力
誘導発電機風車
小型風車(100kw以下)特に1~5kWを対象
独立電源、初期費用が小さい、啓蒙・教育、設置が容易、などの利点から普及へ。
高コストなどの問題も
プロセス設計によるコスト構造分析:太陽電池の例
プロセス設計を行った積み上げ型のコスト分析により、コスト削減ポテンシャルについて、
スケールアップ、効率向上、技術進歩などの要素別に検討が可能。
Fig. Cost of multicrystalline silicon solar cell module
Ref) K. Yamada, T. Inoue, K Waki, “Future Prospects of Photovoltaic Systems for Mitigating Global Warming”, World Engineers’ Convention 2011
小型風車データ収集の方法
各種小型風車について、一般的な機器のデータを収集する
• 原材料費用
– 原材料の重量構成比より算出
• 製造工程
– 1.本体価格から素材費用から概算
– 2.製造工程毎のプロセス設計
• 周辺システム価格
– インバータ、コントローラ等、市場価格より
• 組立工事、運送費用
小型風車の構成材料の重量と原価(試算例)
構成材料の重量より積算した各部分の材料の原価の比較。
重量比に対して、ローター・発電機の材料原価が高い。
重量比
ローター
材料原価の比
10
35
14
12
14
50
56
1
4
4
主な素材
炭素繊維、鉄、アルミ
ナセル
発電機
変速機
フレーム等
タワー
磁石、鉄、銅
鉄
鉄、アルミ、配線(銅)
鉄、アルミ
小型風車のコスト削減可能性への考察
小型風車のコスト割合の概算を行った。コスト構造を明らかにすることで、
各コスト削減要素の寄与率などが明確になる。
小型風車(炭素繊維ブレード水平軸風車、1kW級)の価格概算値
費用(%)
コスト削減要素
風車本体の
原材料費
製造費
26
・軽量化による削減
22
周辺システム
40
組立工事
12
・大量生産
・風車規模の拡大
・既存システムの対応
・工事の簡易化
コスト構造分析のまとめ
• コスト構造化により、それぞれの技術や対策の
コスト削減ポテンシャルを明確にする。
• 小型風車のコスト削減ポテンシャルについては、
– 原材料費の割合が小さいことから、大量生産による
製造コストの削減効果が期待できる。
– ローター・発電機の材料原価が高い。性能と十分比
較しながら軽量化などを検討する必要がある。
– ナセル(発電機を除く)とタワーは材料原価は小さく、
量産効果によりコスト削減が可能。
– 周辺システムの価格が高いため、風車規模の拡大
や、既存のシステムを活用するなどの対策が必要。
• 今後、形の異なる小型風車の検討を行う。