中学生版ブックリスト №２５２００５．１０．２７この主人公たちに会いたい！２００４年１月〜１２月までの１年間に、図書館に入った本の中から１４冊を選んで紹介します。編集・発行富山市立図書館富山市丸の内１−４−５０ＴＥＬ（０７６）４３２−７２７２ミルクウィード〜天使の羽根のように〜ジェリー・スピネッリ千葉茂樹訳作理論社大戦下のワルシャワ。自分の名前さえ知らないチビの少年は、浮浪児たちの仲間になり、ミーシャと名付けられた。ユダヤ人への迫害が強まる中、ミーシャたちも高いレンガで囲まれたゲットーへ強制収容される。ミーシャと彼を慕うヤーニナは、ぬけ穴を見つけ、外に食料を盗みに出かけては、家族や孤児に食べ物を届けるのだった。ミルクウィードの綿毛が舞う冬、二人は、理不尽な世界から飛び出していけたらと、夢を抱く。祈祷師の娘中脇初枝作福音館書店中学生の少女・春永は、両親と高校生の和花の四人家族だ。しかし春永は、実母が小さい連れ子の春永を残し失踪したためこの家に預けられたので、皆とは血がつながっていない。春永は、祈祷師をしている育ての母の力になりたくて、朝から厳しい水行をしていたが、祈祷師になるためのしるしは和花の体に現れた。自分はこの家には要らない人間だと感じた春永は、父に届いていた手紙を手がかりに家を飛び出し、実の母に会いに行く。佐藤さん片川優子作講談社高校１年生の僕は、隣の席の佐藤さんが怖い。彼女の背中には、いくつも幽霊が憑いているからだ。ある日、彼女が僕に除霊を頼んできたことから、僕と彼女の奇妙な関係が始まった。怖がりやだが幽霊と話ができる僕。本当は虐待という暗い過去を引きずっている佐藤さん。クラスメートや佐藤さんに憑いている守護霊の協力で、二人はしだいに好意を抱くようになる。ヒーラーズ・キープ（上・下）ヴィクトリア・ハンリー金原瑞人＆石田文子訳作あかね書房ベランドラ国の王女サラはいやし人の能力があると認められ、ヒーラーズ・キープ（いやしの砦）で学ぶことになった。しかし、この不思議な世界を守る砦に、影の王の手先が入り込み、破壊しようとしていた。一方、海の向こうのスリヴィーア国では、奴隷ミーヴが自分の秘められた生い立ちと才能を知り、国を脱出しようとしていた。運命に導かれるように出会ったサラとミーヴは影の王との壮絶な戦いをすることになる。秘密の道をぬけてロニー・ショッター作千葉茂樹訳あすなろ書房今から 150 年ほど前のアメリカには、逃亡奴隷を自由の地へ逃すための秘密組織「地下鉄道」があった。駅長たちは自らを危険にさらしながらも、逃亡の手助けをしていた。ある真夜中、アマンダの家にひっそりと黒人の一家が到着した。10 歳のアマンダは、同い年の黒人少女ハンナと意気投合するが、捜査の手はすぐそこまで迫っていた。アマンダは、ハンナ一家を逃すため、秘密のトンネルの道案内を申し出る。サンネンイチゴ笹生陽子作理論社 14 歳のナオミは、担任のこと、友達のこと、言いたいことがいろいろあるが、もめごとを起こしたくないので、だまっている。そのナオミと正反対なのが、けんかっ早くて学年一のトラブルメーカー、柴咲アサミだ。二人はナオミのバックが盗まれ、大切なマスコットを切り取られるという事件をきっかけに、親密になる。事件が連続して起こり、正義感の強いアサミたちと犯人を捜すうちに、ナオミは、言いたいことを言わない自分を変えたいと考えるようになった。アグリーガールジョイス・キャロル・オーツ神戸万知訳作理論社優等生で人気者のマットが、学校爆破テロの容疑をかけられ、授業中に警察に連行された。全くの誤解であったにもかかわらず、誰ひとりとしてマットをよう護しようとする者がいない。そんな中で、自分を「アグリーガール（醜い女の子）」と称するアーシュラだけが救いの手をさしのべてきた。一見タフに見えるが実は繊細なアーシュラと、お調子者だが本当は思慮深いマット。ふたりは不思議な友情で結ばれてゆく。シャバヌー砂漠の風の娘― スザンネ・ステーブルズ作金原瑞人・築地誠子共訳ポプラ社 12 歳の少女シャバヌは、パキスタンのチョリスターン砂漠に住む遊牧民だ。勝気で活発なシャバヌは、重い水瓶を運ぶことも、ラクダの世話をすることも苦にならない。だが姉の嫁入り仕度のために、大好きなラクダのグルバンドまで手放すことになった時の悲しみは大きかった。やがてシャバヌは、意に添わない結婚を強いられるが、イスラム社会の中で自分らしく精いっぱい生きていく。プリンセス・プロジェクトケイト・ブライアン露久保由美子訳作理論社 16 歳のカリーナは、ヨーロッパにある小さな国ヴァインランドの王女。窮屈な毎日の生活にうんざりし、「普通の女の子」を夢見ている。ある日、親善旅行で訪れたアメリカで、自分にそっくりな苦学生ジュリアに出会う。カリーナは、あこがれのロックバンドのボーカルとデートするため、王女に仕立て上げたジュリアとひと晩入れ替わるという、壮大なプリンセス・プロジェクトを立ち上げた。時の町の伝説ダイアナ・ウィン・ジョーンズ田中薫子訳作徳間書店第二次世界大戦下、疎開列車で田舎の駅に降り立った 11 歳の少女ヴィヴィアンは、不思議な少年たちに「時の町」へ連れて来られる。「時の町」とは歴史の流れから切り離されて存在し、歴史をも監視する不思議な世界だった。「時の町」を破滅に導くという「時の奥方」と間違われてしまったヴィヴィアンは、本物の奥方を見つけ出し町を救おうと、少年たちとともに歴史上の様々な時代を行き来する。奇想天外なタイムトラベルファンタジー。ルビーの谷シャロン・クリーチ作赤尾秀子訳早川書房孤児院に住むダラスとフロリダは 13 才になる男女の双子だ。小さい時から何度里子に出されても、すぐに戻ってくるような問題児だった。そんな二人の前に老夫婦が現れ、夏休みの間、四人はルビーの谷で過ごすことになる。またひどい目に合うのではと疑っていた二人だったが、一緒に暮らすうちに、しだいに互いの絆を深めていく。美しい自然と愛情に満ちた老夫婦との生活の中で双子が心を再生していく物語。ウィッシュリスト〜願い、かなえます〜オーエン・コルファー種田紫訳作理論社 14 歳のメグと不良少年のベルチは、老人宅に泥棒に入るが見つかってしまう。その時老人はベルチの犬にかまれて大怪我。助けようとしたメグは、仲間割れしたベルチの撃った弾が原因で爆死する。霊魂になって、いったんは地獄に堕ちかけたメグだったが、天国の門で再挑戦のチャンスを与えられる。メグは幽霊となってこの世に戻され、老人の四つの願いをかなえるために奔走することになった。真夜中の飛行リタ・マーフィー作三辺律子訳小峰書店ハンセン家の女たちは、夜に空を飛ぶことができる。この秘密を守るため、例外なしの厳しい規則が設けられている。祖母、母､叔母と共に暮らす 15 歳のジョージアも飛び方について習ってきた。間近に迫った 16 歳の誕生日には、初めての単独飛行（ソロ）を成功させなければならない。家長である祖母との葛藤や様々な不安と怒りを抱えながらも晴れ舞台である儀式に臨む。ダストビン・ベイビージャクリーン・ウィルソン著小竹由美子訳偕成社ピザ屋の裏のゴミ箱に捨てられていた小さな赤ちゃん、エイプリルは、アルバイトの学生フランキーに見つけられ、保護された。その後里親や施設を転々とし、14 歳になったエイプリルは、彼女の先生だったマリオンと暮らしていた。ところが、誕生日にケンカをして家を飛び出してしまう。エイプリルは生みの母を捜そうとして自分の過去をたどるうちあのピザ屋のゴミ箱に思いがけないメッセージを見つける。