19092002.pdf http://www.nsk-nakanishi.co.jp 企 業 7716 ナカニシ 中 西 英 一 (ナカニシ エイイチ) 株式会社ナカニシ社長 デンタル部門で全世界の拡販体制を確立 ◆販管費の増加を売上高の伸長で吸収し、増益を確保 管理本部経理部長 駒田裕一 2007年12月期中間の売上高は112億58百万円(前年同期比14%増)となっており、北米、欧州、南米、オ セアニア、中近東、ロシアが好調に推移して計画を10%上回った。利益面では、営業利益が前年同期比10% 増、計画比23%増となった。子会社の設立等で販管費が大きく増加したものの、予想以上に売上が増加し、増 益を達成している。なお、地域セグメント別の売上比率は、国内21%、アジア15%、北米22%、欧州28%、 その他14%となっている。 歯科用の売上高については、北米が前年同期比28%増となっており、自社ブランドの販売を委託している ブラスラー社の社員教育を強化した成果だと考えている。欧州については、昨年末にドイツでVAT(付加価 値税)引き上げによる駆け込み需要があり、その反動で当中間期は苦戦するとみていた。しかし、その影響は 限定的であり、NSKヨーロッパ(ドイツ)およびNSKフランスの子会社2社とも二ケタ増を達成した。アジ アでは韓国において前期のエイズ特需が第1四半期まで継続し、増収となっている。中国においては、コピー 品や販売チャネルの問題等があり、前期は大きく減少し、今期も前期並みとなった。国内市場については、販 売時期が下期にずれた案件等があり、3%増にとどまっている。その他の市場では、オーストラリア、南米、 中近東、ロシアが大きく伸びて50%増となった。 工業用については、全体の約50%を占める国内売上高が前年同期比12%減となった。ハードディスク関連 の大口顧客からの受注が減少したことに加え、新製品の上市が遅れたことが要因である。北米および欧州は増 収となった。アジア市場については、ハードディスク増産特需がなくなったため、減収となっている。 営業利益は、40億53百万円(前年同期比10%増)となった。その増減要因としては、売上高増加に伴う増 加額が7億29百万円(為替の影響を除く)、子会社の販売割合増加および一部製品の値上げによる原価率の改 善で98百万円増である。販管費の増加による利益圧縮額は、広告販促で86百万円、人件費で1億71百万円、試 験研究費で67百万円、その他で1億82百万円となっている。為替(円安)による利益のかさ上げ額は45百万 円となった。なお設備投資額は2億9百万円となっており、ドイツの倉庫建設費用57百万円が含まれている。 減価償却費については、改正法人税法に則って計算しているため、計算方法の変更による増加分が10百万円 程度含まれている。 通期業績予想については、上期のトレンドと大きく変わっていない。想定レートは、当初1ドル115円、1 ユーロ150円で計算していたが、ユーロを155円に変更している。歯科用の売上高についても、トレンドは大 きく変わらないとみているが、アジア市場については、中国の販売チャネル整備の影響および韓国のエイズ特 需の終了により、前期比8%減を予想している。工業用の売上高については、国内市場で1%減を見込んでい るが、全体では増収を達成したいと考えている。なお、売上高に与える為替の影響については、ドルは1円の 変化で10百万円、ユーロは30百万円となっている。 ◆NSKマーケティングアメリカを設立 社長 中西英一 今後の販売戦略として、全体の約85%を占めるデンタル部門については、今年1~2月にかけて相次いで現 地法人を立ち上げており、全世界での拡販体制が整ってきた。現在、マーケティング本部を設置して、全世界 の現地法人および駐在員事務所を統括しており、年に2回開催する現地法人の責任者を集めたミーティング で、今後の方針や情報を共有し、全世界でのマーケティングに役立てている。 国内市場については、昨年4月の薬事法改正により承認に要する時間が長期化し、新製品の上市が遅れたが、 下期には投入できるため、売上高の増加幅は拡大する見込みである。主力のプレミアム・チタン製タービンに ついては順調に動いており、予防歯科で使われる超音波スケーラーについても、著名な歯科衛生士を講師に招 いたセミナーを開催するなど、拡販を進めている。 北米市場については、これまで日本から営業マンを派遣してきたが、現地に根付いて情報を収集し、マーケ ティング戦略、販売企画を進めることが必要だと判断したため、NSKマーケティングアメリカを設立した。北 本著作物の著作権は、社団法人 日本証券アナリスト協会 R に属します。 米は歯科業界でトップクラスの市場規模となっているため、現地にマーケティング会社を置き、先端の大学と のコミュニケーションを強化することで、新製品開発につなげていきたいと考えている。また、ブラスラー社 のフォローアップ、OEM製品の統括も同社で行っていく。ブラスラー社については、前期は伸び悩んだが、 今期に入って大学への納入実績が大幅に増加した。現在、北米市場でのシェアは着実に拡大しており、ブラン ド力も向上している。カナダ・トロントに設置したNSKカナダブランチについても、本格的に営業活動を開 始した。 中国市場については、NSK上海を中核とした販売・サービス体制の構築を進めている。その体制が軌道に 乗るまでの今年後半から来年にかけては売上は減少すると思われるが、流通網の整備をしなければ今後の拡販 はないと考え、今回の決断に至った。韓国市場については、エイズ特需の反動で下半期は減収となる見込みだ が、合弁会社のNSKサービスが本格始動しており、アフターサービスの強化により顧客満足度を向上させ、競 合との差別化を図っていく。 ◆世界最大の展示会でブランド定着およびイメージアップに成功 中近東市場については、ドバイに拠点を設けて7年が経過したが、営業活動、サービス活動、政府系の人脈 の確立が順調に進んでおり、堅調な受注を維持している。イランの核問題などの懸念材料はあるものの、今後 も順調に伸びるとみている。中南米市場については、順調な伸びを示しており、政治的にも安定しているた め、現時点で不安要素はない。 ロシア市場については、モスクワに駐在員事務所を開設し、情報収集や現地のディーラーのサポートを行っ ており、医療機器市場の活況に合わせて着実に売上を伸ばしている。オセアニア市場については、1月に設立 したNSKオセアニアが順調に推移している。 欧州市場の中核となるNSKヨーロッパについては、競合他社の攻勢がし烈になる中、売上が堅調に推移し ている。製品面では、主力のチタンコントラハンドピースおよびチタンタービンが好調となっており、インプ ラント用モータも順調に伸びている。3月には、世界最大の展示会IDSが開催されたが、メインエントランス にバナー広告を設置するなど、多額の費用を投入した結果、ディーラーや歯科医師の支持を獲得し、ブランド 定着およびイメージアップに成功したと考えている。また、納期短縮とカスタマーサービスの向上を目的とし て、ECSC(ヨーロッパ・セントラルストックセンター)の建設を進めており、2008年1月に稼働開始の予 定である。 NSKフランスは、競合他社の反攻により1~3月に売上を落としたが、4~6月には回復し、上半期の売上増 を維持した。欧州では9~11月が最大の商機となるため、競合他社も値下げやプロモーションを強化してくる とみているが、当社としては、新製品の投入やプロモーションの展開により、競争に勝ち抜いていきたいと考 えている。足病用モーターハンドピースについては、NSK Wellness Technologyによる拡販が順調に推移し ている。その他の欧州については、全般的に堅調となっており、特にイタリアは好調に推移している。 歯科用の新製品としては、欧州および日本で最もポピュラーな製品群「コントラアングル」の新機種を、6 月に欧州で発売した。従来と比較してスマートなデザインとなっており、ノイズ・振動レベルを大幅に低減 し、競合他社を凌駕するパフォーマンスを提供しているため、下期以降の柱になると考えている。 ◆ハードディスク関連の大口顧客からの注文が大幅に減少 工業用製品の国内市場については、ハードディスク関連の大口顧客からの注文が大幅に減少しており、回復 の見通しが立っていないが、営業活動を進め、工作機械メーカーとのタイアップを強化するとともに、エンド ユーザーを確保して底辺を拡大していきたい。また、新製品の投入によって売上減少をカバーしたいと考えて いる。北米市場については、一般産業機械業界の勢いがなくなっており、微増にとどまるとみている。欧州市 場については、携帯が活況となっており、当社の製品も堅調に推移するとみている。 製品戦略としては、幅広いニーズに応える製品ラインアップをそろえるため、下期に新製品を投入する。ま た、工作機械メーカーと共同で新製品の開発を進めていく。将来に向けて、ナノオーダーの加工に対応できる 超精密スピンドルの研究も進めており、 「超高速エアー軸受タービンスピンドルABS-1200」が第4回モノづ くり部品大賞(日刊工業新聞社主催)において「日本力賞(にっぽんぶらんど賞)」を受賞した。ニッチな市 場となっているため、まだビジネスにはつながらないが、5~10年先には主流になるとみている。 外科用製品については、国内市場に徐々に浸透しており、大学病院等への納入により着実にシェアが拡大し ている。海外については、販売体制の構築を進めており、来期以降は売上を伸ばすことができるとみている。 (平成19年8月10日・東京) 本著作物の著作権は、社団法人 日本証券アナリスト協会 R に属します。
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