最近の肉用牛経営の動向

(平成20年10月)
山形県における最近の肉用牛経営の動向について
1 畜産の位置づけ
(1)畜産は、農業産出額の約15%を占め、米、果実、野菜に次ぐ本県農業の基幹部門である。
(2) 平成18年の畜産部門の算出額は、316億円で前年並みであった。
部門別では肉用牛、豚で伸びたものの生乳、鶏では減少した。
◇農業産出額の推移(単位:億円、%)
畜
年
区分
15
16
17
18
2,349
耕種部門
323
肉用牛
乳用牛
豚
86
101
101
2,024
米
果実
野菜
1,099
475
316
(100.0) (13.8) (3.7) (4.3) (4.3) (86.2)(46.8)(20.2)(13.5)
農業産出額
(割合)
産
農業合計
農業産出額
(割合)
資料:
「生産農業所得統計」
2,140
320
87
101
101
1,818
882
463
347
(100.0) (15.0) (4.1) (4.7) (4.7) (84.9)(41.2)(21.6)(16.2)
2,125
農業産出額
318
89
97
97
1,802
951
424
304
(割合) (100.0) (15.0) (4.2) (4.6) (4.6) (84.8)(44.8)(20.0)(14.3)
農業産出額
2,152
316
92
91
100
1,832
(割合)
(100.0)
(14.7)
(4.2)
(4.2)
(4.6)
919
461
327
(85.1) (42.7) (21.4) (15.1)
2 肉用牛経営の動向
(1)肉用牛飼養戸数は、小規模繁殖経営を中心に依然として減少傾向にあるが、ここ数年横ばいで推移。
(2)飼養頭数は、昭和50年代まで増加を続けていたが、昭和61年(66,400頭)をピークに減少。
品種別では、一部地域で肉専用種肥育経営の規模拡大が進んでいることもあり、肉専用種及び乳用種
ともに頭数は増加傾向にある。1 戸当たり飼養頭数は着実に増加しており、平成20年は36.9頭と
なった。肉用繁殖雌牛頭数は近年増加傾向にある。
◇ 肉用牛飼養農家数・頭数の推移(各年2月1日現在)
平成17年
平成18年
資料:
「畜産統計」
平成19年
平成20年
区 分
前年増減比
前年増減比
前年増減比
前年増減比
飼養戸数(戸)
1,190
▲6.3
1,090
▲8.4
1,090
0
1,080
▲1.0
飼養頭数(頭)
36,100
▲3.5
36,200
0.2
38,400
6.1
39,800
3.6
うち肉専用種(頭)
30,900
4.0
31,330
1.4
32,900
5.0
34,800
5.8
4,330
▲6.1
4,560
5.3
4,790
5.0
5,270
10.0
5,200 ▲32.7
4,870
▲6.3
5,510
13.1
5,040
▲8.5
うち繁殖雌牛頭数
うち乳用種(頭)
1 戸当たり頭数(頭)
30.3
33.2
35.2
36.9
(3)平成20年の多頭層農家シェア(100頭以上)は戸数で17.5%、頭数で71.9%となり、大規
模階層が占める割合は戸数・頭数ともに近年、増加傾向にある。
◇規模拡大の進展状況
資料:
「畜産統計」
区
分
平成18年
肉用牛大規模層シェア
(飼養頭数 100 頭以上)
平成19年
平成20年
戸数(%)
12.1
17.3
17.5
頭数(%)
63.1
72.1
71.9
経営別大規模層シェア
繁殖経営
戸数(%)
21.1
27.2
23.6
肉専用種 50 頭以上
戸数(%)
17.0
27.9
29.0
乳 用 種 50 頭 以 上
戸数(%)
26.8
33.3
34.7
肥育経営
繁殖雌牛 10 頭以上
(4)平成19年の和牛子牛取引頭数は維持、出荷頭数は肉専用種で増加傾向。
◇子牛取引頭数及び肉用牛出荷頭数の推移
資料:
「県内家畜市場取引状況報告」
、
「畜産物流通統計」
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
区 分
前年増減比
前年増減比
前年増減比
前年増減比
子牛取引頭数(頭)
2,653
0.4
2,651
0.1
2,825
6.5
2,824
0
肉用牛出荷頭数(頭)
20,322
▲2.3
19,501
▲4.0
19,045
▲2.3
-
-
うち肉専用種(頭)
13,000
0.3
14,178
9.1
14,575
2.8
-
-
うち乳用種(頭)
7,322
▲6.7
5,323
▲27.3
4,470
▲16.0
-
-
(5)子牛価格は、平成13年以降上昇傾向にあり18年、19年と高値で推移してきたが、20年度に入り
飼料価格の高騰を受け急落している。枝肉価格についても同様に高値で推移してきたが、20年度に入
り3等級を中心に値を下げている。
◇価格の推移
資料:「全国の肉用子牛取引情報」
、
「県食肉公社成績」
、税込み価格
区
分
16年
17年
18年
19年
20 年 3 月
20 年 4 月
子牛価格
全
国
459
488
509
491
462
443
(千円/1 頭)
山 形 県
479
507
521
514
488
454
A-5
2,532
2,679
2,659
2,577
2,386
2,412
A-4
2,202
2,288
2,358
2,247
2,118
2,122
A-3
1,978
2,076
2,092
1,981
1,817
1,776
A-5
2,370
2,451
2,478
2,462
2,400
2,441
A-4
2,086
2,166
2,190
2,131
2,003
2,038
A-3
1,917
1,981
1,967
1,836
1,714
1,680
枝肉価格
県食肉
公 社
(和牛去勢)
(円/kg)
東 京
(芝浦)
子牛価格、枝肉価格とも年度値
(6)平成19年の和牛肥育経営は、粗収益が維持ベースで推移したものの、もと畜費と飼料費がかさんだた
め、所得は前年を下回る水準となった。
◇収益性の推移(円)
資料:「畜産物生産費調査」
区
分
粗
和牛去勢 1 頭当たり
平成17年度
収
平成18年度
平成19年度
益
1,029,315
1,141,121
1,124,156
費 用 合 計
921,939
986,535
1,047,471
所
222,647
271,838
195,958
得