クレヨン模写での西洋美術史

第5回エコール・ド・クレヨン展
クレヨン模写での西洋美術史
―ボッティチェリから印象派を経てマティスまで―
(H26.9.14)
芸術の秋に相応しい展覧会の案内状をいただいた。この案
内状は「さいたま市と伊奈町」を中心に結成され20年経つ
「彩の国を描く会」の会員である高橋とし子さんからである。
高橋さんは我が家から二軒先に住んでいる。美術鑑賞を趣味
の一つにしている私にとっては、身近な人の作品に興味があ
りうれしくかった。是が非でも鑑賞しなければとの思いが強
く、時間のやりくりをして最終日に銀座ギャラリームサシを
訪れた。
この展覧会のユニークなのは、1つ目は全作品が新聞紙に
クレヨンで描いていること。2つ目は作品に必ず有名画家の
作品を模写した作品を出品していること、3つ目は自画像を
描いていること。出品者全員が3つの約束事に基づいて描い
ていることだ。このようにテーマをもった展覧会をこれまで
鑑賞したことはない。鑑賞する立場からすると、模写とはい
え、原画も知っているのでそれを思い出しながら、皆さんの描いた模写を鑑賞していくこと
は楽しい。今回の模写作品のどれをとっても、見事に原画に近いものへと作品を描き上げて
いることに感動し、この絵画サークルのレベルの高さは私にとっては驚きできであった。
私が特に目を惹いたのはターナー「難破船乗組員の救助に努める漁船」で躍動感に満ちた
描写、画面にみなぎる迫力に感動しました。この作品を思い出すのは、ロマン主義者の先駆
者と言われているジェリコの「ルメデュースの筏」です。その他にフェルメール「「牛乳を
注ぐ女」でした。残念だったのは、磯崎さんの作品が歩道側に向かって展示されていたので
写真に撮れなかったことです。
★高橋さんの模写「夫婦」はモディリアーニ」の作品、原画を思い出しながら鑑賞させてい
ただき、写真に収めたが、原画の雰囲気がよく出ている。彼は画家、彫刻家。主にパリで制
作活動。芸術家の集うモンパルナスで活躍し、エコール・ド・パリ(パリ派)の画家の一人
に数えられている。顔と首が異様に長いプロポーションで目には瞳を描き込まないことが多
いなど、特異な表現をとっている。
原画
高橋さん模写
高橋さん模写ルオー見習職人
★ルオーは、パリの美術学校でマティスらと同期だったこともあり、フォーヴィスムの画家
に分類されることが多いが、ルオー本人は「画壇」や「流派」とは一線を画し、ひたすら自
己の芸術を追求した孤高の画家であったと言われている。私の好きな画家である。現役時代
は職場が近かったのでパナソニック汐留ミュージアムにルオーの展覧会がある度に訪れてい
た。独特の骨太の輪郭線と宝石のような色彩が特徴で、画題としてはキリストを描いたもの
のほか、娼婦、道化、サーカス芸人など、社会の底辺にいる人々を描いたものが多い。
★高橋さんの自画像については、案内状をもらった時点でこれかなと予想して、犬がいるの
で犬を抱いている絵が高橋さんの作品と示したら、みごと外れてしまった。「お茶を飲む」
横顔でした。絵を描く中で一番難しいのは自画像と言われているが、高橋さんの作品をじっ
と見ていると、高橋さんの顔とダブってきてしまう。
短い鑑賞時間だったが楽しい展覧会でした。
フェルメール作品と作者自画像
ターナー作品と作者自画像
レンブラント作品と作者自画像
ベラスケスと作者自画像