平成22年度西関東支部学総会学術大会甲府

平成 22 年度
社団法人 日本補綴歯科学会
西関東支部総会・学術大会
プログラム・抄録集
併 催
シンポジウム
生涯学習公開セミナー
市民フォーラム
Abstracts and Program
Annual Scientific Meeting of The Japan Prosthodontics Society
Nishi-Kanto Chapter in conjunction with
Lifelong Learning Seminar of J.P.S.
November 28th, 2010, Kofu, Japan
会 場
会 期
大会長
支部長
共 催
甲府市総合市民館
平成 22 年 11 月 28 日(日曜日)
山梨県歯科医師会会長 三塚憲二
日本補綴歯科学会西関東支部 木本克彦
山梨県歯科医師会
0
平成 22 年度(社)日本補綴歯科学会
西関東支部総会・学術大会参加の皆様へ
1.
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参加者は受付にて記帳の上,参加章をお受け取り下さい.
学術大会参加章には氏名・所属を記入の上,胸につけてご入場下さい.
抄録集は有料(1000 円)です.
本学会専門医の申請あるいは更新を希望する会員は,専門医研修カードに必要事項を記入の
上,総合受付の専用ポストに投函して下さい.
注)専門医研修カードは本誌に附属しております.
学会会場におけるビデオ・写真撮影等は,発表者の著作権保護のため,禁止させていただき
ます.なお,特別な目的がある場合は,総合受付係りにお申し出下さい.
(報道関係者除く)
本学会は日本歯科医師会生涯研修事業の認定を受けております.
日歯生涯研修について
(社)日本補綴歯科学会西関東支部大会に参加(出席)した場合には,特別研修として 10 単
位が取得できます.なお,特別研修の単位登録には,受講研修登録用 IC カードが必要です.
ご自身の日歯 IC カードを必ずお持ち下さい.
その他の各プログラムの単位登録は会場に貼り出された短縮コードをご利用の上,ご自身
でご登録下さい.
詳細は日本歯科医師会にお問い合わせ下さい.
1
【大会スケジュール】
(社)日本補綴歯科学会西関東支部総会・学術大会
主
催
【3 階第 4 会議室】
【1 階芸術ホール】
【1 階控室大室】
【3 階大会議室】
(社)日本補綴歯科学会西関東支部
時
間
理事会
8:50~ 9:20
受付時間
開会式
一般口演
シンポジウム
Lunch Time
総 会
生涯学習公開セミナー
閉会式
専門医申請ケースプレゼンテーション展示時間
専門医審査
ポスター展示時間
ポスター発表質疑応答
ポスター撤去
9:00~16:55
9:25
9:30~10:50
11:00~12:30
12:30~13:30
12:35~13:05
15:30~16:55
16:55~
9:30~17:00
13:30~14:30
9:30~17:00
14:30~15:25
17:00
併催:山梨県歯科医師会
『山梨県民歯科保健のつどい』
主
催
【1 階】
山梨県歯科医師会
開演時間
歯科保健関係者合同研修会
【山の都アリーナ】 市民フォーラム(神奈川歯科大学 井野
2
時
間
9:00~15:30
11:00~15:30
智先生) 12:10~12:55
会場のご案内
甲府市総合市民会館
無料駐車場
〒400-0867
甲府市青沼三丁目 5-44
TEL: 055-231-1951
300 台(満車の場合,近くの有料駐車場となります.)
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館内案内図
3
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発表される先生方へ
今回から発表をされる演題すべてを対象に口頭発表から 1 演題,ポスター発表
から1演題,それぞれ最優秀賞を選出しその功績を表彰することにいたしました.
講演者の皆様のご理解とご協力お願いいたします.
西関東支部支部長:木本克彦
【一般口演発表】
1階
芸術ホール
1. 口演時間は 8 分,質疑応答は 2 分(時間の関係上お一人のみ)です.
注)詳しいご質問等は口演後ロビーPC 受付前にてご討論お願い申し上げます.
2. 口演中,ブザ−10 分で降壇して下さい.
3. 発表者の方は発表予定時刻の 10 分前までに次演者席に着席して下さい.
《PC による講演発表について》
1. 今回はすべて Windows Power Point 2007 による発表とさせて頂きます.
2. 映写は単写とさせて頂きます.
3. ファイルは USB メモリースティックでご持参下さい.
4. 発表 20 分前までに口演会場の PC 受付へご持参になり,起動確認をお願いします.
5. 確認後 USB メモリースティックを受付へ提出し,受領証をお受け取り下さい.
6. 発表終了後は速やかに受付にて受領証と引き替えに USB メモリースティックをお受け取り下
さい.
注)学術大会終了までに引き換えに来られない場合,誠に遺憾ですが廃棄させていただきま
す.
7. 同時に CD-ROM に収められた事後抄録を PC 受付にご提出ください.
(CD-ROM は返却できません) なお図表はご遠慮下さい.
注)後日の提出は認められません.
【ポスター発表】
3階
大会議室
1. 発表者はポスター受付にて,発表者の名札を受け取って下さい.
2. 展示には横 180cm,縦 180cm の展示板を用意します.(図参照)
3. 発表のタイムスケジュールは下記に従ってください.
展示時間: 9:30~17:00
質疑応答:14:30~15:25
撤去時間:17:00
4
【専門医申請
ケースプレゼンテーション】
1階
1.
2.
3.
4.
5.
控室大
発表者はポスター受付にて,発表者の名札を受け取って下さい.
展示には横 180cm,縦 180cm の展示板を用意します.(図参照)
発表時間は審査委員の指示に従い,10 分程度で内容の説明を行って下さい.
発表者は審査委員の審査を受けて下さい.
発表終了後に発表内容を日本補綴歯科学会専門医制度のしおり・様式 10 に記載し学会事務局
宛に郵送してください.
6. その他の詳細は日本補綴歯科学会専門医制度のしおりをご参照ください.
7. 発表のタイムスケジュールは下記に従ってください.
展示時間: 9:30~17:00
審査時間:13:30~14:30
撤去時間:17:00
20cm
160cm
20cm
番号
演題名・氏名・所属
顔写真
180cm
160cm
180cm
--------------------
memo
5
--------------------
会場ご案内
【1 階
芸術ホール】
《開会の辞》9:25~
山梨県歯科医師会会長
大会長
三塚憲二
《一般口演》9:30~10:50
9:30~10:00
座長:澤田智慈(神奈川歯科大学)
■
日歯生涯研修 1 単位:2207
O-1
アパタイト被覆二酸化チタンを応用した新規漂白剤の検討
○斉田牧子,長谷博子*,野浪亨*,李昌一**,木本克彦
神奈川歯科大学 顎口腔機能修復科学講座 クラウンブリッジ補綴学分野
*中京大学情報理工学部生命システム工学部
**神奈川歯科大学生体管理医学講座薬理学分野
O-2
ハイブリッド型コンポジットレジンの耐摩耗性に関する研究
○岡野大輔,佐藤洋平,大久保 力廣
鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座
O-3
仮想空間情報を用いた戦略的補綴治療 Plannning System の開発と臨床応用
○小川 匠1),重田優子1),井川知子1),平林里大1),積田光由1),安藤栄里子1),
坂本奈緒子1),笠間慎太郎1),平井真也1),河村 昇2),伊原啓祐2),亀井 秀1),荒木次朗,
伊藤孝介1),細田 裕1),水野行博2),福島俊士1)
1)鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座
2)鶴見大学歯学部附属病院技工研修科
10:00~10:30
座長:荒川秀樹(神奈川歯科大学)
■
日歯生涯研修 1 単位:2608
O-4
ノンクラスプデンチャーにおけるレストの有無が義歯床下粘膜の負担圧分布に及ぼす影
響
○廣田正嗣,新保秀仁,鈴木恭典,大久保 力廣
鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座
O-5
咀嚼の側性と咬合力バランスの相関について
○富永真由美,西山雄一郎,大久保力廣,大貫昌理,千葉奈央,有我朋子,河野健太郎,
松田梨沙
鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座
6
O-6
鶴見大学歯学部Cr-Br模型実習への半調節性咬合器の導入
-学生の理解度とモチベーション評価-
○坂本奈緒子,重田優子,小川 匠,平林里大,白石文,安田隆英,高木温子,
笠間慎太郎,井川知子,横山貴士,佐々木圭太,安藤栄里子,西村 康,深川菜穂,
平井真也,坪田有史,小久保裕司,中村善治,福島俊士
鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座
10:30~10:50
O-7
O-8
座長:鍵和田豊(神奈川歯科大学)
■
日歯生涯研修 1 単位:2608
ピエゾグラフィーとFBIテクニックを用いた機能的全部床義歯製作
○北原 弘子1),佐藤 洋平1),水野 行博2),村石 絵麻1),阿部 實1),大久保
1)鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座
2)鶴見大学歯学部歯科技工研修科
今の全部床義歯治療に満足していますか?
-術者も患者も満足度がさらに向上する新術式の提案-
○西村 伸明1),北野 展久1),阿部 實1),水野 行博2),大久保
1)鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座
2)鶴見大学歯学部歯科技工研修科
7
力廣1)
力廣1)
《シンポジウム》11:00~12:30
『メタルフリー治療の実際とその恩恵』
■
日歯生涯研修
2 単位:2607
座長:木本克彦
先生
(神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座クラウンブリッジ補綴学分野教授)
Subtitle
― Layering porcelain の物性から見たオールセラミック修復
講師:中村善治 先生(鶴見大学歯学部准教授)
―
オールセラミックレストレーションの予知性について
講師:積田光由 先生(鶴見大学歯学部助教)
―
―
《西関東支部総会》12:35~13:05
《生涯学習公開セミナー》15:30~16:55
『部分床義歯設計のすすめ』
■
座長:北條
了
日歯生涯研修
先生(神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座有床義歯補綴学分野准教授)
Subtitle
― 設計原則を再考する ―
講師:大久保 力廣 先生(鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座教授)
―
2 単位:2608
すれ違い咬合の意味するもの ―
講師:阿部 實
先生(鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座准教授)
8
【1 階
控室大】
《専門医申請ケースプレゼンテーション》
13:30~14:30
S-1
糖尿病患者の上顎前・臼歯の中間欠損に対して接着ブリッジにより機能回復
を行った症例
○柘植 琢磨
日本大学歯学部歯科補綴学教室Ⅲ講座
【1 階
山の都アリーナ】
《市民フォーラム》12:10~12:55
『健康的な歯と長く付き合うために』
-最近の歯科事情から-
■
座長:近藤
講師:井野
永
智
先生
先生
日歯生涯研修
1 単位:2499
山梨県歯科医師会会員
日本補綴歯科学会西関東支部理事
神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座有床義歯補綴学分野准教授
神奈川歯科大学附属病院副院長
9
【3階
大会議室】
《ポスター発表》展示時間 9:30~17:00
質疑応答 14:30~15:25
14:30~15:25
座長:渡辺智良 (神奈川歯科大学)
P-1
インプラント補助型Obuturatorによる上顎口蓋欠損の補綴処置
○石村ミトゥラ1),北條 了1),井野 智1),浜野奈穂1),山谷勝彦2),尾辻 剛2),
小柳光蔵3),篠田 晃3),山中康裕3),池谷浩志3),鈴木孝春3),森野隆臣3),石田正博1),
豊田 實3),近藤 永4)
1)神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座有床義歯学分野
2)神奈川歯科大学附属病院技工科
3)横浜歯科技術専門学校
4)西関東支部(山梨県開業)
P-2
硬口蓋欠損の修復(オブチュレーター)について
○鍵和田豊*,荒川秀樹*,吉野練太朗*,窪田洋一*,宮本績輔*,鍵和田 誠*,鈴木敏行**
*神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座有床義歯学分野
**横浜研修センター
P-3
新規重合性基含有疎水性シランカップリング剤の合成と接着耐水性効果について
○二瓶智太郎1),清水統太2),岡田周策1),鈴木敏行3),寺中敏夫1)
1)神奈川歯科大学口腔治療学講座保存修復学分野
2)神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座有床義歯補綴学分野
3)神奈川歯科大学総合歯科学講座
P-4
上顎人工中切歯切縁の垂直的位置および咬合高径の決定方法に関する研究
第2報 男性有歯顎者データからの推測
○山本克之
IKO 口腔医学研究所
P-5
表面改質処理法が歯科用ジルコニアの結晶構造に及ぼす影響
○山口紘章,浜野奈穂,北條 了,宮本績輔,井野 智
神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座有床義歯学分野
P-6
ナノジルコニアフレームによるオールセラミックの臨床
○澤田智慈1),澤田智史2),岡田周策3),瓜生 厚1),奥寺 充1),山田直樹4),木本克彦2)
1)神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座有床義歯補綴学分野
2)神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座クラウンブリッジ補綴学分野
3)神奈川歯科大学歯科保存学講座
4)湘南短期大学歯科衛生学科
10
P-7
力学的安定性を考慮しインプラントに磁性体を応用したオーバーデンチャーの製作
○郷土恵久*,左海孝昌*,工藤 努**
*関西支部(左海歯科クリニック)
**東北・北海道支部(北田・工藤歯科医院)
P-8
レーザー溶接カスタムアバットメントにおけるインプラント上部構造の接着強度
○錦織聡明1),渥美美穂子1,3),二瓶智太郎1,2),尾崎隆海1),鎌田政宣1),
小飯田武広4),木本克彦3)
1)神奈川歯科大学附属病院インプラント科
2)神奈川歯科大学口腔治療学講座
3)神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座有床義歯学分野
4)神奈川歯科大学附属病院技工科
P-9
ブリッジ作業模型を対象とした新しい形状計測システムの開発研究
第1報:ハードウェアの開発
○藤田忠寛*,菊田大士**,山田重雄***,大友孝恒***,井野 智****,北條
木本克彦*****
*神奈川歯科大学高次元研究所
**西関東支部(東京都開業)
***湘南短期大学歯科衛生学科
****神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座有床義歯学分野
*****神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座クラウンブリッジ補綴学分野
了****,
P-10 若年期からの臼歯喪失が認知機能に与える影響
○川畑政綱*,**,大野晃教*,**,川本翔一*,**,堀 紀雄*,**,青木宏道*,**,星
澤田智史*,桑原淳之*,木本克彦*,**
*神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座クラウンブリッジ補綴学分野
**神奈川歯科大学高次脳・口腔科学研究センター
憲幸*,
P-11 チューイングはワーキングメモリタスク遂行時の前頭前野の賦活を促進する
○川本翔一,川畑政綱,堀 紀雄,青木宏道,木本克彦
神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座クラウンブリッジ補綴学分野
P-12 介護保険における口腔機能向上加算の実態調査
〇荒川秀樹,鍵和田 豊,吉野練太朗,窪田洋一,宮本績輔
神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座有床義歯学分野
P-13 金属アレルギー患者に対して純チタンを使用した補綴で治療した症例
〇柳川明宏*,滝沢琢也**
*西関東支部
**株)コアデンタルラボ横浜
11
P-14 レーザー溶接を行った既製アバットメント改変の影響
―第1報 レーザー溶接カスタムアバットメントの製作法―
〇小飯田武広1),山谷勝彦1),尾辻 剛1),鎌田政宣2),二瓶太郎2,3),渥美美穂子2,4)
1)神奈川歯科大学附属病院技工科
2)神奈川歯科大学附属病院インプラント科
3)神奈川歯科大学口腔治療学講座
4)神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座有床義歯学分野
12
-------------------- 抄
録
--------------------
【生涯学習公開セミナー】
『部分床義歯設計のすすめ』
時 間 : 15:30~16:55
会 場 : 芸術ホール
座
長
北條
了
先生
神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座有床義歯補綴学分野准教授
Subtitle
―
設計原則を再考する
―
講 師
大久保 力廣 先生
鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座教授
--------------------【講師略歴】-------------------1986 年
1990 年
1990 年
1996 年
1997 年
2004 年
2005 年
2009 年
鶴見大学歯学部卒業
鶴見大学大学院修了
鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座 助手
Visiting Scientist, Baylor College of Dentistry
Assistant Professor, Baylor College of Dentistry
Visiting Scientist, University of Uruguay
鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座 講師
鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座 教授
日本補綴歯科学会指導医
日本口腔インプラント学会専門医
日本顎顔面インプラント学会指導医
13
Subtitle
―
すれ違い咬合の意味するもの
―
講 師
阿部 實 先生
鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座准教授
--------------------【講師略歴】-------------------1971 年
1976 年
1981 年
2003 年
2007 年
東京医科歯科大学 歯学部卒業
鶴見女子大学歯学部 歯科補綴学教室
鶴見大学歯学部 歯科補綴学第一講座
歯学博士(東京医科歯科大学)
鶴見大学歯学部 歯科補綴学第一講座
同附属病院初診室室長
鶴見大学歯学部 歯科補綴学第一講座
日本補綴歯科学会指導医
日本磁気歯科学会認定医
14
助手
講師
助教授
准教授
「設計原則を再考する」
鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座
大久保 力廣
欠損補綴の目的は,喪失した形態や障害された機能を人工装置により回復し,続発疾病を予
防することである.しかし,一部のパーシャルデンチャーは残存歯の寿命を短縮し,あげくの果
てに「抜歯鉗子」などと中傷されている.その原因の多くは設計の不備にあるのではないだろう
か.
パーシャルデンチャーの設計は歯科医師自身により行われなければならない.残存歯,顎堤,
咬合,顎関節,旧義歯の正確な検査に基づいて総合的な診断を行い,機能や審美性,耐久性,快
適性を考慮し,咬合圧下における義歯の安定と患者の満足の両立を図る.これまでの幾多の研究
によりパーシャルデンチャーの科学的検証が行われ,支台装置の種類と配置,義歯の外形と剛性,
連結装置の設定などに関して設計の原則が導かれている.加えて,金属床義歯では使用材料の選
定や強度を確保するための構造設計も行う必要がある.
パーシャルデンチャーによる機能回復と残存諸組織の保全には特にレストが重要な役割を果
たす.レストの数と配置により支台歯間線が想定され,部分床義歯の機能時の動態が決定する.
また,咬合圧を設計意図通りに歯根膜と粘膜に配分し,リズミカルな咀嚼を営むためにもクラス
プを除いた義歯構成要素には剛性が必須である.しかしながら,昨今の弾性熱可塑性樹脂により
製作された,いわゆるノンクラスプデンチャーはこの対極に位置する.特に金属を全く使用しな
いメタルレスのフレキシブルデンチャーは,部分床義歯補綴学のセオリーから完全に逸脱してい
ることから,大きな危惧の念を抱いている.
一方で,DOS から POS への医療概念の改革は従来の機能回復に重点がおかれたパーシャルデン
チャーのパラダイムをも大きく変えようとしている.補綴治療のアウトカムにおいて機能回復と
審美を両立し,患者の満足度を高めることが不可欠となってきた今こそ,パーシャルデンチャー
の設計原則を再考するよい機会なのかもしれない.
--------------------
memo
15
--------------------
「すれ違い咬合の意味するもの」
鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座
阿部 實
「義歯の設計は難しくて解らない」と多くの歯科医学の初学者たちが言う.私も 40 年近く前
に部分床義歯補綴の勉強を始めた頃には同じ思いを抱いていた.今,設計において何が一番重要
かと問われれば,「広い視野と全体観を持つこと」と答えたい.
喩話しが大きくなるが,幕末から明治維新の頃,
「大政奉還」を推進した坂本竜馬や「学問の
ススメ」を書いた福沢諭吉らが,鎖国体制の島国日本の幕藩体制や士農工商制度の中にいて,そ
の現実に埋没することなく四民平等の近代化を進めることができたのは,正にグローバルな広い
視野からの全体観を持ち得たからであり,それこそ我々が最も学ぶべきことであると思う.
「井の中の蛙いかに大海を知る」かである.
歯科補綴診療と義歯設計における広い視野と全体観とは何か.一つは,人間が「生老病死」
の経過をたどる生命体であり,中高年の口腔内に生ずる咬合崩壊現象を対象とした問題解決学で
あるという認識である.
「すれ違い咬合は部分床義歯補綴の最難症例である」ことは故尾花甚一先生の命名後,およそ半
世紀の時を経てようやく歯科界に定着した.しかし,すれ違い咬合を定義通りの狭い意味に限定
し,そこに埋没していたのでは,依然として従来の「欠損補綴」の考え方からは出られない.す
べての症例はすれ違い咬合を包含していると見抜けた時に初めてすれ違い咬合の意味するとこ
ろを理解したと言えるのである.
--------------------
memo
16
--------------------
【シンポジウム】
『メタルフリー治療の実際とその恩恵』
時 間 : 11:00~12:30
会 場 : 芸術ホール
座
長
木本克彦
先生
神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座クラウンブリッジ補綴学分野教授
Subtitle
―
Layering porcelain の物性から見たオールセラミック修復
講
--------------------【講師略歴】-------------------昭和
昭和
平成
平成
平成
平成
平成
平成
平成
62 年
62 年
4年
6年
6年
10 年
11 年
19 年
20 年
3月
4月
10 月
4月
4月
4月
1月
4月
4月
鶴見大学歯学部大学院卒業
鶴見大学歯学部助手
早稲田医学院歯科衛生士専門学校非常勤講師
鶴見大学歯学部講師
フロリダ大学歯学部客員准教授
鶴見大学女子短期大学部歯科衛生科非常勤講師
鶴見大学歯学部助教授
鶴見大学歯学部准教授 (役職名変更)
東京医科歯科大学非常勤講師
17
―
師
中村善治 先生
鶴見大学歯学部准教授
Subtitle
―
オールセラミックレストレーションの予知性について
講
師
積田光由 先生
鶴見大学歯学部助教
--------------------【講師略歴】-------------------平成 14 年
平成 14 年
平成 15 年
平成 19 年
平成 19 年
平成 22 年
3月
4月
4月
3月
5月
4月
鶴見大学歯学部卒業
鶴見大学歯学部臨床研修歯科医
鶴見大学歯学部歯学研究科入学
鶴見大学歯学部歯学研究科博士課程修了
鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座学部助手
鶴見大学歯学部附属病院口腔顎顔面インプラント科助教
18
―
―
Layering porcelain の物性から見たオールセラミック修復
―
鶴見大学歯学部
中村善治
オールセラミック修復物の製作法には,既製陶歯を用いるシステム,箔圧接によるシステム,
耐火模型を用いるシステム,ロストワックス法を用いるシステム,機械切削を用いるシステム
(CAD/CAM)がある.この中で CAD/CAM によるジルコニアコーピングの上に layering porcelain
を前装するシステムが主流となりつつある.ジルコニアは高強度セラミックスとして知られ,強
度特性としては従来からの焼付用陶材の曲げ強度が 80〜120MPa,破壊靭性値 1.2〜1.9MPam1/2 に
対してジルコニアはそれぞれ 1050〜1500MPa,7〜19 MPam1/2 を示す.ジルコニアの強度が優れて
いるのはその結晶構造にあり,応力が加わると正方晶(tetragonal)から単斜晶(monoclinic)へと
結晶転移を生じ,その際,約 4%の体積膨張をする.その結果内部に圧縮応力が生じ,クラック
の伝搬を防止するとされている.このメカニズムを応力誘起相変態強化機構という.
一方,ジルコニアコーピングに前装する layering porcelain は陶材焼付冠に使用される
porcelain とほぼ同様の機械的強度を示すため,layering porcelain の破折の報告もみられる.
その原因としては,メタルコーピングの設計と同様にジルコニアコーピングのサポーティングエ
リアの設計の不良,ジルコニアと layering porcelain の熱膨張係数の不調和,咬合調整後
layering porcelain に残留する傷等様々な事項が考えられる.サポーティングエリアに関して
は従来からのメタルコーピングの設計の考え方を取り入れていくことが基本となる.即ち,陶材
焼付冠のフルベイクタイプに準ずる前装が頻度的に高いオールセラミック修復では,ジルコニア
コーピングの設計をパーシャルベイクタイプに準ずる設計にしてサポーティングエリアを設け
ることで破折抵抗が向上する.
熱膨張係数に関してはジルコニアの熱膨張係数よりも layering porcelain の熱膨張係数は
0.5〜1.0×10-6/℃小さいことが圧縮応力を発生させるには重要となってくる.ジルコニアの熱
膨 張 係 数 は 10 〜 10.5×10-6/ ℃ で あ る た め , layering porcelain の 熱 膨 張 係 数 は 8.8 〜
9.4×10-6/℃に調整されている。従ってそれぞれの熱膨張係数を把握した上で陶材を選択するこ
とが必要である.
layering porcelain の表面に存在する傷はクラックの起始点となる.傷が存在すると繰り返
し加わる咬合力,熱刺激による膨縮でクラックは生長する.さらに唾液によるシリカの Si-O 結
合の破壊がおきるため,Griffith の傷の理論の如く,破壊応力(σc)以下の応力でクラックは生
長し破壊に至る.従って咬合調整後の研磨は重要なステップとなる.ジルコニアコーピングの設
計,layering porcelain の選択,滑沢な表面仕上げが破折防止の一助となる.
--------------------
memo
19
--------------------
―
オールセラミックレストレーションの予知性について
―
鶴見大学歯学部
積田光由
1889 年,Charles H. Land によりポーセレンジャケットクラウンは始められました.その後,
1960 年代にはセラモメタルクラウンが開発され,審美修復治療として今日まで広く使用されて
きました.1980 年代に入ると,強度と審美性を兼ね備えたセラミック修復システムが次々に発
表され,その材料物性の進歩により,呼称がポーセレンジャケットクラウンからオールセラミッ
ククラウンと改められました.1990 年代にはブリッジにも応用可能なシステムや CAD/CAM によ
りクラウンを製作するシステムも登場し,セラミック修復の選択肢は大きく広がりました.
現在では,オールセラミッククラウン・ブリッジは臨床への導入が一般化しつつあり,質の高
い臨床報告も多く見られます.しかし,レイヤーリングポーセレンのチップやブリッジにおける
連結部からの破折等,トラブルも報告されています.そこで今回の講演では,オールセラミック
クラウン・ブリッジの予知性について我々の臨床研究をもとに報告させていただきます.
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【市民フォーラム】
『健康的な歯と長く付き合うために』
―最近の歯科事情から―
時
会
間 : 12:10~12:55
場 : 山の都アリーナ
座
長
近藤
永
先生
講
師
井野
智
先生
山梨県歯科医師会会員
日本補綴歯科学会西関東支部理事
神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学講座有床義歯補綴学分野准教授
神奈川歯科大学附属病院副院長
--------------------【講師略歴】-------------------1965 年 3 月
1993 年 3 月
1993 年 4 月
1997 年 8 月
2003 年 11 月
2005 年 4 月
2008 年 4 月
2010 年 4 月
東京都出身
神奈川歯科大学大学院修了(補綴学第二講座)
神奈川歯科大学・助手
ドイツ・ミュンヘン大学歯学部へ特別研究員として留学
神奈川歯科大学・講師
神奈川歯科大学大学院指導教員
神奈川歯科大学・准教授
神奈川歯科大学附属病院・副院長
日本補綴歯科学会 評議員(指導医・専門医)
日本接着歯学会 評議員
日本歯科理工学会
日本顎顔面補綴学会
International College of Prosthodontists
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健康的な歯と長く付き合うために
―最近の歯科事情から―
神奈川歯科大学歯学部
井野 智
最近,日本人の虫歯の数が減少しているということはよく耳にします.とはいえ,海外に目を
向けると,まだまだ日本は歯科後進国です.もちろん,日本の歯科医療教育や治療技術について
いえば,先進国の中でも群を抜いていて,アジアの近隣諸国からは留学生を多く受け入れていま
すし,特に,歯科で用いられる接着剤を用いた治療技術の分野においては,日本はまさに,欧米
と比較しても,引けをとらないどころか,世界のオピニオンリーダー的存在でもあり,世界中の
歯科医師が日本の歯科材料を高く評価し,こぞって使っています.もちろん,国際学会の会場で
我々日本人の研究者が大きな顔をしていられるのも,日本の歯科器材メーカーの開発努力の賜物
であり,同じ日本人としていつも誇りに感じています.
また,今や都市部では,コンビニよりも歯科医院の数が多い地域もあるようで,歯科医が過剰
であるとさえ言われ,市民が歯科にかかりやすい環境が整備されています.8020 運動の啓発活
動や国民皆保険の恩恵にあずかり,歯の未処置歯数(治療を施していない歯の数)も減り,一昔
に比べると,できるだけ歯を抜かない治療が浸透し,高齢者の残存歯数(自分の歯が残っている
数)も増えています.
それなのに,なぜ? 日本は歯科後進国といわれるのか? 本フォーラムでは,最新のデータ
や最新治療法をご紹介し,皆様にとって毎年 11 月 8 日の“いい歯の日”を楽しく迎えるための
ヒントを見つける機会になれば幸い,と考えています.
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