厚生年金基金の解散に伴う 確定拠出年金への制度移行について

厚生年金基金の解散に伴う
確定拠出年金への制度移行について
SBIベネフィット・システムズ株式会社
ご提案のポイント
 平成26年4月に厚生年金基金の解散及び制度移行を促すため、厚生年金
保険法が改正されました。439の厚生年金基金のうち、すでに384基金が
解散又は代行返上の方針を決めています(平成27年4月末現在)。
 基金が解散すると、厚生年金を上乗せする加算部分が消滅します。加算部
分が退職金規程の内枠である場合、事業所は退職金規程の見直し及び代
替措置の検討が必要です。
 弊社では、基金の代替措置として「確定拠出年金」をご提案します。
 また、代替部分に加え、加入者が任意加入できる「選択制」を上乗せするこ
とで、制度のさらなる充実を図ります。
2
厚生年金基金解散後の選択肢と対応について
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基金解散による問題点の整理
企業の要検討項目
 基金の解散により、従業員の年金給付水準が下がります。
 残余財産を移換する後継制度の検討が必要です。
従業員の問題点
 基金解散により年金支給額が減少します。
 残余財産の一時金受給は一時所得となり、課税が発生します。
 一時金で受給した場合、基金に加入した年金記録が消滅します(退職所得
の控除期間が消滅)。
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厚生年金基金解散後の代替措置について
厚
生
年
金
基
金
代行部分
(厚生年金)
国から年金給付
国に返還
残余財産
基金解散後の
加算部分の選択肢
メリット
留意点
選択肢①
•
•
•
確定給付企業年
金に移換
•
予定利率を下回る運用の場合
は積立不足(会社負担による追
加掛金)
受託要件(人数等)
•
•
•
掛金は損金
退職金の平準化
追加の掛金負担が不
要
•
•
•
•
会社規模などに制限
掛金拠出に下限
1年以内退職の場合は掛捨等
積立不足発生時の取扱
確定拠出年金を
移換
•
•
•
•
事業主掛金は損金
退職金の平準化
選択制が可能
追加の掛金負担が不
要
•
•
•
原則60歳まで引出不可
投資教育
運用実績により元本割れリスク
選択肢④
•
掛金負担なし
•
基金の給付が内枠の場合、退
職金での支払い
基金の給付が外枠の場合、給
付消滅
残余財産の分配(一時所得)
選択肢②
代替制度を検討
事業主掛金は損金
退職金の平準化
中小企業退職金
共済を移換
選択肢③
残余財産を分配
•
•
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基金解散による影響(残余財産の分配イメージ)
最低責任準備金
厚生年金を支給する
の必要な最低水準
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積立不足
基金独自の
上乗せ給付
部分
残余財産
残余財産の分配
最低積立基準額
年金資産
国に返還
本来積み立てて
いなければならない
水準
年金資産の
積立状況
基金加算部分の位置づけ
 厚生年金基金の加算部分は、下記のいずれかの方法で退職
金規程と調整しています。
 内枠方式
退職金規程の一部として支給
内枠方式のイメージ
退職一時金
基金加算部分
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 外枠方式
退職金規程とは別に支給
外枠方式のイメージ
退
職
金
総
額
退職一時金
基金加算部分
退
職
金
総
額
基金解散による退職金規程の調整(内枠方式)
 特徴
− 退職金総額から年金制度の給付(一時金相当額)を控除した額を支給します。
 影響
− 基金解散後は加算掛金、特別掛金、事務費掛金はなくなりますが、従前の基金加算部分が
消滅した分、退職金の支払額は増加します。
− 基金解散の分配金を退職金から控除する場合は、退職金規程の変更が必要です。
 退職金規程の変更例
− (年金基金との関係)
第●条 本規定による退職金の支給に当たり、XX年金基金から給付がある場合は、その加算年金
(選択一時金相当額)、脱退一時金額または遺族一時金額を退職金の額から控除して支給する。
退職一時金
基金加算部分
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退
職
金
総
額
基金解散
退職一時金
退
職
金
総
額
基金解散による退職金の調整(外枠方式)
 特徴
− 退職金規程とは別に基金加算部分を支給します。
 影響
− 基金解散後は加算掛金、特別掛金、事務費掛金はなくなりますが、基金加算部分から
支給されていた給付がなくなります。
退職一時金
退
職
金
規
程
退職一時金
基金解散
基金加算部分
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退
職
金
総
額
確定拠出年金の仕組み
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確定拠出年金とは
 会社が拠出した掛金を加入者の判断で運用商品の選択、変更を行います。
 受取金額は運用成果によって各人ごとに異なります。
 原則60歳で受給権を取得し、年金又は一時金で受け取ります。
(※)通算加入者等期間が10年に満たない場合、加入した期間に応じて支給開始年齢が最長65歳までスライドします。
在 職 期 間
60歳以降
会社
年(
運
金用
資結
産果
収益
各
自
の
口
座
損失
拠
出
)
掛金
掛金
掛金
①掛金の積み立て
払出不可
掛金
払出不可
②掛金の運用
個人別に確定拠出年金専用の口座が開設されま 用意された運用商品メニューから自分で商品を選び、
す。毎月会社から「掛金」が口座に積み立てられま 資産をふやします。運用損益を含めた運用結果が将
来の受け取り額となります。
す。
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一時金
払出可
年 年 年 年
金 金 金 金 ・・・
③受け取る(給付)
一時金として受け取るか、又は年金方式で分割
で受け取るか受け取り方を選ぶことができます
。
確定拠出年金の税制優遇措置
 掛金拠出・運用・給付のそれぞれで税制優遇措置があります。
掛金拠出
• 掛金は給与所得として扱われないため、所得税・住民税がかかりません
(企業は損金算入)。また、社会保険料の対象外となります。
運用時
• 運用期間中の利息や配当などの運用収益は全て非課税となります。
給付時
• 60歳以降に受け取る老齢給付金には控除が適用され、税負担の軽減
一時金受取:退職所得控除 年金受取:公的年金等控除
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「選択制」とは
 「選択制」は、総額人件費の見直しにより確定拠出年金を導入する制度設計
です。
 現行の給与の一部を「生涯設計手当」に分割し、確定拠出年金として積立て
るか、給与と併せて受け取るか従業員に「選択権」を付与します。
 確定拠出年金の掛金はその年の所得と見做さないため※、所得税や住民税
社会保険料の算定基礎から外れ、節税、社会保険料の抑制効果が期待で
きます。
導入前
導入後
生涯設計手当
27,500円※
給与
300,000円
給与
272,500円
希望により確定拠出年金として
積み立てるか、給与と併せて受
け取るかを選択
※厚生年金基金解散後は
55,000円になります。
※所得税法施行令第64条に規定、60歳以降で受給権を取得し受け取ったときにその年の所得となります。
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選択制の制度設計例
 生涯設計手当を確定拠出年金として積立てるか、給与と併せて受け取るか
を従業員が選択します。
 確定拠出年金として積み立てれば、節税メリットを享受しながら老後資金を
準備可能です。
 年に一度、拠出額の変更を行うことができます。一度でも掛金拠出を行った
加入者は掛金0円にすることは出来ません。
生涯設計手当
27,500円
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選択
確定拠出年金掛金
1
0円
27,500円
2
3,000円
24,500円
3
4,000円
23,500円
27
27,500円
0円
給与と併せて受取
確定拠出年金 掛金拠出の効果例(加入者)
計算の前提
年齢:30歳 給与(現状①):30万円 確定拠出年金の掛金:20,000円
社会保険料の削
減効果は、折半
負担である事業
主も期待できま
す。
留意点
① 標準報酬等級が下がることにより、将来支給される老齢厚生年金の額等が減少します。
② 平成27年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京)を基に試算しています。
③ 住民税の減税効果は翌年の減税効果となります。
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加入者が毎月2
万円を確定拠出
年金口座に拠出
すると、年間5万
円以上の税効果
、社会保険料効
果が期待できま
す。
加算給付の代替措置例
 加算標準掛金を原資とした掛金設計
− 加算標準掛金は加算部分に相当する掛金であるため、基金解散後は加算標準
掛金を原資に確定拠出年金掛金を設計
1.
2.
残余財産を持ち込むためには残余財産の申出期限までに確定拠出年金の
導入(既に導入済み企業は制度変更)が必要
残余財産の申出期限は遅くとも財産目録の申請日とする必要があるが、財
産目録の申請日より前の日を厚生年金基金が任意に設定することも可能
現状
基金加入期間中
基金 加算標準掛金
基金 加算標準掛金
選択制確定拠出年金
(27,500円)
給与
給与
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基金脱退/解散後
加算標準掛金相当額
の確定拠出年金掛金
選択制確定拠出年金
(拠出限度額55,000円
に拡大)
給与
確定拠出年金への移換スケジュール、必要書類
【移換スケジュール】
① 厚生年金基金の規約改正
−
厚生年金基金規約に残余財産を持ち込むことを予め規定
−
「②厚生年金基金の解散認可」を受けると規約変更ができないため、確定拠出年金に移行を検討している事業所は解散認可申
請より前に厚生年金基金に意向を伝える必要があります。
② 厚生年金基金の解散認可
③ 残余財産持込の申出(事業主→厚生年金基金)
−
事業主が残余財産の持ち込み先を決定し厚生年金基金へ申出
④ 厚生年金基金による残余財産持込に係る同意取得
−
事業主の申出に基づき厚生年金基金が加入員等の同意を取得
−
③の申出期限までに確定拠出年金の導入が必要(制度導入2か月前に厚生局へ制度導入の申請が必要)。ただし、基金の承
諾があれば財産目録の申請日までに設立すればよい。
⑤ 厚生年金基金の財産目録の申請・承認
⑥ 残余財産持込の申出(厚生年金基金→確定拠出年金)
−
厚生年金基金が確定拠出年金の資産管理機関に残余財産分配
⑦ 確定拠出年金に残余財産を持ち込み
⑧ 清算結了
【必要書類】
① 解散認可証コピー(認可前であれば「解散認可申請書コピー」
② 変更認可申請書コピー
・変更認可申請書・規約変更理由書・新旧対照表・規約の一部変更する規約
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確定拠出年金の設立時期
 残余財産を確定拠出年金に移換するには、残余財産の申出期限(遅くとも
財産目録の申請日)までに確定拠出年金の設立が必要です。
2年程度
2ヶ月程度
記録整理
代議員会
解散方針
を議決
・説明会
・解散同
意の取得
1年~2年程度
記録整理
代議員会
解散を
議決
解散認可
申請書の
提出
財産目録
の申請・
承認
解散認可
1.
確定拠出年金を新設・制度変更できる期限を
過ぎると残余財産の持込ができません。確定
拠出年金の承認までの処理期間(概ね2ヶ月
程度)を踏まえてスケジュールの管理が必要
となります
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2.
最低責任
準備金
納付
残余財産
確定
残余財産
持ち込み
分配
残余財産を持ち込むためには残余財産
の申出期限までに確定拠出年金の新設・
制度変更が必要(ただし、基金の承認が
あれば財産目録の申請日までに設立す
ればよい)。
残余財産の申出期限は遅くとも財産目録
の申請日とする必要があるが、財産目録
の申請日より前の日を厚生年金基金が
任意に設定することも可能
清算
結了
本資料(サービス)は、現時点での確定拠出年金に関する法令諸規
則、および実務の解釈、税法、社会保険を基に作成しておりますが、
全てを網羅するものではなく、あくまでも仕組みの概要を述べたもの
にとどまり、内容の正確性・完全性を保証するものではありません。
運営管理機関登録115
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