NPG Asia Materials 創刊報告 - 有機・高分子物質専攻

NPG Asia Materials
アジア圏における材料研究は急速に発展しており、論文の質、量共にアメリカ、ヨーロ
ッパと肩を並べるようになってきている。東工大 G-COE はアジアに材料研究の教育、
研究拠点を作ることを大きな目的に掲げているが、その一つの取り組みとして、NPG と
共同でジャーナルを発刊するに至った。Asia-Pacific 地区から出版された、最近の興
味深い材料関係の論文の中から、約 50 人のアジア各国の第一線の科学者が重要な
論文を推薦し、その中から約 10 人のエディターが 20 編に絞り、NPG に送る。NPG の
サイエンスライターがこれらをわかりやすい記事にし、Web (www.asia-materials.com)
に掲載する。このようにして、アジアから出た材料系の重要な研究 20 編を毎月ハイライ
ト記事として紹介する。このサイトには世界中の誰でも無料でアクセスすることができる。
これはジャーナルの第一歩で、来年からは解説論文を掲載し、COE 終了時には原著
論文も受付け、世界的な科学雑誌として独り立ちすることを目標としている。Nature とし
ても初めての試みであり、力を入れている。
プレス発表(2008 年 4 月 4 日)
ネイチャー・パブリッシング・グループと東京工業大学が材料科学ウェブサイトを共同開設
ネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)のアジア太平洋部門であるNPG・ネイチャー・
アジア・パシフィックと東京工業大学は、アジア太平洋地域における最高レベルの材料研究の
成果を選りすぐって紹介する新しいウェブサイトの開設に向けて、本日、パートナーシップを
発 表 し ま し た 。 こ の ウ ェ ブ サ イ ト 『 NPG
Asia
Materials 』
(www.natureasia.com/asia-materials)は、アジアを拠点とした新しい材料科学ジャーナ
ル誌に発展する計画です。
『NPG Asia Materials』には、アジア太平洋地域の研究者が一流ジャーナル誌に発表した論文
をわかりやすく説明したresearch highlightsが毎月掲載されます。このウェブサイトは、材料
の設計や合成、構造と特性、材料の加工、各種デバイスやアプリケーションをカバーします。
『NPG Asia Materials』は、国際的な編集委員会によって運営され、編集長(Editor-in-Chief)
に東京工業大学の竹添秀男教授(大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻)が就任しました。
このほかに研究者やエンジニアによって構成される諮問委員会が、ウェブサイトで取り上げる
べき論文を推薦し、編集委員会をサポートします。このような論文に関するresearch highlights
は、NPGが選ぶ経験豊富なサイエンスライターのチームによって執筆されます。
『NPG Asia Materials』は、NPGのアジア太平洋地区のウェブサイト(www.natureasia.com)
によって管理されますが、これが『NPG Asia Materials』の発展における第1段階となります。
将来的には、査読を経た一次研究論文と総説論文が加わったジャーナルを創刊し、NPGの本部
ウェブサイト(www.nature.com)へ管理を移管する予定です。
「このウェブサイトを東京工業大学と共同開設できることをうれしく思っています。世界の材
料研究論文のほとんどはアジア太平洋地域で生み出されており、研究の質も年々上がっていま
す。NPGは、新ジャーナル誌の創刊に向けて、アジア太平洋地域で最高レベルの材料研究論文
を選りすぐって紹介することを目指しています。東京工業大学は、材料研究とそれに関連する
応用科学や工学の幅広い分野で強みをもっており、この事業にとってまさに理想のパートナー
です。」デイビッド・スウィンバンクス(NPGパブリッシングディレクター兼NPG・ネイチャ
ー・アジア・パシフィックCEO)は、このように話しています。
「このジャーナルは、東京工業大学の材料科学に関するグローバル・センター・オブ・エクセ
レンス(G-COE)プロジェクトによってサポートされています。G-COEの主たる目的は、アジ
ア太平洋地域での教育研究の中核拠点を構築することにあります。『NPG Asia Materials』は、
その目的達成に向けた重要な一歩といえます」と、G-COEリーダーも務める竹添教授は話して
います。
『NPG Asia Materials』は、アジア太平洋地域と材料研究の分野におけるNPGの強みをもとに
展開されます。既にNPGは、材料研究の分野で世界最高のインパクトファクター(トムソンISI
社のランキングによる)を誇るジャーナル誌『Nature Materials』を発行しています。
『NPG Asia Materials』は、アジア太平洋地域で最高レベルの研究論文にスポットを当て、掲
載するというNPGの戦略における、さらなる重要な前進です。NPGは、2006年1月に、既存の
東京、香港、メルボルンの事業所からNPG・ネイチャー・アジア・パシフィックを設立し、ア
ジア太平洋地域で最高レベルの研究論文を掲載する戦略をとってきました。この戦略の一段階
として、2006年10月には、東京に編集者を配置してNature Nanotechnologyを創刊し、翌年
1月には、Nature系ジャーナルとして、初めて中核の編集チームを東京に配置したNature
Photonicsを創刊しました。
2007年2月より、NPGは、新ウェブサイト『Nature China』を開設し、一流ジャーナル誌で発
表された中国本土と香港の研究論文を取り上げています。また、同年12月には、アジア太平洋
分子生物学ネットワーク(A-IMBN)と共同制作したウェブサイト『A-IMBN Research』を立
ち上げ、アジア太平洋地域での分子生物学とバイオテクノロジー分野における卓越した研究成
果を紹介しています。