新製品紹介 乾式極異方性リング磁石 Dry-Type Multi-Pole Ring Magnet Ferrite magnet:NMF®-DM3 極異方性リング磁石は着磁後の表 焼結時に磁石内部に歪みが発生し, 性リング磁石と比べ,以下の特長を 面磁束密度波形が正弦波に近いた 強度が低下しやすく,製造は困難で 有する。 め,モーターのコギングトルクを低 あった。また,モーターの小型化お くする設計が可能で,モーターの振 よび省エネルギー化の流れの中,磁 動,騒音を低減できるメリットがあ 石特性の向上が望まれていた。 る。また,極異方性リング磁石はラ 日立金属は,このような課題,ニー ジアル異方性リング磁石に比べて表 ズを踏まえ,フェライト磁石におい 面磁束密度が高いため,高いモー て世界最高レベルの磁気特性を有す ター出力が得られる。このような特 る NMF ®-12 シリーズを材料として 長から,極異方性リング磁石は車載 用いた乾式極異方性リング磁石 2.用 途 用および家電用モーターの回転子と 「NMF ®-DM3」 を 開 発 し た( 図 1)。 車載用および家電用モーターとし して使用されている。 さらに,原料および成形プロセスを て,表 1 に示す各種用途での需要 少極数の極異方性リング磁石は, 改善し,6 極の極異方性リング磁石 の伸びが期待できる。 巻線をシンプルにでき,モーター製 の量産化を可能とした。 造コスト低減が期待できる。 しかし, 1.特 長 6 極以下の極異方性リング磁石は, 新製品は,日立金属従来の極異方 (1)残留磁束密度(Br),保磁力(HcJ) ともに向上( 図 2)。 (2)H cJ の温度係数(ΔH cJ/H cJ)が改 善され,低温域で減磁耐力に優れ ている( 図 3)。 (3)6 極の極異方性リング磁石の量 産化が可能。 ( 磁性材料カンパニー) DM3 (New materials) Br (mT) 340 DM2 (Conventional materials) 320 DM1 (Conventional materials) 300 280 300 10 mm ® 図 1 乾式極異方性リング磁石「NMF -DM3」 Fig. 1 Dry-type multi-pole ring magnets NMF®-DM3 ΔHcJ/HcJ (%/K) 500 The figure shows magnetic properties of finished product. Actual magnetic properties might be different from ones above depending on shape, size, or operating conditions. 表 1 DM3 の主な用途 Table 1 Main application DM2 (Conventional materials) Main application 0.20 Idle speed control valve 0.15 Water pump DM3 (New materials) 0.10 Automobile Continuously variable transmission Dual clutch transmission 0.05 0 250 450 DM1 (Conventional materials) 0.30 0.25 400 HcJ (kA/m) 図 2 DM シリーズにおける B r と HcJ の関係 Fig. 2 Relationship between Br and HcJ of DM-series 0.40 0.35 350 Exhaust gas recirculation 300 350 400 HcJ (kA/m) 450 Home appliance Water pump Fan motor 図 3 DM シリーズの保磁力の温度係数 Fig. 3 Temperature coefficient of HcJ of DM-series 日立金属技報 Vol. 31(2015) 49
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