「好きこそものの上手なれ」を更新しました。

池田泉州キャピタル 投資先経営者インタビュー
2014 年1月 22 日
好きこそものの上手なれ
柳原 啓次
●株式会社ウィローエンターテイメント 代表取締役社長
新技術を追い求めて起業し、経営感覚も備えた柳原社長に、
ターニングポイントの経緯と心境を訊いた。
訊き手:神保 敏明=池田泉州キャピタル 代表取締役 編集:森 祐也=同 投資部
やなぎはら けいじ:77 年 生まれ。00 年 個人事業として Web 開発を開始。
05 年 現㈱ウィローシステムズを設立し、取締役副社長に就任。11 年 子会
社となったロッソインデックスの取締役に就任。12 年 ウィローエンターテ
イメントを設立し、代表取締役社長に就任。
興味が音楽からPCへ
「オモシロイ」と感じたらすぐに
自由を求めて仲間と起業
その勤め先ではシステム部を新
技術者から経営者へ移行
ゲームの開発案件が増えてくる
行動に移し、しかも没頭する性格で
たに立ち上げるタイミングにあり、
につれて業界の実情が分かってく
す。高校生の頃からギターを弾くの
単なるデータ入力だけではなく、デ
ると、市場の成長スピードにビジネ
が好きで、ロックバンドを組んでラ
ータベースの構築手法まで体得す
スチャンスを感じました。そこで、
イブ活動をしていました。寝食より
る事が出来ました。
既存のゲーム会社を買収する形で
も音楽を優先するような生活を送
幾つかのIT企業でプロジェク
自社運営に転換し、経営の立場に変
っていました。音楽事務所から声を
ト単位の仕事に参加し、武者修行の
掛けられてプロの道も一時は考え
ようにしてスキルを磨きました。知
業務の中心が開発から経営に変
ましたが、現実の厳しさを痛感して
識とスキルの両面で自信が付いて
わり、予算統制の重要性を学びまし
区切りを付けました。
くると、雇われの身では技術的な新
た。
「オモシロイ」もの作りだけを
MSXのPCで音作りをしてい
しい試みにチャレンジ出来ない葛
追求すれば、会社の運営に支障が出
た事もあって、PCの扱いには慣れ
藤に苛まれる事が多くなってきま
ます。採算性を踏まえ、最良の「オ
ていました。身近な存在になってい
した。
モシロイ」ものを作るバランス感覚
わりました。
たPCに関わる仕事でこれからは
それが最大の理由となり、プログ
が求められます。
生きていこうと模索しました。生計
ラマー仲間に誘われる形で、システ
好きな事を追求してここまで来
ム開発会社を起業する事になりま
た人生でしたが、現状には全く満足
した。設立当初は採算よりも受託実
していません。経営者である一方で、
績に重点を置いていました。
「オモ
プログラマーとしての志も残って
シロイ」事をしてお金を貰えるだけ
で幸せでした。
ソーシャルゲームの開発案件を
手掛けた時には、新たなゲームの
はキーパンチャーで立てながら、W
「オモシロイ」を知りました。ユー
ebプログラマーになろうと考え
ザーとしてPC用オンラインゲー
ました。24 歳の頃です。そこで向か
ムを始めてみると、眠る時間を削っ
ったのが本屋とPC量販店です。指
てでも没頭してしまいました。素晴
南書を読み漁った後、ノーブランド
らしい世界観やストーリー性を持
います。良縁で築き上げたメンバー
の安いPCを買ったのが全ての始
った作品と出会ったからです。もう
と、オープンなゲーム技術の提供に
まりでした。
虜になっていたと言えます。
没頭しているところです。
【取材日:2013 年 12 月 25 日】