透間の家 ( 新築 - 鹿内健建築事務所

透間の家 ( 新築 )
2階建ての概念をくずすことで、より良い住環境を目指した住宅
【背景】
地震による被害がきっかけとなり、長年住んでいた木造平屋建ての住宅を建替えすることになりました。今後の家族構成の変化や、将来
的に一部を賃貸とできることを視野に入れた計画であったため、元の住宅より面積が増え、2階建てとして計画をしていました。
そんな中、平屋建てに住み慣れたお母様から、
「地面に接した家で、庭のお手入れがしたい。」、
「上階からの生活音が気になる。」
というご
要望があり、相反する2つの要件から、1階から2階部分を切り離し、お互いの住環境をより良くする住宅を目指しました。
【施主要望】
・LDKとお母様の寝室は1階がよい。
・平屋建てに住み慣れているため、上階からの生活音を感じない建物がよい。
・1階のリビングダイニングには庭を眺める大きな開口がほしい。
・2階の一部を賃貸とした時に、付加価値のある部屋としたい。
・温かい家にしたい。
既存の平屋建て住宅
【コンセプト】
平屋建てに住み慣れた施主の住環境への感覚を大事にし、かつ賃貸としても付加価値がつけられるような建築を実現するために、1階
部分から2階部分を切り離すことを考えました。1階は天高のある勾配屋根とし、おおらかな平面計画としました。勾配屋根にはいくつもト
ップライトを設置し、中空層を介して光と風を取り込み、平屋と同じ住環境を実現しています。2階は持ち上げているため、3階建てに近い
高さに位置することで、丘の上にある敷地からの眺めがよく、採光通風を妨げるものがない気持ちのよい住環境となります。
2階があることで、1階への直射日光の制御ができ、1階が基礎の役割となることで、2階の高さを高くすることができる。施主にとってマイ
ナス面もあった2階建を、1階と2階お互いの住環境、付加価値を向上しあう間柄に変えていくことを目指しました。
鹿内健建築事務所 No.31
プレゼンテーションで使用した模型の外観写真
2階の軒下を白くすることで、中空層に差し込んだ太陽光を増幅します。
将来的に隣地に建物が建った場合、
日陰となり、採光を確保することが難しい
光を反射させて、
1階のトップライトから室内に光を取り込む
1,2階を離すことで
2階の生活音が
1階に伝わらない
駐車場が隣接しているため、
車のヘッドライトの光が室内に入り込む
隣接した駐車場と建物の間に植栽をし、
窓の位置を下にすることで、
車のヘッドライトの光が室内に入り込むのを防ぐ
鹿内健建築事務所 No.32
景色が望める
大きな窓のある寝室
寝室
9畳
WSC
4畳
広々した玄関ポーチ
ベビーカーなどを置くスペース
として使える
ルーバーで程よく囲まれた
プライベートなテラス
テラス
寝室
6畳
事務室
14畳
寝室
6畳
WC
玄関
LDK
21畳
洗面
テラス
浴室
2階平面図
EV
南側の明るいオープンなテラス
勾配屋根とすることで、2階建でありながら
平屋の感覚を作り出す
1階に安定的な光を取り込む2m角のトップライト
玄関庇
中空階平面図
寝室
11畳
東側に窓を配置し、
朝日の入る気持ちのよい寝室
北に向かって下った敷地のため、
景色の開けた北側に庭を配置している
庭
広い庭を楽しむための大開口のある
開放的なリビング・ダイニング
寝室
8畳
浴室
洗面
WC
キッチン 6畳
WC
リビング・ダイニング
28畳
仏間
5畳
玄関
N
EV
回遊性のあるキッチンと
水回りとすることで、
家事動線を短くスムーズにしている
0
1
2
4
8 (M)
1階平面図
計画地:千葉県 / 主要用途:二世帯住宅 / 工事種別:新築 / 延べ床面積:264.9㎡/ 1階床面積:134.6㎡/ 2階床面積130.3㎡
鹿内健建築事務所 No.33
プレゼンテーションで使用した模型の断面写真
2階部分を持ち上げることで、生活音が下階に伝わることがなくなり、2海の眺望も豊かになります。
プレゼンテーションで使用した模型の内観写真 1階のリビング・ダイニング
勾配天井に設置したトップライト、南側の地窓、北側(庭側)の大開口により、1日中様々な光を取り込むことのできる明るい空間です。
鹿内健建築事務所 No.34
南東側から見た外観。施主要望で2階の外壁仕上げをコールテン鋼としています。
コールテン鋼の目地割りや窓まわりの納まりに気を配ることにより、無駄がなくシャープな印象となります。
北東側から見た外観。エントランスに移植した松や庭の木々の緑がよく映えるよう、外壁の色彩を決定しています。
鹿内健建築事務所 No.35