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雨男の弁明

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雨男の弁明
山田直記
平成 年 月 日
告白してしまうが、私は雨男なのである。永年、行をともにしている家
内が言うのだから間違いであろうはずがない。どうして?などと愚問を発
して、論理的に証明しようとするまでもない明白な事実なのだそうだ。5
年前に初めてこの筑紫万葉旅行の会に参加を許されて、志賀島へ渡ること
を楽しみに渡船場に向かう日の朝も、やはり雨であった。私たちはもう慣
れているので、雨ごときで出かけることを躊躇したりはしない。勇躍とし
て家を出た。渡船場には稲田氏がわざわざ中止を告げるために来て下さっ
ていた。残念そうに帰って行かれる氏の背中を見ていると、申し訳ない気
持ちになった。
「雨の万葉旅行も楽しいですよ」、
「万葉時代にも雨は降ったのですよ」。
犬養先生のよく言われた言葉である。それでいて、「一日の終わり」を歌
う頃になって雲間に青空が少しでも見えると、「今日の天気は、雨のち晴
れ。そうだ、小雨のち晴れだよね、今日は。いや、快晴だよねこの青空
は」。そして、参加者の苦笑いにもかかわらず、記録には「小雨のち快晴」
となるのであった。
犬養先生と歩いた万葉旅行の中の何回かは、このような旅であった。先
生ご自身は、高気圧をお供に従えたような晴れ男でいらっしゃるから、参
加者の中に紛れ込んでいた何人かの雨男のなせる業であったのだろう。私
自身もその一人であったのかも知れない。
この筑紫万葉旅行の会が、十年を越えるという。私も万葉の故地を散策
することを楽しみに、参加している。幸い、稲田氏も最初の雨事件には、
「こんな雨男が参加するとは」と思われたのであろう。それ以後は念の込
め方を強められたのか、万葉高気圧の勢力は安定しているようである。
大変うれしいことで、今後もこの楽しい会がよい天候に恵まれて長く続
いて欲しいものである。
稲田さん、時には雨が降っても許して下さい。
½
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