スティル病と成人スティル病

「病気のプロフィル」
No.
43
スティル病と成人スティル病
2002年6月4日に筆者は成人スティル病またはその疑いの患者を合わせて二人診た。
同じ日にこの種の病気の患者を二人以上診ることは、ふつう先ずあり得ない。この
病気の一般集団中頻度(後述)から見て、前回のクローン病と同様、あるいはそれ
以上に希有の経験ではないかと思った。
この「病気のプロフィル」シリーズではまれな病気はあまり取り上げないが、参
考資料を読み進めていくうちにこの病気では意外と診落としが多いのではないかと
思い始めた。例えば不明熱の原因疾患で診断が困難な病気の代表としてホジキン病
と成人スティル病があげられている
(「病気のプロフィル」No.
35)。
あれこれと考えた末、皆さんの認識を新たにするためにも、この病気のプロフィ
ルをまとめることにした。
幸い、わが国における成人スティル病研究の中心は、われわれに比較的身近かな
佐賀医科大学内科に在る。1985年以降数年にわたって、山口雅也教授が厚生省「成
人スティル病研究班」の班長を務め、それ以来、大田明英教授や長澤浩平教授がわ
が国でこの方面の研究に指導的な役割を果たしてきた
[1-25]。
以下、大田教授から送られてきた報文を主に、これに筆者らが収集した報文を加
えて、スティル病および成人スティル病のプロフィルをまとめる。
スティル病と成人スティル病の縁起
イギリスの小児科医
George
Frederic
Still
(1868─1941)
が、1897年に小児につ
いて発熱、関節症状、リンパ節腫脹、肝脾腫などの全身にわたる症状を呈する病気
について報告した。これがスティル病
する報告の最初と考えられる
ここで主に稲毛
(1994,
[2-4,
1998)
Still's
26,
と命名された病気の単位に関
27]。
にしたがって、成人スティル病に密接に関連する小
児期の関節炎について簡単に触れておく
小児期の関節炎
disease
[28,
29]。
小児期の関節炎に対する考え方には国によって違いがある
[29]。
わ が国、ア メリカ、 カナダ などでは 小児期の 関節症 は若年性 関節リウ マチ
juvenile
rheumatoid
arthritis
(JRA)
として一括され、このなかに関節リウマチ、
乾癬性関節炎、炎症性腸疾患にともなう関節炎などが含まれている。他方、ヨーロッ
パ諸国、アジア、オセアニア諸国では若年性慢性関節炎
(JCA)
と呼ばれ
idiopathic
[30]、さらに
arthritis
of
Fink
childhood
(1995)
juvenile
arthritis
は、小児の関節炎を特発性小児関節炎
として、7型に分けている
1
chronic
[31]。
以上のことから、小児期の関節炎または関節症については、国際的にもその病因
および病態の把握が十分に進んでおらず、いまなお混沌としていることが分る。
このような趨勢下で、アメリカのリウマチ学会は若年性関節リウマチを多関節型、
少関節型、および全身型の三つの型に分け、これらのなかで関節症状よりも全身症
状が前面に出ているものを、最初の報告者にちなんで、スティル病と名づけた。こ
れに関連して、Fujikawa
&
Okuni
(1997)
チ患者を臨床的に観察した報文は貴重視される
が570例という多数の若年性関節リウマ
[84]。
その後、16歳以降の成人でも小児のスティル病とほとんど同じか、よく似た症状
を呈する患者が散発的に報告されていたが、1971年にBywatersが14例の成人患者
をまとめて報告し、それ以来成人スティル病の病名が定着した
[32]。この報告を成
人スティル病を病気の単位として最初に確立した報告とみなせば、成人スティル病
は三十数年の浅い歴史の病気ということになる
ウィスラー・ファンコニ症候群
ルギー性亜敗血症 Subsepsis
Fanconi's
syndrome
)
allergica(ウィスラー・ファンコニ症候群
Still's
かに成人発症スティル病
Still's
disease
Wissler-
が報告されたが、これはスティル病または成人スティル病
[4,
5,
成人スティル病か成人発症スティル病か
adult
23]。
1943年に診断がむずかしい病気の例としてアレ
と同じ本体の病気と推測されている
スティル病
[12,
disease
adult
11,
23,
32-36]。
現在では16歳以降の年齢の患者を成人
と呼び、この用語が広く用いられている。そのほ
onset
Still's
disease
などの病名も用いられている
なかには16歳以前に発症した患者が12.2%いる
や遅発スティル病
late
[37]。しかし16歳以降のスティル病の
[11]。すなわち、16歳以上の成人ス
ティル病患者のなかには小児期に発症して成人期に移行したもの、小児期に発症し
て寛解し、16歳以降に再発したもの、成人期に初めて発症したものの三とおりある
(後述)。したがって成人スティル病の病名が最も適切である。
Still's
disease
の邦訳にはスチル病、Still病、スティル病、シュティル病の四とお
りあるが、この稿では内科学用語集(1998)にしたがって「スティル病」とした
[38]。
成人スティル病についての筆者の認識と印象
成人スティル病の病態と治療について具体的な説明に入る前に、この病気につい
ての筆者の「認識と印象」をあらまし述べておきたい。これまでの「病気のプロフィ
ル」のまとめ方にはなかった異例の試みであるが、成人スティル病はこれまで取り
上げてきたどの病気に比べても分りにくく、ミステリアスなところが多いという印
象を持ったから、断片的ながら、初めに私見を述べることにした。
浅い歴史の病気
上に述べたように、Bywaters
(1971)
の報文が成人スティル病
を独立の病気の単位として認めた最初のものとすれば、この病気は組織球性壊死性
リンパ節炎(菊池病)とならぶ浅い歴史の病気である
2
[32]。このことは、日常の診
onset
療でめったに出逢わない病気であることとあいまって、卒前、卒後の医学教育でこ
の病気はあまり対象にならなかった憾みがあり、一般の医師やコ・メディカルの人
たちのこの病気に対する認識は十分でないと推測される。
意外に厄介な病気
一般にこの病気は、発症後しばらくの間は、さほどむずかし
い病気には見えない。事実、発症後比較的早い時期に全身症状が自然に消失するか、
あるいは非ステロイド抗炎症薬や少〜中等量のステロイド薬によって寛解し、完全
に治癒するか、あるいは治癒したかのように見える例もあるらしい。
しかし、このような例は少数で、一般に症状が遷延化、慢性化する傾向があり、
主要症候の一つである関節炎は従来考えられていたより早期に骨・関節の変形、強
直をきたし、複数の枢要臓器が障害される
[15,
39,
40]。一般に「難治性の成人ス
ティル病」と呼ばれているものの実態はまだ十分に把握されていない
[15]。
筆者は、かつて初期には一見軽症に見え、経過とともに重症化して治療に難渋す
る病気を「野生の熊」に譬えたことがある。人が山中で野生の熊に出遭うと、無表
情で円らな瞳に縫いぐるみ玩具の熊を思い浮かべてつい油断する。次の瞬間に野生
動物最強といわれる上肢が振りおろされてくるという話からの譬えである。成人ス
ティル病にもまさにその感がある。
診断がむずかしい病気
成人スティル病は不明熱の原因疾患として診断がむずか
しい病気の例にあげられているが
(「病気のプロフィル」No.
35)、発熱が見られな
い時期でも診断がむずかしい。それは診断の標識となる症状や検査の所見に特異性
が乏しく、また集団中の頻度が低く、日常診療の場で遭う機会が少ないことが主な
原因であろう。
成人スティル病に比べて診断の標識となる症状や検査所見の特異性が高く、集団
中頻度も高いクローン病でも早期診断がむずかしく、発症から診断までに9年を要
した例があり、またアメリカの第34代大統領がこの病気に罹って容易に診断がつか
ず、主治医団が世論の批判を浴びたことは前回の「病気のプロフィル」で紹介した
が
[41,
42]、成人スティル病はそれ以上に診断がむずかしいと見られる。
幸い、わが国では1992年に感度と特異性の高い診断基準が提出されたが、この基
準に対する一般の認識はまだ十分とは言いがたい
疾病分類における成人スティル病
[1-5,
23]。
現在のところ、成人スティル病はリウマチ・
膠原病や血管炎疾患群を含む広い意味の結合織病、アレルギー疾患、免疫異常が基
礎になる疾患群、.....
のどれにも分類しがたい。
成人スティル病では一般にリウマトイド因子は陰性で、抗核抗体をはじめとして
特定の自己抗体が証明されない患者がきわめて多い(後述)。
今しばらく病因解析の推移を見守りたい。
生命予後良好な病気に対する配慮
いくつかの総説論文には「成人スティル病の
生命予後は良好」と記されているが[43,45]、統計資料を検討した結果、このことを
裏づける具体的なデータに乏しい。おそらく経験的な推測であろう。
もしこの病気の患者の多くが関節症や臓器病変を保有しながらもかなりの年齢ま
3
で生活していくとすれば、QOLとADLは相当に障害され、療養生活のなかで自己管
理のしめる部分は大きいと推測される。
臨床症状と検査所見
はじめに、Ohta et al.
(1990) および大田・山口 (1992) にしたがって、成人スティ
ル病の臨床症状と検査所見を表1に示す。表から、この病気の初期における三主徴
は発熱、皮膚発疹、および関節症状とみなされよう
[11,
12,
43]。
この病気では比較的短い期間のうちに症状がそろって発現する傾向があるが、発
症後ごく早期または再発のときには、三主徴がそろわないことがある
[12]。
臨床症状
三主徴に重点をおいて述べる。
発
熱
夕刻から夜間にかけて変動の大きい39℃またはそれ以上の発熱を見、そ
れ以外のときは平熱か、37℃前後の微熱または亜熱
熱
evening
spike
(subfebrile)
fever)。一日に2回棘状熱を見ることがある[11,
きには、重病感が乏しいことも注目される臨床症候である
表1.
(夕刻棘状
23]。熱がないと
[12]。
成人スティル病90例の主な臨床症状と検査所見
臨床症状
頻度
発 熱
関節症状
定型的な皮膚発疹
咽頭痛
リンパ節腫大
脾腫
肝腫大
筋肉痛
胸膜炎
薬物アレルギー
Ohta et
である
100 %
100
87
70
69
65
48
56
12
54
検査所見
頻度
3
)
白血球増多 (>10000/㎜
赤沈亢進 (>40㎜/h)
貧血 (Hb<10g/㎗)
肝機能障害
血清フェリチン上昇
血清補体価上昇
免疫グロブリン増加
血清ウイルス抗体価陽性
リウマトイド因子陽性
抗核抗体陽性
89 %
96
59
85
82
67
76
47
6
7
al. (1990)、大田・山口 (1992) を一部改変 [11, 12].
以上の発熱状態はホジキン病患者の一部に見られるペル・エブスタイン熱ととも
に特異な熱型として知られている
皮膚の発疹
[11,
(「病気のプロフィル」No.
35)。
これは患者の約87%に見られ、本症で最も特異性の高い症候である
44]。山口と大田
(1990)
は全国の五つの大学から皮膚発疹のカラー写真を収集
し、それらを定型と非定型像に分けて図示した [3]。そのうちの一例を図1に示す。
4
定型的な場合には、径数ミリメートルのサーモンピンク色の紅斑または丘疹が顔
面、体幹、四肢近位部分に現れる。融合することがある。また機械的刺激や温熱に
よる刺激で発疹が生じやすい。これはドイツの皮膚科医
によって指摘された現象で、ケブネルの現象
43]。山口・大田
(1990)
öKbner
H. ö bner
K
(1838─1904)
phenomenon
る
[3,
す
[3]。どうしてこのような特異な発疹が現われるか、不思議である。
と呼ばれてい
にしたがって、定型的な皮膚発疹の状態を表2に示
図1.
定型的な皮膚発疹
顔面の下部、前頚部、前胸部に径2〜3㎜の赤桃色の、皮膚面からわず
かに盛り上がった発疹が見られ、一部は融合している。夕刻から夜にか
けて、発熱のときにだけ出現する定型的発疹。佐賀医科大学内科の症例。
山口・大田 (1990) より引用 [3]。
関節症状 ごく少数の患者を除いて、比較的早期に朝のこわばりと関節症状が現
れる。症状は手や膝などの大きな関節に発現しやすい。そのほかに足、肘、肩、手
指 (DIP関節をふくむ) など全身の関節に非対称性に症状が発現し、経過とともに関
節の痛み、腫脹、熱感などの炎症症状が顕著になっていくことが多い。関節症状は
長期的に見た変化と推移が問題である [18, 82]。
一般に成人スティル病では関節病変は関節リウマチほど重症化する例は少ない。
約1/3〜1/2の患者に手、股関節の強直が見られるが、破壊の範囲は限られ、機能
障害も軽度なものが多い。関節病変の長期的な予後についての推測は報告者によっ
てかなり異なるが、これは成人スティル病が歴史の浅い病気で、症例の蓄積が少な
5
いためであろう [大田2002; 私信]。
関節液の検査では好中球優位の白血球増多とタンパク質の増量が認められる。関
節のX線検査では、発病早期にはほとんど正常か、あるいは軟部組織の腫脹、関節
周囲の骨量の減少などの所見が認められる。慢性化するにしたがって手、手指、足、
膝、股などの傍関節部の骨粗しょう症、関節裂隙の狭小化、骨びらんなどの所見が
認められるようになる [43]。しかし一般に機能障害の程度は軽く、クラスⅢ〜Ⅳの
機能障害は6%程度である [15]。
表2.
成人スティル病における定型的な皮膚発疹の状態
○ 皮膚面から隆起していないか、あるいはわずかに隆起している径数ミリ
メートルの発疹。
○ 色調はサーモンピンク様と形容される紅色または赤桃色の発疹。
○ 発熱のときに出現し、下熱のときに消退する傾向がある。
○ 全身の皮膚にびまん性ではなく、散在性に発現する。
○ 体幹や四肢の近位部に多い。
○ 同じ患者でも、体の部分によって形状、色調が異なる傾向がある。
○ 比較的小さな発疹と集簇・融合した発疹とが混合していることが多い。
○ 一般に痒みはない。
○ ケブネル現象がある(本文参照)。
山口・大田
(1990)
を一部改変
[3]。
手関節における有頭骨周囲、手根骨間の非びらん性裂隙の狭小化と強直などの所
見は成人スティル病に特異的な所見ではないかとする意見がある
[37,
43,
46]。
以上の三主徴のほかに、咽頭痛、リンパ節腫脹、肝脾腫などの症状がある(表
1)。薬物アレルギーが発現しやすいと指摘されているが、アレルギー症状が上述の
皮膚発疹や肝機能障害とまぎらわしいことがある
[12]。
臨床検査の所見
以下、臨床検査の主な所見について述べる。血液中のサイトカインの動態につい
ては、病因論で述べる。
急性期炎症反応を示す所見
とくに全身症状が見られる時期には赤沈促進、血清
CRP値の上昇、核左方推移をともなう白血球(好中球)の増多などの所見がみられ
る
[10-12,
肝機能障害
20,
23]。α
2-グロブリンが著しく上昇した例がある
わが国の患者では約85%に肝機能障害の所見がある
22]。石橋ら
という
[25]。
(1985)
[6-8,
10-12,
が報告した例では生検で非特異的な肝炎の像が認められた
[24]。肝機能障害の例に薬物によるものが含まれているかも知れない。
血清のフェリチン値
患者の約82%に血清のフェリチン値が上昇し、約69%は正
常上限の5倍以上に上昇している [7, 49]。藤井 (2000) は、400ng/㎖以上の血清フェ
リチン値は診断の標識として特異性が高いと述べている
[45]。
血清のフェリチン値は成人スティル病では病気の活動性と高い相関を示すから、
6
病気の経過と治療効果の判断に有用である。診断、経過、および治療効果の判定に
血清フェリチン値の特異性を高め、重症感染症や悪性腫瘍との鑑別のためにもアイ
ソフェリチンを検定すべきであるとする研究者もいる
リウマトイド因子と自己抗体
[48]。
これまでの報告によれば、成人スティル病ではリ
ウマトイド因子は陰性、抗核抗体をはじめ特異的な自己抗体は証明される患者は6
〜7%と少ない。この病気の病因論に関連して、この所見を重視する研究者は多いが、
さらに症例を重ねて検討する必要があろう。
以上の所見のほかに、貧血、低タンパク血症、免疫グロブリン増加、凝固線溶系
の障害などの所見がある。
診
断
これまでにも述べたように、成人スティル病は血管炎疾患群やホジキン病などと
ともに診断がむずかしい病気である。
Ohta et
al.(1990)
によれば、疑わしい例をふくむ181例の成人スティル病患者の
なかから調査用紙に詳細に記入された146例を選び、これらについて厚生省調査研
究班員10人で討議した結果、確実に成人スティル病と診断されたのは90例であった
という
[11]。このことは、専門家でも約40%は確実に診断できない患者がいること
を示唆している。
診断がむずかしい原因として、前にも述べたように、この病気の集団中頻度が低
く、したがって日常診療の場で診る機会は少なく、また臨床症状と検査所見に特異
性が乏しいこと、患者の愁訴に引きずられて診断決定の前に早めに薬物を使用して
病像を修飾している可能性などがあげられよう。
この病気には容易に実体を見せず、見せたときには、かなり進行しているという
ようなことはあり得よう。
臨床症状と検査所見の診断上の特異性
成人スティル病では臨床症状と検査所見が発症して比較的短い期間内に揃って発
現する傾向があるから、このことは診断に有利である。しかし個々の症状と検査所
見は診断の標識として特異性に乏しい
[4,
12]。
比較的特異性の高い診断の標識をあげれば、定型的な皮膚の発疹
(図1と表2)、
血清のフェリチンの異常な高値、リウマトイド因子と抗核抗体陰性の患者が多いこ
となどであろうか
[12,
18,
49,
50]。
除外診断
除外診断
diagnosis
by
exclusion
はコンピュータ・システムが発達した今日、と
くに診断がむずかしい病気の診断に有用であるが、成人スティル病でも除外診断が
診断の第一歩である[2]。
この病気の場合には、除外診断の主な対象として不明熱の原因疾患となり得る感
染症(とくにウイルス感染症、敗血症、伝染性単核球症、感染性心内膜炎、深在性
膿瘍など)、悪性腫瘍(とくに悪性リンパ腫、ホジキン病など)、結合織病(とくに
結節性多発動脈炎、悪性関節リウマチ、血清反応陰性脊椎関節症など)があげられ
7
よう。
診断基準
除外診断をした後に、成人スティル病の診断基準を適用して診断が進められる
[5,
12,
22]。
成人スティル病の診断基準については、1980年代以降、内外でいくつか提案され
ている
[5,
44,
51-55]。これらのうち、Yamaguchi
et al.(1992)
スティル病の分類予備基準
preliminary
criteria
for
が提出した「成人
classification
of ill's
adult
St
disease」(表3)は、1988-1990年にわが国でなされた全国調査の結果を統計学的
に解析し、その結果に基づいて作成したもので、これには除外診断も考慮されてお
り、診断の感度
sensitivity
は約98%、特異度
内外を通じて最も評価が高い
表3.
[5,
14,
18,
22,
specificity
は約96%で、この基準は
56]。
成人スティル病の分類基準(成人スティル病研究班)
大項目
1) 39℃以上の発熱が1週間以上続く。
2) 関節症状が2週間以上続く。
3) 定型的な皮膚発疹。
4) 80%以上の好中球増加を伴う白血球増多(10,000/㎜3以上)。
小項目
1) 咽頭痛。
2) リンパ節腫脹あるいは脾腫。
3) 肝機能障害。
4) リウマトイド因子陰性および抗核抗体陰性。
除外項目
Ⅰ. 感染症(特に敗血症、伝染性単核球症)。
Ⅱ. 悪性腫瘍(とくに悪性リンパ腫)。
Ⅲ. 膠原病(とくに結節性多発動脈炎、悪性関節リウマチ)。
[判定] 2項目以上の大項目をふくむ総項目数5項目以上で成人スティル病と
分類される。ただし除外項目は除く。
Yamaguchi et
血清のフェリチン値
al. (1992) を一部改変 [1, 2, 5]。
Yamaguchi et
al.の「分類基準」には血清のフェリチン値
は考慮されていないが、その後、診断基準として、あるいは病気の活動性を知るパ
ラメータとして血清のフェリチン値が重視されるようになった
45]。藤井
(2000)
標識になるとしている
[14,
16,
19,
は、血清のフェリチン値が400ng/㎖以上あれば、診断の重要な
[45]。
成人スティル病の分類
8
20,
成人スティル病を臨床経過と発症年齢によって分類することは、診断決定後まず
初めになすべきことである。患者の予後の推定と治療方針の策定に重要な参考にな
るからである。
臨床経過による分類
るが、Cush et
以前にもElkon et
al.(1987)
al.(1982)
の20年にわたる追跡研究があ
は、成人スティル病を臨床経過の過程における全身症状
と関節症状の現れかたによって単周期型monocyclic
systemと多周期型
polycyclic
s ys te mとに分け、それぞれを関節症 状と全身症状の現れかたによって分けた
[57]。すなわち、⑴単周期全身症状型、⑵多周期全身症状型、⑶慢性関節炎を伴う
単周期全身症状型、および⑷慢性関節炎を伴う多周期全身症状型の四つの型である。
表4.
成人スティル病74例の臨床経過の型
臨床経過の型
頻度
単周期型
24 %
多周期型
41
慢性関節炎型
/
単周期全身症状
14
慢性関節炎型
/
多周期全身症状
24
(再発)
55
死亡は90症例中
4.4%。Ohta
et
al. (1990) による [11]。
わが国の成人スティル病患者74例についてこれらの分類型の頻度を見ると、表4
に示すように、2回以上全身症状が発現する⑵の型が最も多く、⑴と⑷の型はほぼ
同じ割合、⑶の型が最も少ないことが分る
[11]。
患者のほぼ1/4は全身症状が一回発現するだけで、ステロイド薬を使用しても比
較的短い期間の使用で済むことが多い。しかし⑵の型では年余にわたって全身症状
が再発と寛解を繰り返し、ステロイド薬を離脱できないことが多い。また約1/3の
患者 は、全 身症状の 有無に 関係な く、関節 症状が 続く慢 性関節 炎型c h ro ni c
articular
type
を示し、この場合には、前に述べたように、骨・関節の強直と変形
をきたしやすい。
発症年齢による分類
前に述べたように、成人スティル病には、⑴16歳以前に発
症したものが寛解期を経て16歳以降の成人期に再発したもの、⑵16歳以前に発症し
たものが寛解または治癒しないままに16歳以降に持ち越されたもの、および⑶16歳
以降に初めて発症したものに分けられる
[23]。それぞれの病因と病態に共通する部
分と異なる部分とあると推測される。
大田・山口
(1993)
は、患者を16歳以前と16歳以後に発症した群に分けて検討し
た結果、関節炎の状態、白血球増多
3
以上)、血清のアルカリフォスファ
(15,000/㎜
ターゼの上昇、フェリチンの上昇(正常上限の10倍以上)、多周期全身型の頻度な
どに統計学的に有意の差が見られたという
[13]。田中
チと成人スティル病の臨床像を比較検討している
9
[87]
(1991)
。
も若年性関節リウマ
臨床統計
日常診療の場で成人スティル病を診る機会は少なく、一年間にわが国全土で診断
される患者は数十例程度で、水面下に潜在する患者が多いのではないかと推測され
ている
[4,
23]。
表5.
わが国の16歳以上の人の成人スティル病の有病率と罹患率
(人口10万あたり)
男性
女性
有病率
0.73
1.47
罹患率
0.22
0.34
Wakai et al. (1997) による [58]。西フランスにおける retrospective
study によれば、罹患率は0.16で、罹患者は男女ほぼ同数 [59]。
有病率と罹患率
国の成人集団
厚生省特定疾患調査研究班
(16歳以上)
(1997)
の推定にしたがって、わが
の成人スティル病の有病率と罹患率を表5に示す
[58]。
人口十万あたり有病率は0.73〜1.47、罹患率は0.22〜0.34で、男女比はほぼ1:2で
ある。
図2.
成人スティル病の発症年齢の分布
山口・大田
(1990)
による
[2]。
年齢別分布 図2に示すように、スティル病または成人スティル病の発症年齢は
10歳以下の若年層から70歳代の高年齢層まで幅広く分布し、内外の報告例を合わせ
10
て最高齢の患者は72歳であった。しかし16歳から36歳までの間に発症した患者が全
体の75.8%をしめる
[7,
10,
12,
63]。
216例の患者についての欧米の資料では性差はほとんどない[44]。しかし、わが
国の90例の患者については、上に述べたように、男女比はほぼ1:2で、年齢が高ま
るにしたがって女性が多くなる傾向がある
[6,
7,
11,
22]。
難治の成人スティル病
成人スティル病の五年生存率は93%と高く[39]、また全体の約24%をしめる単周
期型は初期に一回全身症状が発現するだけで、再発することはない
[15]。しかし多
周期型では、観察が長期にわたるにしたがって、治療がむずかしい例が多くなるこ
とが分ってきた。筆者はこれを自己流に「難治の成人スティル病」と名づけている。
次の条件をそなえている。
⑴
複数の枢要な臓器
key
organ
の障害が合併する。
⑵
関節・骨の解剖学的変化と機能障害が進行する。
⑶
薬物療法で主要薬物であるステロイドや免疫抑制剤に不応になる。
ここでは経過中の合併症について述べる。
経過中の合併症
成人スティル病の経過中に、薬物アレルギーのほかに、次のよ
うな合併症が見られる。
胸 膜 炎 、 心 膜 炎 、 急 性 心 筋 炎、 心 不 全 、 間 質 性 肺 炎 、 急 性 呼 吸 促 迫 症 候 群
(AR DS)、急性 肝不全、 亜急性 壊死性リンパ節炎、血栓性血小板減少症、血球貪食症
候群、播種性血管内凝固
(DIC)、神経障害、シェーグレン症候群、など
以上の臓器障害のなかで、混合結合織病
(MCTD)
における肺高血圧症と並んで、
ARDSをきたす可能性の高い呼吸器障害が多いことが注目される
22,
[7-9,
15,
16,
20-
43]。
以上のほかに、さほど高い危険度ではなさそうであるが
(risk
具体的数値がない)、汎血球減少、マクロファージ活性化症候群
候群、アミロイドーシスが合併することがある
[19-21,
factor
についての
(後述)、血球貪食症
62]。
以上の合併症は、成人スティル病が容易ならざる病気であることを示している。
病
因
論
小児または成人スティル病の病因に関しては、この10年、血液中のサイトカイン
の動態な ど有力なデータが 出つつあるが、そ の基本については まだ推論
speculative
view
の域を出ず、今なお原因不明の病気である。したがって、この章
の表題は「病因」とせず、「病因論」とした。
小児または成人スティル病の臨床上の特徴
これまでに述べたことから明らかなように、小児または成人スティル病には、臨
床上、次に述べるような特徴がある。
11
1)
症状および経過が多様である。
2)
リウマトイド因子と抗核抗体が陰性の患者が多い。
3)
臨床病理学的に血管炎の所見がないか、乏しい
4)
小児および成人スティル病は異質な
[13,
23,
[23]。
heterogeneous
な病因から成るらしい
43]。
アメリカのリウマチ学会は、小児のスティル病をリウマチの亜型または血清反応
陰性関節リウマチ
seronegative
rheumatoid
arthritis
としたが、スティル病は急
性の感染症様症状で始まり、リウマトイド因子陰性と抗核抗体が陰性の患者が多い
ことなどの点から、今日では関節リウマチとは異なる病気の単位とみなす意見が多
い
[12,
13]。
宿主要因と環境要因
すべての病気は宿主要因
host
factor
と環境要因
environmental
factor
の相互
作用のもとに成立する。小児または成人スティル病ではこの視点に立つ解析はあま
り進んでいないが、分っている範囲のことを紹介しよう。
宿主要因
家族性発現
前に述べたように、女性にやや多い。また、近親に2人以上発症した
familial
occurrence
の例はないらしい
[2]。
ヒトの 白血球抗原、赤血 球血液型、ある種 のタンパク質の型 に多型性
polymorphysm
が見られ、規則正しい単純遺伝の形式をとる
[64,
65]。これらの
多型性形質の特定の型との間に相関が認められると、その病気の成立に宿主要因が
あずかっていることが分る。その定型例がヒト・白血球抗原の一型、HLA-B27で
ある。HLA-B27は強直性脊椎炎、ライター症候群、エルシニア関節炎、サルモネ
ラ関節炎、乾癬性関節症などと有意の相関がある
[66]。
竹内(1998)によると、若年性関節リウマチの少関節型はHL Aハプロタイプの
DR5,
DRw2と、多関節型はDR4、Dw4と相関がある
スティル病との相関は明らかではない
[67,
[67]。しかし小児または成人
68]。一方において、最近、IL-6、マク
ロファージ遊走阻止因子、パーフォリンなどの産生と発現にあずかる遺伝子の変異
が小児のスティル病発症にあずかっているとみなす報告がある
環境要因
[83,
105-107]。
若年性関節リウマチの人種と地域の差、季節による発病の違いなどに
ついて断片的な報告があるが、はっきりした結論は得られていない
Sampalis et
al.(1996)
[61]
。
は60例の成人スティル病患者について過去に摂取または
曝露された物質(治療薬を含む)、アレルギー歴などについて症例・対照研究をおこ
なった結果、有意の影響が見られたのは発症前約一年間における精神的、身体的ス
トレスであったという
[69]。この調査研究では症例が少ないことと、分析の対象の
標識が明確でないことが問題であろう。
病原微生物の感染
小児または成人スティル病発症の引き金として病原微生物、
なかでもウイルス感染を重視する人は多い。小児または成人スティル病で検出され
たウイルスに次のようなものがある
[2-4,
9-12,
23,
25,
39,
43,
70-73]。
風疹、 ムンプス、コクサ ッキー、マイコプラズマ、ブルセラ、エルシニア・エンテ
ロコリチカ、ヒト・パルボウイルスB19、EBウイルス、サ イトメガロウイルス、パラ
インフルエンザ、など
12
報告のなかで、久野ら
(1995)
じてヒト・パルボウイルスB19
が報告した症例は注目されよう
(HPVB19)
[71]。全経過を通
の持続感染が示唆される19歳の女性患者
で成人スティル病が発症し、VAHSが発現して死亡した(図3)。この例では全経過を
通じてIgM抗体だけが持続して高い値をとり、PCR法によって血液中からウイルス
抗原が検出された
[23,
71]。他にもヒト・パルボウイルスB19と成人スティル病と
の関連を示唆する報文がある
[74]。
問題は、内外を通じて、小児または成人スティル病に共通する病原微生物は見出
されておらず、感染にもとづくと思われる諸症状に対して抗生剤がほとんど無効な
ことである。強力な抗ウイルス薬が開発されれば、様相が変るかも知れない。
図3.
ヒト・パルボウイルスB19
(HPVB19)
の持続感染
が示唆された成人スティル病の臨床経過.
19歳の女性.
長澤
(1995)
より転載
[23,
血液中のサイトカインの動態
この10年来、とくに小児のスティル病について血液中のサイトカインの動態に関
する研究が進展し、スティル病の病因と病態の解析が一歩前進した感がある[16]。
ここで、サイトカインについて簡単に説明しておく。
サイトカイン
生体のいろいろな組織の細胞に由来し、免疫応答の発現や調節な
ど の細 胞 間相 互 作 用に あ ずか る 生物 学 的活 性 物質 を 総 称し て サイ ト カイ ン
(cytokine)
という。
サイトカインは主にリンパ球やマクロファージによって産生され、これらのうち
分子として単離され、その物理化学的性状が明らかにされているものはインターロ
イキン
(interleukin;
IL)
高サイトカイン血症
のレベルが上昇する
として分類されている
[75]。
小児のスティル病では、次のような血液中のサイトカイン
[76,
77]。
IL-6、IFN-α、IFN-γ、IL-1β、IL-7、IL-18、sIL-2R、sTNF-R、M-CSF、など
13
71]。
スティル病のとくに活動期では、何らかの原因によってT細胞やマクロファージ
が活性化され、その結果、血液中のサイトカインのレベルが上昇し、これがスティ
ル病の病態発現に重要な役割を果たしていると推定されている
[16,
19,
20,
78]。
表6に成人スティル病について8種類の血清のサイトカイン・レベルを示す
[78]。インターロイキン6
(IL-6)、腫瘍壊死因子α
(TNF-α)、およびインターフェ
ロンγ(IFN-γ)のレベルが有意に高い。これらのなかでインターロイキン6のレベ
ルは患者の発熱の状態、関節症状、血清のCRP値とよく相関する
[76-78]。
以上の知見から、成人スティル病はインターロイキン6を中心にした炎症性サイ
トカインが病像成立に重要な役割を果し、多種類の細胞に作用してフェリチン産生
を促進していると推測される
表6.
[79,
80]。
成人スティル病の血清中のサイトカイン・レベル
血清中のレベル
サイト
カイン
成人スティル病
IL-1α
<
IL-2
2.2 ±
0.2
pg/㎖
<
0.2
4.0
4.2 ± 2.8
IL-6
33.6 ± 36.4
3.7 ± 2.7
IL-7
9.5 ± 13.4
7.5 ± 3.0
IL-10
<
検定
健常個体
2.0
<
pg/㎖
p < 0.01
2.0
TNF-α
39.6 ± 51.6
<
4.4
p < 0.01
IFN-γ
133.4 ±140.0
<
3
p < 0.01
GM-CSF
<
2.8
<
2.8
対象:成人スティル病12例。そのうち4例は違った時期に複数回測定。
健常個体は11例。統計学的検定は
Hoshino et
Wilcoxon's
signed
test
による。
al. (1998) を一部改変 [78]。
マクロファージ活性化症候群
Stéphan et
al.(1993)
は、発症から経過の過程で
発熱、汎血球減少、肝機能障害、播種性血管内凝固、骨髄における血球貪食像など
の病態を示した若年性関節リウマチの4例(うち3例は全身型)について報告し、
これらの患者には血液中のサイトカイン、とくに腫瘍壊死因子α
(TNF-α)
が高い
値を示したことから、マクロファージが異常に活性化されていることが病態の基本
をなしているとみなした。すなわち、ウイルス感染などが引き金になってT細胞が
活性化されてサイトカインのレベルが上昇し、その結果、マクロファージが増殖、
活性化されて上に述べたような全身症状が発現するとみなし、これをマクロファー
ジ活性化症候群
macrophage
activation
syndrome
と名づけた
[81]。
成人スティル病でも上に述べた若年性関節リウマチの全身型に見られるマクロ
ファージ活性化症候群と同様な症状を呈する例が以前から報告されている
治療の大要
14
[70]。
小児または成人スティル病は日常診療の場で遭う機会は少なく、また臨床像と経
過が多様であるから、内外を通じて十分な数の患者を対象にした症例
-
対照研究が
なされておらず、したがって治療法が十分に確立しているとは言いがたい
[43]。
現在のところ、原則として炎症症状が顕著な時期には炎症に対する治療、症状が
遷延化、慢性化するにしたがって慢性関節炎、臓器障害の顕著な難治のスティル病
に対する治療が中心になる。
その具体的な方法については一般の内科学または治療学の成書にはわずかしか記
載されていないから、委細を知りたい読者にはむしろ小児または成人スティル病の
専門家によってまとめられた総説を参考にすることを奨めたい
17,
19-23,
35,
40,
43-45,
参考資料─「リウマチの治療」
63,
[2,
4,
7,
10-13,
15-
88-90]。
上の総説に加えて、「病気のプロフィル」No.
36と37にまとめられている「リウマチの治療.
その1および2」を一読することを
奨めたい。これにはリウマトロジストによって精選されたNSAID、ステロイド薬、
免疫抑制剤、抗リウマチ薬などに関連する模範的な処方が収録されている。上述の
総説と併せて参考にされたい。
主な治療薬
成人スティル病の治療薬として主に次のものが用いられてきたが、症状と経過に
よっては一つの治療薬から別のものに変更、あるいは併用されている。この点は「リ
ウマチの治療」に似ている。
非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID)
以前、NSAIDは成人スティル病の比較的予後良好な単周期型
または多周 期型の一部の患者 に第一選択薬として患者のおよそ10〜25%に用いられていた[39,55]。
しかし成人スティル病ではその効果発現に比較的時間がかかって大量を必要とし、薬物アレルギーや
NSAID潰瘍などの副作用に配慮しなければ ならないた めに次第に適 用の範囲が小 さくなり、 初期か
らステロイド薬を用いる例が増えてきた
製剤としてインドメタシン
ソプロフェン
(180㎎/日)
ロイド薬に切り換える
[12,
[43]。
(50㎎/日)、ジクロフェナク
などが用いられてきた
43,
(75㎎/日)、スリンダク
(300㎎/日)、ロキ
[2]。1週間使用してあまり効果がなければ、ステ
45]。
副腎皮質ステロイド薬 ステロイド薬)
(
現在、わが国では成人スティル病患者の約90%にステロイ
ド薬が用いられ、その80%以上で有効である
[45]。
軽〜中等症の場合:近ごろでは、上に述べたように、軽症の患者でもステロイド薬を早めに用いる
傾向があり、初期量はプレドニゾロン換算量15〜20㎎/日(1日3回または朝夕2回)でよく反応す
る
[12,
43,
45]。炎症症状がより顕著な患者(血清のCRP値
上)
に対して最初からステロイド薬20〜30㎎/日を用いる
10㎎/㎗、フェリチン値
1000ng/㎗以
[12]。
ステロイド薬の減量と維持量:ふつう0.5〜1.0㎎/㎏/日を目安として用量を増減する
[43]。成人
スティル病では再燃する割合 が高いらしい。したがって減量には慎重さを要する[45]。活動性に配慮
しながら、 10〜14日ごとに用量 を10%ずつ減らしていく。再燃の防止には維持量5〜10㎎/日を長く
持続し、血清のCRP値とフェリチン値をできるだけ正常域に保つように心がける
(1997)
[12]。Fujiiet
al.
によれば、メトトレキサート5〜10㎎を週に1回併用すると、ステロイド薬の維持量を少量
にすることができるという
[90]。メトトレキサートのステロイド節約効果である(後述)。
ステロイド大量療法:プレドニゾロン換算量1㎎/㎏/日
(40〜60㎎/日)
この場合でも、メトトレキサートの併用によってステロイド節約効果がある
15
を経口投与する[12,45]。
[90]。
ステ ロイド・ パルス療法 :メチルプ レドニゾロン500〜1000㎎を3 日間続ける。1〜2週間で臨
床症状と検査所見は改善する。血清フェリチン値の改善は若干遅れる傾向がある
免疫抑制剤
[91]。
ステロイド薬によって十分に効果があがらない場合には、免疫抑制剤に切り換えるか、
両者の併用を考える。免疫抑制剤の一部にはステロイド節約と抵抗性解除の効果がある
[17,
43]。
1994-1995年に わが国でなさ れた全国調査によれば、その6年前の調査のときに比べて免疫抑制
剤の使用が約10%から35%に増加して いるという[11]。免疫抑制剤として一般にメトトレキサート、
シクロホスファミド、シクロスポリンが用いられることが多い。
表7に成人スティル病における免疫抑制剤の適用と禁忌を示す。
表7.
成人スティル病における免疫抑制剤の適用と禁忌
適用 ⑴ 大量のステロイド薬で効果が不十分な場合
(シクロホスファミド・パルス療法、メトトレキサート少量間欠療法)
⑵ ステロイド薬をその副作用のために十分に使用できない場合
⑶ ステロイド薬の減量中に頻回に再発をおこす場合
⑷ 慢性の多関節炎を伴う場合(メトトレキサート少量間欠療法)
禁忌 ⑴ 肝、腎、肺機能障害が顕著な場合
⑵ 感染症が存在する場合
⑶ 白血球減少が顕著な場合
⑷ 妊娠中の場合
⑸ 過去に免疫抑制剤を使用して重篤な副作用をきたした場合
大田
(1997)
を一部改変
[17]。
メトトレキサート(MTX):MTXは インターロイキン1の産生を抑制し、消炎効果があることはす
でに関節リウマチで証明されている。成人スティル病では全身症状と関節症状両方に有効で、しかも
副作用が少なく、比較的長く使用できるという長所がある
[17,
87]。ステロイド薬に不応の症例ばか
りでなく、成人スティル病発症の早期から使用してもよいのではないかという意見があるが、他方、
安易 な使用を 戒める意 見もある [17]。ステロイド薬に不応で、またその副作用が顕著な場合には、
MTX5.0〜10.0㎎/週が用いられる。
シクロ スポリン(CYA):ステ ロイド薬と他の 免疫抑制剤に 不応で、汎血球 減少、DIC、血球 貪食
症候群などの重篤な 合併症をきたした患者にCYAが有効であったとす る報告がある[92-94]。関節リ
ウマチの場合に準じてCYA
2.5㎎/㎏/日から始め、効果を見ながら増量し、最大量5.0㎎/㎏/日まで
持っていく[86]。効果が認 められれば、時間をかけてゆっくり減量する。副作用として、とくに腎機
能障害に留意する。
慢性関節炎の治療
成人スティル病が遷延化、慢性化するにしたがって、患者の半数をしめる慢性関
節炎の治療が焦点になる。そのおよそ半数は関節リウマチに劣らず、治療がむずか
しい
[15,
43,
45]。この項ではとくに「病気のプロフィル」No.
36と37の「リウマ
チの治療」を参考にされたい。
成人スティ ル病では、関節リウマチと 同様にMTXのほかに金製剤、D-ペニシラミン、アザチオプ
リンなど の抗リウマチ薬 が用いられることが多い[15,39,43,45]。関節が破壊されて機能障害が顕著
で、ステロイド薬に不応な症例にはMTXが有効で、約50%は寛解する
16
[96]。
Tugwell et
al.(1995) は、MTX (15㎎/週以下) とCYA (2.5〜5.0㎎/㎏/日) の併用で関節の破壊は
抑制することができるとしている
[97]。Pouchotet
al.(1991)
は、金製剤を用いた患者の約40%に
効果があったことを認めてい る[39]。しかし成人スティル病の場合には、とくに薬物アレルギーをき
たしやすいことに留意しなければならない。
難治の成人スティル病に対する治療
前に「難治の成人スティル病」としてまとめた患者群に対する治療はきわめてむ
ずかしく、その効果に見るべきものは乏しい。しかし無為に坐視することなく治療
法のいずれかを選択または併用して最善を尽くすべきである。これまでに取り上げ
られてきた治療法を任意にあげると、次のとおりである。
ステロイド大量療法:前述。
ステロイド・パルス療法:成人スティル病の重症例についてのKhraishi
注目される
Fam
(1991)
の報告は
[102]。
シクロスポリン
に準ずる
&
[15,
(CYA)
92,
療法:とくに多種類の薬物に不応の症例に適用される。方法は上述の方法
94]。
ステロイド・パルス療法とシクロスポリン療法の併用:多剤に不応で、マクロファージ活性化症候
群などを併発した症例に適用されている
[92,
94]。
ガンマグロブリン大量療法:VAHSを合併した症例に適用されている
[15,
82]。
抗サイトカイン療法:難治の症例にサリドマイドを用いた結果、末梢血液の単核球において腫瘍壊
死因子αの発現が抑制され、症状が寛解したという報告がある
用してステロイド薬の減量に成功している
[98]。大田
(2001)
もsTNF-αRを使
[19]。
血漿交換療法:高サイトカイン血症を是正する目的で血漿交換療法がなされている。その適用、方
法、効果については「病気のプロフィル」No.
37を参照されたい。
薬物療法以外の治療
成人スティル病は慢性期に移行して以降の経過が長く、また生命予後は良好と推
測されている[43,
45]。山村
(1999)
は、その長い経過の過程で、薬物療法のほかに
患者教育、精神心理療法、理学療法、リハビリテーションなどに配慮すべきである
としている[43]。卓見である。この面では吉田ら
する私案」が参考になろう
(1997)
の「膠原病の自己管理に関
[88]。
む
す
び
成人スティル病患者のかなりの割合のものは診断できずに水面下に潜在している
と推測され、またその病因はおそらく幅広く異質
heterogeneous
であろう。
病因と病態についてはまだ混沌としているが、ほぼこの10年の間に展開されてき
た血清フェリチン・サブユニット
(%
glycosylation)
関連するサイトカインの動態に関する研究
[79,
80]
の生化学的解析
[85]
やそれに
は今後期待されよう。
それともう一つ、これは筆者個人の希望であるが、小児または成人スティル病と
免疫学的または生化学的多型性形質、とくにHLA-B27との相関を再度検討して欲
しい。一方で、スティル病の免疫系関連遺伝子の解析も進みつつある
[83,
105-
107]。
この「病気のプロフィル」No.
43が小児または成人スティル病への関心を高める
一助になれば幸いである。
17
[謝辞] 樋口雅則博士(福岡逓信病院)の御協力に深謝する。また永年成人スティ
ル病を研究し、この稿を御校閲いただいた大田明英教授、長澤浩平教授、ならびに
山口雅也前学長に敬意と謝意を表する。
柳瀬 敏幸 (2002年9月27日)
参
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考
文
献
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