第2回 リード・マネージメント研究会 - 株式会社プロコムインターナショナル

第2回
リード・マネージメン ト研究会
会 期
2016 年 11 月 5 日(土)
会 場
コクヨホール
〒108-8710 東京都港区港南1丁目8番35号
TEL:03-3450-3712
当番世話人
合屋 雅彦
東京医科歯科大学医学部附属病院 循環器内科
ご挨拶
第2回リード・マネージメント研究会
当番世話人 合屋
雅彦
東京医科歯科大学医学部附属病院 循環器内科
リードマネジメント研究会を 2016 年 11 月 5 日に コクヨホール にて開催させていただきます。
第2回の当番世話人を務めさえていただきますことを大変光栄に存じております。
心臓リズムデバイス領域では各機種の MRI 対応機器が出そろい、皮下留置型 ICD やリードレス
ペースメーカも導入され目覚ましい進歩を遂げています。一方、ICD リードのリコールの問題、
デバイス感染の増加、不全リードの問題などまだまだ解決されていない課題も山積しています。
本研究会は “ デバイスリードをいかにマネジメントすべきか ” を 学ぶことを目的に設立され、本年
1月に第1回を庄田守男先生が開催されました。
今回も、リード抜去について、リード不全について、各種リードの違い、screw-inとtindリード
について、等に関しご専門の先生方にご講演をいただき、また各施設からの症例報告から貴重な経
験を共有し、リードマネジメントについてじっくりと学んでいただく予定です。そしてこの会が
今回のキャッチワードである “ リードの選択、留置、抜去、すべては患者さんのために ” に貢献で
きれば幸いです。
研究会の終了後に、会場内で懇親会を予定しております。本研究会がリズムデバイス治療に携
わる様々な方々にとって最新の知識、技術を学ぶ機会となることを願っております。
多くの皆様のご参加を心からお待ち申し上げております。
1
会場への交通案内
コ ク ヨホール
〒108-8710 東京都港区港南1丁目8番35号
TEL:03-3450-3712
▲
東
京
ソニー
コクヨ品川オフィス
港
南
口
品川フロントビル
旧海岸通り
・京浜急行品 川 駅
JR
東京中央卸売市場
品川
インターシティ
横
浜
▼
品川駅 港南口(東口)を出て
徒歩 5 分
※お客様専用の駐車場はございません。
公共の交通機関をご利用ください。
2
首都高速一号羽田線
コクヨ
ホール
NTT品川ツインズ
会場案内
2F
非常
階段
懇親会会場
[ 多目的ホール ]
自動販売機
階段
EV
EV
非常
階段
ホール入り口
総合受付
PC受付
講演会場
[ コクヨホール ]
公衆電話
展示会場
クローク
ホワイエ
自動販売機
3
日程表
2016年 11 月 5 日㊏ 於:コクヨホール
8:00
8:25∼8:30
開会の辞
8:30∼9:15
演者: 永島 道雄
教育セッション
9:00
山田 貴之
座長: 岡本 陽地
関口 幸夫
9:15∼10:15
演者: 渡辺 敬太
Case Conference 1
市堀 博俊
座長: 加藤 律史・今井 克彦
千葉 卓
伊澤 毅
10:00
10:25∼12:05
演者: 中里 祐二
ミニシンポジウム1
11:00
石川 利之
座長: 宮城 泰雄・西井 伸洋
高木 雅彦
中島 博
12:00
12:10∼13:10
演者: 井川 修
ランチョンセミナー
13:00
座長: 庄田 守男
共催:ディーブイエックス株式会社
13:15∼14:15
演者: 三好 章仁
Case Conference 2
宮城 泰雄
座長: 四倉 昭彦・山田 貴之
山下 賢之介
14:00
森田 純次
14:20∼15:10
演者: Dr. Chan Chin Pang, Gary
ミニシンポジウム2
15:00
岡村 英夫
座長: 松本 万夫
15:15∼16:15
演者: 長谷川 智明・伊澤 毅
Rapid firing
浅野 奏・古山 准二郎
座長: 関口 幸夫・成田 裕司
杉山 弘恭・伊勢田 高寛
16:00
16:15∼17:45
演者: 南口 仁
Case Conference 3
野副 純世
座長: 永島 道雄・合屋 雅彦
岡田 修一
和田 暢
17:00
飛田 一樹
古荘 浩司
18:00
17:45∼
閉会の辞
18:00∼
懇親会 会場:多目的ホール
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参加者へのご案内
1. 参加登録
• 受付場所:コクヨホール
• 参加費:5,000円
2. 懇親会
• 会 場:多目的ホール (コクヨホール隣の部屋)
• 時 間:18時00分より
• 参加費:研究会参加者は無料
演者・座長へのご案内
1. 口演時間
• 発表時間 . . . . . . . 教育セッション (15分)
ミニシンポジウム1 (25分)
ミニシンポジウム2 (別に指定いたします)
一般演題:Case Conference (発表8分・質疑応答7分)
Rapid firing (発表6分・質疑応答4分)
• PCスライド発表について
1) PCスライドによる発表を行っていただきます。
2) 進行は座長によって行います。発表者は座長の指示に従って下さい。
2. 発表形式
PCプレゼンテーション (1面)・Power Pointのみでの講演となります。
スライドフィルム、VHS等のビデオは使用できません。
ご自身のパソコンもしくは、メディア (USBメモリー、CD-R) をご持参ください。
3. 受付
演者は、発表セッション開始30分前までにPC受付 (ホールホワイエ) にお越しください。
PC本体持込みの場合も、動作確認のため、必ずお立ち寄りください。
4. 発表機材とデータの作成
❑ メディアを持参される方へ
1) 受付可能なメディア:USBメモリー、CD-Rのみです。
2) OSについて:Windows7をご用意します。
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3) Power Pointのバージョンについて:Microsoft PowerPoint 2010、2013をご用意します。
4) Macintoshで作成されたファイルは上記環境で動作確認済みのファイルをお持ちください。また、
動画・Macintosh の場合は、念のためご自身の PC をお持ち込みください。詳細については以下の
「PCを持ち込まれる方へ」をご参照ください。
5) 混雑時にはご発表時間順に対応させていただきますので、ご了承ください。
6) 持ち込まれるメディアには、ファイル名を「演題番号・氏名」として保存願います。
(例:P-1 東京 太郎) また当日の発表データ以外入れないようにしてください。
7) メディアを介したウィルス感染の事例があります。最新のウィルス対策ソフトで事前にチェックし
ておいてください。
8) フォントはOS標準フォントのみ使用可能です。
❑ PC本体を持ち込まれる場合
1) Macintoshをご使用の場合、動画をご使用の際は、念のためPC本体をお持ちください。
2) お持ち込みが可能な機種は、Windows Vista以降が動作する機種またはMacintoshで、モニター出
力端子がミニD-sub15ピンコネクターが装備されているものに限ります。変換コネクターが必要な
場合は、ご自身でお持ちください。
※薄型PCでは出力端子の規格が異なる場合がございます (HDMIなど)。
3) 電源アダプターを必ずご持参ください。
4) スクリーンセーバーや省電力設定は事前に解除してください。
5) 念のためバックアップデータを、USBメモリまたはCD-Rでお持ちください。
6) 演者はPC受付にて動作確認後、発表セッション開始30分前までに会場内のPCオペレーター席にPC
本体をお持ちください。
7) スムーズな進行のために、PowerPointの「発表者ツール」のご使用はできません。
8) 発表終了後、PCオペレーター席でPCをお受け取りください。
5. 発表方法
1) 前の発表が始まりましたら、会場左手前方の次演者席にご着席ください。
2) 発表は、演台上にセットされておりますモニター・マウスを使用し、ご自身で操作してください。
6. 進⾏
演者は発表セッションのご発表の15分前までに、口演会場内の次演者席付近にお越しください。
座長は担当セッション開始10分前までに次座長席にご着席ください。
座長は、開始の合図が入り次第登壇し、セッションを開始してください。
発表・討論を含めて、時間内に終了するようにご協力ください。
7. 討論
討論者は、予め会場内のマイクの近くでお待ちください。
所属・氏名を述べたのち、簡潔にご発言ください。
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プログラム
2016年 11 月 5 日㊏ 於:コクヨホール
開会の辞
8:25 ∼8:30
教育セッション 8:30 ∼9:15
座長: 岡本 陽地
あんの循環器内科
1. リード抜去時のスクリューリード、タインドリードの違い
○永島 道雄
小倉記念病院 循環器科
2. リード抜去における各々のペースメーカーリードの特徴と注意点
○山田 貴之
高石藤井心臓血管病院
3. リード抜去時のペースメーカリード、ICD リードの違い
○関口 幸夫
筑波大学医学医療系 循環器内科
Case Conference 1 座長: 加藤 律史
9:15 ∼10:15
埼玉医科大学国際医療センター 心臓内科
今井 克彦 広島大学 心臓血管外科
O-01 約 30年前に留置したペースメーカーリードにより重症三尖弁閉鎖不全症を呈した一例
○渡辺 敬太1)、永田 恭敏1)、宮﨑 亮一1)、佐川 雄一朗1)、関川 雅裕1)、三輪 尚之1)、
野里 寿史1)、宮本 貴庸1)、平尾 見三2)
1) 武蔵野赤十字病院
循環器科、2) 東京医科歯科大学 不整脈センター
O-02 透視では確認できないシリコン被膜が残存し、2回のリード抜去を要したデバイス感染の
一例
○市堀 博俊1)、木内 邦彦1)、福沢 公二1)、小西 弘樹1)、今田 宙志1)、兵庫 聖大1)、黒瀬 潤1)、
秋田 朋己1)、末廣 英也1)、永松 裕一1)、松本 賢亮1)、森 俊平1)、平田 健一1)、西井 達矢2)、
山田 貴之3)
1) 神戸大学大学院医学研究科
3) 高石藤井心臓血管病院
内科学講座 循環器内科学分野、2) 神戸大学大学院医学研究科 放射線医学部門、
循環器内科
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O-03 感染ペースメーカー抜去後、Venoplastyを行い再植え込みを行った一例
○千葉 卓、仲村 健太郎、山下 慶子、名護 元志、川島 朋之、宮城 直人、島尻 正紀、上原 裕規
浦添総合病院
O-04 ニードル・アイ・スネアを用いたリード把持でのひと工夫;
"Spaghetti twisting" technique
○伊澤 毅1)、本多 卓1)、大友 達志1)、山谷 一広2)、山田 貴之3)
1) 仙台厚生病院
循環器科、2) 仙台厚生病院 心臓血管外科、3) 高石藤井心臓血管病院 循環器内科
ミニシンポジウム1 座長: 宮城 泰雄
10:25 ∼12:05
日本医科大学 心臓血管外科
西井 伸洋 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 先端循環器治療学講座
1. Screw-inリードの安全な使い方
○中里 祐二
順天堂大学医学部附属浦安病院 循環器内科
2. ペースメーカー・リード、ICD リードの種類による特徴
○石川 利之
横浜市立大学附属病院 循環器内科
3. Riata, Durata ICD リードと Quick Flex /Quick Site LVリードにおける導線露出と
電気的異常の問題について
○高木 雅彦
大阪市立大学大学院医学研究科 循環器内科学
4. 経静脈デバイスリード損傷の機序と対策
○中島 博
一般財団法人 日本デバイス治療研究所
ランチョンセミナー
座長: 庄田 守男
12:10 ∼13:10
東京女子医科大学 循環器内科
共催 : ディーブイエックス株式会社
リード抜去術に必要な心臓・血管の解剖
○井川 修
日本医科大学多摩永山病院 内科・循環器内科
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Case Conference 2 座長: 四倉 昭彦
13:15 ∼14:15
カレスサッポロ 北光記念病院 循環器内科 不整脈部門
山田 貴之 高石藤井心臓血管病院 心臓血管センター長
O-05 エキシマレーザーと開心術で、感染デバイス抜去術と TOF 完全修復術を施行した 1例
○三好 章仁1)、西井 伸洋1)、杉山 弘恭1)、森田 宏1)、伊藤 浩1)、増田 善逸2)、笠原 真悟2)、
佐野 俊二2)
1) 岡山大学
循環器内科、2) 岡山大学 心臓血管外科
O-06 多発性疣贅付着リードを有するデバイス感染に対して、レーザシースを用いた
経静脈的リード抜去を施行した1 例
○宮城 泰雄、川瀬 康裕、坂本 俊一郎、井関 陽平、前田 基博、村田 智洋、青山 純也、芝田 匡史、
森嶋 素子、栗田 二郎、佐々木 孝、石井 庸介、師田 哲郎、新田 隆
日本医科大学付属病院 心臓血管外科
O-07 左室リードが側壁領域へ留置出来ず、Middle cardiac vein 経由で心尖部領域に留置した
症例
○山下 賢之介、井川 渉、大山 祐司、小野 盛男、木戸 岳彦、荏原 誠太郎、岡部 俊孝、斎藤 重男、
雨宮 妃、磯村 直栄、荒木 浩、落合 正彦
昭和大学横浜市北部病院
O-08 心房リードによる心房穿孔に伴う気胸・心嚢気腫を認め、経静脈的リード抜去を施行した
1例
○森田 純次、永島 道雄、安藤 謙吾、伊勢田 高寛、東北 翔太、福永 真人、廣島 謙一、安藤 献児
小倉記念病院 循環器内科
ミニシンポジウム2 座長: 松本 万夫
14:20 ∼15:10
東松山医師会病院
1. how to perform trans-femoral approach
○Dr. Chan Chin Pang, Gary
Division of Cardiology, Prince of Wales Hospital, Hong Kong
2. レーザーシステムを用いたリード抜去術
○岡村 英夫、和田 暢、草野 研吾
国立循環器病研究センター 心臓血管内科
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Rapid firing 15:15 ∼16:15
座長: 関口 幸夫
筑波大学医学医療系 循環器内科 不整脈次世代寄附研究部門
成田 裕司 名古屋大学医学部附属病院 心臓外科
RF-01 デバイス抜去時に剥離組織による肺塞栓症をきたした一例
○長谷川 智明、関口 幸夫、野上 昭彦、青沼 和隆
筑波大学附属病院 循環器内科
RF-02 疣贅か血栓か?リード感染に対する経静脈的リード抜去後に遺残した可動性構造物の
3D-TEE 所見
○伊澤 毅1)、本多 卓1)、大友 達志1)、山谷 一広2)、山田 貴之3)
1) 仙台厚生病院
循環器科、2) 仙台厚生病院 心臓血管外科、3) 高石藤井心臓血管病院 循環器内科
RF-03 ICD 交換後にポケット感染を生じたためデバイス・リード抜去行い,
皮下植込み型除細動器植込み術を施行した一例
○浅野 奏、加藤 律史、池田 礼史、後藤 貢士、田中 沙綾香、森 仁、志貴 祐一郎、西村 重敬、
岩永 史郎、村松 俊裕、松本 万夫
埼玉医科大学国際医療センター 心臓内科・不整脈科
RF-04 心房リード抜去時に心タンポナーデとなり開心術で回避したペースメーカー感染の 1例
○古山 准二郎、劔 卓夫、梶原 正貴、岡松 秀治、田中 靖章、奥村 謙、坂本 知浩
済生会熊本病院 心臓血管センター
RF-05 27年前に留置したリードが経静脈的に抜去できず、開胸・開心術に至った1 例
○杉山 弘恭1)、森本 芳正1)、三好 章仁1)、川田 哲史1)、橘 元見1)、渡邊 敦之1)、森田 宏1)、
西井 伸洋1) 増田 善逸2)
1) 岡山大学
循環器内科、2) 岡山大学 心臓血管外科
RF-06 リード抜去後ポケット内遺残物で感染が再燃した一例
○伊勢田 高寛、永島 道雄、廣島 謙一、森田 純次、東北 翔太、安藤 献児
小倉記念病院
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Case Conference 3 座長: 永島 道雄
16:15 ∼17:45
平成紫川会 小倉記念病院 循環器科
合屋 雅彦 東京医科歯科大学医学部附属病院 循環器内科
O-09 植込型補助人工心臓時代におけるリード抜去の必要性
○南口 仁1)、小津 賢太郎1)、小西 正三1)、世良 英子1)、水野 裕八1)、大谷 朋仁1)、山口 修1)、
堂前 圭太郎2)、斎藤 俊輔2)、戸田 宏一2)、澤 芳樹2)、坂田 泰史1)
1) 大阪大学大学院医学系研究科
循環器内科学、2) 大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科学
O-10 上大静脈ステント留置後のペースメーカー感染に対して、エキシマレーザー併用の
開胸リード抜去術を施行した一例
○野副 純世1)、林田 好生2)、森重 徳継2)、久保田 徹1)、岡部 眞典1)、山本 雄祐1)
1) 済生会福岡総合病院
2) 済生会福岡総合病院
心臓血管大動脈センター 循環器内科、
心臓血管大動脈センター 心臓外科
O-11 ICD感染に対する開胸リード抜去術後に胸骨骨髄炎を合併した1 例
○岡田 修一1)、金子 達夫1)、内藤 滋人2)、江連 雅彦1)、長谷川 豊1)、熊谷 浩司2)、山田 靖之1)、
菅井 義尚2)、小此木 修一1)、中村 紘規2)、佐々木 健人2)、森下 寛之1)、南 健太郎2)、桐谷 ゆりこ1)
1) 群馬県立心臓血管センター
心臓血管外科、2) 群馬県立心臓血管センター 循環器内科
O-12 エキシマレーザーによるリード抜去後、リード挿入部に動静脈瘻を生じた一例
○和田 暢、岡村 英夫、草野 研吾
国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門 不整脈科
O-13 不全リードの抜去に難渋した RIATA® の一例
○飛田 一樹、森山 典晃、宍戸 晃基、村上 正人、齋藤 滋
湘南鎌倉総合病院 循環器科
O-14 Candida によるリード感染に対し開胸下に抜去を行った2 例
○古荘 浩司1)、五天 千明1)、加藤 寛城2)、飯野 賢治2)、金森 尚美1)、徳久 英樹1)、加藤 武史1)、
竹村 博文2)、高村 雅之1)
1) 金沢大学附属病院
循環器内科、2) 金沢大学附属病院 心臓血管外科
閉会の辞
17:45 ∼
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ミニシンポジウム1【1】
Screw-inリードの安全な使い方
○中里 祐二
順天堂大学医学部附属浦安病院 循環器内科
近年、植込み型デバイスの進歩は著しく、それとともに Screw-in lead を使用する機会も増加している。
先進諸国ではリードシステムの大半がScrew-in leadであるのに対し、本邦では未だ半数に満たないという調
査結果が出されている。その理由の一つは、Screw-in leadは心穿孔などのリスクが高いという懸念や、導入
初期の閾値上昇などの問題から、誤ったイメージを持たれていることがあげられる。結果的にScrew-in lead
植え込みが少なくなり、かえって合併症を増やしている現状がある。この講演ではScrew-in leadの特徴と機
能を知り、安全に留置ができる方法について演者の経験をもとに解説する。
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ミニシンポジウム1【2】
ペースメーカー・リード、ICDリードの種類による特徴
○石川 利之
横浜市立大学附属病院 循環器内科
リードの損傷、抜去を困難にする因子として、素材と構造を考える必要がある。素材に関しては、絶縁、
被覆のためにシリコン、ポリウレタンが使用されてきた。シリコンは疎水性の素材で滑りが悪く操作性もあ
まり良くない。組織との癒着を起こし易いので、抜去を困難にする。ポリウレタンは外側の親水基 (soft
segment) と内側の疎水基 (hard segment) がエーテル結合で繋がった構造をしており、シリコンより物理
的に強く、滑り易く適度な固さもあり、操作性に優れている。組織との癒着を起こしにくい。従って、ポリ
ウレタンの方がシリコンより抜去し易い可能性がある。しかし、エーテル結合が酸化をうけることにより内
部 絶 縁 体 に 損 傷 を 起 こ す こ と が 判 明 し た。リ ー ド の 被 覆 は ス ト レ ス を 受 け る 部 位 で 亀 裂 が 入 る
(environmental stress cracking: ESC) が、それのみでは電極の面積が増える程度の影響しかない。そこか
ら体液、細胞が侵入すると、双極リードではコバルトが触媒となり metal induced oxidization (MIO) が起
こり、内部絶縁体のポリウレタンのエーテル結合を切断し、リークが起こり、最終的には断線する。シリコ
ンは物理学的強度で劣るが、化学的には安定性に優れている。ポリウレタン80Aよりエーテル結合が少ない
ポリウレタン55Dが使用されるようになったが、エーテル結合がないわけではない。外部被膜にポリウレタ
ン55D、内部絶縁体にシリコンを使用したリードも作られている。リードの構造として、先端の固定にtined
と screw-in の 2 種類がある。組織に接触した部分でリードは組織に被覆され、組織のトンネルの中を通る。
Tined は先端の癒着が強い上に、組織のトンネルを通過できないので、抜去しずらい。リード本体の構造が
複雑な程、損傷を受け易くなる。単極の構造は単純であるが、双極、シングルリードVDD、ショック・リー
ドでは複数の導線を通す必要がある。その方法として、それぞれ独立したルーメンを通すパラレル構造、
ルーメンを共有する同軸構造がある。同軸構造はリードを細くできるので双極リードに利用される。3 本以
上の導線が必要なシングルリードVDD、ショック・リードでは両者が組み合わせて作られている。同軸型で
は内層と外層に導線を通すものと、互い違いに単一の層に通すco-radial型がある。co-radial型は細くできる
利点があるが、牽引した時に破損し易い欠点がある。構造の変化するつなぎ目のところが、破損し易い部位
になる。リード本体を牽引すると、先端電極と近位リング電極の間で破損するのはそのためで、ロッキング・
スタイレットを用いる必要がある。透視で確認できるのは導線の金属だけで、絶縁体は確認できないことに
も注意を要する。
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ミニシンポジウム1【3】
Riata, Durata ICDリードとQuick Flex /Quick Site LVリード
における導線露出と電気的異常の問題について
○高木 雅彦
大阪市立大学大学院医学研究科 循環器内科学
本来、リードの絶縁被覆内におさまっているべき導線が、摩擦等により被覆外に出ている状態が X 線写真
または透視撮影にて確認される導線露出が Riata ICD リードにおいて確認され、その頻度が 20-25% と報告
されてきている。現在のところ、リードの電気的異常との関連は明らかではなく、導線露出の有無にかかわ
らずリードの電気的異常がなければ、リードの予防的交換は推奨されていないが、導線露出リードの長期成
績は不明であり、導線露出及び視認できるリード異常の発生率と電気的機能不全に進展するリスクの評価を
目的とした前向き登録研究が現在進行中である。この前向き登録研究には Riata ICD リードのみでなく、そ
の後導線露出が確認された Quick Flex/Quick Site LV リードや Optim 絶縁被覆素材を追加した Durata ICD
リード使用症例も登録されている。このセッションでは前向き登録研究の中間成績と、導線露出リードに関
する諸問題 ( リード抜去や血栓形成など ) についての報告を提示し、現時点での導線露出リードに対するマ
ネージメントについて考えたい。
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ミニシンポジウム1【4】
経静脈デバイスリード損傷の機序と対策
○中島 博
一般財団法人 日本デバイス治療研究所
経静脈デバイスリードの耐久性は過小評価されているかもしれない。その理由は度重なるリコールであ
る。リードはデバイスとは異なり容易に植えこまれた体内から除去できない。従って、ひとたび製品リコー
ルとなれば、その影響は甚大となってしまう。これがデバイスリード全体の印象を悪化させてきたことは間
違いがないであろう。さらに、ドイツのKleemannが2007年に報告したICDリードの10年間の観察結果であ
る。5 年で 85% の生存率という衝撃的な数値はその後の多くの報告を葬り去るに余りあった。2010 年に S-
ICDを世に広く紹介したBardyの論文では、TV-ICDの問題点にリードの耐久性をあげているが、Kleemann
の論文が根拠となっている。
さて、過去のリコールに学ぶのはリードエンジニアのみであろうか? 1992 年に発覚した Telectronics
Accufix-J の不具合は構造に問題があった。不具合による死亡のみならずリード抜去でも死亡症例が出たこ
のリードは、リードにひとたびリコールされるような不具合が生じた場合には、それを容易に回復できない
ことを示した。Subclavicular crash syndrome が頻発した Medtronic 4012 から我々が学んだことは、穿刺
を胸郭外で行うことであり、また、リード保護の観点では穿刺法は静脈切開法に劣ることであった。しかし、
今世紀に入って続けさまに経験した ICD リードのリコールから我々は何を学んだのであろうか。Medtronic
Sprint Fidelis のリコールは Conductor の素材に問題があったと結論づけられたが、Medtronic はその後に
新しいリードを開発していない。一方の St. Jude Medical Riataはその特異な導線露出という現象が電気的
異常に関与するのかどうかに多くの議論があるが、問題なのは根本的な不具合が起こるメカニズムが説明さ
れていない事である。2015 年に報告された Kramer 研究では、Riata と構造的に酷似する Durata の生存率
は、Boston Endtak Reliance や Medtronic Sprint Quattro と同等であるとされている。しかし、単純に被
覆の最外側を Sprint Quattro がポリウレタンで覆っているように Optim で被覆するだけでそれほど大きな
差異が出るのであろうか。リコールはされていないが、Riata 以外にも導線露出が起こることを示したのは
Biotronik Linoxである。最初の報告は2012年で、Riataのリコールに遅れることわずか1年であった。さら
に 2014 年には数多くの症例報告やレジストリーの後ろ向き研究が発表されているが、この点について
Biotronikからの公式な発表はない。
果たして、リードの耐久性はどのように考えれば良いのであろうか。リコールリードの全てに問題が生じ
るわけではなく、Sprint FidelisやRiataを植えこまれていても、未だに何ら問題が生じていない症例がある。
これらの症例にはどのような特徴があるのであろうか? Manufacture がリコールリードで手にするのは抜
去されたりしたリードそのものであり、どのように植えこまれていたかまでは収集されていない。
今回の発表ので、リードの構造と特徴のみならず植え込み方法がどのようにリードの耐久性を左右する可
能性があるかを考えてみたい。
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ミニシンポジウム2【1】
how to perform trans-femoral approach
○Dr. Chan Chin Pang, Gary
Division of Cardiology, Prince of Wales Hospital, Hong Kong
Percutaneous transvenous lead extraction is high-risk procedure. In order to achieve high
successful rate and low complication rate, primary operator must be capable of performing lead
extraction procedure and they must be familiar with various extraction techniques. Transfemoral
approach for lead extraction has been used mostly as a bail out procedure for a failed superior
approach. However, it is now popular to start femoral approach as primary approach. In this
presentation, we would like to focus on how to perform lead extraction by femoral approach and we
will review the latest clinical evidence of femoral apporach.
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ミニシンポジウム2【2】
レーザーシステムを用いたリード抜去術
○岡村 英夫、和田 暢、草野 研吾
国立循環器病研究センター 心臓血管内科
日本にレーザーを用いたリード抜去が導入されたのが 2010 年である。レーザーリード抜去の有効性は多
くの研究で証明されており、レーザーシステムの早期導入が待ち望まれていた。レーザーの導入を契機に経
静脈リード抜去という新しい分野が開拓され、さらにはリードマネージメントの重要性が論じられるように
なった。
経静脈リード抜去のポイントとして、①進めるシース先端の傾斜の向き及びリードとシースの同軸性、
②リードを牽引する力とシースを進める押す力のバランス、③リード先端を外す際のカウンタートラク
ション、が挙げられる。これらのポイントはレーザー抜去に限ったものではないが、レーザーシースはこれ
らのポイントを容易に体得できるため、経静脈リード抜去を初めて行うのに適した手法であるといえよう。
レーザーシースの有効性を示した代表的な報告として PLEXES Trial と LExICON Study が挙げられる。
前者は初代のレーザーシースを用いた試験で抜去成功率が 94%、後者は第二世代のレーザーシース ( 現在日
本で使用されているもの ) の成績であり抜去成功率が 96.5% とさらに向上している。特に PLEXES Trial は
レーザーシースとメカニカルシースの有効性を比較検討しておりレーザーの優位性が示されている。とくに
レーザーシースで手技時間が大きく短縮することが報告されており、効率よくリード抜去を行うことが可能
である。一方でPLEXES Trialで2.0%、LExICON Studyで1.4%のレーザー抜去に伴う重篤な合併症の発生
が報告されており、稀ではあるが発生しうる緊急事態に備えることが必要であることは言うまでもない。
有効性が多く証明されているレーザーであるが、石灰化病変には弱く、メカニカルシースに頼らざるを得
ないケースも少なくない。また、リードの被膜素材にはレーザーは影響しないがゆえに、二本のリードが交
差しているようなリード同士の癒着もレーザーシースでは剥離が困難である。こうしたレーザーの弱点を把
握し、メカニカルシースや種々のテクニックを知っておくことが重要であり、リード抜去をより安全に行い、
成功率をあげることが可能となる。レーザーを用いる基本的なリード抜去法について解説する。
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教育セッション【1】
リード抜去時のスクリューリード、タインドリードの違い
○永島 道雄
小倉記念病院 循環器科
エキシマレーザーシースが本邦で使用可能となり 7 年が経過した。デバイス留置患者が増加する一方で、
リード抜去が必要となる患者は増加してきており、様々なツールが使用可能となってきている。
リード抜去前のリスク評価では、患者の内服状況 (抗凝固療法、抗血小板療法、ステロイド治療など)、基
礎疾患 ( 糖尿病、透析、心臓外科手術歴など )、年齢、留置期間などの患者要因とデバイスの種類 (CRT-D、
ICD、PM) やリードの種類 (ICDリード、PMリード、リードの太さ、構造など) といったデバイス要因を評
価することが安全にリード抜去を行ううえで重要である。
今回このセッションではリードの構造、とりわけ先端チップの構造、スクリューリードとタインドリード
の違いがリード抜去時にどのような影響を及ぼすのかを検討したい。
一般的な構造として、スクリューリードは先端チップを格納できるものと格納できないものがあるが、総
じてタインドリードと比較するとリード抜去は容易と考えられている。それは、タインドリードの特性であ
る先端が、心筋へ碇状に引っかかる構造のためと考えられる。リード先端の面積も多くなることで、組織と
癒着する面積が多くなってしまい抜けにくくなる。
リード先端の癒着が非常に強いために、多くの組織を牽引することになるため、タインドリードのほうが
抜けにくく、エキシマレーザーシースなどのリード抜去用シースを用いて抜去を行う際に、リード先端が癒
着した組織があるためにシースの中に格納できないことがよく経験される。
そのため、リード抜去を行う前にはリード先端の構造についてよく把握しておくことが重要となる。スク
リューリードであっても、スクリューが格納できない場合には、格納できる場合に比べると抜去が困難とな
ることがある。年数が経過したリードではスクリューリードが格納できないことも経験するため、格納でき
ない場合は癒着が強く注意が必要となる。
タインドリード、スクリューリードそれぞれの症例を提示しながら、どのように安全にリード抜去を行っ
ていくべきか検討したい。
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教育セッション【2】
リード抜去における各々のペースメーカーリードの特徴と注意点
○山田 貴之
高石藤井心臓血管病院
本邦で 2010 年 7 月に経皮的リード抜去術が保険償還となり早 6 年余りが経過し、施行可能施設の増加と共
に徐々に手技、適応などが全国的に広まりつつある。欧米に遅れること約10年の国内導入ではあるが、本邦
導入初期の合併症も含めた手技成績は欧米に比較しても遜色のない結果であり、japanese extractor の質は
決して低くないと考えても良いと推察される。経皮的リード抜去術の成功は、まずは確実なプラットフォー
ムの作成、同軸性の維持、そしてtraction controlが主なfactorであるが、一方で、留意すべきポイントとの
ひとつとして、抜去対象となるリードの種類があげられ、リードの種類によっては抜去し易いものから抜去
困難になりやすいリードまで様々である。もちろんリードの植え込まれている年数や、全身状態、抜去の必
要性なども考慮すべきではあるが、その様々なリードが植え込まれている現状において、全ての種類のリー
ドの抜去を経験することは経験年数と経験症例数の蓄積を必要とせざるを得ない。現時点では各施設のリー
ド抜去症例経験数があまり多くない施設もあり、今後のリード抜去手技のさらなる blush up のためにも、
femoral approachを含めた基本的な経皮的リード抜去術の技術もさることながら、各リードの抜去時の特徴
は知っておいて損はないと考えられる。今回は演者の経験の中から特徴的なリードについて抜去時の留意点
をいくつか述べてみたい。
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教育セッション【3】
リード抜去時のペースメーカリード、ICDリードの違い
○関口 幸夫
筑波大学医学医療系 循環器内科
ペースメーカならびに植込み型除細動器 (Implantable cardioverter-defibrillator; ICD) 等によるデバイ
ス治療は世界中に普及し患者の多くの生命を救っている。しかしながら、その一方で、この治療の重篤な合
併症であるデバイス感染が約1−2%の頻度で報告されており、我々が最も注意すべき合併症のひとつといえ
るであろう。
このデバイス感染に対する治療の基本は、システム全抜去である。ジェネレータのみならず植え込まれた
リードを全て抜去することで感染を制御できるのだが、システム全抜去時に最も留意すべき点となるのが
リードと血管壁を含めた組織との癒着である。リードを無理に牽引することで血管損傷もしくは心筋損傷が
生じ、程度によっては生命を左右する出血を来す可能性がある。現在、抜去が行われているリードとはペー
スメーカリードと ICD リードであるが、それではこの 2 つのタイプのリードにおいてリード抜去時の成功率
や合併症発生率に違いはあるのだろうか。ICD リードにはショックコイルが 1 カ所もしくは 2 カ所に付随し
ており、このショックコイル部分に強い組織増生が生じることから、これを有さないペースメーカリードに
比べて通常抜去は困難と考えられる。実際の手技を経験するとたしかにその通りなのであるが、各国から報
告された論文でのデータや当院での抜去成績を見ると、これらの 2 つのタイプのリード抜去成功率にほとん
ど差はみられず、ともに97−100%であることがわかる。
このセッションでは、これらのリードを抜去するうえで、より安全にかつ高い成功率で手技を行うために
はどのような術前準備を行い、どのような点に注意して手技を進めていくべきか、リード構造やリード特性
ならびにシステムの使い方などの観点から自験例をふまえて考えてみたい。
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ランチョンセミナー
リード抜去術に必要な心臓・血管の解剖
○井川 修
日本医科大学多摩永山病院 内科・循環器内科
リード留置がなされた剖検心を見ると、思いもよらない様々な様相を呈していることに驚く。しかしなが
ら、その様相を呈するに至った過程は偶然ではなく、必ず、ロジックが存在するものと考える。左/右腋窩静
脈・鎖骨下静脈・腕頭静脈−上大静脈、右房・右室および冠状静脈洞−大心静脈系とその分枝にリードが挿
入・留置された場合、その様相を呈するに至った因子として①患者の病態、②術者の技術、③挿入リードの
種類 (機材の特性) そして④心臓構造特性などが挙げられる。
確かに、挿入・留置されたリードは、そのチップとシャフトが心臓・血管壁の内膜面との間で癒着が生じ
る。その癒着に好発部位があるとは言え、様々な部位で癒着は生じており、その長さ、程度、周囲組織の巻
き込みの様相は症例ごとに大きな差がある。そればかりではなくよく知られている通りリードとリード間の
癒着も存在する。
このような留置状態のペースメーカリードを抜去しようとする場合、予想される問題点・有利な点は、こ
の様相が規定された理由を辿ればよいものと考える。本セッションでは、実際の癒着様式よりリード抜去の
問題点と今後の展望を解剖学的に考えたい。
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Case Conference 1【O-01】
約30年前に留置したペースメーカーリードにより
重症三尖弁閉鎖不全症を呈した一例
○渡辺 敬太1)、永田 恭敏1)、宮﨑 亮一1)、佐川 雄一朗1)、関川 雅裕1)、
三輪 尚之1)、野里 寿史1)、宮本 貴庸1)、平尾 見三2)
1) 武蔵野赤十字病院
2) 東京医科歯科大学
循環器科
不整脈センター
症例は66歳女性。1988年 (38歳時) に有症候性の高度房室ブロックに対してペースメーカー植え込みを施
行された ( 心房リード Century Medical 社製 A030-403 4Fr, 心室リード St. Jude Medical 社製 851F 5Fr)。
その後、1994年、2000年、2007年にジェネレーター交換を施行されている。1994年のジェネレーター交換
の際には心室リードの閾値上昇を認め、心室リード (St. Jude Medical 社製 1402T/56 6.6Fr) の追加が行わ
れている。
2012 年より当院に紹介となり、ペースメーカー外来にて経過をみていたが、2015 年秋頃から食思不振を
認め、12月になると呼吸困難が出現した。心不全の診断にて外来で利尿薬治療が行われたが呼吸困難は増悪
し入院加療を行った。左心機能には問題がみられず、心不全の原因として、2 本の心室リードによる三尖弁
閉鎖不全に伴う右心不全によるものと考えられた。その後も入退院を繰り返したが、最終的には脱水、低心
拍出症候群により亡くなられた。
病理解剖を行い、上大静脈の完全閉塞や、心室リードにより三尖弁前尖が右房にめくれ上がった状態で高
度に癒着している所見を認め、これが三尖弁閉鎖不全、右心不全の原因と考えられた。
今回は剖検にて得られた病理所見をふまえ、リード抜去が可能であったか等を検討するため、報告を行う。
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Case Conference 1【O-02】
透視では確認できないシリコン被膜が残存し、
2回のリード抜去を要したデバイス感染の一例
○市堀 博俊1)、木内 邦彦1)、福沢 公二1)、小西 弘樹1)、今田 宙志1)、
兵庫 聖大1)、黒瀬 潤1)、秋田 朋己1)、末廣 英也1)、永松 裕一1)、
松本 賢亮1)、森 俊平1)、平田 健一1)、西井 達矢2)、山田 貴之3)
1) 神戸大学大学院医学研究科
内科学講座 循環器内科学分野
放射線医学部門
3) 高石藤井心臓血管病院 循環器内科
2) 神戸大学大学院医学研究科
83歳女性。2007年に洞不全症候群に対して左前胸部にペースメーカー植え込み (心房リード:SJM1642T/
46、心室リード:SJM1642T/52) を施行。2010 年に心室リード断線のため心室リードの追加 (SJM1646T/
52) とジェネレーター交換、2015年に2回目のジェネレーター交換を施行している。2回目の交換4ヵ月後に
デバイス感染のため全システム抜去を試みた。エントリーサイトからレーザーシースを用いて心房リードは
抜去に成功したが、心室リードは破損した。下大静脈よりスネアを用いて、透視上先端チップは残存したが、
破損した心室リードも抜去することができた。術後の心エコー図で右房から下大静脈に浮遊する線状構造物
が確認された。単純 CT 画像では、右室心尖部から右房に線状につづく高吸収像が認められた。三次元構築
したところ、高吸収像は先端チップから連続し右房内で旋回、下大静脈に落ち込んであり、被膜残存の可能
性が示唆された。後日、下大静脈アプローチで抜去を試み、先端チップの一部から全長 21cm のリード被膜
を抜去することができた。
留置年数の長いリードは、抜去の際にリード破損を経験する。リード被膜は透視上確認できないため見落
とす可能性があり、抜去されたリードの形状観察ならびに心エコー図での心内遺残物確認の重要性を認識さ
せられた一例を経験したのでここに報告する。
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Case Conference 1【O-03】
感染ペースメーカー抜去後、Venoplastyを行い
再植え込みを行った一例
○千葉 卓、仲村 健太郎、山下 慶子、名護 元志、川島 朋之、宮城 直人、
島尻 正紀、上原 裕規
浦添総合病院
ペースメーカー感染は致命的となる可能性が低くない重篤な疾患であり、全抜去が必要である。抜去の対
象となるデバイスが複数箇所にある事が稀ではなく、再植込み時の問題となることも少なくない。我々はデ
バイス抜去後、再植込み時に鎖骨下静脈完全閉塞を認め、venoplastyが必要であった症例を経験した。
症例は 80 代男性。2005 年完全房室ブロックに対し左鎖骨下静脈アプローチにて VDD ペースメーカー植え
込み施行された。2015年6月リード不全あり。左前胸部のジェネレーター抜去及び、右鎖骨下静脈よりVDD
ペースメーカー植え込み施行された。同年 10 月ポケット感染あり。11 月敗血症となったため、ペースメー
カー抜去目的に当院へ転院となった。同年11月両側の全システム抜去と右前胸部ポケットのデブリードメン
トを行った。その際に施行した左上肢末梢静脈造影では左腕頭静脈は完全閉塞していた。右前胸部のポケッ
ト感染部の創傷治癒が遅延したため、VCMの投与は8週に及んだ。2016年1月ペースメーカー再植え込みを
試みたが、その際の左腕頭静脈の完全閉塞部は抜去時に比し延長していた。左尺側皮静脈アプローチにて
vanoplastyを行った後、左鎖骨下静脈アプローチにてVDDペースメーカー植え込み施行した。
現在、本邦ではリードレスペースメーカーが使用できないため、デバイス感染抜去後の再植え込みアプ
ローチが問題となることが少なくない。venoplastyがその一助となることもあるため、手技の詳細を含め報
告する。
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Case Conference 1【O-04】
ニードル・アイ・スネアを用いたリード把持でのひと工夫;
"Spaghetti twisting" technique
○伊澤 毅1)、本多 卓1)、大友 達志1)、山谷 一広2)、山田 貴之3)
1) 仙台厚生病院
循環器科
心臓血管外科
3) 高石藤井心臓血管病院 循環器内科
2) 仙台厚生病院
ニードル・アイ・スネアは大腿静脈アプローチにおいて用いられるデバイスである。今回は、右房内で
リードが把持できなかった際、スネアを上大静脈内へ進めそこで回転させることで容易に把持できた症例を
報告する。
89歳女性。12年前に洞不全に対し左鎖骨下静脈よりペースメーカー留置された。心房、心室ともタインド
リードであった ( 心室は Bipolar Membrane EX 1474 T, Pacesetter 心室は Bipolar Membrane II 1452 T,
Pacesetter)。1 年前にポケット感染を発症。単純牽引で抜去を試みるも不成功。この際はデブリードメンと
リード短切が行われた。来院 2 週間前から、左前胸部のポケットから排膿があった。血液培養陰性であった
が創培養から Escherichia coli. が陽性であった。経皮的リード抜去が施行された。デブリードメンすると、
心室リードは3 cmほど遠位端が見えたため、レーザーシースを用いて抜去した。一方、心房リード端は鎖骨
下で、肉眼で確認できなかったため、右大腿静脈からニードル・アイ・スネア (13 mm) を使用した。数回
にわたり、右房内でニードル・アイをリードに引っ掛けようとしたができなかった。そこでニードル・アイ
を上大静脈へ慎重に進めた後、リードの傍で “ スパゲッティを絡めとる ” ように回転させたところ、容易に
リードがニードル・アイに引っかかった。Threader を伸ばしシース内に牽引したところリードの把持に成
功し牽引抜去できた。
この “Spaghetti twisting” technique は、ニードル・アイ・スネアの使用経験が少ない術者にも把持しや
すい方法と考えられた。
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Case Conference 2【O-05】
エキシマレーザーと開心術で、感染デバイス抜去術と
TOF完全修復術を施行した1例
○三好 章仁1)、西井 伸洋1)、杉山 弘恭1)、森田 宏1)、伊藤 浩1)、増田 善逸2)、
笠原 真悟2)、佐野 俊二2)
1) 岡山大学
2) 岡山大学
循環器内科
心臓血管外科
50歳男性。小児期にFallot四徴症術後。13歳時に完全房室ブロックで左前胸部に恒久的ペースメーカー植
え込み術施行。18歳時に断線にてリード追加。37歳時に外傷でデバイスが露出。リード追加後に左側腹部に
再植え込み。42歳時に左前胸部のリード留置部からの排膿あり、右前胸部にリード追加しデバイス再植え込
み。昨年11月、電池交換後から熱発、リード周囲に疣贅を疑われ当科紹介。右側リード抜去後、左側リード
の剥離中に鎖骨下静脈からの出血コントロールができず、EVT用のバルーンで止血し、鎖骨下静脈を修復し
同日の手技は終了とした。日を改めて、左側リードの抜去を開始。レーザーシースを用い抜去可能であった
が、1 本は牽引によるリードの損傷も激しく SVC までの剥離で経皮的手技は中止とし、開心術にてリード抜
去を施行した。
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Case Conference 2【O-06】
多発性疣贅付着リードを有するデバイス感染に対して、
レーザシースを用いた経静脈的リード抜去を施行した1例
○宮城 泰雄、川瀬 康裕、坂本 俊一郎、井関 陽平、前田 基博、村田 智洋、
青山 純也、芝田 匡史、森嶋 素子、栗田 二郎、佐々木 孝、石井 庸介、
師田 哲郎、新田 隆
日本医科大学付属病院 心臓血管外科
【背景】デバイス感染では疣贅付着リードが多く存在し、治療選択に難渋する場合が多い。今回、多発性疣
贅を有するデバイス感染症例を経験したので報告する。また、当科の治療経験を踏まえ、疣贅付着リードに
対する治療戦略を検討する。
【症例】61歳 男性。56歳時DCM, CHF, VTの診断にて、CRT-D植え込み術施行。61歳時、電池交換術施行
約6ヶ月後、ポケット創部離開、リードの一部露出を認めた。血液培養でStaphylococcus epidermidis (CNS)
が検出。TEE では、右房内の RV リードと CS リードの間に 33x21mm、冠静脈洞入口付近の CS リードに
10x6mm、三尖弁付近の RV リードに 20x10mm の疣贅を認めた。エキシマレーザーシース使用し経静脈的
リード抜去を施行後、後日、疣贅が残存すれば開胸手術の方針とした。全リード を経静脈的に完全抜去した。
どのリードにも疣贅付着は認めず、 ICE、TEEで心内を観察したところ疣贅に大きな変化は認めなかった。
吸引カテを用いて、残存疣贅の一部を吸引し全ての疣贅が 10mm 以下となり、手術を終了。術後 2 週間後の
TTEおよび術後1ヶ月後のTEEで疣贅は消失。術中吸引された検体の病理所見は、新鮮血栓が主体であった。
抗生剤を術後6週間継続し、血液培養陰性確認後、ICD再植え込み術を施行。1年以上の外来フォローでも感
染の再燃を認めていない。
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Case Conference 2【O-07】
左室リードが側壁領域へ留置出来ず、Middle cardiac vein経由で
心尖部領域に留置した症例
○山下 賢之介、井川 渉、大山 祐司、小野 盛男、木戸 岳彦、荏原 誠太郎、
岡部 俊孝、斎藤 重男、雨宮 妃、磯村 直栄、荒木 浩、落合 正彦
昭和大学横浜市北部病院
症例は73歳男性。
EF=16%、LVDd=64mmでQRS幅176msecの完全左脚ブロックを持つNYHA3度の慢性心不全、非持続性
心室頻拍、2型糖尿病 (HbA1c=10.9%)、慢性腎臓病 (CKD stage3b) で今回CRT-D植え込みを予定していた。
術前の単純CTでは直径2-3mm程度のlateral veinを認めていた。
冠静脈にガイドカテをエンゲージして造影するとCT通りlateral veinがあり、ワイヤリングした後、リー
ド持ち込みを行うも抵抗が強く持ち込めなかった。ワイヤがCS内で1周してバックアップを強めても同様で
あり、更に小カテを併用したがリード持ち込みが出来なかった。Venoplasty として 2.25*20mm のバルーン
で拡張し、小カテ・親カテともに deep engage して再度リード持ち込みを行うも困難であった。エクステン
ションを併用しマイクロカテーテル下にサポートワイヤへ変更し、親カテを Wide type に変更してみるも同
様の結果であった。リードを4極のストレートリードや、2極の小径サイズに変更してみるもやはり持ち込め
なかった。また、同部位でのリード閾値を測定すると >5mV といった状態であり、留置は現実的ではないと
判断しアプローチ部位を変更した。Middle cardiac veinより小カテを併用してリード持ち込みを行い、最終
的には心尖部領域ではあるがリード留置に成功した。術後 QRS 幅は 168msec で dyssynchrony も残存してい
るが、NYHAはIII→I度、レントゲンではCTRが60→48%、BNPは1070→25pg/mlと心不全状態は改善傾向
を認めている。リード留置困難症例で仕方なく心尖部領域にリード留置となってしまったが、結果としてレ
スポンダーであった症例を経験認め報告する。
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Case Conference 2【O-08】
心房リードによる心房穿孔に伴う気胸・心嚢気腫を認め、
経静脈的リード抜去を施行した1例
○森田 純次、永島 道雄、安藤 謙吾、伊勢田 高寛、東北 翔太、
福永 真人、廣島 謙一、安藤 献児
小倉記念病院 循環器内科
【症例】80代 女性
【主訴】ふらつき
【現病歴】2015 年 X 月、ふらつきあり、ホルター心電図で精査の結果、症状に一致した洞停止を認めたため
ペースメーカー適応と判断。
【入院後経過】当科でdual chamber pacemaker植込みを施行した。リードは心房心室共にscrewリードを使
用した。術翌日の胸部レントゲンで縦隔内にairを疑う所見を認めたため胸部CT施行。結果として心房 リー
ドによる心房穿孔、それに伴う気胸と心嚢気腫を認めた。同日、緊急開胸術スタンバイ下に経静脈的リード
抜去を施行した。リード抜去術は問題なく施行となり、術後、気胸と心嚢気腫は軽快した。今回、新規に心
房リードは追加せず、single chamberとした。
【結語】心房リードによる心房穿孔に伴う、気胸・心嚢気腫を認め、経静脈的リード抜去を施行した1例を経
験した。
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Case Conference 3【O-09】
植込型補助人工心臓時代におけるリード抜去の必要性
○南口 仁1)、小津 賢太郎1)、小西 正三1)、世良 英子1)、水野 裕八1)、大谷 朋仁1)、
山口 修1)、堂前 圭太郎2)、斎藤 俊輔2)、戸田 宏一2)、澤 芳樹2)、坂田 泰史1)
1) 大阪大学大学院医学系研究科
2) 大阪大学大学院医学系研究科
循環器内科学
心臓血管外科学
【背景】植込型補助人工心臓 (VAD) は、重症心不全において心臓移植までの bridge therapy のみならず今後
は destination therapy として重要な役割を担っている。しかしながら、VAD 術後は脳合併症と並んで感染
が非常に重大な問題であり、その対応に苦慮することが多い。
【症例】61 歳男性。拡張型心筋症にて 2008 年 CRT-D 植込術後、2011 年心臓移植登録の後、BiVAD 装着術
(DuraHeart) 施行、RVADを離脱するも、その後脳梗塞・出血のイベントを認めた。2015年8月にはVADの
ドライブライン感染があり、ドライブラインの位置変更を要した。2016 年 4 月中旬から正中創下端の発赤・
疼痛を自覚、血液培養からMRSAが検出された。緊急にて切開排膿を施行、人工心臓送血管周囲に膿瘍形成
を認めた。抗生剤投与下にも MRSA 菌血症が持続したため、5 月 2 日に CRTD の全システム抜去術を施行し
た。LVリード (Medtronic社製4194/78cm) は用手牽引にて、RAリード (Medtronic社製5076/52cm) および
ICD リード (Medtronic 社製 6947/65cm) は 12Fr および 14Fr のレーザーシースを用いて全システム抜去術に
成功した。5月10日に感染した人工血管を除去するとともに植込型VADの抜去、一時的対外式BiVAD装着を
行った。その後 3 度の創部洗浄を施行し、6 月 15 日に LVAD 再装着術 (EVAHEART) を施行し、7 月 19 日に
RVADを離脱し現在に至っている。
【結語】植込型 VAD の件数は近年増加傾向であるが、VAD 装着症例の多くで、ICD・CRTD 植込みがなされ
ており、菌血症が遷延した場合には本症例のようなデバイス・VAD両システムの抜去が必要となるケースが
増えてくるものと考えられる。
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Case Conference 3【O-10】
上大静脈ステント留置後のペースメーカー感染に対して、
エキシマレーザー併用の開胸リード抜去術を施行した一例
○野副 純世1)、林田 好生2)、森重 徳継2)、久保田 徹1)、岡部 眞典1)、山本 雄祐1)
1) 済生会福岡総合病院
2) 済生会福岡総合病院
心臓血管大動脈センター 循環器内科
心臓血管大動脈センター 心臓外科
【症例】70歳、男性。
【主訴】発熱
【現病歴】39 年前に洞不全症候群に対して初回のペースメーカー植え込み術を施行された。その後リード断
線によりリードが追加となり、左側より 2 本、右側より 1 本のリードが植え込まれていた。1 年前より間欠的
に38度台の不明熱を認めるようになった。血液培養で4/6セットでグラム陽性球菌 (Staphylococcus capitis)
を認めたため、ペースメーカー感染による持続的菌血症と判断した。
15 年前に上大静脈閉塞に対して、リードを下敷きにする形で上大静脈ステントが 2 枚重ねで留置されてい
たため、経皮的リード抜去は断念し、開胸下での外科的抜去、もしくは抗生剤での保存的治療を検討した。
High risk 症例と考えられたが、患者の強い希望によりエキシマレーザー併用の開胸リード抜去を行う方針
となった。
開胸後に、レーザーシース、メカニカルシースを用いて、上大静脈ステント上縁まで、リードを剥離した。
その後に人工心肺を確立させ、右房から上大静脈にかけて切開を加え、上大静脈のステント、計 3 本のペー
スメーカーリード抜去を行った。右室心外膜リードを逢着し、術後16日に左前胸部に永久ペースメーカー植
え込み術を行った。
今回、上大静脈ステント留置後のペースメーカー感染を経験した。非常に稀な症例であり、開胸下での
レーザーシースを併用したhybrid治療が功を奏したため報告する。
31
Case Conference 3【O-11】
ICD感染に対する開胸リード抜去術後に胸骨骨髄炎を合併した1例
○岡田 修一1)、金子 達夫1)、内藤 滋人2)、江連 雅彦1)、長谷川 豊1)、
熊谷 浩司2)、山田 靖之1)、菅井 義尚2)、小此木 修一1)、中村 紘規2)、
佐々木 健人2)、森下 寛之1)、南 健太郎2)、桐谷 ゆりこ1)
1) 群馬県立心臓血管センター
2) 群馬県立心臓血管センター
心臓血管外科
循環器内科
症例は68歳男性.DCM, Vfのため10年前にICD植え込みを施行,4年前にICD感染でgenerator摘出と対側
からの再植え込みを行ったが,2 年前から遺残リードの感染が再燃し,ドレナージ・デブリドマンを繰り返
していた.今回,全システムの摘出目的で入院,当時当院ではエキシマレーザーリード抜去は導入されてい
なかった。体外循環下に右房を切開し心内のリードを切断・抜去,閉胸後に鎖骨下の generator と感染リー
ドを摘出,デブリドマンを行い,閉創した.培養でリードから MRSE が検出された.術後 16病日 (POD) に
正中創より排膿,培養でMRSEを検出,胸骨骨髄炎の診断で創を開放,洗浄とヨードホルムガーゼによる処
置を開始した.ある程度創の清浄化が得られた後,32PODに胸骨ワイヤーを抜去し,NPWTを開始,35POD
よりATS-VACシステムを導入した.2-3日毎に創の洗浄・システムの交換を行い,徐々に創の縮小,肉芽形
成が進み,64POD に創を縫合,76POD に抜糸,90POD に軽快退院となった.局所陰圧閉鎖療法 (NPWT)
は創傷を密封し,吸引装置を使って創に陰圧をかけることにより,創の保護・肉芽形成の促進・滲出液と感
染性老廃物の除去を図り,創傷治癒を促進する治療法である.自験例にNPWT専用に開発されたシステムを
を用い良好な経過を得ることができた。
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Case Conference 3【O-12】
エキシマレーザーによるリード抜去後、
リード挿入部に動静脈瘻を生じた一例
○和田 暢、岡村 英夫、草野 研吾
国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門 不整脈科
【背景】リード抜去の稀な合併症として動静脈瘻が報告されているが、発生部位は様々である。
【症例】59 歳男性。拡張型心筋症による心機能低下、心室細動に対して 44 歳時に ICD 植込みが行われた。
50歳時にCRT-Dに変更され、LVAD装着下に心移植待機中であった。電池消耗のためジェネレーター交換を
施行されたが、術後25日目に発熱にて緊急入院となった。コアグラーゼ陰性ブドウ球菌の菌血症に対し抗生
剤加療後、経過を見られていたが、術後 149 日目にリードが露出したため、リード抜去を施行した。ペーシ
ングリード2本とICDリード2本をそれぞれ12、16Frレーザーシースを用いて抜去した。ICDリードの内1本
を抜去した際、シース挿入部からの出血が多く、赤血球輸血 6 単位を要した。縫合止血して創は一次閉鎖し
た。創の治癒は良好であったが、術後18日目に腫脹を認め、シャント音が聴取された。造影CTを行うとシー
ス挿入部に沿って左鎖骨下静脈に連なる最大径4cmの仮性瘤が認められた。翌日、流入血管に対するコイル
塞栓術を行い、左胸肩峰動脈の分枝からの血流を閉鎖することに成功した。瘤の圧迫を継続したところ徐々
に縮小傾向を認め、塞栓術から34日後のCTでは瘤は消失していた。
【結語】リード抜去の際に、シース挿入部からの動脈性出血が認められた場合、動静脈瘻を疑う必要がある。
致命的になりうる合併症であり早期発見、対応が望まれる。
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Case Conference 3【O-13】
不全リードの抜去に難渋したRIATA®の一例
○飛田 一樹、森山 典晃、宍戸 晃基、村上 正人、齋藤 滋
湘南鎌倉総合病院 循環器科
症例は60歳代女性。既往歴は高血圧症、糖尿病、脂質異常症、甲状腺腫瘍。
9年前に心肺停止蘇生後の精査目的にて当科入院。心臓電気生理学的検査にて、RVOT3連刺激にて心室頻
拍が誘発されたため、dual chamber ICD移植術を施行した。PLSVCのため、右側から留置されている。経
過中に心房リードのペーシング閾値が上昇し、心室リード (RIATA®) も導線の露出を認めたため、抜去およ
び再移植の方針とした。
皮下ポケットを開放してリードを外すと、植え込み時に胸郭内穿刺となっていたため、肩鎖靱帯でスタイ
レットルーメンが圧排により損傷しており、心房・心室リード共にロッキングスタイレットを進めることが
出来なかった。そのため、導線とリードの外周のみを固定し、抜去に臨んだ。しかし、肩鎖靱帯をレーザー
シースが通過せず、様々なメカニカルシースを使用し、心房リードの抜去には成功した。心室リードは導線
の露出部分が太く、メカニカルシースも通過しなかったため、大口径のレーザーシースが必要と判断した。
当初と同じく肩鎖靱帯をレーザーシースが通過しなかったが、腕を挙上することによる角度の変化にて、
14Frのレーザーシースが通過し、抜去に成功した。引き続きICD移植を行い、手技を終了している。
不全リードの抜去の際に、スタイレットルーメンが破損していると、抜去に難渋する。胸郭外穿刺の重要
性も含め、症例を紹介する。
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Case Conference 3【O-14】
Candidaによるリード感染に対し開胸下に抜去を行った2例
○古荘 浩司1)、五天 千明1)、加藤 寛城2)、飯野 賢治2)、金森 尚美1)、
徳久 英樹1)、加藤 武史1)、竹村 博文2)、高村 雅之1)
1) 金沢大学附属病院
2) 金沢大学附属病院
循環器内科
心臓血管外科
症例1は70歳代女性。心筋症・房室ブロックに対して、15年前に左側ペースメーカ植込み、2年前に皮下ト
ンネルを用いて右側に CRTD アップグレード施行後。症例 2 は 50 歳代男性。冠動脈バイパス術後、維持透析
中で、7年前に完全房室ブロックに対して右側にペースメーカが植込み後。
いずれも 2 か月ほど前から不定形熱を認め心エコーを施行したところ、三尖弁を行き来する 5cm 程度の巨
大疣贅を認めた。経静脈アプローチによる疣贅摘出は困難であり、開胸術を施行した。症例 1 では左鎖骨下
静脈部の癒着をエキシマレーザーシースを用いて剥離した後に人工心肺を開始したが、上大静脈部の閉塞の
ため脱血管の挿入が困難で難渋した。リードの全抜去後、心外膜リードを用いて上腹部に CRTP 植込みを
行った。症例2では全てのリードを外科的に抜去し、心外膜リードを用いてDDDペースメーカを上腹部に植
込んだ。いずれも血液培養から Candida Parapsilosis が検出された。2 症例共に、当初キャンディン系で開
始した抗真菌薬をアムホテリシン Bに変更。術後 1か月でアズール系への step down 治療を行った。症例 2で
は疣贅による肺塞栓症・空洞形成の合併をきたしており、長期にアズール系内服を継続し良好な経過が得ら
れた。
いずれもCandida Parapsilosisというまれな原因菌により三尖弁付近に巨大な疣贅を形成したこと、上大
静脈が閉塞し側副血行路が発達していたこと、著明な血小板減少を来したことなど多くの共通点を有する貴
重な2症例であった。
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Rapid firing【RF-01】
デバイス抜去時に剥離組織による肺塞栓症をきたした一例
○長谷川 智明、関口 幸夫、野上 昭彦、青沼 和隆
筑波大学附属病院 循環器内科
70歳男性、30年前に洞不全症候群に対して左側前胸部にVVIペースメーカの植込みが行なわれ、22年前に
DDD ペースメーカに up grade された。11 年前に心室リードの閾値上昇があり、右側前胸部から VVI ペース
メーカの植込みが追加された。3 年前、左側残存リード周囲の発赤、腫脹ありペースメーカ植込み後感染症
の診断で左側リードの短切が行われた。入院 1 月前から左側前胸部の疼痛が出現、1 週間前から発赤を認め、
デバイス感染症と診断されシステム抜去目的に当院転院となった。全身麻酔下にリード抜去術を施行、レー
ザーシース、メカニカルシース、スネアカテーテルを用いて左側から留置された心房・心室リードと右側か
らの心室リード抜去を行った。左側心室リードを抜去する際に上大静脈との間に強い石灰化を認め、メカニ
カルシースを用いて剥離を行ったが、一部の石灰化組織もリードとともに剥離され、抜去直後に心房内で浮
遊しているのが確認された。塞栓症の原因になる可能性があったため、右大腿静脈からエンスネアを用いて
除去を試みたが、浮遊組織が血流によって肺動脈へ消失した。バイタルサインに変化を認めなかったため、
覚醒後に抜管し帰室とした。覚醒後に胸痛や呼吸苦などの自覚症状を認めなかったものの、胸部 CT では右
肺動脈内に石灰化を伴う塞栓が確認された。今回は致命的とはならなかったものの、状況によって緊急手術
が必要となる可能性もあり、長期留置されたリードや高度の石灰化を伴う癒着組織の存在が疑われる場合に
は注意して治療を行う必要があると考えられた。
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Rapid firing【RF-02】
疣贅か血栓か?リード感染に対する経静脈的リード抜去後に
遺残した可動性構造物の3D-TEE所見
○伊澤 毅1)、本多 卓1)、大友 達志1)、山谷 一広2)、山田 貴之3)
1) 仙台厚生病院
循環器科
心臓血管外科
3) 高石藤井心臓血管病院 循環器内科
2) 仙台厚生病院
リード感染症に対する経静脈的リード抜去後、8 − 14% の患者においてリードの走行に沿ってシースのよ
うな線維性構造物が遺残することが報告され、“Ghosts” と称されている。また、この “Ghosts” は感染源に
なり得るとも言われている。我々は、リード抜去術後の残存する可動性構造物を 3D-TEE で観察し、か
つ、“Ghosts” よりは血栓であった可能性が高いと考えられた症例を経験したので動画を含め提示する。
症例は46歳男性。陳旧性心筋梗塞に合併した心室細動に対するICDリード埋込み後 (Riata ST Optim, St.
Jude Medical) であったが、電池交換後にリード感染を合併した。術前の経胸壁心エコーでは、リードに
沿って 2 つの高エコー輝度病変の塊が観察された (13.4 x 17.6 mm と 11.6 x 18.2 mm)。レーザーシースを
用いリード全抜去に成功したが、抜去直後の TEE では右房内に可動性構造物が残存していた。6 週間後の抗
菌剤終了後に3D-TEEを施行した。上大静脈から三尖弁に連なる “昆布” のような形態で、依然として可動性
構造物が残存していた。エコー所見、炎症反応陰性、血液培養陰性より、血栓の可能性が否定できないと考
えアピキサバンを導入したところ、4 週間でこの可動性構造物は消退した。この経過中に肺塞栓の合併は無
かった。
一見、抜去後の “Ghosts” と思われるケースであっても血栓の可能性は否定できない。明らかな敗血症の
所見がなければ、NOACを用いた抗凝固療法は、外科手術による摘出を行う前に試す治療選択肢になり得る
ことが示唆された。
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Rapid firing【RF-03】
ICD交換後にポケット感染を生じたためデバイス・リード抜去行い,
皮下植込み型除細動器植込み術を施行した一例
○浅野 奏、加藤 律史、池田 礼史、後藤 貢士、田中 沙綾香、森 仁、
志貴 祐一郎、西村 重敬、岩永 史郎、村松 俊裕、松本 万夫
埼玉医科大学国際医療センター 心臓内科・不整脈科
症例は 69 歳女性.62 歳時に冠攣縮性狭心症に伴う持続性心室頻拍に対し二次予防目的で植込み型除細動
器 (TV-ICD) 植込み術を他院で施行された.66 歳時に電池消耗に伴い本体交換を他院で施行し約 3 年後の受
診 2 週間前から左前胸部のデバイス植え込み部に発赤と排膿が見られポケット感染の診断で受診,緊急入院
となった.抗菌薬投与を行い第5病日にICD及びリード抜去術を行った.術後は感染の増悪なく経過した.
二次予防での ICD 植込みであるが,植込み後から作動の記録はなかった.再度の TV-ICD 植え込みは感染
リスクが高くなる可能性を考慮し,ICD適応評価のため心臓電気生理学的検査を検討した.しかし本人から
ICD植込みの希望があり,皮下植え込み型除細動器 (S-ICD) が適切と考え、スクリーニングを行った.いず
れの Vector も適応は境界型であったが植込み術を施行したところデバイス心電図ではいずれの誘導でも T 波
オーバーセンスは認められなかった.植込み後6ヶ月時点でT波オーバーセンスや除細動器の作動はなく経過
している.
【結語】感染によるICD抜去後,S-ICD植込み術を施行した症例を経験した.現状のS-ICDスクリーニングで
は境界例においても,感染ハイリスク例ではS-ICD考慮可能と思われる.
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Rapid firing【RF-04】
心房リード抜去時に心タンポナーデとなり開心術で
回避したペースメーカー感染の1例
○古山 准二郎、劔 卓夫、梶原 正貴、岡松 秀治、田中 靖章、奥村 謙、坂本 知浩
済生会熊本病院 心臓血管センター
症例85歳男性、2011年7月完全房室ブロックに対して近医でペースメーカー植込み (心房タインドリード;
SJM1642T、心室スクリューインリード;SJM2088T) を受けたが、2016 年 4 月ペースメーカーポケット部
の自壊、排膿を認め全システム抜去目的にて当科紹介。2016 年 5 月全身麻酔 + 心臓外科立ち会い下にリード
抜去を開始。心室リードはスクリューが格納できたため、単純牽引で抜去が可能であった。心房リードは
12Fr エキシマレーザーシースで抜去を試みた。リード先端までは容易に剥離できたが、distal tip が右心耳
内に強く固着しカウンタートラクションで外すことができず、distal tipとproximal tip間でリードがブレイ
クしそうになった。14Fr レーザーシースへサイズアップしてカウンタートラクションにより抜去できたが
数分で心タンポナーデとなりそのまま開胸へ移行した。血圧60mmHg程度が残されている内の約4分で心臓
に達し、体外循環を用いることなく、右心耳の数 mm の穿孔部を指で押さえて止血しながら、単純縫合閉鎖
で術を終えた。以後経過良好となり2016年8月左前胸部よりペースメーカー植込みを行った。右心耳は開心
術でもアプローチしやすい場所であるため、速やかな対応が可能であったが、心房リード先端がカウンター
トラクションでもはずれない場合のストラテジーに関して検討を要した症例であった。
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Rapid firing【RF-05】
27年前に留置したリードが経静脈的に抜去できず、
開胸・開心術に至った1例
○杉山 弘恭1)、森本 芳正1)、三好 章仁1)、川田 哲史1)、橘 元見1)、
渡邊 敦之1)、森田 宏1)、西井 伸洋1) 増田 善逸2)
1) 岡山大学
2) 岡山大学
循環器内科
心臓血管外科
症例は 42 歳男性。27 年前 ( 当時 15 歳時 ) に房室ブロック (Mobitz II 型 )・SSS にてペースメーカ植込み術
(DDD モード ) を右前胸部に施行された。翌年にペースメーカ感染を認めたため、左前胸部 ( 大胸筋下 ) に
ペースメーカ再植込みされた。その後は、16年前に、1度、本体交換を経ている。5年前より通院が途絶えて
いた。半年前より、リードのみの右前胸部に瘻孔および同部位からの排膿を認めるようになり、局所対応さ
れていたが、改善が得られないため、デバイス抜去目的に当院紹介となり、デバイス抜去術を行うことと
なった。
全身麻酔下に施行している。右側のA lead, V leadともにEZでロック、左側のV leadもEZでロック。左側
V leadから剥離開始するも、刺入部からエキシマレーザー 12Fで剥離できず。エキシマレーザー 14Fまで使
用したが、無名静脈の石灰化の強いところを通過できず。すべての種類のメカニカルシースの内筒、外筒を
用いるも石灰化領域を通過せず断念。右側の A lead, V lead, ともに エキシマレーザー 12F で剥離を開始し
たが、SVC上部までしか剥離できず、メカニカルシースの使用にてA leadも途中でブレイクした。そのため、
開胸、開心下にデバイス抜去を施行した。抜去後のCTでは、無名静脈部に強い石灰化が認められた。
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Rapid firing【RF-06】
リード抜去後ポケット内遺残物で感染が再燃した一例
○伊勢田 高寛、永島 道雄、廣島 謙一、森田 純次、東北 翔太、安藤 献児
小倉記念病院
症例は 80 代男性、2006 年に他院で洞不全症候群に対して左前胸部からペースメーカー植え込み術を施行
された。2013年に皮膚菲薄化がありジェネレーターを摘出、デブリードメント行い、リード断端部のキャッ
プを被覆、埋没していたがリード断端部に一致して創の離開がありデブリードメント、洗浄を繰り返してい
た。その後同年に同側から新規ペースメーカー植え込み術を施行したが発熱あり、菌血症も認めたためリー
ド抜去が必要と判断され当院へ紹介となった。リードが断端処理されており植え込み部からは抜去が困難で
あったため下大静脈から抜去を試みたところ抜去に成功した。感染が陰性化したことを確認し対側 ( 右前胸
部 ) からペースメーカー植え込み術を施行した。その後発熱を認めた。創部に感染兆候なく心内に疣贅も認
めなかったが左の創部から浸出液を認めたため CT を施行したところリードの断端処理に用いたリード
キャップの残存を認めた。残存したキャップによる感染と考えられ入院とし心臓血管外科によるデブリード
メントを施行、その後は創部の経過は良好であり感染の状態も安定し転院となった。
リード断端処理後の下大静脈からのリード抜去後は全ての異物が除去されたことを確認する必要があっ
た一例を報告する。
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第2回リード・マネージメン ト研究会 協賛企業
第2回リード・マネージメント研究会を開催するにあたり、
多くの企業様よりご支援を賜りましたこと、ここに厚く御礼申し上げます。
第2回リード・マネージメント研究会 当番世話人 合屋
Cook Japan株式会社
セント・ジュード・メディカル株式会社
ディーブイエックス株式会社
東レ株式会社
日本メドトロニック株式会社
日本ライフライン株式会社
バイオトロニックジャパン株式会社
平和物産株式会社
ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社
(50音順)
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雅彦 第 2 回リード・マネージメント研究会
プログラム・抄録集
2016年 10月 21 日 発行
発行者 第2 回リード・マネージメント研究会
当番世話人 合屋 雅彦(東京医科歯科大学医学部附属病院 循環器内科)
印刷所 株式会社プロコムインターナショナル
〒135-0063 東京都江東区有明 3-6-11 TFT ビル東館 9 階
TEL: 03-5520-8821