8 3 自動車排気ガスの窒素酸化物 ( NOx)回収に関する研究e (1 ) 林 川喜田四郎* 一 一 一 - * R e d u c t i o no fNOxi nAutomotiveExhaustGas(1 ) S h i r o uKA WAKIT A N i i c h iHA YASHI この実験は,自動車ガソリンエンジンから排出される排気ガス公害の中でもその処理方法が最も難関であ る室素酸化物 lNOx) を一般に化学反応でよく知られている水酸化ナトリウム (NaOH) の水酸基と反応さ せることによって窒素酸化物 (NOx) の濃度 (P.P.m) を減少させることが可能であるかどうかを調べる 基礎的な実験である. エンジン諸元を示す. 一 一 昌 1 . 緒 表 1 供試用エンジン諸元 自動車が現代の生活様式の中では,必要欠くべからざ るものであることは誰れもが否定することは出来ない. しかし,近年急激な自動車保有台数の増大に伴ないい 使 気汚染の原因の一つである自動車排気ガス公害において 用 は最も注目されるものである. ニ ユ 自動車排気ガス公害として取り上げられているものに ン は,一酸化炭素 (CO) ,窒素酸化物 (NOx) 炭化水素 レ ノ (HC),鉛化合物などが上げられる.これには,直接的 J 、 することにより二次的な公害源となったりする.これら ζ 減万法の一考案として次のような基礎的な実験を行なっ 1 .4 53 , t ' 比 8.0 庄 縮 点火時期 BTDC/ r.p.m トルク 全員負荷小燃比率 とが自動車界に課せられた問題である. そこで我々は,排気ガス中の窒素酸化物 (NOx) の低 総排気量 最大 有害な排気ガスの公害源を低減する方法(技術)を,早 77x78 凹 内径×行程 最大出力 に人体に悪影響をおよ l ましたり,光化学反応などを誘発 急に開発する R(トヨペットコロナ) 式 型 ろいろな問題をひき起すのに至っている.その中でも大 このエンジンの整備方法は, 80/400rpm 6 2 / 4 5 0 0 PS/rpm 1 1 2 / 3 0 0 0 m-kg/rpm 240g/PS-h (3000rpm) トヨペットコロナ修理書 に従ってその緒元通りにセットした.なお,その時の一 ま(アイドリング時) 1 .5% であっ 酸化炭素 (CO) 濃度 v 自動車排気ガス中の窒素酸化物 (NOx) は,その約 9 5 %が一酸化窒素 (NO) といわれている.それで我々は, 二次空気を押込むことによってー酸化窒素 (NO) を二 酸化窒素 (N02) に変化させ,その後に水酸化ナトリウ ム水溶液 (NaOH) を通して窒素酸化物 (NOx) を低減 た. 次にエンジンからの排出ガスは,図 1 1乙略図を示すよ うに供試用エンジン (A) から排気ガス冷却装置 (B) へ 入る.ここで冷却水によって 1 0 0 ' C程度まで排気ガスを 冷却する. させることが可能かどうかを調べた. ここでその基本的な考え方の反応式を示すと次のよう になる. 2NO十 0 2→ 2N02 → 2NaN02 +H20 N02十 NO十 2NaOH N02十 2NaOH →N乱N03十 NaN02十日 20 上式の三段階の反応式となる. 2 . 実験装置および測定方法 実験用供誤用自動車ガソリンエンジンは,表 1にその *機械工学科 A:供試用エンジン B:排気ガス冷却装置 C:NOx反応浄化槽 D:二次空気押込口 E:NO酸化反応管 図 1 T1 :試料取出口 T2:話料取出口 T3:試料取出口 実験装置 8 4 川喜田四郎 林 ご .. その後,二次空気押込口 (D) から二次空気を送風機 によって送り込む.そして NO 酸化管 ( E ) でー酸化窒素 (NO) を二酸化窒素 (N02) に酸化させ, 間 主主凡.r.埼~ その後に水 C ) 略図を図 2 その水酸化ナトリウム水溶液浄化槽 ( 2 % 00 劇協刀 l i H Pす 伝 酸化ナトリウム水溶液槽 (NaOH) ( C ) を通す. K示す. 白紙数 tニ 佐 気 此 の 叫 え Na .O H根底 0% 0 7 5 1 1 5 0 0'ニ:/>7ニJ~且ロ ロ 宮:a 此 O A 哲~~J九訴 えれ凡.:t' 2 5 1 .t~此%' A:浄化前排気ガス B:浄化後排気ガス C:水酸化ナトリウム水溶液 D:排気管 互頁『一一一一勤。 百面 y . p .m . 図 2 NOx反応浄化槽 3 図 C ) 内は図 2の通りの構造となっている.又 浄化水槽 ( 0 皿に保った.その浄イじ水槽内の排気管 水溶液の水位を 5 品札 山ヰ有止抑 wwo 測定話料は,図 1の T1T2Taより採集を行なった. Y 制上 h 同昨 1 NMを 規 げることとEく浄化水溶液中を通過させる構造とした. 叫攻布 B 和問比刷 山主民 副幹 自 制 川 ﹃ 皿の管を 1 0 0 本使用して排気ガスの背圧を上 は,内径 4 又それぞれの点において窒素酸化物 (NOx) 濃度と温度 を測定した. 7 5 副 I S規格に定め 窒素酸化物 (NOx) の測濃度定法は, J られている中の一つの方法である「ナフチルエチレンジ アミン法」を採用した. (日本工業規格ー排ガス中の窒 , 0 素酸化物分析方法 JISK0104) 3 . 実験結果および考察 エンジン回転数をそれぞれ 5 0 0、3500r.p.m 内でいろ @エンユノムノ弘 1 2 口 哲 三 i ¥ , . t : ιo 2日 ム苦主比 いろと変丈測定を行った. (馬力も変化する〉それと同 1 o X 主主此Jお 時にそれぞれについて空気比を変えて笑験を行った. .主主此ゐ こζ で空気比とは,排気ガスの流量と二次空気の流量 の比で示したものである. . 2 5 1 )0 その窒素酸化物 (NOx) の測定結果を図 3,図 4,図 5,図 6で示す. グラフより,二次空気を入れれば窒素酸化物 (NOx) はその分だけ薄くなると考えられるので二次空気比押込 図 3sno V .p . ' J ¥ ' l . 4 どの線図も 3000r.p.mあたりで値が曲線より大幅には 量の割合で測定値を換算した数値をグラフ上の点として ずれて下の方にあるのは, 示した. 化水槽の特性によるものであると考えられる. それらの結果からみてわかるように低回転時では窒素 酸化物 (NOx) は微少の値を示している.すなわち理論 ζ の供試用エンジンおよび浄 回転数が上がれば排出ガス中の NOxの濃度も大きたE 値を示す.それは熱効率が上るからである.そしてそれ 値と同じ結果であるので測定方法には誤りがないと恩え に伴い水酸ナトリウム水溶液を通過する排出ガスも比例 る. 1500r.p.mより数値が急上昇して 3000r.p.mをこ 状態で増加するのである.それは,排出ガスの流量が増 えると,浄化槽の水溶液濃度が高い方を通過した物は勾 大している所に二次空気を加えた乙とにより,流量が一 配がゆるくなる傾向を示している. 段と増加して流速が早くなるのとは逆 1 ; : :,浄化水溶液中 8 5 自動車排気ガスの窒素酸化物 (NOx) 回収に関する研究(1) ø伝統 ι :::-)~1!E..~陶比扶 ;却場イ乙桝;1'>;::.;;:弘山哨牝 弥 氏 イ伝説仕すγ 。 N A O H多 量 産 手叫 主主凡与すイ吉本 o ,~'I 鬼駒 ~lip E J # . - 5 則自乙抑 s . H p τ * " 7 S 1 . 0 ' 0 1 ; u d u E訊 θιy y ン i I : .¥2 ロ 芝 l ' i . 凡D A ま晶比→ヤ メ ーE瓦 比千ヤ . ~ゑ比布 , ; z S I A 湯女 布右右 仰o V ム乞乱 I S " OO 山げ応比比・仲 玄 L-dtv#v-45hM @ロム へ ・ v 之釦 . " y S t l O . 2 5 " 00 昨 今 f ¥ . . . 2 > 00 5 図 図 !波穆幸広重t t;:'~K 抗削覧串え NAOH多tA ! ? ' ( . J$OO r . p . 悦 . 7 ζ の結果よりわかるように自動車用ガソリンエンジン 考 E昆此右右キ百 D 甘 . r 5 則髭畠戸 B.Hp の排気ガス中の窒素酸化物 (NOx) は水酸化ナトリウム (NaOH)の水溶液を通過させるだけでも濃度が減少す 7 釘 るζ とがわかる. 4 .結言 自動車用ガソリンエンジンの排出する室素酸化物 (N soq・ Ox) は,二次空気を押込み,ー酸化窒素 (NO) を二酸 化窒素 (N02) に変化させて,その後低温にて水酸化ナ トリウム (NaOH)水溶液中を通過させるだけでも窒素 悶V v ・ へ 一 仰 02 有有岳 山比比一此比 d'K主 主 五 ι I 円安 MEwE eロ ム 2 " 有 色 酸化物 (NOx) の濃度を低減させることが可能である. また,その排出ガスをより長時間水溶液中で反応させれ ば,もっとよい結果が可能であろう. 終りに,この実験の測定方法に対して懇切に御指導下 三回b 1 5 ' 00 書面 . j ! i DO さった愛知工業大学応用化学科の稲垣先生に深く感謝い 下R 悦 たします. B 図 での反応時聞が短くなったために生じたものと考えられ る. 次に排出ガスが水酸化ナトリウム (NaO H)濃度 ( 0 . 2 . 4 . 8%)によってそれぞれ浄化槽前後でどの程度の減 少率を示したかを表 2 1 < : :表わした . ζ の表では特に一般 的危使用範囲である 1 0 0 0r v1 5 0 0 r . p .D1の所を示した. 表 2 窒素酸化物減少率 1 1 02 1! 4引 8 日ぉ生 必 必 タ 1 0 0 0 I4 5 . 2 I5 9 . . 8 I3 7 . 1 I1 2 . 0 1 5 0 0 I38.8 I 3 9 . 9 I5 1 . 3I 9 . 0
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