2015 年度 人工知能続論 期末試験 (7 月 31 日) 以下の各設問に答えなさい.答えは解答用紙に記入しなさい. [問 1](20 点) 以下の各記述について,正しいものには○を,間違っているものには×をつけなさい. 1. 「太郎は背が高い」という文は論理的な命題である. 2. 命題論理において,論理式の真偽を,そこに現れる基本論理式の真偽から決定することを解 釈という. 3. C1 = P ∨ Q ∨ R,C2 = ¬P ∨ ¬Q のとき,C1 と C2 の融合節は R である. 4. 一階述語論理の項は,定数,変数,および項を引数とする関数から再帰的に定義される. 5. P, Q を述語記号,x を変数としたとき,P (Q(x)) は一階述語の論理式である. 6. リテラルの集合 {E1 , · · · , Ek } の単一子 σ は,その集合の任意の単一子 θ に対して,ある代 入 λ によって θ = σ ◦ λ とできるとき,最汎単一子とよばれる. 7. 正 12 面体のサイコロを投げ,どの目が出るかという試行の情報エントロピーは 2 + log 3 で ある. 8. ベイズネットワークでは,独立性仮説をとることにより,各ノードに対する条件付き確率の 集合と境界ノードの事前確率を与えることで,ネットワークにおけるすべてのノードの唯一 の結合確率分布を規定する. 9. 決定木学習アルゴリズム ID3 で,属性テストの枝の下の節に一つも事例がない (トレーニン グデータのいずれもその枝に属さない) 場合は,親の節の最大多数となるクラスをデフォル ト値としてその節に割り当てる. 10. 条件付き確率 P (A | B) = 0.6 とは,B が真であればいつでも P (A) = 0.6 であることを意味 する. 1 [問 2](40 点) [問 2-1] 以下の各論理式について,恒真,充足可能,恒偽のどれが成り立つかを答えなさい. 1. (¬q → ¬p) → (p → q) 2. (p → q) → ((¬p → q) → q) 3. (p → q) → (q → p) 4. (p → q) → (¬p → ¬q) [問 2-2] 以下の論理式を節集合に変換しなさい. 1. ∀x∀y(p(x, y) ∧ q(x, y) → r(x, y)) 2. ∀x∀y(p(x, y) → q(x, y) ∨ r(x, y)) 3. ∀x∃y(p(x, y) → q(x, y)) 4. ¬∀x∃y(p(x, y) → q(x, y)) [問 2-3] 以下の基本論理式の各集合が単一化可能かどうかを答えなさい.単一化可能であれば最大単一 化子 (mgu) を求めなさい. 1. {color(a, b), color(x, x)} 2. {r(f (x), b), r(y, z)} 3. {r(f (y), x), r(x, f (b))} 4. {r(f (y), y, x), r(x, f (a), f (v))} [問 2-4] 以下の各節集合に融合原理を適用し,この節集合が充足不能であることを示しなさい.(融合に より得られる融合木,もしくは演繹融合を示すこと) {{P, Q}, {Q, R}, {R, W }, {¬R, ¬P }, {¬W, ¬Q}, {¬Q, ¬R}} 2 [問 3](20 点) ある大学の物理学科では 1 年生に対して開講する科目の中に解析学と線形代数学がある.2 年生 に対し物理学,3 年生に対して電磁気学が開講される.長年の統計から,学生の物理学の合否は解 析学と線形代数学の合否に依存し,その依存関係は以下の各条件付き確率となっている.(以下の 確率の式で「物理」は物理学に合格したことを,また「¬ 線形」は線形代数に不合格であったこと などを表すブール型確率変数とする) P(物理 | 解析, 線形)=0.9 P(物理 | ¬ 解析, 線形)=0.4 P(物理 | 解析,¬ 線形)=0.5 P(物理 |¬ 解析,¬ 線形)=0.1 また,電磁気学の合否は物理学の合否に依存し,その関係は以下の各条件付き確率となっている. P(電磁気 | 物理)=0.7 P(電磁気 | ¬ 物理)=0.3 さらに,解析学に合格する確率は 0.7,そして,線形代数学に合格する確率は 0.8 である. [問 3-1] 以上のすべての関係をベイジアン・ネットワークとして表現しなさい. [問 3-2] 物理学に合格する確率を求めなさい. [問 3-3] ある学生が解析学と物理学には合格しているが線形代数は不合格のとき,その学生が電磁気学 に合格している確率を求めなさい. 3 [問 4](20 点) 以下の自転車の購入に関するトレーニングデータの集合から,各自転車 (x1 から x8 まで) を購 入するか否かを判別する決定木を生成する問題を考える.以下において,対数の底は 2 で,計算 を簡単にするために log2 3 = 8/5, log2 5 = 12/5 として計算しなさい.答えは規約分数として求め なさい. トレーニング データ 属 大きさ 色 性 購 入 変速機 x1 x2 x3 x4 x5 x6 x7 x8 中 銀 有 大 赤 無 大 赤 有 大 黒 有 大 銀 有 中 赤 有 大 銀 無 大 銀 無 Yes No No Yes Yes No No No [問 4-1] このトレーニングデータの集合のエントロピ (平均情報量) を求めなさい. [問 4-2] このトレーニングデータの集合に対して「大きさ」, 「色」, 「変速機」の各属性テストを適用した 場合,それぞれのテストに対するエントロピのゲイン (利得) を求めなさい. [問 4-3] このトレーニングデータに ID3 を適用した場合の決定木を求めなさい. 4
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