ことが分かります。 ヘルスツーリズムの類型 ウェルネス 医療 全人的 余暇

るのだということ。街中にある伝統的な美しい建物は、外装は当時のまま残され、内部を
リノベーションして店舗や住宅として使っていました。
借り物や真似ではなく、やはり、その「場所」に徹底的にこだわったまちづくりや観光
が大切だと改めて思いました。町の郷土歴史家のような人たちが、ウォーキング・ガイド・
ツアーを率いていて、ひとつひとつの建物の由来や歴史を紹介してくれましたが、町を誇
りに思い愛している気持ちが伝わってきて、訪問者にとっても、ここが特別な町だと感じ
させてくれました。ここに、「場所文化」の息づく現場を見たような気がしました。
観光という観点からヴィシーを見る際、スミスとプゾーのヘルスツーリズムの類型が参
考になると考えられるので、下記に示します。この分類は、日本の温泉観光地を分析し、
今後の可能性や方向性を検討する際にも利用できるのではないかと思いますが、ヴィシー
は、ウェルネスと医療の間の幅広い領域で、外からの人々を受け入れる体制を作っている
ことが分かります。
ヘルスツーリズムの類型
ウェルネス
医療
全人的
余暇的
医療ウェルネス
内科治療的
外科治療的
スピリチュアル
エステ
治療的余暇
リハビリ訓練
美容外科
ヨガ、瞑想
スポーツ
生活リハビリ
癒しと回復
歯科
ニューエイジ
気楽な楽しみ
就労ウェルネス
手術
タラソテラピー
栄養・デトックスのプログラム
ヘルスツーリズム施設の類型
遠隔地施設
スパ
僧院・宗教施設
祭り
病院・診療所
ホテルやリゾート
レジャー施設
クルーズ
(Smith, Melanie, and Puczko, Laszlo,2009, p.7 を参照し、筆者が翻訳・作成)
ところでこの表でよく出てくる「ウェルネス wellness」とはどのような概念や実践でし
ょうか。ウェブスターの辞書では、ウェルネスは、積極的に良い健康状態であることを追
及する在り方と定義されています。これは、健康で安心で満足できる生活を指す「ウェル
ビーイング well-being」と類似概念です。また、ヴィシーのスパの壁に刻まれた、科学的
根拠に基づいて追及されると謳った「Bien-être」は、英語では「well-being」のことです。
近年「未病」というコンセプトが注目を浴び、例えば神奈川県では「未病」を元にした
健康増進や生活様式の提案をしています。この「未病」も、「ウェルネス」や「ウェルビ
ーイング」ととても近い考え方なのではないかと思います。「未病」概念は、世界の動向
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