はと時計 5月号 2014年５月発行松蔭中高図書館 [email protected] 担当：尾花恋する乙女の苦しみは、今も昔も変わりません。恋多き乙女の、ひとりで過ごす秋の夜の寂しさを詠った詩「愁怨」。しゅうえんぎょげんき作者の魚玄機は、自身も多くの恋を体験した女性でした。結婚に失敗し、出家するも結局は恋を捨てられず、嫉妬から恋のライバルを殺してしまった彼女の波乱万丈の人生は、日本の文豪・森鴎外が描いています。（『森鴎外 1 992 森鴎外著筑摩収録「魚玄機」）美しい才女・魚玄機が、ふとしたことから嫉妬に狂う様子が淡々と描かれていて、ぞっとする作品。詩』加藤徹監修学研 2014 はじめての漢文 2巻漢は、漢詩初心者におすすめ！もの可愛いあの子を誘ってドライブ！と、なんだか浮かれた詩詩ゆうじょどうしゃ「有女同車」は、中国最古の詩集“詩経”に収録されたもの。今から2500年以上前に生きていた人も、私たちと同じように恋で浮かれたりしていたのか！と思うと面白い。『詩経国風』訳注恋東洋文庫せいじょ同じく、詩経の「静女」も片思い中の男の子の気持ちを詠った詩。こちらは当時実際に舞台などで歌われた可能性があるらしく、ラブソング 2500年以上前のまさに！？約束の場所で、美しいあの人をうきうき待つ男の子のそわそわする様子があらわされているのですが、さて美しいあの人は一体いつになったら現れるのやら…？『漢詩を読む①』宇野直人他著イケメン中国史に名を残すの代名詞、潘岳は六朝時代を代表する詩人でもありました。愛妻家はんがくすごく賢いのにものすごい遊び人だったり、幽霊が見えてたり？！としても有名だった彼が、先立った妻を想って詠った有とにかく濃いキャラクターの多い漢詩人たちのざっくりプ名な詩が「悼亡詩」。ロフィール紹介ページが楽しい１冊です！イラストも満載。とうぼうしいた書画の跡が残っている/君の残り香はまだ消えない」失恋って本当につら ?! 好きな人（王様で旦那様）に愛されなくなった女性の悲しみぎょくかいえんはんがく季節が移り変わっても立ち直ることができない潘岳の、失恋！虚しさや悲しみがにじみ出るような、切なく美しい作品くまプリマー新書 2014 足立幸代著ちによるもの。本書では、いろツンデレ、草食、片思い作。夕暮れの宮殿、ふわりと舞う蛍、待つ人が来ない長い夜･･･設定んな恋愛の詩を等の言葉でまさに“現代語訳”してくれていて、昔も今もの繊細さ美しさが余計に淋しさを感じさせます。最後の一句「君思変わらない恋する人々の様子がよーくわかります。イラここなんきわうこと此に何ぞ極まらん（どうしてあなたを思う気持ちがおさまるストも可愛い。はんがくでしょう）」は、書き下し文でも切なさがぐっと来ます。こちらは『漢詩を読む②』む』林田愼之助著宇野直人他著平凡社講談社現代新書 1999 2010 『漢詩をたのしでどうぞ。この詩に感銘を受けた中国を代表する世界的大詩人・李白も同タしゃちょうちなみに、イケメン詩人潘岳については昔の人のいろんなエピソードを集めた『世説新語第7 8巻』目加田誠著明治書院下 1978 新釈漢文大系に記述があり、彼がどのくらいモテていたかを知ることができます。イトルの詩を詠んでいます。謝朓版よりさらに美しく澄んだ印象でどのくらいモテたかが歴史に残るくらいのイケメンって、切ない李白版は『李白詩選』ものすごくない？松浦友久編訳岩波文庫 1997で。 2010 『論語』孔子の言行録にも、恋についての詩が出てきます。離恋愛中のカップルの男の子が、女の子に会いに行けないことを言い訳するあになんじをおもわざらしんつやこ。れとおければなりと。詩。「豈不爾思。室是遠而。（君の事は好きだけど、距離が遠すぎる）」といまだこれをおもわざるなり詠う詩に対して、孔子は「未之思也。それなんぞとおきことかこれあらんや。です。訳は、『気ままに漢詩キブン』しゃちょうを詠った「玉階怨」は、謝朓（男性です）という六朝時代の詩人の会平凡社こちらも“詩経”の中の作品で、遠距「わが家をながめては君を思い/部屋に入れば暮らした日々がよみがえる/とばりや屏風、姿はなくとも/君が書恋のつらさと言えば、い！と思うのは、昔の人も同じです。白川静 1990 ってえない言い訳だにしちゃう。詩彼女の詩を紹介する『絵で見てわかるつらい恋が多いですが、もちろんあります。楽しい恋のうた！なんだか小難しいイメージの強い漢詩を、もっと身近に感じてもらいたい！というわけで、今月は恋に関する漢詩特集。昔も今も変わらない？！恋のあれこれを漢詩で楽しもう！ってつらい書房ちくま日本文学全集』漢恋する恋は楽しい！夫何遠之有。（本当に好きなら距離なんか関係ない！）」とツッコミのコメントを残しています。『論語釈漢文大系第1巻』明治書院 1960 新吉田賢抗著ここで紹介したほかにも、いろんなシチュエーションの恋愛詩や恋愛以外の風景、人生などいろんなことに関する漢詩を図書館にある本で読むことができます。ぜひ一度見に来てみてくださいね！