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Financial Services
Architect Vol.40
2016年冬号
2016年、銀行業界を占う
〜加速するデジタル化の波 :
いかにフィンテックと向き合うか
2016年、証券業界を占う
〜原点回帰、そして差別化準備へ
2016年、保険業界を占う
〜従来の保険のその先へ
目次
1. 2016年、銀行業界を占う
〜加速するデジタル化の波 : いかにフィンテックと向き合うか
マネジング・ディレクター
宮良 浩二
2. 2016年、証券業界を占う
〜原点回帰、そして差別化準備へ
マネジング・ディレクター
坂本 幸一
3. 2016年、保険業界を占う
〜従来の保険のその先へ
マネジング・ディレクター
林 岳郎
4. 最近話題のプロジェクト
5. アライアンスおよびパッケージ・システム
6. 弊社外部講演およびレポートのご紹介
7. 会社概要
Financial
Services
Architect
Financial
Services
Architect
Financial Services Architect (FSアーキテクト) は、
金融業界のトレンド、最新の IT情報、
弊社サービスおよび貴重なユーザ事例を紹介する、
日本オフィス発のビジネス季刊誌です。
拝啓
新春の候、貴社におかれましては益々ご清栄のことと、お慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
本誌「FS Architect」は、おかげさまで発刊10周年を迎え、記念すべき年となりました。
これも皆様のご支援とご愛顧の賜物と深く感謝しております。
2016年はDigital innovationにより成長戦略を描かれている金融機関も多いと認識し
ております。
小売業など異業種でも同様の動きが早いスピードで進展しています。本邦金融機関で
もFinTechが話題になり、幾つかの取組みが開始されています。
弊社では全世界で 2 万 5 千人を超える社員が Digital に特化した組織に所属し、日々
Innovationの企画と実現に全力を尽くしております。この2万5千人をもってしても、
日々のテクノロジーの進展、Digitalビジネス・サービスの進展を把握する事に苦心し
ています。つまり、クライアント企業様1社1社で、Digitalの進展について行くことは
非常に難易度が高いといえます。
クライアント企業様からの弊社への期待も、何か決められたITを作る事ではなくなり
つつあります。予測が難しいDigitalの時代に対応するため、Digital人材の提供をコ
ミットする事を期待されています。また、共にリスクをとり成長を実現する事も期待
され、それに対応した契約スキームもご提案できるようになっています。
Digitalの進展と共に、我々自身も日々トランスフォーメーションを繰り返し、皆様の
ビジネス成長に大きく貢献したいと考えております。
本号では、「2016年の動向を占う」と題して業界ごとの専門家がその方向性を掲載
しております。いずれもDigital、グローバル進展、異業種連携を視野に入れております。
ご一読いただき、貴社取組みの一助となれば幸いです。
今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。
敬具
2016年1月吉日
アクセンチュア株式会社
金融サービス本部
統括本部長
中野
将志
2
2016年、銀行業界を占う
〜加速するデジタル化の波 : いかにフィンテックと向き合うか
「再編」「グローバル化」「デジタル化」―――。
ちょうど 1 年前の本誌で銀行業界の 3つのキーワードを提示した。
「再編」「グローバル化」も引き続き活発だ。しかし、この 1 年を振り返ると「デ
ジタル化」の波が最も加速しているというのが実感だ。
フィンテックという言葉が様々な媒体で取り上げられ、金融機関の関心が高まっ
ている。ただし、これを単なるスタートアップ企業による銀行サービスのディス
ラプションの萌芽と捉えると危険だ。
フィンテックの本質は、デジタル・テクノロジーを活用したイノベーションの創
宮良
浩二
出にある。その利益を享受するには、テクノロジーのみならず、企業文化・企
業体質の変革も含めた構造改革が欠かせない。
1995年 アクセンチュア㈱入社
金融サービス本部
マネジング・ディレクター
銀行グループ統括
加速するフィンテック投資
2015 年における日本でのフィンテック
投資は堅調に推移、アジア・パシフィッ
ク地域における投資額は前年比 4倍以上
に急増の見通し‐‐‐。
当社の最新調査 *1によると、アジア・太
平洋地域のフィンテック投資は、 2015
年 1 月からの 9 か月間で約 35 億ドルに達
し、2014年の約8.8億ドルから急伸して
いる。日本も同期間において既に約
4,400万ドルに達しており、2014年度の
5,500万ドルに迫る勢いで堅調に推移し
ている。
なぜ今フィンテックなのか
(1)デジタル技術の進展:旧来、銀行業
時代が目の前に迫っていることも
はIT装置産業がゆえに参入コストが
相まって、伝統的な銀行も使い勝
高いと考えられてきた。しかし、
手がよく利便性の高いデジタルソ
モビリティー・クラウド・アナリ
リューションを提供しなければ顧
ティクス等のデジタル技術の進展
客ニーズに応えられないという危
が、既存銀行機能の代替を容易に
機感が高まっている。
した。ここに着目したスタート
アップ企業が市場へ積極参入し存 (3)銀行の危機意識:昨年来の好決算も
在感を高めている。
済成長、②運用環境の好転、③経
(2)顧客のデジタル・ネイティブ化:デ
済環境の好転に伴う信用コストの
ジタル経済における顧客は、モノ
低下に起因しており、特に国内ビ
やサービスの購買意思決定に必要
ジネスの構造改革への危機意識は
な情報にいつでもどこからでもア
高い。投資余力のあるこのタイミ
クセス可能だ。また彼らは体験と
ングでデジタル化投資を加速しよ
評価を繰り返しながら自身もまた
うとする銀行が増えている。また
情報提供者になっている。
伝統的銀行は、フィンテック投資
加速するフィンテックブームには 4つの
背景がある。
3
①アジアを中心とした新興国の経
の大型化をフィンテック企業が既
デジタル技術に慣れ親しんだ世代に
存銀行サービスを浸食していく警
本格的に金融資産が移転していく
笛と捉え始めている。
図表1
イノベーションの創出−求められる包括的な取組み
・イノベーションを通じて実現する姿
- ビジョン
戦略
ポジショニング
- 顧客提供価値
・イノベーション展開の確度
とスピードを上げる為に必
要なソリューション、テク
ノロジー
Connected
- Analytics
- Customized
- Flexibility /
Speed to Market
- ビジネスモデル/エコシステム
アジェンダ
・必要となるイノベーショ
ンシード収集先との連携
-
テクノロジー
イノベーション・
シード
ソリューション
イノベーション
・競争的なプログラム推進
- サービス単位リリース
- ビジネス・テクノロ
ジー・ クリエイティブ三
位一体
商品・
サービス 開発
- 実市場でのトライ&エラー
企業文化
- 顧客体験(エクスペリエ
ンス)実現
-
・イノベーションの効果創
出を担保する投資・案件
管理
- アジャイル型アプローチ
プロセス
Academic
Start up
- VC
-
投資・案件管理
- シードポートフォリオ
- 案件ポートフォリオ
組織・人材
・イノベーション創出に適した
人材の採用・育成
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(4)規制緩和の後押し:規制当局もフィ
レベル3.リバンドリング(再構築):業
まず、とるべきポジショニングを明確に
ンテックの流れを後押ししてい
界の垣根を再定義する段階。例えば、
した上でテクノロジーを活かすという発
る。昨今の金融審議会「金融グ
EC事業者・小売業者・SNS事業者等が金
想が重要だ。例を示そう(図表2)。
ループを巡る制度のあり方に関す
融サービスも含めた独自経済圏を構築し
るワーキング・グループ」でも、
業際を再定義する等。
A. 金融サービスアグリゲーター:顧客志
向で最適な金融サービスを提供する。
銀行持ち株会社が傘下の子会社を
利用して業務範囲を拡大できる方
米国市場を対象にした当社の調査 によ
向で議論が進んでいる模様だ。
ると、アンバンドルが進むと伝統的な銀
BBVA Compass社による米フィンテック
ベ ン チ ャ ー ・ SIMPLE 社 の 買 収 が 一 例
行の収益の30%超が失われるとの試算が
だ。同行は米市場シェア獲得の戦略の一
ある。
貫として顧客志向型のデジタル・バンク
フィンテックは伝統的な銀行にとっ
*2
確立を企図した。その実現手段として
ては諸刃の剣
フィンテックのインパクトには 3つのレ
ベルがある。
レベル1.エンハンス(高度化):新たな
認証技術、 API等を活用することで従来
の金融商品やサービスを高度化していく
段階。
レベル2.アンバンドリング(解体):銀
また、日本でも楽天・イオン・LINE等が
SIMPLE 社 ( 難 解 で 分 か り に く い 銀 行
金融と非金融の垣根を超えた総合的な
サービスを顧客の立場にたってわかりや
サービスを提供している。このようなリ
すく、まさにシンプルに再構築した米ベ
バンドルの取組みが加速すれば、伝統的
ンチャー企業)を獲得している。
な銀行業の収益源がさらに失われる可能
性があろう。
B. エブリディバンク:金融のみならず非
金融サービスも含めエコシステムの中心
フィンテックをイノベーションの契
となる。銀行が金融以外のサービスも提
機に
供するポジショニングをとることは、他
行サービスの一部を利便性の高いサービ
伝統的な銀行はフィンテックを銀行ビジ
スで代替する段階。モバイルペイメント
ネスのイノベーションの契機と捉えるべ
やクラウドファンディングが例。
きだ。イノベーションの創出には包括的
な取組みが欠かせない(図表1)。
業態から見ると脅威になりうる。モノ・
コトの消費活動には必ずお金のやりく
り・やりとりが生じるからだ。銀行には
顧客の消費活動全般を把握するポテン
シャルがある。
4
ポジショニング
エブリディ・バンク
ポジショニング
B. エブリディバンク
生活シーンに
根ざしたサービス
・エコシステム
消費財
電気/ガス
家屋の修理
ハウスクリーニング/
ホームケア
す る ソリュ
シ
銀
Dマーケット
プレイス
行
旅
行&
レジ
ャー
イベント
2 提供価値の幅
対象を
絞った
広告
新聞/
雑誌/
書籍
トレーニング/
教育
ホテル
スポーツ活動
レジャー活動
レストラン/バー
エコシステム内のサービス
大企業
と
し
の
航空便
非金融+金融
ビジネス
ての 銀
ー
とし
に対
の
情報
&教育
足
の調
充
ビ ス ニーズ
め
ズ
ー
役
ニ
ー
行
整
の
と
て
サ
融
チケット
発券
者
自動車保険
金
暮らし
支援
防
健康&予
プラットフォーマー
など
個人・家族保険
ア クセ ス
ユーティリティ志向
クーポン/
引換券/
ポイント
各種支払い
形態
C. プラットフォームサービスプロバイダ
ポイント・仮想通貨
P2P ファンディング
金融
交通機関/
駐車場
ホームセキュリティ
医療サービス
プラットフォーマー
など
比較機能
購入提案
家具
既存
銀行
自動車(購入・修理)
ザーとしての銀
バイ
行
アド
ン
金融ニーズ・シーン
に根ざしたサービス
衣料/靴
ペット
不動産(購入・賃貸)
住
居
アグリゲーター
家電
燃料
関
機
通
交
顧客サービス志向
ポジショニングの方向性
1
電子機器 食品
A. 金融サービス
ョ
図表2
価
値
の
ま
通信
電話/インターネット
小売業者/中小企業/企業
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銀行は日常の少額・高頻度消費について
いくのがこのポジショニングにあたる。
用・イノベーションの創出には、従来と
利便性の高い決済手段を提供する。日常
ビックデータを活用したマーケティング
一線を画したトライ&エラーを許容する
の家計の収支管理・ファイナンシャルプ
プラットフォームの提供等もひとつのア
商品・サービス開発プロセスや投資案件
ランニングをPFMとして提供する。顧客
イディアだ。
管理プロセスを導入しなければなら
のライフプラン実現に向けた低頻度・中
高額消費(教育・住宅購入・旅行等)に
ない。
企業体質を変えられるかが鍵
外部知見を活用したオープンイノ
は幅広い法人顧客基盤を活かし他業態の
Google Glassの初版プロトタイプ作成に
魅力的な商品とファイナンスをバンドル
ベーション
かかった期間は90分‐‐‐。*3
する。例えば、住まい。単に住宅ローン
のみを提供するのではなく、快適な住環
境を手に入れるための商品や情報を包括
的に提供する。
C. プラットフォームサービスプロバイダ:
ブロックチェーン技術は、資金決済・証
券取引等の伝統的な金融決済機能を消滅
させ得る。伝統的な銀行も厚みのある業
務知見・ IT 構築力を梃に新たな P2P プ
ラットフォームを構築し他社に提供して
5
企業体質の変革に加えて重要なのは、イ
スタートアップ企業の90%は失敗してし
ノベーション人材の確保だ。当社の最新
まう‐‐‐。*4
調査によると *5、世界の大手銀行におい
て、テクノロジー分野の知見をもつ経営
イノベーション創出にはスピード重視・
層の不足も浮き彫りになっている。邦銀
リスクテイクの姿勢が欠かせない。誤解
も例外ではない。
を恐れずに言えば、伝統的な銀行文化と
は相いれない部分があろう。実は伝統的 ・邦銀でテクノロジー分野に造詣の深い
な銀行にとってはこのような企業体質の
役員比率は 7.5% 、世界平均は上回る
変革こそが重要だ。フィンテックの活
も米国16%との差が明確に‐‐‐。
・テクノロジー分野の知見をもつ役員数
では、 50% の邦銀が 2 名以上を擁する
も、約40%は不在‐‐‐。
おわりに
フィンテック分野での投資という観点で
は、残念ながら日本が欧米や一部のアジ
変化が速いフィンテックに取組み、イ
アの国々に後れをとっているのが実
ノベーションを創出する上で重要とな
態だ。
*1. Fintech Investment in Asia-Pacific
set to at least quadruple in 2015
*2 Accenture Research 2014
*3.Business Insider Nov 19 2013
*4. Forbs Jan 16 2015
るのは、外部の知見を積極的に活用す
るオープンイノベーションという概念
昨今の邦銀におけるデジタル化の波が日
だ。買収・出資・共同研究・長期的ア
本発の新しい金融イノベーション創出に
ライアンス等の形態を駆使して、ベン
つながること、当社がそのご支援をさせ
チャー企業・大学・外部コンサルタン
ていただけることを願っている。
*5. Bridging the Technology Gap in
Financial Services Boardrooms
ト・フィンテックサービスプロバイダ
とネットワークを構築し、変化の激し
い技術や人材を確保し続ける必要が
ある。
6
2016年、証券業界を占う
〜原点回帰、そして差別化準備へ
証券業界ではリーマンショック後の収益回復基調が一段落。むしろ、米国の 9 年
半ぶりの利上げによるゼロ金利政策解除、中国経済の減速などを背景に景気不
透明感が漂い、停滞気味である。この状況を打開するためにも、改めて原点に
立ち帰り、自社の組織構造や経営態勢の最適化、ビジネスプランを中長期的に
見直していく必要がある。また、目覚ましく発展する情報技術の金融業界への
応用が
FinTechという言葉で表され一つの潮流となっているが、この流れと共に
本格的なデジタル・イノベーションという波が押し寄せてきている。
リテールビジネス領域では、本年はデジタルの波がビジネスを直撃する年にな
ると考えている。若年顧客層の拡大や、ビジネスプロセスの改革など差別化に
坂本
幸一
1999 年 アクセンチュア㈱入社
金融サービス本部
マネジング・ディレクター
証券グループ統括
1. 昨今の業界動向
欧米と日本の差異−遅れている最適化
欧米では証券会社が銀行との再編・合併
などで経営改革を行い、リーマンショッ
ク前の水準まで収益を伸ばしている。一
方、日本の証券会社は好調な相場により
売上こそ伸びているものの、従業員の増
強や制度対応など足元の対応に追われて
おり収益は伸び悩んでいる。(図表1)
また、FinTechなど新たな技術・イノベー
ションの波が証券業界にも押し寄せてき
ている。各社とも本格的な取組みには着
手できていないものの、重要性や出遅れ
への危機意識は十分認識している。
7
本格着手する重要な年になるであろう。
一方、ホールセールビジネス領域では、トップラインの拡大が進まない中、慢
性的な規制改変やガバナンス強化への対応が続き、収益を圧迫している。本年
は根本的な構造改革に取り掛かり、グローバル拠点別基幹システムの統合や効
率的な規制対応への取組みを進めるべきである。
本年は、各社とも自社の成長を支える次
このような状況から本年は、各社とも他
の一手は何かを考え、リテールビジネ
社との差別化に向けた戦略的な投資が本
ス、ホールビジネスそれぞれの領域にお
格化する年になるのではないかと考えて
いて横並びからの脱却を目指した様々な
いる。
流れが起きる年となると考えている。
既に、米国ではデジタル技術の活用は自
2. リテールビジネス領域における流れ
リテールビジネスは、証券会社の中核ビ
ジネスであるが、近年は従業員の増強な
どの対応に追われ、各社とも中長期の成
長に向けた戦略的投資は限定的であっ
た。しかし、景気動向は不透明化してお
り、相場依存から脱却するため収益基盤
を強化することが求められている。
社を差別化する重要な要素であると認識
され、各金融機関が、自身の強みを認識
し、横並びではないそれぞれ独自のビジ
ネスモデルを作り上げている。
図表1
日本と米国証券会社の収益推移(手数料収入)比較
110%
100%
2007年との比較割合
90%
80%
70%
60%
50%
40%
日本
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
米国
出典:日本証券業協会Fact Book、米国SIFMA Fact Bookをもとに作成
日本は当該年4月より翌年3月末までの受入手数料の値をベースに算出
英国は当該年の1月より年末までのFeesの値をベースに計算
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米国証券会社における差別化例
・チャールズ・シュワブはロボットアド
バイスのサービスを開始。若年層を
ウェルスマネジメントの顧客として
獲得
・メリルリンチは、デジタル技術の活用
により高品質なサービスを準富裕層な
どへ広範に提供。預かり資産の40%近
くを残高ベースの手数料管理とし、収
益を安定化
・ワコビアは銀行と連携し、顧客の金融
・レイモンド・ジェームズはデジタルに
ロボアドバイザーによる預かり資産は今
よるアドバイザー支援の仕組みを構
後も急速に増加するものと推定されて
築。独立系営業員をメインチャネルと
いる。(図表2)
し2014年までの5年間で収益を約70%
拡大
ビジネスの拡大
これら米国の事例からも、自社の差別化
これまで、富裕層とマス層に挟まれた準
を検討するにあたり、以下の 5つの流れ
富裕層は適切な顧客サービスを受けるこ
が注目されると考える。
とができずに不満が溜まっていた。しか
し、デジタル技術により高品質なサービ
① デジタルツールを使った若年顧客層
スを広範に提供することが可能になって
の取り込み
いる。その結果、準富裕層へのウェルス
2015 年春よりロボット・アドバイザー マネジメント拡大の流れがおこると考え
資産全体を管理。顧客の高い満足度を
のサービスを開始したチャールズ・シュ
獲得( 9 割以上がアドバイザーとのや
ワブではその後わずか半年間に 41 億ド
り取りが向上したと回答)
② 準富裕層へのウェルスマネジメント
ている。
ルの顧客預り資産を獲得した。そのうち
メリルリンチでは顧客の属性データや取
新規流入資産の半分以上を 40 歳以下の
引データを一つのプラットフォームにて
顧客から獲得している。
統合管理することで、顧客に対する総合
的なサービス提供を実現している。
8
図表2
米国におけるRobo-Advisorの預かり資産推移予測
(億ドル)
300
2020年
<凡例>
250
予測
1
255
0.9
0.8
Robo-Advisor預かり資産予測額
200
0.7
マネージド・アカウント預かり資産総額に
対するRobo-Advisor預かり資産の比率
0.6
150
0.5
0.28%
100
50
14
0
2014
0.3
0.2
20
0.04%
0.4
0.1
0.05%
2015
2016
0
2017
2018
2019
2020
2015年時点でのRobo-Advisorの利用による預かり資産額は20億ドルであり、
2020年には255億ドルまで増加すると推定される
出典:アクセンチュア調査(公知情報等)
© 2016 Accenture All rights reserved.
③ 顧客データの活用によるマーケティ
レイモンド・ジェームズでは多チャネル
ング向上
で高品質なサービス提供を実現するため
流通業界の様に顧客の大量データをマー
に、顧客だけでなくアドバイザーに対し
ケティングに活用していきたいという
ても多様な支援をデジタル化しWEB提供
ニーズはますます高まるであろう。
している。
・バークレイズは注力分野の見直しと規
模の再最適化を実施
・ドイツ銀行は投資銀行オペレーション
と取扱商品の縮小を発表、さらにロシ
アでの投資銀行を閉鎖
データの取扱いには慎重を期するが、顧
3. ホールセールビジネス領域におけ
客が興味を持つサービスを提供すること
る流れ
は、自社を差別化する要素となるであろ
ホールセールビジネスでは高速取引など
う。ワコビアによる銀行データを利用し
た顧客アドバイスはデータ活用の一例で
ある。
④ デジタル化による営業改革
デジタル化による営業改革も取組みが始
様々な投資によりトップラインの拡大を
追及してきたが、近年は収益率が伸び悩
むなど頭打ちとなっている。他方、慢性
的な規制改変やガバナンス強化への対応
が続き、コストは恒常的に上昇し収益を
圧迫している。
まると考える。例えば、トップセールス
の営業担当者と成績の振るわない営業担
このような状況を打開するため、欧米の
当者との顧客接触の頻度、参照する情報
金融機関は次のような思い切った改革を
の違いなどをデジタルデータで分析し、
行っている。
営業員に改善点をアドバイスするような
試みも始まると予想する。
9
・クレディスイスは大規模なリストラと
アジア市場の拡大を発表
他方、日本の証券会社はグローバル化へ
の対応や構造改革は遅れている。収益力
の強化には以下に挙げる根本的な改革が
必要であると考える。
図表3
グローバルで統合化した規制対応へのイメージ
バーゼル委員会
トレーディング勘
定の見直し
ボルガー
ルール
欧州市場イ
ンフラ規制
(EMIR)
リーカネ
ン報告
US
GAAP
IFRS
MiFIDⅡ
ドット・
フランク法
規制
IPV
香港金融
管理局
(HKMA)
ドット・
フランク法
改定市場
濫用指令
(MADⅡ)
欧州市場イ
ンフラ規制
(EMIR)
MiFIDⅡ
欧州
T2S
シナジー
の柱
シナジー
領域
解決
適正な資本
クリアリング
流動性基準
リングフェンス(隔離)
透明性
優れた運用
風評管理
取引前後の透明性
レコードキーピング
レポーティング
最良執行
市場の電子化
迅速な取引後処理
コントロール強化
市場濫用・操作防止
インサイダー情報
投資家保護
出典:Accenture Research
© 2016 Accenture All rights reserved.
① 拠点別基幹システムの統合推進
② 規制へのグローバルレベルでの統合
4. まとめ
日本の証券会社は、各拠点別々に基幹シ
的対応
国内証券会社の収益力は頭打ちの状態と
ステムを保有するため、多大な運営・メ
グローバルに展開する金融機関は、投資
いうのが実態である。一方、 FinTech や
ンテナンスコスト負担が発生し、新商
家保護など根源的思想は同一ながらも各
新たなデジタル技術の登場は、顧客サー
品・業務への迅速な対応ができない状況
地域で出される規制やガバナンス強化へ
ビスだけでなく、自社の戦略そのものを
となっている。欧米の金融機関ではグ
の対応に大変な負担を強いられている。
改革する絶好の機会である。
が運営され、中には基幹システムをクラ
金融機関は各種規制に対し、場当たり的
自社が武器とすべき強みは何なのか、省
ウドサービスにアウトソースしてコスト
な個別対応ではなく、グローバルレベル
くべき投資は何なのか、その実現のため
の削減を図っている金融機関もある。
での統合的な対応を進め、シナジーによ
のデジタル戦略や構造改革は如何にある
るコスト削減、対応期間の短縮に取組む
べきか。 2016 年は証券業界各社が差別
べきである。(図表3)
化への準備を進める重要な年になる。
ローバルで統一した基幹システムの業務
ブロックチェーンなど新技術を迅速に取
り入れていくためにも統合化は喫緊の課
題である。これまで議論され続けてきた
弊社がその態勢作りの一助となり、皆様
テーマであるが、今一度、根本的な検討
に貢献できる 1 年になることを目指し
が求められる。
たい。
10
2016年、保険業界を占う
〜従来の保険のその先へ
2015 年は堅調な業績・良好な運用成績の後押しもあり、国内市場の縮小に対
する一つの「打ち手」として大手保険会社の海外大型買収が紙面を賑わせた。
これにより、今後は大手損害保険会社のみでなく、生命保険会社も G-SIIs に適
用される会社が増加し、国際的な日本の保険会社の役割や負担も大きくなって
いくものと考える。
国内大手の保険会社は既に、見るべき相手を国内ではなく海外のグローバルプ
レイヤーに向けており、今後も保険会社の海外進出は益々拡大していくと考え
る。しかし、グローバル化の成長シナリオだけでは、日本の保険会社は世界的
な役割を担う事はできない。リスク取扱いのプロとして、破壊的な技術革新で
林
岳郎
2000 年 アクセンチュア㈱入社
金融サービス本部
マネジング・ディレクター
保険グループ統括
1. 成長シナリオ
スイッチング・エコノミーの対応
第一にあげるのは、「スイッチング・エ
コノミー」の対応である。
弊社の世界消費者動向調査によると、保
険会社に対する顧客ロイヤルティ低下と
保険商品のコモディティ化により、現在
の保険会社に満足している被保険者は3
分1以下(29%)であることが判明して
いる。また、21%の契約者が「多くの保
険商品やサービスは同じである」と回答
しており、昨年度に比べて50%も増加し
ている。
このような事実は、保険市場に 4,700億
ドルにおよぶスイッチング(消費者が商
品やサービスの提供者を乗り換えるこ
と)の可能性が生まれていることを示唆
している。
11
生まれる新しい市場(リスク)に対して保険会社のノウハウを活用すれば、未来
は明るい。
従来の保険のその先へ、 弊社が考える 3 つの成長シナリオに沿って述べていき
たい。
弊社ではこの調査において「スイッチン
グ・エコノミー」というコンセプトを提
唱し、スイッチングでもたらされる経済
効果の大きさを明らかにするとともに、
保険会社の次の成長のためには、絶えず
顧客のダイナミクスを捉えていくことが
重要であると提案している。
異業種の保険ビジネス参入の動き(図表
1)を見ると、彼らは保険市場において
成長もしくはシェア獲得が可能であり、
これらが次の成長の鍵の一つと考えてい
ることが分かる。
このように既存の保険会社の市場が浸食
され、「スイッチング・エコノミー」が
加速している状況下においては、顧客視
点による新たな保険商品・サービスを導
入し、既存ポジションを守るための“攻
める”防衛モデルが必要と考えている。
2. 成長シナリオ
We Economyの対応
第二は、We Economy(企業同士が業界
を超えて相互に補完し合う経済)への対
応である。
弊社調査によると、保険各社は提供する
商品・サービスのコンバージェンス(業
際横断)を意識していることがうかが
える。
・保険会社の75%は、業界の垣根は著し
く曖昧になっていると回答している。
・保険会社の64%は、保険業界において
新たなデジタルパートナーとの提携を
計画している。
・保険会社の45%は、保険ビジネス以外
の領域でのパートナーを検討している。
図表1
異業種も本業とのシナジーを狙い、様々な形態で保険ビジネスへ参入し始めている
参入形態
代理店モデル
2012
ハイブリッドモデル
・自社ブランド保険商
品販売 (一部業務で
保険会社利用)
Woolworths
2013
2014
IKEA
2015
Google
取扱商品
・火災・自動車
・死亡・医療
・旅行・ペット
・ Tencent ( Web サー
ビス)
PingAn(保険)との
合弁
Alibaba
Walmart
保険会社モデル
・インターネット
ビジネス
・信用・賠償責任
・オンライン保険比較
サイト
(Autoinsurance.com
と提携)
・自動車
・店舗型代理店
(Ikanoグループと
共同運営)
・妊婦対象保険
・児童向け医療・傷害
・オンライン保険
比較サイト
・自動車
出典:アクセンチュア調査(公知情報等)
© 2016 Accenture All rights reserved.
顧客が求めているものは、業界の仕切り
保険業を超えて、顧客が最も求めている
会で利用できるように支援していくこと
を意識することなく、資産・家族・嗜
ものを追及し、保険会社としてどのよう
である。これまで自動車がどれほど私た
好・キャリアなどを総合的に捉え最適解
な商品・サービスを提供するべきか、
ちの暮らしを変えたのか考えてみても分
を提供してくれるものである。We
We Economyを成長させるための動きは、 かるように、ビッグデータやロボット工
Economy という新たな動的経済を活か
生き残りと成長のために必要なものと考
学、ナノテクノロジー、遺伝子工学、人
すことができる保険会社は、破壊的イノ
えている。
工知能などのような急速に進歩した多く
の新しいテクノロジーも、自動車と同様
ベーションを通し収益の拡大を図ること
で、さらなる成長に向けた道のりを歩む
3. 成長シナリオ
に私たちの生活に大きな変化をもたらす
ことが可能になる。
新たな市場への対応
であろう。しかしこのようにテクノロ
たとえば、異業種として破壊的テクノロ
ジー創出と顧客接点の多さから注目を集
める Google の戦略を弊社視点で整理し
てみると、保険ビジネスとの高い親和性
を持つサービス・デバイスを取り込んで
おり、保険会社にとって新たな脅威とな
ることが分かる(図表2)。
第三は、破壊的イノベーションがもたら
す新たな市場(新しいリスク)への対応
である。
保険会社の社会的役割という観点から、
技術的発明、特に破壊的な発明を「安全
性の高い品やサービス」に進化させる一
翼を担うことが保険会社に期待されてい
る。つまり技術上可能なことを実際に社
ジーが進化するとき、誰が私たちを守っ
てくれるのだろうか。このようなイノ
ベーションに道徳的・倫理的基準を設け
ているのは誰であろうか。
この任務を果たすべく保険会社は遅れば
せながらシェアリングエコノミーへのサ
ポートを強化し始めている。例えば
Uber や Airbnb の利用者保護のための保
険業務だ。
12
図表2
Googleはサービス×デバイス拡充による収益拡大を狙っており、
保険ビジネスとの高い親和性を持つラインアップが多く存在している
広告事業
インフラ事業
課金・決済事業/EC
Google Play ゲームサービス
Service
(飛行型風力発電)
カーナビアプリの高度化
(WAZEの買収)
ALL Access
PF
(ドローン活用した配達)
(即日宅配)
ディープラーニング
Knowledge Graph
Google Cloud Platform
ソーシャルマーケ
ティングサービス
Google Cloud SQL
Brillo/Weaveの発表
Project Tango
(ローエンド3Dマッピング)
Google App Engine
Google+
Android Pay
Google Cloud Storage
Google Play / Play Store
Google Wallet
Google Apps for Work
検索サービス
Google Shopping
Sidewalk Labs
(都市開発)
Google Pub/Sub
(リアルタイムメッセージング)
Google Cloud Data Flow
Google Computer Engine
NW
Project Loon
(気球を使ったネット網)
Google Fiber
Sky box
新興国への無線NW
Android OS / Chrome OS
Google STB
(人工衛星)
Nestの展開
NexusQの発表
Google Glassの発表
(ウエアラブル端末)
タブレット
Nexusシリーズの
Chrome book
モバイル
Nexusシリーズの
Device
Google genomics
Project Wing
Google Express
Google Now
IP/
Cloud
Google X Lab
Makini
Google CATV
(音楽ストリーミング)
Map, Hangout, Map, etc.
新規事業
Smart Contact Lenses
(メディアプレーヤ)
Google Glass
ROSの開発
(自動運転自動車)
自動運転自動車
Android One
Project Ara
出典:アクセンチュア調査(公知情報等)
© 2016 Accenture All rights reserved.
高齢化が進む日本社会の現状も、イノ
弊社の調査では、3年以内にコネク
保険各社は保険市場のさらなる縮小を杞
ベーションをもたらす要因となりうる。
ティッド・インシュランスのようなイノ
憂すると同時に、新たな市場の発生に対
現在日本では、 65 歳以上の高齢者が人
ベーションにより生み出される損害保険
する準備をする必要がある。
口に占める割合は 4 分の 1 を超えている
料は、ヨーロッパ単独で 1,900億ドルに
が、 2055 年までにはその割合は 40% に
達するとの試算が出ている。イノベー
現在、企業にAI(人工知能)が導入され
達すると見込まれている。人口動態の変
ションは保険会社にとって大きな成長の
てきているが、将来顧客を最も理解して
化は、介護産業や保険業界に影響を与
きっかけとなるであろう。
いる個人向けAIが顧客側に普及した世界
え、高齢化社会では介護現場のロボット
技術が重要な役割を果たすことになる。
このような状況から、要介護者をベッド
から抱え上げる、あるいはまっすぐの姿
勢に立たせるなどの力仕事を人間の代わ
りに行うロボットが開発されており、こ
のロボット利用に対する保険業務が始ま
る日もそう遠くないと考える。
を考えると、その個人向け AI を商品・
保険会社が果たす役割
保険会社の新たな社会基盤における役割
はリスク取扱いのプロとして大きい。
・生命保険:対象が命から健康へ
・損害保険会社:新たな市場(リスク)
への対応
サービスとして世の中に定着させる役割
を損害保険会社が持つであろう。生命・
損害保険会社のマーケティングの対象
も、広告・代理店へのコミッションか
ら、 AI へ提供する情報へと変わる。ま
た、事故から守る、健康を促進する上で
も、保険会社が提供するサービスは保険
を超え業際横断であることが前提と
なる。
13
図表3
ビジネスモデル変革のジレンマは必ず存在する。
現行ビジネスモデルと共存しつつ、いかにトランジションの機会を見極めていくかが鍵となる。
一つの方向性 ”Spin Out & In”
ビジネスモデル変革のジレンマ
現行
モデル
現行ビジネス
モデル
Spin Out
新ビジネス
モデル
等々
・期待効果(変革の必要性)
・実行スピード
・投資規模
・実現上のリスク
等々
or
移行
Spin In
別事業体で運営
新
モデル
・既存チャネル(代理店、
営業職員等)との関係性
・既存顧客の嗜好(不確実性)
・従業員の維持
・ステークホルダー(既得権益?)
並存
継続
事業運営
(パイロット)
判定
Spin Inでない場合
も単体で事業継続
・新モデルの事業性は?
・現行モデルとの親和性は? (シナジー有無)
・現行モデルからの変革可能性は?
・競合他社(保険以外含む)動向は?
© 2016 Accenture All rights reserved.
今、目の前にある破壊的技術革新は、保
現行ビジネスモデルの強化のため、経営
険会社の脅威ではなく、成長機会である
資源を割くことが最重要事項となるであ
と考える。数百年前にロイズ・オブ・ロ
ろう。現行ビジネスモデルと共存しつ
ンドンに属する保険会社が、リスクの高
つ、いかにトランジションの機会を見極
い海運ビジネスをグローバル産業に変革
めていくかが鍵となる(図表 3)が、こ
させたように、今こそ、保険会社の原点
こで新たな経営スタイルを導入すること
回帰が求められており、その責任は未来
が、保険各社の英断で あ り 、 将 来 に 向
に対して計り知れないと弊社は考えて
けた適切な判断となる。
いる。
弊社は保険会社のさらなる繁栄のため、
まとめ
ビジネスモデル変革のジレンマは必ず存
在する。たとえば、大手各社の相次ぐ参
入で、銀行窓販に続いて、これまで外資
系や損保系などが独壇場だった保険
ショップ市場でも、商品開発、販売競争
グローバルネットワークの活用、及びデ
ジタル・イノベーションを推進する立場
として、あるべきコンサルティング及び
事業運営のご支援を、三人称ではなく一
人称として、身を引き締めつつ実施して
いきたいと考えている。
が激化している。保険各社においては、
14
最近話題のプロジェクト
昨今のグローバル化の波を受け、海外拠点向けの変革や新ビジネス・
システム導入に向けた案件の引き合いを多く頂いております。
また、銀行・証券業界においては、 BCBS239・FRTB といった規制案件
が増加する傾向にあり、弊社も全社をあげてご支援させていただく所
存です。
このような引き合いの増加は、世界的なグローバルガバナンス強化や
規制強化の流れを受けたものと考えており、弊社としても様々な知見
を結集し、ご支援させていただければと考えております。
業態
案件概要
CS
銀行
決済ビジネス・シェアリングエコノミーの2分野において、ICTを活用
○
TC
OS
DG
したビジネスアイデアや新技術の発掘、事業化を図るコンテストの運
営支援
先進的な顧客体験を提供する新モバイルサービスの企画立案・プロト
○
○
タイピング
証券
保険
BCBS239対応のためのデータ整備企画立案・推進
○
エクイティセールス向けグローバル統一CRMプラットフォーム導入
○
システム経費構造改革推進
○
ネット専業証券のバックシステム再構築プロジェクト推進支援
○
新商品・新サービス・新チャネル開発による成長戦略・ビジネスモ
○
○
○
デル構想
IT 部門の人材強化に関する施策推進
○
レガシーシステムおよび周辺システムのモダナイゼーション
○
ノンバンク 経済環境変化を踏まえた中長期収益計画に関する第三者評価
○
(略)
15
CS:コンサルティング、TC:テクノロジー、OS:アウトソーシング、DG:デジタル
○
○
アライアンスおよびパッケージ・システム
社名/ソリューション名 ソリューションタイプ
弊社/
Accenture Multi
Channel Platform
(MCP)
弊社/
Accenture Mobility
Managed Service
(AMMS)
弊社/
Accenture Life
Insurance Platform
(ALIP)
弊社/
Claim Components
Solution(CCS)
銀行向け
プラットフォーム
ソリューション概要
グローバルも含めた銀行業経験と先進トレンドを反映した次世代ハブソリューション。フロントエンドとバッ
クエンドを分離し、商品・サービスの多様化や顧客志向のクロスセル営業プロセスをマルチチャネルで実現
する。顧客チャネル追加やバックエンドシステム統廃合を想定したSOA2.0型の柔軟なシステム間連携機能や、
マ
ルチチャネルでの顧客情報統合管理、複数商品を跨るバンドル商品も含めた新商品・サービス生成、先進のチャ
ネルフロント構築機能をベースに、あるべき銀行のシステム全体像構築を効率的かつ強力に支援。
銀行・カード会社向け
プラットフォーム
モバイルコマースのサービスデリバリープラットフォーム。モバイルバンキング・ポイント管理・ペイメント(NFC
含む)・クーポン・マーケティングなどのモバイルマネー系のコンポーネントを有する。従来、携帯キャリアが
提供していたモバイルマネー系のサービスを金融プレーヤーが主導で構築できるため、スマートデバイスを新
たな攻めのチャネルとして活用することが可能。欧米において多数の導入実績を有する。
生命保険会社向け
契約管理システム
生命保険・年金保険の契約管理(サイクル)業務を包括的に支援する基幹系パッケージシステム。コン
ポーネント単位の組み合わせによって、最適な機能のみの導入が可能。北米を中心に 60 社以上に
提 供 中。2006 年 8月アクセンチュアが NaviSys 社を買収後、ソリューション名をアクセンチュア
生命保険プラットフォーム(Accenture Life Insurance Platform–ALIP)に改称。
損害保険会社向け
パッケージシステム
損害サービス業務全般をカバーするグローバル No.1のソリューション。北米トップ三社のうち二社
が導入しており、約7万人の事案担当者が日々CCSを使用、米国個人保険損害全事案中 36%は CCS
で処理されている。初期導入は1998 年で、16 社に導入済。個人保険、企業保険といった全商品に
対応。業務分析ツール等変革に必要となる要素を包括的に含む。
弊社/
Underwriting
Components
Solution (UWC)
弊社/
Memetrics
(Digital Marketing
Optimization)
Pega
損害保険会社向け
引受業務支援
パッケージ
アカウント管理、
リスクセグメンテーション、外部データとの統合、指標管理といった機能に強みを持つ
全商品に対応し、引受業務全般をカバー。より迅速かつ適切な見積・引受を可能にし新たなリスクセグ
メントの開拓、
コンバインド・レシオの改善に大きな効果をもたらす。英RSAや米Allstate, Travelersといった欧米ト
ップ企業9 社が既に採用済。
マーケティング
チャネル最適化
ソリューション
Webサイトのランディングページ、E-mail、DM、リスティング広告、コールセンター等ダイレクトマーケ
ティング手段の活用を最適化し、売上増加、口座開設率の向上等、ROI の最大化を科学的かつ自動
的に実現。2007 年 12 月アクセンチュアが Memetrics 社を買収したことにより、コンサルティングを
含めたより総合的なソリューションとして提供可能。
BPM
CRM
ルールエンジン
ソフトウェア
業務プロセス・ルールベースのシステムを構築するための統合開発プラットフォームで、
Pegaの活用によりビジネ
スプロセスとシステムは一体となり、
整合性のある柔軟なシステム構築を実現。
Next-Best-Action
Marketingによ
り、
市場・消費者動向に応じた機動性の高い柔軟な対応ができ、
クロスセル・アップセルの強化、
営業推進の強化が
行える。弊社はPlatinum
Partnerとして、多くの海外事例に基づいた銀行、保険などの金融機関へのシ
ステム提供が可能。
Calypso
Murex
トレーディング・
リスク管理システム
日興システム
証券・資産運用系
システム&
コンサルテーション
デリバティブ(株式、金利、コモデティ、クレジット)、外為関連のディーリングフロントオフィス・リスク
管理やバックオフィス業務を行うための市場系システムの導入支援。欧 州を中心に世界で 200 名
以上のエンジニア(国内では約20名)と多数の導入経験により培った方法論を最大活用。
ソリューションズ
(NKSOL)
銀行、証券、投信投資顧問等を主要顧客として、総合証券システム、オンライントレーディングシステム、
投信窓販システム、投信経理システム等を、ASP 型のシステムサービスとして提供。また、豊富な実務・
運用経験に基づく、業務・システム・技術コンサルティングを展開。2005 年、より高度で幅広いサービス
をワンストップで提供すべく、
アクセンチュアとアライアンスを締結。
Oracle Financial
Services Software
銀行勘定系システム
コア・バンキングパッケージとして、新 規 顧 客 獲 得 数 4 年連 続 世界 第一 位にランキング( 2002 〜
2005 年 、IBS 誌 ) 。現 在 の 顧 客 数 500 以 上、115ヵ国 以 上で サービ スを 提 供して い る「 Oracle
FLEXCUBE 」。モジュール・アーキテクチャとして、機能が部品化されており、必要な機能のみの導入
が可能。また、商品をパラメータで設定可能なため、新商品の導入が容易。
SAP
BaselⅡ 対応システム
銀行勘定系システム
ERP(人事・会計)システム
データベース・システム
SAS Institute
イベント・ベースト・
マーケティング
クレジットライン最適化
リスク・マネジメント
サステナビリティ
Temenos
銀行勘定系システム
高品質・高付加価値な導入コンサルテーション、豊富な成功事例に裏づけされた安全・確実なシス
テム導入、およびSAP社とのグローバルアライアンスに基づく手厚いサポートを提供。
BWを中核とした情
報系システムの再構築 等、個別課題へのソリューションとして提供可能。
CRM、リスクマネジメント、サステナビリティ等同社ソフトウェア・コンポーネントにより、金融業界では、
個人・法人向け顧客営業支援、
クレジットカード与信分析、BaselⅡAMA 分析、カーボンモデリング等の
CSR環境アプローチ等、様々な分野における高度データ分析をリードするソフトウェア。
バンキング・システムとして、世界 120カ国、600 顧客サイトで利用されている「 Temenos」。
「 T24」は、
オープン・アーキテクチャにもとづき、カスタマイズ性と拡張性を提供し、
リアルタイム対応を可能と
するモジュラー構造。ハイ・パフォーマンスをリードするコア・バンキング・ソフトウェア。
16
弊社外部講演およびレポートのご紹介
外部講演のご報告
セミナーインフォ社主催
保険フォーラム2015
「従来の『保険』の先へ〜デジタル・イ
ノベーションが実現する保険ビジネス
進化論」
レポートのご案内
「従来の『保険』の先へ〜イノベーショ
保険業界は堅調な業績にもかかわら
ず、多くの挑戦者、新たなテクノロ
ジー、消費者トレンドの変化など、
クター大喜多雄志とシニア・マネ
様々な脅威に直面しています。 66%の
ジャー原田英明が講演しましたとこ
消費者は保険会社以外からの購入を考
ろ、ご参加頂いた約 130 名の方々より
えているとの調査結果が出ています
ご好評いただきました。また本件に関
が、これらにどのように対応すればよ
するディスカッションのご要望も頂い
いのでしょうか。レポートにて新たな
ております。ご興味がございました
成長に向けた 3 つのステップをご紹介
ら、ご説明させて頂きますので、お気
しています。ご一読下さい。
17
金融サービス本部マーケティング担当
ンを取り込み、創造的破壊から収益を ([email protected])
までお問い合わせ下さい。
生み出す」
11月26日(木)にマネジング・ディレ
軽にお知らせ下さい。
以上ご不明な点などございましたら、
https://www.accenture.com/jp-ja/
insight-beyond-insurance-embracinginnovation-monetize-disruption.aspx
会社概要
グローバル拠点数:
アクセンチュア株式会社
お問合せ先
世界 56 カ国
本社所在地:
ニューズレターの掲載内容に関する
売上高:
〒 107-8672 東京都港区赤坂 1-11-44
お問合せは、金融サービス本部
赤坂インターシティ
FS Architect 担当
310 億米ドル ( 2015 年 8 月期)
従業員数:
約 37万 3千人
[email protected]
03-3588-3000(代表)
ピエール・ナンテルム
FAX:
03-3588-3001
(Pierre Nanterme)
従業員数:
会長兼最高経営責任者 :
シニア・マネジャー 松濤 真人
電話番号 :
へご連絡ください。
03-3588-3000( 代表 )
03-3588-3001(FAX)
約 6000 名(2015 年 8 月 31 日時点)
FS Architect 専用サイト
www.accenture.com/jp/fsarchitect
代表者:
代表取締役社長
江川
昌史
URL :
www.accenture.com/jp
18
アクセンチュア金融サービスに アクセンチュアについて
ついて
アクセンチュアは「ストラテジー」「コン
アクセンチュア金融サービスは、バンキング、
キャピタル・マーケット及び保険の3セクター
サルティング」「デジタル」「テクノロ
ジー」「オペレーションズ」の 5 つの領域
における様々な金融機関に対し、世界各国
で幅広いサービスとソリューションを提供
で「ストラテジー」「コンサルティング」
する世界最大級の総合コンサルティング企
「デジタル」「テクノロジー」「オペレー
業です。世界最大の規模を誇るデリバリー
ションズ」の 5つの領域で幅広いサービス
ネットワークに裏打ちされた、40を超す業
とソリューションを提供しています。
国内外の金融業界の変化をいち早く捉え、
金融機関の中核戦略及びオペレーションに
重要な役割を果たすことで、企業のみならず
業界全体の成長に貢献したいと考えています。
界とあらゆる業務に対応可能な豊富な経験
と専門スキルなどの強みを生かし、ビジネ
スとテクノロジーを融合させて、お客様の
ハイパフォーマンス実現と、持続可能な価
値創出を支援しています。世界 120 カ国以
上のお客様にサービスを提供するおよそ37
クライアント企業のトップラインの拡大、コス
万3,000人の社員が、イノベーションの創出
ト削減、高まる規制やリスクへの対応、合併・
と世界中の人々のより豊かな生活の実現に
買収に伴う統合作業、新しいテクノロジーや
取り組んでいます。
複数チャネルサービスの導入等、支援領域は
多岐に亘ります。
3つのセクターにおける主な金融機関は以下
の通りです。
• バンキング:リテール銀行、商業銀行、総合
金融機関、政府系金融機関、クレジット・
信販会社、リース会社
• キャピタル・マーケット:証券会社、信託銀行、
投資/ 投資顧問会社、資産運用会社、証券
保管機関、各種金融商品取引所、清算及び
決済機関
• 保険:損害保険会社、生命保険会社、年金
保険会社、再保険会社、保険ブローカー
フォーチュン 100 社にランキングされてい
る 92%の金融機関に対しサービスを提供し
ています。また、グローバルのトップ顧客
10 社のうち 9 社と、 20 年以上継続してサー
ビスを提供しています。
Copyright © 2016 Accenture
All rights reserved.
Accenture, its logo, and
High Performance Delivered
are trademarks of Accenture.
アクセンチュアの詳細は
www.accenture.comを、
アクセンチュア株式会社の詳細は
www.accenture.com/jpをご覧ください。