4課定冠詞類、不定冠詞類、並列接続詞の補足PDF

Lektion 4
定冠詞類、不定冠詞類、並列接続詞
名詞の前に付くもの(定冠詞、不定冠詞など)は、後ろの名詞の文中での役割(=格)を表す義務があります。
それは名詞の性・数・格に応じた語尾という形で現れます。この課では名詞の前に付くと定冠詞と同じような変化
をする定冠詞類(=dieser 型)
、不定冠詞と同じような変化をする不定冠詞類(=mein 型)の変化詞を学習します。
定冠詞と不定冠詞の語尾変化の、一番大きな違いは、
「不定冠詞は男性の1格と中性の1・4格で語尾がない」とい
うことでした。不定冠詞類も、同様に男性の1格と中性の1・4格では語尾がありません。
1.定冠詞類 (定冠詞と同じような語尾変化をするもの)
dieser, jeder, jener, solcher, welcher などがありますが、この中で jeder「どの~も、すべての~」は単数名詞に
しか付きません(英語の every a ~とか each を思い出しましょう)
。また welcher は、同じ種類のものがたくさん
ある中で、そのうちの「どの~?」という時に使い、welcher の付いた名詞は、疑問詞と同様に文頭に置かれ、疑
問文を作ります(英語なら which かな)。
dieser の変化
dieser Anzug
diese Bluse
dieses Hemd
diese Anzüge (Blusen, Hemden)
dieses Anzugs
dieser Bluse
dieses Hemds
dieser Anzüge (Blusen, Hemden)
diesem Anzug
dieser Bluse
diesem Hemd
diesen Anzügen (Blusen, Hemden)
diesen Anzug
diese Bluse
dieses Hemd
diese Anzüge (Blusen, Hemden)
この語尾の部分に注目すると、ほとんど定冠詞の語尾変化(S.13)と同じになっています。男性名詞に対する形は、
定冠詞と全く同じ語尾(だから「定冠詞類」)ですね。違うところは女性・複数の1・4格が定冠詞は die なのに
diese となっていることと、中性の1・4格が定冠詞 das に対して dieses となっているところだけです。
並べなおすと、diese, dieser, dieses, diesem, diesen と語尾変化した形は 5 つしかありません。定冠詞の時は中
性の1・4格が das だったのですが、定冠詞類ではそこが男性・中性の2格の dieses と同じ形になっているからで
す。たいていの男性名詞と中性名詞は、2格では名詞自体にも-(e)s がついていますので、判別に迷うことはないは
ずですが、この 5 つの形が、男性、女性、中性と複数、1から4格までの16の枠にばらまかれているわけで、整
理して覚えないと、わけがわからなくなりますね。
ためしに、下線部に適切な語尾を入れてみましょう。考え方としては、繰り返しになりますが、名詞の前について
いる冠詞類は、後ろの名詞の文の中での役割(=格)に応じた語尾がつくわけですから、まず後ろの名詞が単数な
のか複数なのか?単数なら男性なのか女性か、中性か?そして1から4のどの格なのかを確かめれば、自動的に語
尾は決まります。最後の「格」については、文の意味や、動詞の使い方から考えましょう。
Der Vater kauft dem Sohn diesen Anzug. D
Jed
Welch
Mutter kauft d
Tochter jen
Kind hat drei Unterhemden. Die Mutter wäscht täglich dies
Student bekommt die Note Eins? Welch
Bluse.
Unterhemden.
Studentin geben Sie die Note Vier?
辞書を参照する時は、男性の1格の形で掲載されているのが通常ですが、welcher と solcher は語尾のない形で使うこともあるため
welch, solch で出ています。
2.不定冠詞類 mein, dein, sein, ihr (Ihr), unser, euer の所有冠詞と否定冠詞 kein があります。
1)所有冠詞 mein の変化
mein Sohn
meine Tochter
mein Kind
meines Sohns
meiner Tochter meines Kindes
meiner Söhne(Töchter, Kinder)
meinem Sohn
meiner Tochter meinem Kind
meinen Söhnen(Töchtern, Kindern)
meinen Sohn
meine Tochter
meine Söhne(Töchter, Kinder)
mein Kind
meine Söhne(Töchter, Kinder)
今度は、男性の1格と、中性の1・4格で語尾のない形があるため、全体では mein, meine, meines, meinem, meinen,
meiner の6つの形があることになります。同じ形が、あちこちに出てきますが、これまで学習した冠詞類の変化と
共通した点が多く見られます。例えば、男性名詞につく時以外は、1格と 4 格は同じ形、男性の2・3格と中性の
2・3格は同じ語尾等々です。
Mein Vater hat heute Geburtstag. Die Armbanduhr meines Vaters ist kaputt. Ich schenke meinem Vater eine
Digitaluhr. Ich begrüße meinen Vater höflich
英語の所有代名詞は、語尾変化などしないので、代名詞の一部として I, my, me などという形で覚えますが、ド
イツ語では所有冠詞といい、後ろの名詞の性・数・格に応じた語尾がつきます。ただし人称代名詞と同様、
(通常)
前に出てきた、なんらかの名詞、代名詞などに対応しています。
一人称・親称の二人称に対する mein, dein, unser, euer と敬称の二人称の Ihr はあまり問題ないのですが、三人称
に対する sein は er, es ならびにそれらで受けることができる男性名詞、中性名詞に対応し、ihr は sie(単数・複数
とも)と、それで受けることのできる女性名詞、複数名詞に対応しているため、これらが出てきた時には、それが
何を指示しているのかを確認する必要があります。
Das Kind hilft seiner Mutter.(何を、誰を指すのか?で問題がなければ、sein>das Kind 主語を指します)
Das Mädchen wäscht seine Bluse.(Mädchen は中性名詞ですから、自分のブラウスを洗っているのですね。ただ
「女の子」という意識が強いと、文法的にはおかしいのですが ihre Bluse としてしまうこともあります)
Ihre Großmutter ist noch rüstig.(文頭に ihr が出てくると、
「彼女の」あるいは「彼らの」
「彼女らの」
「あなたの」
「あなた方の」の、どれかわかりません。まわりの文や発話、状況などから判断する必要があります)
2)否定冠詞 kein
変化自体は、mein の m が k に変わっただけですから、とても簡単!なので、表は上記、あるいは本文を参照して
ください。否定冠詞 kein は、不定のものを否定する機能があります。なんだそれ?!と思った方は正しい!これで
はわけがわかりませんので、簡単な例文で論理的な説明してみましょう。
ich と Auto という二つの「項」
(論理学ではそう言うらしい)を、haben という「述語」で結んでみると、次のよ
うな文が考えられます。
Ich habe ein Auto.「私は(どんな車でもいいから、ともかく)車(というものの一台)を持っている」
Ich habe das Auto.「私は(今話題となっていた)その(特定の、一台の)車を持っている」
Ich habe Autos.「私は車(に分類されるもの)をたくさん持っている」
Ich habe die Autos.「私は(今話題となっていた)それらの(特定の、複数の)車を持っている」
それぞれに対応する否定文を作ってみると
Ich habe kein Auto.「私は(どんな車であれ、とにかく)車を持っていない」
Ich habe das Auto nicht.「私は(今話題になっていた)その(特定の、一台の)車を持っていない」
Ich habe keine Autos.(理論的には可能だが、あまり使われることのない文なので…)
Ich habe nicht die Autos.「私は(今話題となっていた)それらの(特定の、複数の)車を持っていない」
肯定文なら、不定冠詞つきで表されるような文を否定する時 kein を使っています。
ここで注意するのは、kein は nicht ein ではないということです。
Ich habe nicht ein Auto.「私は車(なんてものは、に類するもの)を一台も持っていない」≠Ich habe kein Auto.
この場合は、ein が不定のもののひとつを表す不定冠詞と言うより、数詞の意味が強くなり、nicht がその数を否定
しているのです。
Ich habe keine Autos.はなぜ、あまり使われないのでしょうか?文法的に間違っているわけではありません。この
文が使われないのは、コンテクストや社会的な前提が理由なのです。会話の状況でも良いのですが、友達が何人か
集まっていて、なぜかみなファミリーカーと、フォーマルカー、そしてスポーツカーを所有していて、それらの車
の優劣などを議論している。するとこの場、状況という小さな社会では、車を複数持っているのが常識であること
になります。でも、私は車を持っていない。おまえは?と訊かれて、
Ich habe keine Autos.あるいは Ich habe nicht ein Auto.
と、答えることは十分考えられます。でもあまり一般的とは言えませんね。
しかし、複数持っているのが、一般常識であるような領域もあります。
Haben Sie Kinder?(日本語の「こどもいますか」も、
「ども」がついて複数を暗示していますね)
Ja, wir haben einen Sohn.(答える時に Ja, wir haben Kinder.とは言わないのも、社会的な規制です。「こどもい
ますか」と訊かれて、
「はい、こどもいます」とは言わないですよね)
Nein, wir haben keine Kinder.(説明できないのは、否定なのに、いないのになぜ複数?ということですが、この
ことが逆に、こども=複数という「常識」の表れととることもできます)
読者のみなさんは、子どもがいるかどうかわかりませんが、同じようなことは Geschwister(=兄弟姉妹の集合名
詞で、複数扱い)でも言えます。
「兄弟いますか」
「はい姉がひとり」というのは普通の会話ですが、みなさんも、
そう思いますか。
3.接続詞
I:並列接続詞
2 課練習5(S.14)で、こんな文が出てきました。
Hast du einen Computer? Ja, aber der Computer ist kaput.
後ろの文は Ja で一回切れていますが、その後ろは独立した文と考えられますが、aber で始まっています。
Aber der Computer ist kaputt.
主語 der Computer に合わせて変化した定動詞は ist ですから、3 番目の位置に来ていることになります。定動詞は
2 番目じゃないの?という疑問を持たれた方は、正しい!よく勉強されている方ですね。
この aber は、文と文をつなぐ機能のある語=接続詞で、その中でも並列接続詞と呼ばれるグループのひとつにな
ります。並列接続詞は、定動詞の語順を考える時には、文の中の要素とは考えないのです。だから:
Aber 番外 der Computer① ist② kaputt③.
となるわけです。教科書本文の「並列の接続詞は語順に影響を与えません」というのは、そういう意味だったので
すね。
Trinken Sie Kaffee oder (trinken Sie) Tee? (S.23)
この文は、一見すると、文と文ではなく、Kaffee と Tee という語と語をつないでいるように見えますが、実は、そ
の裏には
Trinken Sie Kaffee? Oder trinken Sie Tee?
という二つの文が隠れていて、それを一つの文にした結果、後ろの文で共通の要素である trinken Sie が省略され、
結果として、このような文になったわけです。
このような、文の中の要素として数えない並列接続詞には und, aber, oder, denn がまず挙げられます。
それ以外に、否定冠詞のところ(S.22)で出てきた、既出の文ですが
Nein, ich kaufe nicht das Auto, sondern das Fahrrad.
nicht ~ , sondern ~の sondern なども並列接続詞です。colum を参照してください。