楽読 (ラクヨミ) 2015年12月9日 Vol. 1,043 6年10ヵ月ぶりの安値をつけた原油価格 ~米当局は2016年に持ち直しを予想~ 12月4日の総会でOPEC(石油輸出国機構)が減産を見送ったことをきっかけに、原油の供給過剰が続くとの 懸念が強まったことなどから、足元で原油市況が再度、軟調となっています。米国のWTI先物価格は8日、一時 1バレル=36.64米ドルまで下落した後、37米ドル台で引け、2009年2月以来の水準となりました。また、原油 安などを受け、資源国通貨や資源関連株式なども軟調となっています。 こうした中、8日に発表された米エネルギー情報局(EIA)の短期見通しでも、原油価格の予想が引き下げられ ました。ただし、原油の供給過剰は今後も続くものの、消費量の増加に加え、2016年には米国での生産量の 減少などもあり、在庫の増加ペースが大きく鈍化するとして、この10-12月期を底に価格が持ち直しに転じる との見解を示しています。下図のとおり、在庫が200万b/d(バレル/日)近い増加となった頃から、価格は軟調と なっています。これを受け、減産を呼び掛ける声が一部にあるものの、産油国の間での市場シェア争いや、 米国でのシェール・オイルの生産拡大などを背景に生産量は増加し、供給過剰状態が続いてきました。EIA では、2016年には、欧米からの経済制裁の解除が見込まれるイランの市場復帰に伴ない、OPECの生産量は 僅かながらも増加すると見込んでいます。しかし、OPEC非加盟国の生産量については、主に米国での投資 プロジェクトが今年でほぼ一巡するのに伴ない、2008年以来の減少に転じると予想しています。一方、世界の 原油消費量は増加を続けるため、在庫の増加は平均60万b/d程度にとどまると見込んでいます。 このように、EIAでは、原油の供給過剰こそ続くものの、2016年には需給が改善に向かい、価格が持ち直す とみています。ただし、世界の需要量、価格の下落・低迷に対するOPEC非加盟国の対応、イラン産が市場に 出回るタイミング・量*など、原油については今後も不確定要因が多い状況で、価格の振れが一層、大きくなる 可能性に注意が必要です。 *EIAの想定:2016年4-6月期に制裁解除、生産量は同年に平均20万b/d増加、同年末時点の生産量は330万b/d 原油の世界需給および平均価格の推移 (万バレル/日) (2010年1-3月期~2016年10-12月期予想) 10,000 生産量(左軸) 500 消費量(左軸) 9,600 400 9,200 300 (万バレル/日) 8,800 200 8,400 100 8,000 0 7,600 7,200 120 100 80 60 40 -100 在庫増減量(右軸) -200 EIAの予想 54.00 103.35 48.48 WTI原油の価格(四半期平均) (米ドル/バレル) 10年 11年 12年 13年 14年 15年 43.59 16年 EIAのデータ(2015年12月8日発表分)をもとに日興アセットマネジメントが作成 ※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。 ■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘 資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料 作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建 資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付 目論見書)をご覧ください。 1/1
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