高畠町データヘルス計画 平成27年3月 高畠町国民健康保険 目 次 1 計画策定の趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (1)データヘルス計画の背景 (2)計画の期間 (3)計画の位置付けと関連計画 (4)地域の現状 (5)これまでの取組み 1 2 健康・医療情報の分析及び課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (1)医療費からの分析 (2)特定健康診査及びその結果からの分析 (3)保健事業からの分析 (4)後発医薬品利用割合からの分析 6 3 対策の方向性と目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (1)対策の方向性 (2)成果目標 15 4 保健事業の実施内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 5 計画の評価方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 6 計画の見直し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 7 計画の公表・周知に関する事項・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 個人情報保護に関する事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (1)個人情報保護 (2)記録の保存期間等 17 8 9 留意事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 1 計画策定の趣旨 (1)データヘルス計画策定の背景 近年の健康を取り巻く社会環境の大きな変化、とりわけ65歳以上の割合(高齢化率)は年々 増加の一途を辿り、これまで経験のないような少子高齢社会に突入し、医療制度や保険者に大き な影響を及ぼしております。 今後、健康・医療分野で大きな役割を果たす自治体や保険者には、より効果的な保健事業の実 施が不可欠であり、社会保障全体の急務でもあります。 また、直近の死因別データでは、約6割が生活習慣病で占めており、年齢構成や食習慣の変化 に伴いその構造的な課題解決を見出すために、各々の保険者がより具体性のある対策を求められ ているところです。 近年、レセプトの電子化の進展、KDB(国保データベース)システム等の整備により、保険者が 健康や医療に関する情報を活用して被保険者の健康課題の分析、保健事業の評価を行うための基 盤の整備が進んでいます。 こうした中、平成25年6月14日閣議決定された「日本再興戦略」の一つとして、 “国民の健 康寿命の延伸”を重要な柱として位置付けされた中で、加入者の健康保持増進のため、PDCA サイクルに沿った効果的かつ効率的な保健事業の実施を図るための実施計画(データヘルス計画) を策定し、保健事業の実施及び評価を行うよう求められております。 当町においても、第5次高畠町総合計画後期基本計画 第2章中「1.健康で長生きのできる まち」の実現に向けた取り組みをはじめ、高畠町健康増進計画『げんき高畠21』をさらに推進 すべく、本計画を策定し、一層の具現化を図ります。 (2)計画の期間 ・策定年度 平成26年度計画策定 ・計画期間 平成27年度から平成29年度までの3年間とします。 (3)計画の位置付けと関連計画 本計画は、第5次高畠町総合計画後期基本計画を基本理念とし、高畠町健康増進計画を中心に 下記による関連計画と相互に連携しながら、事業が効果的かつ効率的に継続されるための補完的 な位置付けとします。 ① 第2期 高畠町特定健康診査等実施計画 ② 高畠町国民健康保険事業中期運営計画 ③ 高畠町国民健康保険事業計画 1 (4)地域の現状 ① 高畠町の基本情報 表1. 高畠町の基本情報 平成25年度 人口総数(人) 高畠町 山形県 高齢化率(%) (65歳以上) 24,850 27.0 1,158,518 27.7 国保被保険者数 (人) (加入率%) 6,360 (25.6%) 315,521 (27.8%) 国保被保険者 平均年齢(歳) 52.0 52.0 ※KDB システムより 平成25年度における高齢化率(27.0)は県平均(27.7)より下回るものの、全国平均(25.1) を上回ります。 ② 高畠町国民健康保険の基本情報 [1]世帯及び被保険者の状況 表2. 国民健康保険世帯及び被保険者の状況 (年間平均) 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 世帯数(世帯) 3,473 3,423 3,400 3,374 被保険者数(人) 6,867 6,698 6,570 6,390 ※ 国保連合会資料より 平成22年度から平成25年度までの4年間において、被保険者数は 6,867 人から 6,390 人に 約 6.9%減少していますが、世帯数は 3,473 世帯から 3,374 世帯に約 2.9%の減少にとどまってお り、1世帯あたりの被保険者数は減少傾向にあります。 2 ※ ※横軸について 「0」…0∼9 歳 「1」…10∼19 歳 「2」…20∼29 歳 「3」…30∼39 歳 「4」…40∼49 歳 「5」…50∼59 歳 「6」…60∼69 歳 「7」…70∼74 歳 グラフ1.被保険者年齢構成比の年次推移 平成21年5月からの毎年5月の被保険者の年齢構成比の動向をみると横軸は各年代、縦軸は 構成比を表します。60歳∼69歳の年代が最も増加が顕著であり、平成21年5月から平成2 5年5月までで約 7.6%増加しています。また、50歳∼59歳の年代が最も減少が顕著であり、 平成21年から平成25年までで約 4.1%減少しています。なお、平成25年5月における65歳 以上の被保険者の構成率は約 30.7%です。 [2]一人あたり医療費 表3. 一人あたりの医療費比較 一人あたり医療費 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 全被保険者(円) 県内市町村平均 〃 順位 304,203 301,516 15 310,014 310,619 15 334,710 322,986 9 338,591 332,347 13 一般 (円) 県内市町村平均 〃 順位 300,740 297,516 15 307,650 305,826 14 331,835 317,471 8 336,463 329,539 11 退職 (円) 県内市町村平均 〃 順位 348,208 353,234 16 333,146 364,693 24 359,416 381,904 14 354,686 361,022 16 ※ 国保連合会資料より 平成25年度の全被保険者一人あたりの医療費は 338,591 円と市町村平均より約 1.9%上回っ ております。被保険者種別にみると、一般被保険者分では県内市町村平均より約 2.1%上回ってお ります。 3 [3]保健事業費 表4. 保健事業費 (円) 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 11,267,783 19,724,817 12,625,791 16,180,806 4,646,608 4,459,292 13,590,076 12,916,833 合計 15,914,391 24,184,109 26,215,867 29,097,639 一人あたり費用 2,318 3,611 3,990 4,554 特定健康診査等 事業費 保健衛生普及費 疾病予防費 ※ 国保連合会資料より 一人あたりの保健事業費は平成24年度が 3,990 円でしたが、平成25年度は 4,554 円と町独自 で疾病予防事業に取り組んでおり約 14.1%増と伸びています。 4 (5)これまでの取組み 事業名 事業の目的及び概要 特 定 健 康 診 査 【目的】内臓脂肪症候群に着目した健診で生活習慣病の有病者・予 備群を減少させる 【概要】高畠町健診センターで集団方式にて実施 追加項目あり(血清クレアチニン、尿酸値、尿潜血) 特 定 保 健 指 導 【目的】内臓脂肪症候群に着目した保健指導で生活習慣病の有病 者・予備群を減少させる 【概要】積極的支援:委託 動機づけ支援:直営 4 0 歳 人 間 ド ッ ク 3 0 歳 代 健 康 診 査 保 健 健 康 指 相 導 談 至 適 予 防 医 療 の 確 立 (たかはたげんきプロジェクト) 糖 尿 病 重 症 化 予 防 対 策 事 業 健 地 康 区 づ 組 く 織 活 り 動 後発医薬品利用促進事業 対象者 実施状況及び課題など 40∼74 歳 【平成 25 年度法定報告実績】 受診率:49.9% 送迎(希望者) ・年度当初に日程通知・未受診者への電話による勧奨・ 初回受診者へ健康ファイル配布・受診時特保ドリンクの配布 40∼74 歳 【平成 25 年度積極的支援】 指導率:59.7% 終了率:20.8% 【平成 25 年度動機付け支援】 指導率:76.0% 終了率:71.3% 毎週保健指導を実施し、都合に合わせて日時調整も可 【目的】内臓脂肪症候群に着目した健診及び保健指導とがん検診を 実施し、生活習慣病の予防とがんの早期発見を図る 40 歳 【概要】特定健診に追加項目あり(視力・聴力) 【目的】内臓脂肪症候群に着目した健診で若い世代からの生活習慣 病予防対策を講じる 30∼39 歳 【概要】35 歳全員対象・30∼34 歳及び 36∼39 歳は国保のみ対象 【目的】生活習慣病の予防・疾病の重症化・疾病の早期発見・早期 治療 30 歳以上 【概要】30 歳代健診事後指導・病態別保健指導・至急精検保健指導・ 健診結果相談・食事運動相談 【目的】生活習慣病予防の効果的な指導法を確立する 【概要】山大医学部との共同研究 BMI25 以上かつ eGFR89.9∼60 の方へ保健指導プログラム 【目的】糖尿病重症化予防 【概要】山大医学部との共同研究 治療状況についての問診・保健指導、早期介入 ウォーキングの推進・月 1 運動講座・その他の運動指導事業・受動 喫煙対策・健康展・その他健康教育・広報などの啓発 など 食生活改善推進員、健康運動サポーター、健康推進員 【目的】後発医薬品に切り替えることによって医療費の削減を図る 【概要】医療費削減額などを年 3 回通知・保険証更新時に後発医薬 品利用希望シールを配布 5 【平成 25 年度】受診率:37.0% 【平成 25 年度】 受診者数:88 人(うち国保 68 人)受診率:11.5% 生活習慣改善につなげることが課題 40∼74 歳 【H26】実施者数:75 人 効果の検証と今後の計画について要検討 40∼74 歳 【H26】実施者数:200 人 治療中も対象とした早期介入の方法を検討することが課題 ― 各種講座の参加者の増 ― 活動の推進、人員の増 0∼74 歳 【平成 25 年度】延べ 3,498 人 【平成 25 年度】数量割合 45.7% 2 健康・医療情報の分析及び課題 (1)医療費からの分析 ① 疾病合計の一人あたり医療費 全疾病合計の一人あたり医療費は県内市町村平均と同程度もしくは平均より高く、平成25年 度においては県平均を約 6,200 円、約 1.9%上回っています。また、年次推移でも平成22年度か ら平成25年度までの4年間で約 11.3%増加しています。 (表3.一人あたりの医療費比較) ② 疾病大分類別の一人あたり医療費 グラフ2.平成26年5月診療分一人あたり医療費(大分類別) 一人あたり医療費を疾病別にみると循環器系の疾患が一番高く 6,670 円となっています。次い で新生物の 3,847 円、精神及び行動の障害の 3,377 円が続いています。 県平均と比較すると上位4位までの循環器系の疾患、新生物、精神及び行動の障害、消化器の 疾患で県平均を上回っています。 6 疾病大分類別の年次別医療費構成比 25.0% 20.0% 15.0% 10.0% 5.0% ⑳特殊目的用コード ⑲損傷 ⑱症状 H25 ⑰先天奇形 ⑯周産期に発生した病態 H24 ⑮妊娠 ⑭腎尿路生殖器系の疾患 ⑬筋骨格系及び結合組織の疾患 H23 ⑫皮膚及び皮下組織の疾患 ⑪消化器系の疾患 ⑩呼吸器系の疾患 H22 ⑨循環器系の疾患 ⑧耳及び乳様突起の疾患 ⑦眼及び付属器の疾患 H21 ⑥神経系の疾患 ⑤精神及び行動の障害 ④内分泌 ③血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 ②新生物 ①感染症および寄生虫症 0.0% H26 グラフ3.疾病大分類別の年次別医療費構成比 年次別医療費構成比をみると、各年を通じて新生物、精神及び行動の障害、循環器系の疾患、 消化器系の疾患の占める割合が大きいことがわかります。 男性 医療費 順位 疾病名 1 循環器系の疾患 2 新生物 3 精神及び行動の障害 4 消化器系の疾患 5 内分泌、栄養及び代謝疾患 増加額 疾病名 新生物 増加率 疾病名 損傷、中毒及びその他の外因の影響 新生物 神経系の疾患 皮膚及び皮下組織の疾患 消化器系の疾患 損傷、中毒及びその他の外因の影響 循環器系の疾患 神経系の疾患 消化器系の疾患 女性 医療費 順位 疾病名 1 循環器系の疾患 2 精神及び行動の障害 3 消化器系の疾患 4 新生物 5 内分泌、栄養及び代謝疾患 増加額 疾病名 循環器系の疾患 新生物 腎尿路生殖器系の疾患 増加率 疾病名 血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 妊娠、分娩及び産じょく 先天奇形、変形及び染色体異常 損傷、中毒及びその他の外因の影響 損傷、中毒及びその他の外因の影響 消化器系の疾患 腎尿路生殖器系の疾患 増加額 疾病名 新生物 循環器系の疾患 増加率 疾病名 妊娠、分娩及び産じょく 損傷、中毒及びその他の外因の影響 血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 消化器系の疾患 妊娠、分娩及び産じょく 新生物 循環器系の疾患 男女 医療費 順位 疾病名 1 循環器系の疾患 2 新生物 3 精神及び行動の障害 4 消化器系の疾患 5 内分泌、栄養及び代謝疾患 損傷、中毒及びその他の外因の影響 表5.疾病大分類別の医療費分析の各順位 7 男性では、循環器系の疾患、新生物、神経系の疾患、消化器系の疾患などが高い順位に位置して います。女性では、循環器系の疾患、新生物、消化器系の疾患、腎尿路生殖器系の疾患、損傷・中 毒及びその他の外因の影響などが高い順位に位置しています。 男女計では、循環器系の疾患、新生物、消化器系の疾患、損傷・中毒及びその他の外因の影響な どが高い順位に位置しています。 ③ 主要疾病の一人あたり医療費 年度 悪性新生物 町 県 H23 H24 H25 H26 年度 年度 県 3,507 1,442 1,352 2,461 2,366 1,835 1,330 1,170 1,322 1,780 1,563 3,094 3,633 1,629 1,492 2,875 2,466 1,372 1,478 1,681 1,421 1,823 1,706 2,774 4,058 1,852 1,596 2,794 2,471 1,766 1,521 1,351 1,376 1,994 1,748 4,438 3,999 1,739 1,581 2,662 2,660 2,102 1,583 1,628 1,396 1,758 1,708 一人あたり医療費(女性) 高血圧性疾患 心疾患 町 県 町 県 糖尿病 町 県 (円) 歯の疾患 町 県 脳血管疾患 町 県 1,693 2,176 1,215 932 2,937 2,382 969 781 439 790 2,170 1,843 2,345 2,444 1,378 977 3,118 2,411 1,752 629 586 909 2,616 2,009 2,854 2,647 1,435 994 3,059 2,484 1,082 843 1,753 856 2,602 2,029 2,791 2,445 824 1,002 3,037 2,516 2,380 664 822 837 2,525 2,023 悪性新生物 町 県 H23 H24 H25 H26 町 (円) 歯の疾患 町 県 脳血管疾患 町 県 2,059 悪性新生物 町 県 H23 H24 H25 H26 一人あたり医療費(男性) 高血圧性疾患 心疾患 町 県 町 県 糖尿病 糖尿病 町 県 一人あたり医療費(男女計) 高血圧性疾患 心疾患 町 県 町 県 脳血管疾患 町 県 (円) 歯の疾患 町 県 1,889 2,848 1,336 1,144 2,682 2,374 1,431 1,058 830 1,059 1,962 1,702 2,746 3,046 1,513 1,238 2,988 2,439 1,549 1,059 1,172 1,168 2,191 1,856 2,811 3,361 1,659 1,299 2,917 2,477 1,449 1,186 1,537 1,119 2,276 1,886 3,679 3,232 1,317 1,295 2,835 2,589 2,230 1,129 1,257 1,120 2,111 1,863 表12.主要疾病の一人あたり医療費 平成23年から平成26年までの、毎年5月診療分の主要疾病における一人あたり医療費をみると、 男性では糖尿病、高血圧性疾患、歯の疾患で県平均を上回ります。女性では高血圧性疾患、心疾患、 歯の疾患で県平均を上回り、男女計では糖尿病、高血圧性疾患、心疾患、歯の疾患で県平均を上回り ます。 ④ 生活習慣病の罹患状況(重複疾病の抽出:平成 26 年 5 月診療分のレセプト分析より) 生活習慣病全体のレセプト分析により、糖尿病(合併症) 、高血圧症、脂質異常症、虚血性心疾患、 脳血管疾患、人工透析の状況をみると、生活習慣病のうち高血圧症が男女ともに高い割合を示し、県 内でも上位です。糖尿病及び人工透析は低い状況にあります。 一方、糖尿病の治療状況や合併症の罹患状況をみると、インスリン療法は県内2位であり、糖尿病 性腎症及び神経障害は共に県内4位、糖尿病性網膜症は県内3位と合併症併発の割合が高く、いずれ においても上位となっています。その原因として適切な受診行動に結びついていないなど、疾病発見 の段階ですでに重症化していることや、治療の過程におけるコントロール不良などが考えられます。 現段階では、人工透析率は他市町村と比較して少ない状況ですが、対策を講じなければ、今後、透 8 析導入者の増加が懸念されます。 (2)特定健康診査及びその結果からの分析 ① 特定健康診査及び特定保健指導実施状況 グラフ4.特定健康診査受診率(年次別) グラフ6.特定保健指導実施率(年次別) グラフ5.特定健康診査年齢階層別受診率 グラフ7.特定保健指導年齢階層別実施率 特定健康診査及び保健指導については、糖尿病などの生活習慣病の発症や重症化予防の最も重要 な取り組みとして、 「高畠町特定健康診査等実施計画」に基づき実施しております。 平成25年度の特定健康診査受診率は 49.9%で、計画目標値である 46%を超えており、過去5年 間においても県平均より高い受診率となっています。しかしながら、町の受診状況を年代別にみる と、40歳代・50歳代の受診率が低く、また、男性の受診率が低い状況です。 特定保健指導では、対象者数の減少がみられ、6 か月間の指導期間の終了率も向上しており、 平成25年度の実施率は計画目標値である 50%を超えています。 9 ② 特定健康診査の結果の状況 グラフ8.内臓脂肪症候群の割合(年次別・県比較) グラフ9.内臓脂肪症候群該当者+予備群者(県内状況) グラフ10.内臓脂肪症候群判定基準による該当者及び予備群者減少率 グラフ11.特定保健指導階層化判定による指導対象者減少率 グラフ13.肥満者の割合(性別・年代別) グラフ12.肥満者の割合(性別) 特定健康診査の結果をみると、内臓脂肪症候群該当者及び予備群者の割合は減少傾向にありますが、 依然として県平均を上回っており、県内上位に位置しています。また、男性の肥満割合が高いことが わかります。これらのことから、肥満割合が高く、受診率の低い40歳代、50歳代の男性の受診率 を上げ、結果に基づいた保健指導につなげていくことが重要です。 10 検査項目別にみると、血圧及び血糖におい て、保健指導判定値以上の割合が高い状況に あります。特に、血圧において、受診勧奨値 該当割合が高く 28.8%で、また、血糖におい て、53.3%が保健指導判定値以上であり、今 後対策を講じる必要があります。 グラフ14.検査項目結果別割合(血圧・血中脂質、血糖) 基準範囲内 血圧 血中脂質 血糖 収縮期129㎜Hg以下かつ拡張期84 ㎜Hg以下 中性脂肪149㎎/dl以下または HDL40㎎/dl以上 保健指導判定値 受診勧奨値 収縮期130∼139㎜Hgかつ拡張期 89㎜Hg以下または収縮期139㎜Hg 以下かつ拡張期85∼89㎜Hg 中性脂肪150∼299㎎/dlかつ HDL35㎎/dl以上または中性脂肪 299㎎/dl以下かつHDL35∼39㎎/dl 空腹時血糖99㎎/dl以下かつHbA1c 空腹時血糖100∼125㎎/dlまたは 5.5%以下 HbA1c 5.6∼6.4% グラフ15.血圧高値者の状況(肥満者、非肥満者別) 収縮期140㎜Hg以上かつ拡張期90 ㎜Hg以上 中性脂肪300㎎/dl以上または HDL34㎎/dl以下 空腹時血糖126㎎/dl以上または HbA1c 6.5%以上 グラフ16.糖尿病非治療者の血糖値結果 11 グラフ17.糖尿病非治療者の血糖値結果(年代別) 判定① (基準範囲内∼保健指導判定値) 判定② (受診勧奨判定値レベル1)) 判定③ (受診勧奨値レベル2) 収縮期139㎜Hg以下 かつ拡張期89㎜Hg以上 収縮期140∼159㎜Hg または拡張期90∼99㎜Hg 収縮期160㎜Hg以上 または拡張期100㎜Hg以上 血圧判定 血糖値判定 判定① (基準範囲内) 判定② (保健指導判定値レベル1) 判定③ (保健指導判定値レベル2) 判定④ (受診勧奨判定値) 空腹時血糖99㎎/dl以下 かつHbA1c5.5%以下 空腹時血糖100∼109㎎/d lまたはHbA1c5.6∼5.9% 空腹時血糖110∼124㎎/dl またはHbA1c6.0∼6.4% 空腹時血糖126㎎/dl以上 かつHbA1c6.5%以上 血圧及び血糖の結果について、肥満者・非肥満者別にみてみると、肥満者のうち血圧の判定②(受 診勧奨値レベル1:オレンジゾーン)に該当する者の割合は 29.5%、判定③(受診勧奨値判定レベル 2:レッドゾーン)に該当する者は 7.1%と高い割合を示しています。高血圧対策として、肥満者への 指導もより効果的であり、重要であると言えます。また、血糖では非肥満者と比較して肥満者の有所 見割合が高く、判定②及び判定③(保健指導判定値レベル1+レベル2:イエローゾーン)の該当者 が 52%となっています。さらに、糖尿病治療者のうち、肥満でなおかつ HbA1c7.0 以上のコントロール が良好でないとされる者は30人(治療者のうち 13%)おり、治療者の重症化予防対策も必要です。 (3)保健事業からの分析 ① 30歳代の健康診査結果 平成26年度の30歳代の健康診査結果をみると、男性の肥満割合が高く、また血中脂質におい ては受診者のうち男性の 55%が有所見でした。 ② 保健指導 慢性腎臓病の予防として、65歳以下で BMI25 以上の肥満者で eGFR 値(推算糸球体ろ過量)が8 9以下の特定健康診査受診者を対象に体重管理と血圧、食生活の改善などの保健指導を行っていま す。平成26年度は75人に実施し、効果検証を行っています。 ③ 糖尿病重症化予防 特定健康診査の結果、糖尿病治療者および非治療者を問わず、血糖値が高い方へのアプローチと して、訪問による結果説明と受診勧奨を実施しています。非治療者においては、早期の受診につな がっています。治療者においては、継続した治療と医療機関との連携が適切に行われるようにして おり、今後も適切な受診を促し糖尿病の重症化を予防していく必要があります。 12 (4)後発医薬品利用割合からの分析 後発医薬品利用割合の推移 (件) (%) 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 平成26年3月 平成26年2月 平成26年1月 平成25年12月 平成25年11月 代替可能先発品 平成25年10月 平成25年9月 平成25年8月 平成25年7月 平成25年6月 後発品(A) 平成25年5月 平成25年4月 平成26年5月 平成25年2月 平成25年1月 平成24年12月 平成24年11月 平成24年9月 平成24年10月 平成24年8月 平成24年7月 平成24年6月 平成24年5月 平成24年4月 0 100.0 90.0 80.0 70.0 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 普及率 グラフ18.後発医薬品普及率の推移 後発医薬品利用割合の推移をみると、平成24年4月調剤分での利用割合 40.9%から平成26年 3月調剤分での利用割合は 49.6%と向上しています。しかしながら、平成26年3月調剤分におけ る利用割合では県内31位と下位に位置しています。今後もレセプト情報に基づき、後発医薬品を 利用した場合の自己負担削減額を被保険者に通知し、後発医薬品の利用促進に努めていく必要があ ります。 13 (1)、(2)、(3)、(4)の分析による主な健康課題 40歳代、50歳代の特定健康診査受診率、特に男性の受診率が低い 30歳代の健康診査結果から、肥満、血中脂質などの有所見の割合が特に男性に多い傾向 にある 「循環器系の疾患」の一人あたり医療費が突出して高く、疾病では高血圧性疾患の受診率 や心疾患での一人あたり医療費が高い 「糖尿病」 「高血圧性疾患」 「心疾患」の一人あたり医療費が高い 特定健康診査の状況から、血圧の保健指導判定値以上の割合が高く、また肥満者のうち 36.8%が受診勧奨値以上である 特定健康診査の状況から血糖の保健指導判定値以上の割合が高い 特定健康診査受診者で糖尿病治療者のうち、血糖コントロール目標値を超える割合が 27.2%である (※HbA1c7.0 以上) 男性の肥満者割合が高い 特定健康診査の状況から、内臓脂肪症候群該当者の割合は減少していますが、県内の状況 と比較して依然として高い 後発医薬品の利用割合が県内の状況より低い 14 3 対策の方向性と目標 (1)対策の方向性 ◎受診率が低い状況にある40歳代、50歳代の特定健康診査受診率の向上を図り、健康診査の 結果に応じた保健指導により、生活習慣の改善を図ります。また、30歳代に実施している健 康診査の積極的な受診を勧めていくことで、早い段階からの生活習慣病予防への取組を推進し ていきます。 ◎血糖や血圧での有所見者割合が高い状況であり、これらは血管の老化や、動脈硬化の進行の実 態を表しており、その後の生活習慣病の発症リスクが高い状況と言えます。食生活の改善や適 正体重の維持を図り、結果の改善につなげ、生活習慣病の発症を予防していきます。 ◎糖尿病、高血圧症、心疾患の重症化を予防するため、受診勧奨値該当者を早期に医療につなげ ると共に、医療中断者をなくし、適切な医療が継続されるよう支援します。 ◎後発医薬品の普及促進を図り、医療費を削減するため、レセプト情報に基づいた後発医薬品を 利用した場合の自己負担削減額を被保険者に通知します。また高齢受給者証交付説明会などに おいて、後発医薬品利用促進のための説明を行い、今後も利用促進に向けた取組みを行います。 (2)成果目標 平成27年度から平成29年度にかけての成果目標として、以下に掲げます。 ① 40∼50歳代の特定健康診査の受診率の向上を目指します (平成27年度51%、平成28年度55%、平成29年度60%:高畠町特定健康診査 等実施計画の目標値) ② 内臓脂肪症候群該当者と予備群者の減少率を平成20年度と比較して25% 以上を目標とします ③ 保健指導により、生活習慣が大きく関与する血圧、血糖の検査結果の改善を目 指します ・特定健康診査において、血圧オレンジゾーンの割合を平成26年度より5%減少を目指しま す。 (オレンジゾーン:収縮期 140mmHg≦収縮期血圧<160 mmHg、 または 90 mmHg≦拡張期血圧<100 mmHg) ・糖尿病の予防と治療中の方の重症化予防として、空腹時血糖有所見者の割合を平成 26 年度 より3%減少を目指します。 ・糖尿病治療中で血糖コントロールが不良である方の割合を平成26年度より3%減少を目指 します。 ④ 後発医薬品の利用数量割合を平成29年度末までに60%以上に向上するこ とを目指します 15 4 保健事業の実施内容 項目 事業名 特定健康診査 健 康 診 査 40 歳人間ドック 30 歳代健康診査 特定保健指導 健診事後指導・病態別保健指 保 健 指 導 導 健 康 相 談 至急受診勧奨 健診結果相談・食事運動相談 糖尿病重症化予防対策事業 研 究 事 業 至適予防医療の確立のため 研究事業 目標 評価指数 健診受診率向上により、 高血圧、脂質異常症、糖 尿病、内臓脂肪症候群の 減少を目指す。 若い世代からの生活習 慣病対策を図るため、受 診率向上を目指す。 ・健診受診率 ・保健指導実施率 ・受診勧奨における受診率 ・健診継続受診率 ・検査データの改善状況 (血圧、血糖、脂質等) ・肥満該当者の減少率 保健指導率向上により、 ・内臓脂肪症候群該当者、 高血圧脂質異常症、糖尿 予備群の減少率 病、内臓脂肪症候群の減 ・生活習慣病にかかる医療 少を目指す。 費の状況 結果に応じた保健指導 により、疾病の重症化予 防を目指す。 実態に合わせたより効 果的な保健指導の確立 を目指す。 ウォーキングの推進・運動講 座・その他の運動指導事業・ 喫煙防止対策・健康展・その 健康づくり 他 健 康 教育 ・広 報 などの 啓 発・食生活改善推進員活動・ 健康に関する情報の発 信と普及啓発を図り、健 康に対する意識の向上 を目指す。 健康運動サポーター活動・健 康推進員活動 医療費削減 後発医薬品利用促進事業 後発医薬品の利用率向 上を目指す。 16 ・後発医薬品の利用率 5 計画の評価方法 計画の評価は、計画最終年度に実施するものとし、目標とする数値については、各年度に達成率を 評価します。 6 計画の見直し この計画は平成27年度から平成29年度の3年間を一期として策定するものですが、社会環境な どの変化により、必要に応じて見直しを行います。 見直しを行う場合は、データヘルス計画の実施状況報告書を作成し、高畠町国民健康保険運営協議 会において審議します。 7 計画の公表・周知に関する事項 データヘルス計画については、町のホームページなどで周知を図ります。 8 個人情報保護に関する事項 (1)個人情報保護 個人情報保護に十分に配慮し、個人情報の保護に関する法律、これに基づくガイドライン及び高 畠町情報公開及び個人情報保護条例などに基づいた対応を行います。 レセプト、特定健康診査及び特定保健指導の実施結果データについては、データベースの形で個 人別・経年別に管理・保存します。 また、高畠町行政情報セキュリティポリシーについても周知徹底を図り、個人情報の厳重な管理 や目的外使用の禁止などを契約書に定めるとともに、委託先の契約遵守状況を管理していきます。 (2)記録の保存期間等 レセプト、特定健康診査などの記録は、5年間保存します。 9 留意事項 データヘルス計画は、高畠町健康増進計画や第2期高畠町特定健康診査等実施計画と整合性を図 る必要があるため、本町のこれらの計画に掲げる施策、評価指標と整合性が図られるよう調整しま す。 17 平成27年3月作成 高 畠 町 国 民 健 康 保 険 山形県東置賜郡高畠町大字高畠436番地 高畠町町民課医療給付係 電話0238−52−1327
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