厄介な呼応の副詞を攻略し、 ワンランク上の実力を身につける!

01
TOSHIN TIMES SPECIAL NUMBER
志望校合格を目指す生徒とそのご父母のための大学進学情報紙
学力増進号
vol.4
∼2014∼
古文
「呼応の副詞」編
厄介な呼応の副詞を攻略し、
ワンランク上の実力を身につける!
POINT 1
うっかり解釈を間違えたり、空所補充問題に出
されて対処できなかったりと何かと呼応の副
詞は厄介です。最もよく出題される打消と呼応
する副詞を確実に習得し、実戦力を向上させま
しょう。
とみい
けんじ
東進国語科 古文講師・富井 健二先生
古文の打消語は
「ず・
じ・
ま
じ・で・なし」
の5つ。
古文における打消表現には「ず・じ・まじ・で・なし」の5つがあります。
例えば「つゆ」という副詞は後に打消語をともなう呼応の副詞ですが、
「つゆ・・・ 」の空所に適語を補充する場合、5つの中からどれ
か1つをチョイスしなければなりません。
「ず・じ・で」は未然形に、
「ま
じ」は終止形およびラ変型の連体形に、助動詞「なし」は主に名詞や
助詞に続きます。まずこの接続のカタチに着目すること。
加えて「ず・じ・まじ」は助動詞、
「なし」は形容詞ですから、それ
自体が活用します。適当な形に直して入れなければなりませんよ。
「ず・じ・まじ・で・なし」のそれぞれの機能を確認し、例題1 を解
いてみましょう。太字の部分が活用表の終止形にあたります。
【5つの打消語とその機能】
「
(ず)
・ざら/ず・ざり/ず/ぬ・
ず →未然形に接続する助動詞。
ざる/ね・ざれ/ざれ」と活用する。意味は打消(∼ない)
「○/○/じ/じ/じ/○」と活用
じ →未然形に接続する助動詞。
する。意味は打消推量(∼ないだろう)もしくは打消意志(∼つ
もりはない)
。
「
(まじく)
・
まじ →終止形及びラ変の連体形に接続する助動詞。
入試に必要不可欠な、古文単語と古文読解を
“ビジュ
アル”解説。基礎から応用まで難なくマスターさせ、古
文が読めない受験生を根絶させる実力熱血講師。古文
を簡単明瞭に解き明かし、速読の秘訣や古文特有の「教
養」
を伝授していく授業は、毎回受講生をうならせる。
POINT 2
「え…打消語」
は最も出題される
呼応の副詞の王様
「え…打消語」は「…できない」と訳す不可能の意味の表現です。
最頻出なので、必ずチェックしておいてください。では 例題2 を解
いてみましょう。
例題2 次の空欄に入る語を後の①∼⑤から選び、傍線部を解釈せよ。
「子は京に宮仕へしければ、
(母の所に)まうづとしけれど、
まうでず。
」
①こそ ②ぞ ③え ④いかで ⑤まだき まじから/まじく・まじかり/まじ/まじき・まじかる/まじ
文末に打消の助動詞「ず」があるので、空欄には打消と呼応する副詞
けれ/○」と活用する。意味は打消推量(∼ないだろう)
・
が入ります。この「ず」は終止形ですから、
文末を已然形にする係助詞「こ
打消意志(∼つもりはない)
・不可能(∼できない)
・打消当
然(∼はずがない)
・禁止(∼するな)
・不適当(∼ない方がよい) そ」や、文末を連体形にする係助詞「ぞ」や疑問・反語の副詞「いかで」
「まだき」は「早くも」と訳す副詞ですが、
で →未然形に接続する接続助詞。意味は「∼ないで」と打消なが なども入れることはできません。
ら接続する。
「行かで、
」のように「、
」が続く。
これも文脈から考えて入れることはできません。よって、③が正解になり
「なく・なから/なく・なかり/なし
なし →打消の意味の形容詞。
ます。
「え∼ず」ですから「∼できない」と訳しましょう。
/なき・なかる/なけれ/なかれ」と活用する。名詞や助詞
(訳)子供は京都に宮仕えをしていたので、
(母のもとに)参ろうとしたけれども
に続くことが多い。
参ることができない。
例題1 次の空欄に入る語を後の①∼⑤から選び、活用する語は適当な
かたちに直しなさい。
「冬枯れのけしきこそ、秋にはをさをさ劣る 。
」
①ず ②まじ ③なし ④じ ⑤で
「をさをさ」は後に打消語を伴って「ほとんど」もしくは「まったく」
と訳す呼応の副詞です。空欄部が「劣る」という四段活用動詞の終止形
もしくは連体形に接続していることに注意しましょう。①∼⑤の中で終
止形か連体形に接続するのは②「まじ」しかありません。係助詞「こそ」
は文末を已然形にしますので、ここには「まじけれ」が入ることになり
ます。助動詞「まじ」の用法もチェックしておきましょう。
(訳)冬枯れの様子は、秋の様子にまったく劣るはずもないだろう。
+α 「まじ」の意味とその用法
打消推量(∼ないだろう)
→主語が三人称の場合。
打消意志(∼つもりはない)
→主語が一人称の場合。
不可能(∼できない)
→
「え・・・まじ」のような場合。
打消当然(∼はすがない)
→主語が二人称の場合。体言が続く場合。
禁止(∼するな)
→主語が二人称の場合。最も強い言い回し。
不適当(∼ない方がよい)
→主語が二人称の場合。打消当然や禁止
より穏やかな言い回し。
+α 不可能の表現をまとめてチェック
□
「え…打消」以外の不可能の表現を以下にあげておきます。
○助動詞の「べし」や「る・らる」が打消語や「やは・かは」な
どの反語表現とともに使用されると不可能の意味になります。
「羽なければ、空をも飛ぶべからず。
」
(訳)羽がないので、飛ぶこともできない。
「さてもやは永らへ住むべき。
」
(訳)そのまま永遠に生きることができるだろうか、いやできない。
い
ね
「恐ろしくて、寝も寝られず。
」
(訳)恐ろしくて寝ることもできない。
○
「∼あたはず(能はず)
・∼かなはず(叶はず)
・∼やらず・∼あ
へず」なども重要な不可能の表現です。
「深く喜ぶことあれども、大きに楽しむにあたはず。
」
(訳)大変嬉しいことがあっても、大いに喜ぶことができない。
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裏面へ続く!
TOSHIN TIMES SPECIAL NUMBER
02
イの「いと」は打消接続の接続助詞「で」が続いているので、
「たい
POINT 3
全部否定は
「おほかた・つゆ・
さらに・
かけて・たえて・ゆめ・よに・よも」
をチェック
!
して…ないで」と訳しましょう。
「の」は格助詞「の」の主格用法なので、
「∼が」と訳さなければいけません。
(訳)雪がたいして高くはなくて、うっすらと降っているのも大変趣がある。
ロの「をさをさ」の後に打消の助動詞「ず」が続いています。ここは「あ
まり…ない」と訳しておきましょう。
「まったく・けっして・少しも・全然」などと訳す全部否定の意味
をもつ副詞は「おほかた・つゆ・さらに・かけて・たえて・ゆめ・よに・ (訳)ここでは遠慮されて、自分からあまり参らない。
よも」などです。
「つやつや・さらさら・ゆめゆめ」も同じ。
「よも」
は打消推量の「じ」を伴って「まさか…ないだろう」と訳すケースが
ほとんど。では 例題 3 を解いてみましょう。
さて POINT や +α などの確認はできましたか。それでは最後に、
君の力を試してみましょう。
例題3 傍線部イ∼ハを呼応の副詞に注意して解釈せよ。
「知らぬ人の中にうち臥して、イつゆまどろまれず。
」
」
「この川飛鳥川にあらねば、淵瀬ロさらに変はらざりけり。
」
「文はハよに見たまはじ。ただ言葉にて申せよ。
イは「つゆ・・・ず」で「全く…ない」と訳しましょう。
「れ」が可能
の助動詞「る」の未然形であることと、
「まどろむ」が「眠る」と訳
す語であることに注意して解釈しましょう。
(訳)知らない人の中で横になって、全く眠ることができない。
ロは「さらに…ざり」の「ざり」が打消の助動詞「ず」の連用形なので「全
く…ない」と訳しましょう。
(訳)この川は飛鳥川でないので、淵や瀬は全く変わらなかった。
ハは「よに…じ」を「まさか…ないだろう」と訳しましょう。
「決して」
でもかまいません。
「文」は手紙の意。
「たまは」は「お∼になる・∼
なさる」と訳す尊敬の補助動詞です。
「よに」
「さらに」は「に」の識
別の問題になることもありますので、注意しましょう。
(訳)手紙は決して御覧にならないだろう。ひたすら言葉で申し上げよ。
【1】
次の空欄に入る適当な言葉を後の①∼④のうちから一つ選べ。
「さすがに、いたくもしたるかな。 見及ばぬ心ばへよ。
」
①さだめて ②いかで ③な ④かけても
【2】次の空欄に入る適当な言葉を後の①∼⑤のうちから一つ選べ。
「さりとも、よも子を捨てては逃げ 。
」
①まじ ②ず ③じ ④で ⑤なし
【3】傍線部を解釈せよ。
「よみ捨てたらん歌をさうなく人にちらし見する事、ゆめあるべか
らず候。
」
正解はWEBで 学力増進号
+α 「ゆめ・ゆめゆめ」の注意点
「ゆめ・ゆめゆめ」には禁止の用法もあります。
「決して」は「決し
て行かない」だと全部否定ですが、
「決して行くな」だと禁止です。
「ゆめこの雪落とすな。
」
(訳)決してこの雪を落としてはならない。
POINT 4
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「をさをさ」
「いと」
は
まとめてチェック
!
「をさをさ」は「ほとんど」もしくは「全く」と訳す呼応の副詞です。
「いと」は通常「非常に」と訳す程度の副詞ですが、
打消語を伴うと「そ
れほど・たいして・あまり」などと訳すことになります。では 例題4
を解きましょう。
例題4 次の傍線部を副詞に注意して解釈せよ。
「イ雪のいと高うはあらで、うすらかに降りたるなどはいとこそを
かしけれ。
」
」
「ここにはかしこまりて、自らもロさらにをさをさ参らず。
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