ディズニーのグローバル・マーケティング ~アメリカ文化と日本文化が

『ディズニーの
グローバル・マーケティング』
~アメリカ文化と日本文化が生み出した
東京ディズニーリゾートの成功~
枚数
:
22 枚
指導教員名 :
水越
康介
学修番号
:
06159109
氏名
:
山岡
由香
准教授
目次
1.はじめに.............................................................................................................. p.1
2.グローバル・マーケティング .............................................................................. p.1
2-1.グローバル・マーケティングとは
2-2.適応化戦略と標準化戦略
2-3.適応化戦略 VS 標準化戦略の問題
3.サービス・マーケティング ................................................................................. p.3
3-1.サービスとは
3-2.サービス・マーケティング戦略
4.グローバル・サービス・マーケティング ............................................................ p.5
4-1.製造企業の既存理論の適用
4-2.サービス業の標準化戦略と現地適応化戦略の選択
5.ディズニー運営会社オリエンタルランドとは ..................................................... p.7
5-1.ディズニーの海外進出
5-2.ディズニーという強みを持ったオリエンタルランド
5-3.遊園地・レジャーランド市場からみるオリエンタルランド
5-4.オリエンタルランドが持つ優位性
6.ディズニーのグローバル・サービス・マーケティング ..................................... p.10
6-1.東京ディズニーランドのアトラクション
6-2.日本オリジナルのテーマパーク、東京ディズニーシー
6-3.ディズニーのサービス・マーケティング
7.世界のディズニーと日本のディズニー .............................................................. p.16
7-1.世界のディズニー・テーマパーク
7-2.お土産文化の日本
7-3.ゲストが作り出すディズニー文化
7-4.ディズニーのイベント
8.まとめ ............................................................................................................... p.20
9.参考文献............................................................................................................ p.21
1.はじめに
1983 年 4 月 15 日にアメリカ以外で世界初のディズニーのテーマパーク、
「東京ディズニ
ーランド(以下、TDL)」がオープンした。「このときは、東京ディズニーランドのこれほ
どの成功を予測していなかった。」
(粟田・2001・p.ⅳ)と言うように、開園 1 年で 1 千万
人を集めた遊園地もいずれは衰退していくものと考えていた人々も多いのではないだろう
か。しかし、TDL は 26 年経った今でも入場者数を増やし続け、遊園地・レジャーランドの
市場占有率は 40.2%(オリエンタルランド HP)と他社を寄せ付けない強さを誇っている。
「ディズニーランドは永遠に完成することのないもの、常に発展させ、プラスアルファ
を加え続けているもの、要するに生き物なんだ。生きて呼吸するものだから、常に変化が
必要だ」ウォルト・ディズニーが語るように、TDL も新しいアトラクションやショーを増
やすなど常にパークに変化を与えて「夢と魔法の王国」を維持させてきた。そして、2000
年 1 月 1 日、テーマリゾート宣言をし、新たなスタートを切った「東京ディズニーリゾー
ト(以下、TDR)」は、2001 年 9 月 4 日に世界に一つしかない日本オリジナルのディズニ
ーパーク、「東京ディズニーシー(以下、TDS)」をオープンさせた。
「東京ディズニーランドはアメリカのディズニーランドやディズニーワールドの忠実な
コピーだ」(粟田・高成田・1984・p.14)と指摘されるように、TDL はアメリカの人気の
アトラクション・施設がそのまま日本に輸入されてできたパークである。しかし、TDS と
いう日本独自のテーマパークの誕生が示すように、この 26 年間で「アメリカの Disney」
から「日本の Disney」への転換も進んだのではないだろうか。
この論文では、「グローバル・マーケティング」と「サービス・マーケティング」の視点
から、アメリカから輸入されたディズニーがどのように日本文化に適合し、日本人に受け
入れられるものになっていったかということに注目していきたい。
2.グローバル・マーケティング
2-1.グローバル・マーケティングとは
グローバル・マーケティングとは、国境を越えて遂行されるマーケティング活動のこと
を言う(諸上・2002)。グローバル・マーケティング戦略には、国ごとに戦略を変えるべき
だという現地適応化戦略と、世界中共通の戦略で行くべきだという標準化戦略の考え方が
ある(小坂・1997)。各拠点の活動について、どちらの方法を採用するのが望ましいかとい
う問題が提起されてきた。
-1-
2-2.現地適応化戦略と標準化戦略
現地適応化戦略、標準化戦略のそれぞれの特徴について、高嶋・桑原(2008)は次のよ
うに述べている。
現地適応化戦略の必要性としては、①消費者のニーズが本国と異質である場合、②小売
業者や卸売業者の多寡や規模が本国と異なっている場合、③流通業者との取引慣行が参入
障壁となっていたりする場合、④現地の状況に適応させた雇用や教育・管理の方法を取り
たい場合などが挙げられる。多様な消費者のニーズに合わせた製品・サービスを提供する
ことによって、顧客満足度を高めることが目的とされている。このように、現地の状況に
合わせた製品やマーケティング活動を展開する戦略の下では、現地の拠点にこれらの意思
決定の権限を委譲した分権的な組織体制を取ることが多い。これは、変化しやすい消費者
ニーズや流通の状況に迅速に対応することが目的とされている。つまり、現地適応化戦略
は市場志向・顧客志向に基づいて展開されている企業の長期戦略的な活動と言える。
(図1)グローバル・マーケティング適応化戦略と標準化戦略の特徴
現地適応化戦略
標準化戦略
・多様な消費者ニーズに応じた製品
・規模の経済性
・広告などのコミュニケーションの内容
・経験効果
・チャネル選択、チャネル管理の確立
・製品、サービスの質の向上
・雇用や教育、管理の方法
・グローバル・ブランドとしての評価
一方で、製品やマーケティング活動をグローバルに共通化する標準化戦略の意思決定は、
本部において集権的に行われている。このような戦略では、次のようなメリットが生まれ
ると同書には指摘されている。①生産や広告面での規模の経済性、②技術・ノウハウの蓄
積による経験効果、③経験効果に伴う製品やサービスの向上、④グローバル・ブランドの
確立などだ。④について補足すると、共通化されたマーケティングを重視することによっ
て、製品コンセプトが国際的に一貫性のあるものとなり、グローバル・ブランドとしての
評価を得ることに繋がっていく。また、ブランド・イメージが明確になることにより、消
費者の選好に影響を与えて、ブランドに基づく製品差別化による高い収益を期待できる。
このように、統一したマーケティング活動を行うことで、全社的なシナジー効果を達成で
きることが標準化戦略の特徴である。
2-3.現地適応化戦略 VS 標準化戦略の問題
現地向けの適応化されたマーケティング活動が必要か、国境を越えた標準化・共通化の
戦略が必要かという問題は様々な著書で取り上げられている。
-2-
現地の拠点では、既存顧客に適応することを優先的に考えるため、現地の顧客ニーズの
情報が集まりやすい適応化を望む傾向がある。他方、標準化は新たなグローバル・ブラン
ドに対するニーズを開拓する必要があり、現地では広告やチャネルへの投資についてリス
クが高いと判断される。
しかし、近年の傾向では、現地適応化戦略よりも標準化戦略を選択したり、国際的に共
通化する要素を増やしたりするケースが増えている(高嶋・桑原・2008)。その理由の一つ
として、先ほど挙げた「グローバル・ブランドとしての評価」が挙げられる。また、本国
がターゲットにしている市場セグメントと、現地の消費者の嗜好やライフスタイルが似て
きたことも要因の一つだ。消費者嗜好や消費者選好が世界的に均質化することによって、
標準品としてのグローバル・ブランドを支持する市場セグメントも世界的に拡張している。
本国と現地を区別して考える必要がなくなったため、世界共通のマーケティング活動をす
ることが可能になると指摘されている。
一方で、現地適応化戦略と標準化戦略の選択について、諸上(2002)は、竹内=ポーター
の理論を取り上げている。「競争優位を確立するため、競争に勝つためには、適応化と標準
化の両方の利点が同時に達成されなければならないのであって、それは単純な選択問題で
もバランス問題でもない」という主張だ。つまり、適応化と標準化を別々の戦略として分
けて考えるのではなく、生産・販売・サービス・広告・雇用などそれぞれの分野で最適と
される方法を取り、融合させていくことが必要だとしている。
この主張については、ディズニーの日本進出の事例と合わせて第 6 章以降で改めて考え
ていきたいと思う。
3.サービス・マーケティング
3-1.サービスとは
マーケティング論は、有形のモノ(有形財)に関わる対市場活動して発展してきた(嶋
口・和田・池尾・余田・2004)。第2章でも、主に製造業に注目したグローバル・マーケテ
ィングの理論についてまとめてきた。この章では、非製造業、つまりサービスを対象とし
たマーケティングについて考えていきたい。
米国のマーケティング協会によると、サービスとは、「販売のために提供される、または
商品販売に関連して提供される諸活動、利益、満足である」と定義づけられている。つま
り、サービスは目に見えない無形の製品ということになる。モノを運ぶための輸送や飲食
するためのレストラン、宿泊するためのホテルなど取引対象が「機能」と言うこともでき
るだろう。
サービスには、有形財に付随して提供されるものと、それ自体が販売の中心的対象とな
るものの両者が含められる。サービス業と呼ばれるのは通常後者で、電気・ガス・水道業、
-3-
運輸・通信業、卸売・小売業、飲食店、金融・保険業、不動産業、および各種対個人サー
ビスや公共サービス(狭義のサービス業)などの第三次産業のことを言う(嶋口・和田・
池尾・余田・2004)。しかし、サービス中心の商品とモノ中心の商品との間には、明らかな
境界がない。そのため、販売されるものが無形と有形の要素のどちらが強く持っているか
は、製品・サービスによって異なっている。
サービスの特性は、4点、すなわち、無形性、同時性、異質性、非貯蔵性が指摘されて
いる(今西・吉原・2002)。旅行業を例に挙げると、旅行会社の提供するツアーには形がな
い(無形性)
。添乗員が観光地を案内(サービスの生産)するのと旅行者が観光地を訪れる(サ
ービスの消費)のは同時であり、やり直しをすることはできない(同時性)。同行する添乗
員・参加する旅行者や日程、観光地の天気などによってそれぞれのコンディションが変わ
ってくるため、品質を標準化することは難しい(異質性)
。そして、ツアー参加者がいなけ
れば、その日程に予定されていたツアーは催行されずに終わってしまう(非貯蔵性)。サー
ビス・マーケティングでは、これらの特徴を踏まえたマーケティングを考える必要がある。
3-2.サービス・マーケティング戦略
サービス・マーケティングの戦略は、標準化戦略と顧客適応化戦略の2つのタイプに分
けることができる(高嶋・桑原・2008)。これは、どの顧客にも共通なサービスを提供する
か、それぞれの顧客の注文に合わせた多様なサービスを提供するか、ということである。
標準化戦略では、サービスをマニュアル化して、全ての顧客に対して共通のサービス
を取ることが必要とされている。サービスの標準化には、①サービスの品質を管理する、
②サービスのコストを抑える、③サービス拠点を全国各地に急速に展開する、④顧客が注
文してからサービスが提供されるまでの時間短縮、などの目的がある。しかし、マニュア
ル化を完璧に進めることが最高のサービスに結び付くわけではない。初めは新鮮だった驚
きや感動も、二度、三度と繰り返してくるとその感情は薄れていってしまう。消費者はよ
り高次の満足を求めるようになるため、標準化されたサービスだけでは、顧客満足をさら
に高めていくことが難しくなってしまうのだ。
(図2)サービス・マーケティングの標準化戦略と顧客適応戦略のメリット
標準化戦略
顧客適応戦略
・サービスの品質管理
・顧客満足の向上
・コスト削減
・付加価値提供
・サービスの全国展開
・顧客知識の蓄積
・時間短縮
・リピーター獲得
一方で、顧客適応戦略では、顧客満足を高めること、顧客との関係を強くすることがメ
-4-
リットとして挙げられる。サービスはヒトによって提供される部分がほとんどを占めてい
る。顧客一人一人に合わせて自由に形を変えられるため、柔軟な対応による高い付加価値
をもたらすことができるのだ。また、顧客との密なコミュニケーションによって長期的な
関係を築いくことも可能になり、顧客の知識の蓄積にも繋がる。これがさらに顧客満足を
高めるきっかけとなり、
「リピーター」を形成していく要因ともなっていく。ただし、顧客
適応化戦略は従業員の応対能力に任せることになるため、熟練したスタッフの雇用と育成
が重要になってくる。したがって、意思決定が企業の方針や目標に合致するよう、価値観
が共有されなければならない。そのため、顧客に提供するサービスの一定の部分まではマ
ニュアルなどの標準化の手法を利用することが一般的である(高嶋・桑原・2008)。
4.グローバル・サービス・マーケティング
4-1.製造企業の既存理論の適用
第3章で述べたように、サービスにはモノと異なる性質がある。そこで、この章ではサ
ービス業の海外進出について考えていきたいと思う。非製造企業の国際経営に関する議論
は、既存の製造業の国際化理論に当てはめて考えることができるという肯定派と、当ては
めることができないという否定派の意見に分かれている。
肯定派の研究の 1 つとして、今西、吉原(2002)は、ダニングの折衷理論を取り上げて
いる。折衷理論とは、国際的生産を開始するための条件として、以下の 3 つの優位性を企
業が所有していることが重要だという理論である。
①所有の優位性(Ownership Advantage)
企業に固有の技術やマネジメントに関する能力やブランドなどの資産は、製品差別
化の要因として、海外市場においても優位性を持つことができる。
②立地の優位性(Location Advantage)
特定の海外の立地場所に資産を置くほうが本国内にとどまるよりも優位性を引き出
し、利益が得られる。
③内部化の優位性(Internalization Advantage)
企業が生産や販売に関わる活動を企業内部に統合するほうが外部調達よりも得策で
ある。
この折衷理論をサービス業に当てはめながら考えていく。所有の優位性では、航空や海
運にみる広範なネットワークの構築、ホテルに見る大型設備などにより、規模の経済を達
成することができる。また、有形資産で優位性を発揮する製造業に比べ、非製造業ではネ
ットワークを活用した交渉力、情報収集力、リスク回避力など、無形資産に重要な所有優
位性がある。
次に、立地の優位性について考えてみる。製造業では、本国からの輸出よりも現地生産
-5-
をすることで、原材料などの資源へのアクセスや流通チャンネルが手に入りやすいなどの
利点が生まれ、コスト削減に繋がる。一方で、非製造業では製品となるサービスの生産と
消費は同時に行われる。遠隔操作によって医療や教育サービスを提供することもできるが、
直接サービスを受けることで顧客満足を高めることになり、利益を得ることができると言
えるだろう。
ただし、内部化の優位性については、業種により相違すると今西、吉原(2002)は指摘
している。多国籍的な水平・垂直統合による効果が望める情報志向や専門的サービスの業
種、商標やイメージを重視する業種、貿易関連の業種では海外進出の誘因として有益にな
る。一方で、ホテル・レストラン・レンタカー、会計・法律の業種は、少数出資の合弁や
出資なしの契約を選好する。投資信託や不動産・傷害保険の業種は、時に複数国の企業と
連合を作り出す。つまり、サービス業は多岐に渡るため、あるサービス分野では製造業の
既存理論が適用できるが、他の分野では適用できないということである。
しかし、この折衷理論は、「ライセンスか、直接投資かという選択問題についての理論」
としても取り上げられている(岩佐・2004)。内部化優位性が認められなければ、企業が資
本関係を持たない外国企業に対して技術移転をし、ロイヤリティを受けるという選択肢も
ある。ただし、その場合には技術輸出企業に対して取引費用が課される。一方で、現地法
人に技術を輸出する場合にも、技術を適応させる必要性があるために内部組織の費用がか
かってしまう。これら二つの費用を考慮した上で、技術資産を内部化したほうが優位だと
認められた場合、直接投資が行われる、と言うものだ。また、市場に成長性がない場合、
自社に直接的進出するだけの能力がない場合、直接投資のリスクが高いと判断される場合
にはライセンス契約をすることが望ましいだろう。このように、3つの優位性が備わった
ときに、企業は直接投資をする、現地に子会社を作などの判断をすると考えられている。
つまり、国際経営を志向する企業は、自社の優位性の有無、状況によって、現地の企業と
提携するか、直接投資を行うかを判断するということだ。
この考えに基づくと、先に述べたホテル・レストラン・レンタカー、会計・法律の業種
は、それぞれの企業が内部化の優位性が認められないと判断したため、フランチャイズ契
約を選んだと考えられる。折衷理論をライセンスか、直接投資かという選択問題について
の理論と捉えることで、製造業だけでなく、非製造業の海外進出の理論として当てはめる
ことができるのではないかと考えられる。
4-2.サービス業の標準化戦略と現地適応化戦略の選択
世界戦略ではしばしば標準化・現地適応化の選択に迫られる。だが、非製造企業におい
ては、核となるサービスの部分では標準化を図って世界的ニーズを満たし、付随サービス
の部分では現地適応化を試みて個別ニーズに対応することが必要だと考えられる(今西、
吉原・2002・p.244)と言うように、製造業と同様、標準化戦略と現地適応化戦略の利点
-6-
を活かした戦略を取ることが望ましいという考え方もある。その例として、(今西、吉原・
2002)はラブロックとイップの主張を取り上げている。
核となるサービスは、生産・供給過程に着目して「人が生み出すサービス」、「所有物に
対するサービス」、
「情報を基盤とするサービスの」3 つに類型される。この核となるサービ
スには海外進出の誘因となる項目が 5 つあり、それぞれの類型によって重要となる誘因が
異なるというものである。5 つの誘因とは、「市場誘因」、
「競争誘因」
、「技術要因」、「コス
ト誘因」、
「政治誘因」である。一方で、付随サービスとは「情報」、
「相談・診断」、
「受注」
、
「ホスピタリティ」、「世話」、「特例」、「請求」
、「支払」のことである。
核となるサービスの部分で規模の経済、経験効果を得ること、付随サービスの部分で顧
客満足度を高めることでサービスを輸出する際に優位性を発揮できるということだ。
次の章以降では、Disney の事例を見ながらグローバル・サービス・マーケティングにつ
いて検証していくことにする。
5.ディズニー運営会社オリエンタルランドとは
5-1.ディズニーの海外進出
ディズニー・テーマパークの日本進出について考察する前に、TDL、TDS を運営する株
式会社オリエンタルランド(以下、OLC)についてまとめておく。OLC は 1960 年に千葉
県浦安沖の海面を埋め立て、商業地・住宅地の開発と大規模レジャー施設の建設を行うこ
とを目的として設立された(オリエンタルランド HP)。出資者は京成電鉄、三井不動産、
朝日土地興業(その後株式を売却)の三社である。
OLC は、
「世界で唯一、ディズニーとの資本関係が一切ないディズニーリゾート運営会社
である」(オリエンタルランド HP)
。ディズニーランド誘致が本決まりになったのは 1974
年である。当時、ディズニー・プロダクションズ(現ディズニー・エンタープライゼズ・イ
ンク、以下、ディズニー社)は、生前ウォルトが描いていた最後の夢、未来都市「エプコッ
ト・センター」の建設資金を調達するため、ディズニーランドを海外に現地資本で建設し、
ライセンス料を得るというプランを温めていた(馬場・2007)。
第 4 章で取り上げた折衷理論に基づくと、ディズニー社はミッキーマウスを始めとする
キャラクター、つまり独自のブランドを持っている。さらに、後に述べるように、ディズ
ニーには確固たる基本理念と、その考えによるディズニー独自のサービス方法があり、所
有の優位性が認められる。立地の優位性としては、海外に拠点を置くことにより、本国以
外の場所から顧客を集めることができ、市場の拡大、ブランド認知を広めることに繋がる。
このような優位性から海外進出の要因を見出すことができるだろう。そして、最後の内部
化の優位性では、ディズニー社は資金調達の必要性から、不確実性の高い直接投資ではな
く、現地企業とのライセンス契約という形を選択したと考えられる。日本の OLC は、世界
-7-
18 カ国からのオファーの中から選ばれた。こうして、ディズニー社直営でない、ディズニ
ー・テーマパークを運営する会社が日本に生まれた。東京ディズニーランドは、ディズニ
ー社との間にロイヤリティ・フィー(基本特許使用料)としての入場料の 10%、物販・飲
食売り上げの 5%を支払う契約を結んでいる(粟田・2001)。
5-2.ディズニーという強みをもったオリエンタルランド
ディズニーキャラクターという所有の優位性を持っていることは、ディズニー社にとっ
ても、オリエンタルランドにとっても大きな強みである。ここでは、そのディズニーキャ
ラクターの人気について見ていく。
ディズニー社は著作権の管理が徹底しており、アメリカはそれを、国を挙げてバックア
ップしている。同国では 1998 年に著作権法を改正し、保護期間を「死後 50 年」から「死
後 70 年」へ延長した。ちょうどミッキーマウスの著作権が切れる可能性のある時期だった
ことから、同法は「ミッキーマウス保護法」とも言われている。アメリカでのディズニー
の人気ぶりを垣間見ることができる。
(図 3)商品購入別に見るキャラクターランキング(2008 年)
順位
キャラクター名
占有率(%)
1
ポケットモンスター
7.46
2
それいけ!アンパンマン
7.28
3
ハローキティ
5.72
4
ミッキーマウス
5.72
5
リラックマ
4.33
6
くまのプーさん
4.26
7
ふたりはプリキュアシリーズ
3.24
8
スーパーマリオブラザーズ
3.03
9
炎神戦隊ゴーオンジャー
2.42
10
スティッチ
2.15
11
機動戦士ガンダムシリーズ
2.06
12
ミニーマウス
1.99
13
スヌーピー
1.87
14
ミッフィー
1.84
15
きかんしゃトーマスとなかまたち
1.80
(出所キャラクター・データバンク)
-8-
日本でもミッキーマウスの人気は高い。図 3 にある 2008 年の商品購入額にみるキャラク
ターランキング(キャラクター・データバンク)をみると、1 位から 15 位の間に「ミッキ
ーマウス」、
「くまのプーさん」、「スティッチ」
、「ミニーマウス」と 4 つのディズニーキャ
ラクターがランク・インしている。
一般的なキャラクターへの支持形成は、性別や年齢によって異なる場合が多い。しかし、
ディズニーキャラクターの場合は、女性層からの支持を中心としながら、男性層からの支
持も高く、性別や年齢を超えて受け入れられている点がほかのキャラクターと大きく異な
る特徴だ。
OLC はディズニー社との契約によって、ディズニーのコンテンツを日本国内のテーマパ
ーク運営等に使用できる権利を有している(オリエンタルランド FACT BOOK)。このミッ
キーマウスをはじめとする、魅力的なディズニーキャラクターを使用できることは OLC の
大きな強みとなっている。
5-3.遊園地・レジャーランド市場からみるオリエンタルランド
(図4)テーマパークの年間入場者数
施設名
1
東京ディズニーランド
東京ディズニーシー
入場者数
(千人)
所在地
25,424
千葉県
主要都市からの
開業年
1983
2001
所要時間目安
東京から 15 分
2
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
8,540
大阪府
2001
大阪から 11 分
3
ハウステンボス
2,190
長崎県
1992
長崎から 1 時間 30 分
4
ナムコ・ナンジャタウン
2,161
東京都
1996
東京から 30 分
5
志摩スペイン村
1,579
三重県
1994
大阪から 2 時間 43 分
6
スペースワールド
1,470
福岡県
1990
博多から 50 分
7
サンリオピューロランド
1,253
東京都
1990
東京から 55 分
8
東映太秦映画村
1,040
京都府
1975
京都から 25 分
9
東京ジョイポリス
850
東京都
1996
東京から 23 分
10
倉敷チボリ公園
753
岡山県
1997
岡山から 20 分
パルケエスパーニャ
(2009 年閉園)
(オリエンタルランド HP、各社 HP を参考に著者作成)
2007 年の遊園地・レジャーランド市場規模は 6430 億円である。そのうち、OLC は 40.2%
と高い割合を占めている(オリエンタルランド HP)。図 4 の国内のテーマパークの年間入
場者数を見ても、TDL・TDS の人気が高いことがうかがえる。OLC は TDL・TDS 合わせ
た入場者数しか発表していないが、単純に 2 で割ったとしても 12,000 万人が訪れているこ
-9-
とになる。2 位のユニバーサル・スタジオ・ジャパンと比べても 4,000 万人以上の差をつけ
ていることから、圧倒的な強さを持っていることがわかる。
5-4.オリエンタルランドの持つ立地の優位性
ディズニー社との業務提携による、国内におけるディズニーのコンテンツ利用権という
強みのほかに、「恵まれた立地条件」ということが OLC の優位性として挙げられる。図2
にもあるように、主要都市からの所要時間が他の施設は 30 分~1 時間、もしくはそれ以上
のところが多い。それに対し、TDL、TDS は東京駅から約 15 分、空港からでも直行バス
で約 50~60 分という交通アクセスの良さが魅力の一つとも言えるだろう。
当初、ディズニーランドの建設地として有力だったのが、富士山の見える御殿場付近だ
ったという。しかし、日本の象徴ともいえる富士山が見えてしまうと、富士山の魅力に負
けてテーマパークとしての魅力がなくなってしまうという理由で、候補から外された経緯
がある。そして何よりも、ディズニー社は東京に近いという市場的優位性に着目した。「東
京に集まる人の流れや人口密度を考えると、この世界でも有数のマーケットを周辺開発に
生かさない法はない。首都圏の圧倒的な経済力を考えれば、浦安という立地はアナハイム
やフロリダよりもはるかに魅力がある」(粟田・2001・p.95)というように、都心により
近い浦安は世界の Disney と比べても優位性を発揮している。
また、半径から 50km 内に可処分所得の高い約 3,000 万人が居住していること、遊びの
拠点として地方からも東京に人が集まってくることを考えると、浦安という土地はテーマ
パークをつくるのに最適な場所だったと言えるだろう。
このようなこともディズニーの入場者数を増やす一つの要因となっている。しかし、ア
クセスが便利だからと言って何度も顧客が訪れるとは限らない。TDL がオープンしてから
26 年、今でもディズニー・テーマパークが人気を誇っているポイントを次の章で考えてい
く。
6.ディズニーのグローバル・サービス・マーケティング
6-1.東京ディズニーランドのアトラクション
レジャー施設の運営で重要なのは、施設や設備機器の「ハード」と、ハードを運営する
サービスなどの「ソフト」の構築である(山口・2008)。ここでは、TDL を建設する際に、
アメリカのアトラクション(ハード)、サービス(ソフト)がそれぞれどのように日本に輸
入されたかを見ていきたい。
冒頭で述べたように、TDL はアメリカのディズニーパークの忠実なコピーである。開園
当初の TDL のアトラクション数は 32 であった。TDL オープン時にアメリカから移設され
- 10 -
た「ミッキーマウス・レビュー」を除けば、その中で日本オリジナルのものは「ミート・
ザ・ワールド」と「エターナル・シー」の 2 つだけである。開園前は、
「設備もサービスも
もっと日本化しないと失敗する」と言われていた(粟田・高成田・1984)。日本人はあまり
感情を表に出さないから、アメリカのディズニーランドの派手な演出をそのまま取り入れ
ても失敗すると考えられていたのだ。しかし、ふたを開けてみると、開園 1 年で予想を上
回る 1000 万人を集めるほどの大成功を収めた。結果的にはこのコピーの忠実さが顧客の支
持を受けたと言っていいだろう。
ただし、コピーと言っても、全てのアトラクションが日本に持ってこられたわけではな
い。本場アメリカで人気のアトラクションだった「潜水艇の旅」は、日本人の原子力潜水
艇のイメージを危惧して導入が見送られている。その他にも、アメリカ建国の歴史がわか
る「プレジデントホール」
も日本人には馴染みがないという理由から TDL には排除された。
また、パーク内は食べ物の持ち込みが禁止されているが、日本人のライフスタイルに合わ
せるため、ピクニックエリアという、お弁当を食べる場所が設けられている。こういった
ところでは、現地企業である OLC の意見の反映が功を奏したと言えるだろう。
6-2.日本オリジナルのテーマパーク、東京ディズニーシー
2001 年にオープンした TDS は、世界に一つしかない、日本オリジナルのテーマパーク
である。「国土が海に囲まれている日本人は、海に親近感を抱き、心に安らぎを与える存在
だ。この舞浜エリアは元々海であり、原点に戻るという思いも込めた。」(加賀見俊夫オリ
エンタルランド会長、粟田・2001・p.17)というように、島国に住む日本人にとって身近
な『海』をテーマとしたところが TDS のポイントだ。パークの演出に自然の海を利用し、
東京湾とパークが繋がっているように見せる工夫などが施されている。
1988 年には TDL に次ぐ第二テーマパークの構想の発表がされていたが、TDS は日本側
の意見がかなり取り入れられた(粟田・2001)。当初、アメリカ側はアメリカのウォルト・
ディズニー・ワールドにある MGM スタジオ(現ハリウッド・スタジオ)という、映画を
テーマとした施設を建設する予定だった。ディズニーの映画のテーマパークはフランスに
もある。「ディズニーランド・パリ(現ディズニーランド)
」に続くフランス第 2 のパーク
として「ウォルト・ディズニー・スタジオ・パーク」が 2002 年にオープンしていることか
らも、ディズニー社側は日本の映画テーマパークに前向きだったのではないかと考えられ
る。しかし、映画のテーマパークは日本人には馴染まないとの理由から、OLC 側はその提
案に反対をした。実際、図 5 の年間入場者数を見てもアメリカ、フランスが 1 人につきそ
れぞれ 1 年に 3 回、4 回と映画館に足を運んでいるのに対し、日本は年に 1 回訪れる程度の
ものである。世界最大の映画製作大国であるアメリカに比べ、日本では映画があまり深く
根付いていないという文化の違いは明らかだ。OLC 側は違約金を払ってまでして映画テー
マパーク建設に反対した(粟田・2001)ことは正解だったと言えるだろう。
- 11 -
(図5)2008 年の世界映画情勢
アメリカ
フランス
日本
3 億 480 万人
6200 万人
1 億 2770 万人
9791 億円
1481 億 2200 万円
1948 億円
13 億 6400 万人
1 億 8970 万人
1 億 6050 万人
年間入場回数
4.47 回
3.06 回
1.26 回
平均入場料
491 円
589 円
1214 円
人口
興行収入
映画入場者
(出典 FIPA-JAPAN HP http://www.fipa-japan.jp/20090728.html)
このような経緯から、OLC 側は、アメリカ側の提案に対して日本側の意見を反映させる
ことを念頭に置きながら、新テーマパークについての構想を固めていった。アメリカ文化
がまだ日本人に根付いていなかった TDL オープン時は、アトラクション、従業員のサービ
ス、全てのものが新鮮で、大きな感動を与えることができた。しかし、TDL がオープンし
てから 15 年以上が経ち、ディズにーの世界観に慣れてきた人々は、新テーマパークにさら
なる期待を寄せてしまう。アメリカで受け入れられたものは日本でも流行るという、アメ
リカ側の考えを改め、今までの経験を活かした日本人目線のディズニー・テーマパークを
作ることが必要だと OLC 側は考えたのだ。「東京ディズニーランドで培った経験のフィー
ドバックを生かして文化の違いを補完すること」を目的にして、経営企画本部には「知画
グループ」というグループも生まれた(粟田・2001)。
OLC が日本的なセンスも加味されたパークだと自負しているように、TDS は、日本人の
感覚や感性を反映した施設やアトラクションが含まれている。その一つが、TDS のシンボ
ルである「ディズニー・シー・アクアスフィア」である。アクアスフィアとは、水を意味
するアクアと球体を意味するスフィアからの造語だ(粟田・2001)。TDS の入り口を入っ
てすぐ目の前に現れる水球体で、ここで写真を撮ってからアトラクションヘと向かうゲス
トも少なくない。当初、ディズニー側は、「灯台(ライトハウス)」を考えていた。アメリ
カの持つ灯台のイメージは、「未来を照らすもの、ポジティブなもの」といった明るい感じ
だが、日本では「孤独で暗いもの」という印象がある。これもアメリカと日本による文化
の違いと言えるだろう。OLC はこの意見に反対し、最終的に水の惑星、地球をイメージし
たものに落ち着いたという(粟田・2001)。ちなみに、灯台はケープコッドというエリアに
ひっそりとたっている。立地の影響もあるだろうが、この灯台と一緒に写真を撮っている
人はあまり見かけない。静かなケープコッドの漁村にあればイメージにはピッタリだが、
これがもしパークの中心的存在となっていたら、やはりインパクトに欠けてしまっていた
だろう。
- 12 -
(図6)東京ディズニーランドと東京ディズニーシー
Tokyo Disney Land
Tokyo Disney Sea
開業年
1983
2001
面積
510,000 ㎡(462,000 ㎡)
490,000 ㎡(478,000 ㎡)
テーマ
「夢と魔法の王国」
「冒険とイマジネーションの海へ」
シンボル
シンデレラ城
アクアスフィア
アトラクション数
40(32)
27(23)
日本オリジナルアトラクション数
2(2)
22(22)
※( )内はオープン時
(オリエンタルランド HP を元に著者作成)
このようにしてみてみると、ディズニーの日本化はうまく進んだかのように見える。し
かし、その後の動きで注目しなければいけない点もある。オープン時、アメリカから輸入
されたアトラクションはインディージョーンズ・アドベンチャーのみであったのに対し、
それ以降に新しくできたアトラクション、「アリエルのグリーティンググロット(2005)」、
「レイジング・スピリッツ(2005)」、「タワー・オブ・テラー(2006)」、「タートル・トー
ク(2009)」は、ストーリーは変えてあるものの、内容としては海外のものとほぼ同一のも
のである。これらはどれもアメリカ、フランスで人気のあるアトラクションである。日本
人にも受け入れられる、TDS のコンセプトに合うと判断されたものは、積極的に取り入れ
ることも重要視しているのかもしれない。
6-3.ディズニーのサービス・マーケティング
利用者を楽しませるレジャー施設において、人対人の直接的な接客サービスの重要性は
極めて高い(山口・2008)。と言うように、従業員の印象による顧客の利用満足度の影響は
大きい。顧客がもう一度訪れたいと思えるかどうかは、従業員にかかっていると言っても
過言ではないだろう。第 3 章で述べたように、サービスの品質を保つため、サービスをマ
ニュアル化して、顧客に共通のサービスを提供しているところも多い。一方で、サービス
業で成功するために一番重要なことはリピーターの確立だとも言われている(芳中・2007・
p.40)。マニュアル通りの一定のサービスを行っているだけでは、顧客の満足度は次第に薄
れていってしまう。では、年間入園者数のおよそ 9 割以上がリピーターだと言われている
ディズニーでは、どのような方法を取っているのだろうか。
ディズニーの成功の秘密は、きめ細かいところまで行動を指示したマニュアルであり、
それを身につけさせるトレーニングである(粟田、高成・1984・p.77)。と指摘されてい
- 13 -
るように、アメリカ式のサービスを取り入れたことが日本人に受け入れられたのかもしれ
ない。マニュアルの発祥地はアメリカと言われている。
「人種のるつぼ」と表現されるほど、
アメリカには考え方や価値観、知識や技能のレベルが様々な人間が集まっている。そうい
った社会の中で、企業がそれぞれの違いに応じて仕事を教え込むとコストも時間もかかっ
てしまう。このような流れから事細かに業務内容を説明したマニュアルが作られるように
なったと考えられる。しかし、マニュアルを読むだけでは従業員のサービスは向上しない。
マニュアル通りに実行するには、そのためのトレーニングが必要となるのだ。
事業が成功するには、コンセプトを明確にしたうえで、それを実現するためのシステム
(組織)をつくり、行動基準(アクションプログラム)を策定しなければならない。それ
が、ディズニーランドはしっかりとしており、多くの人の共感を呼んでいる(粟田・2001・
p.78)。ディズニーでは、従業員をキャスト(cast)、入場客をゲスト(guest)と呼んでい
る。キャストは和訳すると「俳優」という意味である。これは、「パークは巨大なステージ
であり、従業員はそのステージ上でそれぞれ配役された役割を演じるキャストである」と
いうウォルト・ディズニーの考えに由来している。また、
「コミュニケーションから楽しみ
が始まる」という考えも取り入れられている。1980 年頃の日本のサービス業では、お客様
を迎えるときの挨拶は、全て「いらっしゃいませ」だった。しかし、店側の歓迎の言葉で
は、客は返答に困ってしまう。アメリカのディズニーのマニュアルでは、挨拶の言葉は英
語で様々であった。日本ではそれを「いらっしゃいませ」と訳すのではなく、
「こんにちは」
とすることで、ゲストからの返答を期待し、ワンウェイからツーウェイのコミュニケーシ
ョンを実現させることに成功したのだ。
ディズニーには「ディズニー・フィロソフィー」という言葉があり、企業の信条、考え
方、経営方針などのことをいう。まずはトレーニングによって、このディズニー・フィロ
ソフィーをキャストに浸透させることを重要視している。ディズニーの基本理念、各パー
クの説明、キャストの心構えなどを、オリエンテーションを通してじっくり理解した上で、
晴れてキャストデビューとなるのだ。
また、ディズニーの運営理念である「SCSE」も重要な鍵となっている。Safety(安全性)、
Courtesy(礼儀正しさ)、Show(ショー)、Efficiency(工夫、効率)の頭文字を取ってい
る(芳中・2007・p.25)。
「Safety(安全性)」とは、ゲストが安心して楽しめることを第一に
考えたサービスを提供することである。ゲストの安全が 100%確保できないと判断した時は、
やむを得ず入場制限を設けることもある。「Courtesy(礼儀正しさ)」とは、ゲストに対す
るマナーのことである。言葉遣いやディズニールックと呼ばれる身だしなみ、ディズニー
スマイルなどがこれに当てはまる。
「Show(ショー)」とは、毎日が初演の心構えで演じる
という意味である。コスチュームを身につけ、自分の役割を懸命に演じることがキャスト
たちには求められているのだ。最後の「Efficiency(工夫、効率)」とはゲストをうまくさ
ばくということだ。できるだけ多くのゲストにパークのエンターテイメントを楽しんでも
らう努力をしなければいけない。ゲストの数によってアトラクションの待ち列を長くした
- 14 -
短くしたりして列の調整
整を行うこと
とや、レストランで会計
計と食べ物を
を受け取る場
場所が
り、短
別々に
になっている
ることがその
の例である。
7)SCSE の重要性
の
(図7
Safty
Courteesy
Show
Effienccy
性)
(安全性
(礼儀)
ー)
(ショー
(効率)
(著者作成)
この
の SCSE という 4 つの
のキーワードは、並列ではなく、重要
要性の順位も
も左からとな
なって
おり、
、キャストの
の行動基準の
の目安となっ
っている(粟
粟田・高成・
・1984・p.70)。通常の
の行動
はマニ
ニュアルに寄
寄るが、それ
れを超えたと
ところでは SCSE
S
を基に
にキャストの
の判断でサー
ービス
を提供
供することが
が求められて
ているのだ。
。ディズニー
ーでは、がち
ちがちにマニ
ニュアルで固
固めた
サービスというよりは、ある
る程度のアドリブを認め
めたサービス
スを採用して
ていると言え
えるだ
。ディズニー
ーにはこうし
した顧客満足
足度を上げる
るための徹底
底した仕組み
みがある。
ろう。
この
の基本的な考
考え方はもち
ちろん TDS にも「ディズニー・フィ
ィロソフィー
ー」として採
採用さ
れてい
いる。テーマ
マパークを運
運営している
るキャストの
の大半は、パ
パートタイム
ムの準社員で
である
ため、
、正社員の人
人数はほぼそ
そのままで準
準社員を増や
やすことで円
円滑なパーク
ク運営を実現
現させ
た。このように、
、企業の理念
念、サービス
スの基本とな
なる考え方を
を統一し、マ
マニュアル化
化させ
ービスにかか
かるコスト削
削減にも繋が
がっている。サービスにおける Disn
ney の
ていくことでサー
略によって、
、作業の効率
率化、コスト削減を実現
現すると同時
時に、顧客適
適応戦
戦略は標準化戦略
ーターの獲得
得にも成功し
している。標
標準化戦略、顧客適応戦
戦略それぞれ
れのメ
略によってリピー
た方法を取り
り入れている
ると言えるだ
だろう。
リットを活かした
ービス・マー
ーケティング
グでは、マニ
ニュアルを基
基本とした標
標準化戦略と
と顧客を重視
視した
サー
顧客適
適応戦略のどちらを選択
択するのが望
望ましいかが
が議論の中心
心となる。し
しかし、マニ
ニュア
ルはあくまで一定
定レベルまで
での接客で、
、それを超え
えたところに
にはマニュア
アルは通じな
なくな
ニュアルが通
通じるのは、
、相手である
るお客も一定
定であること
とが前提条件
件とな
ってしまう。マニ
。
ってくるからだ。
娯楽に関わる
るサービスは
は、他のサー
ービスと比べ
べると楽しむ
む要素が明ら
らかに多い。積極
「娯
的な、
、おそらく恍
恍惚とまで言
言える感動を
を生みだせる
る適切な文化
化資本が十分
分に備わって
ている
消費者
者について特
特に言えるこ
ことである。
。人を楽しま
ませ、心に残
残る、つまり
り、愉快な気
気分に
させて
てくれるサー
ービスは、ま
ますます消費
費者が期待す
するようにな
なっている経
経験なのであ
ある。
テーマ
マパークのような現象の
の発展が、サ
サービス提供
供への期待を
をこのように
に過剰に高め
める原
因となっているか
かもしれない
い。(アラン
ン・ブライマ
マン・2008・p.117)」と
というように
に、ア
ショーによる
る影響も顧客
客満足を挙げ
げる一つの要
要因となって
ていることも
も否定
トラクションやシ
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できない。しかし、ディズニーの戦略に見られるように、標準化戦略と顧客戦略を分けて
考えるのではなく、マニュアルとアドリブ、の両方を融合させた生きたサービスを提供し
ていくことが求められていくのかもしれない。
7.世界のディズニーと日本のディズニー
7-1.世界のディズニー・テーマパーク
ディズニー・テーマパークは、現在、リゾートとして構成されている。世界のディズニ
ー・リゾートは、ディズニーランド・リゾート(カリフォルニア)、ウォルト・ディズニー・
ワールド・リゾート(フロリダ)、東京ディズニーリゾート(日本)、ディズニーランド・
リゾート・パリ(フランス)、香港ディズニーランド(香港)の全部で 5 つある。先にも述
べたように、この中でディズニー直営でないテーマパークは日本の東京ディズニーリゾー
トだけである。ここでは、世界のディズニーと日本のディズニーについて見ていきたい。
図 8 の 2008 年の世界の遊園地・テーマパークの入場者数を見ると、1 位から 8 位までを
ディズニーが独占している。ディズニーの強さは圧倒的と言えるだろう。特に、東京ディ
ズニーリゾートの 2 つのパークは TDL が 3 位、TDS が 5 位と、本家のアメリカを差し置
いて上位 5 位以内ランク・インしている。9 位にはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以
下、USJ)入っていることからも、日本人はテーマパークを受け入れやすい体質であるこ
とが伺える。また、USJ も TDR と同様に都市型テーマパークであるため、立地面で郊外リ
ゾート地のフロリダより集客力があるとも言えるだろう。
(図8)2008 年
世界の遊園地の入場者数
施設名
場所
2008 年入場者数
1
マジックキングダム
アメリカ
フロリダ
17,063,000
2
ディズニーランド
アメリカ
カリフォルニア
14,721,000
3
東京ディズニーランド
日本
東京
14,293,000
4
ディズニーランド
フランス
パリ
12,688,000
5
東京ディズニーシー
日本
東京
12,498,000
6
エプコット
アメリカ
フロリダ
10,935,000
7
ディズニー・ハリウッド・スタジオ
アメリカ
フロリダ
9,608,000
8
ディズニー・アニマルキングダム
アメリカ
フロリダ
9,540,000
9
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
日本
大阪
8,300,000
10
エバーランド
韓国
京畿道
6,600,000
(出典
TEA/ERAs’
Attraction Attendance Report2008)
- 16 -
7-2.「お土産文化」の日本
次に、テーマパーク内での飲食・商品販売について見ていく。ウォルト・ディズニーは
開園当初から、ディズニーランドは食品や各種商品を販売する媒体として大きな可能性を
もつと自覚していた。
「メインストリート USA」は、その主要目的がアトラクションを見せ
ることではなく、ショッピング環境として機能する点でこの特徴を表していた(アラン・
ブライマン・2008・p.117)。
TDL 内では、メインストリート USA は、ワールド・バザールとしてパークに入園して
すぐの場所に建設されている。雨の多い日本の気候に合わせ、オールウェザーカバー(全
天候型屋根)と呼ばれる全面ガラス張りの屋根付きで店から店への移動がしやすいように
工夫されているため、日本だけワールド・バザールという名称がつけられている。ワール
ド・バザールにはありとあらゆるディズニーの商品があるため、お土産を買うゲストで 1
日中溢れている。
(図9)ゲスト1人当たり売上高
10,000
8,000
(円)
4222
3998
4042
4038
4151
4226
3246
3122
3144
3144
3096
3370
2003
2014
2039
2014
2048
2128
2004
2005
2006
2007
2008
2009
6,000
4,000
2,000
0
飲食販売収入
(出典
商品販売収入
チケット販売収入
オリエンタルランドファクトブック)
日本人のレジャー行動の特徴は、ショッピングや飲食が付随することである。図 9 にあ
る TDL、TDS のゲスト 1 人当たりの売上高は、9,719 円だが、チケット収入、商品販売収
入、飲食販売収入の比率はそれぞれ約 43%、35%、22%となっている(オリエンタルラン
ドファクトブック 2009)。これを見ると商品販売収入はチケット収入に次いで高い割合を占
めていることが分かる。TDR は、世界中のほかのディズニー・テーマパークを上回る高収
益を上げている。この理由の一つに挙げられるのが、日本の「お土産文化」なのだ。「キャ
- 17 -
ラクター商品の特許使用料を見ただけでも、私たちが逃したものの大きさがよくわかる。
……あとになって、旅行先で必ず土産物を買う習慣のある国ではキャラクター商品の販売
で膨大な利益が上がることがわかった。東京ディズニーランドに対する所有権を持たなか
ったことは、手痛い打撃となった(マイケル・アイズナー、粟田・2000・p.2001)」と、
東京ディズニーランドを OLC に経営委託し直営にしなかったことをディズニー社の元
CEO、マイケル・アイズナーも後悔をしているほど、日本人が商品購入にかける費用がこ
こまで高いとは見込んでいなかったようだ。
一方で、1992 年、フランスのパリにオープンしたユーロ・ディズニーランド(現ディズ
ニーランド)は、予想通りの収益を得ることができなかった。ディズニーランド・パリの
財政問題が広く知られていた時期に、問題の原因の一つはパーク訪問客の数ではなく、食
品や土産物やホテルに予測したほどお金を使わないことだとわかったとは刮目すべきだ
(アラン・ブライマン・2008・p.119)とも指摘されているように、他の国に比べ、日本
人の消費行動はテーマパークの仕組みにうまく当てはまったと言えるだろう。ちなみに、
ディズニー社は、経費の削減、入場料の引き下げを行ってユーロ・ディズニーの立て直し
を図った。また、華やかで活気のある言葉とアメリカ人が捉えていた「ユーロ」が、ヨー
ロッパの人たちはビジネスや商業を連想させる言葉だったことが分かった。そのため、名
称を「ディズニーランド・パリ」の名称に変更し、魅力のある街、パリを連想させること
でイメージの脱却を図った。TDL もパーク名称決定時には、
「オリエンタルディズニーラン
ド」や「ディズニーランド・ジャパン」などが候補に挙がったという。しかし、世界的に
有名な都市であり、日本人にも親しみやすいという理由で「東京」を使用した名称となっ
た。このように、現地の人が持つイメージに適応させたネーミングを付けることも、重要
な要素となってくる。TDL はここでも現地法人による優位性を発揮できたと言えるだろう。
7-3.ゲストが作り出すディズニー文化
商品販売の比率が高い TDR では、現在新たな現象が起きている。原作のないテディベア、
「ダッフィー」人気だ。ダッフィーは 2004 年、ディズニーベアとして TDS に登場した。
当時は知名度が低く、パークでグリーティングを行っても、ほとんどのゲストが近寄らず
に通り過ぎて行くほどのものだった。しかし、アメリカからのストーリーをシーのコンセ
プトに合うものにし、名前をダッフィーと改めて商品として開発を行うことで少しずつ話
題性を高めていった。そして、2008 年に 25 周年の記念として、キャストのコスチューム
を着たダッフィーの商品をシリーズ展開することにより一気に知名度が上がることとなる。
次第にパークのあらゆる場所で、子供から大人まで様々な年齢層のゲストがぬいぐるみを
持つ姿を目にするようになった。この光景はディズニー側が仕掛けた戦略ではなく、ダッ
フィーを手に歩く姿を見てかわいいと思ったゲストが真似をし、それを見たゲストがまた
真似をして…という口コミのような形で広がったと言われている。この現象に目を付けた
- 18 -
OLC は、既存の店をダッフィーの専門店に変え、季節限定のコスチュームを着たダッフィ
ーを販売するようになった。それだけではなく、自分の手作りの洋服をダッフィーに着せ、
パークを歩くことをステータスとする人も増えている。人気の商品は発売後にすぐ完売と
なり、等身大ダッフィーとの記念撮影も、混雑日には 4 時間を超えるほどだ。これはアメ
リカ本国でも見られない人気ぶりであり、2009 年からは新たに「シェリー・メイ」という
日本にしかいない女の子のテディーベアグッズが発売、ダッフィー主役のショーも開催さ
れることになっている(オリエンタルランド HP)。このように、日本人ゲストの行動がア
メリカでは見られない新たなディズニー文化を作りだしているのだ。
7-4.ディズニーのイベント
クオリティ高いサービス、新アトラクションの増加など、リピーターを獲得するために
様々な戦略を取っているディズニーだが、世界のディズニー・テーマパークと比べ、日本
のパークにとってもう一つ特徴的なことが挙げられる。それはイベント、ショーなどのソ
フト面だ。「従来はハード志向が強かったが、最近はイベントやショーなどのソフトを重視
するようになった(野村証券金融経済研究所・桜井)」(東洋経済・2009)と言うように、
リピーターのニーズに合わせて、TDR では季節限定、期間限定のイベントを多く取り入れ
ている。一部のショーでは、抽選システムを導入するなど、観賞場所確保のために同時に
ゲストが集中しないよう、安全面を考慮する工夫がなされているほどだ。この抽選制度は
TDR のみで行われている方式であり、OLC は特許を取っている。
2009 年の年間イベントスケジュールを見ても、まったくイベントがない日のほうが少な
いと言っても過言ではない。年明けには両パークで日本でしか見られない、着物を着たミ
ッキーマウスとミニーマウス、寅年にちなんでティガーお正月の挨拶をするイベントが行
われた。TDL では、1 月中旬から 3 月中旬の閑散期には音楽をテーマにした「Power of Music」
を開催、さらに春には初めてのイースターのイベントを 3 ヶ月間かけて行う。夏には TDS
で「ボンファイアー・ダンス」という日本の盆踊りや祭りを連想させるイベントを昨年に
引き続き開催する予定だ。このショーは、ゲストもキャラクターたちと一緒になって踊る
参加型のショーのニーズが高まったことによって生まれたものでもある。そして、秋には
ハロウィーン、冬にはクリスマスを祝うイベントを両パークで行う。ここで注目すべきこ
とは、日本の文化を取り入れたショー、海外の文化を取り入れたショー両方を盛り込んで
いるところである。特に、海外の文化を取り入れたものは、次第に日本でも自然と受け入
れられ、今ではパーク外でも見受けられるイベントとなっているものも多い。その一つが
ハロウィーンである。日本にはハロウィーンの習慣はなく、日本人には知名度の低い行事
であった。TDL では 1997 年に初めてハロウィーンをテーマとしたイベントが開催された
が、当時は 10 月 31 日の 1 日限定で行われているものであった。ミッキーの形をしたカボ
チャのかわいらしさや、ディズニーの仮装が自由にできるという点に惹かれていったゲス
- 19 -
トのニーズは高まり、今では 9 月から 2 ヶ月間行うビッグイベントとなっている。10 月に
なると、街でもオレンジ色のデコレーションやカボチャ味の食べ物が売られている様子を
見受けられるようになった。15 年前には見られなかった光景だ。はっきりとしたことはわ
からないが、もしかするとディズニーの影響と言えるのかもしれない。現在、イースター
という習慣は日本には全く根付いていないが、今後ディズニーがイベントを開催すること
によって日本人の生活にどのように影響を及ぼすかにも注目したいところである。
8.まとめ
ディズニー・テーマパークの日本進出は、アトラクションにおけるハード面においても、
サービスにおけるソフト面においても、アメリカの方式が持ち込まれた。しかし、同時に
日本的な工夫を凝らしながらここまで成長してきたということも忘れてはならない。
アラン・ブライマン(2008)がグローバリゼーションの力は必ずと言っていいほど、ロ
ーカルに合わせて形成する必要があると指摘するように、ディズニーは、標準化と現地適
応化 2 つの戦略を対として考えるのではなく、それぞれのバランスをうまくとっていった
と言えるだろう。
アラン・ブライマンは、グローバリゼーションがいくつかの方法でローカルの力と出合
う中で、2 つの基本的形態が際立っていると述べている。1 つ目がグローバル化の受容のさ
れ方を予測して企業がその原理または力をローカル条件に適応させる「予測型ローカライ
ゼーション」
、そして 2 つ目がローカルな条件や文化に接触した結果として、企業がサービ
スとその提供方法を適応させる必要、または傾向を示す「対応型ローカライゼーション」
だ。OLC はディズニーが日本に進出する際、現地企業であることを活かして、アトラクシ
ョン・サービス・お土産など、さまざまな部分で「予測ローカライゼーション」を行うこ
とができた。一方で、ディズニーランド・パリは、予測型ローカライゼーションの読みが
十分でなかったために、
「対応型ローカライゼーション」を行い、開園後も様々な改善がな
された。グローバル企業が商品またはサービスを海外に移植する場合には、受け入れ国の
習慣や感情を無視することはできないということが言えるだろう。
また、ディズニーが社会、人々に与える影響も忘れてはならない。ディズニーのような
徹底したサービスは、他のサービス業でも見られるようになり、従業員、顧客の呼び方を
ゲスト、キャストと呼ぶところもあるほどだ。ショッピングモールやレストラン、他の遊
園地などでもテーマ化を行い、コンセプトを明確にして顧客に親しみやすい場所を提供す
る施設も増えている。さらに、ディズニーがもたらした文化はパーク内だけではなく、パ
ークの外にも影響を及ぼしていることがわかる。
TDR は、単なるアメリカのコピーではなく、基本理念、マニュアルによる効率化を図っ
た標準化戦略とそれぞれの国、時代、ゲストのニーズに合わせた適応化戦略、両方の優位
性を活かした方法を取っている。特に、初めて日本に進出した 26 年前に比べると、標準化
- 20 -
の要素よりも適応化の要素を増やすことによってゲストの顧客満足を高めている日本人に
受け入れられると判断されたものは、微調整を行うことで積極的に TDR にも反映される。
そして、日本現地のゲストが求めているニーズにも応えられる体制が OLC には備わってい
ると言えるだろう。日本オリジナルの TDS や、ダッフィー人気、ショーやイベントなど、
日本に適応化されたディズニーが、今後標準化としてアメリカを始めとする海外へと進出
していくことがあるかもしれない。
9.参考文献
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上・下』布施由紀子訳、徳間
書店。
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吉原英樹(2002)『国際経営論への招待』有斐閣ブックス。
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