えっ!流通 B M S に商品マスター情報がないの ?

2007年8月号
えっ!流通BMSに商品マスター情報がないの?
―商品マスター情報を標準メッセージに追加すべき(提言)―
次世代EDI改め、流通BMS(ビジネスメッセージ標準)が今年4月から実用段階に入った。その標準メッ
セージには、発注・出荷・受領・返品・請求・支払の6業務における8メッセージが盛り込まれているが、なぜ
か商品マスター情報が含まれていない。その理由は、流通BMSと同様に経済産業省が推進している
GDS(商品マスター同期化)が、商品マスター情報の標準化と共有化を目指しており、流通BMSの標準
業務フローで商品マスター情報の交換にはGDSを使うよう規定されているからである。
■ GDSとは?
商品名や商品コードのほか、寸法・外観写真・重量などの項目を含む「商品マスター情報」を標準化し、
データプールに登録して、メーカー・卸・小売間で情報共有するための仕組みがGDSである。
国際標準と乖離しないよう、将来的には海外の商品情報の入手や、国内の商品情報の海外への発信な
ども視野に入れ、国際的に通用する情報共有基盤の確立を目指している。実現すれば、コスト削減や
本来業務への集中、サプライチェーン全体のスピードアップなど、多大なメリットが見込まれる。
■ GDSを使って商品マスター情報を交換する場合の問題点
しかし、GDSには次のような課題があり、現時点で実用レベルに達していない。
・ 参加企業が少ないうえ、登録商品のカバー率が低い
・ 価格、納期、支払条件など、各社ごとに必要な情報をすべて登録できるのか疑問
・ 自社システムとデータプールを連携するためのシステム投資や維持費などコストがかかる
さらに、流通BMSとGDS、二つの異なるシステムを同時に運用するのは負担が大きいといった問題点も
あるため、GDSを使って商品マスター情報を交換するのは現実的ではない。
■ ニュートラル研究所の提言
とは言っても、発注業務には正確な商品マスター情報が不可欠であり、日常的に取引先と情報交換しな
ければならない。そのために各社がバラバラに独自の仕様でEDI化するくらいなら、たとえ過渡期的で
あっても流通BMSの標準メッセージに商品マスター情報を追加しても良いのではないか。
ニュートラル研究所は、GDSが課題をクリアして実用に耐え得るものになることを願っているが、一方で
“流通BMSの標準メッセージに商品マスター情報を追加すること”を提言する。
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