東日本大震災の試練を乗り越えるために!

2009年9月号
2011年4月号
東日本大震災の試練を乗り越えるために!
~チェーンストアの知恵を結集して、がんばろう日本!~
このたびの東北地方太平洋沖地震において被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
一日も早い復興と皆様のご健康をお祈り申し上げます。
1000年に1度とも言われる今回の災害からの復旧・復興は被災地だけの問題ではない。日本経済
の根幹に関わる未曽有の危機に、日本全体が総力を挙げて取り組まなければならない。
■東北3県の主要小売店舗の14.5%が休業状態
今回の震災による被害は甚大で15兆円以上とも言われている。岩手県、宮城県、福島県で10店舗以
上を展開する小売チェーンの3月末時点での営業状況を調査したところ、スーパー296店舗、ホームセン
ター208店舗、ドラッグストア429店舗、合計933店舗のうち、まだ136店舗(全体の14.5%)が休業中だった。
内陸部の店舗はかなり復旧し営業を再開したが、津波の被害を受けた沿岸部の復旧は依然厳しい状況
だ。営業できてるとはいっても、仮設店舗や店頭で販売可能な商品に絞ったり、商品の入荷不足や人員
不足から営業時間を短縮しているケースも多く、完全復旧には時間がかかりそうだ。また、原発事故の
影響は政府による農畜産物の出荷停止指示に加え、風評被害による売上低下を招いている。今年に入
りようやく回復しかけてきた小売業の業績に水を差すのは確実だ。
■関東では計画停電の影響が大きい
東京電力のエリア内の小売チェーンに影響が大きいのは電力不足による計画停電だ。停電の発表が
ある都度、小売店舗では事前準備が必要なため停電時間以上に営業休止状態が続く。また、計画通り
停電が実施されないケースもあるため消費者の混乱の収拾に追われている。計画停電を回避するため、
いかに節電するかが最重要課題になっており、小売チェーンでは屋内外の看板や事務所等の消灯、商
品のスポットライトの消灯など照明の節電対策は当たり前で、自主的に夜間の営業時間を短縮している
店舗も多い。それに水や日配品の品薄状態が拍車をかけて地域住民の買い物に支障が出ていたり、消
費マインド全体を冷え込ませている。このまま計画停電が続けば業績への影響は必至なため経済界で
も様々な節電計画を検討中だ。自家発電装置の設置やLED照明への切り替えなど設備投資だけでなく、
今は知恵を絞って電力消費を抑える努力も必要だ。例えば地域単位で店休日を設定したり、交代で夜間
営業時間を割り振りするなど、チェーンストアの囲いを越えて対策を検討する必要がある。
■自粛ムードばかりでは日本経済を悪化させる
義援金や物資、ボランティアなど被災地支援も重要だが、幸いにも被害を免れた西日本には、ダメージ
を受けた日本経済を回復させる役割を担うことが期待される。大地震の翌日、新幹線が鹿児島まで開通
したが自粛ムードの中で静かな発車となった。その1週間前には博多の新駅ビル「JR博多シティ」が開業
し賑わっていたが、大地震以降は観光客のキャンセルが相次いでいる。5月には西日本最大のJR大阪
駅の再開発プロジェクト「大阪ステーションシティ」が開業する。新幹線や大型商業施設の開業は、多くの
消費者や観光客を呼び込む起爆剤だ。自粛ムードばかりでは経済は活性化しない。国難と言えるこの
大震災を乗り越えるために被災地への支援を続けながら、それぞれの地域でやれることを実行しよう。
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