No. 90 - 情報規格調査会

別
冊
(2010 年度 専門委員会関係活動報告)
No. 90
別冊
2011 年 7 月
目
次
技術活動関係委員会一覧 ................................................................... 2
第 1 種専門委員会および関係機関の国内委員会
アクセシビリティ SWG 小委員会 .............................................................. 3
ディレクティブズ SWG 小委員会 .............................................................. 3
JTC 1/WG 6 小委員会(IT コーポレートガバナンス) ........................................... 4
JTC 1/WG 7 小委員会(センサーネットワーク)................................................ 5
SC 2 専門委員会(符号化文字集合).......................................................... 5
SC 6 専門委員会(通信とシステム間の情報交換) .............................................. 7
SC 7 専門委員会(ソフトウェア及びシステム技術) ........................................... 10
SC 17 国内委員会(カード及び個人識別).................................................... 16
SC 22 専門委員会(プログラム言語,その環境及びシステムソフトウェアインタフェース) ........ 19
SC 23 専門委員会(情報交換及び保存用ディジタル記録再生媒体) .............................. 21
SC 24 専門委員会(コンピュータグラフィクス,画像処理及び環境データ表現) .................. 23
SC 25 専門委員会(情報機器間の相互接続) .................................................. 24
SC 27 専門委員会(セキュリティ技術)...................................................... 27
SC 28 国内委員会(オフィス機器).......................................................... 31
SC 29 専門委員会(音声,画像,マルチメディア,ハイパーメディア情報符号化) ................ 33
SC 31 専門委員会(自動認識およびデータ取得技術) .......................................... 37
SC 32 専門委員会(データ管理および交換) .................................................. 39
SC 34 専門委員会(文書の記述と処理の言語) ................................................ 42
SC 35 専門委員会(ユーザインタフェースインタラクション) .................................. 44
SC 36 専門委員会(学習,教育,研修のための情報技術) ...................................... 47
SC 37 専門委員会(バイオメトリクス)...................................................... 49
SC 38 専門委員会(分散アプリケーションプラットフォームおよびサービス) .................... 54
第 2 種専門委員会
学会試行標準専門委員会 ................................................................... 56
クロスドメイン・レジストリ専門委員会 ..................................................... 57
第 3 種専門委員会
共通言語基盤(CLI)JIS 改正原案作成委員会 ................................................. 58
オフィス文書のためのオープンな文書形式(OpenDocument)v1.0 JIS 原案作成委員会 ............. 59
NFC 有線インタフェース(NFC-WI)JIS 制定原案作成委員会 .................................... 59
ソフトウェア製品の品質要求及び評価に関する JIS 原案作成委員会 ............................. 60
ソフトウェアライフサイクルプロセス JIS 改正原案作成委員会 ................................. 61
ISO 2375 登録委員会
................................................................... 62
技 術 活 動 関 係 委 員 会
委員会(テーマ)
技術委員会関係
技術委員会 (情報技術)
アクセシビリティ SWG
ディレクティブズ SWG
JTC1/WG6
JTC1/WG7
委員長/主査
大蒔 和仁
山田
肇
大蒔 和仁
平野 芳行
越塚
登
第 1 種専門委員会関係
SC2 (符号化文字集合)
SC6 (通信とシステム間の情報交換)
WG1 (物理層およびデータリンク層)
WG7 (ネットワーク層およびトランスポート層)
WG8 (ディレクトリおよび ASN.1)
SC7 (ソフトウェア技術及びシステム技術)
WG1A (IT ガバナンスフレームワーク)
WG2 (ソフトウェアシステムの文書化)
WG4 (ツールと CASE 環境)
WG6 (ソフトウェア製品・システムの品質)
WG6/FSM SG
WG6/CIF SG (Common Industry Format for
Usability (使用性のための工業共通様式))
WG7 (ライフサイクル管理)
WG10 (プロセス評価)
WG19 (IT システムの仕様化技術)
WG19/ODP SG
WG20 (ソフトウェア及びシステム知識体系とプロフェッショナル
形成)
WG21 (ソフトウェア資産管理プロセス)
WG23 (システム品質の運営管理)
WG24 (小企業向けソフトウェアライフサイクル)
WG25 (IT サービス管理)
WG26 (ソフトウェアテスト)
SC22 (プログラム言語,その環境およびシステムソフトウェア
インタフェース)
C#, CLI SG
COBOL WG (WG4)
Fortran WG (WG5)
言語共通 WG (WG11)
C WG (WG14)
LISP WG (WG16)
Prolog WG (WG17)
C++ WG (WG21)
SC23 (情報交換及び保存用ディジタル記録再生媒体)
ファイルフォーマット SG (ボリュームとファイル構造)
WG6 (iVDR カートリッジ)
SC24 (コンピュータグラフィクス,画像処理および環境
データ表現)
WG6 (マルチメディアによるプレゼンテーションおよび交換)
SC25 (情報機器間の相互接続)
WG1 (ホームエレクトロニックシステム)
WG3 (商用構内配線)
WG4 (計算機システムおよび周辺機器間の相互接続)
SC27 (セキュリティ技術)
関口 正裕
山下 博之
高山 佳久
脇野
淳
戸部 美春
谷津 行穂
菊島 靖弘
山本 喜一
岸
知二
東
基衞
高橋 光裕
福住 伸一
村上 憲稔
小川
清
梶原 清彦
宮崎比呂志
鷲崎 弘宜
高橋
高橋
伏見
平野
西
石畑
快昇
宗雄
諭
芳行
康晴
清
黒川 利明
高木
渉
田中
稔
筧
捷彦
野田
誠
湯淺 太一
中村 克彦
安室 浩和
山下
経
後藤 芳稔
国崎
修
青野 雅樹
青野
山本
山本
倉嶋
佐藤
寶木
(2011 年 3 月現在)
委員会(テーマ)
委員長/主査
WG1 (情報セキュリティマネジメントシステム)
山崎
哲
WG2 (暗号とセキュリティメカニズム)
松尾真一郎
WG3 (セキュリティ評価技術)
甲斐 成樹
WG4 (セキュリティコントロールとサービス)
中尾 康二
WG5 (アイデンティティ管理とプライバシー技術)
寳木 和夫
SC29 (音声,画像,マルチメディア,ハイパーメディア情報符号化)
守谷 健弘
WG1 (静止画像符号化)
小野 文孝
WG11/VIDEO (動画像符号化/動画)
鈴木 輝彦
WG11/AUDIO (動画像符号化/音声)
山崎 芳男
WG11/SYSTEMS (動画像符号化/システム)
金子
格
WG11/SYSTEMS/MPEG-7 SG (動画像符号化/システム 渡部 秀一
/MPEG-7)
WG11/SYSTEMS/OICI SG (動画像符号化/システム
伊藤
聡
/MPEG 知財コンテンツ情報)
SC31 (自動認識およびデータ取得技術)
柴田
彰
SC32 (データ管理および交換)
鈴木 健司
WG2 (メタデータ)
堀内
一
WG3 (データベース言語)
芝野 耕司
WG4 (SQL マルチメディア・アプリケーションパッケージ)
鈴木 健司
SC34 (文書の記述と処理の言語)
小町 祐史
WG2(文書情報表現)
小町 祐史
WG3(情報関連付け)
内藤
求
SC35 (ユーザインタフェースインタラクション)
山本 喜一
WG8(ユニバーサルリモートコンソール)
山本 喜一
SC36 (学習,教育,研修のための情報技術)
仲林
清
WG2 (協調及び知的技術)
池田
満
SC37 (バイオメトリクス)
瀬戸 洋一
WG1 (バイオメトリック専門用語)
溝口 正典
WG2 (バイオメトリック テクニカル インタフェース)
熊谷
隆
WG3 (バイオメトリックデータ交換フォーマット)
新崎
卓
WG4 (バイオメトリック機能アーキテクチャと関連プロファイル)
瀬戸 洋一
WG5 (バイオメトリック技術の試験および報告)
溝口 正典
WG6 (バイオメトリクスに関わる社会的課題)
酒井 康夫
SC38 (分散アプリケーションプラットフォームおよびサービス)
鈴木 俊宏
第 2 種専門委員会
学会試行標準
WG1 (情報技術用語)
WG2 (文字図形識別情報)
WG3 (解析・生成用日本語電子化辞書形式)
WG4 (音声言語処理インタフェース)
WG6 (レスポンシブリンク)
WG7 (フォントリソース参照方式)
第 3 種専門委員会
オフィス文書のためのオープンな文書形 JIS 原案作成
ソフトウェア製品の品質要求及び評価に関する JIS 原
案作成
雅樹 その他
和幸 ISO 2375 登録
和幸
利雄
和弘
和夫
小町 祐史
大野 義夫
古家 時雄
柏野和佳子
新田 恒雄
山崎 信行
小町 祐史
村田
東
真
基衞
三上
喜貴
注:第 1 種専門委員会:ISO/IEC JTC1 傘下の SWG/SCs に対応
第 2 種専門委員会:標準化の提案を準備、または標準化活動を支援
第 3 種専門委員会:経済産業省または日本規格協会の委託により,国際規格 JIS 化の原案作成
SC17 (カードと個人識別)
SC28 (オフィス機器)
(社)ビジネス機械・情報システム産業協会担当
(社)ビジネス機械・情報システム産業協会担当
SC31 傘下の WG
SC35 傘下の WG
(社)電子情報技術産業協会担当
(社)ビジネス機械・情報システム産業協会担当
<第 1 種専門委員会および関係機関の国内委員会>
■ アクセシビリティ SWG 小委員会活動報告
■ ディレクティブズ SWG 小委員会 活動報告
主査 山田 肇
幹事 野村 茂豊((株)日立製作所)
幹事
1. 概要
情 報 ア ク セ シ ビ リ テ ィ に 関 連 す る ISO/IEC TR
29138 ( Accessibility considerations for people with
disabilities)シリーズが,2009 年 6 月に公開され,SWG
on Accessibility(SWG-A)の活動は一段落した.これ
を受け,2010 年度は SWG-A の将来像について議論が
続いた.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 SWG-A の組織的位置づけ
2010 年度 JTC 1 総会において,SWG という組織形
態では TR が作成できないことが明確になった.これ
を受けて,SWG-A の将来像について議論が進んだ.
2011 年 3 月 1 日から 4 日まで,英国で SWG-A ロン
ドン会合が開催された.この会合において,SWG-A
は SWG-Directives に則った活動を行うものとして,
2011 年度 JTC 1 総会に対して「SWG-A は TR 29138
シリーズをベースとして,それらの情報を更新し,ガ
イド,データベースなどにして,公表する活動を行う」
と回答することで合意した.
これに伴って SWG-A の Terms of Reference 修正案を
作成した.今後,修正案を基に議論を深め,2011 年 9
月予定のパリ会合にて最終化し,2011 年度 JTC 1 総会
に提案することとなった.
2.2 TR に関連する事項
ISO/IEC TR 29138 シリーズのうち,Part 1: User
needs summary について,更新の可能性および活用方
法・有効性を引き続き調査することになった.
ISO/IEC TR 29138 シリーズのうち,Part 2: Standards
inventory について,データベース化の具体策について
引き続き検討することになった.
2010 年 1 月の電話会議でわが国から提案した,プ
ロセス標準等に関連する新 TR の作成作業については,
SWG は TR を作成できないので,SWG-A では検討し
ないこととした.
3. その他
SWG-A の組織形態については,2011 年度 JTC1 総
会で最終決着が図られる可能性が高い.総会前に開催
を予定している SWG-A パリ会合とともに,2011 年度
は慎重に動向を見据え,的確に対応していく必要があ
る.
鈴木俊宏(日本オラクル株式会社)
1. 概要
2010 年度は,2010 年 6 月 ジュネーブ,2010 年 8
月ニューヨーク,2011 年 2 月セントデニスの 3 回の
会合が開催された.JTC 1 の業務手続きを ISO/IEC の
業務手続きに可能な限り整合化するという大方針に
基づいた共通指針 ISO/IEC Directives Part1 と JTC 1
Supplement(JTC 1 向けの補足,以下 JTC 1 SD 文書と
略す)が 7 月 1 日に正式発行,施行された年でもある.
2. 国際会議開催状況
(1) 2010 年 6 月ジュネーブ会議(2010-06-08/09)
これまでの SWG on Directives 会議からの継続で,
JTC 1 SD に対する JTC 1 投票のコメント処理が行わ
れた.JTC 1 投票で既に承認されている文書のコメン
ト処理であるので,大きなプロセスの変更や,新しい
改善案の審議は行わずに,エディトリアルな修正及び
現在の JTC 1 Directives のプロセスから意図せずして
異なってしまった JTC 1 SD の記述上の間違いについ
て審議を行い,全ての SD のテキストの確定を行った.
また IEC SMB において JTC 1 Supplement は承認され
たという報告がなされ,ISO TMB でも問題なく承認
されるであろうとの議長の見解が述べられた.よって,
ここ数年間続けられていた,JTC 1 Directives のプロセ
スをできるだけ ISO/IEC Directives に整合させ,JTC 1
独自プロセスを JTC 1 SD に記述するという作業は終
了したことになる.
(2) 2010 年 8 月ニューヨーク会議(2010-08-08/10)
6 月のジュネーブ会議からの継続審議案件の審議と,
新しく発行された JTC 1 Supplement と JTC 1 SD に関
する各国からの寄書の審議が行われた.具体的には以
下について検討が加えられた.
・ JTC 1 で使用する文書フォーマットの統一
・ JTC 1 SD on API の廃止
・ JTC 1 SD on meeting に規定されている電話会議
開催時間
・ ISO, IEC, JTC 1 共通の NP Form 提供
・ PAS と Fast Track 共通の Explanatory Report 形式
・ CD の投票期間
・ JTC 1 Directives から JTC 1 Supplement への移行
時に未記載となった JTC 1 Supplement の不備
・ Project Editor の中立性の明記
・ JTC 1 Supplement と SD の使い易い形式の提供
また,2011 年に発行される ISO/IEC Directives Part 1
に対して JTC 1 Supplement 側の対応も議論された.
ISO/IEC JDMT からは継続して JTC 1 の審議プロセス
を ISO/IEC 共通 Directives に整合させる努力を続ける
ように要請されていることが報告された.
(3) 2011 年 2 月セントデニス会議(2011-02-16/18)
8 月のニューヨーク会議以降,11 月にベルファスト
で 開 催 さ れ た JTC 1 総 会 の 決 議 の 内 , SWG on
Directives に与えられた作業のフォローと,JTC 1
Supplements と JTC 1 SD について各 NB からの寄書の
審議が行われた.具体的には以下について検討が加え
られた.
・ PAS の DIS 審議の明確なフローチャートの提示
・ JTC 1 で使用する文書フォーマットの統一(前
会議からの継続審議)
・ JTC 1 で行われる電話会議の開催時間枠(前会議
からの継続審議)
・ JTC 1 SD on History の扱い
・ JTC 1 SD on PAS 中の重複や不明瞭な点の解消
・ ISO, IEC, JTC 1 共通の NP Form 提供(前会議から
の継続審議)
・ JTC 1 Supplement と SD の使い易い形式(前会議
からの継続審議)
・ 新 SD として JTC 1 SD on Acronyms の提供
・ Convenor 任期の明記
・ Other Working Group や Special Working Group の
再設置(Reconstitution)のクライテリアの明記
・ SWG の Technical Report 開発の現状と JTC 1
Supplement との乖離是正
・ JTC 1 投票期間中の寄書提出や議論の扱い
3. その他の活動
JTC 1 SWG on Directives では,会議で決議に至らな
かった事項は必要に応じてアドホック・グループを組
織し電話会議などを利用し個別に検討を行い次回会
議にアドホック検討結果を報告する方式が取られて
いる.2010 年度は以下のアドホックが設立され日本
から積極的に活動を行った.
・ Ad Hoc on EDPDA (2010 年度通年継続):JTC 1
で使用する文書フォーマットの統一
・ Ad Hoc on New Work Item Proposal (2010 年 8 月ニ
ューヨーク会議設立)
:ISO, IEC, JTC 1 共通の NP
Form 提供
・ Ad Hoc on Fast Track and PAS Flow Charts (2011 年
2 月セントデニス会議設立):PAS の DIS 審議の
明確なフローチャートの提示
■ JTC 1/WG 6 小委員会(IT コーポレートガバナンス
/Corporate governance of IT:CGIT)
主査
平野 芳行
1. 概要
2010 年度は,5 月フィンランド・ヘルシンキ,9 月
南ア・サントン,2011 年 3 月韓国・済州島の 3 回の
国際会議が開催され,前半 2 回に日本から 1 名(平野)
が出席した. 3 月の会議は 14 日開始であり,3 月 11
日の東日本大震災直後となったため急きょ出席を取
りやめた.2009 年の JTC 1 総会で,SC 7 から移管さ
れた WD29151(CGIT)の改訂,WD29184(CGIT-導
入ガイド),及び NP38502(コンセプト及び用語)の
審議を行った.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
(1) 38500 の改訂作業は,SC 7 の WD29151 として移管
を受け規格番号を 38500 へ一本化するとともに 2010
年 5 月の会議で 9 か月の開発期間の延長の申請を行い,
また,9 月の会議で CD へ進めることに合意されたが,
それ以後標準案の作成遅れのため,11 月の JTC 1 総会
で承認を得られず,ドラフトも 2010 年 7 月以降更新
されていない.2011 年 3 月の会議でプロジェクトを
キャンセルし,再度 NP 提案及び CD 投票を同時に行
うことになった.エディタの一人が辞任したことも作
業が停滞した一因である.
(2) WD38501 は,SC 7 から移管された WD29184 から
番号変更したもので,TS として開発中である.2011
年 3 月の会議に南アフリカのエディタが交代したが,
その後も PDTS へ進めるべく,電話会議で詳細を詰め
ているところである.
(3) WD38502 は,2010 年 9 月の会議で作成した WD
に関して 2011 年 3 月の会議でコメント処理を行い,
PDTR へ進めようとしているところである.
なお,3 月の済州島会議に向けて,国内小委員会(SC
7/WG1A 小委員会との合同会議)で審議した結果を,
コーポレート IT ガバナンス国際関連規格案(TS/TR)
に関するコメントとして JTC 1/WG 6 に提出した.
・ 実装ガイドライン(TS 38501)に対する指標
(KGI/KPI メトリクス)の提案(JTC1N10428,
2011-03-01)
・ フレームワークとモデル(TR 38502)に対する
IT Audit の範囲(プロセスアシュアランスとの関
係)の提案(JTC1N10415,2011-02-17)
済州島会議での結果は,N 文書でいずれ詳細が公表
されるのを待ちたい.
東日本大震災の直後で,2011 年 3 月の会議に出席
できなかったため,今後の予定等は,3 月の議事録や
決議で明らかにされるであろう.
■ JTC 1/WG 7 小委員会(センサーネットワーク/
Sensor Network)
委員
櫻井 義人((株)日立製作所)
1. 概要
前身の SGSN (Study Group on Sensor Network)が,
2008 年 4 月から 2009 年 10 月まで活動を行い,2009
年のテルアビブ総会で,JTC 1 直下の Working Group
設立が決議された(WG 7 となった).同時に SC 6 で
既に検討されていたセンサーネットワークのリファ
レンスモデルに関するプロジェクト(WD29182)が
移管された.また,中国,米国から NP が提出された.
尚,主査,幹事ともに提案元の韓国が指名された.
第 1 回の WG 7 会合は,2010 年 3 月 8 日から 12 日ま
でロンドン(英)で開催された(日本からの出席1名).
この時点では,まだ WG 7 として成立したプロジェク
トが無いため上記移管プロジェクトをマルチパート
化してこれまでの SG としての出力を吸収し作業を継
続することとした.
第 2 回会合は,2010 年 8 月に米国 NIST にて行われ
た.22 名が出席(日本欠席)し,第 1 回会合で決め
た 7 つのパートのうち 3 つの WD が出来た.また中
国 提 案 の NP で あ る CIP (Services and Interfaces
Supporting Collaborative Information Processing in
Intelligent Sensor Networks) の NP 投票のコメント処理
表作成と WD を作成した.さらに米国提案の NP であ
るセンサーネットワークのスマートグリッドインタ
フェースの投票コメントのコメント処理表作成と,プ
ロジェクトエディタ募集と,ベースドキュメント募集
が行われた(この段階で WD は無い)
.
2010 年 11 月の JTC 1 ベルファスト総会で上記状況
が報告されるとともに,各エディタの承認,リエゾン
オフィサの承認などが行われた.現在日本を含む 9 カ
国が参加登録されている.尚,次回会合は 2011 年 4
月にソフィアアンティポリス(仏)にて予定されてい
る.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
・ ISO/IEC 29182 “Information technology -- Sensor
Networks --Sensor Network Reference Architecture
(SNRA)”
・ ISO/IEC 29182 Part 1 – General overview and
requirements --- WD 完成
・ ISO/IEC 29182 Part 2 – Vocabulary/Terminology
--- WD 完成
・ ISO/IEC 29182 Part 3 – Reference architecture
views --- 作業中
・ ISO/IEC 29182 Part 4 – Entity models --- 作業中
・ ISO/IEC 29182 Part 5 – Interface definitions --- 作
業中
・ ISO/IEC 29182 Part 6 – Application Profiles --- 作
業中
・ ISO/IEC 29182 Part 7 – Interoperability guideline
--- WD 完成
・ ISO/IEC 20005 “Information technology -- Sensor
Networks -- Services and Interfaces Supporting
Collaborative Information Processing in Intelligent
Sensor Networks” --- WD 完成
・ ISO/IEC NP 30101 Sensor Network and its Interface
for Smart Grid System --- NP 承認(WD 作成作業
は進んでいない)
WD が完成したものについては,上記 2011 年 4 月の
会合にて CD 投票へ進むかどうかの判断がなされる予
定である.
(追補:4 月会合で 4 件の CD 投票が決まっ
た.)
3. その他
対応する国内委員会として,JTC 1/WG 7 小委員会
を立ち上げるべく,2010 年 9 月に準備会合を行った.
関心のある国内各社各機関から 22 名が集まって上記
経緯の共通認識等をおこなった.準備会合後,小委員
会の委員および幹事の募集を行ったが,応募は 2 名の
みで,2010 年度は委員会活動が成立しなかった.2011
年度は CD 投票案件が出てくる見込みであるので,こ
れに対応する体制を考慮する必要がある.
■ SC 2 専 門 委 員 会 ( 符 号 化 文 字 集 合 / Coded
Character Sets)
委員長
関口正裕(富士通株式会社)
1. 概要
1.1 担当分野
SC 2 は,符号化文字集合(いわゆる文字コード)
および文字列の照合順番を担当する.JTC 1 の中で最
も長期にわたって活動している SC である.日本は,
SC 2 の議長および幹事国を継続的に引き受けるなど,
主導的な役割を果たしている.
過去には,国や地域・応用などごとに様々な符号化
文字集合が使用されていた時代があり,SC 2 も多数
の符号化文字集合規格を作成していた.しかし近年は,
特定の地域や応用に特化した符号化文字集合の利用
は減少の一途をたどっている.代わりに,1990 年頃
に登場したユニバーサル符号化文字集合,すなわち,
多数の国・地域や応用のニーズを満たし場面によって
使い分ける必要のない符号化文字集合の利用が進ん
でいる.
現在の SC 2 の活動の大部分は,ユニバーサル符号
化文字集合の国際規格である ISO/IEC 10646 (国際符
号化文字集合(UCS:Universal Coded Character Set))
にあてられている.
1.2 組織
現在 SC 2 傘下には,ただ一つの WG として WG 2
があり,ISO/IEC 10646(UCS)を開発している.WG
2 の傘下には,主に漢字使用国が集まって UCS の中
で漢字に関連する事柄を担当する表意文字ラポータ
グループ(IRG:Ideographic Rapporteur Group)がある.
SC 2 は,過去に開発した様々な単一オクテット符号
化文字集合,制御機能などの規格も担当しているが,
これらの規格の大半はスタビライズされており,実質
的な作業はほとんどない.
SC 2 は,国際文字列照合順番の規格である ISO/IEC
14651 も担当している.ISO/IEC14651 は,WG を組織
せず,OWG-SORT(Other working group on sorting)が
規格の編集作業を担当している.
国内委員会の組織は,SC 2 専門委員会が SC 2 およ
びその傘下のすべての活動に対応している.常設の小
委員会などはない.ただし,特定の技術的内容に関し
て詳しい検討が必要な場合など,随時アドホックグル
ープを編成して対応することとしている.2010 年度
は,IRG での甲骨文字(1*)の検討(後述)に対応する
ためのアドホックグループが活動した.
(*1)中国殷(いん)の時代の象形文字で,現在の漢字の
原型.
1.3 議長の交代
SC 2 国際議長の任期満了にともない,小林龍生氏
(IPA(元ジャストシステム)
)が退任し,三上喜貴氏
(長岡技大)に交代した.
1.4 国際会議対応
2010 年度の国際会議の状況は,4 月および 10 月に
それぞれサンノゼ(米)およびプサン(韓)で WG 2
(OWG-SORT も併催)が,6 月および 11 月にそれぞ
れ長岡(日)およびマカオで IRG が,それぞれ開催
された.日本からの参加者は,それぞれこの順に,2
人,1 人,9 人,5 人であった.
1.5 規格の状況
2010 年度には,ISO/IEC 10646:2003/Amd.7 が出版さ
れた.ISO/IEC 10646:2011 も 2010 年度中に出版され
る予定であったが,若干遅れて 2011 年 5 月に出版さ
れた.
投票に付された規格案等は,NP 0 件,CD 1 件,FCD2
件,DIS 0 件,FDIS1 件,PDAM 1 件,FPDAM 1 件,
および FDAM 1 件であった.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 国際符号化文字集合
2.1.1 全体
現在の SC 2 の活動は,ISO/IEC 10646 国際符号化文
字集合(UCS)の開発と保守が中心となっている.最
初の規格化は ISO/IEC 10646-1:1993 である.その後も
活発に追補・改版,またパート 2 の出版が行われたが,
2003 年 度 末 に は パ ー ト 構 成 を 廃 し た ISO/IEC
10646:2003 として規格を再整理した.さらにその後も,
継続的に主として文字の追加を行い,追補の形で出版
している
これらの追補をまとめて編集し直し,第二版として
ISO/IEC 10646:2011 を作成した.また,すでに ISO/IEC
10646:2011 を改正する規格案も審議が進んでおり,
2011 年内の発行を目指している.
2.1.2 漢字関連
日本国内での漢字文字コードについては,現在では
JIS 漢字コードのような日本固有の規格を作るのでは
なく,国際標準の枠組みで開発を進める方向になって
おり,必要な仕様についてはその都度修正提案を行っ
ている.2010 年度は常用漢字が 30 年ぶりに改正され
るという大きいイベントがあったが,この改正が
ISO/IEC 10646 に与える影響は無いことが確認されて
いる.
現在開発中の ISO/IEC 10646 第 3 版においては,
従来単一字形で示していた CJK 統合漢字拡張 B(2*)
をそれぞれの原典に対応した複数の字形を示す多カ
ラム化の作業を含む.合計 4 万字を越える文字表を現
在のものと矛盾なく作り替える作業は困難を極める
が,日本としても大きな関心事のひとつであり,IRG
が担当するこの作業には継続して参加している.
ISO/IEC 10646 第 3 版は 2011 年度末までに開発を完了
する見通しであり,これに対応する JIS X0221 につい
ても来年度以降改正を検討する必要がある.
一方,日本国内では電子政府等公共分野における外
字利用の実態の調査研究が進められており,現在の国
際標準ではカバーされないが行政実務では使用され
る漢字等に関する要求が具体化されつつある.これら
については近い将来に国際標準への追加提案を行う
などの対応が必要になると思われる.
(*2) CJK 統合漢字は日本,中国,韓国などの類似する
漢字を統合した漢字集合であり,拡張 A,B,C と扱
う文字数が増えている.
2.1.3 甲骨文字
2004 年から古漢字を現代漢字と別文字として符号
化する計画が進められており,現在は甲骨文字につい
て作業が行われている.実作業は主に中国と TCA
(Taipei Computer Association) により進められてきた
が,出版社や,データベース構築経験のある専門家は
参加していない.その結果,既存のデータとの相互運
用性や既存研究との整合性を考慮せずに拓本資料を
収集した,“独立した新たな研究”のような状態にな
っている.
2010 年 11 月に作業中のデータのスナップショット
が公開されたことを受け,国内委員会では鈴木敦(茨
城大)を中心に,既存の研究成果との相互運用性およ
び将来にわたる安定性(*3)を重視したキャラクタ-グ
リフモデル(*4)に基づく符号構造の提案準備を進め
ている.また,スナップショットに過去の議論の記録
がなく,位置づけが不明なデータが多数含まれている
ことが判明し,データの位置づけの明確化のために日
本からデータベース内容定義の改訂を提案している.
(*3) 古漢字の研究において,出土資料の文例が限ら
れているために,見た目が違っているが異字形なのか
別字なのか現時点では判断できないバリエーション
が少なくない.従って,現段階で完全な文字集合を一
括で定義することは危険である.
(*4) 文字と文字を表示印刷する際の実際の画像との
対応の規則で,符号化文字集合を作成する前提となる.
ISO/IEC TR 15285 (An operational model for characters
and glyphs) に説明がある.
2.1.4 携帯電話の絵文字
日本の携帯電話で利用されているいわゆる絵文字
を UCS に追加する提案があり,この審議は 2009~
2010 年度の重要なテーマの一つであった.
携帯電話との互換性のための絵文字の追加は,
ISO/IEC 10646:2011 に含まれている.
2.2 国際文字列照合順番
照合順番に関する活動は,ISO/IEC 10646 に対する
文字の追加と一致するように ISO/IEC 14651 を保守す
ることが主要な内容である.2010 年度の活動は文字
の増加に対する機械的な対応が中心であった.
3. その他
3.1 IVD
2009 年度に,汎用電子情報交換環境整備プログラ
ム(*5)の成果に基づいた漢字グリフの登録手続きを
開始したが,2010 年 11 月に登録が完了し,正式な IVD
(Ideographic Variation Database)(*6)の一部となった.
今後,同プログラムの成果のうち,残余の漢字グリ
フ登録が行われる見込みであり,当専門委員会も協力
する予定.
(*5) 経済産業省の委託事業として平成 14 年度から実
施されたプロジェクトで,将来の電子政府の情報交換
での活用を念頭に置き,いわゆる外字の調査・整理・
体系化を行い,電子申請などのシステムでの情報交換
を可能にすることを目的としている.
(*6) UCS の CJK 統合漢字に対する字形データベース
および符号化表現であり,Unicode Consortium という
団体が管理している.
■ SC 6 専門委員会(通信とシステム間の情報交換
/Telecommunications and Information Exchange
Between Systems)
委員長
山下 博之(独立行政法人情報処理推進機構)
1. 概要
SC 6 は,汎用計算機/ワークステーション/パソ
コンなどの情報処理装置,情報通信家電や IC カード
互換通信機器,マルチメディア情報機器を含むシステ
ム相互間の各種情報転送に必要となる下位層及び上
位層の通信プロトコルの標準化を担当している.特に,
上位層プロトコルは,旧 SC 33 より引き継いだプロジ
ェクトであり,ITU-T との協調作業が進められている.
ニーズにあった規格をタイムリーに標準化するため,
ITU-T に加えて,IEEE,Ecma,IETF などとリエゾン
をとりながら活動を進めている.
2010 年度には,2003 年度から開始されている
NFCIP ( Near Field Communication Interface and
Protocol)に関する,
我が国発で Ecma 経由の Fast-Track
手続きに基づく標準化作業を継続して精力的に実施
した.特に,SC17 で開発している非接触 IC カード規
格(ISO/IEC 14443 シリーズ)と NFC シリーズ規格と
のハーモナイゼーションを図る作業には中心となっ
て対応した.また,無線 LAN 関連,PLC(Power Line
Communication),MFAN(Magnetic Field Area Network),
ProxZzzy,TV White Space 帯通信などの通信プロトコ
ルに関する標準化作業も行われた.フューチャーネッ
トワーク,センサ・ネットワーク,ディレクトリ及び
ASN.1 関連の活動も活発に行われた.
なお,2010 年度は,IS 出版 8 件,TR 出版 2 件,
FDIS/FDAM 投票 4 件,DIS 投票 3 件,DTR 投票 2 件,
FCD/FPDAM 投票 3 件,CD/PDAM 投票 14 件,PDTR
投票 1 件,DCOR 投票 14 件,NP 投票 1 件であった.
2. 主なプロジェクトの進行状況
2.1 WG 1(物理層およびデータリンク層)
2.1.1 主な投票及びその対応状況
(1) ISO/IEC 12139-1 (PLC)
韓国からの電力線通信に関する Fast-Track 提案であ
る.事前に国内 SC 25 への意見照会を行った上で反対
投票を行ったが,国際では承認となった.BRM が開
催され,日本企業が支持する IEEE P1901/ITU-T G.hn
及び DIS 12139-1 との共存は不可能なことを注意喚起
する努力を行うこと,及び Part 2 にて高品質でマルチ
メディアを扱える能力を加える際に共存を実現する
ことを目指すことについて合意し,将来日本企業が支
持する仕様を IS 化する余地を確保できた.
(2) ISO/IEC 13157 (NFC-SEC: NFCIP-1 Security
Services and Protocol)
Ecma からの Fast-Track 提案であり,NFCIP-1 用の
セキュアチャネル及びセキュアな鍵共有サービスを
提供するための PDU 及びプロトコルを規定する.
ISO/IEC 18092 の拡張に当たる NFC-SEC 機能の有無
を表すビットの NFC-SEC 側での規定方法についての
コメントを付した上で賛成投票を行った.BRM にお
いてコメントは解決された.
(3) ISO/IEC 15149 (MFAN)
韓国提案の FCD 投票であり,周囲に金属・土壌・
水があるために,既存の RF 帯域向け標準通信規格に
よるセンサ-ノード間伝送が厳しい環境での利用のた
めに考案された,低い周波数帯域(30kHz~300kHz)
における磁界センサを想定した無線ネットワークの
物理層(PHY)及びメディアアクセスコントロール層
(MAC)プロトコルの規格である.NP 投票では国内
にも研究課題にしている大学があったことから賛成
としていたが,その後積極的に貢献する機関が国内で
現れなかったため棄権投票を行った.
(4) ISO/IEC 16317 (ProxZzzy)
Ecma からの Fast-Track 提案であり,イーサネット
や無線 LAN 接続の PC が,自らの動作を節電状態に
移行する際に,復帰後の再接続を滞りなく実現するた
めのプロキシ能力の要件を規定する.家電をスコープ
から外して情報機器に限定がかかるような文言の追
加等の具体的なコメントを付けて反対投票を行った
が,国際では承認となった.DoC では日本からのコメ
ントが実質的に全て拒否された.DoC を見る限り,
BRM へ出席しても日本からのコメントを受け入れて
もらう余地は無いとの分析ができるものの,電話会議
に参加する予定.
(5)
ISO/IEC
16353
(NFC-FEC:
Front-End
Configuration Command for NFC-WI)
Ecma からの Fast-Track 提案であり,ISO/IEC 28361
(NFC Wired Interface) で使うためのフロントエンド設
定コマンドを規定する.コメント付き賛成投票を行い,
国際では承認となった.DoC を見る限り日本コメント
の採用は望めなかったため,BRM への出席は見送っ
た.
(6) ISO/IEC 16504 (TV White Space)
Ecma からの Fast-Track 提案であり,TV ホワイトス
ペース帯で利用する MAC 及び PHY 通信方式の規格
である.日本は米国と共に反対投票を行ったものの,
国際では承認となった.米国からは非常に長いコメン
トが付いていた.総務省情報通信国際戦略局通信規格
課と連絡を取り合い,この案件を対象にした ITU-T
から ISO/IEC JTC 1/SC 6 への「調整が必要」との趣旨
のリエゾン声明を根拠にして,日本からは,実質的に
Fast-Track 提案の取下げを迫るコメントを付した.大
震災への対応が優先されている状況下であるという
総務省側の事情並びに,TV White Space 当事者らが
ITU 側で今後の対応を図っていく予定が立ったため,
6 月 15 日にソウルで開催される BRM への参加を見送
る予定.
(7) ISO/IEC 18092 (NFCIP-1) 3rd WD
近距離通信用インタフェース及びプロトコル
(NFCIP-1)規格の 2010 年版 WD 投票において,賛成投
票を行った.14443/NFC Harmonization にかかる SC 6
Study Group 活動の勧告に沿って,他規格テキストの
コピーを改めて参照に変更する際の具体的方法に関
して,4 月 11 日の週の Ad Hoc 会議にて,技術変更と
なる危険を回避できる見込みが立ち,Ad Hoc として
4th WD を作ることになった.Ad Hoc の活動は 6 月の
SC 6 総会にてオーソライズされる予定.
(8) ISO/IEC 21481 (NFCIP-2) CD 投票
NFCIP-1 と他の 2 つの非接触 IC カード規格のうち
から動作する通信モードを選択する仕組みを規定す
る NFCIP-2 規格の 2010 年版 CD 投票において,賛成
投票を行った.国際でも反対は皆無であった.
(9) ISO/IEC 22536 Systematic Review
修正点があれば更新するべきであると回答した.4
月 11 日の週の Ad Hoc で国際も同様の意見であったこ
とを確認した.
(10) ISO/IEC 23917 Systematic Review
ISO/IEC 18092:2004 から技術変更は無いため,その
プロトコル試験に関する本規格には影響が有り得な
いとの立場から,スタビライズと回答した.国際の意
見は,修正点があれば更新するべきであるというもの
であった.
(11) ISO/IEC 29157 (PHY/MAC short-range wireless
low-rate applications in the ISM band)
韓国提案の FDIS 投票であり,「音声・データ・制
御」などの伝達を目的とした「低電力・低伝送速度・
短い距離」におけるマルチチャネルや一対多通信のプ
ロトコルを提供する規格案である.NP 投票時から日
本国内 SC 6 には興味を持つ企業が無い状況であり,
棄権投票を行った.
2.2 WG 7(ネットワーク層およびトランスポート層)
2.2.1 主な投票及びその対応状況
(1) 拡張トランスポートプロトコル(ECTP:Enhanced
Communications Transport Protocol)
拡張トランスポートプロトコル(6 パート構成)に
ついては,これまでパート 1(ISO/IEC 14476-1:シン
プ ル マ ル チキ ャ ス ト トラ ン ス ポ ート ), パート 2
(ISO/IEC 14476-2:シンプルマルチキャストトランス
ポートの QoS 管理),パート 3(ISO/IEC 14476-3:デ
ュプレックスマルチキャストトランスポート)とパー
ト 5(ISO/IEC 14476-5:N-plex マルチキャストトラン
スポート)が発行され,4 つのパートが完了している.
残っていたパート 4(ISO/IEC 14476-4:デュプレック
スマルチキャストトランスポートの QoS 管理)とパ
ート 6(ISO/IEC 14476-6:N-plex マルチキャストトラ
ンスポートの QoS 管理)については,2010 年 4 月に
IS が発行され,全てのパートが完了した.
(2) マルチキャスト中継プロトコル(RMCP:Relayed
Multicast Protocol)
マルチキャスト中継プロトコル
(3 パート構成)は,
これまでパート 1(ISO/IEC 16512-1:フレームワーク)
とパート 2(ISO/IEC 16512-2:シンプレックスグルー
プアプリケーションの仕様)が発行され,2 つのパー
トが完了している.また,パート 3(ISO/IEC 16512-3:
N-plex グループアプリケーションの仕様)については,
プロジェクトがキャンセルされている.
パート 2 については,現在 AM1(セキュリティ拡
張),AM2(メッセージとコード値)が検討されてお
り,共に FDAM 投票段階に進んでいる.AM2 の FDAM
投票では,本体規格が日本国内で利用される見込みが
無いため棄権投票を行った.
(3) モ バ イ ル マ ル チ キ ャ ス ト 通 信 ( MMC : Mobile
Multicast Communications)
モバイルマルチキャスト通信(3 パート構成)は,パ
ート 1(ISO/IEC 24793-1:フレームワーク)とパート
2(ISO/IEC 24793-2:ネイティブ IP マルチキャストネ
ットワーク上のプロトコル)について,FDIS 投票が
実施された.日本国内での普及の見込みが無いと思わ
れるが,技術的に問題は無いことから,両方とも棄権
投票を行った.
また,パート 3(ISO/IEC 24793-3:オーバレイマル
チキャストネットワーク上のプロトコル)については,
プロジェクトがキャンセルされている.
(4) ユビキタス・センサ・ネットワーク
ユビキタス・センサ・ネットワークについては,セ
キュリティフレームワーク(ISO/IEC 29180)とアプ
リケーションとサービスに関する参照アーキテクチ
ャモデル(ISO/IEC 29182)が検討されている.前者
については,FCD 投票が実施されたが,国内委員会
に専門家が不在のため棄権投票を行った.
また,ISO/IEC 29182 については,JTC 1/WG 7 に検
討が移管された.
(5) フューチャーネットワーク(課題と要件)
フューチャーネットワークの課題と要件(ISO/IEC
29181)については,2010 年 9 月のロンドン会議で次
の 7 パート構成の TR を作成することとなった.各パー
トは,パート 1(ISO/IEC 29181-1:全体的側面)
,パ
ート 2(ISO/IEC 29181-2:名前とアドレス),パート 3
(ISO/IEC 29181-3:スイッチングとルーティング)
,
パート 4(ISO/IEC 29181-4:モビリティ),パート 5
(ISO/IEC 29181-5:セキュリティ),パート 6(ISO/IEC
29181-6:メディア配信),パート 7(ISO/IEC 29181-7:
サービス合成)となっている.パート 1 の PDTR 投票
が実施され,日本は国内での利用が現時点で不明であ
ることから棄権投票を行った.
(6) マネージド P2P
2010 年 1 月のバルセロナ会議で新課題提案されて
いた「マネージド P2P:フレームワーク」の NP 投票
が実施され,日本は賛成投票を行った.
2.3 WG 8(ディレクトリ及び ASN.1)
2.3.1 ディレクトリ
2.3.1.1 主な投票及びその対応状況
(1) 拡張作業
2009 年 5 月に改定された 2008 年版(第 6 版)に対し
て,通信支援拡張,及びパスワードポリシー支援の拡
張作業を継続実施した.
前者は 2 つの形態のクライアントエージェント機
能の DUA (Directory User Agent)と LDAP クライアント
が 2 つの形態のサーバエージェント機能の DSA
(Directory System Agent)と LDAP (Lightweight Directory
Access Protocol)サーバが混在するディレクトリにア
クセスする際,DSA と LDAP サーバが連携して,そ
の要求を処理することを可能とする連携機能拡張で
ある.
後者はディレクトリのセキュリティ向上を目的と
し,パスワード破壊プログラムの侵入を困難にするた
め,ディレクトリ内でパスワードが使われ,管理され
る方法を制御する規則の集合を規定する.この規則集
合は,利用者の定期的なパスワード変更,古いパスワ
ードの再使用制限,許容回数を越えるログイン失敗時
のロックアウト機能等を保証するものである.
両者に対する 2 回の PDAM 投票において日本は,
技術的問題はないものの編集上の欠陥があるとして,
ドキュメント品質を上げるためコメント付反対で対
応した.
(2) 維持管理作業
ディレクトリ規格の維持作業として,2005 年版及
び 2008 年版に対する技術的修正に対応している.
2.3.2 ASN.1
2.3.2.1 主な投票及びその対応状況
(1) 改訂作業
オブジェクト識別子関連の次の規格を,ITU-T 主導
で,今までの技術修正及び追補を取り入れて改訂中で
ある.
・ ISO/IEC 9834-1
ASN.1 のオブジェクト識別子関連の規格
(2) オブジェクト識別子解決システム
2008 年度に NP として韓国から提案されその後承認
さ れ た オ ブ ジ ェ ク ト 識 別 子 解 決 シ ス テ ム ( Object
Identifier Resolution System, ORS),ISO/IEC 29168,を,
ORS の規定そのものをパート 1 とし,それに必要な
登録機関の規定をパート 2 として,主に,韓国と UK
を中心に継続して作業している.パート 1 は FDIS ま
で,パート 2 は FCD まで進んでいる.国内ではほと
んど関心がないが,使い方によっては有用になる可能
性もあるので,投票には適宜コメントを出すなどして
対応している.
2.4 私設統合サービス網(PISN)に関する対応
過去の経緯で,PBX などの私設統合サービス網
(PISN: Private Integrated Services Network),次世代企
業網(Next Generation Corporate Network, NGCN)など
に関する規格が Ecma から Fast-Track 提案されること
があったが,SC 6 内では対応するグループは解散し
ていること,国内では関心がないことなどから,棄権
投票の対応をした.
3. その他
WG 1 の Co-Convenor を引き受けていた向井氏が,
定年退職のためその職を辞した.向井氏の尽力により,
ISO/IEC 14443 と ISO/IEC 18092 及び ISO/IEC 21481 と
の間の調和のための ISO/IEC 18092,ISO/IEC 21481 の
修正 Ad Hoc 会議での難局を乗り越えることができ,
作業が軌道に乗ったので,日本からの後任は立てない
こととした.
■ SC 7 専門委員会(ソフトウェア及びシステム技術
/Software and Systems Engineering)
委員長
谷津 行穗(日本 IBM,2010 年 9 月就任),
山本 喜一(慶應義塾大学,2010 年 9 月退任)
1. 概要
SC 7 は,ソフトウェア開発に関連したソフトウェ
ア技術の標準化に取り組んでいる.
1.1 国際及び国内の SC 7 の体制
国際では,ソフトウェアのドキュメンテーション
(WG 2),ツールと CASE(*1)環境(WG 4),ソフト
ウェア製品・システムの品質(WG 6),ライフサイク
ル管理(WG 7),プロセスアセスメント(WG 10),
IT システムの仕様化技術(WG 19),ソフトウェア及
びシステム知識体系とプロフェッショナル形成(WG
20),ソフトウェア資産管理(WG 21)
,ソフトウェア
及びシステムの用語(WG 22,2010 年度廃止),シス
テム品質の運営管理(WG 23),小規模企業向けソフ
トウェアライフサイクル(WG 24)
,IT サービス管理
(WG 25),ソフトウェアテスト(WG 26),アーキテ
ク チ ャ ( WG 42 ), IT ガ バ ナ ン ス ( WG 1A ),
ITES/BPO(*2)(WG 27,2010 年度新設)
,使用性のた
めの工業共通様式(WG 28,ISO/TC 159/SC 4 との合
同 WG)の 16 の WG と,管理と将来計画(SWG 1),
規格の構成(SWG 5),システム及びソフトウェアの
語彙の検証(SWG 22,2010 年度新設)の三つの SWG
が常設されている.また,他にアドバイザリグループ,
アドホックグループ,1 年単位のスタディグループを
設けるなどして,活発に活動している.
国内では,2010 年度末時点で 13 の WG 小委員会と
三つの SG を設置して国際の WG に対応している.
2010 年度には WG 6/CIF-SG(国際の WG 28 に対応)
を新設した.また,WG 22,WG 27,WG 42 と三つの
SWG については国内に対応委員会を設けず,SC 7 専
門委員会の委員が分担して対応している.なお,WG
27 については,2010 年度中は WG 7 で対応したが,
2011 年度に対応国内 WG を新設する準備を進めてい
る.
(*1) CASE: Computer Aided Software Engineering
(*2) ITES/BPO: IT Enabled Services/Business Process
Outsourcing
1.2 SC 7 総会及び WG 等の国際会議実施状況
2010 年度は,日本がホスト国を務め,5 月に新潟市
で SC 7 総会と各 WG の会議(以下,新潟会議)を開
催し,SC 7 から感謝決議,新潟県から感謝状が贈ら
れた.
この新潟会議には,SC 7 総会としては歴代最多の
29 カ国及び 15 リエゾン組織(合計 232 名)の代表が
集まり,懸案事項を熱心に審議し,多くの成果をあげ
た.日本からは 74 名が参加して全ての会議に委員が
参加し,提出した寄書及び国際会議における意見交換
において多くの貢献を行った.なお,SC 7 新潟会議
のドラフティング委員会には,日本意見の反映の正確
性を期して高井利憲(産総研)が参加し,その活動に
SC 7 から感謝決議が贈られた.
また,各 WG は新潟会議以外にそれぞれさらに 1
~2 回の国際会議を開催し,活発に活動を行っている.
なお,近年は複数 WG のテーマに跨るプロジェクト
が増えているため,SC 7 では,秋に複数の WG が合
同で国際会議を開催している.2010 年度は,11 月に
米国ゲイザースバーグにて,16 の WG/SWG が国際会
議(以下,ゲイザースバーグ会議)を同時開催した.
1.3 スタディグループによる NP の品質向上
SC 7 新潟会議においては,2009 年 5 月の SC 7 ハイ
デラバード会議で新設又は継続された 15 のスタディ
グループの報告を受けて,ITES/BPO(インド提案,
結果は WG 7 報告に記載)
,ISO/IEC 15909-1(高水準
ペトリネット)改訂,ISO/IEC 15414(ODP ― 企業
言語)改訂及び ISO/IEC 19793(ODP ― システム仕
様に対する URL 利用)改訂(3 件とも WG 19,結果
は WG 19 報告に記載),IT 監査(結果は WG 1A 報告
に記載)などを NP 投票に付すとともに,(1)システム
統合に関するスコープと成果物の明確化(継続),(2)
クラウドコンピューティングのための IT 統制領域に
規格又はガイダンスを追加する可能性の調査(継続)
,
(3)サービス指向アーキテクチャ(継続.中国提案.
日本から鈴木俊宏(日本オラクル)が参加),(4)ソフ
トウェア技術者認証の調査(継続.日本から鷲崎弘宜
(早稲田大)がコチェアとして参加),(5)組込みシス
テム領域における新たな規格の可能性調査(継続.日
本提案,山本喜一がチェアを務め,黒川利明(CSK)
が参加),(6)プロセスの実現,評価,改善及び対応付
けを目的とした,プロセス記述の識別,確認及びプロ
セス記述の中でのプラクティスの推奨(再構成.日本
から室中健司(富士通)が参加)
,の 6 スタディグル
ープを新設又は継続した.
これらスタディグループの活発な活動は,規格の制
定方針と文書内容について十分に吟味した上で NP 投
票に付すという SC 7 の方針が着実に機能し始めてい
る表れといえる.
日本は,これらのスタディグループにそれぞれ最低
1 名が参加するよう努めているが,昨今のソフトウェ
ア技術の適用範囲の拡大に伴い SC 7 のスコープが極
めて広くなってきており,従来の委員構成だけでは対
応しきれなくなりつつある.
1.4 国際 SC 7 への日本の貢献
日本の貢献は,人的な面でも大きく,国際コンビー
ナ 2 名(WG 6:東 基衞(早稲田大),WG 23:加藤
重信),国際セクレタリ 2 名(WG 6:込山俊博(NEC)
及び高橋光裕(IPA)),プロジェクトエディタ及びコ
エディタ(*3)計 25 名を提供し,ISO TC 176/SC 2,ISO
TC 176/SC 3,IEC TC 65/SC 65A,ISO/TC 22/SC 3/WG
16,JTC 1/SC 22,JTC 1/SC 27 とのリエゾンを担当し
ている.また,日常的に多くの寄書により価値及び質
の高い貢献を行っている.
2010 年度の投票は,NP 24 件,CD 登録 4 件,CD 22
件,FCD 12 件,DIS 1 件,FDIS 12 件,PDTR 登録 1
件,PDTR 8 件,DTR 9 件, DISP 1 件,FDISP 1 件,
FPDAM 2 件,FDAM 1 件の計 98 件であった.また,
IS 14 件,ISP 2 件,TR 6 件が出版された.
(*3) SC 7 では,あるプロジェクト又は文書に責任
を持つリーダ格のエディタを“プロジェクトエデ
ィタ”
(又は単に“エディタ”
)
,他のエディタを“コ
エディタ”と呼び慣わしているので,本稿でもこ
の呼び方で記述している.なお,複数の部で構成
される規格には,シリーズ全体を統括するプライ
ムエディタが置かれる場合がある.
1.5 SC 7 専門委員会が対応している WG 等の活動状況
WG 22(ソフトウェア及びシステムの用語)では,
SC 7 内及び関連リエゾンの語彙の,データベースへ
の実装・登録と ISO/IEC 24765(ソフトウェア及びシ
ステムの用語)の制定を進めてきた.2009 年 7 月に
ISO/IEC 24765 の FDIS 投票が承認(2010 年 12 月に IS
出版)されたため,ISO Supplement Annex ST(データ
ベース形式の規格を開発・維持するための手順)に合
わせて,5 カ国以上の P-Member で構成する Vocabulary
Validation Team を結成する準備を 2009 年度から進め
ていた.SC 7 新潟会議で WG 22 を廃止するとともに
SWG 22(システムとソフトウェアの用語の検証)が
新設され,引き続き日本からは岡崎毅久(日本 IBM)
が参加することになった.
WG 42 では,ISO/IEC 42010(アーキテクチャ記述)
の CD 投票と FCD 投票を各 2 回実施した.また,
ISO/IEC 42030(アーキテクチャの評価)は SC 7 新潟
会議で NP 投票に付すと決議され,NP 作成中である.
残念ながら日本は WG 42 国際会議での審議に積極的
な参加ができていない状況である.
2. 各 WG の活動状況
2.1 WG 2(ドキュメンテーション:Documentation of
software and systems)
WG 2(主査:山本喜一)は,ドキュメンテーショ
ン関連規格の再構成作業を継続して行っている.
ISO/IEC 15289:2006(ライフサイクル情報製品の内
容(ドキュメンテーション))の改訂は,ISO/IEC 12207
及び ISO/IEC 15288 の改訂に伴うもので,FCD 投票に
おいて日本からは表現を明確にするために一部の文
章を変更するようコメントし受け入れられた.2010
年度末時点で FDIS 投票中である.ISO/IEC 26511(ユ
ーザ文書の管理者のための要求事項)は CD2 が承認
され,2010 年度末時点で FCD 投票中である.ISO/IEC
26512(ユーザ文書の購入者及び供給者のための要求
事項)は FDIS 投票が承認され IS 出版待ちである.
ISO/IEC 26515(アジャイル環境におけるユーザ文書
の開発)は,CD 投票が承認され,2010 年度末時点で
FCD 投票を行っている.
ユーザ文書に関する規格群 ISO/IEC 26511~26515
は,ほぼ完成に近づいたが,開発側の文書化に関する
規格群については,2011 年度以降に進めることにな
っている.
新潟会議,ゲイザースバーグ会議には各 1 名が出席
した.
2.2 WG 4 ( ツ ー ル と CASE 環 境 : Tool and CASE
Environment)
WG 4(主査:岸 知二(早稲田大)
,幹事:梶原清
彦(NTT))では,コエディタを担当している ISO/IEC
26550(ソフトウェアプロダクトラインの参照モデル)
について,シンプルで使いやすいものにするために日
本から多くの提案を行い,採用させることで CD にま
で進めることができた.また,関連する 2 規格 ISO/IEC
26551(プロダクトラインにおける要求工学及び管理
のためのツール及び手法)及び ISO/IEC 26555(プロ
ダクトラインにおける技術管理のための手法及びツ
ール)についても積極的に提案を行い,改善に努めて
きた.ISO/IEC 15940(ソフトウェア技術環境サービ
ス)の改訂については,日本がプロジェクトエディタ
を引き受けて初版を完成させた経験から,改訂にも積
極的に取組むべきと考え,コエディタを引き受け,ソ
フトウェアだけでなくシステムの開発にも利用でき
るように取り組む予定である.
2.3 WG 6(ソフトウェア製品・システムの品質:
Software product and system quality)
WG 6(主査:東 基衞,幹事:込山俊博)では,ソ
フトウェア品質評価の次世代規格群 ISO/IEC 25000
(SQuaRE(*4):システム品質及びソフトウェア品質
の要件及び評価)シリーズの審議を行った.SQuaRE
シリーズの構成は,日本からの提案によるもので,コ
ア部門(15 規格)及び拡張部門を予定しており,2009
年度までに,コア部門 6 規格,拡張部門 2 規格 が出
版されている.
2010 年度には,ISO/IEC 25045(回復性の評価モジ
ュール)及び ISO/IEC 25060(使用性のための工業共
通様式 ― 使用性情報の一般的枠組み)が出版された.
また,ISO/IEC 25010(システムとソフトウェアの
品質モデル)及び ISO/IEC 25040(評価プロセス)が,
それぞれ FCD 及び FDIS 投票で承認され出版された.
ISO/IEC TR 25021(品質測定量の要素)の IS 化は,
WD & CD 登録投票を行い,CD 投票に進めることに
なった.また,当初 ISO/IEC 25040 の Annex とする予
定であった評価ガイドの部分を,整合性を確保した上
で独立した規格とすることとなり,NP 投票に進め,
承認された.本プロジェクトは,ISO/IEC 25041(開
発者,取得者及び独立評価者向けの評価ガイド)とな
り,日本がプロジェクトエディタとして進めることに
なった.その他にも,WG 6 に保守が割り当てられて
いる ISO/IEC TR 12182(ソフトウェアの分類)の改訂,
及びサービス品質モデルに関する NP 提案を行うべく
準備を進めている.
これら一連のプロジェクトに対し,日本は,国内委
員会での審議結果をベースに多数のコメントを出し,
国際会議への参画,寄書,及び Email ベースでのやり
取りを通して,規格原案の質的向上に寄与している.
WG 6 では,東 基衞が国際コンビーナ及び ISO/IEC
25000 シリーズ全体のプライムエディタを,込山俊博
と高橋光裕(機能規模測定関連規格担当)が国際セク
レタリを,江崎和博(法政大),坂本健一(NTT デー
タ)
,谷津行穗及び山田 淳(東芝)がプロジェクトエ
ディタを務めている.新潟会議には 11 名,アンタリ
ヤ会議(2010 年 10 月)には 3 名が参加し,技術面及
び運営面で大きく貢献した.
(*4) SQuaRE: Systems and Software product Quality
Requirements and Evaluation
2.4 WG 6/FSM-SG(機能規模測定及び IT プロジェクト
性能ベンチマーキング:Functional size measurement
(FSM) and IT project performance benchmarking)
FSM-SG(主査:高橋光裕,幹事:竹田 滋(日立)
)
では,機能規模測定関連規格の改訂作業(国際では
WG 6/SG 4 が担当)と,ISO/IEC 29155 シリーズ(IT プ
ロジェクト性能ベンチマーキング)の制定作業(国際
では WG 10/SG 1 が担当)を併せて担当している.い
ずれの SG も,高橋光裕が国際コンビーナを務めてい
る.
2010 年度は,機能規模測定に関しては,ISO/IEC
19761(COSMIC FSM 法)が FCD 投票のコメント処
理及び FDIS 投票を経て第 2 版として出版され,
ISO/IEC 14143-1(概念の定義)及び ISO/IEC 14143-2
(適合性評価)は Defect Report 処理中,ISO/IEC
14143-6(利用ガイド)は日本が提案国となって 2010
年度末時点で NP 投票中である.
ベンチマーキングに関しては,ISO/IEC 29155 シリ
ーズのうち,第 1 部(概念及び定義)は FCD 投票及
び FDIS 投票を行った.第 1 部は高橋光裕がコエディ
タを務めており,日本が提案した枠組みモデルが全面
的に採用されている.また,第 2 部(ベンチマーキン
グの要求事項)は原案を日本が提供し,高橋光裕がプ
ロジェクトエディタを務めて WD 審議を行った.
2.5 WG 6/CIF-SG(使用性のための工業共通様式:
Common Industry Format for Usability)
CIF-SG(主査:福住伸一(NEC),幹事:込山俊博)
は,国際の WG 28(SC 7 と ISO/TC 159/SC 4 との合同
WG)に対応するために 2010 年度に新設された(そ
れまでは国内では WG 6 が対応していた).
2010 年度は,ISO/IEC 25063(利用状況の記述)及
び ISO/IEC 25064(ユーザ要求の報告)の CD 投票及
び審議と,ISO/IEC 25065(要求仕様の記述)及び
ISO/IEC 25066(評価報告)の NP 投票及び審議を行っ
た.2 件の CD 投票については,内容の大幅修正が必
要となったため,CD2 を作成し,2010 年度末時点で
CD 投票中である.2 件の NP 投票については,2506x
シリーズの構成を再検討する必要があるとのことで,
差し戻しとなった.
2.6 WG 7 ( ラ イ フ サ イ ク ル 管 理 : Life cycle
Management)
WG 7(主査:村上憲稔(富士通),幹事:室中健司,
山田 淳)では,ソフトウェア及びシステムのライフ
サイクルプロセスと関連プロセスを定義する規格作
りを進めている.
2010 年度は,ISO/IEC 29148(要求工学)
,ISO/IEC
15026(システム及びソフトウェア保証),ISO/IEC
24748(2008 年版 SLCP(*5)のガイド)の審議を中心に,
社会のビジネスの広がりを意識したアプリケーショ
ンマネジメントや,国際では WG 27 に割り当てられ
た ITES/BPO に関する提案を含む NP 計 3 件の審議も
併せて行った.このほか,次期 SLCP やプロセス記述
ガイド等の検討も行っている.
新潟会議では,WG 7 会議に 11 名と ISO/IEC 26500
ファストトラック BRM へさらに 2 名が,ゲイザース
バーグ会議には 6 名が参加し,日本からの提案を含め
技術面で大きく貢献した.
ISO/IEC 29148(要求工学)は,曖昧な要件定義を
排除して QCD を大きく改善できる規格であるため,
日本からコエディタに橋本惠二(東京国際大)を出し,
日米合同で草案を作成してきた.CD2 及び FCD の審
議・投票を実施した.FCD では 200 件を超えるコメ
ントがあったが,大きな変更を要しないものが大半で
概ね賛同が得られ,2010 年度末時点で FDIS 投票中で
ある.本規格では,日本は一貫してビジネス視点の強
化(事業要件・業務要件:StRS,企業レベルの運用概
念:ConOps)を提案/起草してきた.FCD 審議過程
で,当規格は有益であり産業界が待ち望むものである
と米国/IEEE メンバからの強い支持を受け,日本の起
草した ConOps も受け入れられている.
ISO/IEC 15026 シリーズは,第 2 部(保証ケース)
及び第 4 部(ライフサイクルにおける保証活動)のコ
エディタを木下佳樹(産総研)が担当.第 2 部は FCD
及び FDIS の審議・投票を経て IS が出版された.第 4
部は WD2~3,WD4 に向けたプロトタイプとその規
定内容・示し方について審議が重ねられた.米国から
の提案を踏まえ WD4 が準備されることとなった.第
3 部(インテグリティレベル)は,高井利憲がコエデ
ィタを担当しており,WD の審議及び CD の審議・投
票を実施した.インテグリティレベルの定め方に関し
読者の理解を高めるための例(日本が起草)が加えら
れる等の改善がなされ,2010 年度末時点で FCD 投票
中である.
ISO/IEC 24748 シリーズは,2009 年度までに審議を
終了していた第 1 部(ISO/IEC 12207 及び ISO/IEC
15288 共通ガイド)が 2010 年度に TR として出版され
た.第 2 部(ISO/IEC 15288 適用ガイド)と第 3 部
(ISO/IEC 12207 適用ガイド)はそれぞれ,PDTR2 及
び DTR の審議・投票を行い,TR 出版へ進めることと
なった.また,ISO/IEC 26702 を改訂して当シリーズ
の第 4 部(システムマネジメントプラン)として制定
することとなり,その WD1 の審議を実施し,改めて
WD2 を準備することとなった.
ISO/IEC 24774(プロセス記述のガイド)は,プロ
セス記述のための要素項目が強化された改訂版に対
する DTR コメント処理が完了し,TR が出版されると
ともに Freely Available 化された.
なお,プロセス記述に関する更なる改善事項検討の
ため,2009 年に SC 7 でスタディグループが発足し現
在も活動中である.記述のための追加要素案がグルー
プリーダより提案され,メンバ有志によりその具体化
が進められている.
LCPHAG(*6)は,ISO/IEC 12207 と ISO/IEC 15288 の
ハーモナイズに関する SC 7 レベルの検討グループで
あり,村上憲稔が継続参加している.2010 年前半ま
では,両規格における,情報項目も含めた作業の流れ
を整理し,その結果(両者における不整合部分や問題
点など)をもとに,両者の関係も含めて,それぞれの
改善につなげようとしていた.これに対し,日本は,
上述のような取組みはモデル検証といった微視的な
ものであり,本来必要なのは,“新たな市場やサービ
ス・ビジネスの出現に対して,利害関係者が共通に語
り合える言葉がない”という問題への対応であり,新
しい規格が次々に作成されつつある中,将来に備え,
取得者・供給者間での共通の言葉となる枠組みを,既
存の ISO/IEC 12207 及び 15288 の枠組みを核にして拡
張していくという巨視的な検討が必要だと提案し,各
国の賛同を得つつある.さらに日本は,ISO/IEC 29148
(要求工学)でその先例を作ったように,事業(企業)
,
業務,システム,ソフトウェアといった構造/視点を
おさえて拡張の方向を検討すべきであるという提案
もしている.拡張の一例として英国からは ISO/IEC
12207 及び ISO/IEC 15288 に,ISO/IEC 20000 及び
ISO/IEC 36500(ガバナンス)の視点を融合した取組
みの提案が出されている.
ISO/IEC 30103(製品品質達成のための枠組み)は,
NP の審議・投票を実施し承認された.本件は製品の
品質達成に向け,SC 7 の既存規格群をどう使えばよ
いのかをガイドしようという提案である.
ISO/IEC 16350(アプリケーションマネジメント)
も,NP の審議・投票を実施し承認された.本件はア
プリケーションマネジメントにつき,その作業領域
(プロセス)分けと,プロセスごとの成熟度レベルと
レベル充足のための要件を定めようという提案であ
る.この提案は,オランダが自国の規格 NEN 3434 を
ファストトラック投票(ISO/IEC DIS 26500)で IS 化
しようとしたが,その投票が否決されたという経緯が
ある.
ITES/BPO は,2009 年度のスタディグループ検討結
果を受けて,NP の審議・投票を実施し承認された.
本件はビジネスプロセスアウトソーソシング遂行に
関して,サービスプロバイダがなすべき作業を定めよ
うという提案である.国際では WG 27 が新設されて
おり,国内でも新規 WG での検討が 2011 年 5 月より
開始される予定である.
(*5) SLCP: Software Life Cycle Process
(*6) LCPHAG: Life Cycle Process Harmonization
Advisory Group
2.7 WG 10 ( プ ロ セ ス ア セ ス メ ン ト : Process
assessment)
WG 10(主査:小川 清(名古屋市工研),幹事:岡
崎靖子(日本 IBM),小林正幸(三菱電機)
)では,調
達及び改善に役立つプロセスアセスメントに関する
枠組みの規格やガイドの制定に取り組んでいる.
既存の ISO/IEC 15504(プロセスアセスメント)シ
リーズの新たな部の制定を行うとともに,同シリーズ
の体系を見直して ISO/IEC 33000(プロセスアセスメ
ント)シリーズとして再編成も行っている.
ISO/IEC 15504 シリーズの新たな部として,ISO/IEC
TR 15504-8(IT サービス管理のアセスメントモデル
例)と ISO/IEC TR 15504-10(安全性の拡張)を制定
中で,ISO/IEC TR 15504-9(目標プロセスプロファイ
ル)は TR 出版待ちである.
また,既存の ISO/IEC TR 15504-5(プロセスアセス
メントモデルの例)と ISO/IEC TR 15504-6(システム
ライフサイクルプロセスのアセスメントモデルの例)
は,基となった規格の改訂を受けて,見直して追補を
制定する予定である.
さらに,ISO/IEC 15504 シリーズの体系外の規格
ISO/IEC 29169(プロセス能力と組織の成熟度に対す
る適合性アセスメント手法の適用)が,2010 年度末
時点で CD 投票中である.この規格案は,技術的な課
題を含んでいるため,日本は反対投票し,コメント処
理が行われる 2011 年 5 月のパリ会議に向けて対応を
準備中である.
ISO/IEC 33000 シリーズのうち,第 1 段階で制定す
る規格は次のとおりである.
・ ISO/IEC 33001(概念及び用語)
・ ISO/IEC 33002(プロセスアセスメント実施に関
する要求事項)
・ ISO/IEC 33003(プロセス測定の枠組みに関する
要求事項)
・ ISO/IEC 33004(プロセス参照モデル,プロセス
アセスメントモデル及び組織成熟度モデルに関
する要求事項)
・ ISO/IEC TR 33014(プロセス改善のガイド)
・ ISO/IEC 33020(プロセス能力及び組織成熟度を
アセスメントするための測定の枠組み)
2010 年度末時点では,ISO/IEC TR 33014 は PDTR
投票中,他は CD 投票中である.ISO/IEC 33004 と
ISO/IEC TR 33014 には日本の意見が大きく取り入れ
られている.
なお,WG 26 で扱っていたソフトウェアテストの
アセスメントモデルの規格が WG 10 に移管され,
ISO/IEC 33063 として ISO/IEC 33000 シリーズに含ま
れることになった(国内では引き続き WG 26 が対応
する)
.
WG 10 では,新谷勝利(IPA)がプロジェクトエデ
ィタを,岡崎靖子,小川清及び松下 誠(大阪大)の
3 名がコエディタを務め,福地 豊(日立)がスタデ
ィグループに参画して規格の制定に貢献している.新
潟会議には 6 名,ゲイザースバーグ会議には 5 名が参
加し,技術面で大きく貢献した.
2.8 WG 19(IT システムの仕様化技術:Techniques for
Specifying IT Systems)及び同 ODP-SG
WG 19(主査:梶原清彦,幹事:内山光一(東芝ソ
リューション),銀林 純(富士通))では,モデリン
グ言語,開発方法論,ODP(*7)の枠組み及びその構成
要素の標準化に取り組んでいる.
2010 年度は,ODP については第 2 部と第 3 部の改
訂作業を完了し,日本も積極的に貢献した ISO/IEC
19793(ODP ― システム仕様に対する UML 利用)
の改訂版が出版された.モデリング言語では国際的な
対立が解決し,日本が賛成した ISO/IEC 15909-2(高
水準ペトリネット ― 転送形式)を出版できた.
2009 年度に設置されたスタディグループの検討結
果を受け,ISO/IEC 15909 シリーズ(高水準ペトリネ
ット)については,第 1 部の改訂と第 3 部の作成につ
いての NP 投票が承認されたので,日本も記述の改善
について規格利用者の立場から改訂・作成に協力する.
また,ODP についても,スタディグループの検討
結果を受けた NP が提案され,日本は賛成投票を行っ
た.投票の結果,ISO/IEC 19793(ODP システム仕様
に対する UML 利用)の改訂については NP が承認さ
れたため作成に協力しているが,連動する ISO/IEC
15414(ODP ― 企業言語)の追補についての NP 投
票は,参加意思表示国が 4 カ国にとどまったため,承
認されていない状況であり,パリ会議で調整すること
になっている.
また OMG からの ISO/IEC DIS 19505-1
(UML 2.3),
ISO/IEC DIS 19500-1,-2,及び-3 (CORBA 3.1),
ISO/IEC DIS 19506 (KDM(*8))の PAS 提案に対する
日本の反対投票に関して,OMG 側からの規格修正の
相談に応じて,内容の改善を図った.OMG からは
UML 2.3 に付加する制約言語 OCL(*9)についての PAS
提案(ISO/IEC DIS 19507)もあったが,これについて
は,技術的改善のためのコメントとともに賛成投票を
行った.
(*7) ODP: Open Distributed Processing
(*8) KDM: Knowledge Discovery Metamodel
(*9) OCL: Object Constraint Language
2.9 WG 20(ソフトウェア及びシステム知識体系とプ
ロフェッショナル形成:Software and Systems Bodies
of Knowledge and Professionalization)
WG 20(主査:鷲崎弘宜)では,ソフトウェアエン
ジニアリングやシステムズエンジニアリングを扱う
技術者に必要な知識体系(BOK: Body of Knowledge)
と,知識体系に基づく技術者認証に関する規格やガイ
ドの制定に取り組んでいる.
ソフトウェアエンジニアリング知識体系ガイド
(SWEBOK(*10)ガイド)については,2010 年版目次
案に対するコメント募集(N4546)があり,寄せられ
たコメントに基づき IEEE が新しい案を作成中である.
INCOSE(*11)のシステムズエンジニアリング・ハンド
ブ ッ ク を ベ ー ス ド キ ュ メ ン ト と し た ISO/IEC TR
16337 は,鷲崎弘宜がコエディタを務め,PDTR 投票,
DTR 投票で承認され,TR 出版に向けた最終案を作成
中である.
また,さまざまなソフトウェアエンジニアリング技
術者認証の比較枠組みを与える ISO/IEC 24773:2008
(ソフトウェア技術者認証 ― 比較の枠組み)の利用
ガイド(ISO/IEC TR 29154)の制定は,向山 博(IPA)
がコエディタとして進めており,11 月の PDTR 登録
投票で承認された.その後,コメントを反映させた案
作成を経て,2010 年度末時点で PDTR 投票中である.
ISO/IEC 24773: 2008 の改訂作業への入力を意図し
て,2009 年度から,SC 7 レベルで既存の技術者認証
群の分析を行うスタディグループが設置されており,
SC 7 新潟会議にて鷲崎弘宜をコチェアとして 1 年間
の継続が認められた.同スタディグループでは,日本
の情報処理技術者試験を含む各国の種々の技術者認
証・資格を調査し,その結果を 2011 年 5 月の SC 7 パ
リ会議にて報告する予定である.
(*10) SWEBOK: SoftWare Engineering Body Of
Knowledge
(*11) INCOSE: International Council on Systems
Engineering
2.10 WG 21(ソフトウェア資産管理:Software asset
management)
WG 21(主査:高橋快昇(富士通)
)では,2006 年
に標準化された ISO/IEC 19770-1:2006(ソフトウェア
資産管理 ― プロセス)が完全適合を定義したもので
あったため,産業界からは,もっと現実的な段階的適
合を記述した標準が要求された.そこで ISO/IEC
19770-4 で段階的プロセスの標準化が検討され,4 月
に NP が提案された.しかし,本来段階的プロセスに
ついての標準化は ISO/IEC 19770-1:2006 の改訂で行う
べきであり,第 4 部として標準化した場合,第 1 部と
の重複定義,利用者の不便等の問題が予想され,日本
としては,第 4 部として規定することに反対し,第 1
部の改訂で対応してはどうかとの対案を出した.これ
が新潟会議で正式に承認され,ISO/IEC 19770-1(ソフ
トウェア資産管理プロセスの段階的適用)として改訂
されることとなり,2010 年度末時点で CD 投票中であ
る.日本としては 3 月にコメント付きで賛成投票を行
った.
新潟会議には 9 名,ゲイザースバーグ会議には 2 名
が参加した.
2.11 WG 23 ( シ ス テ ム 品 質 の 運 営 管 理 : Systems
quality management)
WG 23(主査:高橋宗雄(桐蔭横浜大),幹事:岡
崎毅久,加藤重信)が担当している ISO/IEC 90003 の
改訂は,諸般の事情から改訂が遅れていたが,SC 7
新潟会議で日程変更が了解され,引き続き ISO/IEC
JTC 1 の default Ballot で変更が認められたことを受け
て,ゲイザースバーグ会議で PDTR への草案作成を行
うための日本としてのコメント作成を行った.2011
年度は IS 出版に向けた取り組みが予定されている.
ISO/IEC TR 90006 については,対象とする ISO/IEC
20000-1 の改訂作業が大幅に遅れているため,2010 年
度内には対応する活動は発生しなかった.
WG 23 では,加藤重信が国際コンビーナを務める
とともに,ISO/IEC TR 90003 のプロジェクトエディタ,
ISO/IEC TR 90006 のコエディタを引き受けている.
2.12 WG 24(小規模企業向けソフトウェアライフサイ
ク ル : Software life cycles for very small
enterprises)
WG 24(主査:伏見 諭(JISA))では,小規模な開
発組織に適したソフトウェアプロセスを抽出・整理す
るという視点に基づいて活動している.具体的には,
現在,ISO/IEC 29110 シリーズ(小規模企業向けソフ
トウェアライフサイクルプロファイル)の審議を行っ
ている.本規格は,ISO/IEC 12207, ISO/IEC 15288,
ISO/IEC 15289 などの IS の一部をテーラリングした形
式の規格,すなわちプロファイルの形式の部(IS)と,
それらを支援する部(TR)で構成されている.2010
年中に IS として承認され,2011 年初頭以後,逐次,
出版されている.なお,当初 IS でなく,ISP という形
式での出版が計画されていたが,JTC 1 のディレクテ
ィブ改訂により ISP 形式がなくなったので,IS の形式
となった.
2011 年度からは,これまで審議してきた基本プロ
ファイルに加えて,他の視点のプロファイル(基本プ
ロファイルより簡易なもの,及び,より豊富化したも
の)に対応する規格案の作成に進む予定である.
日本からは,プロファイル数が増えていくことに歯
止めをかける観点と,小規模であっても手抜きが発生
するのは好ましくないとの観点から,テーラリングの
仕方に関するガイドラインを新たな部(TR)として
制定する方向で提案を準備中である.
2.13 WG 25(IT サービス管理:IT service management)
WG 25(主査:平野芳行,幹事:小泉 浩(日本マ
イクロソフト))では,IT サービス管理に関する規格
やガイドの制定に取り組んでいる.
ISO/IEC 20000-1(サービスマネジメント ― 要求事
項)は,FCD2 投票及び FDIS 投票が承認され,2011
年 4 月に IS が出版された.日本は,FDIS 投票で,変
更された用語の情報セキュリティ規格との不整合を
問題として反対した.JIS 化の際にこの不整合にどう
対応するかは今後の課題である.
ISO/IEC 20000-2(サービスマネジメント ― サービ
スマネジメントシステムの適用のためのガイド)は,
新潟会議で CD から賛成多数で FCD に進むことにな
ったが,日本は完成度が低いことと第 1 部との整合が
取れていないことを理由に CD に留めることを主張し
ていた.投票結果で各国から多くのコメントが提出さ
れ,結局再度 FCD 投票にかけることになり,2010 年
度末時点で FCD 投票中である.
カナダからの提案により用語及び概念に関する NP
投票が 2010 年 11 月に承認され,ISO/IEC 20000-10 と
してパリ会議で審議開始予定である.
ISO/IEC 20000-1 と ITIL の関係をまとめるガイド文
書に関する提案がなされ,日本は不要であるとして反
対したが,規格化に賛成が多く,2010 年度末時点で
NP 投票中である.2011 年 5 月のパリ会議で,議論が
開始される.
ISO/IEC TR 20000-4(プロセス参照モデル)は,DTR
投票が承認され,出版された.
また,SC 27 がまとめている作業であるが,ISO/IEC
27013(ISO/IEC 20000-1 と ISO/IEC 27001 の関係に関
するガイド文書)を作成中で,2010 年度末時点で WD
段階である.
2.14 WG 26(ソフトウェアテスト:Software testing)
WG 26(主査:西 康晴(電気通信大),幹事:松尾
谷 徹(法政大)
)では,ソフトウェアテストに関する
規格 ISO/IEC 29119 シリーズの審議を行った.
2010 年度は,第 1 部(ソフトウェアテストの概念)
,
第 2 部(ソフトウェアテストのプロセス)及び第 3 部
(ソフトウェアテストのドキュメンテーション)の
CD 投票を行ったが,日本はスコープや完成度の点で
反対した.日本をはじめとする各国から多くのコメン
トが提出され,審議中である.第 4 部(ソフトウェア
テストの技法)については WD 作成を行っている.
また国際では WG 10 に移管された ISO/IEC 33063
(ソフトウェアテストアセスメントモデル)について
は,国内では WG 26 が対応し,今後,日本から多く
の積極的な意見を提出していく予定である.
2.15 WG 1A ( IT ガ バ ナ ン ス フ レ ー ム ワ ー ク : IT
Governance Frameworks and Systems)
WG 1A(主査:菊島靖弘(IPA),幹事:内藤裕史
(日本 IBM))では,IT ガバナンスの運用に関する規
格やガイドの制定に取り組んでおり,同じく IT ガバ
ナンスを扱う JTC 1/WG 6 小委員会と協調して審議及
び活動を行っている.
2010 年度は,IT が利用されているシステム及びプ
ロセスに対する監査のガイドラインを提供する規格
の制定に向けた議論が進められた.新潟会議において
日本から国内のシステム監査基準/システム管理基
準をベースとした寄書を提出し,その後の議論を経て
2010 年度末時点で NP 投票中である.これが承認され
れば,日本から原田要之助(情報セキュリティ大学院
大)がコエディタを務める予定である.
また,2009 年に設置された IT ガバナンス関連の標
準及びガイダンスの必要性を検討する 4 スタディグ
ループ(IT 監査,クラウドコンピューティング,サ
ービス提供者,企業アーキテクチャ)に関して,クラ
ウドコンピューティングのスタディグループは 1 年
間の継続となり,IT 監査はスタディグループの成果
を引き継いで議論を進め上述の NP 投票に至っている.
残り二つのスタディグループに関しては議論が十分
に進まずに終了している.
なお,ISO の要請により 2011 年初より国際の WG
1A の名称が WG 40 と変更された.これに伴い 2011
年度より国内の WG 1A 小委員会についても WG 40
小委員会へと名称変更する.
■ SC 17 国内委員会(カード及び個人識別/Cards
and Personal Identification)
委員長
廣川 勝久
1. 概要
ISO/IEC JTC 1/SC 17 は,カードと個人識別を対象
とし,各種カードの要素技術から利用システム(クレ
ジット・IC 旅券・運転免許証等)までを含む国際互
換性に関する標準化と登録管理を担当している.SC
17 国内委員会には,国際 WG(WG 1~WG 11)に対
応する国内 WG に加えて,WG 間及び国内関係機関と
の連携強化を図るためのサブ WG を SC 17 または WG
の直下に設置している.SC 17 とこれらの WG 及びサ
ブ WG は単独または共同で,更に,関係委員会・関
係機関と連携して国際標準化を推進している.
後述の国際役職貢献とともに国際貢献の一環とし
て,林 義昭幹事長原案・谷内田 益義副委員長英文原
案・SC 17 運営委員会監修の日本国ナショナルレポー
トを SC 17 総会に提出した.本年度は,
・ 非接触 IC カードを用いた政府機関職員証システ
ム
・ 交通系電子マネーの普及
を紹介した.引続き日本意見の反映を優先課題とし,
後継者育成の機会創出も意識し,SC 17 総会と各 WG
国際会議,TF 国際会議及び SC 間・WG 間合同国際会
議に委員が積極的に出席し,国際規格の制定活動に貢
献した.
第 23 回 SC 17 総会は高松で開催され,わが国から
は後述の 15 名が出席した.
本年度も,日本提案の NWI について国内外関係機
関と連携して推進に努めるとともに,IC 旅券・運転
免許証に関する標準化活動を主導している.
WG 3/TF 4(IC 旅券の試験方法)では榊 純一氏が
引続き国際コンビナを務め,IC 旅券に関する国際互
換性確保のための活動を推進している.また,WG 10
(自動車運転免許証と関係書類)では榊 純一氏が国
際セクレタリを務め,運転免許証に関する国際標準化
を推進している.
WG 4(IC カード)では APDU(Application Protocol
Data Unit)及びデータ形式を規定する重要なパートで
ある ISO/IEC 7816-4 の修正審議を進めており,数多く
の追加・拡張のため 2 度目の CD 投票を行ったところ
である.また,ISO/IEC 24727(IC カード-プログラ
ミング・インタフェース)シリーズの策定は一通り終
了し,実用化へ向けて重要になる試験規格の審議に移
行している.日本は将来の発展を阻害せず応用の広が
りが担保できるようにとの観点から継続して参加し
ており,これら規格に対して大幅な構成や内容の変更
も含む積極的な検討に貢献している.
更 に , 日 本 提 案 の ETA ( Enhanced Terminal
Accessibility)は 2008 年 10 月に NWI として承認され,
ISO/IEC 12905 として標準化を順調に進めており,最
終段階である FDIS 投票が開始された.
WG 8(非接触 IC カード)では実験データに基づく
提案によって ISO/IEC 14443 シリーズの改訂に貢献し
ている.
また,次節に示すようにカードの用途別耐久性評価
に関する検討及び非接触 IC カード関連のハーモナイ
ゼーションでの活動を継続している.
1.1 国内委員会体制の特記事項
SC 17 国内委員会の木澤 誠顧問(初代国内委員長)
が昨年 11 月に逝去された.国際 SC 17 において信頼
される日本の立場を築かれるとともに,後進の指導と
毎年の日本国ナショナルレポートの監修等多大な功
績をあげられた.
2010 年 6 月末で井出野 敦弘氏が国内 WG 5(発行
者識別番号とその登録管理)の主査を退任し,後任に
山本眞樹氏が就任した.井出野氏は国際登録管理を含
めて多大な貢献をされた.
SC 17 国内委員会体制のうち,国際 WG 11(カード
及び個人識別へのバイオメトリクス応用)案件に関し
ては,2006 年度の体制見直しの結果に基づきサブ WG
(WG 4/SWG 4,主査 坂本静生氏)を国際 WG 4 案
件である ISO/IEC 7816-11(IC カード-第 11 部:生体
認証手法を用いた個人照合)及び国際 WG 11 案件へ
の対応国内体制と位置付け両 WG の連携を強化して
いる.
更に,2008 年度に SC 17 国内委員会の直下に設置
された二つのサブ WG と 2010 年度に新設された一つ
のサブ WG が活動している.
・国際 WG 1 案件である ISO/IEC 24789(カードサー
ビスライフ)シリーズ(用途別の耐久性を評価するた
めの方法)への対応のためのサブ WG(SC 17/SWG A,
主査 谷内田益義氏)では,メーカのみでなくユーザ
団体の意見も反映するための体制を強化し,この活動
に基づく寄書等によって国際貢献をしている.
・国際 WG 8 案件である ISO/IEC 14443(近接型非接
触 IC カ ー ド ) シ リ ー ズ と NFC ( Near Field
Communication 近距離無線通信)シリーズ(担当: JTC
1/SC 6)とのハーモナイゼーションへの対応のための
サブ WG(SC 17/SWG B,主査 苅部 浩氏)では,
国内 WG 8 委員に国内 SC 17 の関係委員も加えて応用
システム面からの意見も反映するとともに国内 SC 6
のエキスパートとも連係し,この活動に基づく寄書等
によって国際貢献をしてきた.現在は JTC 1/SC 6/WG
1 とのリエゾン関係を通じて NFC シリーズの改訂に
協力している.
・2010 年度には,カード新技術への対応を目的とす
るサブ WG(SC 17/SWG C,主査 稲田 真弓氏)を
新設した.このサブ WG は,カード及び個人識別の
分野における「カード新技術に関する中長期国際標準
化構想の検討と具体化推進」及び「カード新技術の一
部としての NP Electronic displays in IC cards への対応」
を主要課題とし,SC 17 共通テーマ・複数 WG 横断テ
ーマについて,日本として一貫性のある対応及び新規
提案を可能とするよう関係 WG と連携して検討及び
提案を行う.また,これらの活動を通じて,参画委員・
その所属組織・関係組織以外をも含めた日本にとって
のメリット創出と国際貢献を図る.
なお,上記以外で対応国内委員会を設置していない
国際 WG 7(金融取引カード)案件,対応国内委員会
が休会中の国際 WG 9(光メモリカード)案件及び SC
17 共通事項への対応案は SC 17 国内運営委員会で策
定している.
また,SC 17 国内委員会会議・同運営委員会会議の
年間開催予定を技術委員会(JTC 1 国内委員会)に連
動するよう設定することによって,各 WG での案件
審議時間を柔軟に確保できるようにしている.
1.2 国際会議の開催及び出席者数等
(1) SC 17 総会
SC 17 総会(高松[香川県],2010-10-06/08)
参加国数/出席者数:12 ヵ国, 6 リエゾン/計 48 名
(以下本項では敬称略)
議長(Richard Mabbott,英),セクレタリ
(Chris Starr,
英),豪(1),オーストリア(1),中(7),仏(3),
独(1)
,日(15,山本 雅亮,山中 豊[METI/JISC],
廣川 勝久[SC17/ECSEC],谷内田 益義[東工大/リ
コー]
,中澤 明[日本電産サンキョー]
,榊 純一[パ
ナソニック]
,坂本 静生[NEC],山本 眞樹[全銀協],
苅部 浩[JBMIA],平林 昌志[国立印刷局]
,幸城 雅
之[日本データカード],塚本 薫[共用品推進機構/
ソニー],中西 英夫,田島 成起,江村 智之[JBMIA]),
蘭(1),韓(6),シンガポール(1),スペイン(1),
英(3),米(6)
以下,リエゾン(出席者数は上記の内数)
: SC6(1)
,
SC37(1),VISA(1),Ecma(1),ICMA - International
Card Manufacturers Association(1)
,UATP - Universal Air
Travel Plan(1)
今回は日本開催のためオブザーバ参加も含めて多
数の国内関係者に参加頂いた.このような総会と高松
で開催された各 WG 国際会議のホスト国事務局とし
て JBMIA,特に江村智之氏は多大な貢献をされた.
(2) 各 WG 等の国際会議回数及び出席者数
WG 1(3 回 10 名),WG 3(4 回 16 名),WG 4(4
回 13 名,エキスパート会議 1 回 3 名)
,WG 5(1 回
3 名)
,WG 8(3 回 20 名),WG 10(5 回 20 名),WG
11(3 回 5 名),ISO-IEC-ITU 合同アクセシビリティ
会議(1 回 1 名),ICAO(1 回 3 名)であった.
なお,WG 10 対応については,
(社)新交通管理シ
ステム協会に委託の上,合同で推進中である.
1.3 規格投票件数及び制定数
2010 年度に行った規格への投票及び制定は,以下
のとおりである.
NP: 6 件,CD: 13 件,FCD: 15 件,DIS: 0 件,
FDIS: 11 件,Systematic Review: 7 件,IS: 9 件
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2010 年度に注力した主要案件,今後影響を与える
可能性のある案件等は,次のとおりである.
2.1 わが国の SC 17 関連規格活動への国際役職貢献
わが国が目指す産業競争力強化のために,重点 TC
のひとつとして各種カードの要素技術から利用シス
テムに関わる提案を行うとともに,わが国の技術を規
格に反映させるため次の国際役職を務めている(以下
本項では敬称略).
① WG 3/TF 4(IC 旅券の試験方法)コンビナ:榊 純
一(パナソニック)-2004 年より継続
② WG 10(自動車運転免許証と関係書類)セクレタ
リ:榊 純一(パナソニック)-2004 年より継続
③ WG 4(IC カード)ISO/IEC 7816-1(外部端子付き
IC カード:物理的特性)改訂プロジェクトエディタ:
寄本 義一(凸版印刷)-2008 年就任,2011 年 1 月
に改訂 IS が発行され任務を完了
④ WG 4(IC カード)ISO/IEC 12905(ETA:カード
所持者に適合したインタフェースを用いた端末利用
の向上)プロジェクトエディタ:寄本 義一(凸版印
刷)-2008 年就任
⑤ WG 8(非接触 IC カード)ISO/IEC 15693-1(近傍
型非接触 IC カード:物理的特性)改訂プロジェクト
エディタ:苅部 浩(JBMIA)-2008 年就任,2010 年
9 月に改訂 IS が発行され任務を完了
⑥ SC 17 総 会 決 議 案 起 草 委 員 : 廣 川 勝 久
(SC17/ECSEC)-1995 年より継続
2.2 IC 旅券(eMRP)の標準化
ICAO-TAG-NTWG(新技術 WG)が中心になり標準
化を進めている IC 旅券(eMRP)の技術レポート
(ICAO-TR)作成に,わが国は外務省と共に積極的に
参加して旅券への PICC(近接型非接触 IC カード)を
利用した仕様策定に貢献してきた.国際的な運用では,
このシステムを構成する IC 旅券及び読取装置の国際
互換性のための統一仕様及び品質評価のための試験
方法が必要となる.国際 WG 3 では,試験方法に関す
る TF を設けて ICAO の協力の下に標準化を進めてお
り,榊 純一 WG 3 国内主査
(パナソニック)が WG 3/TF
4 国際コンビナを務めている.IC 旅券の試験規格に関
する ICAO 文書のうち RF インタフェースに関する部
分 の ISO/IEC 規 格 化 は ISO/IEC 10373-6 の 追 補
(AMD7)として出版され,残りの部分のテスト規格
の ISO 化作業を行っている.
2.3 ETA に関する関係国内委員会との連携
日本の NWI 提案に基づく ISO/IEC 12905(ETA)の
標準化に際し,JTC 1/SC 35(ユーザインタフェース)
国内委員会との間で標準化内容の相互確認を行い
各々の標準化範囲と共通部分の整合性確保を図って
きた.
2.4 バイオメトリクス応用への対応
日本から新たにバイオメトリクス応用のための新
コマンド,PBO(Perform Biometric Operation)コマン
ドの追加を ISO/IEC 7816 シリーズへ提案中であり,
パート 4 を皮切りに規格本体への取り込み作業が進
みつつある.また,カード上で生体情報(指紋等)の
入力・照合を行うための作業項目(ISO/IEC 24787)
が IS として成立したが,引続き参照規格を含めた利
用方法のガイドに関する NWI,ISO/IEC 24787 に対す
るテスト規格,全ての生体認証処理をカード上で行う
システムオンカードの PWI(予備的作業項目)等の検
討をそれぞれ開始することになっている.
引続き JTC 1/SC 37(バイオメトリクス)・同 SC 27
(情報セキュリティ)との連携が必要であるとともに,
SC 17 内でも複数 WG の連携が必要である.このため,
国内では前述のとおりサブ WG(WG 4/SWG 4)を編
成し,国内の関係活動への影響をも考慮しつつ対応し
ている.
2.5 非接触 IC カード関連のハーモナイゼーション
ISO/IEC 14443 シリーズと NFC シリーズとのハーモ
ナイゼーションについては,2008 年 9 月に開催され
た SC 17 Ad Hoc 会議での検討結果に基づき,2008 年
10 月の SC 17 ロンドン総会で推進する方針が決議さ
れた.一方,2008 年 11 月の SC 6 総会では SG(Study
Group)の設置が決議され,続く JTC 1 奈良総会では
SC 6 SG に SC 17 からもエキスパートが参加し協力し
て推進するよう決議された.これらの決議に基づき,
2009 年度中に SC 6 SG 会議が 3 回開催され,NFC 規
格の改正方針案がまとめられ,SC 6 SG は所期の作業
を完了した.この間,前述の SC 17/SWG B での検討
結果に基づく日本の寄書は SC 6 SG 会議の審議に大
いに貢献した.
現在は,SC 6 SG 会議の結果に基づき,SC 6/WG 1
で NFC シリーズの関係部分について改正作業が行わ
れるためリエゾン関係を通じて連係を継続している.
3. 2011 年度以降への重要な課題
① IC カード等に関する基本的な要素を規定する
ISO/IEC 7816 シリーズでは,APDU やデータ形式を定
める第 4 部に大きな修正が続いており,このままでは
可読性が損なわれるとともに,後方互換性の確保が十
分に検討できない恐れが出ていることをわが国から
指摘したところである.今後他国の協力を得ながら,
世界的に利用が定着しているクレジットカード等に
影響がでないよう後方互換性を慎重に保ちつつ,わが
国の技術も踏まえて新規技術への対応を継続してい
く必要がある.
② IC カード等に関する基本的な要素技術以外で,
ISO/IEC 24727 シリーズのように利用システムに関わ
る標準化が求められている.その一方で,利用システ
ムからの要求に基づき要素技術についても機能や性
能に関わる追加提案が増加する傾向が本年度も続い
ている.今後,カードの製造・発行・利用に係わる関
係機関・関係企業のより積極的な理解と参画を得て,
利用者個人も含めた各関係者の利益を考慮しつつ,わ
が国の技術力を踏まえた要素技術と利用技術の両面
からの対応を継続していく必要がある.
③ IC 旅券の国際試験仕様(耐久性・プロトコル)に
ついて,ICAO 文書の ISO/IEC 規格への変換を含めて
継続的に対応する.
④ 日 本 提 案 に 基 づ き 制 定 さ れ た ISO/IEC 7811-9
(TIM: Tactile Identifier Mark)の普及を推進すると共
に,JIS 制定作業を行う.
⑤ ISO/IEC 24789(カードサービスライフ)シリーズ
(用途別の耐久性を評価するための方法)について,
わが国の技術を踏まえユーザの意見も反映しつつ,改
版作業として対応を行う.
⑥ カード発行者識別番号(IIN)の申請に際して利用
予定者に誤解が生じないように ISO/IEC 7812(識別カ
ード-発行者の識別)シリーズの見直し(改訂)を行
う.
⑦ ISO/IEC 14443(識別カード-外部端子なし IC カ
ード-近接型)シリーズと NFC シリーズとのハーモ
ナイゼーションに関して,ISO/IEC JTC 1/SC 6 SG に
よる NFC 規格の改正方針案がまとめられ,今後は SC
6/WG 1 による改正作業が行われるため引続き SC 6 と
連携する.
⑧ 国内では 2010 年 1 月に全ての都道府県(公安委員
会)で IC 運転免許証の導入が完了した.国内外の動
向を踏まえた ISO/IEC 18013(ISO 準拠運転免許証)
シリーズの規格化を継続する.
⑨ 日本意見を反映した国際標準化のためのエキスパ
ート養成が急務であり,そのための環境作りを継続し
て推進する.
■ SC 22 専門委員会(プログラム言語,その環境及
びシステムソフトウェアインタフェース/
Programming Languages , their Environments &
System Software Interfaces)
委員長
石畑
清(明治大学)
1. 概要
SC 22 では,各プログラム言語の規格,言語共通の
規格,プログラミング環境やシステムソフトウェアと
のインタフェースに関する規格の開発を行っている.
現在の国際の SC 22 の構成は,COBOL,Fortran,C,
Ada,Lisp,Prolog,C++を担当する WG があり,その
ほかに脆弱性を扱う WG と,言語共通事項(データ
型,算術,手続き呼出し,結合方法など)を扱う WG
がある.APL,BASIC,Modula-2,Pascal,PCTE (Portable
Common Tool Environment),POSIX,国際化機能,
VDM-SL,Z(仕様記述用言語)は,保守フェーズに
入っている.
SC 22 の総会は,2010 年 9 月にカナダのオタワで開
催され,日本からは 5 名が参加した.WG 関係では,
COBOL,Fortran,Prolog の WG に積極的に参加した.
なお,2010 年度の投票は,NP 2 件,CD 0 件,FCD
2 件,DIS 1 件,FDIS 1 件,PDTR 0 件,DTR 2 件,
COR 0 件,国際規格の出版は IS 2 件,TR 2 件,COR 0
件であった.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 COBOL WG(WG 4)
2010 年 7 月に電話会議で WG 4 会議を開催し,CD
投票のコメントに対する回答及び修正した規格案を
FCD 投票に掛けることに合意した.FCD 投票は 2010
年 12 月に締め切られた.
次回 2011 年 5 月に San Diego
で開催される WG 4 会議で,次のステップに向けての
意思決定を行う.
FCD 投票では,日本はコメント付き賛成票を投じ
た.投票結果に反対票がなかったことで,規則によれ
ば FDIS 投票をスキップしてそのまま出版に進むこと
ができる.しかし,投票と共に寄せられた 100 件のコ
メントに対応してかなりの修正が入った.また,コメ
ントの処理に派生して,IEEE 754 の浮動小数点数に
関する仕様記述が不十分なことが判明し,修正を入れ
ている.こうした状況を踏まえて,5 月の WG 4 会議
で FDIS 投票の有無を決める.FDIS 投票を実施しても,
2011 年末までには次期規格を発行できる見通しであ
る.
WG 4 の下に OWG-1 という名称で臨時の Working
Group を創設し,これまで実際の規格原案作成作業を
行っていた米国の INCITS (International Committee for
Information Technology Standards) PL22.4(COBOL 規格
委員会)から,作業を受け継ぎつつある.現状は,現
行規格の誤り訂正は INCITS PL22.4 が担当し,次期規
格の改訂は,WG 4/OWG-1 が担当するという分担体
制をとっている.
2.2 Fortran WG(WG 5)
2010 年度の主な作業は,
第 1 部の改正(通称 Fortran
2008)に向けた FDIS 投票の準備,Type 2 TR として
発行予定の Further Interoperability of Fortran with C の
仕様検討,及び第 3 部の廃止検討であった.第 1 部の
改正作業は,WG 5 で決めた要求仕様に基づき,原案
作成母体の米国 INCITS PL22.3 が詳細な仕様検討を行
い,その作業内容を WG 5 会議にてチェックするとい
う形で進めてきた.2010 年度は,各種作業スケジュ
ールの狭間だったこともあり WG 5 国際会議の開催
はなかった.
第 1 部の改正の方は,7 月に第 1 部の FDIS
投票を開始し,最終的に賛成多数で可決され 10 月 15
日付で国際規格として発行された.Type 2 TR の検討
については,作業が大幅に遅れたこともあり,SC 22
総会に諮り,当初の計画よりも 8 ヶ月ほど延伸させる
ことになった.第 3 部について,定期的な見直しにて
継続の確認が一旦は採択されたものの,再度見直しを
行い,最終的には SC 22 総会にて廃止することを決め
た.
国内委員会の活動は,WG 5 の国際的活動に直接関
与しながら進めている.通常年 1~2 回開催されるこ
の WG 5 会議には日本からも代表者を毎回派遣し,議
論に直接参加することで大きく貢献している.しかし,
2010 年度は,
上述のとおり WG 5 の開催がなかった.
第 1 部の改正に向けた FDIS 投票では,日本は賛成投
票を行った.また,国内では,第 1 部の国際規格の改
正にあわせて,JIS X 3001-1 の改正作業に向けた準備
を進めている.
2.3 言語共通 WG(WG 11)
2008 年に行われた次の CD に対する投票のあと,し
ばらく間があいたが,ようやく,FCD 投票が行われ
た.主として editorial なコメントを添えて賛成投票を
行った.
FCD 10967-1 Language independent arithmetic (LIA)
-- Part 1: Integer and floating point arithmetic
2.4 C WG(WG 14)
WG 14 では,C 言語の現行規格 ISO/IEC 9899:1999
の改訂に向けて,TR や IS の形で一部の仕様を先行し
て公開しており,いくつかの TR を取り込んだ改訂案
の投票が行われている.
(1) TR 18037 Embedded C(2004 年 7 月発行済み)
組込みプロセッサの特性を最適に引き出すような
プログラムを可搬性のある C 言語で開発することを
可能とするように,既存 C 言語の構文と意味規則に
対して拡張を施す Type 2 TR.
(2) TR 19769 new character data types(2004 年 7
月発行済み)
UTF 16 でエンコードされた文字をそのまま内部デ
ータとして扱えるビット幅固定の新データ型を導入
する Type 2 TR.
(3) TR 24731-1 Extensions to the C Library, Part
1: Bounds Checking Interfaces(2007 年 9 月発行済
み)
C のライブラリ関数が潜在的に持っているセキュ
リティ脆弱性を解決するためにライブラリ関数の拡
張を行う Type 2 TR.新関数は,既存関数と機能的に
は同等だが,バッファ長を示す新規のパラメータを持
つ.これにより既存のプログラムは,アルゴリズムを
変えずに関数の置換えを行う程度で配列の境界チェ
ックが可能となり,脆弱性への対処ができる.
(4) TR 24731-2 Extensions to the C Library, Part
2: Dynamic Allocation Functions (2010 年 12 月発
行済み)
文字列のコピーなどでのバッファオーバフローを
防ぐ Secure C Library の第 2 部となる Type 2 TR.第 1
部(TR 24731-1)は,既存の関数と置換え可能な,境
界チェックを行う関数の提案だけであったが,第 2 部
は,動的にバッファを確保する関数を定義する.これ
らの新関数は,処理の後でメモリ解放などを行う必要
があり,単に関数の置換えをするだけでは済まないた
め,新規に開発するプログラムに適用されることを意
図している.
(5) TR 24732 decimal floating-point arithmetic
(2009 年 1 月発行済み)
IEEE-754R に基づく 10 進浮動小数点計算に対応可
能とするための拡張を行う Type 2 TR.
(6) ISO/IEC 24747 Mathematical Special Functions
(2009 年 1 月発行済み)
ISO 31-11:1992 Quantities and units - Part 11 に定義さ
れている全ての数学特殊関数を標準ライブラリに追
加する規格.最初は,Type 2 TR として提案されたが,
2009 年 1 月 15 日に,ISO/IEC 9899 本体とは独立した
IS となった.
(7) SC 22 N 4578 ISO/IEC CD 9899, Programming
Languages - Programming Language C
現行規格 ISO/IEC 9899:1999 に対して,TC1,TC2,
TC3,TR 19769 および TR 24731-1 が取り込まれた改
訂案である.WG 14 で継続的に審議されてきた言語
仕様の改善も反映されている.2010 年 2 月に,賛成
11 カ国,棄権 5 カ国,無投票 3 カ国で CD 投票を通過
し,4 月現在,投票コメントを反映させた DIS 投票の
準備が行われている.改訂規格の成立は,最短で 2012
年初頭となる見込み.
2.5 Lisp WG(WG 16)
WG 16 は,言語規格(ISO/IEC 13816,JIS 規格は JIS
X 3012)の改訂版(ISO/IEC 13816:2007)が出版され
て小休止の状態であったが,2011 年の Plenary におい
て解散される見込みである.
2.6 Prolog WG(WG 17)
Prolog の 国 際 規 格 に は 1995 年 に 制 定 さ れ た
ISO/IEC 13211-1 Prolog-Part 1: General Core および
2000 年に制定された ISO/IEC 13211-2 Prolog-Part 2:
Module がある.2010 年には組込み述語の追加に加え
て,確定節文法(DCG)と大域変数の付加機能につい
て PDTR 投票を目指して検討が続けられた.このうち,
大域変数については日本が中心となって提案し検討
作業を進めてきた.2011 年には大域変数に関連する
付加機能である mutable term(更新可能項)について
の TR の NP 投票が行われる.
2.7 C++ WG(WG 21)
C++ 言 語 の 国 際 規 格 は , 1998 年 に ISO/IEC
14882:1998 として制定された.その 5 年後に発行され
た ISO/IEC 14882:2003 は,defects の修正を目的とした
改訂であり,言語仕様の大幅な拡張は行わなかった.
現在作業を進めている次の改訂では,ライブラリおよ
び言語仕様の大幅な追加や修正を予定しており,2008
年度に CD 投票を行った.2009 年度は CD1 投票時の
各国コメントの回答処理及び技術検討が行われた.そ
の際に Template の引数の型に対する要求仕様を明確
化する Concepts が今回の改訂から除外されることに
なった.2010 年度には FCD 投票が行われ,各国コメ
ントの回答処理及び技術検討が行われた.2011 年度
に FDIS 投票を行う予定である.
(1) ライブラリ仕様
正規表現を始めとする様々なライブラリの追加が
検討されている.
(2) 言語仕様
従来のリファレンスを拡張した Rvalue Reference,
マルチスレッドや関数の定義と実行を抽象化したラ
ムダ式(Lambda Expression)などの追加や修正が検討
されている.
(3) その他
特 殊 数 学 関 数 を IS に す る こ と を 目 的 と し た
ISO/IEC 29124 が発行された.
10 進数浮動小数点の追加を行う ISO/IEC 24733 の
DTR 投票が行われ,結果は賛成 16,反対 0,棄権 15
であった.(日本は棄権投票).
■ SC 23 専門委員会(情報交換及び保存用ディジタ
ル 記 録 再 生 媒 体 / Digitally Recorded Media for
Information Interchange and Storage)
委員長
山下 経((株)日立製作所)
1. 概要
SC 23 は,情報交換用ディジタル記録媒体(光記録
方式の媒体および磁気記録方式の媒体)および光ディ
スク用ファイルフォーマット等の標準化を担当して
いる.P メンバは日本,オランダなど 8 カ国,O メン
バは 19 カ国,議長および幹事国は日本が担当してい
る.2010 年度は,光ディスクの寿命推定規格作成の
ための ISO TC42 との Joint Working Group(SC 23
JWG1)会議対応を所要テーマとして,国内委員会開
催(7 回)
,SC 23 JWG1 会議対応 Ad-hoc 会議(9 回)
,
SC 23 JWG1 への参加(2 回:delegation 派遣)と,SC
23 総会(12 月,Winterthur,スイス:delegation 派遣)
の活動を実施した.SC 23 JWG1 会議で検討してきた
光 デ ィ ス ク の 寿 命 推 定 規 格 は , 10 月 に 完 成 し ,
ECMA396 として承認されるとともに現在 JTC 1 で
DIS16963 として Fast Track 投票中である.
(2011 年 6
月締め切り予定)この活動により,SC 23 国内委員会
発足当初から継続的に検討してきた光ディスク関連
規格審議が完了した.現在新規提案待ちであり,
Blu-ray Disc の国際規格化提案に期待が高い.一方で,
新たに国内委員会メンバから,磁気テープと,CD の
Volume & File structure 規格の Amendment(それぞれ
ISO 1001&ISO 9660)提案があり,12 月の SC 23 総会
時に日本からの Amendment 提案と,JTC 1 から両規格
のメンテナンスを SC 23 で行えるよう要請する提案
を行い,了承された.この 2 つの Amend 規格審議が
今後の主要審議内容になる模様である.
2. 内容
2.1 SC23 JWG1 (Joint Work with SC 23,ISO/TC42 and
ISO/TC171) 会議:Co-Convener: 山下 経
2009 年 10 月 9 日に第 1 回会議で開始した JWG1 会
議では,CD と DVD の両光ディスクの寿命推定規格
を TC42 が開発した ISO18927 と,SC 23 が開発した
ISO/IEC 10995 をベースに,合計 4 回の会議(第 2 回
会議(2010 年 2 月:Los Angeles),第 3 回会議(2010
年 6 月;東京),第 4 回会議(2010 年 9 月:Morges,
スイス))の審議を経て完成させた.この審議にあた
っては,JNB メンバが主となり,EcmaTC31 メンバと
協力して TC42/TC171 メンバからのコメントを反映さ
せた規格案を作成し,JWG1 メンバの承認の元 Ecma
規格(ECMA-396)として 2010 年 12 月に承認される
とともに,Ecma International から ISO/IEC JTC 1 へ DIS
16963 として Fast Track 投票が提案された.
なお,この規格は,記録形 CD および DVD を対象
とし,用途に応じて厳密な加速試験と簡易加速試験,
保存条件と推定寿命の明確化,最小二乗法を用いた新
しい寿命データ解析法などを含む規格であり,今後ま
すます需要が増えるであろう Archival 用途向けの光
ディスクを選別するために有用な規格として期待さ
れている.
ECMA-396:Test method for the estimation of lifetime of
optical media for long-term data storage
ISO/IEC DIS16963:Information technology -- Digitally
recorded media for information interchange and
storage -- Test method for the estimation of lifetime
of optical media for long-term data storage
2.2 Volume and File Structure 規格(磁気テープ
(LTO);ISO 1001 と光ディスク(CD): ISO 9660)
の Amendment 提案
これらの規格とも古い規格で,市場では拡張された
規格が使われており,改定が必要である.ISO 1001
と ISO 9660 の規格改定はそれぞれ,JEITA で e 文字追
加検討が,また光産業技術振興協会標準化委員会フォ
ーマット分科会で現行規格の JIS X0606 規格への
update(Microsoft が作成した Format “Juliet”の反映
を含む)検討が行われている.これら委員会メンバで
もある,SC 23 国内専門委員会メンバの要請で,国内
専 門 委 員 会 か ら SC 23 国 際 委 員 会 へ , 2 件 の
Amendment と現在 JTC 1 直下におかれたこれら規格
のメンテナンスを SC 23 で行えるようにする要請を,
12 月に開催された SC 23 総会で日本から提案した.
この 2 件の提案は,SC 23 総会にてプロジェクトエデ
ィタの承認も含め,全会一致で承認された.
① ISO1001((File structure and labeling of magnetic
tapes for information interchange)プロジェクトエ
ディタ:大石完一氏,藤井敏彦氏(富士通)
②ISO 9960 (Volume and file structure of CD-ROM for
information interchange)プロジェクトエディタ:八
谷祥一氏(ガイア・システム・ソリューション),
小町裕史教授(大阪工業大学)
現在,2 件の規格メンテナンスを SC 23 で行うかどう
かの JTC 1 投票中.これと平行して,SC 23 でのメン
テナンスが了承され次第,FDAM 提案が出来るよう,
2 件の Amendment 規格案を作成中である.
2.3 ISO/IEC 2382 IT Vocabulary maintenance
Project Part 12:Peripheral equipment 用語レビ
ュー
SC 23 総会(2008-09)で SC 23(日本,韓国,中国)
として協力を表明した用語レビューは,この 2 年間特
段の活動はなかった.
2.4 Magnetic/Optical 規格の Systematic Review
光ディスクと磁気テープ等規格 32 件のレビューを
行い,32 件全て未だに市場で使われているとの理由
で Stabilization 提案を行い,全会一致で承認された.
3. SC 23 のプロジェクト進捗
2010 年度は以下の DIS 規格審議をおこなった
① ISO/IEC DIS 10995 (Ed 2),Digitally recorded media
for information interchange and storage -- Test method for
the estimation of the archival lifetime of optical media
Ballot closing: 2011-01-09
② ISO/IEC DIS 12862 (Ed 2),120 mm (8,54 Gbytes per
side) and 80 mm (2,66 Gbytes per side) DVD recordable
disk for dual layer (DVD-R for DL)
Ballot closing: 2011-01-09
4. その他関連事項
(1) SC 23 総会にて次期議長として,現在 SC 23 国内専
門委員会委員長である,山下 経氏が推薦され,全会
一致で承認された.2011 年 11 月の JTC1 会議以降正
式就任予定.これに伴い,WG 6 Convener と国内委員
長の交代が必要で,JTC 1 会議前に選出する必要が有
る.
(2) 昨年の JTC 1 会議での宿題事項への対応として,
Flash Memory を 使 っ た 規 格 開 発 の 可 能 性 検 討 ,
IEC/TC100 での Audio Archival 規格審議への対応検討
が必要となる.
■ SC 24 専門委員会(コンピュータグラフィクス,
画像処理及び環境データ表現/Computer graphics,
image
processing
and
environmental
data
representation)
委員長
青野 雅樹(国立大学法人豊橋技術科学大学)
1.概要
本委員会に対応する国際組織は,ISO/IEC JTC 1/SC
24 であり,担当範囲は,
・ コンピュータグラフィクス
・ 画像処理
・ 仮想現実
・ 環境データ表現
・ 情報の表示と対話
に関する情報技術応用システムのための各種インタ
フェースを標準化することであるが,以下の内容は除
外されている.
・ 文字および画像の符号化
・ マルチメディア/ハイパーメディア文書の交換
形式の符号化
・ JTC 1 での利用者システムインタフェースおよ
び文書表現
・ ISO/TC 207 の環境マネージメント
・ ISO/TC 211 の地理情報
・ JTC 1/SC 22 のソフトウェア環境
国際では,
・ WG 6(マルチメディアによるプレゼンテーショ
ンと交換)
・ WG 7(画像の処理と交換,登録)
・ WG 8(環境表現)
の WG が存続しており,国内でも WG 6 関係の案件は
WG 6 小委員会を設けて対応している.WG 7 と WG 8
案件は,専門委員会が直接担当することとなっている.
昨年の 6 月に韓国釜山で SC 24 総会および各 WG が
開催されたが,日本からの参加はなかった.2010 年
度の主な SC 24 の審議案件は,以下のとおりである.
・ NP 投票 5 件(賛成)
・ FDIS 投票 1 件(賛成)
カッコ内は日本の投票内容,コメント付き賛成も含む.
NP 投票では,X3D(Extensible 3D:拡張 3 次元記述))
の補遺 1 に関するものであった.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 6 小委員会
仮想現実モデル化言語 VRML97(ISO/IEC 14772)
の後継規格で Web3D コンソーシアムと共同開発の
X3D(基本機能仕様は ISO/IEC 19775-1/2:2004)の第 1
世代に関しては,2005 年度中に XML 符号化および
VRML 風符号化(ISO/IEC 19776-1 および 2)が出版
され,言語結合(19777-1 および 2)は 2006 年の 3 月
までの FDIS 投票で可決された後,2006 年 5 月に出版
された.第 1 世代への第 1 次機能拡張は,基本機能部
分(19775-1/Amd.1),XML 符号化(19776-1/Amd.1),
VRML 風符号化(19776-2/Amd.1)が,FPDAM 投票
を終え,いずれも承認された段階である.符号化に関
しては,2006 年度に圧縮バイナリ符号化(19776-3)
の FCD 投票が行われた.さらに,第 2 次機能拡張の
代わりにこれまでの追補をまとめた基本機能部分の
改訂版(19775-1/rv1)の CD 投票が行われ承認され,
2007 年度には FCD 投票が行われ可決された.その後,
19755-1/rv1 は,X3D の基本規格の第 2 版(edition 2)
と呼ばれるようになった.X3D の第 2 版に関して,
それに関連する幾つかの規格の投票が 2008 年度に行
われた.具体的には,符号化に関して,Part 1: XML
符号化(第 2 版)の FCD19776-1 が可決,Part 2: VRML
風符号化(第 2 版)の FDIS19776-2 が可決,Part 3: 圧縮
バイナリ符号化の FCD19776-3 が可決された.圧縮バ
イナリ符号化では,2007 年に出版された ISO/IEC
24824-1(Fast Infoset)が採用され,X3D で定義可能
なすべてのノードと属性値に関して Infoset の ID が整
数値で定義されている.投票案件に関して,2010 年
度では,第 2 版の補遺 1 に関する NP 投票が 5 つの関
連規格でまとまって行われた.
2.2 専門委員会直轄プロジェクト
2005 年度に SC 24 内の小委員会としては解散した
WG 7 の案件は専門委員会の直轄プロジェクトのひと
つである.しかし WG 7 にも国際的には人的かつプロ
ジェクト的な新たな動きがではじめている.具体的に
は,2007 年の東京会議にて新しいコンビーナに韓国
の Y. K. Chung 氏が抜擢された.同時に New Work Item
候補として,コンビーナから,知的ロボット応用のた
めの画像処理に関する発表があった.また以前のコン
ビーナだった米国の Laura Moore 氏からは,衛星画像
利用のための IEC TC11 NP に関して発表があったが,
2008 年から 2010 年の 3 年間,WG7 からの NP は特に
提出されていない.
国際の WG 8 で作業が進められている SEDRIS
(Synthetic Environment Data Representation and
Interchange Specification) は,飛行訓練などの地理座標
依存情報を用いたシミュレーション対応の国際標準
である.具体的には,基本となるデータクラスを規定
する SEDRIS 本体(18023-1),地理・宇宙空間用の各
種 座 標 系 を 扱 う 空 間 参 照 モ デ ル ( SRM: Spatial
Reference Model,18026),環境シミュレーション関係
の オ ブ ジ ェ ク ト お よ び 属 性 の コ ー ド 化 ( EDCS:
Environmental Data Coding Specification,18025)の 3
本の柱から成り,それぞれに,データ交換と応用プロ
グラムインタフェース(API)の規格と言語結合の規
格が含まれている. 2006 年度までに,SRM(18026,
18042-4)が出版され,SEDRIS 関係でも,言語結合
(18024-4)のほか,SEDRIS のデータ交換インタフェ
ース規格(18023-1,18023-2,18023-3)が出版されて
いる.2009 年度には,SEDRIS に関して 18023-1/AMD1
と 18023-3/AMD1, 18024-4/AMD1 の 3 つの規格での
NP 投 票 が , 18024-4/AMD1 , 18023-1/AMD1 ,
18023-3/AMD1 の PDAM 投票が,また SRM では,
18026/AMD1 の FDIS 投票, 18042-4/AMD1 の FPDAM
投票, および 18026/AMD2 の NP 投票が行われ,いず
れも可決された.2010 年度は WG 8 での特段の投票
は行われなかった.日本としては,WG 8 は専門委員
会の直轄プロジェクトであるが,今後もこれまでと同
様に取り組んでいく予定である.
■ SC 25 専 門 委 員 会 ( 情 報 機 器 間 の 相 互 接 続 /
Interconnection
of
Information
Technology
Equipment)
委員長
山本 和幸
1. 概要
1.1 会議開催
SC 25 専門委員会は情報機器間の相互接続に関する
国際標準化を担当し,住宅,ビル内電子機器の相互接
続ネットワーク(WG 1),構内の情報配線システム
(WG 3),計算機システム及び周辺機器間の相互接続
(WG 4)の国際標準化を行っている.
SC 25 総会は 2010 年 10 月 22 日,シアトル(米)
で開催され,20 カ国,1 組織,42 名の参加があり,
日本からは 4 名(山本,宮島[住友電工],林[タイ
コエレクトロニクス],別府[アクシオ])が参加した.
WG 1 会議は,2010 年 04 月 26 日~30 日にヨーク
タウンハイツ(米)で開催され,7 カ国,16 名(日本
からは 2 名/山本,天野)の参加があった.また 10
月 14~17 日にシアトルで開催され,7 カ国,16 名(日
本からは 1 名/山本)の参加があった.なお PTTT
(Project Team Terminology and Taxonomy)会議は WG
1 会議の中で時間を分けて開催されている.
WG 3 会議は,2010 年 02 月 22 日~26 日にはアル
ゼンチンのブエノスアイレスで開催され 21 カ国 47 名
(日本からは 2 名/山下,渡邊)の参加があった.2010
年 10 月 18 日~21 日にシアトルで開催され,24 カ国
67 人(日本からは 3 名/宮島,林,別府)の参加が
あった.
WG 4 会議は,SC 25 総会に合わせで開催された米
国 INCITS (International Committee for IT Standards)T11
委員会の開催中に開催され,米国のみが参加した.
1.2 成果
着手した NP 3 件,CD 2 件,FCD 10 件,DCOR 0
件,FDAM 0 件,FPDAM 0 件,PDAM 2 件,PDTR2
件,DTR 2 件,FDIS 3 件,DIS 8 件の投票と IS 5 件,
TR 1 件が出版された.
1.3 総会
1.3.1 全体
前回の北京総会議事録確認と承認,議事次第確認,
Drafting Committee メンバ確認,議長報告,セクレタ
リ報告,外部報告,WG コンビナー報告,SC 25 関連
プロジェクト,リエゾン審議,今後の課題審議が行わ
れた.
1.3.2 議長報告
(1) 他組織との合同会合
2009 年 JTC1 総会の決定に従い,IEC/TC 100 と JTC
1 の第1回合同会合(2009-10),ITU-T(SG15, 16)と
JTC 1 の合同リーダーシップ会合
(2010-02)での Home
Network Energy Management,Smart Grid でリエゾンを
確認,JTC 1 と IEC/TC 100,ITU-T 合同リーダーシッ
プ会合(2010-5),IEC/TC100(TA9)と SC 25/WG 1
の合同会合(2010-10),IEC SMB SG3 (Smart Grid
Strategic Group)‐TC の会合(2010-07)での Vehicle
Gateway to the Home でのリエゾン確認など,ITU-T,
IEC/TC 100 でのホームネットワークに関する審議重
複に対する意見交換が行われた.
これらの状況に対し,Home Network に関する審議
の競合が起きている,他の組織での審議を停めること
はできないのかとの強い主張があった.これらは何れ
も過去日本からホームネットワークの規格提案が
別々に複数の組織へ提案された歴史的経緯と,セクレ
タリが SC 25 の審議テーマの積極的拡大に不熱心で
ある事も原因している.
(2) 北京総会議決に対する JTC 1 総会報告
2009 年 10 月の SC 25 北京総会決議が,2009 年 11
月の JTC 1 総会へ報告され,その結果がシアトル総会
で報告された.
・ SC 25 は過去の経緯から ITTF へ IEC 文書様式の
使用を要望しており,引き続き ISO からのアク
セス性改善を要望している.
・ ISO と IEEE の合意による FT 投票様式では Yes,
No の回答しかできない.これに対し,SC 25 よ
り JTC 1 総会に,IEEE が FT 文書様式を IEC 様
式に変更するなら PSDO 合意文書を SC25 に配付
すると問題を提起した.総会では JTC 1 と全 SC
を含めない事にはならなかったので,PSDO 合意
文書は配布されないことになった.
・ JTC 1/SG 7 のセンサーネットワークに関し,セ
ンサーネットワークに関する明確な定義を要求
し,新 WG において SC 25 のインテリジェント
ホームの範囲を除くよう要望した.この結果,
JTC 1 及び他標準化組織との協調,技術体系を明
確にする事で WG 7 を設置するとした.
1.3.2 セクレタリ報告
(1) SC 25 関係
・ SC 6 のスコープは変更しない事になり,これに
関連して次回総会で SC 25 のスコープ見直しを
行うことを決定.
・ WG 3 において IEC と ISO の文書様式の差異に
よる文書管理の問題提起があった.
・ ロシアが P メンバ国となり,現在 P メンバは 30
カ国.
(2) ISO の投票システム
セクレタリから幾つかの NB が IEC に登録していな
いので登録するよう催促があり,パスワード付与につ
て各国に協力すると回答があった.
1.3.3 ITTF IEC Central Office からの IEC 文書管理
システムの説明
SC 25 は歴史的経緯があり,IEC の文書管理システ
ムを利用しており,ISO と IEC の両方にアクセスする
ことによる文書管理は恒常的課題である.
文書管理システムは,もっとテストと改良をしない
と問題があると指摘され,セクレタリも collaboration
tool(IEC での JTC 1/SC 25 文書へのアクセス)の改良
が必要との見解を示した.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 1 関連(Home Electronic System)
(1) ISO/IEC 15067-3: HES Application models Part3 審議
米国よりスマートグリッド関連の提案である HES
Application models-Part3: Model of an energy
management system for HES が 2nd FCD 投票段階であ
る.情報技術によるデマンドレスポンスを主体として
早期成立を図りたい米国に対し,日本からは燃料電池,
蓄電池等住宅での新エネルギー源の追加,欧州からス
マートメーター機能の追加要求を審議中である.
(2) ISO/IEC 18012-2: Guidelines for product
Interoperability Part 2 審議
2005 年のマルチ標準化合意の結果として既存規格
の相互接続性に関する規格審議の重要性が高まり,
UK,US が審議を推進し,日本の修正要求も採用され
2nd FCD 投票中である.
(3) ISO/IEC15945-2: HES Residential Gateway Part
2 審議
住宅情報ゲートウェイ機能に関する規格審議が概
ね完了し,2nd FCD 投票中である.
(4) ISO/IEC 29341: UPNP の FT による DIS 投票
AV 機器の相互接続ミドルウェア規格である UPNP
は基本 7 編の IS 化が完了し,さらに 31 編の DIS 投票
が行われ,承認される見込み.
(5) ISO/IEC 14908:ビル制御通信プロトコルの ISO TC
205 移管問題
ビル制御通信プロトコル LonWorks 規格は JTC 1/SC
25 で IS 出版まで決定した.これに対し,ISO/TC205
から TMB 経由で提訴があり,規格のスコープ変更,
管理権の移譲を求められ,2 月の TMB 会議で TC205
へ移管が決定された.
4 月に ISO TC205 へ移管された後,具体的な文書管
理がなく時間切れで標準にならなかった.この事態は
今後の国際標準化審議に大きな禍根を残すことにな
った.
(6) ISO/IEC 14543-5 IGRS 提案(AV 機器の相互接続
ミドルウェア規格)
中国提案の AV 機器制御ミドルウェアである IGRS
規格の主要部分は,先行して承認された UPNP のコピ
ーであると UPNP 側から指摘があった.
Part 5-1,5-22 は IS 化完了し,Part 5-4 は FDIS 投票
完了,Part 5-21,5-3,5-6 は FCD 承認されたが,UPNP
との一層の調整をとるとのコメントが付加され FDIS
投票へ掛けることになった.審議の山を越えたことと,
先行する UPNP 規格が残り規格 31 編を DIS 投票にか
けられたので,審議は低調になっている.
(7) 韓国からの提案の活発化とその後の停滞
2006 年に出された韓国がデジュール標準の世界の
リーダー国となるとの宣言の下,規格提案が活発化し,
多くの新規提案が続いたが,NP 承認後の韓国の動き
は停滞気味である.
① ISO/IEC 29104-1~3 CMP 規格(ホームゲートウェ
イの中央管理規格): ホームゲートウェイの中央管
理規格 Centralized Management Protocol for ubiquitous
home network services は FCD 投票終了段階で審議が休
止している.
② ISO/IEC 29145-1~3: WiBEEM 規格(小電力無線ネ
ットワーク規格): この省エネ無線ネットワーク規
格は NP が承認されたが CD 文書提案が無いまま,さ
らに LED 照明機器制御プロトコルの規格化提案があ
った.
③ Home Network Resource Management 規格: ホー
ムネットワークの管理規格は NP 投票で承認されたが
CD 文書が提案されていない.
2.2 WG 3 関連(Customer Premises Cabling)
WG 3 関連の主なプロジェクトの進捗状況
(1) ISO/IEC 11801:2002 ( Generic Cabling for
Customer premises)
本規格は構内で使用する平衡ケーブルおよび光フ
ァイバケーブルを用いる情報配線システムに関する
規格である.本規格は JIS X 5150 として制定されてい
る.日本はこれまで,試験手順について PL 試験とチ
ャネル試験における規格値の矛盾を指摘し反対して
きた経緯がある.今年度の審議の Amd2 Technical
Corrigendum 1 は,IEEE の 40G/100G の規格を反映す
る修正なので,これまで反対してきた案件とは関係な
いため,コメント無しで賛成した.本規格は今後,
Ed2.2 を作成し,その後に Ed3.0 を作成することにな
っている.なお,
WG3 関連の IS の再構成については,
Ed.3 の作成で整理してから進めることになった.
(2) ISO/IEC 15018(Generic cabling for Homes)
本規格は住宅内の情報配線システムに関する規格
である.3rd PDAM を審議を行い,IS としての整合性
および引用 IS の整理が進んでいることからコメント
無しで賛成した.また,ISO/IEC 15018 で規定されて
いる BCT-B および BCT-C の将来のサポートにに関す
る QUESTIONNAIRE ( ISO/IEC JTC 1/SC 25/W 3
N1833:QUESTIONNAIRE on the cabling needed to
support future TV)について審議した.かつて欧州は
同軸ケーブルを削除しようと経緯があり,今回はディ
ジタル化によって同軸ケーブルの規格が必要かどう
かに関する質問となっている.日本ではディジタル化
が進んでいるが,IS としては出来るだけ幅広く規格を
サポートする必要があるとして同軸ケーブルの規格
は必要であると回答した.
(3) ISO/IEC 14763-2 (Implementation and operation
of customer premises cabling, Part 2: Planning and
Installation)
本規格は構内情報配線システムの実装と運用に関
する第 2 部,設計と導入に関するものである.FCD
14763-2 を審議し,編集に関するコメントをつけて賛
成とした.
(4) ISO/IEC 14763-2-1 ( Implementation and
operation of customer premises cabling -Identifiers within administration systems)
本規格は,構内情報配線システムにおける実装と運
用に関する規格である.今年度は,PDTR 14763-2-1
を審議したが,ケーブルの識別法に関しては国内での
検討も進んでいない状況から判断できる知見もない
ため,コメント無しで棄権した.DTR 14763-2-1 を審
議し,TR であることから国内への影響も少ないこと
と,識別子に関する表示方法については標準化による
統一的な記述方法が必要であることを考慮しコメン
ト無しで賛成とした.
(5) ISO/IEC14763-3(Implementation and operation
of customer premises cabling, Part 3: Test of
optical fiber cabling)
本規格は光ファイバケーブルに関する試験方法で
あり,これまで積極的に日本も貢献してきた規格であ
る.JIS としての制定も進行中である.マルチモード
ファイバの試験方法に関する EF(Encircled Flux)法
に関して基本検討を JEITA で実施し,WG 3 の国際会
議で発表することになった.
(6) ISO/IEC 24702(Industrial cabling)
本規格は工業用情報配線システムに関する規格で
ある.MICE Table の見直しについて,ISO/IEC TR
29106 の NP として審議することになった.
(7) ISO/IEC 24764 ( Generic cabling for data
centers)本規格はデータセンタにおける情報配線シ
ステムに関する規格である.ISO/IEC TR 24746:2005
の定期見直しについて審議し,承認することで回答し
た.
(8) ISO/IEC TR 29125
本技術レポートは平衡ケーブルを用いて DTE 装置に
遠隔給電を行うガイドラインに関するものである.の
審議を行い,現状では結論を出すまでの十分な審議を
行う十分なデータがないことから判断を保留し棄権
した.
(9) NWIP
ISO/IEC TR 29106 の NP に関して審議し,環境条件
に応じた情報配線システムは今後,必要となることか
ら NP とすることに賛成とした.同時に,ISO/IEC TR
29106 の PDAM について審議し,TR29106 と TR24702
の整合性と引用文献の最新化であることからコメン
ト無しで賛成とした.
2.3 WG 4 関連(計算機システム及び周辺機器間の相
互接続/ Interconnection of Computer Systems and
Attached Equipment)
(1) 概要
Fibre Channel(FC) , Small Computer System
Interface(SCSI),AT Attachment with Packet Interface
Parallel
transport
protocols
and
physical
interconnect(ATA/ATAPI) およびストレージ/サーバ
管理等の標準化を行っている.
WG 4 国際会議は米国 INCITS T10/T11 開催時に同
時開催する形で開催することになっているが,2010
年は,SC 25 総会に合わせて開催された米国 INCITS
T11 委員会の会議中に開催され,米国のみが参加した.
以下に各プロジェクトの 2010 年度の活動状況を報
告する.
(2) FC
Fibre Channel は,主に光ファイバを用いてコンピュ
ータとストレージシステム間を接続するインターフ
ェースの規格である.ポイントツーポイント,ループ
およびスイッチ接続を規定している.国内委員会にお
い て Security Protocol (FC-SP) の FCD 投 票 ,
Methodologies of Interconnects - 2 (FC-MI-2) の PDTR
投票と DTR 投票に賛成投票した.
(3) SCSI
SCSI は,コンピュータと HDD 等の周辺機器を接続
するためのインターフェースの規格である.パラレル
およびシリアルワイヤ接続の規格がある.国内委員会
において Serial attached SCSI - 1.1 (SAS-1.1)の FDIS 投
票,SCSI Enclosure Services - 2 (SES-2)の FCD 投票に
賛成投票した.
(4) その他
IEEE から PSDO (ISO/IEEE PARTNER STANDARDS
DEVELOPMENT ORGANIZATION) の fast-track
procedure で 提 案 さ れ た Microprocessor systems
Floating-Point arithmetic に賛成投票した.
WG 4 で扱う規格は重要な案件が多く生産性も高い
が,2010 年度の国際会議には,米国のみ参加した.
これは WG 4 が扱う規格は INCITS の T10/T11 から提
案されることが多く INCITS に多国籍の企業が参加し
JTC 1 への提案時点で既に国際的な仕様の調整が行わ
れているためである.
3. 次回総会
2011-10-22 メルボルン(豪)
■ SC 27 専門委員会(セキュリティ技術/Security
Techniques)
委員長
寳木 和夫((株)日立製作所)
1. 概要
SC 27 は,情報セキュリティのための標準を開発し
ている.これには,情報セキュリティの一般的な方法,
技術,ガイドラインが含まれる.
一般に,情報セキュリティは,情報が許可なく読ま
れたり書かれたりすることを防ぎ,守秘性(暴露され
ないこと),完全性(ごまかされないこと),可用性(使
用性が損なわれないこと)などを確保する技術である.
ここで,本活動による情報セキュリティのための標準
化は,次の観点から重要である.つまり,(1) グロー
バル通信環境において普及が容易で安全な相互接続
技術を提供すること,及び(2) 世界中どこでも同等に
保証された安全性レベルで情報処理と通信の環境を
提供することの二つの観点である.
本活動は,当初(1981 年),暗号の標準化審議から始
まり,その後,対象がどんどん増えて,現在,情報セ
キュリティの標準化対象は多数存在するようになっ
た.
(1) サービス技術: 評価,検知,応答,保護,識別,
緩和,管理等
(2) アプリケーション: アクセス管理,ファイアウ
ォール,プライバシー保護等
(3) 基本技術: 暗号,生体認証等
2010 年 度 に 行 わ れ た NP 投 票 は 4 件 ,
CD/PDTR/PDAM 投票は 29 件,FCD/FPDAM 投票は
18 件,DTR 投票は 1 件,DIS 投票は 0 件,FDIS/FDAM
投票は 11 件,IS(International Standard)/TR(Technical
Report)出版は 11 件であり,引き続き活発に標準化が
行われている.
2010 年 4 月に行われたマレーシアのマラッカ会議
では,アイスランドの火山噴火のため,WG は開催さ
れたが本来行われるべき総会が中止となり,2010 年
10 月の独ベルリン会議に順延になった.ベルリン会
議では, SC 27 設立 20 周年の節目を迎え,議長国独
の首都ベルリンで行われた.本総会の前週において,
同じ会場(ドイツ規格協会(DIN)ビル)内で,各 WG
の会合が開催され個別審議がなされたのを受けた形
で,その翌週に本総会が開催された.日本が特に注意
し た 点 は , WG 1 で ISMS (Information Security
Management System) 27000 シリーズとして,日本から
新規に提案した「クラウド向け ISMS のガイドライン」
の 進 展 , WG 2 で 欧 州 暗 号 研 究 組 織 ECRYPT II
(European Network of Excellence for Cryptology II)から
提案のあった,18033「暗号アルゴリズム」暗号選定
方法見直しへの対処,WG 3 で 29147「脆弱性情報の開
示」関連の進展状況,WG 4 では“Guidelines for ICT
readiness for business continuity”などセキュリティコン
トロール 27030 シリーズの進展,WG 5 では ID
(identity)管理フレームワークなど何年も足踏みが続
いている案件などであった.主要案件について,日本
の意見を概ね反映させることができた.しかし,新規
案件,および,改訂について要注意の動きが生じるな
ど,関係者と対応策を検討した.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 1(情報セキュリティマネジメントシステム)
2.1.1 情報セキュリティマネジメント関連の標準化
情報セキュリティマネジメントシステム ISMS は,
主に,組織のマネジメントとして自らの必要なセキュ
リティレベルを決め,プランを持ち,資源配分して,
システムを運用する手続きを規定するものであり,
ISO/IEC 27000 シリーズとして標準化が進められてい
る.
以下,ISO/IEC 番号を示すとき,ISO/IEC を省略し
て単に番号のみを記す.
(1) 新しいスタディ・ピリオド提案" Cloud computing
Security and Privacy"を日本から説明し,スタディ・ピ
リオドとして成立した.これは,27002 “Code of
practice for information security management”に基づき,
クラウドコンピューティングの使用において,情報セ
キュリティマネジメントを行うガイドラインを提供
しようというもの.ラポータは山崎哲(工学院大)が
務める.WG 4,WG 5 と協調し,ITU-T,SC 38 とも
リエゾンを組みながら推進することとなった.11/1 付
で Call for Contributions が発行され,1/31 までに寄書
を作成し,次回シンガポール会合向けに提出した.
(2) 27006"Requirements for bodies providing audit and
certification of information security management
systems"(2007 年 3 月第 1 版発行済)の改訂作業が始
まり,コエディタに竹田栄作(JIPDEC)が指名され
た.
(3) 27014"Governance of information security"は,組織に
おいて,セキュリティの評価,指示,監視ができるよ
うに統制を行なう原則やフロセスを手引きするもの
である.これは,上記(1)のクラウドコンピューティ
ングとの関連で我が国にとって重要なプロジェクト
となる.今回,反対国が多く CD に行くことが危ぶま
れたが,途中で,No vote 国との会合を持ち,No から
Abstain または Yes に回った国を得て,最終的に,CD
に進んだ.
2.2 WG 2(暗号とセキュリティメカニズム)
WG 2 は,暗号アルゴリズム,エンティティ認証等
のセキュリティ基盤技術の標準化を進めている.新し
く近澤武(IPA/三菱)が WG 2 議長(コンビーナ)
,
竜田敏男(情報セキュリティ大学院大)が副議長に選
ばれた.
2.2.1 暗号アルゴリズム採択基準に関する見直し
(1) ECRYPT II(欧州におけるセキュリティ,特に,暗
号を研究するプロジェクト)から暗号アルゴリズム選
定に関してリエゾン文書が送られてきた.それによる
と,
・ SC 27 の標準に含まれる暗号などに eSTREAM
(ECRYPT Stream Cipher Project) で 落 ち た も の
(Decim)が含まれている.
・ SC 27 の暗号標準 18033 は,情報秘匿に用いる暗
号方式を標準化するものである.しかし,18033
は以前実施されていた登録制度 9979 と実質的に
変わらなくなってきている観があり,標準化さ
れる暗号の数が膨らんでいる.9979 では,ISO
参加国が登録した暗号は,安全性や性能等の記
載が ISO 側で吟味されることなく,登録者の主
張通りの掲載となっていた.そのため,開発者
(提出国)作成によるカタログ集の様相を呈し
ていた.
・ もし,SC 27 の暗号標準に含まれる暗号が破られ
たりすると,ISO 標準の信用が落ちる.
・ 安全性を評価したうえで,暗号標準に含まれる
暗号の数を制限するなど,何らかの対策が必要.
これに対して,SC 27/WG 2 に各種アルゴリズムを採
用する基準を検討するスタディ・ピリオド“Criteria for
the standardization of encryption algorithms”を設置する
こととなった.そこで,Call for contribution として,
アンケートを各国に送って,各国の回答を得て状況を
調 査 す る こ と と な っ た . ラ ポ ー タ に 南 ア の Riaal
Domingues,コラポータに日本の宮地充子(北陸先端
大)が選任された.アンケートの結果は,2011 年 4
月のシンガポール会合時に SC 27 総会へ報告される
スケジュールとなった.
(2) このスタディ・ピリオドを国内で検討するため,
2つのアドホックを設置した.
SC 27 専門委員会内アドホック:暗号アルゴリズム選
定基準について我が国としてどのように意見を述べ
るかについて,主に政策的観点から関係官庁,機関と
すり合わせを行なう.
SC 27/WG 2 小委員会内アドホック:同上の目的で,
主に技術的観点から,暗号技術エキスパートの間で,
議論を行なう.
この 2 つのアドホックでの議論を踏まえ,我が国と
しての寄書を作成した.ポイントは,
(a) 本活動のそもそもの基本的観点(上記 1 概要を参
照)である「普及が容易で安全な相互接続技術を提供」
の点から,標準化される暗号の個数はむやみに増やさ
ないこと,および,同等の安全性での性能比に注目す
ること,などについて主張する.
(b) もう一つの基本的観点である「世界中どこでも同
等に保証された安全性」の点から,学会等公開の場で
十分に吟味された(well known)安全性を有している
ことが必要であることを主張する.
これらの基本的観点については,国内で合意された
ものの,暗号の数をむやみに多くしないという総論に
対して,それでは,どれくらいの数が適切かという各
論については,定まらず,2011 年 3 月時点では,具
体的数値を回答しなかった.また,相互接続性維持の
観点から,TDES のような従来からの暗号の利用継続
可否のようなやや難しい問題についても日本からの
言及を避けた.これらについて,2011 年 4 月のシン
ガポール会合での進展状況を見て,国内で再度,各論
を議論することとなった.
2.2.2 日本がエディタ,ラポータを担当する項目
(1) 29150, "Signcryption"は,コメントが多く,2nd FCD
へ進むことになった.Yuliang Zhen(産総研)がエデ
ィタを務める.
(2) 11770-5, "Group key management"は,コメントが多
く 3rd CD という意見があったが,エディタの主張に
より FCD に進むことになった.コエディタは田中俊
昭(KDDI)が務める.
(3) 11770-1, "Key management - Framework"の投票が賛
成多数で可決,英国のコメントを処理し,最終修正を
出して IS 出版に進むこととなった.エディタは竜田
が務める.
(4) 18033-4, "Encryption algorithms - Stream ciphers"に
ついて,ECRYPT II から暗号の採用基準について異議
があったが,それは別途協議することし,FCD へ進
むことになった.エディタは宮地が務める.
(5) 29192-1, "Lightweight cryptography - General"は,ベ
ルギー等からコメントがたくさん出て,次は 2nd CD
となった.コエディタを盛合志帆(ソニー)が務める.
(6) 29192-2, "Lightweight cryptography - Block ciphers"
は,コメントを処理し,FCD へ進むこととなった.
エディタを盛合が務める.
(7) 29192-3, "Lightweight cryptography - Stream ciphers"
は,コメントを処理し,1st CD へ進むこととなった.
エディタを吉田博隆(日立)が務める.
(8) 18031, "Random bit generation"は,フランスから新
たなアルゴリズムの追加提案が出て,次は 2nd FCD
となった.コエディタを櫻井玄弥(IPA)が務める.
(9) 20008-2, "Anonymous digital signatures - Mechanisms
using a group public key"は,コメント多数とフランス
から 3 件のアルゴリズムの寄書があり,それらを含め
て 2nd WD に進むこととなった.エディタを佐古和恵
(NEC)が務める.
(10) 20009-2, "Anonymous entity authentication Mechanism based on anonymous digital signature"は,規
格の構成を Entity authentication を規定している 9798
と同様の構成とするとともに,実現方式について新た
な提案が見込まれるため,Call for contribution を行い,
2nd WD に進むこととなった.エディタを松尾真一郎
(NICT)が務める.
2.3 WG 3(セキュリティ評価技術)
(1) 19790, "Security requirements for cryptographic
modules"は,コメント処理を行い,次回,3rd WD.近
藤潤一(IPA)がコエディタを務めている.
(2) 29128, "Verification of cryptographic protocols"は,3rd
CD の投票結果の報告とコメント処理が行われた.次
は FCD 投票に進むことになった.宮崎邦彦(日立)
,
松尾真一郎,大塚玲(産総研)がエディタを務めてい
る.
(3) 29147, "Vulnerability Disclosure"は,コメントの審議
を行い,次は 2nd CD.
(4) 29193, "Secure System Engineering Principles and
Techniques"の 3nd WD について,コメント審議が行わ
れた.次は PDTR 投票に進むこととなった.
(5) 20004, "Secure software development and evaluation
under ISO/IEC 15408 and ISO/IEC 18045" の 1st WD に
ついて,コメント審議が行われた.タイトルが
"Refining Software Vulnerability Analysis Under ISO/IEC
15408 and ISO/IEC 18045"に変更され,次は 2nd WD に
進むこととなった.
(6) 新作業項目,"Physical security attacks, mitigation
techniques and security requirements"は承認され,米国
の Randall Easter がエディタとして 1st WD を作成する
ことになった.
(7) 29147, "Vulnerability Disclosure"の記述内容が拡大
してきていることから,ベンダー内部の対応手順のみ
を分離し,その部分にフォーカスした新作業項目
"Vulnerability Handling Processes"が提案された.
(8) ENISA からの CAMM(Common Assurance Maturity
Model) の プ レ ゼ ン に 関 す る 議 論 の 結 果 , System
Evaluation に関するスタディ・ピリオドを開始するこ
とになった.ラポータは Helmut Kurth が務めることと
なった.
(9) 15443-1/2, "Framework for IT Security Assurance",お
よ び , 24759, "Test requirements for cryptographic
modules"は,今後,早期改訂を行うこととなった.
15443-1/2 は Fiona Pattinson がエディタを務めること
となった.24759 はエディタとして複数の立候補があ
ったため,今後各国からの応募により決定することに
なった
(10) CC V3.1.3 ま で の改 定 を 取 りこ ん だ ISO/IEC
15408-2/3,ISO/IEC18045 の Corrected Reprint が発行さ
れたが,今回の会合では Editing session はなくそのま
ま投票に入る.
2.4 WG 4(セキュリティコントロールとサービス)
(1) 27032, "Guidelines for cybersecurity"は,英国と米国
が Scope についてコメントを出した.次は,3rd CD.
中尾康二(KDDI)がコエディタを務めている.
(2) 27033-2, "Network security - Part 2: Guidelines for the
design and implementation of network security"は,WG 4
では,現状の FCD のステータスから,一機に WD に
戻す決議をした.これは,それまでコメント無し賛成
が多くて実質的な品質改善があまり進まなかったこ
とが原因.あまり興味のない投票案件は,よく見ずに
コメント無し賛成にする国が多く,一部の国が一生懸
命見て欠点を指摘しても,集計上は賛成で通ってしま
うという構造的問題の現われである.本会議で,口頭
で指摘され,その問題があらわになった.しかし,総
会 で は , TSB (Telecommunication Standardization
Bureau) に手続き的なことを確認し,WG 4 の決議を
覆し,以下の結論となった.「コメントの再提出,及
びその処理を行った後,固まった段階で 2nd FCD に
移行する.」
(3) 27034-1, "Application security -- Part 1: Overview and
concepts"について,WG 4 では,FCD ステータスから
CD ステータスに戻すか否かの議論があり,結局,2nd
FCD とする決議となった.上記の 27033-2 と同様に,
本件についても,TSB に打診したところ,27033-2 と
同じ対応が良いということになり,日本もその決議に
賛成した.ただし,WG 4 のコンビーナの Meng Chow
Kang は,自分の WG 4 での決議が変えられ,審議の
時間が延びたこと,コメントするためのリソースの問
題が生じるなど,今回の総会の決議に異議を申し立て
ていた.
(4) 27035, "Information security incident management"は,
コメント処理をして,FDIS に進むことになった.
また,本件に関し,別規格の提案が韓国からあり,そ
の案件は,新規のスタディ・ピリオドとなった.
(5) スタディ・ピリオド"Storage Security"が終了し,新
作業項目となった.アクティング・エディタは,Eric
Hibbard(英)が選出され,本件に関わる寄書,及び
エディタの公募があった.さらに,アクティング・エ
ディタは,preliminary draft の作成を依頼された.
(6) 次の新しいスタディ・ピリオドが提案され,それ
ぞれ検討に入ることとなった.結果の報告は次回の
WG 4 会議にてなされる予定.
A) Digital Evidence Readiness and Analysis
B) Digital Evidence Verification and Validation
C) WG 4 Vocabulary and Terminology standard
D) SP (Study Period) on Cloud Computing Security
E) Incident Management, Operation and Response
2.5 WG 5(アイデンティティ管理とプライバシー技術)
(1) 24745, "Biometric information protection"は,7.4 節に
おいて,カナダ提案により,shall/should の一部変更あ
り.FDIS に進むこととなった.
(2) 24760-1, "A framework for identity management - Part
1: Terminology and concepts"I は,FCD に進むこととな
った .ただし,現ドラフトの位置付けが不明との理
由で,カナダと米が反対した.
(3) 29100, "Privacy framework " は,FCD に進んだ.
(4) 29101, "Privacy reference architecture"は,アドホッ
クが作られ,鈴木俊宏(日本オラクル)が参加するこ
ととなった.シナリオベースで議論する,use case を
考え player を同定していくという流れになる方向.次
は,2nd CD.
(5) 29115, "Entity authentication assurance framework"は,
TAS コメントにおいて提案された 3 パートへの分割
について議論.ITU-T と協同プロジェクトとして進め
ている等の理由で,分割は避ける方向.ITU-T とは,
collaborative interchange の形で連携を図ることとなっ
た(JTC 1 Standing Document “Guide for ITU-T and
ISO/IEC JTC 1 Cooperation“を参照).Identity proofing
の内容に関しては,アドホックグループを作ることと
なった."Harmonized SC 27/WG 5 Vocabulary"のラポー
タには,デビッド・ターナー氏が指名された.次は,
2nd CD.
(6) 29146, "A framework for access management"は,4th
WD へ.コエディタが募集された.
(7) 29190, "Privacy capability assessment model"は,2nd
WD へ.ただし,エディタは不在であり,エディタ募
集を継続.
(8) 29191, "Requirements on relative anonymity with
identity escrow"は,1st CD へ進んだ.タイトルはネイ
ティブの語感を尊重し,"Requirements for partially
anonymous, partially unlikable authentication"となった.
エディタは佐古和恵(NEC)が務める.
(9) ロードマップ(WG 5 SD 1)のうち,懸念のセキュリ
ティ管理システムについては,変更なし.韓国からの
提案の動きについては,不明のままである.
(10) オフィシャルなプライバシー文書参照リスト
(WG 5 SD 2)については,機微情報とそうでないもの
に2分割にして再編集することとなった.
(11) SC 38 の「クラウドコンピューティング」に対し
て,WG 5 からのリエゾンオフィサーとして鈴木が指
名された.一方,WG 5 内で,クラウドコンピューテ
ィングにおけるプライバシーと ID 管理を検討するタ
スクを立ち上げる.WG 1, WG 4 との共同作業.その
ラポータには,Colin Wallis が指名された.
3. その他(今後の進め方に関する特記事項)
(1) ベルリン会議の直近(2010 年 10 月)で,SC 27
設立 20 周年ということで,DIN および独経済産業省
の建屋で盛大に記念行事が行われた.SC27 のそもそ
もの起源は,1981 年にデータ暗号の標準化を審議す
る ISO/TC 97/WG 1 が設置されたことから始まった.
1983 年に SC20 として昇格し設置され,1990 年に SC
27 に名称変更したものである.ISO/TC 97/WG1 から
数えると今年(2011 年)が 30 周年である.この間,
冒頭で述べたように,扱う範囲が,要素,アプリケー
ション,サービスにおける情報処理,情報通信の保護
へと拡大しそのなかで個別テーマが増えており,その
勢いはいまだ衰える気配はない.
(2) WG 1 でスタディ・ピリオドとして成立した「クラ
ウドコンピューティングのセキュリティとプライバ
シー」は,日本提案のプロジェクトであり,関係 WG
や関係部署と連携して進めている.本プロジェクトは,
当初の意図としては ISMS メインで進めるものである
が,クラウド種別の検討やプライバシー関連技術等の
取り込みについても視野に入れていて,各国の関心も
高い.
ISMS 全体は,SC 27 が標準化した技術としてたい
へんよく使われているものであり,しかも我が国がそ
の最大のユーザであるとともに,標準化での貢献度も
高い.クラウドセキュリティについても,ISMS の観
点と,他の技術観点との間の交通整理をうまく行いな
がら進める必要がある.国内 WG 1 小委員会はほぼ毎
週打ち合わせを続けており,多忙ではあるが,これら
の活動を通じて責任をもって世界を主導していきた
い.
(3) WG 2 で問題となった暗号アルゴリズムの選定基
準については,ここしばらく新暗号が提案されるとそ
のまま標準になってしまう傾向が続いており,実質,
以前の暗号登録制度のように単に暗号のカタログを
作成するようになりつつあった.当初の 18033 第 1 版
の制定においてそうであったように数を制限するな
り,評価・コンテストの結果で適した暗号を選ぶよう
にしなければいけない可能性もある.ただし,そのよ
うな議論を進めると,総論賛成,各論反対になる恐れ
がある.さらに,WTO/TBT (World Trade Organization/
Technical Barriers to Trade) 協定による政府調達と ISO
標準との問題も解決しなければいけない.マルチパス
の課題が残っている.我が国は WG 2 議長国でもある
ので,国際暗号標準は何たるかの崇高なポリシーをし
っかりと掲げ,本標準の行方をよい方向にリードして
いくことが望まれる.
4. 今後の国際会議開催予定
2011-04-11/19 シンガポール
2011-10-10/14 ナイロビ(ケニア)
2012-05-07/15 ストックホルム(スウェーデン)
■ SC 28 国 内 委 員 会 ( オ フ ィ ス 機 器 / Office
Equipment)
委員長
小澁 弘明
1. 概要
SC 28 の担当範囲は下記に示される.
Standardization of basic characteristics, test methods
and other related items, excluding such interfaces as user
system interfaces, communication interfaces and protocols,
of office equipment and products such as: Printers,
Copying Equipments, Digital scanners. Facsimile
equipment and systems composed of combinations of
office equipment.
国際 SC 28 は,2007 年に P メンバ登録したオース
トラリアが 2009 年に一度 SC28 から退会したが,そ
の後再度入退会を繰り返したため 13 カ国の P メンバ
と, 新たにガーナとボスニアヘルツゴビアが参加し
た 19 カ国の O メンバから構成されている.議長およ
び幹事国業務は引き続き日本が引き受けている.現在
の SC 28 は 5 つの WG から構成されている.中長期戦
略 を 議 論 す る Advisory Working Group ( AWG ),
Consumables 消耗品・カートリッジ特性:WG 2,機器
の生産性:WG 3, Image Quality Assessment 画質評価:
WG 4,2009 年 6 月開催の釜山総会で承認され新たに
設立されたオフィスカラー:WG 5,がそれぞれのテ
ーマを担当している.
一方国内 SC 28 委員会は従来通り社団法人ビジネ
ス機械・情報システム産業協会(JBMIA)において運
営され,2008 年度に JIS 化も完了したリサイクル規格
担当 WG 5 を廃止し,新たに NP が成立したカートリ
ッジ特性を担当する 29142WG(国際は WG 2 の一部
として活動)と,前述の新設国際 WG 5 の受け皿であ
る WG5J の 6 つの WG 体制で審議を行っている.
2010 年度の国際会議は,第 21 回総会(6 月米国ニ
ューヨーク州ロチェスター)及び,AWG 会議 2 回(6
月米国・ロチェスター,1 月米国・サンノゼ)
,WG 2
会議 1 回(6 月米国・ロチェスター)
,WG 3 会議 1 回
(6 月米国・ロチェスター),WG 4 会議 2 回(6 月米
国・ロチェスター,1 月・米国・サンノゼ),WG 5 会
議 1 回(6 月米国・ロチェスター),29142Editor 会議
2 回(6 月米国・ロチェスター,11 月オーストリア・
ウイーン),APSG セミナー(11 月マレーシア・クア
ラルンプール)が開催され,参加した.
1.1 議長,幹事国業務の引き受け
2002 年より幹事国業務を,また 2003 年より国際議
長を日本が引き受けている.幹事国業務は SC 28 国内
委員会参加の主要企業の持ち回りとすることが決め
られ,2006 年 10 月にこれまでのキヤノン(株)の出井
克人から(株)リコーの熊倉和正に正式に交代,2009 年
9 月で任期満了となったため,2010 年 6 月ロチェスタ
ー総会において次期派遣担当企業富士ゼロックス
(株)から杉山元邦が就任している.
また,国際議長はコンサルタントの斎藤輝であり,
昨年再任任期の 3 年目となり SC 28 日本委員会から正
式に Endorse を行い,同じく 2009 年 6 月釜山総会で 3
期目就任を SC 28 に求め承認,2009 年 10 月開催のテ
ルアビブ JTC 1 総会で正式に承認され,引き続き議長
を務めている.
議長のリーダシップと公正な態度は,参加各国から
高く評価され,SC 28 国際標準化活動は順調に推移し
ている.
1.2 第 21 回総会 SC 28 ロチェスター総会
2010 年 6 月第 21 回総会が,米国の招待によりロチ
ェスター市郊外にあるロチェスター工科大学にて開
催され,7 カ国 30 名が参加した.(墺 1 名,中 4 名,
独 1 名,露 1 名,米 7 名, 日 14 名,韓 2 名,国際議
長及び国際幹事 2 名, オブザーバ 1 名)
今回の総会では,個別案件では特に大きく問題とな
る課題も無く,おおむね順調に議事が進行した.
本総会において新任の富士ゼロックス杉山氏が初
めて国際幹事を務めた.前任の元リコー熊倉氏の参
加・助言も得て,再任の斎藤議長との連携も良く総会
はスムーズに運営された.
総会の冒頭,ITTF(ISO/IEC Information Technology
Task Force)から,国際 SC 28 メンバ 3 名に標準化活動
の貢献が認められ表彰された.米国の Mr. Paul Jeran,
故 Dr. Yee Ng とともに日本からコニカミノルタの伊
藤丘委員が表彰された.
これまで SC 28 Ambassador を務めていた SC 28 国内
委員会事務局 JBMIA 櫻井氏退任に伴い,後任にリコ
ー宮下委員が任命され,AWG(及び日本委員会)が
サポートすることとなった.
今回の総会では,全体会議と AWG,WG 2(消耗品
イールド),WG 3(生産性),WG 4(画質評価),カ
ートリッジ特性 Editors meeting 及び WG5(オフィス
カラー)が行われた.
次回第 22 回総会は 2011 年 6 月 29 日~7 月 1 日の
間,中国・杭州市で開催予定である.
1.3 JISC/IEC APSG 人材開発セミナー(マレーシア)
2010 年 11 月 30 日・12 月 1 日マレーシア・クアラル
ンプールで開催された第 9 回 JISC/IEC/APSG 人材開
発セミナー(METI 委託事業)に,リコー宮下委員が
出席.昨年,一昨年に引き続き,
“Standards for Energy
and Resource Saving”について討議した.
JTC 1/SC 28 は,概要及びその活動の紹介,生産性,
カートリッジイールド(印刷可能枚数)標準などの整
備により競争が促進され,省エネ・省資源活動に繋が
っていること,さらに,カートリッジ標準の開発によ
る省資源への貢献などの標準化活動の現状について
紹介した.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
本 年 度 に発 行 さ れ た国 際 標 準 は ISO/IEC 29183
Method for measuring digital copying productivity of a
single one-sided original である.
2.1 AWG(コンビーナ: C. W. Kim,韓, セクレタリ:
宮下隆明・リコー/日本 JAWG:JBMIA 大久保主査)
AWG の活動は,SC 28 の新しい枠組みを作ってい
く活動と,SC 28 全体に係わる課題を整理するという
ものに大きく分けられる
・ AWG 日本メンバが主体となって作成した 2010
SC 28 Roadmap が承認された.
・ SC 28 にかかわるターミノロジーの検討を行っ
ているが,そのコーディネータにリコー宮下委
員が指名された.
・ 新規分野である AWG/PWG 6 オフィスアプリケ
ーションについて,今年度も引き続き日本を中
心に具体的な課題を模索している.
2.2 WG 2(Consumables/消耗品,コンビーナ: P. Jeran,
米/日本 WG2J:エプソン佐田主査)
複写機,プリンタ,ファックス,複合機の消耗品(ト
ナー/インク)の寿命(使用可能枚数)決定方法は国
内では WG 7 で検討していたが,本年度 4 月から国際
に合わせて WG2J に名称変更し対応している.
カラーフォトイールド測定方法(CD29102)と,カ
ラーフォトイールド・テストチャート(WD29103)
についてロチェスター総会時開催の WG 会議で検
討.CD29102 が改訂され,FDIS 投票開始待ち.また
CD29103 は現在 FDIS 投票中である.
2.3 WG 3(Productivity 生産性,コンビーナ: D. Lewis,
米/日本 WG3J:コニカミノルタ伊藤主査)
ISO/IEC21117(複写機仕様書様式)及び 11160-2(プ
リンタ仕様書様式)の revision が決定,SC 28 Work
Program に追加され,伊藤丘委員が 21117 の Project
Editor に任命された.
ISO/IEC 24734(プリンタ生産性測定方法)及び 24735
(複写生産性測定方法)の改版が決定,SC 28 Work
Program に追加され,伊藤丘委員が 24735 のプロジェ
クトエディタに任命された.
新規規格候補として,Scanner Productivity 及び Print
First Page Out 規 格 の 考 え 方 が 報 告 さ れ , Scanner
Productivity 内容を伊藤丘委員から説明.両方の規格
候補について NP 提案に向けて活動することが確認さ
れた.
2.4 WG 4(Image Quality /画像評価,コンビーナ: E.
Zeise,米/日本 WG4J:JBMIA 稲垣主査)
策定が難航していた ISO/IEC CD24790(画質属性測
定方法)及び CD29112(白黒レーザープリンタの解像力
測 定 法 お よ び テ ス ト チ ャ ー ト ) は 共 に Technical
Specification(TS:技術仕様書)として発行することが
決定された.
2.5 WG 5(Office Colour/オフィスカラー,コンビー
ナ:仲谷文雄・富士ゼロックス,セクレタリ:宮下隆
明・リコー/日本 WG5J:JBMIA 村井主査)
2009 年の釜山総会で新たに WG 5(オフィスカラ
ー)が発足した.
WG 5 設立に向け,日本が積極的に提案活動をして
いたこともあり,SC 28 の WG としては初めてコンビ
ーナ(セクレタリも)を日本で引き受けることになっ
た.
ロチェスター総会では,Stage0 提案として Color
Terminology for Office color Systems を,WG 5 会議で
はリコー白沢委員が,総会では WG 5 コンビーナであ
る富士ゼロックス仲谷委員が,日本から NP 提案する
予定であることも加えて説明した.
2.6 29142 エディターミーティング(カートリッジ特
性,コンビーナ:P.Jeran・米/日本 29142WG:リコー宮
下主査)
注目される米提案のトナーカートリッジ特性規格
NP29142(5 parts)は,2008 年から開発が開始され,
全パートに日本の委員が Assistant Editor として参加
することになり,日本の意見が反映しやすい体制がで
きた.また,本国際プロジェクトに特化して対応する
国内 WG が 2009 年 1 月に編成された.2010 年 6 月現
在で 11 社 44 名が委員登録され,各社の関心の高さが
うかがわれる.用語の定義をはじめ,特性測定法の選
定など標準の構成を含めた議論が続き,CD 作成に難
航しているため,CD 発行を当初計画の 2009 年末から
12 か月延期することを前々回の釜山総会で決定し
2010 年 12 月の CD 登録を目指すこととなった.しかし,
さらに難航することが予測されたため,2010 年 6 月
のロチェスター総会で 18 か月の再延期を申請するこ
とを決定した.2010 年 9 月の JTC1投票で承認され,
さらに 18 か月延期されることになった.
(WG 構成は 29142 国際プロジェクトの構造に対応し
た,Part1:一般:用語,記号(General :Terms,Symbols
and Notations),Part2 :標示(Labeling)
,Part3:環境
(Environment),Part4:インクカートリッジ特性(Ink
cartridge attributes),Part5:トナーカートリッジ特性
(Toner cartridge attributes)の 5 つのグループで構成さ
れている.)
2.7 その他
ISO/IEC21118(データプロジェクタ仕様書様式)の
改版が決定,SC 28 Work Program に追加され,パナソ
ニック山岸氏がエディタ,伊藤丘委員がコエディタに
任命された.
3.
①
②
③
④
⑤
今後の主要課題
カートリッジ規格の国内審議推進
新テ-マの発掘と NP 提案の促進(継続)
制定された国際規格の JBMS/JIS 化の推進(支援)
Secretariat(Chairman & Secretary)業務への支援
SC 28 の改革の促進
■ SC 29 専門委員会(音声, 画像, マルチメディア,
ハ イ パ ー メ デ ィ ア 情 報 符 号 化 /Coding of Audio,
Picture, Multimedia and Hypermedia Information)
委員長
守谷 健弘(日本電信電話(株))
1. 概要
SC 29 専門委員会の中には, WG 1(JPEG, JBIG),
WG 11(MPEG)の二つの Working Group があり,主
にマルチメディア符号化技術の規格化を担当してい
る.2010 年度の SC 29 総会は 2010 年 7 月 31 日にジ
ュネーブ(スイス)で開催され,日本からは,浅井議長,
小倉セクレタリの他,JNB として守谷委員長が出席し
た.総会では,標準化の新規プロジェクト,変更,エ
ディタ,ビジネスプランが承認された.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 1(静止画像符号化)
2.1.1 開催会議および日本からの出席者数
会 期
場 所
出席者数
2010-07-12/16
ブリュッセル(ベルギー) 4 名
2010-10-11/15
広州(中)
6名
2011-02-21/25
東京(日)
34 名
2.1.2 活動内容
ロービットレートからロスレスまでの広い範囲で
の高画質プログレッシブ再生, 任意エリアの優先的
伝送やエラー対策, 動画像対応などの豊富な機能を
有する「JPEG 2000(ISO/IEC 15444 シリーズ)」では,
JPEG2000 符号化データのより広範な応用を目的とす
るパート 14:XML structural representation(2007 年度
に日本から提案)を除く各パートの標準化を終えてお
り,現在は D-Cinema への対応や各種応用パートの実
用化を支援するための AMD の制定に注力している.
画像検索を主題とする課題「JPSearch(ISO/IEC 24800
シリーズ)」については,MPEG-7 と連携しつつ審議
を進めており,パート 1 は既に TR となり,パート 6
を除く 2 から 5 についても標準化を終えている.また,
マイクロソフトが推進する HD PHOTO と呼ばれる静
止画符号化方式に基づく「JPEG XR」
(ISO/IEC 29199
シリーズ)も全てのパートの標準化が終わった.新た
な プ ロ ジ ェ ク ト と し て 進 め ら れ て い る Advanced
image coding and evaluation methodologies(ISO/IEC
29170 シリーズ),現在,画質評価を含む新しい符号
化標準の策定に向け活動している.JBIG のカラー化
AMD については第 1 段階の拡張が FDAM に進み,
2011 年度に標準化される予定である.
2.1.3 実用化状況
JPEG 2000 はパスポートや運転免許証,デジタルシ
ネマ,アーカイブ,医用画像などの分野で活用されて
いるが,インターネット,デジタルカメラの分野では
相変わらず JPEG が優位である.JPEG XR は性能も装
置規模も JPEG と JPEG 2000 の中間であり,JPEG よ
りも高いビット精度を武器にデジタルカメラ分野へ
の進出を目指しているが,まだ,商品化には至ってい
ない.
2.1.4 今後の課題
JPEG 2000 のパート 1 の標準化が完了して 10 年が
経過した.上記のように新たなアプリケーションでは
その導入が進んでいるが既存のアプリケーションで
JPEG を置き換えるのは困難な状況にある.そこで, 使
いやすさという観点から, 改めて仕様の見直し作業
等を進めると同時に,WG 1 の掲げるロイヤリティ
ー・フィー・フリーのより確実な実現に向けての仕様
策 定 に 取 り 組 ん で い く 予 定 で あ る . ま た AIC
(Advanced Image Coding) については,セキュリティ
用,医用画像用などに的を絞って,符号化・復号技術
を募集している.
2.2 WG 11 / Video(MPEG ビデオ符号化)
2.2.1 開催会議および日本からの出席者数
会 期
場 所
出席者数
2010-04-19/23
ドレスデン(独)
34 名
2010-07-26/30
ジュネーブ(スイス) 38 名
2010-10-11/15
広州(中)
46 名
2011-01-24/28
大邱(韓)
49 名
2011-03-21/25
ジュネーブ(スイス) 33 名
2.2.2 活動内容
2010 年度は,PDAM 4 件,FPDAM 6 件,DAM 3 件,
FDAM 6 件,DCOR 5 件の投票を行った.
MPEG-2 システムに関し,JPEG 2000 を MPEG-2
Systems で伝送するための規格化が終了した.また
MVC(Multi-view Video Coding)の伝送でも多視点ビ
デオをサポートするための記述子の追加を
13818-1/PDAM6 として規格化した.
ファイルフォーマットを規定する MPEG-4 パート
12 において,Progressive Download, Multi-channel audio,
ビデオの表示情報などの拡張規格化が終了し
14496-12:2008/Amd.2 が発行された.またストリーミ
ン グ に 対 応 す る 規 格 化 が 開 始 さ れ
14496-12:2008/DAM 3 が発行された.
MPEG-2 ビデオでは,ステレオ画像のフォーマット
を明示的に伝送する規格化が開始された.現在,放送
ではステレオ画像を通常の 2D の HDTV 画像に(解像
度を下げた後)マッピングする手法(Frame compatible
3D)が採用されている.このマッピングの方法や,
素材が 2D か 3D かを示すデータをビットストリーム
中に伝送する規格化を行っている.現在 2D 放送,3D
放送の切替えはユーザがリモコンを使い手動で行う
必要がある.この規格により TV が自動で識別するこ
とが可能になる.日本からの提案が採用されている.
MPEG-4 パート 10 の AVC 関連では携帯を主に想定し
プログレッシブ画像のみに限定した Progressive High
Profile の規格化が開始された.また高精細画像,特に
4Kx2K@60p に対応するため,レベルを追加する規格
化も開始された.これら 2 つの拡張を合わせて
14496-10:2010/DAM1 が発行された.本年度に規格化
を終了する予定で進められている.
MPEG-C ビデオ関連においては,再構成可能なビデ
オ符号化フレームワークとして既存の MPEG ビデオ
標準のビデオ符号化ツールを規定するパート 4 の拡
張規格化が進められた.23002-4 の参照ソフトウェア
を 23002-4:2010/Amd.1 と し て 規 格 化 終 了 し た .
23002-4 に AVC High profile などを追加する拡張規格
化も終了し,23002-4:2010/Amd.2 として規格化を終了
した.
本年度から次世代ビデオコーデック HEVC (High
Efficiency Video Coding) の標準化が本格的に始まっ
た.AVC(Advanced Video Coding)と比較して倍の符
号化効率改善を目標として規格化を進めている.2010
年 1 月の京都会合で,提案募集の最終版が発行された.
次世代ビデオコーデックの提案募集,標準化は,ITU-T
SG16 WP3 Q.6 (VCEG) と 共 同 で 進 め ら れ る .
SC29/WG 11 と ITU-T SG16 WP3 との間で,次世代ビ
デオコーデックの標準化を行う新たな Joint Team とし
て JCT-VC (Joint Collaborative Team on Video Coding)
が設立された.JCT-VC の第 1 回会合は,4 月の MPEG
Dresden 会合と併催して開催された.この会合にて,
主観評価とアルゴリズム評価を行った.技術審議を進
め,10 月会合にて WD を発行し,今後の実験のため
のテストモデル HM (HEVC Test Model) を策定した.
現在この HM をベースにして符号化効率の改善と実
装難易度の削減を進めている.また並行してスケーラ
ビリティなどの拡張のための要求仕様の議論が始ま
りつつある.HEVC の規格化は 2013 年 1 月に終了す
る予定.
さらに,今後の規格化を目標とした新しい取組みと
しては,自由視点からの映像視聴を可能とする
Free-viewpoint TV (FTV) がある.FTV の検討では,複
数カメラから取得した多視点映像をベースとして,奥
行きデータを有効に活用することで,圧縮率の向上だ
けでなく視点切出しの効率的なフレームワークまで
含めて規定しようという議論がなされ,日本からの提
案を中心として, 提案募集に向けた準備が行われて
いる.最初のアプリケーションとして,裸眼の 3DTV
を想定した 3D Video Coding の提案募集に向けた準備
を行った.2011 年 3 月のジュネーブ会合で提案募集
を発行し,本年度から標準化が開始する予定で進めら
れている.
2.2.3 実用化状況
MPEG-2 ビデオおよびシステムファイルフォーマ
ットは,BS/CS/地上デジタルをはじめとするデジタル
放送や DVD など各種情報家電で利用されている.
MPEG-4 ビジュアルは, インターネットストリーミン
グや携帯電話による双方向通信サービスなどにおけ
る映像圧縮方式として利用されている.MPEG-4 ビジ
ュアルの内,Studio Profile は HDTV の放送業務用制作
機器に採用されている.今後 4K デジタルシネマの制
作にも採用されていくことが期待される.
最新ビジュアル規格であるパート 10(AVC)につ
いては, 移動体/携帯向けのデジタル放送(ワンセグ放
送)用の映像圧縮方式として利用されている.さらに,
次世代 DVD のビジュアル規格としても MPEG-2 など
とならんで AVC が搭載されるほか, 最近では家庭用
の民生用ハイビジョンビデオカメラや,ゲーム機など
にも利用されてきている.また,AVC の拡張である
MVC は,Blu-Ray Disc の 3D ビデオ用コーデックとし
て採用された.今後 3D 用のコーデックとして普及し
ていくと期待される.
AVC 規格は放送・家電・通信の分野での映像サー
ビス/システムを牽引する今後の主力規格となってお
り, AVC の持つ潜在的な符号化性能を十分引き出せる
ような LSI, コーデック装置, ソフトウェアの開発が
各社で進んでおり, 今後さらに大きな市場を創出し
ていくことが期待される.
2.2.4 今後の課題
システムおよびビジュアルにおいては今後も多く
の拡張/修正の審議が想定される.
次世代符号化 HEVC の標準化が本格的に開始され
た.携帯の高精細化や,HDTV を超える高精細映像向
けにも次世代コーデックが議論されており,本委員会
としても, 積極的に規格化を推進していく.
また,自由視点からの映像切り出しを可能とする
FTV も提案募集へ向けた技術検討が始まる.裸眼
3DTV を想定した 3D Video Coding の提案募集が発行
され, 本年度から標準化が本格的に始まる.日本とし
てイニシアチブを取るべく本委員会としてもサポー
トを継続し, 積極的に規格化を推進していく.
2.3 WG 11/Audio(MPEG Audio, オーディオ符号化)
2.3.1 開催会議および日本からの出席者数
会 期
場 所
出席者数
2010-04-19/23
ドレスデン(独)
3名
2010-07-26/30
ジュネーブ(スイス)
7名
2010-10-11/15
広州(中)
7名
2011-01-24/28
大邱(韓)
6名
2011-03-21/25
ジュネーブ(スイス)
5名
2.3.2 活動内容
2010 年度は,CD 1 件,PDAM 2 件,FDIS 1 件,FDAM
3 件,DCOR 8 件の投票を行った.
遅れていた MPEG-D 空間音響オブジェクト符号化
(23003-2:Spatial Audio Object Coding)の標準化は,
2010 年度に最終規格案が発行された.
2010 年度の活動の中心であった統合音声音響符号
化(23003-3:Unified Speech and Audio Coding)の標準
化は,CD 承認後, コア実験がほぼ終了し,2011 年 1
月に DIS が発行された.2011 年度中に最終規格案が
発行される予定である.この標準化には,日本の機関
も数多く参画し,複数の技術提案が採用されている.
2.3.3 実用化状況
日本国内向け衛星および地上波デジタル放送のオ
ー デ ィ オ 伝 送 方 式 に は MPEG-2/AAC
(MPEG-2/Advanced Audio Coding)が,ワンセグ放送,
衛 星 デ ジ タ ル 音 声 放 送 で は , MPEG-2/AAC+SBR
(Spectral Band Replication)が採用されサービスが行
われている.また,高度広帯域衛星デジタル放送のダ
ウ ン ロ ー ド 放 送 サ ー ビ ス 向 け に MPEG-4 ALS
(MPEG-4 Audio Lossless Coding)方式が採用された.
さらにインターネットや無線通信の配信, 携帯音楽
プレーヤにも,MPEG-4 AAC や HE-AAC が採用され
ている.
2.3.4 今後の課題
2011 年度中に,統合音声音響符号化に関する規格
案(DIS)投票が行われ, 最終規格案(FDIS)が発行
される予定である.また,この追補として,参照ソフ
トウェア,互換性検証ストリームに関する規格化も平
行して進められる.その他既存のオーディオ規格につ
いても拡張規格や関連規格,修正に関する提案や投票
を適宜行い,標準を策定する予定である.
また,「HEVC のためのオーディオ」と題して,将
来に必要な新しい MPEG オーディオ規格テーマにつ
いての議論が 2010 年度に引き続いて行われる予定で
ある.
2.4 WG 11/Systems(システム)
2.4.1 開催会議および日本からの出席者数
会期
場所
出席者数
2010-04-19/23 ドレスデン(独)
1名
2010-07-26/30 ジュネーブ(スイス)
6名
2010-10-11/15 広州(中)
7名
2011-01-24/28 大邱(韓)
6名
2011-03-21/25 ジュネーブ(スイス)
4名
2.4.2 活動内容
2010 年度(*:MPEG-7SG, **:OICI SG 担当)は,CD
6 件,FCD 7 件,FDIS 6 件,PDAM 14 件(うち*4 件,
**1 件)
,FPDAM 13 件(うち*4 件,**2 件)
,FDAM 15
件(うち*5 件),FDIS 1 件(うち**1 件),FDAM 3
件,DCOR 8 件の投票を行った.
Systems 小委員会は国際の WG 11 内の Systems
Subgroup と 3DGC Subgroup が作成する標準案を担当
している.Video(映像)や Audio(音響)の符号化は
それぞれの小委員会が担当し,それらを組み合わせる
「複合・多重・応用」に関する部分, および 3D グラ
フィクスが systems 小委員会の担当範囲である.ただ
し,Video 標準との関係性が高い部分は Video 小委員
会が担当している.
Systems 小 委 員 会 で は 現 在 , MPEG-4 ( ISO/IEC
14496-X),MPEG-7(ISO/IEC 15938-X),MPEG-21
(ISO/IEC 21000-X),MPEG-A(ISO/IEC 23000-X),
MPEG-V ( ISO/IEC 23005-X ), MPEG-M ( ISO/IEC
23006-X),MPEG-U(ISO/IEC 23007-X)が活発に審
議されている.
またこのうち IPMP
(Intellectual Property Management
and Protection)や CEL(Contract Expression Language)
関係は OICI-SG で,MPEG-7 関係は MPEG-7-SG で担
当している.
MPEG-7 ( ISO/IEC 15938: Multimedia content
description interface)は,映像・音声をはじめとした
マルチメディアコンテンツの内容を記述するための
枠組みを規定する規格である.12 のパートから構成
され, 記述データの語彙やその構文法を規定し,ディ
ジタルライブラリやマルチメディアコンテンツ検索
アプリケーション等の開発,普及に寄与することを目
的とする.2010 年度は,パート 3/Amd.4 関連の規格
化,パート 9/Amd.1 の規格化,パート 12/Amd.1,Amd.2
の規格化を進めた.パート 3(ビジュアル)/Amd.4(ビ
デオシグネチャツール)は,動画像を映像信号自身の
特徴量で識別・同定する署名(シグネチャ)ツールの
規定である.9 月に FDAM 投票を行ったほか,対応す
るパート 6(参照ソフトウェア)/Amd.4,パート 7(適
合性試験)/Amd.6,パート 8(抽出及び利用方法)
/Amd.6 について FPDAM,PDAM 投票までを行った.
また,既に規格化済の静止画の署名ツール規定である
パート 3/Amd.3(イメージシグネチャツール)に関し
ても,対応するパート 6/Amd.3, パート 7/Amd.5 の
FDAM 投票を行った.パート 9(プロファイルとレベ
ル)/Amd.1(オーディオビジュアル記述プロファイル)
は,EBU EC-M/SCAIE から提案された,メディア解
析結果を記述するための低レベル映像音響特徴記述
(パート 3,4 の各種ツール)を含むプロファイルの
規定であり,11 年 1 月に PDAM 投票を行った.パー
ト 12(クエリフォーマット)は,マルチメディアコ
ンテンツ検索の入/出力フォーマットやクエリ(検索
条件)管理に係る各種ツールの規定である.AMD1(参
照ソフトウェアとフラットメタデータ出力)は,参照
ソフトウェア及び要求された情報の出力方法に係る
規定であり,11 年 1 月に FDAM 投票を行った.Amd.2
(セマンティック拡張)は,意味情報をクエリで扱え
るようにするための拡張であり,12 月に FPDAM 投
票を行った.
MPEG-A( ISO/IEC 23000: Multimedia application
format)は,MPEG 規格の各種ツールを組合せて MPEG
標準のアプリケーションフォーマット(AF)を規定
する規格である.2010 年度は, パート 3(フォトプレ
ーヤ AF)について AMD2(適合性試験)の FDAM,
パート 10(ビデオ監視 AF)について AMD1(適合性
試験と参照ソフトウェア)の FDAM 投票までを行っ
た.
MPEG-21,MPEG-A,MPEG-V,MPEG-M,MPEG-U
は単独でも利用可能だが,これらによって規定される
機能やインタフェースが有機的に結合されて高機能
なマルチメディア端末として機能する標準群となる
ことも目指している.MPEG-21 はコンテンツ記述形
式を,MPEG-A は応用フォーマット(目的別ファイル
フォーマット)を,MPEG-V はサービスの仮想空間を,
MPEG-M はソフトウエアアーキテクチャを,MPEG-U
はユーザインタフェースを規定している.
2.4.3 実用化状況
MPEG-7 の記述ツールは,MPEG-21,MPEG-A 等で
採用されている.また,WG 1(JPEG)の JPSearch で
も,MPEG-7 のメタデータ及びクエリフォーマットが
採用されている.MPEG-7 パート 1 の XML 文書圧縮
技術 BiM(Binary MPEG format for XML,現在は
MPEG-B パート 1)は,TV-Anytime Forum (ETSI TS 102
822),ARIB (ARIB-STD B38),DVB (ETSI TS 102
323(DVB-S/-T/-C); ETSI TS 102 034/TS 102 539(IPTV);
ETSI TS 102 471(DVB-H)で採用されている.MPEG-7
パート 2 の記述定義言語 DDL(MPEG-7 Description
Definition Language)は,TV-Anytime Forum (ETSI TS
102 822),ARIB (ARIB-STD B38) で利用されている.
MPEG-21,MPEG-A,MPEG-V,MPEG-M,MPEG-U
はごく一部を除けば大規模な応用例は少ない.しかし,
これらの規格群をベースに ITU-T SG16 (Question 13)
on Advanced IPTV Terminal (AIT) との共同作業が進ん
でいる.
ま た , 2010 年 度 中 に は MMT (MPEG Media
Transport) と DASH (Dynamic Adaptive Streaming over
HTTP) の標準化が開始された.systems 標準の基盤を
構成する transport 規格は 10 年以上にわたり大きな改
定がなかったが,近年驚異的な進歩を遂げたデジタル
メディアサービスの新しい多様なニーズに応えるこ
とをこれらの標準化では目指している.ニーズの高さ
を反映して主要なメーカー,事業者などから数十を超
える方式提案があった.
2.4.4 今後の課題
2011 年度は,MPEG-7 として,ビデオシグネチャツ
ー ル 関 連 の パ ー ト 8/Amd.6 の 審 議 ほ か , パ ー ト
9/Amd.1 審議,パート 12/AMD2 審議に対応する.ま
た現在,WG 11(MPEG)で,モバイル端末などで撮
影した画像オブジェクトを検索するためのコンパク
トな特徴量記述の標準化を目指す Compact Descriptors
for Visual Search のプロジェクトが開始されており,
2011 年 11 月に提案募集が行われる予定である.
MPEG-7 規格との関連が高いため, 動向を把握し必要
に応じて規格化の推進にあたる.
AIT (Advanced IPTV Terminal) と呼んでいた標準化
作業は,MPEG-M の改定版として標準化されること
になった.2010 年に CD が完成し,2011 年の IS 化が
見込まれる.DASH は 2011 年中の IS 化を,MMT は
2012 年頃の IS 化を目指している.
■ SC 31 専門委員会(自動認識およびデータ取得技
術 / Automatic Identification and Data Capture
Techniques)
委員長
柴田 彰((株)デンソーウェーブ)
1. 概要
SC 31 は自動認識及びデータ取得技術を標準化の対
象としている.具体的には,1 次元シンボル,2 次元
シンボル,RFID 及びその関連機器,システムの標準
化を分担している.SC 31 の議長及び事務局は米国が
担当し,P メンバ 32 カ国,O メンバ 11 カ国で構成さ
れている.SC 31 は下部組織として,WG 1,WG 2,
WG 4~WG 7 の 6 つのワーキンググループがあり,
WG 1(データキャリア)は 1 次元シンボル及び 2 次
元シンボル規格を担当している.WG 2(データスト
ラクチャ)はデータキャリア(1 次元シンボル,2 次
元シンボル,RFID)へのデータの格納構造及び格納
方法に関する規格を担当している.WG 4 は RFID を
担当し,4 つの SG(SG 1,SG 3,SG 5,SG 6)と電
波法に関連した規定類を分担するラポータグループ
がある.WG 5(Real Time Locating Systems (RTLS))は
RFID の応用である,物の位置情報を得るためのリア
ルタイムロケーティングシステムを担当している.
WG 6(Mobile item identification & management)は,
モバイル端末(携帯電話等)に AIDC(Automatic
Identification and Data Capture)メディア読取装置を組
み込み,AIDC メディアからデータを読み取り,関連
サイトからサービスや情報を受け取る仕組みに関す
る 規 格 を 開 発 中 で あ る . WG 7( Security for Item
Management)は RFID におけるセキュリティのあり方
と関連規格の審議を担当している.
2010 年の SC 31 総会は北京(中)で 5 月 28 日に開
催され,参加国は 15 カ国,関連機関は 2 機関で事務
局を含めると 46 名が参加し,日本からは 4 名が参加
した.昨年同様 1 日という短い時間の中で,各 WG
からの報告,各国の活動状況報告,ビジネスプラン,
リエゾン報告が行われ,Resolution をまとめて終わる
といった,事務的な会議進行であった.
総会において,①従来 HOD 会議は半日であったが,
来年の SC 31 総会では,今後の SC 31 のあり方の検討
のために丸 1 日の HOD 会議を開催することとした.
②さらに,WG 及び SG が増えたことの弊害を指摘す
る発言が総会の中であり,WG 及び SG の見直しに関
する議論も WG コンビナー等を中心に開始され,来
年の総会で報告の予定である.③Chuck Biss を議長と
して JTC 1 へ再度推薦することも決議された.
次回の SC 31 総会は,2011 年 5 月,ウィーンで開
催される.
日本提案の現状は,各 WG の中で詳細に述べるが,
各国の注目を集めるテーマとして審議が進んでいる.
①は 2010 年 5 月に発行された.それ以外の 4 件(⑤
は 2010 年新規)が審議中である.
①リライタブルハイブリッドメディアの品質試験仕
様(29133)
②RFID データマネジメント(24791-2)FCD
③AIDC メディアへのデータ構造規格適用ガイドライ
ン(29162)DTR
④RFID リーダライタの植込み型医療機器への電磁波
影響とその緩和方法(20017)DTR
⑤モバイルデバイスにおける光学的読取り装置の読
取りと表示(16480)NP パス
2010 年はワーキンググループ等も含めて SC 31 全
体では 16 回の国際会議(Face to Face)が開催され,
日本からはそれらの会議に延べ 38 名を派遣した.
日本での国際会議は 2010 年 9 月に東京で,WG 1
の会議を開催した.景気の状況を反映して F2F 会議は
数が減り,代わりに多くの電話会議が開催されている.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 1(Data Carrier)
日本提案のリライタブルハイブリッドメディアの
品質試験仕様(29133)は,2010 年 5 月に発行された.
金属,樹脂等に直接印字したシンボルの品質評価の
た め の テ ク ニ カ ル レ ポ ー ト , DPM (Direct Parts
Marking) 品質ガイドライン(29158)は,DTR 投票をパ
スして発行を待つ状態にある.
5 年目の見直しが完了したバーコードマスター
(15421),GS1 コンポジット(旧規格名称 EAN.UCC コ
ンポジット)(24723) 及び GS1 データバー(旧規格名
称 RSS)(24724) が,第 2 版として発行された.
2 次元シンボルの印刷品質試験仕様(15415),2 次元
シンボル検証器のコンフォーマンス試験方法
(15426-2) 及び PDF417(15438) の 5 年目の見直し作業
を行っている.
NP 投票 4 件,CD 投票 1 件,FCD 投票 2 件,FDIS
投票 2 件,DTR 投票 1 件を行った.
2.2 WG 2(Data Structure)
ユニーク識別子の構造と登録手続き規格である
ISO/IEC 15459 シリーズでは,これまでに成立してい
る Part 1 から Part 6 までの見直しと整合を取るための
改定作業が昨年から開始され,本年度は FCD まで進
み,来年度には改定作業が完了する予定である.
もう一つの主要規格である ISO/IEC 15434(大容量
AIDC 情報媒体のシンタックス)は定期改定に伴い,
現行規格のまま改定の方向で作業が進められており,
また,その実際の運用に関するガイドライン ISO/IEC
29162(日本提案)は PDTR 投票をパスし,来年度に
は成立する予定である.
FCD 投票 6 件,PDTR 投票 1 件を行った.
2.3 WG 4(RFID)
WG 4 の審議は,配下のサブグループ(SG 1,SG 3,
SG 5,SG 6)において行われている.
SG 1(アプリケーションインタフェースプロトコ
ル)では,ホストとリーダライタ間のデータプロトコ
ルに関する規格(15961,15962) の改定,及びホスト
とリーダライタ間のデータ管理,デバイス管理,デバ
イスインタフェース等の規格をソフトウェアシステ
ム基盤(24791) として開発中である.15961-1 と 15962
は FCD 投票後の CRM において大幅な技術的変更が
加えられ,3 回目の FCD 投票となった.24791 シリー
ズは,パート 1 は発行されたが,パート 2,3,5 の開
発が遅延している.
SG 3(エアインタフェース)では,SC 31 総会で承
認された 18000-6 の 5 パートへの分割 NP が通り,現在
改定ドラフトの作成が進行中である.また,18000-7
は 3 度目の改定 NP が通り,改定作業が始まっている.
SG 5(RFID 導入ガイドライン)では,日本提案の
RFID リーダライタの植込み型医療機器への電磁波影
響とその緩和方法(20017) は大幅なドキュメント変
更を行い,2ndPDTR 投票をパスした.現在 DTR 投票
中である.
SG 6(コンフォーマンス & パフォーマンス)は,
RFID のパフォーマンス試験方法(18046 シリーズ)
及びコンフォーマンス試験方法(18047 シリーズ)の
改訂を行っている.コンフォーマンス規格を TR とし
て作成してきたが,IS へ変更すべきとのことで,順次
IS に変更する改定 NP が出され,進行中である
WG 4 全体で,NP 投票 3 件,CD(PDTR)投票 4 件,
FCD 投票 3 件,FDIS(DTR)投票 6 件を行った.
2.4 WG 5(RTLS)
RTLS は,屋外におけるコンテナ位置,車両位置管
理,また倉庫内における貨物の位置管理などで利用ニ
ーズが高まっているが,現在成立している国際標準は
日本国内では電波法の関係で利用できない状況にあ
る.国内では,300 MHz 帯で電波法規制外の微弱電波
による製品が主に提供されている.このような中,位
置精度の向上に対する要求が高まっており,現状の
2.4 GHz を利用した規格(ISO/IEC 24730-2)に対し,
より精度が出る方式での改定案が韓国から提案され
たが,旧規格との整合等を図るため,旧規格を含めた
3 パート構成による規格審議が進められている.また,
さらに精度を向上させる方式として,UWB (Ultra
Wide Band) を用いた規格開発が米国から提案され,
ITU とも連携を図る形で審議が進んでいる(ISO/IEC
24730-6).
また,旧 WG 3 からコンフォーマンス規格が移管さ
れたことに伴い,関係するコンフォーマンス規格の審
議もスタートしている.
CD 投票 3 件を行った.
2.5 WG 6(Mobile Item Identification & Management)
韓国が提案したモバイル RFID 関連プロジェクトで
は,エアインタフェース仕様(29143) が FDIS 投票を
パスして発行された.リファレンスアーキテクチャ
(29172) は DTR 投票をパスし,発行待ちである.そ
の他のプロジェクトについては,29176 及び 29179 で
FCD の審議が行われており,29174,29175,29177,
29178 については,3rd CD 投票を行った.また,29174
の RA(Registration Authority)投票が行われ,韓国の
情報保護振興院(KISA)が RA として承認された.
29174 と 29177 について,ITU-T SG16 から類似プロジ
ェクト(H.IDscheme,H.IRP)との共同開発の提案が
なされ共同開発することとなった.
IEEE と の PSDO (PARTNER STANDARDS
DEVELOPMENT ORGANIZATION) に基づく共同開
発プロジェクトについては,Fast-track 提案のセンサ
とアクチュエイタのインタフェース(ISO/IEC 21451,
21451-1,-2,-4)が発行された.21451-7 は DIS 投票
がパスした.
日本から提案した,2 次元シンボルを画面に表示す
る際の技術仕様は,NP 投票の結果タイトル及びスコ
ープを一部変更してパスし,WD の作成中である.
WG6 全体で,CD 票 7 件,FCD 投票 3 件,DTR 投
票 1 件,DIS 投票 1 件,FDIS 投票 1 件を行った.
2.6 WG 7(Security for Item Management)
現在の審議案件は,WG 4 から移行された ISO/IEC
29167(RFID のためのセキュリティサービスとファイ
ル管理用エアインタフェース)のみである.
エアインタフェースのパートに合わせたパート分
割の NP がパスし,現在,パート 3(13.56 MHz)及び
パート 6(UHF 帯:860-960MHz)に関する 2 つのパ
ートの WD を作成中である.総論部のパート 1 は,
CD 投票をパスした.
CD 投票 1 件を行った.
■ SC 32 専門委員会(データ管理および交換/Data
Management and Interchange)
委員長
鈴木 健司(東京国際大学)
1. 概要
2010 年度は第 14 回 SC 32 総会が 2010 年 6 月 24 日
~28 日に昆明で開催された.
SC 32 の 2010 年度の IS 出版が 2 件,TR 出版が 0 件,
FDIS 投票が 3 件,DTR 投票が 1 件,FCD 投票が 9 件,
CD 投票が 1 件,PDTR 投票が 1 件であった.
SC 32 では,Web サービスに関する関心から,特に
WG 2 への中国,韓国の参加者が増え,メタモデル関
連のサブプロジェクトや Study Period の提案が多くな
されているが,必ずしも産業界からのニーズを踏まえ
た技術的な活動とは受け取られない状況が続いてい
る.一方で,産業界のニーズに対応している WG 3 の
SQL 及び WG 4 の SQL/MM(SQL Multimedia)では,
経験がある参加者の減少及び高齢化が目立ち,議論が
活発とは言い難い状況である.,米国の SQL ビジネス
の寡占化,成熟化によって,企業のサポートも少なく
なり,中韓などの新興国及び欧州各国からの新規参加
がなく,セキュリティなどの社会的ニーズの高い項目
など新規開発が難しい状況となっている.
また,今回の総会では議長とセクレタリの directives
に沿わない議事運営が顕在化しており,何らかの対処
が必要と考えている.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 1(eBusiness)
(1) 経緯
WG 1 については,SC 32 専門委員会で対応してい
るが,Open-edi への適合要件となる 15944 シリーズ
(Business Operation View)が開発されている.今年度
は Part 3(Open-edi description techniques), Part 7
( e-Business Vocabulary ), Part 8 ( Identification of
privacy requirements as external constraints on business
transactions),Part 9(Open-edi traceability framework),
及び Part 10(Coded domains)の審議が行われた.ま
た 新 た に パ ー ト 分 割 さ れ た , Part 11: Description
techniques for foundational modeling in Open-edi の審議
及び Part1の定期見直しが開始された.各 Part ともリ
ソース不足のため審議の遅延傾向が続いている.
(2) 開発状況
15944 シリーズは前年度に引続き Part 3,7,8,9,
10 の審議が行われた.Part 3 については,標準化の基
とした UML ベースの UMM(UN/CEFACT Modeling
Methodology)フレームワークが未だ開発途上であり,
標準化は時期尚早として取下げ予定となった.Part 7
については既に IS であるが,現在作成中の他 Part と
整合を図るために Corrigenda 及び Addendum の作成が
検討された.Part 8 については,FDIS 投票のコメント
を受けた編集会議が行われ,編集作業が完了した.Part
9 については,WD の審議が行われたが,未だ完成度
が低く継続検討が続いている.Part 10 については,
FCD 投票が行われ,コメント対応の編集会議が予定
されている.
(3) 今後の取組み
電子商取引の進展とともに,データ交換に求められ
る規格の範囲が,単なる情報技術規格からビジネスに
対する要件となるビジネス運用規格へと広がりつつ
ある.既に 15944 シリーズ規格の中核は IS としたも
のの,新たなパートが提案されるなど実用とするには
未規格化の周辺課題が散見されてきている.既に審議
中の残りパートの速やかな IS 化への貢献とともに,
事例を基に規格化するべき周辺課題の探索も行いた
い.
2.2 WG 2(Metadata)
(1) 経緯
WG 2 は,大きく以下の 3 つの分野で規格開発を進め
ている.①データ要素の管理属性,命名規則及び登録
などに関する規格群(ISO/IEC 11179,MDR:Metadata
registry),②モデルや情報の共有・連携を促進するた
めの規格群(ISO/IEC19763, MFI:Metamodel framework
for interoperability:
「メタモデル相互運用枠組み」)
,③
その他のメタデータ関連技法(ISO/IEC20943 リーズ,
24706 シリーズ,24707)SC 32 昆明会議(2010 年 6
月)
,WG 2 レッドウッドショーズ会議(2010 年 11 月)
を経た開発状況は以下の通りである.
(2) 開発状況
(a) ISO/IEC11179(MDR)規格改定関係
本規格群(メタデータ・レジストリ)の中核となる第
3 部第 3 版(ISO/IEC 11179-3 3rd Edition)は,昨年度
末に開始された FCD 投票が 7 月に締め切られたが,
改めて各国から多くのコメントが寄せられた.WG 2
レッドウッドショーズ会議以降,全てのコメントの解
決を目指して鋭意検討を進めたが,残念ながら,いく
つかのコメントが解決されていない.その中には,概
念システム(Concept system)に対する日本のコメント
も含まれる.
(b) ISO/IEC 19763(MFI)規格関係
ISO/IEC 19763(MFI:メタモデル相互運用枠組み)
規格は,e ビジネスなどの分野でモデルや情報の登録
と共有を進めるための規格群である.SC 32 昆明会議
において日本から提案され新たに決議された 2 部を
含め,全 11 部の構成となっている.プロジェクト全体
のリーダは日本が務めている.
(i) 第 1 部:参照モデル(共同編集:日・英)
2007 年 2 月に第 1 版が発行された.その後,MFI
規格群が当初の 4 部構成から 11 部に拡張し,そのス
コープも拡大したため,それに対応して,第 1 部:参
照モデルも第 2 版への改定が求められている.
(ⅱ) 第 3 部第 2 版:オントロジー登録のためのメタ
モデル(共同編集:日・中)
2007 年 3 月に発行された第 1 版に対し,オントロ
ジーの進化を管理する機能等の拡張を行ったもので
ある.昨年度末に開始され 5 月に締め切られ FDIS 投
票において,各国の支持を得,最終的な校正を経て,
8 月に国際標準として発行された.
(ⅲ) 第 6 部:登録手続き(日本編集)
2008 年 5 月シドニー会議で決議されたものであり,
「MDR-MFI 統合」のスタディ・プロジェクトの検討
と整合を取り,検討が進められている.登録手続きそ
のものに関しては,SC 32 昆明会議において新たに決
議された MDR 第 6 部第 3 版:登録手続きに統合する
ことになり,MFI 第 6 部は,レジストリへの登録上必
要となるレジストリ間の連係に関するメタモデルを
規定するものとなった.
(ⅳ) 第 10 部:コアモデルと基本マッピング(日本編
集)
6 月の SC 32 昆明会議において新たに決議されたも
のである.MFI 規格群のスコープが拡大してきている
ことを踏まえ,従来の第 2 部,第 4 部に代わるものと
して,その両者の中心となる仕様を統合し,また,
MFI 規格群のスコープの拡大に対応するものである.
(ⅴ) 第 11 部:構造化モデル登録(日本編集)
6 月の SC 32 昆明会議において新たに決議されたも
のである.従来の第 2 部,
第 4 部に代わるものとして,
その両者の高度な仕様を中心に統合するものである.
(ⅵ) 第 5 部:プロセスモデル登録のためのメタモデ
ル(中国編集)
各種プロセスモデルを登録するためのメタモデル
の仕様. 6 月の WG 2 昆明会議,11 月の WG 2 レッド
ウッドショーズ会議において CD 投票時のコメントの
解決を行い,1 月に CD2 投票を開始した.
(ⅶ) MFI 第 7 部:サービス登録のためのメタモデル
(中国編集)
第 5 部を受けて,サービスを登録するメタモデルの
仕様.WD の検討を進めた.
(ⅷ) MFI 第 8 部:ロールとゴールを登録するための
メタモデルの仕様(中国編集)
サービスのロールとゴールを登録するためのメタ
モデル.WD の検討を進めた.
(ⅸ) MFI 第 9 部:ODMS(中国編集)
(TR)
「On Demand Model Selection」を目標に,MFI 第
5 部,第 7 部,第 8 部のメタモデルを連携させサービ
ス の 意 味 的 発 掘 環 境 を 構 築 す る 手 法 ( Technical
Report)である. WD の検討を進めた.
(C) 「MDR-MFI 統合」のスタディ・プロジェクト
「MDR-MFI 統合」のスタディ・プロジェクトは 2009
年 6 月 SC32 済州島会議において日本・米国が共同で
提案したものであるが,その後の MDR, MFI の双方の
開発の進展を受け,さらに 1 年間延長することが,6
月の SC 32 昆明会議で決議された.
(3) 今後の取組み
WG 2 における課題であった MDR 規格群と MFI 規
格群の重複に関しては,登録手続きを MDR 第 6 部第
3 版に統合する等,具体的な成果を生みつつあるが,
引き続き,
「MDR-MFI 統合」のスタディ・プロジェク
トで検討を続け,両者の関係をより整合的・補完的な
ものにしていく.
また,日本が主導する MFI 規格群に関しては,第 3
部:オントロジー登録のためのメタモデル はオント
ロジーの進化管理機能を有する第 2 版が 8 月に発行さ
れ一応の完成を見たことは,大きな成果であり,今後
は,産業界のニーズに基づいた具体的な適用をサポー
トしていくことになる.
本委員会と連携する「ROR 第 2 種専門委員会」で
検討中のレジストリ連携のための「レジストリ・サマ
リ」の規格化に関しては,登録手続きが MDR 第 6 部
第 3 版に統合される中で,MFI 第 6 部として規格化さ
れることが国際的に合意された.今後は,「ROR 第 2
種専門委員会」で検討してきたレジストリ連携を MFI
第 6 部として実現していくことになる.
2.3 WG 3(データベース言語)
(1) 経緯
WG 3 では 2008 年 7 月にデータベース言語 SQL
(ISO/IEC 9075)の最新の版を制定した.この版では
Part14 SQL/XML の XQuery 対応機能拡張のために開
発された ISO/IEC 9075-14:2005(SQL/XML:2005)を
統合するとともに,Web アプリケーションとのシーム
レスな連携を目指す正規表現(Perl 仕様を基にした
W3C XQeury Function&Operator 仕 様 に 準 ず る ),
BINARY/VARBINARY データ型(2 進オクテット表現),
問合せの結果行数の制限機能という新たな要求に対
応するための開発を行った.
次期の版では,2011 年の制定を目標に,今後の機
能拡張が望まれる Part1:SQL/Framework,Part2:
SQL/Foundation,Part4:SQL/PSM,Part11:SQL/Schemata,
Part14:SQL/XML の開発を行う.Part3:SQL/CLI,
Part10:SQL/OLB,Part13:SQL/JRT については保守
だけを行う.
(2) 開発状況
ISO/IEC 9075 の次期の版(ISO/IEC 9075:2011)は,
2010 年の 2 月から 6 月まで FCD 投票が行われ,8 月
から 9 月に渡って行われた電子会議(E3G)と,11
月のレッドウッドショーズ会議において 2 回の編集
会議が行われた.アプリケーション時間期間表という
新規機能が提案されたこともあり,2 回の編集会議で
解決しないコメントが残存した.2011 年 5 月の SC 32
コナ総会開催期間中に継続編集会議を行う予定であ
る.また,XQuery 正規表現を解説するための TR に
ついて,2010 年 2 月から 5 月まで PTDR 投票が行わ
れた.
ISO/IEC 9075:2011 の主要な新規機能は,問合せと
データ変更の連結機能である.これは,データ更新や
行挿入の際に,更新新旧値,挿入値を返却する機能で
あり,主に更新,挿入値が式の結果である場合や,順
序数である場合に,アプリケーションにその値を通知
するために利用される.
この他,ISO/IEC 9075:2011 では,行データに版を
付加し変更履歴を管理するための機能としてシステ
ム版付表(system-versioned table),アプリケーション
が設定する時間に基づいて行を版化管理するアプリ
ケーション時間期間表の機能が提出された.システム
版付表の機能は,SC 32/WG 4 で日本が提案し開発中
である SQL/MM History の機能と,SQL 言語仕様の中
で実現するか,上位 API により実現するかの差はある
ものの,機能的に重複し,SQL/MM History の開発成
果と類似する点が多いため,日本は支持しなかったが,
採決の結果,採用されることになった.
日本としては,SQL を実装する上で解決が必要な基
本機能の問題点を FCD 投票コメントとして提出し,
編集会議において解決方法を提案した.提案は承認さ
れ次期標準に反映されることとなった.
(3) 今後の取組み
WG 3 では現行規格の枠組みの範疇での開発に専念
しているが,昨今の産業界でのセキュリティへの意識
の高まりを踏まえ,情報システムの中で広く利用され
ている SQL においてもデータベースのセキュリティ
要件に資する機能が必要であり,時代の要請及び現実
の業務要件から必須とされている技術課題に取り組
むべきであると考えられる.日本は次期標準に対して
いくつかのセキュリティ機能を提案し採択はされな
かったが,攻撃の進歩に対抗するために,セキュリテ
ィ対策は継続的に改善していく必要がある.従来はア
プリケーション側の問題とされた SQL インジェクシ
ョン攻撃に対する防衛機能も SQL 処理系の前面に配
置されることが増えてきており,SQL として提供する
べき機能も必要になってくると考えられる.今後もデ
ータベースのセキュリティにおける日本からの開発
貢献を検討する.
一方,クラウド上で膨大な大規模分散データ管理基
盤を利用する要求が急激に高まっている.RDB 機能
もクラウド上のサービスの中に取り込まれてきてお
り,クラウド上の非 SQL データ格納基盤,データ処
理基盤と SQL がどう関わっていくかも重要な課題と
なっている.今後これらの動向を調査しながら検討を
行う.
2.4 WG 4(SQL マルチメディア及びアプリケーション
パッケージ)
(1) 経緯
SQL マルチメディア及びアプリケーションパッケ
ージ(SQL/MM と略称)
(ISO/IEC 13249)は,マルチ
メディア及びアプリケーションで利用するデータを
SQL データベースに格納し,操作することを可能にす
るために,共通のデータ型及びルーチンのパッケージ
を定義する.
2010 年度は,Part 3: Spatial,Part 7: History, Part 8:
Metadata Registry Access (MRA)の標準化作業に取り組
んだ.
(2) 開発状況
2010 年 5 月の昆明会議において,Part 3: Spatial の
FCD 編集会議及び Part 7: History の 2nd FCD 編集会議
を行った.11 月のレッドウッドショーズ会議におい
て,Part 7: History の 2nd FCD 継続編集会議を行った.
(a) Part 3: Spatial の進捗状況
米国から,TC 211 及び OGC (Open GIS Consortium)
によって開発中の機能に対応した 3 次元形状の三角
形近似に関する提案と,3 次元の取り扱いの拡張の提
案を含む第 4 版の開発については,昆明会議において,
FCD 投票結果の編集会議が行われ,すべてのコメン
トが解決され,FDIS に促進することが合意され,現
在投票中である.
昆明会議において,第 5 版の開発が合意され,OGC
Simple Feature との機能統一のための議論が行われて
いるが,まだ具体的な進展はない.
(b) Part 7: History の進捗状況
日本から提案した,SQL 表の更新履歴を履歴表とし
て管理し問合せを行えるようにする Part 7: History の
開発については,2nd FCD 投票が行われ,日本,カナ
ダ,英国,米国から 72 件のコメントがあった.5 月
の昆明会議及び 11 月のレッドウッドショーズ会議に
おける編集会議によって,すべてのコメントが解決さ
れた.その結果,変更量が多いため,改定したドキュ
メントを作成した後,SC32 内で最終的な立場確認の
郵便投票を行うことになった.
(c) Part 8: MRA の進捗状況
韓国から提案された MDR(Metadata Registry)交換
のための問合せ言語 SQL/MDR の開発については,5
月の昆明会議の SC 32 総会で,Part 8: Metadata Registry
Access (MRA)にプロジェクト名を変更することが正
式に決定された.11 月のレッドウッドショーズ会議
において,改訂された WD を CD へ進めることになっ
た.
■ SC 34 専門委員会(文書の記述と処理の言語/
Document Description and Processing Languages)
委員長
小町 祐史(大阪工業大学)
1. 概要
1.1 担当範囲と組織構成
SC 34 は,広義の文書情報の交換に用いられる文書
データの構造記述, ハイパリンク記述, スタイル指定,
フォーマット済み文書記述およびそれらに必要なフ
ォント情報に関する標準化を行う.2007 年 12 月より
日本が幹事国となり,幹事国代表を木村敏子,議長を,
Sam G. Oh(韓)が務める.2010 年度末には,35 ヶ国
の P メンバと 20 ヶ国の O メンバが参加して,次の
WG が組織されている.
WG 1(マーク付け言語) -- コンビナ: Alex Brown
(英)
SGML,XML に代表される情報記述言語およびそれ
に関連するサブセット,API,試験,登録などの規格
を担当する.
WG 2(文書情報表現) -- コンビナ: 小町祐史(日)
文書のフォーマティング,フォント情報交換,フォー
マット済み文書記述およびそれらの API を規定する
規格を担当する.
WG 3(情報関連付け) -- コンビナ: P. Durusau(米)
文書情報のリンク付け,番地付け,時間依存情報表現,
知識処理および対話処理を規定する規格を担当する.
WG 4(Office Open XML) -- コンビナ: 村田真(日)
ISO/IEC 29500(OOXML)のメンテナンスを行い,
OOXML に関連するプロジェクトを傘下に置く.
WG 5(文書の相互運用性) -- コンビナ: J. Lee(韓)
異なる ISO/IEC 文書ファイルフォーマットで表され
た文書の相互運用性の原則と指針を開発する.
WG 6(開放形文書フォーマット) -- コンビナ: F.
Cave(英)
ISO/IEC 26300 開放形文書フォーマットのメンテナ
ンスに関係する活動を行う.ISO/IEC 26300 のメンテ
ナンスおよび ISO/IEC 26300 に関連する他の作業にお
ける OASIS ODF TC との共同作業をも含む.
国内では,SC 34 専門委員会が, 関連する国内意見
のとりまとめと国際への対応とを行っている.SC 34
専門委員会には,2010 年度末には 24 名(エキスパー
ト 7 名,オブザーバ 1 名を含む)がメンバ登録されて
いる.その傘下に,6 名のメンバからなる SC 34/WG 2
小委員会と,8 名のメンバで構成される SC 34/WG 3
小委員会とがあり,それぞれフォント関連技術とトピ
ックマップ関連技術に関する国際標準化の検討をそ
の担務としている.
1.2 国際会議と参加状況
会 議
開催日
参
者
開催場所
SC34
11 ヶ国, 2 リエゾン/34 名,日
本から 4 名
日本から 0 名
Prague/CZ
SC34/
WG5
SC34/
WG6
2011-0401
2011-0331/04-01
2011-0331
9 ヶ国, 1 リエゾン/24 名,日
本から 2 名
Prague/CZ
SC34/
WG1
SC34/
WG2
SC34/
WG4
2011-0331
2011-0330/31
2011-0328/30
4 ヶ国, 2 リエゾン/19 名,日
本から 1 名
4 ヶ国/5 名,日本から 2 名
Prague/CZ
日本から 2 名
Prague/CZ
SC34/
WG3
SC34/
WG4
SC34/
WG4
SC34/
WG6
SC34/
WG4
SC34/
WG6
SC34/
WG6
SC34/
WG5
SC34/
WG6
SC34/
WG4
SC34/
WG1
SC34/
WG1
SC34/
WG4
SC34/
WG6
SC34/
WG1
SC34/
WG4
SC34/
WG6
SC34/
WG4
SC34/
WG3
SC34/
BRM
SC34
2011-0328/29
2011-0303
2011-0210
2011-0202
2011-0120
2011-0119
2011-0105
2010-1210
2010-1208
2010-1206/08
2010-1209
2010-1117
2010-1105
2010-1027
2010-1020
2010-1014
2010-1013
2010-0930
2010-0927/28
2010-0910/11
2010-0910
2010-0909
2010-0908
2010-0908/09
2010-0906/08
2010-0906
日本から 0 名
Prague/CZ
日本から 1 名
online
日本から 1 名
Online
5 ヶ国, 1 リエゾン/7 名,日本
から 0 名
4 ヶ国, 1 リエゾン/8 名,日本
から 1 名
3 ヶ国, 1 リエゾン/5 名,日本
から 1 名
5 ヶ国, 1 リエゾン/9 名,日本
から 1 名
4 ヶ国, 日本から 0 名
Online
SC34/
WG5
SC34/
WG6
SC34/
WG1
SC34/
WG4
SC34/
WG2
加
4 ヶ国, 1 リエゾン/7 名,日本
から 0 名
7 ヶ国,1 リエゾン/21 名,日
本から 1 名
7 ヶ国,1 リエゾン/21 名,日
本から 1 名
6 ヶ国,2 リエゾン/20 名,日
本から 1 名
3 ヶ国,1 リエゾン/9 名,日本
から 1 名
5 ヶ国,1 リエゾン/8 名,日本
から 1 名
6 ヶ国,2 リエゾン/19 名,日
本から 1 名
5 ヶ国,1 リエゾン/12 名,日
本から 1 名
Prague/CZ
Prague/CZ
Online
Online
Online
Beijing/CN
Online
Beijing/CN
Beijing/CN
Online
Online
Online
Online
Online
Online
2 ヶ国,1 リエゾン/8 名,日本
から 1 名
8 ヶ国,2 リエゾン/27 名,日
本から 3 名
10 ヶ国,3 リエゾン/34 名,日
本から 7 名
Online
Leipzig/D
E
Tokyo/JP
Tokyo/JP
Tokyo/JP
Online
日本から 1 名
Tokyo/JP
日本から 1 名
Tokyo/JP
3 ヶ国/7 名,日本から 3 名
Tokyo/JP
SC34/
WG4
SC34/
WG6
SC34/
WG4
SC34/
WG4
SC34/
WG6
SC34/
WG6
SC34/
WG5
SC34/
WG4
SC34/
WG1
SC34/
WG1
SC34/
WG6
SC34/
WG4
SC34/
WG4
SC34/
WG6
SC34/
WG4
SC34/
WG4
2010-0819
2010-0818
2010-0729
2010-0708
2010-0721
2010-0623
2010-0615/17
2010-0615/16
2010-0614
2010-0527
2010-0526
2010-0520
2010-0506
2010-0428
2010-0422
2010-0408
Online
5 ヶ国,1 リエゾン/6 名,日本
から 0 名
Online
Online
Online
5 ヶ国,1 リエゾン/7 名,日本
から 1 名
8 ヶ国,2 リエゾン/12 名,日
本から 1 名
6 ヶ国,1 リエゾン/17 名,日
本から 1 名
3 ヶ国/4 名,日本から 1 名
3 ヶ国/5 名,日本から 1 名
5 ヶ国,2 リエゾン/9 名,日本
から 1 名
4 ヶ国,1 リエゾン/11 名,日
本から 1 名
3 ヶ国,1 リエゾン/10 名,日
本から 1 名
Online
Online
Helsinki/F
I
Helsinki/F
I
Helsinki/F
I
Online
Online
Online
Online
Online
6 ヶ国,1 リエゾン/12 名,日
本から 1 名
9 ヶ国,1 リエゾン/16 名,日
本から 1 名
Online
Online
1.3 投票等
DIS 投票 1 件(DIS 19757-11)
,FDIS 投票 1 件(FDIS
13250-6),DTR 投票 1 件(DTR 24754-2),FDAM 投
票 2 件(29500-1/FDAM1, 29500-4/FDAM1),CD 投票
3 件 (CD 19757-3, CD 19757-11, CD 24754-2),PDTR
投票 1 件(PDTR 29166),NP 投票 2 件(NP: Safe
Extensions of OOXML, NP: Doc. Packaging),DCOR 投
票 2 件 ( 29500-1/Amd.1/DCOR.1 , 29500-4/Amd.1/
DCOR.1),規格出版 1 件(13250-6).
1.4 国際委員会の主な変更点および変更理由
EPUB の作業が SC 34 で標準化されることが望まし
いかどうかを議論するため,アドホクグループ 4
(AHG4)を設立し,そのコンビナおよびココンビナ
として,それぞれ村田真および Yong-Sang CHO(韓)
を指名した.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 1(マーク付け言語)
(1) DSDL(文書スキーマ定義言語, ISO/IEC 19757)
XML 等で表現されるデータの構造,データ型,デ
ータ制約の定義を行う DSDL に関して,2010 年度に
議論された主なパートの動向を次に示す.各パートの
規定概要については,以前の報告を参照されたい.
a) パート 2(正規文法に基づく妥当性検証-RELAX
NG)の Amd.1
19757-2/Amd1 をキャンセルして,19757 の新 part
の生成を計画する.
b) パート 3(規則に基づく妥当性検証 – Schematron)
ISO/IEC 19757-3 の第 2 版に関する CD 投票が行わ
れ,DIS テキストの準備が進められている.
c) パート 11(スキーマ関連)
ISO/IEC 19757-11 のプロジェクトに対して,新
directives に規定されるプロセスを用いることにして,
DIS テキストを作成し,投票に入った.
(2) NP(文書コンテナファイル)
文書のパッケージ化(ZIP)を国際規格にするため
の NP は承認されなかった.そこで ZIP フォーマット
の調査期間を設けた後,ZIP 仕様書(APPNOTE)を
参照するマルチパート規格である文書コンテナファ
イルの Part 1 コアの NP を作成した.以前の NP との
大きな差異は,ZIP 仕様書(APPNOTE)を参照する
ことによって,PKWare の ZIP との乖離を生じさせな
いようにしたことである.
2.2 WG 2(文書情報表現)
(1) フォント情報交換(ISO/IEC 9541)の第 2 版
これまでに発行された多くの Amd.と Cor.とを含め
た ISO/IEC 9541 の第 2 版の作成のため,WG 2 の会議
の中でテキストのレビューを行い,FCD テキストを
完成した.
(2) 文書レンダリングシステムを指定する最小要件
(ISO/IEC 24754)
レンダリング結果において必要となる文書スタイ
ルを保存したまま文書を交換し合うために,レンダリ
ングシステムが共有しなければならない最小要件を
ネゴシェーションするための枠組みを規定する.その
パート 2(文書レンダリングシステムのためのフォー
マット指定)は,最小要件の規定内容に従って,文書
レンダリングシステムに対してどのようにフォーマ
ット指定を行うかの指針を与える.
パート 2 の CD テキストが承認された後,そのステ
ータスを TR に変更することにして,CD 投票コメン
トを反映した DTR テキストを作成し,DTR 投票によ
って承認された.日本,ドイツ,英国から提出された
DTR 投票コメントに対する対処に基づいて改訂テキ
ストを作成し,出版用の最終テキストとした.
(3) UOML(非構造化マーク付け言語,DIS 14297)
9 月の SC 34 総会の直後に,この投票対処会議
(BRM)が開催された.P. Cotton(加)がコンビナに
なり,各国が重要度が高い順に自国のコメントを 1 件
ずつ議論して回るという手続きでコメント対処が行
われた.しかし技術的コメントについて 2 回しか回せ
なかったため,一般的コメントについては何も議論さ
れないまま時間切れになった.これらのコメント対処
に対して,日本は反対の立場を変えなかった.
9 月中旬になって,Minutes(SC34 N1506)が発行
され,さらに遅れて Convener's Report(SC34 N1508)
は発行され,この DIS が承認されなかったことが報告
された.
その後,OASIS UOML/TC からのリエゾンとして P.
Junge が事前登録を行って 3 月の WG 2 会議に参加し,
新版の UOML をどのようにして国際標準化するのが
適切かの打診を行った.
2.3 WG 3(情報関連付け)
(1) TM(トピックマップ, ISO/IEC 13250)マルチパ
ート
TM の規格を再構成してマルチパート化を図る作業
が 2003 年度から継続されているが,2010 年度に進捗
があったパートの動向を示す.各パートの概要につい
ては,以前の報告を参照されたい.
a) パート 6(簡潔構文)
10 月を期限とする FDIS 投票によって承認され,直
ちに(11 月に)国際規格として出版された.WG 3 の
活動が停滞していたため,この投票と出版は唐突であ
った.
2.4 WG 4(Office Open XML)
(1) OOXML(オフィス開放形 XML ファイルフォーマッ
ト,ISO/IEC 29500)
これまでに報告された多くの欠陥報告に応えるた
め,WG 4 は Cor.と Amd.とで対応してきたが,それら
に対して次の整理と内容追加を行った.
a) パート 1,4 の Amd.2
パート 1, 4 に対してプロジェクト細分割によって
Amd.2 の作業を開始した.
b) パート 1,4 の Amd.1
FDAM テキストが投票で承認された.
これらの Amd
は規格の対応するパートへの追加を含むが,欠陥報告
で提示された課題を解決するために作成された.それ
でこれらは,無料になっている Cor(技術訂正)と同
様に利用されるとの判断から,無料化することを求め
る決定を行った.
c) ISO/IEC 29500(OOXML)の新テキスト
Cor.1 と Amd.1 とを本文に組込んだテキストを,
ISO/IEC 29500:2011 として投票なしに発行することを
決めた.
d) パート 1,4 の Amd.2 の名称変更
パート 1,4 の Amd.2 を Amd.1 とし,PDAM 投票を
開始することにした.
(2) NP(ECMA-376:2006 と ISO/IEC 29500:2008 との
技術的差異)
この NP に対する投票は充分な賛同を得てプロジェ
クトが成立したが,プロジェクトエディタの提供およ
び寄書の提出がないため,プロジェクトをキャンセル
した.
(3) NP(Safe Extensions of OOXML File Formats)
NP 投票コメントへの対処を受理し,その NP の表
題"Safe Extensions of Office Open XML File Formats"を
変更して"Extensions of Office Open XML File Formats"
とした.
2.5 WG 5(文書の相互運用性)
(1) ODF-OOXML 間の変換(ISO/IEC TR 29166)
PDTR テキストが投票で承認され.DTR テキストの
作成が行われている.
2.6 WG 6(開放形文書フォーマット)
(1) ODF(開放形文書フォーマット)の Amd.1
ODF 1.0 は ISO/IEC 26300 として制定されているが,
広く使われている状態ではなく,アクセシビリティの
機構も提供していない.ODF 1.1 は広く使われていて,
アクセシビリティの機構を提供しているが,まだ国際
規格にはなっていない.そこで,ODF 1.1 を ISO/IEC
26300 の Amd.1 とすることにして,その作業が進めら
れている.12 月の北京会議では.近日中に FPDAM の
手続きに入ることが合意された.
ODF1.2 については,パブリックレビュー(SC34
N1460)が 9 月を期限として行われた.
■ SC 35 専門委員会(ユーザインタフェースインタ
ラクション/User Interface Interaction)
委員長
山本 喜一(慶應義塾大学)
1. 活動概況
国際 SC 35 は,次の 7 つの WG において規格化活動
を行っている.幹事国/議長国はフランスが務め,日
本は 2 つの WG のコンビーナ(WG 2:山本喜一,WG
4:中尾好秀)を務めるとともに,2 つのプロジェク
トでエディタを務めている.
・ WG 1:キーボード及び入力インタフェース
・ WG 2:グラフィカルインタフェース及びインタ
ラクション
・ WG 4:モバイルデバイスのインタフェース
・ WG 5:文化的及び言語的適合性
・ WG 6:ユーザインタフェースアクセシビリティ
・ WG 7:ユーザインタフェースのオブジェクト,
動作及び属性
・ WG 8:遠隔インタラクションのためのユーザイ
ンタフェース
国内では,WG 5 及び WG 8 を除く WG の審議は社
団法人ビジネス機械・情報システム産業協(JBMIA),
SC 35(WG 5 及び WG 8)の案件審議は情報処理学会
という形式で審議を行っているが,実質的な審議は
JBMIA 内で WG との合同委員会において行っている.
また国内 WG については,WG 1,WG 2(WG 7 の
案件を含む)
,WG 4,WG 6,WG 8 の 5 つが組織され
ており,その WG でそれぞれの案件を審議している.
なお,WG 5 については SC 35 専門委員会で対応して
いる.
2010 年度は,国際 SC 35 の成果として ISO/IEC
9995-3 Keyboard layouts for text and office systems -Part 3: Complementary layouts of the alphanumeric zone
of the alphanumeric section(文書処理とオフィス業務用
キーボード配列‐第 3 部:文字部分の補完的配列)及
び ISO/IEC 11581-10 User interface icons -- Part 10:
Framework and general guidance(ユーザインタフェー
スアイコン - 第 10 部:枠組みと全体的手引き)の
IS 2 件が出版された.
また,次の国内委員会の審議,国際会議へ参加する
ことにより SC 35 国際標準化の推進を図って来た.
1.1 国内委員会
2010 年度は,SC 35 専門委員会及び WGs 合同会議
を 12 回(原則として月 1 回)実施し,NP 10 件,CD 2
件,FCD 1 件,FDIS 1 件,PDAM 1 件,PDTR 2 件の
合計 17 件の投票を行った.
1.2 国際会議
SC 35 国際会議総会は各 WG 会議と合同で行ってお
り,2010 年度は 2 回開催された.
2010-08-23/27 イタリア ベニス市
2011-02-21/25 米国 ベルビュー市
日本からは,イタリア会議へは山本(慶大),池田
(千葉大),中尾(JBMIA),関(産総研)
,中野(JBMIA),
野村(日立)
,大野(JBMIA 事務局)の 7 名,米国会
議へは,事務局を除くエキスパート 6 名が参加した.
米国会議は General orientation meeting (GOM) として
開催されたが,実質的には総会と同じ位置付けの会議
である.
1.3 各 WG の審議状況
SC 35 としては,上記のとおり 2010 年度合計 17 件
の投票を行った.各 WG の審議状況は次のとおりで
ある.
(1) WG 1 (キーボード及び入力インタフェース)
主査
中野 義彦
キーボード配列を規定する 9995 シリーズについて
は,Part 2: Alphanumeric section(文字列部分)の AMD
1 の NP に賛成投票,Part 7: Symbols used to represent
functions(機能キーのシンボル)の FPDAM に賛成投
票を行った.9995 シリーズの追加パートである 7,9,
10 について,その中で使用されているシンボルに図
記号としての登録を IEC 経由で行うことになった.韓
国提案の NP Navigation gestures common between mice,
touch pads, touch screens, tablets and similar devices(マ
ウス,タッチパッド,タッチスクリーン,タブレット
及び同様な装置における共通なナビゲーションジェ
スチャ)は承認され,日本は積極的に規格作成に協力
する.このプロジェクトは,WG 4 とも密接に関係す
るので今後合同会議を行う.
(2) WG 2(グラフィカルインタフェース及びインタラ
クション)及び WG 7(ユーザインタフェースのオブ
ジェクト,動作及び属性)
主査
中尾 好秀
WG 2 では,日本提案の ISO/IEC 11581-40 User
Interfaces Icons -- Part 40: Management of Icon
Registration(ユーザインタフェースアイコン - 第 40
部:アイコン登録の管理,エディタ:池田)が FDIS
投票中である.
WG 7 関連のプロジェクトについては,Type 2 TR
の 11581-1: Part 1: Introduction to and over-view of icon
standards アイコン規格の紹介及び構成)の DTR に賛
成,11581-10 の FDIS に賛成,Type 2 TR の 11581-41 Part
41: Data structure to be used by the ISO/IEC JTC 1/SC 35
icon database(アイコンデータベース用データ構造)
の DTR に対しては,TR であるにもかかわらず多数の
shall が含まれているなど,完成度が低いことから反対
の投票を行った.11581-1 は TR 出版待ち,11581-10
は 12 月に IS 出版,11581 -41 は次回会議で再度議論
する.
(3) WG 4(モバイルデバイスのユーザインタフェース)
主査
池田 宏明
日本から提案した NP Navigation methods for ladder
menus with 4-direction key(4 方向キーを用いたラダー
メニューの操作方式)は参加国数が不足したため承認
されなかったが,ベルビュー会議の結果スコープを書
き直し,タイトルを Guidelines on navigation methods
for ladder menus with 4-Direction devices(4 方向装置を
用いた段階式メニューの走査方式指針)と変更して再
度 NP 投票を開始した.本件は,日本規格協会で今年
度までに行った “個人用移動通信装置の十字キーイ
ンタラクションに関する標準化調査研究”委員会での
検討結果に基づいて WD 原案を作成しており,今後,
日本が中心になって作業を進める予定であるが,国際
では WG 1,4 が合同で作業にあたる.
同じく日本から NP 提案した Voice commands -- Part
1: Framework and general guidance(音声命令 - 第 1
部:枠組みと一般指針)及び Part 4: Management of
voice command registration(音声命令登録の管理)は
どちらも参加国数不足で承認されなかったが,ベルビ
ュー会議での審議の結果,それぞれのスコープを見直
し,タイトルをそれぞれ Principal voice commands -Part 1: Framework and general guidance(主要音声命令
- 第 1 部 : 枠 組 み 及 び 一 般 指 針 ) 及 び Part 4:
Management of spoken command registration(第 4 部:
音声命令登録の管理)に変更して再度 NP 投票を開始
した.これらのプロジェクトの承認後は,国際では
WG 4,5,6 が合同で審議し,国内では WG 6 で審議
する.
(4) WG 5(文化的及び言語的適合性)
2010 年 度 末 で ISO/IEC 15897 User interfaces -Procedures for registration of cultural elements(文化的要
素の登録手段)が FDIS 投票中であり,日本には影響
がないので賛成投票を行った.また,Type 2 TR とし
て NP 提案された Specification method for cultural
conventions(文化的慣習の指定方法)は国内への影響
がないことから賛成投票を行い承認された.ISO/IEC
TR 20007 Cultural and linguistic interoperability -Definitions and relationship between symbols, icons,
animated icons, pictograms, characters and glyphs (文化
及び言語の相互運用性-記号,アイコン,動作アイコ
ン,絵文字,文字及びグリフの定義及び相互関係)は,
UNICODE コンソーシアムとリエゾンをとって進める
ことになった.日本としては静観するが問題が生じな
いよう注視する.
(5) WG 6(ユーザインタフェースアクセシビリティ)
主査
関 喜一
日本から提案した JIS をベースとした ISO/IEC
29136 User interfaces -- Accessibility of Personal
Computer Hardware(パーソナルコンピュータハード
ウェアのアクセシビリティ,エディタ:野村茂豊)は,
FCD 投票中である.
Assistive Technology(支援技術)に関する API のシ
リーズ規格である ISO/IEC 13066 Interoperability with
Assistive Technology(支援技術との相互運用性)につ
いては,Part 1: Requirements and recommendations for
interoperability(相互運用性の要求推奨事項)が FDIS
投 票 中 で あ る . Part 2: Windows accessibility API
( Windows ア ク セ シ ビ リ テ ィ API ), Part 3:
I-Accessible-2 accessibility API(I-Accessible-2 アクセシ
ビリティ API)の PDTR が承認され,DTR 投票待ち
である.Part 4: Linux accessibility API(Linux アクセシ
ビリティ API),Part 6: Java accessibility API(Java アク
セシビリティ API)は 2011 年 5 月及び 7 月までに PDTR
を作成することになった.また,カナダから提案され
た ISO/IEC TR 20071-11 User interface component
accessibility -- Part 11: Alternative text for images
(ユーザ
インタフェース構成要素アクセシビリティ―第 11
部:画像の代替テキストの作成指針)は NP が承認さ
れ 2011 年 7 月までに PDTR を作成することになった.
(6) WG 8(汎用遠隔端末)
新規案件として ISO/IEC 24752 User interfaces -Universal remote console -- Part 2: User inter-face socket
description(汎用遠隔端末-第 2 部:ユーザインタフ
ェ ー ス ソ ケ ッ ト 記 述 ) 及 び Part 6: Web service
integration(Web サービスの統合)のそれぞれの NP
が承認され,IS 作成の作業が開始した.国内からの企
業メンバの参加が無いことから,基本的には静観して
いくが,既に発行済のシリーズ規格の追加と対応する
修正であり,特に問題を生じるとは考えていない.
2. 今後の主要課題
アクセシビリティに関する関連規格として JIS X
8341-2 対応の規格案(ISO/IEC 29136)の作成を行った
が,本年度は出来るだけ早くの IS 出版に向けて努力
する.また,日本から提案した 3 件の NP(4 方向装
置によるナビゲーション及び主要音声命令 2 件)の作
業をすすめる.
3. 特記事項
SC 35 においては日本が 2 つの WG のコンビーナを
務めるとともに,2 件のプロジェクトでエディタを務
めている.今後さらに SC 35 における日本からの国際
的な活動が期待されている.
池田名誉教授がエディタを務めている ISO/IEC
11581-40 は,FDIS 投票に付されている.これまで,
アイコンデータベースのプロトタイプを作成して評
価してきたが,今後は IS の出版と共にこの規格に基
づく Validation Team を立ち上げ,本番のデータベース
を運用する体制を整える必要がある.
4. 2011 年度国際会議予定
2011-08-29/09-02 ワルシャワ(ポーランド)
2012-02-20/24
京都(日)
■ SC 36 専門委員会(学習,教育,研修のための情報
技 術 /Information Technology for Learning,
Education and Training)
委員長
仲林 清(千葉工業大学)
1. 概要
SC 36 は,コンピュータを活用した教育・研修の分
野を担当し,教育コンテンツ,学習者情報,教育品質,
などに関する標準化活動を進めている.ただし,教育
の内容自体に関わるような標準化は行わない.この分
野にはすでに多くの技術標準化団体が存在しており,
SC 36 はこれらの団体と連携して国際標準規格を制定
しようとしている.現在 SC 36 には 7 つの WG,ひと
つの SWG がある.2010 年 9 月の時点で 28 のプロジ
ェクトが進行中である.P メンバは 23 カ国,O メン
バは 18 カ国であり,過去 1 年で P メンバが 1 カ国,
O メンバは 4 カ国増えている.また,ISO/IEC 外の 11
の団体とリエゾンを結んでいる.議長は米国,セクレ
タリアートは韓国である.SC 36 の運営の特徴に SWG
on Business Planning の存在がある.この SWG におい
て,各プロジェクトの整合性や優先順位付けなどが行
われ,SC 全体をスムースに運営する努力が行われて
いる.
2010 年度の国際会議は,2010 年 9 月 6 日~12 日に
米国のステートカレッジ(11 ヶ国,6 団体,47 人が
参加)
,2011 年 3 月 12 日~18 日にフランスのストラ
スブール(12 ヶ国,4 団体,42 人が参加)で開催さ
れた.2010 年度,新たに承認された NP はなく,CD
は 5 件,FCD は 4 件,FDIS は 1 件,出版された IS は
2 件である.
現在,日本は WG 2(協調技術)のコンビーナ(電
通大 岡本),セクレタリ(大阪学院大 西田)および
プロジェクトエディタ(ユニシス 原,山口大 鷹岡),
WG 3(学習者情報)のプロジェクトエディタ(東洋
大 平田)
,WG 5(品質保証)のプロジェクトエディ
タ(東洋大 平田)を引き受けている.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 1(ボキャブラリ)
この WG は,SC 36 で制定する規格で用いられる用
語 の 定 義 を 行 う . 2010 年 度 は ISO/IEC 2382-36
Information Technology Vocabulary―Part 36: Learning,
Education, and Training のコリジェンダの作成を進め
た.合わせて語彙の各国語訳を収集し,付録に含める
ことを検討した.英仏語のほか,日本・韓国・中国・
ロシアの各国語訳が提出されている.また,新規語彙
を含む第 2 版の検討を進めた.
2.2 WG 2(協調・知的技術)
日本から WG 設置を提案し,電通大 岡本がコンビ
ーナを務めている.
すでに IS となっている
・ ISO/IEC 19778-1 Collaborative Workplace Data
Model
・ ISO/IEC 19778-2 Collaborative Environment Data
Model
・ ISO/IEC 19778-3 Collaborative Group Data Model
・ ISO/IEC
19780
Collaborative
Learning
Communication
について,その普及を図るためのユーザガイドである
・ ISO/IEC 19778-4 User Guide for Implementing,
Facilitating
and
Improving
Collaborative
Applications
の作成が進められている.日本からは原,鷹岡がプロ
ジェクトエディタを務めている.日本,オーストラリ
ア,中国などから,ユースケースが提出され,規格の
拡張の方向性と合わせて議論を行った.
他 に , Integration of Automated Processes for
Supporting Collaborative Aactivities および Web 2.0 in
collaborative ITLET environments の Study Period が進め
られている.
2.3 WG 3(学習者情報)
この WG は学習者の学習履歴,成績,スキルなど
の情報の標準化,および,モバイル関連の技術を扱う.
昨 年 , Competency semantic information お よ び
e-portfolio について,学習者のスキル・コンピテンシ
ーの管理に関する ISO/IEC 20006 Information Model
for Competency,および,学習者の学習履歴の管理に
関する ISO/IEC 20013 e-Portfolio Reference Model のプ
ロジェクトが開始された.日本からは平田が ISO/IEC
20006 のプロジェクトエディタを務めている.本プロ
ジェクトは,
・ Part 1: Competency general framework and
information model (IS)
・ Part 2: Proficiency information model (IS)
・ Part 3: Guidelines for the aggregation of competency
information and data (TR)
の構成で,2010 年度は Part 1 と 2 の WD の検討を進
めた.
プライバシー保護に関しては,一昨年度 NWI が認め
られ,CD の議論が行われている.教育関連の個人情
報保護に関する要件や実践事例などを扱う.
モバイル学習向けの学習者情報に関しては,スタデ
ィピリオド期間中に日本からも事例を提供してきた.
3 月 の ス ト ラ ス ブ ー ル 会 議 で ISO/IEC TR29140
Nomadicity and Mobile Technologies の Part 1 と 2 の
DTR 投票の BRM を行い,TR を準備することとなっ
た.
2.4 WG 4(学習管理)
WG 4 はコンテンツ関連の標準化を行う.ISO/IEC
19788 Metadata for Learning Resource (MLR),および,
ISO/IEC 12785 Content packaging に関するプロジェク
トが活動している.
MLR は学習リソースに関するメタデータの項目ご
との Multi Part Standard として規格化を進めようとし
ている.現在,以下のパートが進められている.
・ Part1: Framework
・ Part2: DublinC ore Elements
・ Part3: MLR basic application profile
・ Part4: Technical Elements
・ Part5: Educational Elements
・ Part6: Availability, Distribution, and Intellectual
Property Elements
・ Part 7: Bindings
・ Part8: Data elements for MLR records
2010 年度 Part 1 が IS として出版された.Part 2 は FDIS
段階である.Part 3: Basic application profile は,Part 1
と 2 を基にしたアプリケーションプロファイルで,3
月のストラスブール会議で FCD の BRM が行われた
が,Dublin Core および IEEE LTSC (Learning Technology
Standards Committee) の LOM (Learning Object
Metadata) との互換性に関する,各国の考え方の相違
が際立っている.Dublin Core ではメタデータの各要
素はすべて任意要素だが,LOM では要素ごとに必須
/任意や繰り返し回数,繰り返した場合の優先度が定
められており,Part 3 でこれにどう対応するかが問題
となっている.FDIS 投票のドキュメントを用意する
こととなったが,まだ紆余曲折が想定される.Part 5:
Educational elements も 3 月の会議 BRM が行われ FCD
投票に進めることとなったが,教育関連のメタデータ
要素は非常に合意が得られにくく,今後も議論が想定
される.その他,Part 4: Technical elements,Part 6:
Availability, distribution, and intellectual property
elements が CD 段階,Part 7: Bindings,Part8: Data
elements for MLR records が WD 段階にある.
Content packaging は,広く用いられている IMS の規
格に基づいており,Part 1: Information Model が昨年度
既に IS となっている.Part 2: XML Binding, Part3: Best
practice and implementation guide については 3 月の会
議で FCD 投票の BRM が実施された.この結果,Part
2 については FDIS 投票に進めることとなった.Part 3
については,日本からのコメントにより種別を TR と
することとなり,DTR 投票に進めることとなった
2.5 WG 5(品質保証)
学習教材や教育サービスにおける品質標準を扱う.
開 発 プ ロ セ ス に 関 す る ISO/IEC 19796 Quality
Management, Assurance, and Metrics を議論しており,
Part 1: General Approach お よ び Part 3: Reference
methods and metrics が IS として発行されている.2010
年度,Part1 について第 2 版の検討を開始した.Part2:
Quality Model は CD2 ドラフトのレビューを継続して
行っており,2011 年 5 月の投票を目指している.3 月
のストラスブール会議で,日本の平田から,(1) ISO
9001 との連携を明確にした図と文面を追加する,(2)
Product 部分については補足に移行する,(3) Product
の表についてより平易に理解できるよう変更する,と
いう修正の提案を行った.Part 4: Best Practice and
Implementation Guide は 3 月の会議で PDTR の BRM を
行い,DTR に進めることとなった.Part 5: Guide "How
to use ISO/IEC 19796-1"は TR が近々出版される.Part
6: Conformity Assessment Model for ISO/IEC 19796-1 は
Part1, 2 の進捗を待って作業を延期することとなった.
また,昨年度から e-Assessment に関する Study Period
を進めてきた.2010 年度 Study Period を終了し,得ら
れた成果は NWI "Quality Standard for the Creation and
Delivery of Fair, Valid and Reliable e-Tests"に反映した.
この NWI は現在投票中である.
2.6 WG 6(国際標準プロファイル)
WG 6 ではeラーニングフレームワークや各種プロ
ファイルの議論を行っている. 3 月のストラスブー
ル 会 議 で , ISO/IEC 24725-1 ITLET supportive
technology and specification integration -- Part 1:
framework の DTR 投票の BRM が行われた.ここでは,
すべてのコメントへの対応が了承され,TR としての
出版に向けての手続きが進められることとなった.
また,2010 年度から e-Textbook の Study Period を
進めた.3 月の会議で各国から集めたユースケースの
報告が行われた.規格化検討にあたって,韓国から
SC 34 Ad Hoc Group 4 で進められている EPUB3.0 をベ
ースとした電子書籍の規格化の活動と連携を取るべ
きであるという提案がなされた.また,日本(西田)
やフランスから各国の電子教科書の現状についての
プレゼンテーションを行った.議論の結果, SC 34
とリエゾンを結び,協調した規格化を目指すこととな
った.
Virtual Experiment(学習用の仮想実験)の Study
Period に関しては各国からユースケースを集めてい
る.
2.7 WG 7(文化,言語,利用者機能適応)
WG 7 はアクセシビリティ関係のプロジェクトを進
めている.このうち,ISO/IEC 24751 Individualized
Adaptability and Accessibility in E-learning に関しては,
すでに Part 1-3 が IS として出版された.現在は,6 つ
のプロジェクトが実施されているが,このうち 2 つの
プロジェクト(Part 11: Access For All Preferences for
Non- digital Resources (PNPND), Part 13: Access For All
Personal Needs and Preferences for LET Events and
Venues (PNP-EV))に関しては,3 月のストラスブール
会議で WD について議論が行われ,2011 年 5 月まで
に CD ドキュメントを準備して投票にかけることが確
認された.
また,ISO/IEC 20016-1 Language Accessibility and
Human Interface Equivalencies (HIEs) in e-Learning
Applications Part-1: Principles, Rules and Semantic Data
Attributes については 3 月の会議で BRM が行われた.
2011 年 10 月までに FDIS 投票を行う予定である.
3. その他
3.1 ISO TC232 との関係
ISO TC232 Learning services for non-formal education
and training が 2006 年に設立された.SC 36 と分野が
近いため,両委員会に参加しているフランスの HoD
がリエゾンを務めていたが,TC232 側から情報が得ら
れない状態が続いていた.TC 232 が IS 化した ISO
29990:2010 ― Learning services for non-formal
education and training ― Basic requirements for service
providers は教育の質保証に関するものであるが,先に
SC 36 から IS 化された ISO/IEC 19796-1 ITLET -Quality Management, Assurance, and Metrics との内容の
重複が指摘されていた.このような重複について,す
でに JTC 1 経由で ISO TMB に申し入れを行い,関係
の正常化に向けた努力が行われている.3 月のストラ
スブール会議で,2010 年 11 月の JTC 1 Belfast 総会で
の JTC 1 および ISO TMB からのアドバイスに従い,
ISO 29990:2010 の改定提案,および,TC 232 の NWI
に関するコメントを,TC 232 のリエゾン組織として
行うことになった.
なお,昨年発行の 2009 年度 専門委員会関係活動報
告中の TC232 国内審議委員会との関係に関する「国
内でも,TC232 関連組織が・・・」以下の記述を,
「ISO
の規格策定の場における TC232 と SC36 との関係の影
響を受け,国内でも TC232 国内審議委員会事務局と
の連携が行い難い状況にあり,今後,国際的な動向を
見ながら対応を検討する必要がある」と修正する.
3.2 日本提案の状況
WG 2 で長らく進めてきた協調学習関係の 4 つの規
格については,ユースケースドキュメントを作成する
プロジェクトが立ち上がっており,引き続き日本が中
心となって作業を進めていく必要がある.また,WG
3,WG 5 ではスキル標準関係,品質保証関係の活動
で日本が中心になって進めている.今後,国内への普
及も含めて推進していきたい.
■ SC 37 専門委員会(バイオメトリクス/Biometrics)
委員長
瀬戸 洋一(産業技術大学院大学)
1. 概要
SC 37(議長:Fernando Podio(米))は,6 つの Working
Group 体制により汎用的なバイオメトリック技術に
関する標準化を担当する. 2010 年度は 7 月にマラッ
カ(馬)で第 9 回総会および第 14 回 WG,1 月にス
トックホルム(瑞)で第 15 回 WG が開催された.
国際標準化活動も新規規格の開発から,初期に標準
化されたドキュメントの改訂や適合性評価標準の開
発の比率が増えてきた.特にバイオメトリックデータ
交換フォーマットの標準を扱う WG 3 でその傾向が
顕著である.このためドキュメント開発のスケジュー
リングが問題となっている.
WG 3 は,開発プロジェクトが最も多く同一会期内
でのセッション併置開催が承認されている.ただし,
会議参加者数の少ない NB への配慮により,NB 投票
は併置セッションでは行わない.また,会議のスケジ
ューリングが非常にタイトなため,プレ会議やアドホ
ック会議を積極的に活用して効率化を図る方針であ
る.
日本は国及び産業界にとって重要な領域に注力し
て存在感のある貢献を行っている.具体的には,WG
1:専門用語における非英語圏からの標準ドキュメン
ト開発参加,WG 2:アプリケーションプログラムイ
ンタフェースにおいては,今後重要となるアイデンテ
ィティ管理や適合性標準に関し,WG 3:データ交換
ファーマットにおいては,静脈をはじめとする日本が
重点化したモダリティに関するデータ交換標準,WG
4:システムプロファイルにおいては,自動化ゲート
や登録処理における社会基盤 TR 標準,WG 5:性能
評価においては,安全性や評価 DB の構築,マルチバ
イオメトリック技術に関する標準,WG 6:社会的課
題においては,静脈装置のアイコン TR 開発など,重
要領域でのバイオメトリクス標準化活動において,エ
ディタを担当するなど確実な貢献を行っている.
現在,P メンバは 25 カ国,O メンバは 9 カ国であ
る.2010 年 7 月総会時点では 61 件のプロジェクトが
審議され,2010 年度までに 47 の IS 文書(含 TR)
,
14 の SD 文書が発行された.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 SC 総会
第 9 回総会(14 カ国,5 リエゾン組織,37 名参加)
は,2010 年 7 月 19 日~20 日にマラッカ(馬)で開催
された.第 14 回 WG 会議も併設し開催された.米国
は従来 10 名ほど参加していたが,今回は Plenary への
参加が 7 名,英国は政府体制が変わったことにより
Plenary および WG の参加者が大幅に減った.一方,
ここ数年,ロシア,スペインの活動が盛んになってい
る.中国は代表者が定期的に参加するようになった.
2010 年 7 月 1 日より,New Directives が実施されて
いるが,SC 37 での対応について,HoD 会議などで議
論があった.SC 37 としては,すでに 2012 年までの
総会,WG 会合の日程が決まっているので,CD-FCD
から CD-DIS への移行について,ISO/IEC 方針の Option
に基づき,現行すでに走っている案件については,1
年間の移行期間中,従来ルールに沿って進める
(Option 2)ことになった.
WG 1 の Convenor を担当し,用語の標準化に大きく
貢献してきた,カナダの Rene McIver が辞任した.ま
た,SC 37 が設立されて以来,ITU-T 関係のリエゾン
など活発に貢献してきた英国の John Larmouth が引退
した.今後英国は後任を出さない方針を表明した.SC
37 の新体制は以下のとおり.
・ 今後 3 年間の SC 37 議長として Fernando Podio
を選出した.
・ 今後 3 年間の WG 主査として下記を承認した.
WG1 Steve Clarke(豪)新任
WG2 Young-Bin Kwon(韓)再任
WG3 Christoph Bush(独)継続
WG4 Michael Hogan(米)再任
WG5 Philip Statham (英)継続,
(ただし,スト
ックホルム会議で Philip Statham が辞任,
Nigel Gorden(英)が暫定主査に就任)
WG 6 Mario Savastano(伊)再任
次回総会および WG は,2011 年 7 月,東京で開催す
ることになった.瀬戸から東京会議紹介のプレゼンテ
ーションを行った(注:東日本大震災の影響により,
4 月に開催地を京都に変更).
2.2 WG1(Harmonized Biometric Vocabulary/専門
用語)
WG 1(主査:Steve Clarke(豪))は,バイオメトリ
ック技術用語を標準化するグループである.ISO/IEC
2382 用語および SC 37 で使用される様々な概念間の
調和を図ってバイオメトリック技術用語を標準化す
る.各用語の本質的な意味や関連性を示すコンセプト
マ ッ プ の 作 成 , 用 語 を 定 義 し た SD ( Standing
Document)2‐Harmonized Biometric Vocabulary のドキ
ュメント作成を行っている.また SD2 の中から定義
が固まった用語を選択し ISO/IEC 2382-37 の開発を開
始した.また,
各規格の Part 1 で共通して記述される,
一般的なバイオメトリックシステムの構成要素と機
能 , 事 例 を 説 明 し た SD11 Part 1 Harmonization
Document のメンテナンスを行っている.
SD2 バージョン 15 は,
関連する組織(SC 17,SC 24,
SC 27,TC 68,ITU-T SG 17)へ展開している.
2.3 WG2(Biometric Technical Interfaces/バイオ
メトリック テクニカル インタフェース)
WG 2(主査:Young-Bin Kwon(韓)
)は,バイオメ
トリクスの共通インタフェース仕様を策定するグル
ープである.バイオメトリクスのプログラムインタフ
ェースである 19784 BioAPI(Biometric Application
Programming Interface)シリーズ,およびバイオメト
リ ク ス の メ タ デ ー タ フ ォ ー マ ッ ト で あ る 19785
CBEFF(Common
Biometric
Exchange
Formats
Framework)シリーズの開発が中心的な活動である.
マレーシア会議とストックホルム会議の 2 回の国
際会議を経て,BioAPI および CBEFF に関連する規格
案について以下の合意が得られた.
① BioAPI 関連
・ ISO/IEC 19784-1:BioAPI 規格の既存の 3 つの追
補規格を 1 つにまとめる改訂作業と新規機能追
加のためのプロジェクトの開始
・ ISO/IEC 29164:Embedded BioAPI の FDIS 投票の
開始
・ ISO/IEC 30106-1,2,3:BioAPI for Object Oriented
Programming Languages ( オ ブ ジ ェ ク ト 指 向
BioAPI)プロジェクトの開始
・ ISO/IEC 30108 : BIAS ( Biometric Identity
Assurance Services)のプロジェクト開始と WD
審議
② CBEFF 関連
・ 19785-3 CBEFF Patron Format 規格の既存の追補
規格およびテクニカルコリジェンダを 1 つにま
とめる改訂作業のためのプロジェクトの開始
上記①,②に加えて以下の 4 つの SD(Standing
Document)の策定作業の開始が合意された.
・ SD8:SC37 バイオメトリック識別子の登録のた
めの管理手続き
・ SD9:SC37 バイオメトリック識別子の登録
・ SD15:SC37 の XML 名前空間,データ要素,ス
キーマおよび関連項目の維持管理手続き
・ SD16:SC37 の XML 名前空間,データ要素,ス
キーマおよび関連項目
これらの審議案件のうち BIAS は,今後注目される
SOA (Service Oriented Architecture) など Web 技術との
親和性の高いバイオメトリックインタフェース規格
であり,アイデンティティ管理システムへの組み込み
も可能な重要案件である.当初提案国の米国は NP と
CD の同時投票を希望していたが,日本からの要求で
同時投票は取り下げられた.現在,本規格は WD2 と
して審議が続けられている.中村(沖ソフト)がコエ
ディタに就任した.
2.4 WG 3(Biometric Data Interchange Formats/
バイオメトリックデータ交換フォーマット)
WG 3(主査:Christoph Busch(独)
)は,バイオメ
トリックデータの交換フォーマットを策定するグル
ープである.バイオメトリックシステム間で認証の相
互運用性(Interoperability)確保を目的として,デー
タ交換フォーマットの開発を行っている.具体的には,
認証技術毎にパートを分けた ISO/IEC 19794(データ
交換フォーマット)シリーズとその関連規格の審議を
進めている.
マルチパートの 19794 シリーズでは,2007 年 6 月
のベルリン会議から 2007 年以前に発行された規格の
改版(Revision:第 2 世代と呼ばれる)プロジェクト
(22 件)が開始されている.19794 改版プロジェクト
では,各パート間のヘッダ形式の共通化と充実,新し
いフォーマットの追加が議論されている.また,新規
の規格のプロジェクトとして署名特徴データ
(19794-11),音声データ(19794-13),DNA データ
(19794-14)があるが,これらについても改版プロジ
ェクトの方針に沿った策定が進んでいる.音声データ,
DNA データは,他の規格に先んじて XML 形式で進め
られている.以下に代表的開発案件のみ示す.
・ Rev ISO/IEC FDIS 19794 Rev -1: Framework(フレ
ームワーク)
・ Rev ISO/IEC 3rdWD 19794-1 Amd.1 XML
Framework
・ Rev ISO/IEC 1stPDAM 19794-1 Amd.2 適合性試
験
・ Rev ISO/IEC FDIS 19794-4: Finger image data(指
紋画像データ)
・ Rev ISO/IEC 1stPDAM 19794-4 Amd.1:指紋画
像データ適合性試験
・ Rev ISO/IEC FDIS 19794-5: Face Image Data(顔画
像)
・ Rev ISO/IEC BASE 19794-5 Amd.1:顔画像データ
適合性試験
・ Rev ISO/IEC FDIS 19794-9: Vascular image data
(血管画像データ)
・ Rev ISO/IEC 1stPDAM 19794-9 Amd.1:血管画像
データ適合性試験
改版プロジェクトでは,各パートの調和をより強化す
る 方 向 で進め ら れ ており , フ レーム ワ ー ク(Rev
19794-1)の重要性が増している. 従って,各パート
のプロジェクトの進捗は Rev 19794-1 の進捗を追い越
さないことが合意されている.各パート間のヘッダ形
式の共通化のため,各パートでの共通エレメントを抽
出してヘッダの先頭に配置している.また,バイオメ
トリックサンプル取得日時や,取得用デバイスが用い
る採取技術の ID(識別子)が必須項目として全ての
パートのヘッダ情報に備えるように変更されている.
発行済み(第1世代と呼ばれる)の 19794 シリーズの
ための適合性試験方法は,29109 シリーズとして対応
付けられていたが,未発行の 19794 プロジェクトおよ
び 19794 改版プロジェクトでは適合性試験を ANNEX
(Normative)として取り込むことに決まった.2009 年 7
月のモスクワ会議にて,既に CD や FCD に進んでい
たものは追補規格のプロジェクトとして扱い,WD で
あったものはデータフォーマットの規格と適合性試
験の規格を同時進行することに決定した.
しかし,19794-9:血管画像フォーマットのプロジ
ェクト進捗が 19794-1 Amd.2 適合性試験の進捗に追
いついたため,改版 19794-9:血管画像フォーマット
から適合性試験部分を Amd.1 として分離して,改版
19794-9:血管画像フォーマット本体は FDIS として,
適合性試験部分は 1stPDAM 19794-9 Amd.1 として進
めることが 2011 年 1 月のストックホルム会議で承認
された.Rev ISO/IEC 19794-9:血管画像フォーマット
では,エディタとして浜(富士通研),コエディタと
して緒方(日立オムロン)が開発を進めている.また,
Rev ISO/IEC 19794-8:指紋スケルトンフォーマットの
エディタとして新崎(富士通研)が開発を進めている.
第 1 世代の ISO/IEC 19794-4:2005 指紋画像データ及
び ISO/IEC 19794-5:2005 顔画像データに関する訂正文
書の投票が行われ可決されており,今後訂正文書が発
行される予定である.
WG 3 ではデータ交換フォーマットの品質を定義す
るためのフレームワークの規格策定も進めている.
2009 年 7 月 23 日に発行された ISO/IEC 29794-1:2009
は,バイオメトリックサンプル品質データを品質算出
アルゴリズム ID やベンダーID を用いて取り扱うため
の枠組みを規定している.現在進行中の 19794 シリー
ズ及び改版 19794 シリーズでは,ISO/IEC 29794-1:2009
で規定されたバイオメトリックサンプル品質データ
形式を取り込んでいる.算出アルゴリズム ID の登録
方法については,CBEFF Part2 の追補1に記載されて
いる.ISO/IEC 29794-6 として虹彩画像データ品質に
関するプロジェクトが進行中で,現在は 4thWD のス
テータスにある.
19794 シリーズで策定したデータ交換フォーマット
使う際には,そのシステムでデータ交換フォーマット
が適切に使われているかを検証するための規格が必
要である.2007 年以前に発行された 19794 シリーズ
(第1世代)で規定されたデータ交換フォーマットの
適合性試験方法を規定する規格として 29109(適合
性:Conformance)シリーズの策定が進められている.
ISO/IEC 29109 シリーズでも同様にパート間の調和が
重視される形でプロジェクトが進められている.共通
項目を規定する ISO/IEC 29109-1:2009 は 2009 年 7 月
23 日に発行され,指紋画像/特徴点,顔画像,掌形シ
ルエットの適合性試験に関しても IS が発行されてい
る.
・ ISO/IEC 29109-1:2009/Cor 1:2010 訂正文書(2010
年 11 月 30 日発行)
・ ISO/IEC 29109-2: Finger Minutiae Data(適合性テ
スト -- 指紋特徴点)(2010 年 4 月 19 日発行)
・ ISO/IEC 3rdWD 29109-2 Amd.1: Level 3
Conformance Testing for Finger Minutiae Data
・ ISO/IEC 29109-4: Finger Image Data(指紋画像)
(2010 年 4 月 22 日発行)
・ ISO/IEC FCD 29109-5: Face Image Data(適合性
テスト -- 顔画像)
(2011 年 3 月 22 日発行)
・ Rev ISO/IEC 1stCD 29109-5: Face Image Data(適
合性テスト -- 顔画像)
・ ISO/IEC FDIS 29109-6: Iris Image Data(適合性
テスト -- 虹彩画像)
・ ISO/IEC FDIS 29109-7: Signature/sign time series
data(適合性テスト -- 署名時系列データ)
・ ISO/IEC FDIS 29109-8: Finger pattern skeletal
data(適合性テスト -- 指紋スケルトンデータ)
・ ISO/IEC FDIS 29109-9: Vascular Image Data(適
合性テスト -- 血管(静脈))
・ ISO/IEC FDIS 29109-10 : Hand geometry
silhouette data(適合性テスト -- 掌形シルエッ
ト)(2010 年 12 月 07 日発行)
ISO/IEC 29109-9:血管画像フォーマットの適合性テス
ト方法では,コエディタとして緒方,浜の 2 名が開発
を進めている.ISO/IEC 29109-8: 指紋パターンスケル
トンデータフォーマットの適合性テスト方法では,エ
ディタとして新崎が開発を進めている.
ISO/IEC 29159 シリーズは,Biometric Calibration,
Augmentation and Fusion Data を規定するシリーズであ
る.マルチモーダルバイオメトリクスにおいて,各認
証方式のスコアを正規化するために使用するデータ
を格納するフォーマットを規定する規格として,
ISO/IEC 29159-1 が作成され IS として発行されている.
・ ISO/IEC 29159-1 Information technology -Biometric calibration, augmentation and fusion data
-- Part 1: Fusion information format(2010 年 8 月
26 日発行)
新 た な プ ロ ジ ェ ク ト と し て , ISO/IEC 30107:
Anti-Spoofing and Liveness Detection Techniques(偽造
弁別と生体検知技術)に関するプロジェクトが 2011
年 1 月のストックホルム会議から開始された.日本か
らは,①最初にフレームワークを作りそれから必要で
あればモダリティ毎のマルチパートを作成すべき,②
偽造弁別技術の詳細についてはセキュリティ上の機
微情報であること,ベンダーの知財に深く関わる部分
であることからスコープ外とすることを提案し受理
された.また,英国からは TR にすべきとの意見が出
され,その結果 TR も視野にいれた IS プロジェクト
とすることで合意した.エディタには Nelaine Newton
(米)
,コエディタには新崎が就任した.
2.5 WG 4 (Biometric Functional Architecture and
Related Profiles/バイオメトリクス・アプリケーシ
ョンの運用仕様)
WG 4(主査:M. Hogan(米))は,バイオメトリッ
ク認証を用いるアプリケーションにおける API およ
びデータフォーマットの利用方法や運用仕様,つまり
システムプロファイルを策定するグループである.
WG 4 の取り組むプロジェクトは,バイオメトリッ
クシステムの共通アーキテクチャと空港における雇
用者のための物理的アクセスコントロールなどを扱
う 3 件の IS 化(24713 シリーズ)が 2008 年までに行
われた.現在,24713-3 の修正規格と新たな 2 つの規
格が開発中である.
① Amendment to 24713-3 to Define a LDS for a
Chip-enabled SID(Seafarer's Identity Document)船員手
帳の IC カードに関する NWI に関する審議を行った.
NP 投票は実施されたが,ICAO で開発した電子パ
スポート仕様と密接な関係があり,詳細の検討を進め
る前に,ILO は ICAO の支援を得ることを SC37 の事
務局は助言した.SC37 として,次の開発ステップに
移るには ILO からの連絡に基づいて対応することで,
セクレタリアートと主査は合意している.京都会議ま
で NP 投票結果を執行しない方針とした.
② TR 29195 Technical Report on Traveller Processes
for Biometric Recognition in Automated Border Crossing
Systems.入国管理の自動化ゲートに関する標準であ
る.
現 在 WD を 開 発 中 で あ る . エ デ ィ タ は Mark
Tesoriero(新)である.
③ TR 29196
Technical Report on Guidance for
Biometric Enrolment バイオメトリックシステムへの
身体情報の登録に関する標準である.エディタは
Marek Rejman-Greene(英)である.
両者とも公的利用を想定しており,国内の関係機関
と調整し対応している.
2.6 WG 5(Biometric Testing and Reporting/バイ
オメトリック技術の試験および報告)
WG 5(暫定主査:Nigel Gorden(英))は,バイオ
メトリックシステムとコンポーネントの試験ならび
に標準フォーマットを用いた試験結果の報告方法に
関する標準化を検討するグループである.アルゴリズ
ム の 試 験 ( Technology Evaluation ), 運 用 想 定 試 験
(Scenario Evaluation),および運用試験(Operational
Evaluation)までの各レベル,指紋や筆跡などの各モ
ダリティ,出入管理などのアプリケーションなど,全
てのタイプの試験に対する試験手順の標準化に向け,
英 国 で の 試 験 方 法 標 準 と し て 開 発 さ れ た “ Best
Practices in Testing and Reporting Performance of
Biometric Devices”(2002 年発行)をベースとしてバ
イオメトリック認証の試験と報告に関する国際標準
19795 が策定されている.
これまでに,19795 シリーズのパート 1-4 が IS とし
て発行された.現在,19795 では次のパートが審議さ
れている.審議中の Part-6 以外は,完成の域に達し
ている.
・ Part 5 Grading scheme for access control scenario
evaluation
アクセス制御システムの難易度分類法に関する
標準である.現在 FCD まで開発が進んでいる.
エディタは Rick Lazarick(米)である.
・ Part 6 Testing methodologies for operational
evaluation
運用評価の方法論に関する標準である.現在 CD
ま で 開 発 が 進 ん で い る . エ デ ィ タ は Tony
Mansfield(英)である.
・ Part 7 Testing of on-card biometric comparison
algorithms
IC カード上での生体照合試験に関する標準であ
る.現在 FDIS まで開発が進んでいる.エディタ
は Patrick Grother(米)である.
2009 年度に 3 つの新規開発案件の NP が成立した.
・ TR 29189 Operational evaluation of operator-led
biometric systems
オペレータが指紋画像の画質や特徴点などの抽
出処理や,照合結果の確認処理を行う場合の運
用評価法に関する TR になる予定である.
・ 29197 Evaluation Methodology for Environmental
Influence in Biometric Systems
生体認証に環境因子が与える影響度に関する評
価 法 の 標 準 化 で あ り , エ デ ィ タ は Belen
Fernandez-Saavedra(西)である.
・ TR 29198 Testing Level of Difficulty of Fingerprint
Database for Technology Evaluation
指紋の DB の困難度評価法の標準であり,エ
ディタは Hakil Kim(韓),コエディタは溝口
(NEC)が担当している.
Special Group でスコープ議論を行っていたが,寄書
がなされ WD の審議が開始された.
・ TR 29156 Guidance for specifying performance
requirements to meet security and usability needs in
applications using biometrics
安全性/利便性に関する運用要件のガイダンス
の策定であり,エディタは Nigel Gorden(英),
Special Group に三村(日立)が参加している.
試験用の入力や結果を電子的に参照できるように
する,データの機械可読性に関する規格である
29120-Part 1~Part 3 Information technology - Machine
Readable Test Data for biometric testing and reporting は,
パート構成が再検討され,下記の構成となった.Part 1
は CD,Part2 は WD である.Part3 はストックホルム
会議の結果,Part1 に統合し廃止する方向となった.
・ Part 1 Test report
・ Part 2 Test input data
・ Part 3 Test Certificates
エディタは Patrick Grother(米)が担当する.
2.7 WG 6(Cross-Jurisdictional and Societal Aspect
/社会的課題)
WG 6(主査:Mario Savastano(伊)
)は,バイオメ
トリック技術を適用する上での社会的側面の領域に
おける標準化を行うグループである.
・ 24779
Information
Technology
Crossjurisdictional and societal aspects of implementation
of biometric technologies -Pictograms, Icons and
Symbols for use with Biometric Systems
- Part 1: Overview エディタは Julian(英)
- Part 2: Fingerprint Applications エディタは
Kristina(独)
- Part 3: Vascular Applications エディタは宇都
宮(日立情報制御)
24779 シリーズはアクセシビリティ・ユーザビリテ
ィに関わる標準化としてピクトグラム・シンボルの標
準化である.Part 1 で overview を纏め Part 2 以降でモ
ダリティ毎にピクトグラム・シンボルを標準化する予
定となっている.Part 1 は NP 提案の投票によりリス
タートが決定された.現在,Part 2 で指紋,Part 3 で
静脈に関する標準化作業が進行中である(WD 開発)
.
Part 1 および Part 2 はエディタの会議不参加やリスタ
ートによる審議の遅延,揺り戻し等により進捗が極め
て遅れている.Part 3(静脈)は日本からの提案であ
り,積極的な貢献もあり順調に標準化が進んでいる.
・ 29144 The use of biometric technology in
commercial Identity Management applications and
processes
IdM(アイデンティティ管理)にバイオメトリクス
を利活用する上での考慮点を纏める TR である.エデ
ィタは Michael Matheman(豪)が新任した.
ストックホルム会議にてエディタ交代など頻繁な
エディタ交代に伴い WD がほぼ書き直しに近い内容
に改められることが繰り返されており,進捗が遅れて
いる.
・ 29194 Guidance on the inclusive design and
operation of biometrics systems
バイオメトリックシステムのインクルーシブデザ
インに関する標準化である.体の不自由な人々がバイ
オメトリクスを利用する上での考慮点を纏める TR で
ある.エディタは Julian(英)である.エディタの会
議欠席などによる審議の遅延となっている.
今回のストックホルム会議時に,イタリアより
Biometrics and Children として,子どもたちがバイオメ
トリクスを利用する上での考慮点を TR として纏める
新プロジェクトが提案され,投票に付された結果,新
規開発案件 30110 として成立した.エディタは Mario
Savastano(伊)である.今後審議が進められる.
3. その他
今後の会議開催予定
第 10 回総会 2011-07
第 16 回 WG 2011-07
第 17 回 WG 2012-01
第 11 回総会 2012-07
第 18 回 WG 2012-07
京都(日)
京都(日)
タイ
パリ(仏)
パリ(仏)
■ SC 38 専門委員会(分散アプリケーションプラッ
ト フ ォ ー ム お よ び サ ー ビ ス / Distributed
Application Platforms and Services (DAPS))
委員長
鈴木 俊宏(日本オラクル(株))
1. JTC 1/SC 38 設立の経緯と 2010 年の状況
2009 年の ISO/IEC JTC 1 テルアビブ総会にて,
ISO/IEC JTC 1/SC 38 が新しく設立された.担当する
領 域 は , Web サ ー ビ ス , SOA ( Services Oriented
Architecture),クラウド・コンピューティングなどを
カバーする「分散アプリケーションプラットフォーム
およびサービス(Distributed Application Platforms and
Services)」である.
SC 38 メンバは,2011 年 6 月末時点で,P メンバ 17
ヶ国(カナダ,中国,デンマーク,フィンランド,フ
ランス,ドイツ,アイルランド,イタリア,日本,韓
国,オランダ,ロシア,シンガポール,スペイン,ス
ゥエーデン,英国,米国)
,O メンバ 12 ヶ国(オース
トラリア,オーストリア,ベルギー,ボスニア・ヘル
ツェゴビナ,ブラジル,チェコ,ルクセンブルグ,ニ
ュージーランド,ノルウェー,ポーランド,セルビア,
スイス)である.また,Chairperson は,Dr. Donald
Deutsch(米)
,Secretariat は,ANSI, (Secretary: Marisa
Peacock)である.
新 SC 設立に至った理由はいろいろあるが,まず,
Web サービスや SOA を含む分散コンピューティング
技術がクラウド市場などに対して重要な要素技術の
一つとして位置づけられることが挙げられる.また,
該当する技術領域に対し新しい SC を設立し集中して
議論することは,各 NB や業界標準化団体を含む様々
なリエゾン団体からのエキスパートの参加を容易に
するなど,JTC 1 としての一貫した活動が期待されて
いる.以下は SC 38 の ToR である.
(1) WG 1 on Web Services - Convenor: Jeff
Mischkinsky(米)
・ Web サービスや SOA など SC 38 に関連する業界
標準化作業のインベントリデータベースのメン
テナンス
・ WS-I(Web Services Interoperability)から JTC 1
に PAS として提案され現在国際規格となった以
下の標準のメンテナンス
・ ISO/IEC 29361: Information technology -Web Services Interoperability -- WS-I Basic
Profile Version 1.1
・ ISO/IEC 29362: Information technology -Web Services Interoperability -- WS-I
Attachments Profile Version 1.0
・ ISO/IEC 29363: Information technology -Web Services Interoperability -- WS-I Simple
SOAP Binding Profile Version 1.0
・ これまで他の SC で標準となった Web サービス
に関する標準の現状調査
・ Web サービスに関する今後の Fast Track や PAS
審議
(2) WG 2 on Services Oriented Architecture (SOA)
- Convenor: Yuan Yuan(中)
・ SOA に つ い て の 考 え 方 や 言 葉 の 整 理 ( SOA
Principle)
・ JTC 1 内の SOA に関連する活動の調整
・ SOA に関する標準の現状調査とガバナンス,管
理,ライフサイクルの側面からのギャップ調査
・ SOA に関する今後の Fast Track や PAS 審議
(3) SG on Cloud Computing - Convenor: Dr. Seungyun
Lee(韓)
・ クラウド・コンピューティングで利用されるタ
クソノミーやターミノロジーの整理
・ 現在の標準化状況の把握と,問題点の整理,検
討/要求事項の把握
2. 日本の対応
情報規格調査会では,2010 年 2 月に SC 38 専門委
員会を発足させ,毎月一回のペースで委員会を開催し
ている.2010 年度の情報規格調査会・重点活動項目
に以下の記述がある.
SC 38 (Distributed Application Platforms and Services)
への参加
昨年の JTC 1 総会で新設された上記 SC(Web サー
ビス,SOA,クラウド・コンピューティング等に関す
る技術領域)に積極的に参加し,市場や業界の動向に
注目しながら,国際標準化において日本のポジション
を確立すべく活動する.
この目標を達成すべく,SC 38 の該当領域のエキス
パートにより,専門委員会メンバを組織した.また,
の初期メンバとして業界標準化団体の Fast-Track や
PAS 提案を想定し,この分野のエキスパートを招聘し
委員の拡充を図っている.WG や SG 毎の小委員会は
SC 38 国際活動の状況次第で設置するとし現時点での
設置は見送ることとした.具体的は以下の提案を行っ
た.
(1) WG 1 on Web Services
SC 38 に関連する国際標準化団体や業界標準化団体
が開発している様々な標準や仕様のインベントリデ
ータベースのホストを引き受ける提案
(2) WG 2 on SOA
「平成 21 年度版 情報システム調達のための技術参
照モデル(TRM)」に記載されている SOA の技術要
件 を , NP "General Technical Principles of Services
Oriented Architecture (SOA)"に対する寄書として提出
(3) SG on Cloud Computing
日本で 2010 年 2 月 22 日に JIS 制定された「グリッ
ドシステム要求事項策定のための指針」
(JIS X7301)
のグリッドシステムにおけるサービスレベルについ
て検討を加えた実績を基に,クラウド環境でのサービ
スレベルのあり方などの提案
3. まとめ
SC 38 専門委員会は本年度から活動を開始した SC
である.SC 38 が担当する技術領域はとても広範であ
り,業界主導で標準化が盛んに行われている分野であ
る.それは,他の SC 活動のみならず,様々な業界団
体の活動内容と状況を把握しながら標準化を行うこ
とを意味し,各方面との緊密な連携が重要となる.し
かし逆に考えれば,何が起こるか分からない.例えば,
標準化プロセスを度外視して標準化作業が行われる
恐れもあり現にそのような発言も散見された.SC 38
専門委員会としては,国際ではプロセスの必要性を訴
えながら,日本国内の体制作りを早急に行ない,日本
のポジションを確立すべく活動を行っている.
<第 2 種専門委員会>
■ 学会試行標準専門委員会
委員長
小町 祐史(大阪工業大学)
1. 経緯
情報処理学会試行標準は 2001 年度から始まった制
度であり,国際規格を作成するための準備段階の技術
仕様,または情報技術分野における規格開発,研究開
発,もしくはシステム開発に有用な技術情報を学会試
行標準(TS,以降,試行標準)として制定し,ウェ
ブページ http://www.itscj.ipsj.or.jp/ipsj-ts/list.html に公
開して,その利用,普及および評価を促進することを
目的とする.
これまでに 12 件の試行標準(IPSJ-TS 0001~0012)
が制定・公開され,既にその幾つかは国際規格として
成立され,国家プロジェクトにも利用されている.
2010 年度末には新規作業項目(NP)の提案が行われ,
2011 年度には 13 件目の試行標準(フォントリソース
参照方式)の原案提出が予定されている.
2010 年度に 4 回開催された試行標準専門委員会に
報告された WG の主な活動内容を次に示す.
2. 活動内容
2.1 WG 3:日本語電子化辞書形式(主査:柏野和佳子)
日本語の自動解析に用いる電子化辞書の記述項目
を標準化し,電子化辞書の分散・共同開発を容易にす
ることを目指して,既に IPSJ-TS 0003:2004(解析用日
本語電子化辞書の記述項目と記述形式)を制定・公開
しているが,その参照情報として,計算機用日本語基
本辞書 IPAL の公開を予定している.動詞辞書,形容
詞辞書および名詞辞書を XML で記述したデータのダ
ウンロード仕様を固め,公開用文書を作成した.
国語研究所において日本語教育用の辞書開発プロ
ジェクトが進んでおり,そこに試行標準で開発した辞
書仕様とその辞書データの提供を行っている.そのプ
ロジェクトで辞書構築を行うために,語と語の共起関
係(コロケーション)を抽出するツールを開発中であ
り,それに関連した NP 提案を検討している.
2.2 WG 4:音声言語処理インタフェース(主査:新田
恒雄)
IPSJ-TS 0012:2009(マルチモーダル対話のための記
述言語 Part 1 - 要求仕様)の内容については,その後
豊橋技術科学大学で評価実験を受けていた.それに基
づく音声対話技術を搭載した携帯電話がドコモから
発売され,音声対話搭載の携帯電話の一面広告が 2010
年 11 月 10 日の朝日新聞に掲載された.携帯,カーナ
ビ,デジタルテレビなどにシームレスに音声対話が使
えるように共通仕様の検討を予定している.
2.3 WG 6:レスポンシブリンク(主査:山﨑信行)
並列分散制御用のリアルタイム通信規格である
IPSJ-TS 0006:2003(レスポンシブリンク)は,その後
国際提案されて,ISO/IEC 24740:2008 として発行され
た.この規格をロボットに適用するに際して耐雑音性
が求められ,エラー訂正を強化した符号化を開発して,
既に実装済みである.その内容は,2011 年度に試行
標準として提案される予定である.
2.4 WG 7:フォントリソース参照方式(主査:小町祐
史)
文書の作成・交換に際してフォントの選択・代替・
置換を容易にするためのフォントリソース参照方式
の試行標準原案を作成している.試行標準として厳密
に数値化する書体属性と数値化しない書体属性とに
関する解説を追加した.さらに,仮想ボディ,実ボデ
ィ,バウンディングボックスの関係を明確にし,数値
化する書体属性としてウェイト,黒み率,字面率を定
義し,数値化しない書体属性である重心,ふところな
どを解説した.2011 年度にこの原案の提出を行う予
定である.
2.5 新課題の検討
磁気記録媒体の記録内容の完全消去について議論
し,標準化の必要性を確認した.そこでまず,磁気記
録データ破棄に際して記録データの読取りを不可能
にする消去の測定方法を試行標準とするための NP 提
案を行った.この提案は,2011 年 1 月の技術委員会
で審議され,承認された.その際に次のコメントと議
論とをいただいた.
・ コメント 1: 測定方法だけでなく消去方法も規
定する必要がある.
・ コメント 2: 表題を修正したほうがいい.
・ 回答:これらのコメントを反映した原案ができた
段階で,原案を技術委員会に提出しレビューい
ただく.
その議論を受けて試行標準専門委員会では,試行標
準を次の表題をもつ 2 部構成とする(同時に開発する
か,順次開発するかは WG に任せる)ことにして,
その開発を行うための新 WG の設立申請の検討に入
った.
・ 磁気記録データの完全消去: 第 1 部 測定方式
・ 磁気記録データの完全消去: 第 2 部 消去方式
■ クロスドメイン・レジストリ専門委員会
委員長
堀内 一(東京国際大学)
1. 経緯
本専門委員会は,ISO/IEC JTC 1/SC 32(データの管
理と交換)の WG 2(メタデータ・レジストリ)と連
携しながら,
「メタモデル相互運用枠組み」
(Metamodel
framework for interoperability- MFI:ISO/IEC 19763)規
格群をベースとして,「異なるレジストリ間の相互運
用」を実現するために,MFI 規格の拡張及び関連する
規格を開発することを目的に,平成 20(2008)年度
設置された委員会である.
JEDIC(次世代 EDI 推進協議会),電子部品業界,
石油化工業会,建設業界 LCDM フォーラム,写真フ
ィルム業界など,e ビジネスにおけるレジストリの,
主としてユーザサイドの企業または団体の有志をメ
ンバとした委員会である.2010 年度は,その最終年
度として以下のような成果をもたらした.
(1) 目的と背景
JIPDEC(日本情報開発センタ)と JEDIC は,
「ビジ
ネス共通インフラ整備事業」の一環として「業界横断
EDI 仕様」を策定し,特に,ebXML のコア情報要素
を用いた業界横断の共通メッセージ交換の実証実験
を行っている.
その背景には,メッセージ形式や情報要素,あるい
は手順が,「自動車業界と電子部品業界」など,業界
ごとの固有の取決めで実施されていることがある.
また,メッセージ形式や情報要素を登録し参照する
ためのレジストリも業界ごとに構築されているのが
実情である.e ビジネスにおける取引継続性を確保す
るためには,商品や顧客データベースの分散管理と同
期確保が求められ,「マスターデータ同期」に関する
方式の標準化も求められている.
ROR(Registry Of Registries)は,そのような背景か
ら,業界ごとに構築された「レジストリを登録するレ
ジストリ」を意味し,その対応付けを実現するための
規格開発を目指している.
2. 作業内容
本委員会は,大きく二つの作業を行っている.①
MFI(ISO/IEC19763)規格群の開発支援と,②ROR に
関する規格化の検討と実証,である.特に,平成 22
(2010)年度は,次のような作業を行った.
(1) 第 3 部(オントロジー登録のためのメタモデル)
第 2 版(進化の管理)の国際規格の成立
MFI 第 3 部(ISO/IEC 19763-3)の第 2 版は,2007
年 3 月に成立した第 1 版を基に,オントロジー進化の
管理等の実現のためにメタモデルを拡張したもので
ある.FDIS 投票で各国からの支持を得て,2010 年 8
月,第 2 版としての国際規格(IS)が成立した.
(2) MDR と MFI 統合フレームワーク案作成
2008 年 5 月,シドニー会議で,「MDR/MFI 統合ス
タディ・プロジェクト」を日米共同で提案した.MDR
(ISO/IEC 1179)と MFI(ISO/IEC 19763)の両規格間
の重複排除,また中国などから予定される新規提案を
吸収するためのフレームワークを検討することを目
的としている.2010 年 11 月のロンドン会議では,MFI
の第 6 部として MDR と MFI 共通の「登録手続き」を
開発すること,MDR と MFI を包含する新たなフレー
ムワークとして MFI の第 1 部(参照モデル)MDR の
第 1 部(参照モデル)を連携させること,などの合意
に達した.
2010 年 6 月の昆明会議では,スタディ・プロジェ
クトを 1 年延長した.これは,中国から提案された「モ
デルとサービスの発見」だけでなく,ソフトウェア開
発,セマンティック Web やサービス連携などを,SC 32
のスコープの範囲内で整合させる「レジストリ・アー
キテクチャ」が求められているからであり,議論を継
続している.
(3) 第 6 部(登録手続き)の素案作成
MFI 第 6 部(ISO/IEC 19763-6)登録手続きについて
は,MDR の第 6 部と整合する規格案の CD 案を検討
した.ただし,2010 年 11 月のレッドウッドショーズ
議で,MFI 固有部分を「レジストリ・サマリ」規格と
呼び変えることとした.
(4) ROR スタディ・プロジェクト
2008 年 5 月のシドニー会議に,異レジストリ間の
相互運用を目的とするスタディ・プロジェクトが承認
され,2009 年 6 月済州島会議で期間延長が認められ
た.最終的に,ROR を実現させる規格として「レジ
ストリ・サマリ」規格で対応できることを確認した.
(5) MFI レジストリの実証実験
2010 年度,MFI のコア部分(第 2 部)及び MDR の
一部を実装して一部を公開した.また,サービスプロ
トコル規格開発や Web サービスとしてのレジストリ
も構築し,
「レジストリ・サマリ」を実装し,ROR の
実装可能性を確認した.
3. 今後の方針
異なるレジストリ間の相互運用ニーズは,「業界横
断 EDI」など,各分野で「情報共有基盤」の一部とし
て高まっている.SC 32 内でも,「レジストリ・サマ
リ」への受け入れ可能性は高い.本事業終了後も,主
要成果である「レジストリ・サマリ」の規格成立を目
標に活動を継続したい.最後に,これまでの国と情報
規格調査会の支援に深く感謝したい.
<第 3 種専門委員会>
■ 言語共通基盤(CLI)JIS 改正原案作成委員会
委員長
黒川 利明(株式会社 CSK)
1. 経緯
規格番号: JIS X 3016/ ISO/IEC 23271:2006)
タイトル: 言語共通基盤(CLI)/Common Language
Infrastructure (CLI)
言語共通基盤(CLI)は,マイクロソフト社や Mono
プロジェクトなどの.NET 互換環境において,各種の
プログラム言語をサポートする安全で高機能な環境,
すなわちインフラを提供する.言語共通基盤の最初の
日本工業規格は,2006 年 11 月に JIS X 3016 として公
示された.その原案作成時点で,国際規格原案作成団
体である Ecma International の担当委員会 TC39 TG2
(当時,現在は TC49)における言語共通基盤の改訂
作業は,すでに大詰めの段階に来ていたので,X
3016:2006 の解説の懸案事項には,改訂版への対応の
必要を述べておいた.実際には, 2006 年 6 月には,
すでに Ecma International の総会で正式に改訂が承認
さ れ て お り , そ の 言 語 共 通 基 盤 の 仕 様 が Ecma
International から IS としてファストトラック提案され
ていた.そのために,JIS 発行の 1 ヶ月前の 2006 年
10 月に,ISO/IEC 23271:2006 として,言語共通基盤の
第 2 版が国際規格として発行されていた.結果的に,
国際標準という点では,言語共通基盤の JIS は,一歩
遅れたものとなっていた.
早急に国際標準に合わせる必要があることを受け
て,2007 年 7 月から CLI JIS 改正を検討する作業が,
情報規格調査会内の C# JIS 改正原案作成委員会にお
いて開始された.これは,同じ 2006 年に改訂された
プログラム言語 C#の JIS 改正を言語共通基盤の改正
よりも優先させたためである.この委員会は,プログ
ラム言語 C# JIS の改正原案の検討を続けると同時に,
CLI JIS 改正作業の公募のための準備を行うという作
業を行っていた.言語共通基盤の JIS 改正が,平成 20
年度の JIS 原案作成公募に無事採用されたので,2008
年 4 月からは,正式に言語共通基盤(CLI)JIS 改正原
案作成委員会としての活動を開始した.
改定内容については,プログラム言語 C#の場合と
同様に,日本から提案した多くの修正が取り入れられ
た.さらに,2003 年の原案よりも,英語としての表
現自体を標準にふさわしいものに手直ししたので,細
かい字句や表現の修正は,ほぼ全部の領域に亘ってい
た.ただし,全体の構成が部(partition)構成をとっ
ていて,通常の IS 及び JIS の形式にそぐわないとい
った問題点は,残念ながら解消されないままであり,
今回の JIS 改正においても翻訳に際して,いろいろと
難しい問題を引き起こしていた.
機能的には,総称(generics)の導入が今回の改訂
の目玉であり,その内容の検討については,多くの議
論を費やした.プログラム言語 C#に限らず,多くの
プログラム言語が総称機能を取り入れている.ただし,
ほとんどの場合,C++や Java がそうであるように,総
称機能は,コンパイル時に解決されてしまっており,
実行時には,従来の静的な型体系に従うだけである.
これに対して,言語共通基盤では,実行時の総称機能
を提供している.その理由は,一つには,C#を始め
とする複数の言語において,総称機能が簡便に使える
ようにするためである.もう一つには,総称機能を使
ったときに,実行処理の柔軟性と高速性,さらには安
全性を確保するためである.しかし,それは同時に,
言語共通基盤が提供するオブジェクト指向の基礎と
なる型体系の中に総称という抽象化機能が組み込ま
れたことであり,実行時に総称という抽象化された実
体を具現化して,実コードに落としていくという面倒
な作業を伴う.
この作業は,言語共通基盤(CLI)の型安全性の原
則を堅持するためにどうしても複雑なものとならざ
るを得ない.総称に関する言語共通基盤の仕様は,そ
のような動作を反映して複雑なものとなっており,日
本語に適切に翻訳するためには,その機構の理解にか
なりの時間を費やさねばならなかった.
幸いなことに,委員各位の献身的な貢献によって 2009
年 2 月末に,言語共通基盤(CLI) JIS 改正原案を無
事に日本規格協会に提出することができた.編集上の
修正などを経て, 2010 年 10 月 20 日には,無事に官
報公示が行われた.
本委員会は,2010 年 12 月に Ecma International が
CLI の改訂案(ECMA-335 6th Edition)を総会で承認
して,JTC1にファストトラック提案した動きを受け
て,2011 年 2 月まで活動を行い,DIS 審議を SC 22
委員会の下に新たに設けられた C#,CLI SG に委ねて,
無事に活動を終了し解散した.
2. 作業内容
ISO/IEC 23271:2006 の英文原規格改定版は,566 ペ
ージという大部のものである.経緯でも述べたように,
本文全体にわたって変更が加えられているために,単
純に JIS X 3016:2006 文書に,改訂部分を追加すると
いうわけにはいかず,文書全体を再度見直す必要があ
った.また,JIS Z 8301(規格票の様式及び作成方法)
の改訂があったために,文書形式にもかなり手を入れ
る必要がった.
また,残念ながら英文原規格のバグがまだ残ってお
り,従来通り,ECMA TC49 への通知を含めて,規格
自体の品質向上も図っていく必要があった.訳語につ
いても,基本的には,前回用いた訳語を継承するが,
英文原規格においても,用語を改訂した部分があり,
訳語についても,さらに検討を進める必要があった.
幸いなことに,前回の JIS 原案作成委員の多くが今
回の改正原案作成委員会に参加してくれたのと,新た
な委員が積極的に参加してくれたので,意識あわせな
どの作業も順調に進み,原案作成を円滑に進めること
ができた.また,JIS テンプレートの作業その他につ
いては,従来通り,マイクロソフト プロダクト ディ
ベロップメント リミテッドから作業支援を頂いた.
基本的に月一回の委員会を継続できたことは,委員
及び事務局のおかげであると感謝している.また,
2010 年度からはマイクロソフト社のご厚意で会場を
提供いただいたことに感謝したい.
を制定し,現在は ODF 1.2 の制定を開始している.い
ま普及している ODF 実装は,ほとんどすべて ODF 1.1
を採用している.ODF 1.1 を JTC 1 の規格にするため,
26300 の Amendment 1 を作るというプロジェクトが
SC 34 で行われている.
3. その他
本委員会では,車椅子の身体障害者の委員が二名参
加しておられた.委員会の主たる会場である機械振興
会館がトイレなど,もう少し身障者にとって使いやす
いように設備を改良していただけるとありがたいし,
介護の方々にお待ちいただけるスペースもあると良
かったのにと思った.
2. 作業内容
この Amenment1 が制定されるに伴って,JIS X 4401
を改定することを,本委員会では予定していた.しか
し,SC 34 における改定作業は遅れ,2011 年 2 月にな
ってやっと FPDAM 投票が始まった.6 月には投票結
果がまとまり,まもなく FDAM テキストが作成され
るものと思われる.
本委員会では,FDAM テキストに基づいて JIS X
4401 を改定する予定である,ただし,補遺の形で制
定するか,JIS X 4401 の改定の形で制定するかは,ま
だ決定していない.FPDAM テキストは 100 ページ以
上あるが,まったく新しい部分は少なく,ほとんどは
既存のテキストの軽微な修正とスキーマの行番号変
更点リストである.補遺として制定すれば 100 ページ
以上の読みにくいものとなる.
Amendment 1 のほかに,ISO/IEC 26300 については
COR1 がすでに発行済みで,DCOR2 が投票中である.
これらについても JIS X 4401 に反映させる必要があ
る.
■ オフィス文書のためのオープン文書形式
(OpenDocument) v1.0 JIS 原案作成委員会報告
■ NFC 有線インタフェース(NFC-WI)JIS 制定原案作
成委員会
委員長
委員長 山下 博之((株)NTT データ,現(独)情報処
理推進機構)
村田 真(国際大学)
1. 経緯
JIS X 4401:2010 オフィス文書のためのオープン文
書形式(OpenDocument) v1.0 は,2006 年に成立した国
際規格 ISO/IEC 26300:2006 Open Document Format for
Office Applications (OpenDocument) v1.0 の一致規格で
ある.一般には,ODF と表記されることが多い.
ODF は元々,標準化団体 OASIS(Organization for the
Advancement of Structured Information Standards)が制
定したオフィス文書フォーマットであり,それが PAS
手続きによって ISO/IEC 26300:2006 として国際規格
化された.
これを承けて,オフィス文書のオープン化を国内に
おいても推進するため,2006 年 7 月には ODF JIS 原
案作成委員会が発足された.ODF JIS 原案は 2009 年
12 月に開催された JISC 委員会で承認され,2010 年 2
月 22 日に官報で公示されるに至った.
原規格 ISO/IEC 26300 の制定後,OASIS は ODF 1,1
1. 経緯
ISO/IEC 28361 Information technology -Telecommunications and information exchange between
systems -- Near Field Communication Wired Interface
(NFC-WI)は,近距離通信用インタフェース及びプロ
トコル(以下,NFCIP-1 という.)のデジタル部分と
アナログ部分とを分ける切口を規定するものであり,
実装において障害になりやすいアナログ及びデジタ
ルの混在を回避できる.
ISO/IEC 28361 を JIS 化するため,JIS 原案作成委員
会が 2007 年 8 月に発足,2009 年 5 月に原案を日本規
格協会に提出し,2009 年 12 月に規格調整分科会の審
議を受けた.
2010 年 6 月に,これまでに作成した次の 5 件の NFC
シリーズ JIS 原案がまとめて情報技術専門委員会に付
議された.
・ JIS X 5211 (ISO/IEC 18092:2004)
近距離通信用インタフェース及びプロトコル
(NFCIP-1)
・ JIS X 5212 (ISO/IEC 21481:2005)
近距離通信用インタフェース及びプロトコル2
(NFCIP-2)
・ JIS X 5213 (ISO/IEC 22536:2005)
近距離通信用インタフェース及びプロトコル
(NFCIP-1)RF インタフェース試験方法
・ JIS X 5214 (ISO/IEC 23917:2005)
近距離通信用インタフェース及びプロトコル
(NFCIP-1)プロトコル試験方法
・ JIS X 5215 (ISO/IEC 28361:2007)
近距離通信ワイヤードインタフェース(NFC-WI)
2. 作業内容
2010 年度は実質的な委員会活動はほとんどなく,
情報技術専門委員会における審議コメントへの対応
のみを行った.
その後,JIS 規格化手続きが完了し,平成 22 年 10 月
20 日付けで官報(官報第 5420 号)公示された.[*]
3. その他
官報公示後,本委員会は解散した.長い間の関係各
位のご尽力に感謝する.
[*] 近 距離通信 用インタフ ェース及び プロトコ ル
(NFCIP)シリーズ --- JIS X 5211~5215 の公示に
ついて,情報技術標準- NEWSLETTER -,No.
88,2010 年 12 月.
■ ソフトウェア製品の品質要求及び評価に関する
JIS 原案作成委員会
委員長
東
基衞(早稲田大学)
1. 経緯
1.1 規格制定の経緯
ソフトウェア製品の品質評価関連の規格は,1991
年 12 月 に 発 行 さ れ た ISO/IEC 9126 Software
engineering -- Product quality が最初で,その後 ISO/IEC
9126 シリーズ(4 規格)及び ISO/IEC 14598(Software
product evaluation)シリーズ(6 規格)の 10 規格が作
成され,それぞれ JIS X 0129(ソフトウェア製品の品
質)シリーズ(JIS X 0129-1 及び TX 0111-2,-3,-4)
及び JIS X 0133(ソフトウェア製品の評価)シリーズ
として JIS を発行している.
これらの規格は,ソフトウェア製品の品質評価を推
進する上で非常に有効な規格であったが,全シリーズ
が完成(2004 年)するまでに 14 年の年月を要した.
また,両シリーズを統括し新しい情報技術に対応する
必要性,シリーズ全体のアンブレラ規格の必要性,品
質要求定義の規格の必要性,番号体系の不統一などの
理由で,JIS 利用者からも利用に当たって不都合があ
るとの意見が寄せられた.そこで,日本からの提案で
2000 年 か ら 二 つ の シ リ ー ズ を 統 合 再 編 成 し た
ISO/IEC 25000 SQuaRE シリーズとして改正,強化す
る作業を開始した.
SQuaRE シリーズは,2010 年度末時点で完了又は作
業中の規格は,品質管理部門(ISO/IEC 2500n,2 規格)
,
品質モデル部門(ISO/IEC 2501n,2 規格),品質測定
部門(ISO/IEC 2502n,2 規格),品質要求部門(ISO/IEC
2503n,1 規格),品質評価部門(ISO/IEC 2504n,3 規
格)
,及び SQuaRE 拡張部門
(ISO/IEC 25050~ ISO/IEC
25099,1 規格 - 別 WG による CIF 関連を除く)の 6
部門から構成されている.国際規格となった規格は,
順次 JIS 規格として発行しており,“JIS X 25000:
SQuaRE の指針”及び“JIS X 25051:商用既製(COTS)
ソフトウェア製品に対する品質要求事項及び試験に
対する指示”の二つが JIS として発行済みである.
1.2 2010 年度の活動と規格の内容
2010 年度は,
“JIS X 25001:計画及び管理(ISO/IEC
25001:2007,Software engineering -- Software product
Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE) -Planning and management)”及び“JIS X 25030:品質要
求事項(ISO/IEC 25030:2007,Software engineering -Software product Quality Requirements and Evaluation
(SQuaRE) -- Quality requirements)”の作成を行った.
JIS X 25001 は,ソフトウェア製品の品質要求事項の
仕様化,並びにソフトウェア品質評価活動の実施及び
管理を行う組織への要求事項及び推奨事項を提供す
ることを目的としている.
JIS X 25030 は,ソフトウェア製品の品質要求事項
の仕様化のための要求事項及び推奨事項を提供し,ソ
フトウェアの取得者及び供給者のいずれの組織も適
用できるものである.
2. 作業内容
2.1 原案作成/改正の作業の進め方
二つの規格の JIS 化を効率的に進めるために,まず
一人の委員が全文を翻訳し,次に委員を 5 グループに
分け,各グループが自分たちの分担範囲をチェックし
た.チェック結果は委員会で内容を審議し,検討した.
更に検討結果を統合し,各委員が全体を通してレビュ
ーし,記述内容に齟齬がないかを確認した.
規格原案作成においては,JIS X 0129 シリーズ及び
JIS X 0133 シリーズの作成時から蓄積している用語辞
書を参照し,従来の JIS との用語に齟齬がないように
注意した.
2.2 産業界に及ぼす影響
JIS X 0129 シリーズ及び JIS X 0133 シリーズは,ソ
フトウェア製品の品質を規定した唯一無二の規格で,
情報システムの開発,開発委託及び利用,ソフトウェ
ア開発などの業界で広く使用されている.特に六つの
品質特性は,ソフトウェア品質を論じる場合には欠く
ことのできない用語として活用されているが,JIS と
IS では規格番号が異なるため,多くの場合は JIS 番号
でなく,IS 番号を書かれることが多かった.今回の改
正では,規格番号を一致させることができ,さらなる
活用が期待される.
■ ソフトウェアライフサイクルプロセス JIS 改正
原案作成委員会
委員長
竹下
亨(中部大学)
1. 経緯
1.1 規格制定の経緯
“ISO/IEC 12207,Systems and software engineering -Software life cycle processes”は,ソフトウェア開発・
保守の国際的な協業を促進するために,1995 年に第 1
版が発行された.その後,時代ともに変化するニーズ
に対応するため,2 回にわたり追補(Amendment)が
発行された.これと並行して,システムレベルのプロ
セスを定義する“ISO/IEC 15288: 2002, Systems and
software engineering -- System life cycle processes”も発
行され,両者の調和・融合が大きな課題となってきた.
そこで,両者の調和性を向上させるために,両規格の
改 正 が 図 ら れ , ISO/IEC 12207:2008 及 び ISO/IEC
15288:2008 が発行された.
ISO/IEC 12207 に対応する JIS の作成も国際規格の
発行に合わせて進められ,1996 年に“JIS X 0160:ソ
フトウェアライフサイクル”として発行され,その後
追補は,二つを合わせた形で発行された.2008 年版
の JIS 原案作成は,2009 年から開始し,2010 年 2 月
に終了した.
規格調整分科会を 2011 年 4 月に実施し,
早ければ夏頃には JIS が発行される見込みである.な
お,今回の JIS 発行においては,JIS 番号を IS 番号に
合わせたいという希望もあり,JISC 委員会で提案し
たいと思っている.
1.2 規格の内容
この規格はソフトウェアの開発の進め方(Process)
についての標準を定めたもので,ウォーターフォール,
漸増開発,進展的開発,スパイラルなどのライフサイ
クルモデル・方法論のいずれを採用していても,ほと
んどのソフトウェア開発に適用できる規格であり,中
規模以上のソフトウェアの開発を行うすべてのプロ
ジェクトで適用されることが望ましい.特殊事情があ
る場合,又はそのままの形で適用するにはモデルが大
きすぎるなどの事情がある場合に対しては,修整プロ
セス(Tailoring Process)を適用して,規格を修整する
やり方も提供されている.したがって,大企業から中
小企業にいたるまで,全国のソフトウェア業界,一般
企業の情報システム部門,更には組込みソフトウェア
などで,この規格が普及することが期待される.ソフ
トウェア開発を決められた標準(方法)に従って実行
することにより,開発に伴うノウハウの蓄積・流用が
可能になり,生産性が向上するだけでなく,品質の向
上も期待できる.
2. 作業内容
2.1 作業の進め方
この規格は,規格本文だけでも 123 ページもあるた
め,当初から 2 年間で JIS 化することで計画した.委
員には関連する国際規格の開発(SC 7/WG 7:この規
格の開発元,SC 7/WG 6:ソフトウェア製品の品質評
価,SC 7/WG 10:プロセスアセスメント,SC 7/WG
23:システム品質など)に携わっている方々に参画し
ていただき,広く衆知を集めて JIS を作成することに
した.さらに,従来のように事前に翻訳作業分担を決
めて,その結果を持ち寄って内容を審議するというや
り方では,非常に時間がかかることと,翻訳品質のば
らつきが大きくなることから,委員長が全文翻訳した
ものをベースに各委員がコメントを作成し,そのコメ
ントに対応するという進め方を採用した.その結果を
まとめたものは,最終的に各委員が通読し,記述内容
が間違っていないか,また齟齬はないかの確認を実施
した.それによって,実質 1 年半の期間で JIS 原案を
作成することができた.
2.2 産業界への影響
この規格は,ソフトウェア製品の取得者,供給者及
び他の利害関係者の間で情報伝達が円滑に行えるよ
うに,ライフサイクルにおけるプロセスを定義してい
る.その対象者は,取得者,供給者,開発者,運用者,
保守者,管理者,品質保証管理者及び利用者であり,
二者間の契約で使用することを想定しており,両者が
同一組織内の場合も含まれる.この規格は,ソフトウ
ェアの関連する他の規格でも数多く参照されており,
その影響範囲は多岐に及んでいる.したがって,この
規格をベースとしてソフトウェア開発に関する教科
書・参考書が作成され,さらにそれらを使用してソフ
トウェア技術者の教育が推進されることが大いに期
待される.その中でも,JIS X 0160:2007 をベースに作
られた“共通フレーム”は,ソフトウェア産業界で広
く活用されている.
■ ISO 2375 登録委員会
委員長
三上 喜貴(長岡技術科学大学)
ISO/IEC 2022 Code Extension Technique(文字符号の構
造 及 び 拡 張 法 ) と ISO/IEC 2375 Procedure for
Registration of Escape Sequences(エスケープシーケン
ス及び符号化文字集合の登録手順)に基づき,文字符
号の切り替えを指示するエスケープシーケンスの終
端文字と符号化文字集合との対応関係に関する国際
的登録簿 ISO-IR(ISO International Register)の登録管
理を行っている.1975 年の創設以来,この国際登録
簿には世界各国から延べ 234 件の登録が行われてき
た.しかし,近年,エスケープシーケンスによる切り
替えを必要としないユニバーサルで巨大な符号化文
字集合である ISO/IEC 10646 の実装が世界的に進んで
おり,2005 年以降,本登録簿への新規登録はない.
この登録簿の管理業務は従来 Ecma が行っていたが,
1997 年以降は本調査会が行っている.登録内容は,
ISO-IR の Web サイト http://www.itscj.ipsj.or.jp/ISO-IR/
に掲載されている.
発
行
人
一般社団法人 情 報 処 理 学 会
情報規格調査会
広報委員会
〒105-0011 東京都港区芝公園 3-5-8
機械振興会館 308-3
Tel: 03-3431-2808
Fax: 03-3431-6493
[email protected]
http://www.itscj.ipsj.or.jp/