海洋工学部ホームページでのライブカメラ公開について

海洋工学部ホームページでのライブカメラ公開について
海事システム工学科
庄司るり
海洋工学部では、2003 年 10 月の統合以来、新しくできた学部を紹介する広報促進を行
ってきています。また本年 4 月からはホームページの内容充実を検討して来ました。それ
らの一環として、海洋工学部内の映像を配信するライブカメラの運用を検討し、6 月の「海
王祭」に合わせて1台目のカメラ運用、8 月 1 日より 2 台目のカメラの運用をそれぞれ開始
しました。今回は、このライブカメラの運用システムについて紹介します。尚ライブカメ
ラへは、海洋工学部の Web ページ(http://www.e.kaiyodai.ac.jp/FacMT/)からアクセス出
来ます。
ライブカメラとは、カメラが設置されている場所の映像(画像)をインターネット経由でリアルタイム
に配信する(生中継)システムの事で、ネットワークカメラ、WEB カメラ、IP カメラなどと呼ばれ
ています。ライブカメラの始まりは、1991 年にケンブリッジ大学の研究室にあるコーヒーメ
ーカーの残量の遠隔監視で、立って覗きに行かなくてもネットワーク経由でコーヒーの状
態が分かるようにしていたものでした。現在では、「世界の定置カメラ」「世界の窓」「覗き
穴」のようなリンク集も数多く存在しています。ネットワークカメラは大きく分けて3つ
の機能に分けられます。まずは映像を捕らえる
「カメラ部」、ネットワークに接続する「ネッ
トワーク部」および映像をデジタル処理してネ
ットワークに対応できるようにする「デジタル
明治丸カメラ
処理部」です。 つまり「カメラで捕らえた映
像をデジタル処理し、ネットワークに配信す
る」と言う機能を一体化したものをネットワー
ポンドカメラ
クカメラといいます。
現在、海洋工学部で公開しているライブカメ
ラは2台あり、第3実験棟6階に設置していま
す。北西側の窓に1号館を向いて設置してある
Fig.1 ライブカメラ可視範囲
明治丸カメラ可視範囲
ポンドカメラ可視範囲
カメラ(明治丸カメラ)は、明治丸、
1号館、中央大橋付近の夜景等の映像
の配信用です。また南西側の窓にポン
ドの方を向いて設置しているカメラ
(ポンドカメラ)は、ポンド、春海橋
からお台場の観覧車、佃水門等の映像
配信用です。Fig.1 に、それぞれのカメ
ラの可視方向を示しました。Photo.1
はポンドカメラの設置状況で、窓枠に
Photo.1 ポンドカメラ Photo.2 ネットワークカメラ
Canon VB-50i
設置状況
固定してあります。また日光と埃の遮断のためにカメラにドームを被せ、空気の流入口と
ファンを取り付けることで、ドーム内の温度上昇に対応しています。
まず使用しているネットークカメラの機能について説明します。今回ライブカメラとし
て使用しているのは、Photo.2 に示すCanon製の「VB-C50i」というネットワークカメラで、
ライブ映像の配信、遠隔操作ができます。カメラヘッドの向きやズーム倍率は、自分で自
由に変更することができますが、予め登録しておくことで簡単に素早く見たい場所を見ら
れるプリセット機能(20 件まで)および設定したプリセット地点を一定の間隔で巡回する
プリセット巡回機能を搭載しています。パン(Pan:カメラヘッドを左右に動かす)角度は
左右 100°で最大 90°/秒、チルト(Tilt:カメラヘッドを上下に動かす)は上 90°/下 30°
で最大 70°/秒といった高速動作による広範囲レンジと迅速な対応が特徴で、見たい範囲をスト
レスなく捕らえることができます。光学 26 倍ズームレンズ(f=3.5~91mm、F1.6~4.0、9 群 11
枚)と有効 34 万画素の 1/4 インチCCDを搭載し、補助光なしで最低照度 1 ルクスまでのカ
ラー撮影、内蔵の赤外線ライトを併用した 0 ルクスでのモノクロ撮影が行なえます。本カ
メラは、サーバー機能を搭載しており、IPネットワーク(10/100BASE-TX)に接続し、電源
(DC13V出力のACアダプター)を接続するだけで映像配信を行なえるのが特徴です。通信プ
ロトコルはTCP/IP、HTTP、DHCP、FTP、WebView(キャノン社独自プロトコル)に対応
しています。640×480 ドットで毎秒 30 フレームの動画(Motion JPEG)を配信でき、ネット
ワークやモニターの環境に合わせて異なるサイズの映像を同時配信するマルチストリーム
機能、被写体の動きを検知したり、自動追尾したりする機能、オプションで音声の送受信
機能も搭載しています。本体サイズは幅 105×奥行き 130×高さ 110mm、重量は 620gです。
本体仕様の詳細はキャノン社のWebページ(http://cweb.canon.jp/webview/)を参照して下
さい。
チルト用スクロールバー
カメラからの映像を表示や、カメラ
ズーム用
スクロールバー
の制御を行うには、Java アプレットが
動作可能な Web ブラウザまたは PC 用
ビューワと呼ばれる専用のヘルパーア
プリケーションを使用する方法の2通
りの方法があります。Fig.2 に示す
コントロール
Java 用ビューワは自動にダウンロー
開始ボタン
ドされるので事前にインストールする
必要がなく、Java が動作する環境を持
つプラットフォームに対応します。PC
用ビューワは、Web ブラウザから起動
されます。どちらの方法でも、HTTP
プリセットの選択
パン用スクロールバー
Fig.2 ライブカメラ制御画面
プロトコルを使用するためファイアウォールを無条件で通過します。それぞれのビューワ
の使用方法は、http://web.canon.jp/wvw/livescope/index.htm に掲載されています。
海洋工学部内に設置してある2台のラ
IP ネットワーク
イブカメラは、それぞれグローバルの IP
SINET
B フレッツ
アドレスが設定され、越中島キャンパスの
に示したネットワーク図において左側の
ONU
品川情報処理センター
ネットワークに接続されています。Fig. 3
汐路丸停泊地
(勝ちどき)
ルータ
海洋工学部
実線で示されている部分です。大学のネッ
ました。越中島地区情報処理センターが作
成した、ライブカメラの IP アドレスとフ
学内 LAN
汐路丸
無線 LAN 用
第3実験棟6階
アンテナ
Switching Hub
カメラ
Switching Hub
カメラ
カメラ
ァイアウォールを設定する CGI により、ラ
イブカメラを別の場所に移動した場合で
カメラ
アンテナ
トワークへの接続に関しては、越中島地区
情報処理センターの全面的な協力を頂き
無線 LAN 用
越中島情報処理センター
船内各所へ
Fig.3 ネットワーク図
も、IP アドレスさえ用意すれば、その場所から
映像を配信することが可能となっています。
Fig.3 の右側の波線と一点鎖線の部分は現在
準備中で、勝ちどきに停泊している汐路丸から
の映像を配信する部分です。汐路丸停泊地には、 カメラドーム
Photo.3 に示すライブカメラシステムを準備し
ています。カメラ本体は学部内のカメラと同種
無線 LAN 用アンテナ
ですが、室外に設置するためにカメラドームの
中に入れてあり、ドーム内にはファンを取り付
けて温度上昇に対応しています。汐路丸船橋用
無線 LAN アダプタ
のカメラは、ビデオカメラ(Sony EVI-D30)
とビデオサーバ(AXIS2401)を組み合わせて
使用する予定です。船内から船外へ無線 LAN
を使用したネットワークを構築し、光ファイバ
ーにより IP ネットワークに接続しています。
ONU(Optical Network Unit)および無線ル
ータ等は、防水 Box に入れてあります。今後、
機関室映像も配信する計画です。
防水 Box
カメラドームの中身
Photo.3 汐路丸ライブカメラシステム
上述したように、ライブカメラ映像を公開する Web サイトは世界中でどんどん増えてき
ており、災害時の状況を配信するものからペットの映像のような個人的な内容のものまで、
その内容も多様化してきています。映像による情報は、短時間で非常に多くの信頼性が高
い情報として得ることが出来ます。またインターネットを利用して、どこからでもリアル
タイムに見たい状況や場所の映像を見ることで、その情報の利便性は飛躍的に向上してい
ます。これらをいかに有効に活用するかは、利用者次第と言えます。
本学でのライブカメラの映像を配信は、冒頭に述べたように広報活動の一環として、本
学関係者、本学に興味のある人、保護者の方々あるいは受験生等広く一般に対して、実際
に大学の映像を見て貰うことで、大学をより知って貰い、親しみを持って貰うことを念頭
に置いています。海王祭、短艇実習やクラブ活動など、本学の授業や行事の映像配信、将
来的には音声も交えた教室での講義、実験、実習の映像等により、生の様子を配信してい
くことで、他の情報ソースでは説明しきれない情報を提供していくことが出来ると考えて
います。現在、ライブカメラへのわかりやすいリンク画面も作成中です。是非たまに覗い
てみて下さい。また皆さんが生活の多くの部分を過ごしている大学や周囲の映像をご両親
やご友人に紹介してあげて下さい。
ライブカメラの運用・設置につきまして、越中島地区情報処理センター、汐路丸1等機
関士山形先生等、皆様に多大なご協力を頂きました。この場をお借りして御礼申し上げま
す。どうもありがとうございました。