PDF:2.09mbPDFを開く

ISO 26000: Labor Practices
働きやすい
職場環境づくりに
取り組む
JTグループでは、
グループの成功と成長の鍵は
従業員であると考えており、
働きやすい職場環境の
整備に努めています。
14 | JT Group - CSR Report 2013 | 働きやすい職場環境づくりに取り組む
従 業 員 の 健 康・安 全 へ の 取り組 み
JTグループは、従業員の健康、安全を最重要事項と考えてい
ます。労働安全衛生に関する国際法規および各国法令を遵守
し、法的要件を上回る方針、基準を設けることにより、
すべての従
業員の利益を守っています。
また、
JTグループは、
従業員との対話が重要であることを認識し、
より良き雇用者であろうと努めています。
そこで、
従業員意識調査
を定期的に実施し、会社と従業員の双方向のコミュニケーション
を通じて、
働きやすい職場環境実現に向けて協力しています。
JTグループは、従業員の能力こそが
重要な資産であり、従業員のニーズを尊重し、
それに応えることが必要不可欠であると
考えています。
働きやすい職場環境づくりに取り組む | JT Group - CSR Report 2013 | 15
働きや す い 職 場 環 境 実 現 の た め に 従 業 員 の 声 に 耳 を 傾 け る
多 様な人 財を活 用する JTグループには、100か国以上の国籍か
らなる従業員が働いています。こうした多様
な人財を活用することが、競争力を高め、持
続的成長の原動力となると考えています。
JTグループは、
従業員が多様な価値観に基
づく意見やアイデアを表明することを奨励、
促進しています。
JTグループは、人種、国籍、信条、宗教、
性別、障がいの有無にかかわらず、成長の
機会を平等に提供しています。職場におけ
る差別を排することがJTグループの行動規
範、
そしてJTグループの人財マネジメントに
JTグループは、従業員意識調査を2008~09
に生かしています。この調査結果に基づき、業務
関するポリシーの基本理念です。
年にかけてCIS+地域の12か国で試験的に実施
をよりスムーズに進めるための仕組みづくりや成
また、従業員のスキルを高めることは、JT
しました。目的は、業務に関して従業員から提言を
果をあげた従業員への表彰制度など、新たな取り
グループの目的達成と成長につながります。
受けることと、従業員の問題意識を探ることでした。
組みがスタートしています。
そのため、JTグループは、多くの人財育成プ
その後調査対象をJTグループ全体に拡大し、
JTグループではこの調査で抽出された課題に
ログラムを通じて能力向上を支援し、従業員
2012年には72か国、46,729人の従業員を対
適切に取り組むと同時に、新たなプログラムづくり
の成長の機会を提供しています。
象に38言語で調査を行いました。回答率は93%
のきっかけにもしています。
に上り、調査を担当したコンサルティング会社タワ
ーズワトソン社は
「極めて高い回答率」
と評価して
います。
JTグループは従業員の声に耳を傾けるだけで
なく、施策の改善や新たな活動に反映させていま
す。
この従業員調査の結果も、各地域で取り組み
16 | JT Group - CSR Report 2013 | 働きやすい職場環境づくりに取り組む
「従業員意識調査は
グローバルな取り組みですが、
それに基づいた取り組みの多くは
国レベルで実施されます。
地域性や文化的差異を考慮し
調査結果を生かしています」
ハインツ・フォン・アルマン JTI人事担当バイスプレジデント
従 業 員 意 識 調 査 を「 継 続 的 改 善 」に 活 か す
オンラインでの協 働 作 業:
サーベイ
( 調 査 )からサーバーへ
社内サイト「 Engage 」
JTIは2012年、
ソーシャルメディアと同様の機能を持つ、
グローバ
さらなる高みを目指して
2010年のJTIの従業員意識調査の結果、
MENEAT & WWDF
する経営陣と対話しました。
(中近東、
アフリカ、
トルコおよび免税)
部門では、
表彰制度「Striving
JTIのMENEAT & WWDF部門人事担当バイスプレジデントのク
for Excellence Awards」
を創設しました。同部門の中でめざましい
リス・モートは、
Striving for Excellence Awardsがさまざまな面で有
働きをした従業員を表彰するもので、事業において期待を上回る貢
効に機能すると考えています。
「中近東、
アフリカ、
トルコは地理的に
献をした従業員に報いることを目指しています。
見て非常に多様なため、
この表彰制度は、
従業員が国を超えて、
より
候補となるには、
同僚の従業員、
さらにはその国の経営陣による推
広い地域レベルで評価される仕組みを提供しているのです。
そして、
薦を受けなければなりません。
このプログラムは2011年に試験運用
従業員の努力が決して見過ごされることなく、優秀な働きに対しては
され、
2012年には、
工場従業員を含むMENEAT & WWDF部門の
それに見合った褒賞があることを知らしめ、
従業員のモチベーションを
全従業員へ対象が拡大されました。2012年12月、
選ばれた16人の
向上させています。この賞は今や、従業員の貢献を評価する、
候補者は1泊2日でロンドンで行われた表彰式に出席し、
地域を統括
MENEAT & WWDF部門の重要な取り組みの一部なのです」
ルな社内サイト
「Engage」
をオープンしました。
この取り組みは、2009年に行われた従業員意識調査をきっかけ
にウクライナで生まれたものです。
ウクライナの従業員の提案をもと
に、世界中の同僚と情報共有し、
アイデア開発や作業を協働で進
めることができるオンラインツール「My JTI」
が開発され、部署を越え
「自分の仕事を会社に高く評価されるのは
非常に名誉なことでした。
ロンドンでの表彰式も大変印象的でした」
た対話が活性化し、意思決定の質が上がり、成功事例の共有が進
みました。
そこで2012年、JTIではこのコンセプトを拡大し、
グローバルな社
内ネットワークツール「Engage」
を開発しました。完成までの統括を
任されたコーポレートコミュニケーション担当ディレクターのジョナサ
ン・デュースは、次のように語りました。
「JTIの大きな強みのひとつが
100か国以上の国籍からなる従業員がもたらす文化的多様性です。
このオンラインツールは、
その多様性を最大限に引き出し、
オープン
なコミュニケーションとイノベーションを育てることになるでしょう」。
イルファン・シナール JTIトルコ 電気・エネルギー担当者
働きやすい職場環境づくりに取り組む | JT Group - CSR Report 2013 | 17
従 業 員 意 識 調 査 から生まれ た 表 彰 制 度
授賞式の模様
18 | JT Group - CSR Report 2013 | 働きやすい職場環境づくりに取り組む
JTグループでは、
イノベーションを推進するため、国ごとにさま
受賞者となったモスクワで採用を担当するエフゲニヤ・ヤロル
ざまなプログラムを実施しています。国によって細部は異なるも
スラブツセバは、新入社員の出社初日に、皆が歓迎していること
のの、本質に違いはありません。従業員個人がイノベーション推
を伝える
「ウェルカム・レター」
を贈ることを提案しました。そのほ
進に貢献するアイデアを提案するというのもその一つです。
か、人事関係の問い合わせ用のメールアドレスの統一、給与明
CIS+地域における
「Bringing Ideas to Life awards」
プロ
細の電子化などのアイデアが受賞しました。
グラムは従業員意識調査から生まれました。新しいアイデアを
CIS+地域人事担当バイスプレジデントのグエルガナ・アンド
提案する仕組みがあれば、
さらに会社に貢献できるという従業
レーバは、
このプログラムがJTIと従業員にもたらす利点につい
員の声に応えたものです。
てこう語りました。
「JTIは
『進取の精神』
を重視しています。
この
2012年のBringing Ideas to Life awardsでは、提案され
賞は、
それを組織のあらゆるレベルで推進しようというものです。
た1,482件のアイデアから288件が候補に選ばれました。
さらな
従業員に革新的な姿勢を奨励することは、結果として業績の向
る審査を経て、最優秀に選ばれたアイデアの提案者11名は
上につながり、
そしてさらなる成功事例の共有につながります。
2013年1月にジュネーブのJTI本社に招待され、
その努力が称
何よりも、
自らが変化を起こせるということ、
そして自分のアイデ
えられました。
アが重視されるということを、従業員が理解することが重要なの
です」
従 業 員 の 健 康を守る
J Tグループは、職 場や業 務に起 因する
疾病の予防を中心に、
従業員の健康維持を目的とした
さまざまな取り組みを行っています。
めます。最後の第4の柱「健康」
には、健康教育、健康管理、健康増
頼って事業を行っており、
この健康支援プログラムには大きな意義
進などの取り組みが含まれます。業務上のリスク要因を検討するの
があります。
これは単なる慈善事業ではなく、健全なサプライチェーン
はもちろん、
ストレス管理や食生活についてのアドバイスや運動の
維持に資する取り組みなのです」
奨励なども行います。
生活習慣病を予防する取り組み
日本では、糖尿病、脳卒中、心臓病など、生活習慣に起因する疾
「 健康・福祉グローバルプラン」の策 定
病が多く見られます。
こうした疾病は、食生活の乱れや運動不足が
原因であることが多く、危険な状態に至ることもあります。
JTIは2012年、
労働安全衛生の取り組みの一環として、
健康・福
JTでは従業員にさまざまなプログラムを用意し、生活習慣を変える
祉のためのグローバルプランの策定に着手しました。
機会を提供しています。病気の原因を考え、
バランスの取れた食事
この新プランの導入以前も、
既存のさまざまなプログラムが各地域
についての講習や簡単に作れる健康的なメニューの紹介などを行っ
で実施されていました。
しかし、
グローバルな展開により、
組織全体で成
ています。運動面では、体操やストレッチの教室のほか、正しい歩き
功事例を共有し、
一貫した取り組みを行うことが可能になりました。
各グループ会社が進捗を把握できるよう取り組みについてモニタリ
マイク・ジャクソン JTI労働安全衛生担当ディレクター
ングが行われています。JTIの労働安全衛生担当ディレクターのマイ
ク・ジャクソンはプログラムの目的について
「予防こそが私たちの目標
達成の重要な鍵です。
しかし、
万が一病気になった場合にも従業員を
サポートします」
と説明しています。
方を学び、姿勢を保つ方法を指導する教室などを開催しています。
こ
れらのプログラムに加え、健康面の悩みを産業医や保健師に相談
できる体制を整えています。
健 康 支 援プログラムを
サプライチェーンに拡 大
健康支援の4つの柱
従業員健康支援プログラムは従業員だけでなく、
その家族などの
従業員の健康支援プログラムは4つの柱からなっています。第1
果についてこう説明しています。
「私たちは現在、南アフリカとタンザ
の柱は
「迅速な対応」
で、従業員が病気になった際の会社の対応を
ニアで
『アクション・アゲインスト・エイズ』
というプログラムを実施し、
定めており、第2の柱「リスク評価」
では、従業員がさらされている労
成果をあげています。
この取り組みをほかのサハラ砂漠以南のアフ
働安全衛生リスクと最善の対策を定めています。第3の柱は
「コント
リカの地域、特に私たちの事業に関係がある地域に拡大することを
ロール」
で、病気の性質と影響度を見極め、
コントロールの手段を定
目指しています。事業の観点から見れば、私たちは各地の労働者に
関係者や地域までを対象とする場合があります。
ジャクソンがその効
職場におけるラジオ体操教室
働きやすい職場環境づくりに取り組む | JT Group - CSR Report 2013 | 19