2015.11.25 第5回HASL/Simulatorユーザー会 HyperBlowを用いた 金型内へのフィルム吸着挙動の解析 2015年 11月25日 パナソニック株式会社 生産技術本部 成形技術開発センター 先行成形技術開発部 中川 貴嗣 はじめに 1 ・フィルムを金型に吸着する成形工法 クランプ 大気圧 フィルム 真空吸引 金型 吸引溝 ・解析を用いることよるメリット ①フィルム伸びの事前予測 金型形状に対してフィルム伸びが破断伸度に到達しないか ⇒金型(製品)形状の事前設計変更 ②絵柄変形の事前予測 伸び方に対してデザインの歪の可視化 ⇒デザインの事前修正 パナソニック株式会社 生産技術本部 成形技術開発センター フィルム破れ 絵柄歪 2015年 11月25日 解析事例の概要 2 解析目的 ・フィルムの金型吸引における厚み変化の挙動を把握 ・立体的な製品形状におけるフィルムの伸び方を予測 金型設計に関わる部分があるため、 発表のみとさせてください。 製品A用金型 製品B用金型 フィルムを製品形状に追従させた際にフィルムが破断伸度に到達しないかを予測する (破断伸度以上になる場合は、伸び限度を超えた部位を特定し、製品形状修正を検討) 製品設計段階での不具合の事前予測による製品開発効率の向上を狙う パナソニック株式会社 生産技術本部 成形技術開発センター 2015年 11月25日 解析モデル 3 モデルの作成 金型メッシュ作成 製品形状にしたがって 設計された金型面 フィルムメッシュ作成 金型上へのフィルム配置 金型に配置されるフィルム面 300mm×300mm×50um 100×100メッシュ分割 パナソニック株式会社 生産技術本部 成形技術開発センター 2015年 11月25日 解析モデル 4 フィルム物性に関して 左記はHyperBlowのデフォルト数値 圧力、温度に対する解析精度を上げるためには、 使用するフィルム物性値のモデルを作成する必要あり。 ⇒当方ではG’Sell-Jonas/WLF modelを用いたモデルで構築 (フィルム物性に関してモデルの設定数値の公開は控えさせてください。) ←参考データ 以降、紹介します解析では、 異なる設定数値での解析結果です。 パナソニック株式会社 生産技術本部 成形技術開発センター 2015年 11月25日 解析モデル 5 解析条件 圧力[Pa] サイクル数 減圧過程 フィルムは真空吸引で 金型内に引き込まれる現象をモデル化 パナソニック株式会社 生産技術本部 成形技術開発センター フィルムは金型側に吸引されるため、 フィルム面にかかる圧力は負圧の設定となる。 吸引により段階的に減圧される影響を考慮して、 負圧設定カーブを調整。 2015年 11月25日 解析結果と実証結果の比較 6 解析結果 実測結果との比較 35.3 36.4 35.4 実成形での伸び換算数値 解析結果 34.8 実際のフィルムの厚み変化と 解析結果のフィルム厚みはほぼ一致しており、 解析モデルの妥当性を確認した。 中央断面経路上のフィルム厚み分布 パナソニック株式会社 生産技術本部 成形技術開発センター 2015年 11月25日 絵柄歪変形解析 7 解析モデル 金型設計に関わる部分があるため、 発表のみとさせてください。 金型メッシュ作成 製品形状にしたがって 設計された金型面 金型設計に関わる部分があるため、 発表のみとさせてください。 フィルムメッシュ作成 金型に配置されるフィルム面 メッシュ表面にテクスチャー画像配置 絵柄歪み解析から 絵柄補正の妥当性を 確認する。 製品デザインに関わる部分があるため、 発表のみとさせてください。 製品曲面の稜線に沿ったデザインに なるようなフィルム上の絵柄が必要 パナソニック株式会社 生産技術本部 成形技術開発センター 金型上へのフィルム配置 歪み予測から 絵柄を事前に歪ませた補正柄が必要 2015年 11月25日 絵柄歪変形解析 8 解析結果 実製品との比較 ① ② ③ ④ 製品曲面に沿った絵柄ライン形成確認 製品デザインに関わる部分があるため、 発表のみとさせてください。 金型設計に関わる部分があるため、 発表のみとさせてください。 実際の製品においても同じ結果確認 絵柄歪み予測解析においても実際の現象を再現する結果が得られ、歪み予測の妥当性を確認した。 パナソニック株式会社 生産技術本部 成形技術開発センター 2015年 11月25日 まとめ 9 <解析検討内容> HyperBlowを用いた解析事例において、 金型へのフィルム吸引によるフィルム厚みの変化、フィルム上の絵柄歪みの変化に対して、 解析モデルを構築し、妥当性の検証を行った。 <検討結果> ①フィルム厚み変化の妥当性検証 金型への吸着現象をフィルムへの負圧設定でモデル化検討を行った。 フィルム物性はG’Sell-Jonas/WLF modelにおけるパラメータを最適化し、 当方使用のフィルムをモデル化した。 その結果、フィルム厚みの変化を捉えた解析結果を確認した。 ②フィルム上の絵柄歪みの妥当性検証 複雑な立体形状へのフィルム変形に伴う絵柄歪みの検討を行った。 ①でモデル化したフィルム物性モデルを用いて、歪みを考慮した絵柄変形を解析。 その結果、絵柄歪みの変化を捉えた解析結果を確認した。 パナソニック株式会社 生産技術本部 成形技術開発センター 2015年 11月25日 10 本ソフト使用成果と改善要望 <使用成果> ① HyperBlowを用いることで、複雑な形状へのフィルムの厚み変化を計算することが可能となっ た。 ② 絵柄変形を同時に計算することが可能になっており、立体的なフィルム変形における絵柄歪み量 を求めることで、事前の絵柄の補正が可能となった。 ③ 製品設計、金型設計の検討段階でフィルム吸着の限界値を精度良く計算できることで、フィルム 伸び限度付近の製品設計が可能となり、後戻りのない製品設計プロセスを構築できる。 ④ 絵柄変形を事前に予測できることで、実際に印刷せずともデザインの最適化が可能になり、開発 効率を上げることができる。 <改善要望> 局所的に小さい凹凸を含むような製品形状においては、 現状、ソフトで取り扱えるメッシュサイズと現実的な計算リソースの関係から、局所的に薄くなるよう な現象を正しく計算することは困難になっています。 大規模な計算(メッシュ数:数十万~数百万)が効率的に計算できるような計算処理速度の高速化 を期待します。 また、金型上での微小部位(小R、小さな凹凸形状)での計算安定性に課題を残しておりますので、 解析アルゴリズムの改善を期待します。 パナソニック株式会社 生産技術本部 成形技術開発センター 2015年 11月25日
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