Noboru Inoue, D.V.M., Ph.D., E-mail: [email protected] National Research Center for Protozoan Diseases Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, Obihiro, Hokkaido 080-8555, Japan Inoue’s method 大腸菌コンピテントセル Ultra-Competent cells の作製法 108~109 colonys/ug DNA の高効率コンピテントセルが自作できます。 0.5M PIPES (pH 6.7)の調製 15.1gの PIPES を D.D.W. 80 ml に溶解し,pH を 5M の KOH を用いて 6.7 に調整する。全 量を 100 ml になるように D.D.W.を加え、0.5M PIPES (pH6.7)を調製する。溶液を 0.45 µm のフィルターでろ過滅菌し、分注して-20℃で保存する。 Inoue transformation buffer の調製 MnCl2・4H2O 5.44g 55 mM CaCl2・2H2O 1.10g 15 mM KCl 9.34 250 mM PIPES (0.5M pH6.7) 10 ml 10 mM D.D.W. up to 500 ml 0.45 µm のフィルターでろ過滅菌し、分注して-20℃で保存する。 1. クリーンベンチ内で,凍結ストックの種菌(DH5αなど)を凍結状態のままチップの先で極少量削り, LB アガープレート(当然抗生物質は含まないものです)に画線培養する。 2. 翌日シングルコロニーをピックアップし,300 ml ボトルに入れた 25 ml の LB または SOB 培地に植 菌する。 3. 37℃で 6〜8 時間,激しく振盪しながら培養する。 4. 500 ml のビン 3 つにそれぞれ SOB 100 ml を入れ,だいたい夜 6 時頃に 3 の菌液を加えて培養を 開始する。最初のビンには 5 ml,二つ目には 2 ml,三つ目には 1 ml 加える。三つとも一晩 18-22℃(室温で OK です)で振盪培養する。 5. 翌朝,三つの培養の OD600 を測定し、いずれかの培養の OD600 が 0.55 になったら,その培養 を氷上に移し 10 分冷却し,他の二つの培養は廃棄する。 ほとんどの研究室の気温は日中に上がり,夜下がる。したがって室温培養での菌の増殖具 合は,季節や,研究室で夜働いている人の数などによって異なる。したがって室温培養では大 腸菌が毎回一定の増殖をするかどうかはわからない。そこでステップ 4 では植菌量が異なる培 養を準備することで,一晩の培養の後に適正な増殖率(OD600=0.55)の菌液を得られるように している。 6. 2,500 g, 10 分,4℃の条件で遠心する。Inoue transformation buffer 50~100 ml を溶かし、氷冷 する。液体窒素を発泡スチロールの箱(縦 x 横 x 高さ=15cm x 30cm x 20cm ぐらいの)に半分程 度とってくる。 Noboru Inoue, D.V.M., Ph.D., E-mail: [email protected] National Research Center for Protozoan Diseases Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, Obihiro, Hokkaido 080-8555, Japan 7. 上清を捨て,ふたを開けた遠心管をペーパータオル数枚の上に伏せて2分程度おいて完全に上清 を除去する。 8. 氷冷した Inoue transformation buffer 40 ml に大腸菌ペレットを懸濁する。ピペッティングやボル テックスよりも旋回させて穏やかに懸濁するほうがよい。 9. 2,500 g, 10 分,4℃の条件で遠心する。 10. 上清を捨て,ふたを開けた遠心管をペーパータオル数枚の上に伏せて2分程度おいて完全に 上清を除去する 11. 氷冷した Inoue transformation buffer 10 ml に大腸菌ペレットを懸濁する。ピペッティングや ボルテックスよりも旋回させて穏やかに懸濁するほうがよい。 12. DMSO 750 µl を加えて混合し,氷上に 10 分間放置する。 13. 1.5 ml のエッペンチューブにステップ 12 の菌液を 100 µl ずつ素早く分注し、液体窒素に投げ 入れて急速凍結する。使用時まで,-70℃以下で保存する。(液体窒素で急速凍結すると,トランス フォーメーションの効率が5倍以上あがる。) コンピテントセル使用法は「トランスフォーメーション」を参照してください。 余談: 本法は井上法と呼ばれていますが、この井上は私ではありません。Mol. Cloning にも掲載されてい る由緒正しい方法です。 経験談ですが,同じようにしてコンピテントセルを自作しても、TOP10 コンピのトランスフォーメーショ ン効率は DH5αコンピより一桁悪くなります。なぜでしょうか?
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