------------------------------------------------------------------------------[ 成果情報名]豚凍結精液人工授精における注入精子数低減技術 [ 要約 ]一 般 的な希釈液に カフェイン、 塩化カ ル シ ウ ムを添 加した BCC液を 用いて 、凍結 精 液の人工授精 をすると、モデナ液を用いた 場合に比べて 受胎率が向上す る。また、従来 法 (注入精子数50億)の5割程度 の注入精子数でも 7割程度の 良好な受胎率が得 られる。 [ キーワード]豚凍結精液、人工授精、 深部注入器、精液希釈液 [ 担当部署]家畜部 ・養豚チーム [ 連 絡 先]092-925-5232 [ 対象作目]豚 [専 門 項 目]繁殖 [成果分類]技術改良 ------------------------------------------------------------------------------[ 背景・ねらい] 従来の 豚凍結精液を 用いた人工授精 (AI)では、 1発 情あたりのAIに100億(注入精子数 50 億 ×2回)の注入精子 が必要であるため、 効率よく精液を活 用することが困難 である。 近年 、カフェイン などを 添加し た精液希釈液 (BCC液)を用 いて、液状精液 による 人工授 精 を行うと 、子宮内において精子損耗率が抑えられることが明らかとなっている 。そこで 、 BCC液により凍結精液 を希釈 してAIするととともに、 最近、 注 入 精 子 数を削 減できること が 報告されて い る深部注入器 とを組み合わ せ て、従来の半分程度の注入精子数でも受胎可 能 な手法を確立する 。 [ 成果の内容・特徴 ] 1 .AIに 用いた 凍 結 精 液 融 解 後の精子活力 は、融解直後 および 60分後 では、 モデナ 液区お よびBCC液区の間に差は 、認められないが 、融解30分後は 、BCC液区の 方が優れる( 図1 )。 2 .精液希釈液をモデナ 液およびBCC液を用 いて、2回の人工授精(注 入 精 子 数25億、子宮体 部注入カテーテルを使用)を行ったところ、受胎率 はモデナ液区 の50%に対してBCC液区 は67%となり、BCC液区の方 が優れる傾向に あ る(表1)。 [ 成果の活用面・留意点] 1 .凍結精液融解後は、速や か に人工授精を行う 。 2 .凍 結 精 液を用いて人工授精 を行う機関で活用 できる。 (++∼+++)精子活力(%) [ 具体的データ] 60 モデナ液 50 BCC液 40 30 20 10 0 0 30 60 培養時間(分) 図 1.希釈液の違い に よ る凍結精液融解後 の経時的活力(平成16∼17年 ) 注) 1.丹羽 らの 方法を 一部修正し て凍 結(最 終 精 子 濃 度 10億/m l) 2 .BCC 液は 、修 正BTS液( N a2E D T Aを規 定 量 の半 分に 修正 )に1 .15m Mカ フ ェ イ ン、 3mM 塩化 カルシウム を添加 3.供試頭数 1頭 4.モ デ ナ 液の 主な成 分は 、グ ル コ ー ス、ク エ ン 酸ナ ト リ ウ ム、ト リ ス ヒ ド ロ キ シ アミノメタン 表1.希 釈 液の違いによる凍結精液AI後の繁 殖 成 績(平成16∼17年) 希釈液 供試頭数 受胎頭数 受胎率 平均産子数 モデナ 8 4 50% 6.0 BCC 9 6 67% 10.3 注)1. 人工流産法 および 性ホルモン 投与 (eCG:1500単 位、hCG:500 単位) により 発情誘起 2.許 容 開 始 後 、 24時 間 目 に 1回目 のAI を実施 し、 その1 4時 間 後2回 目のA Iを実施 3.1 回当 たりの 注入精子数 は、 25億( 0.5ml ス ト ロ ー5本 分) 4.A Iは、 子 宮 体 部 注 入カ テ ー テ ルを使 用 5.供 試 精 液は、 図1 の個体 を使 用 6.A Iは、 6月か ら8月 に か け て実 施 7.平 均 産 子 数 は 、H. 17.10 .5現在 (モ デ ナ区1 頭、BCC区3 頭) [その他 ] 研究課題名:超少量注入法による豚凍結精液実用化技術 の確立 予 算 区 分 :法人等受託(伊藤記念財団) 研 究 期 間 :平成 16年度(平 成16∼18年) 研究担当者:山口昇一郎・村上徹哉 発表論文等:平成 16年および17年 度 食 肉に関する助成研究調査成果報告書
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