一太郎 11/10/9/8 文書

【ちあきの星空情報】
2016年11月
田中千秋(たなかちあき)
スーパームーンを見る
11月14日は満月(スーパームーン)
満月の輝き
満月はとても明るく、都会では街灯などが完備しているところが多いので、夜の歩
行に困ることはありませんが、郊外地や山間部などに行くと満月はとても明るく 感じ
られ、重宝されます。
世の中に街灯が完備する前の時代までは夜の活動には月明かりがある夜とない夜で
は懐中電灯やその前の時代には提灯の準備をするか しないかといった判断が必要 で、
生活に大きく関わっていました。海の潮の満ち引きにも月齢が大きく関係してい まし
たから、月が生活に密着していたことが想像されます。
現在の都会生活では日常生活に月明かりなどは関係ありませんから月齢にも無頓着
ですが、満月の中でも特に大きく見えるスーパームーンには注目する人が多いよ うで
す。月は楕円軌道で公転していますが、月の軌道が地球に近づいたときに満月を 迎え
ると大きく見える満月となるのです。
このスーパームーンという言葉は、天文学の用語ではありませんが、多くの方々が
月に親しんでいただく要因になりました 。そうした面では功労賞をあげたい言葉 とい
えます。
満月の夜は視力の良い人は月の表面に濃淡があり、黒っぽい部分がウサギの姿に見
える人もいます。双眼鏡や天体望遠鏡ではそのパターンもはっきり見えますが、 明る
すぎるので、口径を絞るとかムーングラスを取り付けて見ないと眼を傷めること があ
りますので、注意しましょう。
満月の特徴としては、天体望遠鏡で見たときにクレーターが見えにくいことがあげ
られますが、これは太陽の光が正面から当たって、影がないことに起因していますが、
その影がなくても満月のころに目立つようになるクレーターもあります。 それは 、テ
ィコ、コペルニクスそれにケプラーなどで、クレーターから四方八方にすじ状の 輝く
光条が出ている様子を確認できます。
ぜひ確かめてみましょう。
11月の天文現象
流星群は見られるか?
11月にはおうし座流星群としし座流星群が出現します。
おうし座流星群は、長期間見られますが、11月6日ごろが南群の極大日で、おうし座の胸のあ
たりを放射点として空のあちこちに流星が流れる様子が見られます。もうひとつの北群は、11月
13日ごろが極大日となります。放射点はおうし座の散開星団M45(プレアデス星団、和名はす
ばる)の近くにあります。極大日以外の日もそれなりに流れ、11月上旬から中旬にかけて楽しめ
る流星です。
もうひとつ、有名なしし座流星群ですが、11月17日に極大日となりますが、満月過ぎ(月齢
18)の月明かりにより星空が見にくく、ちょっと条件が悪い観測となりますが、どうしても見よ
うとすれば条件の悪いことを覚悟のうえで、防寒を十分にして、夜空を見上げて見ましょう。
アルデバラン食の観測
満月を過ぎて間もない丸い月におうし座の1等星アルデバランが隠される現象が見られます。
肉眼では見にくいものの、双眼鏡や天体望遠鏡を使えばはっきりと見えます。
見られるのは11月16日の午前2時過ぎに月に潜入して、午前3時過ぎに出現します。詳細な
時間は、それぞれに地域で異なりますので、インターネットなどで検索してみるといいでしょう。
下の写真は今年の2月16日に見られたアルデバラン食です。潜入ではスッと星の姿が消え、出現
の時は突然現れます。天体望遠鏡で生のシーンを見る臨場感は何ものにも代えられない感動もので
すから、お天気が良かったら見てみましょう。
今年の2月16日のアルデバラン食では、夜が暗くなる前に潜入が見られました。
この写真は、潜入前のアルデバランと月の姿です。
月面縁からアルデバランが出現した直後に撮影したものです。
出現したアルデバランを観測していると月との位置が次第に離れていく様子が見られます。
11月の星空
11月の夜空はすっきり晴れることが多く、秋の星座を堪能できます。
星座をさがすには、星図や星座早見を使いますが、簡易的には本コラムの星図を拡大表示し、印
刷して利用してもいいでしょう。
天頂付近にある秋の四辺形(ぺガスス座)を中心にそれぞれの星座を探していきますが、夏の大
三角や冬のオリオン座に見られるような明るい星はなく、2等星や3等星を結んでできる星座の形
をみつけましょう。北の空にあるカシオペヤ座やペルセウス座は比較的容易に見つけられますが、
ぺガスス座よりも南にあるうお座やみずがめ座などは、実際の星空で星と星を線で結んで星座をさ
がしていくのは少々手間取ってしまいますが、根気よくみつけましょう。
先にプラネタリウムなどで事前に練習しておいた方が見つけやすいかもしれませんね。
地球の自転による星の日収運動によって、深夜、そして明け方まで星空を眺めていると星座の位
置がだんだんと東から西へ移動していく様子が確認できます。
秋の夜長には温かい飲み物でも用意して、自宅のベランダなどからじっくりと星座探しの宇宙旅
行を楽しみましょう
11月の天文情報
日
曜日
月齢
天文現象など
1
火
1.4
2
水
2.4
3
木
3.4
文化の日 細い月と金星、土星が接近
4
金
4.4
月の赤緯が最南
5
土
5.4
6
日
6.4
月と火星が接近 おうし座南流星群が極大
7
月
7.4
立冬(二十四節気)
8
火
8.4
上弦の月
9
水
9.4
10
木
10.4
11
金
11.4
12
土
12.4
13
日
13.4
おうし座北流星群が極大
14
月
14.4
満月(スーパームーン)
15
火
15.4
16
水
16.4
アルデバランの食
17
木
17.4
月の赤緯が最北 しし座流星群が極大
18
金
18.4
19
土
19.4
20
日
20.4
21
月
21.4
下弦の月
22
火
22.4
小雪(二十四節気)
23
水
23.4
勤労感謝の日
24
木
24.4
月が天の赤道を通過(南半球へ)
25
金
25.4
細い月と木星が接近(明け方の東空)
26
土
26.4
27
日
27.4
28
月
28.4
月の距離が最遠
29
火
29.4
新月
30
水
0.6
月の距離が最遠
月が天の赤道を通過(北半球へ)
11月の星図
黒版
白版
11月の中旬、午後9時ころの星空です。このコラムの星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、
天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。