『レ・ミゼラブル』 ヴィクトル・ユゴー著 永山篤一訳 角川書店 250 年以上、世界で読まれ続け、映画やミュージカルに なっている。その人気の秘密は? 司教の家で銀器を盗 む。どこまでも追いかけてくる警視。棺に隠れて修道院 を脱出。パリの下水道をさまよう。主人公、ジャン・ヴァル ジャンに次々と降りかかる理不尽な出来事から目が離 せない。 『アラビアン・ナイト』 ディクソン編 中野好夫訳 岩波書店 アラビアン・ナイトは、一人の賢い王妃が語り続けたお 『変身』 フランツ・カフカ著 池内紀訳 白水社 ある朝、目を覚ますと、グレーゴルは虫になってい た。見慣れた自分の部屋で、自分のベッドで、こ 話から生まれた。 王妃は、王に死刑を宣告されてい た。ところが王妃は毎夜面白い話を聞かせ、夜明けを 迎えると「続きはまた明日」と言ってやめるのだった。続き が知りたい王は死刑を先送りにし、とうとう千と一夜を 楽しんだ。 んなことが起こるなんて。 背中は堅い甲羅、おなかは茶色くて丸い。一番 ぞっとするのは、細い無数の脚がワヤワヤ動いて いることだ。グレーゴルは目を閉じて、見ないこと にした。 『夢十夜』 夏目漱石著 筑摩書房 女が、真珠貝で穴を掘って埋めてください、そして墓の 傍で100年待ってください、と頼んで死んでいった。 自分は言われたとおりに待った。第一夜に見た夢だ。 夢は1つ1つ話を変え、第十夜まで綴られる。 そ の 本 知 っ て る ! 読 ん だ こ と な い け ど 『クリスマス・キャロル』 ディケンズ作 脇明子訳 岩波書店 『モモ』 ミヒャエル・エンデ作 大島かおり訳 イブ、金勘定ばかりしているケチなスクルージの前に、 岩波書店 誰にでも平等に流れている「時間」。もしその時間が、 幽霊が現れた。体を重い鎖でとらわれた幽霊が告げ 誰かに盗まれているとしたら…? モモは町はずれの廃 た!「時間はもうわずかしか残っておらん」 今のまま、 墟に住む小さな女の子。聞き上手なモモのまわりには、 スクルージが金の亡者でいる限り、死後、鎖で縛られ、 いつも町の人たちの笑顔が絶えない。しかしある時から 罪をつぐなう苦行が待っているというのだ。 「時間節約」の標語が町中に溢れるだし、人々の笑顔 『ぶどう酒びんのふしぎな旅』 アンデルセン原作 藤城聖治影絵 町田仁訳 講談社 が消えた。 『桃尻語訳 枕草子』 橋本治著 河出書房新社 ぶどう酒のガラスびんは、燃えさかる炉から取り出され 「春って曙よ!」「夏は夜よね。月の頃はモチロン!」 たときのことを覚えている。それから上等のぶどう酒を あの『枕草子』が、現代の女の子の言葉になって登場 詰められ、婚約の祝杯になった晴れがましい日のこと した。全298段の「不思議な形の小説」を読めば、平 も。 ひとりの女の人の一生と深く関わったぶどう酒び 安時代が身近に感じられる。 ん。その運命を描いた、アンデルセンの大人の童話。 『ムーミン谷の夏まつり』 トーベ・ヤンソン著 下村隆一訳 講談社 言っとくけど、ムーミントロールはカバではない。 『グスコーブドリの伝記』 宮沢賢治作 福田庄屋助絵 審美社 賢治さん、賢治さんはタイムマシンに乗って、未来を見 てきたのではないですか? 洪水がムーミン谷を襲い、ムーミン一家は、流れてきた イーハートーブ火山局の器械は、ネットワークでつながっ 大きな屋敷に住みついた。そこには、写らない鏡、どこ たコンピュータみたい。潮汐発電所を海岸に配置した にも上がれない階段、石膏細工の食べ物があった。誰 り、火山の炭酸ガスの力で地球の温度を上げたり。こ かがごそごそ隠れていて、ここは化け物屋敷だろうか。 んなことを思いつくなんて。
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