2016/2/9 呼吸機能検査(スパイロメトリー) 内臓器官病態学 呼吸器病態系 閉塞性肺疾患 (喘息・COPD) VC<0.8 山口大学大学院医学系研究科 FEV1/FVC<0.7 呼吸器・感染症内科学分野 松永和人 何を測定するのか? 肺活量(息を最大限に吸い込んだ後に吐き出せる空気量) 努力肺活量(最大吸気位から、最大努力で吐き出せる空気量) 1秒量(最大吸気位から、1秒間に吐き出せる空気の量) どのように拘束性障害と閉塞性障害を診断するか? 拘束性障害(肺線維症など)=標準値に対する肺活量<80% 閉塞性障害(COPDなど)=1秒量/努力肺活量<70% 喘息の定義 (JGL2015) 呼吸機能は生理検査の基本、だけど難しい・・・・・・・ 気道の慢性炎症を本態とし、臨床症状として変動性を持った 気道狭窄(喘鳴、呼吸困難)や咳で特徴付けられる疾患 呼吸機能検査の判定 70%以上が正常:1秒率 80%以上が正常:他の全て 日本アレルギー学会、喘息予防・管理ガイドライン2015 喘息病態の分子学的機序 気管支喘息の病態生理 アレルゲンの感作 アレルゲン ウイルス感染 Th2/Th1/Th17/Treg/ILC2 IL‐33 TSLP リンパ球 非発作時 好酸球 気道粘膜 ICAM‐1 好酸球 B細胞 喘息発作時 発作 VLA‐4 VCAM‐1 気道可逆性 血管 IL‐4/13 MBP, ECP, EDN 抗原提示細胞 (樹状細胞) IgE IL‐5 気道上皮細胞 エオタキシン 治療 拡張 基底膜直下の線維化 線維芽細胞増殖因子 好中球 IL‐8 マクロファージ 平滑筋の 肥大・増殖 血管新生 気道の内径 Th2リンパ球 IL‐13, IL‐4, IL‐9 マスト細胞 健常人 気道の内径には日内変動がある 3 AM 3 PM 喘息患者 気道炎症 気管支平滑筋の収縮 気道粘膜の炎症性浮腫 粘液分泌の増加 気道リモデリング 杯細胞化 TARC IgE 気道狭窄の原因 気道狭窄・気道過敏性 気道リモデリング 狭窄 発作性に繰り返す 咳、喘鳴、呼吸困難 1 2016/2/9 気道リモデリング=気道組織の構築変化 喘息との鑑別に注意を要する疾患 炎症や増悪により傷害された気道組織の修復過程で生じる構造変化(気道狭窄) 平滑筋の肥大・過形成 基底膜の肥厚(線維性増生) 粘液腺 過形成 血管増生 1. 鼻副鼻腔炎による後鼻漏 2. 声帯機能不善 (vocal cord dysfunction) 3. 気管・気管支軟化症 4. 気管支結核 5. 肺がん・気管腫瘍 6. COPD 7. うっ血性心不全 8. ACE阻害剤など薬物による咳嗽 9. 逆流性食道炎 (GERD) 10. 心因性(企図)咳嗽・喘鳴 日本アレルギー学会、喘息予防・管理ガイドライン2015 喘息の診断は正しいか? 喘息診断の目安 症例:26歳、男性 病歴:約1年前より咳、痰が出現。半年前より喘鳴を伴うようになり 気管支喘息と診断され吸入ステロイド薬、気管支拡張薬を 処方される。2週間前より血痰が出現したため、難治性喘息 管理および血痰精査目的で紹介受診。 1.発作性の呼吸困難, 喘鳴, 胸苦しさ, 咳(夜間, 早朝に出現しやすい)の反復 2.可逆性の気流制限 3.気道過敏性の亢進 検査:喀痰、気管支洗浄液よりガフキー5号の抗酸菌を検出 4.アトピー素因の存在 5.気道炎症の存在(喀痰好酸球の増多、呼気NO濃度の上昇) 6.他疾患の除外 上記の1, 2, 3, 6が重要である。 気管支結核 4, 5の存在は症状とともに喘息の診断を支持する。 5は通常,好酸球性である。 日本アレルギー学会、喘息予防・管理ガイドライン2015 気道可逆性評価=一秒量の変化 気管支拡張薬に対する反応 閉塞性肺疾患のフローボリューム曲線 最大呼気流速 (PEF) の低下 (気流制限) 10 呼気流速 (L/秒) 正常 8 閉塞性肺疾患 有意な変化量(FEV1) 6 下に凸の曲線 12%以上かつ200mL以上 4 2 呼気量 (FVC) の低下 (肺過膨張) 0 0 1 2 3 4 5 呼気量 (L) 2 2016/2/9 気道過敏性とは? 気道過敏性とは、刺激に対して気道が反応する度合いのことで 喘息患者の気道では健常人が反応を起こさない刺激に対して 気道収縮反応(発作)を起こしやすい状態となっている 喘息気道の慢性炎症 (喘息病態の中心) 健常者 喘息患者 連続呼吸抵抗測定装置を用いた気道過敏性検査の測定例 健常者 喘息患者 呼吸抵抗 気管支内視鏡所見 気道収縮物質の濃度 喘息死患者の気道剖検所見 気道炎症評価法①:喀痰好酸球検査 気道炎症評価法②:呼気NO検査 喀痰好酸球比率が2∼3%以上であれば陽性と判定する 健常者:平均値 15ppb, 正常上限値 37ppb 喘息が疑われるカットオフ値:22ppb以上 喘息がほぼ確実なカットオフ値:37ppb以上 Matsunaga K. Allergol Int 2010, Allergol Int 2011 日本アレルギー学会、喘息予防・管理ガイドライン2015 (36歳、男性) 総細胞数: 1.6X106 cells/mL (Mφ:48% 好中球:10% 好酸球:38%) 呼気NO=気道炎症のバイオマーカー ~非侵襲的に下気道の好酸球性炎症を捕捉する~ 炎症性 サイトカイン IL-1ß IL-6 GM-CSF RANTES Eotaxin MIP-1 喘息の病態生理における 喀痰好酸球と呼気NOの分子学的機序 気道上皮細胞 (IL‐4, IL‐13など) Cytokines NIOX VERO® Adhesion molecules Peptides ICAM-1 ET-1 Enzymes iNOS COX-2 cPLA2 気道炎症 iNOS (inducible NO synthase) 誘導型NO合成酵素 Wenzel SE. AJP 2015 3 2016/2/9 喘息では喀痰好酸球と呼気NO濃度が相関する 健常者やCOPD患者に比べて喘息患者では 呼気中のNO濃度が上昇している p <0.05 呼気NO濃度 (ppb) 50 p <0.01 150 40 p <0.01 30 100 20 呼気NO濃度 (ppb) r=0.48 p=0.003 10 0 5 0 15 10 60ppb 50 喀痰中好酸球 (%) 20ppb 15ppb 20 0 健常者 Jatakanon A . Thorax 1998 喘息治療の目標 喘息 COPD Ichinose M. AJRCCM 2000 喘息の病態生理と長期管理 Genetic factor 1. 健常人と変わらない日常生活を送ることができる 2. 非可逆的な気道リモデリングへの進展を防ぎ、正常に近い 呼吸機能を保つ PEFが予測値の80%以上かつ、PEFの変動が20%未満 3. 夜間・早朝を含めた喘息発作の予防 Environmental factor Atopy 気道過敏性 気道リモデリング 気道炎症 4. 喘息死の回避 5. 治療薬による副作用発現の回避 気管支拡張薬 抗炎症薬 日本アレルギー学会、喘息予防・管理ガイドライン2015 吸入ステロイド薬 抗IgE抗体 喘息コントロール 喘息の長期管理薬①:吸入ステロイド薬 (ICS) 最も重要な治療標的である気道炎症を抑制する 長時間作用性吸入β2刺激薬 長時間作用性吸入抗コリン薬 ロイコトリエン受容体拮抗薬 テオフィリン薬 喘息における抗炎症治療の中心:吸入ステロイド薬 治療前 吸入ステロイド薬による治療3ヵ月後 長期間、使用しても副作用はほぼ問題とならない 喘息重症化を防止するため、少しでも早く使用すること 気道上皮の剥離 (早期介入)と定期使用することが重要である 気管支拡張薬ではなく発作時に使用しても、効果は乏しい 喘息症状がなくても自己判断で中止してはいけない ICS = Inhaled corticosteroid 炎症細胞浸潤 (好酸球が中心) Laitinen LA. J Allergy Clin Immunol 1992 4 2016/2/9 吸入ステロイド薬の吸収・代謝と副作用 喘息におけるステロイドの有効性:標的細胞の多様性 炎症細胞 Numbers (apoptosis) 構築細胞 Eosinophil Epithelial cell Cytokines Mediators T-lymphocyte Cytokines Endothelial cell Mast cell Leak CORTICOSTEROIDS Numbers Airway smooth muscle ß2-Receptors Macrophage Cytokines Mucus gland Cytokines Dendritic cell 全身的副作用 ・咽頭炎 ・嗄声 ・咳嗽 ・カンジダ症 ・副腎抑制 ・感染症 ・骨粗鬆症 ・骨折 ・白内障 ・皮膚の非薄化 ・皮下出血斑 Mucus secretion Numbers Rossi GA. Pulm phrmaco Ther 2007 喘息は慢性炎症性疾患:抗炎症治療の継続が原則 P=0.006 1.00 吸入ステロイド薬 (ICS) の普及と喘息死亡者数の減少 P=0.78 吸入ステロイド薬 (人) 0.95 喘息症状がない日の割合 局所的副作用 NIH/WHO 喘息ガイドライン (億円) 8,000 7,000 0.90 6,000 Placebo 6210 5947 59415929 5855 4014 3773 3701 3283 3193 2778 2540 2348 2137209520601874 2,000 Treatment Period 500 4473 3,000 0.75 600 5401 5148 4,000 0.80 700 5995 5881 5,000 0.85 800 喘息死亡者数 ICS販売額(合剤を含む) 7253 1,000 Observation Period 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 Months 32 34 36 (人) (回) 減少率 150 120 54% 132 (人) 減少率 80 60 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 53% 0 (年) 喘息の長期管理薬② 長時間作用性β刺激薬、長時間作用性抗コリン薬 ロイコトリエン拮抗薬、テオフィリン 減少率 73% 12 11 72 200 厚生労働省 人口動態調査 Guibert TW. NEJM 2006 吸入ステロイド薬を定期的に使用すれば 救急外来を受診する喘息患者数が減少する 300 100 0 0.00 400 吸入ステロイド薬単剤で効果が不十分な場合に併用する 吸入ステロイド薬を処方せず、これらの薬剤だけで成人喘息を治療 9 することは推奨されていない 90 長時間作用性β刺激薬:β受容体を刺激して気道平滑筋を弛緩 40 6 長時間作用性抗コリン薬:ムスカリン受容体に拮抗し収縮抑制 60 61 30 20 34 0 0 救急受診回数 ロイコトリエン拮抗薬:喘息と鼻炎に共通する脂質メディエーターを制御 3 3 0 救急受診者数 3回以上救急受診 した患者数 松永和人,西山秀樹他:アレルギー 43:411,1994 5 2016/2/9 喘息の長期管理薬③ 長時間作用性気管支拡張薬の作用機序 吸入ステロイド薬と長時間作用性β刺激薬の配合剤 LAMA LABA (長時間作用性抗コリン薬) (長時間作用性β2刺激薬) ACh 2-receptor s M3-receptor q AC PLC cAMP Ca2+ PKA MLCK Relaxation Contraction 気管支平滑筋のβ2受容体を 刺激し、細胞内cAMP増加に 引き続く, PKA活性化を介して 気管支平滑筋を弛緩 安全かつ効果的に気道炎症を抑制する吸入ステロイド薬と 安定した気管支拡張作用を有する長時間作用性β刺激薬が、 同一のデヴァイス(吸入器具)で吸入できるようになった薬剤 吸入ステロイド薬だけで効果が不十分な時に使用される長期 管理薬の中心となる薬剤である (ICS/LABAへのStep‐up) 効果の発現が早いため、喘息症状が強い時であれば初診時 から使用される場合も多い(ICS/LABAからのStep‐down) M3受容体に拮抗することにより, 迷走神経由来のAchによる気 管支平滑筋の収縮を抑制する LABA = Long-acting 2 agonist, LAMA = Long-acting muscarinic antagonist 長期管理の治療ステップ (喘息ガイドライン2015) 治療ステップ1 治療ステップ2 治療ステップ3 治療ステップ4 吸入ステロイド薬 (低用量) 吸入ステロイド薬 (低~中用量) 吸入ステロイド薬 (中~高用量) 吸入ステロイド薬 (高用量) 長期管理薬 上記が使用できない 場合は以下の いずれかを用いる 基本 治療 LTRA テオフィリン徐放製剤 ※症状が稀なら必要なし 追加 LTRA以外の 治療 抗アレルギー薬*1 発作治療*4 吸入SABA 上記で不十分な場合に 以下のいずれか1剤を 併用 LABA(配合剤使用可*5) LTRA テオフィリン徐放製剤 上記に下記のいずれか 1剤、あるいは複数を 併用 LABA(配合剤使用可*5) LTRA テオフィリン徐放製剤 LAMA*6 上記に下記の複数を併用 LABA(配合剤使用可) LTRA テオフィリン徐放製剤 LAMA*6 抗IgE抗体*2,7 経口ステロイド薬*3,7 LTRA以外の 抗アレルギー薬*1 LTRA以外の 抗アレルギー薬*1 LTRA以外の 抗アレルギー薬*1 吸入SABA*5 吸入SABA*5 吸入SABA 難治症例に対する喘息治療の進め方 治療によって良好なコントロールが得られない Yes 喘息の診断は正しいか 他疾患の治療 Yes 服薬アドヒアランスが良好か 吸入手技が正しいか No 再指導 Yes 増悪因子や 合併疾患は正しく管理されているか STEP UP STEP DOWN No No 禁煙、増悪させ得る 薬剤の変更/中止、 合併症管理の徹底 No 専門医へ紹介 (治療ステップ4) Yes ICS:吸入ステロイド薬, LABA:長時間作用性β2刺激薬, LAMA:長時間作用性抗コリン薬, LTRA:ロイコトリエン受容体拮抗薬, SABA:短時間作用性β2刺激薬 *1:抗アレルギー薬は、メディエーター遊離抑制薬、ヒスタミンH1拮抗薬、トロンボキサンA2阻害薬、Th2サイトカイン阻害薬を指す。 *2:通年性吸入アレルゲンに対して陽性かつ血清総IgE値が30~1,500 IU/mLの場合に適用となる。 *3:経口ステロイド薬は短期間の間欠的投与を原則とする。短期間の間欠投与でもコントロールが得られない場合は、必要最小量を維持量とする。 *4:軽度の発作までの対応を示し、それ以上の発作についてはガイドラインの「急性増悪(発作)への対応(成人)」の項を参照。 *5:ブデソニド/ ホルモテロール配合剤で長期管理を行っている場合には、同剤を発作治療にも用いることができる。長期管理と発作治療を合せて1日8吸入までとするが、 一時的に1日合計12吸入まで増量可能である。ただし、1日8吸入を超える場合は速やかに医療機関を受診するよう患者に説明する。 *6:チオトロピウム臭化物水和物のソフトミスト製剤。 *7:LABA,LTRAなどをICSに加えてもコントロール不良の場合に用いる。 治療のステップアップによる改善 Yes *治療ステップ3以上の治療にもかかわらず コントロール不良の場合は専門医への紹介 が推奨される。 コントロールが達成・維持されたら3か月後にステップダウン 日本アレルギー学会. 喘息予防・管理ガイドライン2015 3週間以上遷延する慢性咳嗽には要注意! ~原因の約60%は喘息~ 不明 喘息+α※ 日本アレルギー学会. 喘息予防・管理ガイドライン2015 発作性の喘鳴・呼吸困難を示さない喘息:咳喘息 喘鳴や呼吸困難を伴わない慢性咳嗽を訴え、呼吸機能はほぼ正常 だが気道過敏性が亢進し、気管支拡張薬で咳嗽が消失する 7.9% Corrao 1997 12.1% ACE阻害薬による咳嗽 1.2% 1.2% アトピー咳嗽 2.4% かぜ症候群後の咳嗽 3.6% 胃食道逆流 4.2% 副鼻腔気管支症候群 10.3% 慢性気管支炎 5.5% 300 N.S. p<0.0001 p<0.01 (μm) p=0.0002 p=0.0078 13 250 12 200 150 100 10 8 6 50 0 4 喘息 (n=21) n=165(平均年齢50.2歳), Niimi A et al. 気道リモデリング p<0.05 基底膜の厚さ 間質性肺炎 (/mm2) 気管支粘膜生検組織中の好酸球数 47.3% 4.2% * 喘息+胃食道逆流(5.4%) 喘息+副鼻腔気管支症候群(2.4%) その他の組み合わせ(4.2%) 気道炎症 喘息 その他 咳喘息 (n=14) 健常者 (n=7) 喘息 咳喘息 健常者 (n=22) (n=16) (n=8) Niimi A. ERJ 1998, Lancet 2000 6 2016/2/9 高齢者喘息に吸入指導を反復することの重要性 薬物療法と増悪因子の確認 吸入指導前 Proportion of study subjects (%) Smoking, Adherence, Inhaler technique Still common problem in poor asthma control 吸入指導後 100 81.6% 79.4% Poor adherence Poor technique 80 60 40 20.5% 20 0 Current smoking N=570 Armour CL. J Asthma 2011 鼻炎と喘息の関連:不十分な診断と治療 喘息を悪化する合併症の診断と治療 日本の喘息患者における鼻炎合併率 問題点 ①深い大きな吸入が出来てない ②息止めが出来てない(口からの薬の漏れ) ③ゆっくりと息が吐けていない N = 26,680 N = 10,009 Under-diagnosis 鼻炎なし 鼻炎症状がある喘息患者の30%は鼻炎と診断されてなく、 喘息症状がある鼻炎患者の60%以上は喘息と診断されていない。 鼻炎あり 67.3% 解析対象例数 全体 質問票 Under-treatment 鼻炎合併あり 95%信頼区間 26,680 17,945 67.3% 66.7 - 67.8 患者による記入 13,024 8,910 68.4% 67.6 - 69.2 医師による記入 13,656 9,035 66.2% 65.4 - 67.0 Ohta K, et al. Allergy 2011 喘息における ステロイド抵抗性の機序 喘息患者の60%以上には鼻炎症状があり、鼻炎患者の約半数は 喘息症状(発作性の喘鳴、咳など)を自覚している。 Yamauchi K, Tamura G et al. Allergol Int 2009 Asthma can be divided into at least two distinct molecular phenotypes defined by degree of Th2 inflammation Healthy control (n=28), Asthma (4wks steroid naive, n=42) Woodruff PG. AJRCCM 2009 Barnes PJ. Lancet 2009 IL-13-inducible epithelial genes (epithelial brushing) Th2-high (n=22), Th2-low (n=20) The expression levels of IL-13 and IL-5 were correlated across all of the subjects with asthma 7 2016/2/9 Responsiveness to inhaled corticosteroids (Th2-high vs. Th2-low) Responsiveness to ICS (FEV1) Reproducibility of phenotypic markers Th2細胞を介さなくても、自然免疫によるTh2反応が生じ得る ILC (innate lymphoid cell) ナチュラルヘルパー細胞 T, B, NK, NKT細胞と異なる新しいリンパ球 ・病原微生物由来の分子パターン (PAMPS)やHSPなどの内因性に細胞が 障害された分子パターン (DAMPS)を認識し、自然免疫応答が生じる Th2-High→Low: 10/16 (63%) Th2-High→High: 6/16 (37%) Th2-Low→Low: 16/16 (100%) FEV1 improvement (>150mL) Th2-high: 9/10 (90%) Th2-low: 1/6 (17%) ・ナチュラルヘルパー細胞は脂肪組織のリンパ球クラスター内に存在し、IL‐4, IL‐5, IL‐13などのTh2サイトカインを産生し、自然免疫の制御や獲得免疫 の惹起に関わることが報告されている ・喘息では気道上皮由来のIL‐25, IL‐33, TSLPや肥満細胞・マクロファージ 由来のPGD2に応答し、多量のTh2サイトカインを産生する Interpretation: Corticosteroids is not specific treatment for all patients with asthma 喘息:生物学的機序の理解と治療薬の進歩 COPDとは? 吸入された有害粒子により肺が傷害されて 持続性の気流閉塞が生じる疾患 C (Chronic) 慢性 O (Obstructive) 閉塞性 IgE 獲得免疫 (ステロイド感受性) 自然免疫 (ステロイド抵抗性) P (Pulmonary) 肺 D (Disease) 疾患 Lambrecht B & Hammad H. Nature immunology 2015 COPDの病因:有害粒子の吸入による炎症機序 吸入有害粒子 (タバコ煙, 大気汚染物質) 気道上皮細胞 肺胞マクロファージ 気道炎症 TGF‐β1 COPDにおける閉塞性障害の機序 1. 肺胞隔壁の破壊 (気腫化) 炎症メディエーター(走化因子) IL‐8, LTB4, RANTES, MCP‐1 線維芽細胞 CD8+ リンパ球 ECM (細胞外マトリックス) Collagen Ⅰ Fibronectin 気道の線維化・肥厚 (末梢気道病変) プロテアーゼ 肺胞構造の破壊 (気腫化) 2.粘膜の炎症、気道壁の線維化 (閉塞性細気管支炎) 好中球 マトリックス・メタロプロテアーゼ 好中球エラスターゼ 気道過分泌 (慢性気管支炎) 気流閉塞 肺過膨張 肺拡散障害 3. 粘液過分泌 (内腔閉塞) 8 2016/2/9 気流閉塞と肺過膨張の病態生理 健常者 気腫化 (肺弾性収縮力の低下) 末梢気道の狭窄 (気流閉塞) 肺胞構造の破壊 「COPD肺」からは空気の吐き出しが困難 (エア・トラッピング→肺過膨張) 気道壁の線維化 COPD COPDの動的肺過膨張(労作時息切れ) COPDの胸郭・呼吸筋の異常 肺気量 (Liters) 肺過膨張↑=残気量 (RV)↑, 最大吸気量 (IC)↓ 健常人 TLC Exercise IC IC TLC Exercise IC IC FRC 呼吸補助筋の肥厚 やせ (羸痩)の進行 ビア樽状の胸郭 (静的肺過膨張) FRC/EELV 終末呼気肺気量 FRC COPD FRC/EELV 終末呼気肺気量 気道狭窄 弾性収縮力↓ COPD 健常人 COPDの臨床指標と死亡リスクの関連 COPDは、なぜ早期に発見し治療することが重要なのか? 死亡に対する最も重要な危険因子は身体活動性の低下 COPD 予測因子 日常活動レベル (per 0.14 ‐ ) 1日の総歩数 (per 1845 ‐ ) FEV1 % pred. (per 11% ‐ ) P<0.001 P<0.001 P<0.001 IC/TLC 比 (per 5.2% ‐ ) 除脂肪体重指数 (per 1.3kg/m2 ‐ ) P<0.001 労作時息切れ P=0.025 P<0.001 6分間歩行距離 (per 61m ‐ ) Body‐mass index (per 2.6kg/m2 ‐ ) 骨格筋の廃用・羸痩 P=0.004 SGRQ, 活動性スコア (per 12points + ) SGRQ, 総スコア (per 10points + ) 気流閉塞 エア・トラッピング(肺過膨張) P=0.006 運動能力の低下 P=0.027 分類別スコア ADO index (per 1points + ) BODE index (per 1points + ) 活動性低下 P<0.001 P<0.001 P=0.003 MMRC呼吸困難スコア (per 0.5grade + ) 0 20 40 60 80 100 120 全原因による死亡に対する相対的危険度, % Waschki B. Chest 2011 QOLの低下 併存症(心血管病変、骨粗鬆症、糖尿病)の悪化、死亡 9 2016/2/9 COPDの診断基準 COPDの病期分類(気流閉塞の重症度) 1. 気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーで FEV1/FVC < 70%を満たすこと 2. 他の気流閉塞をきたし得る疾患を除外すること Flow (L/S) 病期 1. 気管支喘息 10 8 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 健常者 6 4 COPD 2 0 気管支拡張薬投与後の1秒率(FEV1/FVC)70%未満が必須条件 1 2 3 4 5 6 Volume (L) ‐2 びまん性汎細気管支炎 先天性副鼻腔気管支症候群 閉塞性細気管支炎 気管支拡張症 肺結核 塵肺症 肺リンパ脈管筋腫症 うっ血性心不全 間質性肺疾患 肺癌 閉塞性障害と肺過膨張の進行 (L/秒) 10 5 軽度の気流閉塞 %FEV1 ≧ 80% Ⅱ期 中等度の気流閉塞 50% ≦ %FEV1< 80% Ⅲ期 高度の気流閉塞 30% ≦ %FEV1< 50% Ⅳ期 きわめて高度の気流閉塞 %FEV1< 30% COPD診断と治療のためのガイドライン 第4版 0:激しい運動をした時だけ息切れがある。 中等症 1:平坦な道を早足で歩く、あるいは緩やかな上り坂を歩く 時に息切れがある。 健常者 2:息切れがあるので同年代の人よりも歩くのが遅い。ある いは、平坦な道を自分のペースで歩いている時、息切れ のために立ち止まることがある。 気流速 重症 0 Ⅰ期 mMRC質問票 (呼吸困難による日常活動の障害) 軽症 呼気流速の低下 (気流制限) 定義 6 4 2 0 ‐5 肺気量 (L) 呼気量の低下 (肺過膨張) COPDにおけるmMRCグレードと気流閉塞の関連性 3:平坦な道を、約100m、あるいは数分歩くと息切れの ために立ち止まる。 4:息切れのため家から出られない。衣服の着替えをする時 にも息切れがある。 COPD診断と治療のためのガイドライン 第4版 COPD:本邦における不十分な診断と治療 (n = 1,168) 140 %FEV1 (%) 軽度 100 NICEスタディ(2001年) 80 530万人 75% 66% 60 (有病率8.6%) 中等度 55% 45% 40 35% 94.2% 20 0 わずか5%の患者だけが診断され、治療を受けている ρ= ‐0.54 p<0.0001 120 (535/568) 0 1 2 mMRC grade 3 4 高度 以上 閉塞性障害による COPD病期分類 総患者数 22.0万人 (5%) 50人の外来通院患者のうち、 4∼5人はCOPDかもしれない! (厚生労働省患者調査 2011年) Fukuchi Y. Respirology 458-465, 2004 Matsunaga K. Respir Investig 2015 10 2016/2/9 症状や胸部X線による早期診断が困難である理由 一般臨床におけるCOPDスクリーニングの重要性 息切れ、喘鳴、浮腫などの症状はCOPDに特異的ではない 自ら活動を制限し息切れを避けるため、症状がマスクされる 100 健康成人 COPD患者 スパイロの異常 75 FEV1の変化 「60歳以上」で「喫煙歴」のある患者にはスパイロメトリーを 一般内科を通院中で、 呼吸器疾患のない1,040名 (%) 100 45歳で禁煙 中等症(息切れ、喘鳴) 80 気流制限あり 27% 日常生活の障害 胸部X線異常 重症(日常生活に障害) 25 65歳で禁煙 最重症(酸素療法など) 最重症 3.8% 喘息 13.4% 重症 重症 19.0% 中等症 38.0% 60 (FEV1/FVC<70%) 50 その他の疾患 5.2% COPD 81.4% 40 気流制限なし (FEV1/FVC≧70%) 軽症 39.2% 20 73% 死亡 0 0 25 50 「気流制限あり」の診断名 (n=194) 75 COPDの重症度 (GOLD) 年齢 Fletcher C and Peto R, BMJ 1977 Takahashi T. Respirology 2003 安定期COPDの管理 (COPDガイドライン2013) 早期に禁煙した方が肺機能の改善が大きい 外科療法 換気補助療法 酸素療法 禁煙したCOPD患者 840 長時間作用性抗コリン薬・β2刺激薬の併用 (テオフィリンの追加) 管理法 長時間作用性抗コリン薬または長時間作用性β2刺激薬 (必要に応じて短時間作用性気管支拡張薬) 呼吸リハビリテーション (患者教育・運動療法・栄養管理) 対標準1秒量(%) 吸入ステロイド薬 禁煙・インフルエンザワクチン・全身併存症の診断と管理 80 208 152 3818 2682 2059 74 1652 初期値 症状の程度 Ⅲ期 1818 72 管理目安 FEV1の低下 Ⅱ期 124 喫煙継続者 呼吸困難, 運動能力・身体活動性の低下, 繰り返す増悪 Ⅰ期 134 2335 76 1 2 Ⅳ期 3 4 5 年 Scanlon PD. (Lung Health Study) AJRCCM 2000 COPD 診断と治療のためのガイドライン(日本呼吸器学会 2013) 気管支拡張薬は気道狭窄と肺過膨張を 軽減することにより気流閉塞を改善する 長時間作用性抗コリン薬(LAMA)による気流閉塞の改善 COPDは “予防する疾患から治療が可能な疾患”へ チオトロピウム (LAMA) 気管支拡張 肺過膨張 の減少 呼吸筋機能 の改善 160 粘液過分泌 の抑制 トラフFEV1 改善量 気管支拡張薬 イプラトロピウム (SAMA) (mL) ・気道収縮神経の抑制 ・収縮した気道の拡張 p < 0.001 at all time points +120mL 120 80 40 0 ‐40 ‐80 0 100 200 300 400 (days) Vincken W. Eur Respir J 2002 11 2016/2/9 INTRUST study:気流閉塞 (FEV1) 気管支拡張薬で呼吸の負荷を軽減する意義 チオトロピウム (LAMA) に対するインダカテロール (LABA) の追加効果 All differences significant at p<0.001 重症喘息・COPD 気道内径狭窄(60%) ΔFEV1 = +120mL (+10%) 180 FEV1 treatment difference (mL) 健常者・軽症喘息 気道内径正常(100%) FEV1 = 1.15L (48% predicted) 正常時 160 呼吸抵抗=1 呼吸抵抗=7.7 140 120 10% 拡張↑ 10% 狭窄 呼吸抵抗は30%改善 100 80 60 Study 1 (N = 1,134) 40 増悪時 Study 2 (N = 1,142) 20 呼吸抵抗=1.5 呼吸抵抗=11.6 Study drug inhalation at week 12 0 1 0 2 3 4 5 6 7 8 23 24 トラフ Time (hours) Mahler DA. Thorax 2012 呼吸抵抗 (R) =8nL/πr4 (半径の四乗に反比例する) 喘息とCOPDの合併症候群 (ACOS) 気道の分泌と薬剤による制御 中枢神経系 喘息 COPD 節状神経節 咽頭/食道 求心性神経 アレルゲン・遺伝 迷走神経 副交感神経 喫煙・大気汚染物質 発作性の喘鳴・呼吸困難 C線維受容体 刺激受容体 抗コリン薬 労作時呼吸困難 ACh Aδ線維 C線維 気管壁 副交感神経節 ACh ACh ムスカリン 受容体 気道上皮 抗コリン薬 変動が大きい気流閉塞 粘膜下線 間接刺激の気道過敏性陽性 合併病態 10∼30% 間接刺激の気道過敏性陰性 好酸球性炎症 β2刺激薬 正常に復さない気流閉塞 好中球性炎症 ステロイド反応性 ステロイド抵抗性 刺激 (タバコの煙、気道感染) 喘息における “正常に復さない気流閉塞” Asthmatics with reversible airway obstruction were followed up for 22-33 years Mean FEV1 at visit 1 was 88.0%, Mean FEV1 at visit 2 was 83.6% COPDにおける “変動が大きい気流閉塞” n=228 FEV1↑>15% 67% 100 気管支拡張薬に対して 過半数の症例が有意な 気道可逆性を示した % of patients Reversible airway obstruction 40 100% (228) 84.4% (190) UPLIFT研究 (n = 5,756) Baseline FEV1 = 1.10 L (39%) Irreversible airway obstruction 平均改善量 FEV1 = 229 mL FEV1↑>200mL 55% 20 15.6% (35) 0 0% Visit 1 (1962~70) Visit 2 (1991~98) Vonk JM. Thorax 2003 Tashkin DP. Eur Respir J 2008 12 2016/2/9 喘息とCOPDがオーバーラップする機序 GINA2014の定義 (喘息, COPD, ACOS) 喘息がCOPDを合併する場合 喘息 •喘息患者が喫煙を続けてCOPDを併発する 喘息は、一般的に気道の慢性炎症を特徴とし、不均一な病態を呈する疾患。 可逆性の気流制限を伴い、経時的に強度が変動する喘鳴、息切れ、咳などの 呼吸器症状の病歴で特徴付けられる。 •気道過敏性亢進は両疾患に共通するリスクファクター COPDが喘息を合併する場合 COPD •COPD患者が高齢発症型喘息を併発する COPDとは予防や治療が可能なよくみられる疾患であり、持続性の気流制限を 特徴とする。この気流制限は、通常、進行性で有害な粒子やガスに対する気道 及び肺の慢性炎症反応の亢進と関連している。 •COPD(気道狭窄・虚脱性)が喘息様の症状を顕在化 COPDに未診断の喘息が潜在する場合 喘息・COPDオーバーラップ症候群(ACOS) •典型的な症状に乏しく未診断の喘息患者が、中高齢期に ACOSは喘息とCOPDの特徴を併せ持ちながら、持続性の気流制限を呈する。 正常に復さない気流閉塞を指摘されCOPDと診断される GINA (Global Initiative for Asthma) 2014 病歴や症状だけで鑑別診断が困難な場合、客観的なバイオマーカー による評価が推奨されている(胸部CT、肺拡散能、気道炎症評価) COPDとして治療されていた COPDにおいて喘息合併を疑う診断の目安 オーバーラップ症候群 Case: 68歳、男性 Complaints: 2年前からの息切れ 下記項目が1つでも認められ、他の合併症が除外される場合は 喘息の合併 (ACOS)を疑い、吸入ステロイド薬を考慮する COPDと診断し気管支拡張薬で治療して いたが、息切れと喘鳴が残存していた。 喀痰中の好酸球増多から喘息の合併を 疑い、吸入ステロイド薬を追加した。 Pulmonary function VC (L) IC (L) FVC (L) FEV1 (L) FEV1% (%) %FEV1 (%) DLco (mL/min/mmHg) %DLco (%) DLco/VA (mL/min/mmHg/L) %DLco/VA (%) Baseline 2.68 1.77 1.85 0.71 38.4 26.4 (Stage4) 12.7 91.9 2.7 61.1 1 喘息症状 発作性の呼吸困難、喘鳴、咳(夜間、早朝に出現しやすい)の反復 2 可逆性気流制限 自然に、あるいは治療により寛解する。PEF値の日内変動20%以上、 β2刺激薬吸入により1秒量が12%以上増加かつ絶対量で200mL以上増加 3 気道過敏性の亢進 アセチルコリン、ヒスタミン、メサコリンに対する気道収縮反応の亢進 4 アトピー素因 環境アレルゲンに対するlgE抗体の存在 5 気道炎症の存在 喀痰、末梢血中の好酸球数の増加、呼気中NO濃度上昇 6 鑑別診断疾患の除外 症状が他の心肺疾患によらない 3 months after ICS therapy 3.72 2.75 (+980mL) 2.74 1.38 (+670mL) 50.3 51.6 (Stage2) COPD 診断と治療のためのガイドライン(日本呼吸器学会 2013) 日常活動の改善に向けた包括的なアプローチ COPDの疾患進行によって日常活動が著しく制限される前に 適切な治療介入と指導(禁煙、酸素療法、運動療法)を行う COPD診断と治療のためのガイドライン 第4版 運動療法と気管支拡張薬は相乗的に運動機能を改善し 薬物療法の継続はその効果を長期的に維持する Kesten S, Cooper CB. Int J COPD 2008 13 2016/2/9 COPD急性増悪の病態 COPDの急性増悪の原因 ●気道感染(一般細菌,非定型病原体,ウイルス) COPD患者の症状悪化 安定期の生理的変動を超え、通常治療の変更を必要とする ‐最多(報告によって頻度は異なる) ex.78% . Papi A et al. AJRCCM 2006 Rodriguez‐Roisin R Chest 2000 ●大気汚染 気道狭窄 VA/Qミスマッチ↑ 分泌腺肥大 杯細胞過形成 杯細胞脱顆粒 好酸球浸潤 好中球浸潤 喀痰量↑ 喀痰膿性度↑ 息切れ↑ ●肺塞栓 ●気胸 ●肋骨骨折/胸部外傷 ●鎮痛薬,麻酔薬,b刺激薬の不適切な使用 ●右・左心不全、不整脈 * 重症例の1/3は原因が同定できないという報告もあり GOLD updated 2012, NIH, NHLBI COPD増悪の管理 ウイルス感染による増悪の特徴 (炎症細胞) 1.増悪の重症度は、症状、身体所見、パルスオキシメータなど * * * Sputum Eosinophils (106/g) 10 ** ** の臨床検査に基づいて総合的に評価する E: 入院を必要とする増悪 * 2.呼吸不全を認める場合には、酸素療法の適応である C: 増悪からの回復期 3.薬物療法の基本はABCアプローチである 8 6 ウイルス感染による増悪 は気道への好酸球浸潤 の頻度が高い 4 2 0 E C Viruses C E Bacteria C E Viruses + Bacteria A: Antibiotics, B: Bronchodilator, C: Corticosteroids 4.入院管理が必要な場合や、Ⅲ期 (FEV1<50%) 以上の症例 の増悪では、プレドニン30mg/日を10∼14日間を目安に投与する 5.十分な薬物療法と酸素療法で呼吸状態が改善しない場合は、 換気補助療法 (NPPV, IPPV)の適応となる C E No pathogen Papi A. et al. ,AJRCCM 2006;173:1114-1121 糖尿病、心血管疾患、筋骨格疾患とCOPDの関連性 内科的疾患におけるCOPDの合併率 0 5 10 15 20 心臓病 心疾患 25 30 (%) 26%* 骨粗鬆症 14%* 糖尿病 非喫煙者 喫煙者 COPD 10%# 炎症性腸疾患 5% 消化性潰瘍 11%# 逆流性食道炎 27 % うつ病 COPD診断と治療のためのガイドライン 第4版 COPDが原因の併存症 共通因子による合併症 これらの成人病は 共通の危険因子を有する 患者において発症する ・高齢者 ・喫煙 ・活動性の低下 ・全身性の炎症 ・肥満 17% *p # < 0.01 vs. 非喫煙者、喫煙者 p<0.01 vs. 非喫煙者 Remoortel HV. AJRCCM 2014 Agusti A. Respir Res 2010 14 2016/2/9 心不全の臨床診断、BNPの正確性 COPDの有無による循環器疾患の併存率 COPDなし p<0.0001 BNP or Both vs. Clinical judgment 84 COPDあり 不整脈 6.9% 13.6% 心不全 2.0% 7.9% 10.7% 23.1% その他の心疾患 診断の正確性 15.9% 対象と方法:Health Search Database(HSD)のデータを用いて、COPD有無別の併存症の併存率をレトロスペクティブに解析 Diagnostic Accuracy(%) 6.6% 80 78 76 74.9% 74 72 70 t 検定 Clinical judgement BNP>100pg/mL Both McCullouth. Circulation. 2002 Cazzola M. Respiration. 2010 β遮断薬の有無によるCOPD患者の生存率 81.5% 81.2% 82 虚血性心疾患 COPD患者の肺癌リスク:気流閉塞と気腫 N=3,638, Mean follow-up period=3.26 years Non-COPD (58%), Mild (14%), Moderate (23%), Severe (6%) 100 β遮断薬使用 β遮断薬非使用 80 生存率︵%︶ 5.16 (FEV1<50%+気腫) 60 3.56 (FEV1 50∼80%+気腫) 40 死亡率22%減少 20 2000 1000 3000 4000 時間(日) Short PM. BMJ 2011 COPDと骨粗鬆症 健常者 Wilson DO. AJRCCM 2008 COPD患者の生命予後の改善を目指した包括的管理 COPD COPD患者の死亡原因 包括的な管理(病診連携) Takahata study(338例を7年間追跡) その他 10% Lung 他の悪性腫瘍 13% 呼吸不全 32% 肺癌 16% Bone 心血管疾患 29% provided by Dr. Jessica Bon, University of Pittsburgh 患者教育(禁煙・運動・食事) ワクチン接種 全身併存症を含めた薬物療法 mMRC質問票 身体活動性(歩数計) 胸部X線 心電図 BNP, HbA1c, LDL-C, TG 骨密度検査 薬物療法の調節、呼吸管理 スパイロメトリー 呼気NO濃度 血液ガス分析 心エコー検査 悪性腫瘍の検索 Shibata Y. PLOS ONE 2013 15
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